第一部講義2 プロセス安全とリスクマネージメント を実践する...

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第一部 講義2 プロセス安全とリスクマネージメント を実践するために 講師:澤 連絡先:[email protected] 1 Copyright2017 SCEJ

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  • 第一部 講義2

    プロセス安全とリスクマネージメントを実践するために

    講師:澤 寛連絡先:[email protected]

    1Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 今日お話ししたいこと

    1. プロセス安全が目的とすること

    2. プロセスリスクをマネージメーするということは?

    3. プロセス安全を構成する要素

    4. プロセス安全設計を実現するために

    • 化学的本質安全設計

    • 受動的安全

    • 能動的安全

    • 運転対応安全

    • 機械的本質安全設計

    5. リスク評価の手法

    6. まとめ2Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • プロセス安全とは

    プロセス安全上の危険

    物質の放出、火災および爆発、大事故

    事故の防止や影響を最小限化

    設備のエンジニアリングデザイン、危険の評価、事故調査、変更管理、装置の検査・試験・保全、プロセス制御と警報、運転および保全手順、従業員教育、ヒューマンファクター

    ☞プロセスの安全管理。

    教訓の活用

    過去の不幸な事故

    技術的、管理的活動を通して事故防止

    欧米の化学プロセスの安全管理活動

    損失防止活動

    3

    P7

    Copyrightⓒ2017 SCEJ

    08-07

    2008-07-Beacon-Japanese.pdf

  • 過去から学ぶことの重要性

    歴史から学ばぬ者は歴史を繰り返すエドマンド・バーク(英国:

    Edmund Burke、1729年

    1月12日- 1797年7月9

    日)は、アイルランド生

    まれのイギリスの政治

    思想家、哲学者、政治家

    過去を思い起こし得ないものは、過去を繰り返すように、運命づけられているジョージ・サンタヤーナ

    (George Santayana、

    1863/12/16-1952/9/

    26)はスペイン出身の

    アメリカの哲学者・詩人。

    事故調査結果から学ぶ重要性を示す言葉(PSBの利用の重要性)

    4

    10--8 14-2 10-2

    P17,30

    Copyrightⓒ2017 SCEJ

    2010-08-Beacon-Japanese.pdf2014-02-Beacon-Japanese.pdf2010-02-Beacon-Japanese.pdf

  • 国内における化学プラントの近年の事故

    年 発生地 事故概要 事故区分 人的災害規模1952 愛知 写真材料店でのマグネシウムの火災爆発 危険物 死9 傷431954 北海道 油脂抽出工場でのヘキサンの噴出爆発 危険物 死7 傷111956 岡山 大豆油脂抽出工場でのヘキサン噴出爆発 危険物 死11 傷71958 神奈川 アンモニア合成ガス分離工場の液体空気爆発 危険物 死11 傷401960 東京 油脂抽出工場でのヘキサン爆発火災 危険物 死11 傷10 1964 神奈川 酸化プロピレン重合工程での蒸気雲爆発 反応暴走 死18 傷171 1964 東京 ニトロセルロース、過酸化物倉庫の爆発火災 火薬類 死19 傷158 1969 岡山 タイヤ再生工場での可燃性上記の爆発火災 危険物 死11 傷7 1973 山口 エチレンプラントでの爆発 反応暴走 死1 傷 

    1978 大阪 アクリル反応装置の爆発火災 反応暴走 死2 傷33 1980 大阪 医療中間体の分解爆発 反応性物質 死2 傷17 1982 大阪 アクリル反応装置の爆発火災 反応暴走 死6 傷101 1987 三重 エステル製造装置の溶剤回収缶での爆発 反応暴走 死2 傷33 1989 東京 過酸化ベンゾイル取り扱い中の爆発 反応性物質 死9 傷17 1991 千葉 メタノール精留塔の爆発 反応性物質 死2 傷13 1992 千葉 水素化分解装置での水素・軽油の爆発火災 危険物 死10 傷8 2000 愛知 貯蔵中のニトロセルロースの爆発 火薬類 傷55(市民) 2000 群馬 ヒドロキシルアミン製造装置の爆発(爆轟) 反応性物質 死4 傷20 

    2008 千葉 感光材乾燥中の発火火災 反応性物質 死2 傷6 2011 山口 塩ビモノマー製造施設の爆発火災 反応暴走 死1 2012 山口 酸化反応プラントでの爆発火災 反応暴走 死1 傷22 2012 兵庫 塩化ビニルモノマープラントでの爆発火災 反応暴走 死1 傷36 2014 三重 シリコン製造施設の熱交換器洗浄中の爆発 反応性物質 死5 傷13 

    5Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 国内における化学プラントの近年の事故

    年 発生地 事故概要 事故区分 人的災害規模1952 愛知 写真材料店でのマグネシウムの火災爆発 危険物 死9 傷431954 北海道 油脂抽出工場でのヘキサンの噴出爆発 危険物 死7 傷111956 岡山 大豆油脂抽出工場でのヘキサン噴出爆発 危険物 死11 傷71958 神奈川 アンモニア合成ガス分離工場の液体空気爆発 危険物 死11 傷401960 東京 油脂抽出工場でのヘキサン爆発火災 危険物 死11 傷10 1964 神奈川 酸化プロピレン重合工程での蒸気雲爆発 反応暴走 死18 傷171 1964 東京 ニトロセルロース、過酸化物倉庫の爆発火災 火薬類 死19 傷158 1969 岡山 タイヤ再生工場での可燃性上記の爆発火災 危険物 死11 傷7 1973 山口 エチレンプラントでの爆発 反応暴走 死1 傷 

    1978 大阪 アクリル反応装置の爆発火災 反応暴走 死2 傷33 1980 大阪 医療中間体の分解爆発 反応性物質 死2 傷17 1982 大阪 アクリル反応装置の爆発火災 反応暴走 死6 傷101 1987 三重 エステル製造装置の溶剤回収缶での爆発 反応暴走 死2 傷33 1989 東京 過酸化ベンゾイル取り扱い中の爆発 反応性物質 死9 傷17 1991 千葉 メタノール精留塔の爆発 反応性物質 死2 傷13 1992 千葉 水素化分解装置での水素・軽油の爆発火災 危険物 死10 傷8 2000 愛知 貯蔵中のニトロセルロースの爆発 火薬類 傷55(市民) 2000 群馬 ヒドロキシルアミン製造装置の爆発(爆轟) 反応性物質 死4 傷20 

    2008 千葉 感光材乾燥中の発火火災 反応性物質 死2 傷6 2011 山口 塩ビモノマー製造施設の爆発火災 反応暴走 死1 2012 山口 酸化反応プラントでの爆発火災 反応暴走 死1 傷22 2012 兵庫 塩化ビニルモノマープラントでの爆発火災 反応暴走 死1 傷36 2014 三重 シリコン製造施設の熱交換器洗浄中の爆発 反応性物質 死5 傷13 

    危険物取り扱いの問題

    化学反応の問題

    化学装置の問題6Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • •英国フリックスボロ蒸気雲爆発事故 (1974):死者28名 ⇒ P20

    •イタリア・セベソ事故(1976):ダイオキシンを含むガスの放出・拡散、土壌汚染。被災者22万人以上

    •インド・ボパール事故(1984):猛毒なメチルイソシアネートの流出・拡散事故。死者2500名以上、負傷者20万人以上 ⇒P68

    •英国・北海油田火災事故(1988):洋上原油採掘プラットフォームで予備ポンプスタート時安全弁座から漏えい。死者167名 ⇒P46

    •米国・パサデナ・フィリップス・ポリエチレン設備の蒸気雲爆発事故(1989):死者23人、負傷者130名

    •BPテキサスシティー製油所爆発火災事故(2005):死者15名、負傷者170名 ⇒P150

    •英国バンスフィールド油槽所タンク爆発火災事故(2005):負傷者43名 ⇒ P89

    海外での巨大事故

    7

    12-10

    09-12

    13-07

    10-03

    09-09

    Copyrightⓒ2017 SCEJ

    2012-10-Beacon-Japanese.pdf2009-12-Beacon-Japanese.pdf2013-07-Beacon-Japanese.pdf2010-03-Beacon-Japanese.pdf2009-09-Beacon-Japanese.pdf

  • 今日お話ししたいこと

    1. プロセス安全が目的とすること

    2. プロセスリスクをマネージメーするということは?

    3. プロセス安全を構成する要素

    4. プロセス安全設計を実現するために

    • 化学的本質安全

    • 受動的安全

    • 能動的安全

    • 運転対応安全

    • 機械的本質安全

    5. リスク評価の手法

    6. まとめ

    8Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 保安

    企業財産のリスク・マネージメント(保険の考え方)

    労働安全衛生プロセス安全損失防止

    人 設備

    知的財産

    企業財産を危険要因(リスク)から守ること

    9Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 認 識

    評 価

    軽 減

    実 践

    リスク・マネージメントプロセス

    10Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 危険認識

    危険要因の着目点・ 物質のポテンシャル・危険性、引火性、毒性、反応性、・ システム構成に起因する危険性・ 機器特性に起因する危険性・ 原因の同定(機器故障、誤操作、外乱)・ 異常反応、暴走反応・ 高圧ガスの吹き抜け・ 逆流による回転機損傷・ 高圧ポンプの空引き・ 低温脆性破壊

    11Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 危険認識手法の例

    PSIの情報を解析

    手法(例)

    What-if解析

    HAZOP

    FMEA

    間違った物質をタンクに入れるとどうなるか?

    12

    12-04

    Copyrightⓒ2017 SCEJ

    2012-04-Beacon-Japanese.pdf

  • 「もし・・・」

    ?? ??

    「もし・・・」

    もしポンプが停止したら?

    もしバルブが閉止したら?

    プラントへの影響は?

    プラント特性を考慮した質問リストを用意

    考慮すべき要点を含む Check Listに

    よる解析

    回転機械が停止したら?

    冷却水が停止したら?

    配管が閉塞したら?

    温度が上昇したら?

    不純物が混入したら?

    プラントへの影響危険源の洗い出し

    What-if/Check list解析手法

    13Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 高低なし同時に

    プロセス異常によりプロセスパラメータが正常状態から逸脱すると事故となる

    危険性がある

    化学プラントの運転管理はプロセスパラメータを正常状態に維持すること

    HAZOPはガイドワードを使いパラメータの逸脱を想定し、潜在危険性を洗い出す安全性評価手法

    正常運転範囲

    時 間

    パラメータ(温度、圧力など)

    上方への逸脱

    下方への逸脱

    HAZOP解析

    影響は

    影響は

    流量温度圧力液レベル組成

    プロセス

    パラメータ

    逸脱ガイドワード

    14Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 機器は各種の故障モードがある

    故障で全開故障で全閉故障で作動不良内部流体の漏洩

    化学プラントは多様な機器から構成

    バルブ コンプレッサポンプ

    プラントを構成する機器を選定

    機器の故障モード想定

    プラントへの影響検討(潜在危険の洗い出し)

    講じられている安全対策の確認と妥当性の評価

    基本手順

    例バルブの故障モード

    故障モード影響解析(FMEA)

    15Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • リスクの評価方法

    相対危険度評価法

    DOW FE&I

    Risk Ranking Matrix 定性的評価法

    LOPA 半定量的評価法

    定量的評価技法

    FTA反応暴走などの事象がどのような機器故障や操作ミスの組み合せで発生するのかをツリー状に解析し発生確率を算出する手法

    ETA可燃性液体の漏洩といった初期事象がどのように災害事象に進展するかをツリー状に解析し、それぞれの災害事象の発生確率を算出する手法

    16Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 燃焼

    支燃性物質

    可燃性物質

    着火源

    燃焼に必要な三要素

    火災爆発の原因FTA

    燃焼

    支燃性物質可燃性物質 着火源

    静電気 反応熱火気工事

    ANDゲート

    ORゲート

    基本事象

    基本事象

    基本事象

    中間事象

    燃焼現象のFTA

    P125-132

    P99

    P113

    P113,119

    P180

    P125-132

    スパーク

    基本事象

    17

    09-09 09-10

    06-05 11-01

    P89,144

    Copyrightⓒ2017 SCEJ

    2009-09-Beacon-Japanese.pdf2009-10-Beacon-Japanese.pdf2006-05-Beacon-Japanese.pdf2011-01-Beacon-Japanese.pdf

  • リスクとは

    リスク =

    予想される損害の程度

    発生頻度

    18Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • リスクランキングマトリクス

    5 IV III II I I

    4 IV III III II I

    3 IV IV III III II

    2 IV IV IV III III

    1 IV IV IV IV III

    1 2 3 4 5

    結果の重篤度(¥/件)

    発生頻度(件

    /年)

    リスク評価の例(リスクランキングマトリクス)

    リスクレベル中

    リスクレベル微小

    リスクレベル小

    好ましくない。追加安全対策が必要

    管理手法の安全対策を実施で許容

    追加安全対策は必要ない

    リスクレベル大 容認できない。追加安全対策が不可欠

    19Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 今日お話ししたいこと

    1. プロセス安全が目的とすること

    2. プロセスリスクをマネージメーするということは?

    3. プロセス安全を構成する要素

    4. プロセス安全設計を実現するために

    • 化学的本質安全

    • 受動的安全

    • 能動的安全

    • 運転対応安全

    • 機械的本質安全

    5. リスク評価の手法

    6. まとめ

    20Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • OSHAのPSMの14の要素

    1. プロセスの安全情報(Process Safety Information)

    2. プロセス危険分析(Process Hazard Analysis)

    3. 安全作業手順(Safe Operating Procedures)

    4. 従業員の参加(Employee Participation)

    5. トレーニング(Training)

    6. 協力会社(Contractors)

    7. 運転開始前の安全審査(Pre-Startup Safety Review)

    8. 設備の健全性(Mechanical Integrity)

    9. 火気使用許可(Hot Work Permit)

    10. 変更管理(Management of Change)

    11. 事故調査(Incident Investigation)

    12. 緊急時対応計画(Emergency Planning and Response)

    13. コンプライアンス監査(Compliance Audits)

    14. 業務機密(Trade Secrets)21Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 認 識

    実 践

    評価

    軽 減

    変更管理

    事故調査

    コンプライアンス監査

    安全作業手順トレーニング運転開始前の安全審査緊急時対応計画

    PSM 要素とリスクマネージメント手法

    従業員の参加協力会社設備の健全性火気使用許可業務機密

    プロセスの安全情報

    プロセス危険分析

    プロセスの安全設計

    22Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 今日お話ししたいこと1. プロセス安全が目的とすること

    2. プロセスリスクをマネージメーするということは?

    3. プロセス安全を構成する要素

    4. プロセス安全設計を実現するために

    • 化学的本質安全

    • 受動的安全

    • 能動的安全

    • 運転対応安全

    • 機械的本質安全

    5. リスク評価の手法

    6. まとめ

    23Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • プロセス安全設計のための参考文献

    安全設計1.プロセス安全設計

    各装置を設計する場合に考慮すべきエンジニアリング要素をまとめたガイドライン

    Guidelines for engineering design for process safety, Second edition

    2.本質安全設計

    プロセス設計を試みるとき、プロセスのライフタイムにわたるプロセス安全を実現するためにどのような設計概念で設計すべきかをまとめたガイドライン

    Inherently Safer Chemical process, a life Cycle Approach

    24Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 安全設計のための手法

    CCPS Inherently Safer Chemical process

    1 マネージメントの目的に対して危険要因を特定しリスク評価する。さらに危険度を下げることが必要なら2から4のステップを適用する

    2a 危険要因そのものをすべてなくする

    2b 事故の規模の絶対的な大きさを軽減する

    危険要因を除く

    2c 事故の発生可能性や拡大を低減する

    3a 事故防止や低減に受動型安全を使う

    3c事故防止や低減に運転対応安全を適用する

    3b事故防止や低減に能動型安全を使う

    4 ステップ1の目的ごとにリスクが許容範囲となるように本質安全戦略と保護層解析を使って実施する

    2 全プラントの危険要因や設計について本質安全戦略を適用する

    3 安全保護層の設計に本質安全戦略を適用する

    酷度を低減

    可能性を低減

    受動型安全を適用

    能動型安全を適用

    運転対応安全を適用

    目標達成まで危険要因とリスク評価を考察する

    ステップ

    一次本質安全

    二次本質安全

    保護層による安全

    25Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • プロセス安全実現手法

    プロセス安全設計手法

    1.化学的本質的安全

    2.受動的安全

    3.能動的安全

    4.運転対応安全

    5.機械的本質安全

    26Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 1 化学的本質安全設計

    化学的本質安全実施のための3手法

    1.安全な物質への代替:危険な原料、中間製品、製品の除去、不燃性の溶剤、揮発性の低い物質、反応性の低い物質の採用など

    2.危険物質の保有量は必要最小限: 配管長さはできるだけ短くする

    単位操作機器の置換(バッチリアからチューブラーリアクター)

    3.マイルドな条件で使用: 常温、常圧に近い操作条件の変更。反応条件の緩和(触媒の採用など)。無水アンモニアに変わってアンモニア水、塩酸に変えて塩酸水溶液の使用などで希釈により危険性のポテンシャルを下げる

    特徴

    ・本質的な安全へのアプローチ

    ・既設プラントへの適用は難しいが、開発型プロセスの場合にはこの考えを導入してプロセス設計すべき

    27Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 2 受動的安全

    設備自体の物理的・機能的働きで安全を確保-有害物質の格納建物-設備の最高温度・最高圧力で設計- 逆火・爆発の防止装置- 耐火被覆 防火距離- 耐低温材使用・対高温材使用-耐火・耐爆設計-防液堤、防油堤などの設置

    特徴・信頼性の高い方策・コストが高くなる可能性あり

    28

    10-05 10-06 10-07

    P176,153,187

    Copyrightⓒ2017 SCEJ

    2010-05-Beacon-Japanese.pdf2010-06-BeaconJapanese.pdf2010-07-Beacon-Japanese.pdf

  • 3 能動的安全

    安全設備を作動させて安全を確保-安全インターロック-検知装置と緊急遮断弁-冷却散水設備-スチームカーテン-水カーテン-消火設備など

    特徴• プラントの安全確保にあたり広く使用されている方策• 要求があったときに確実に作動するための信頼性確保が重要

    29

    08-03

    P199

    Copyrightⓒ2017 SCEJ

    2008-03-Beacon-Japanese.pdf

  • 4 運転対応安全

    運転員の対応により安全を確保-運転手順書-緊急手順書

    特徴• プロセス特性に対する教育、緊急対応訓練などが重要• 設備投資がないため投資は安価• 異常の進展速度が速い場合には対処できない• 操作員に過度の要求を求めてはならない

    30Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 5 機械的本質安全設計フェイルセーフ

    部品や機器が故障しても安全側に故障する構成となるようにする考え

    インターロック緊急事態を検出して停止や遮断を行うことや、条件が整わな

    い限り次に進めないフォールトトレランス

    機器の故障を許容し、故障が発生しても他の機器で安全を確保するという考え。機器の多重化により機能の信頼度を高める

    フォールトアボイダンス高信頼度の部品、機器を使って故障を起こさせない、不具合が生

    じないようにする考え

    フールプルーフ人間が誤った操作をしようとしても操作でないようにする、あるいは、

    間違っても大丈夫なように工夫するという考え31Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 今日お話ししたいこと1. プロセス安全が目的とすること

    2. プロセスリスクをマネージメーするということは?

    3. プロセス安全を構成する要素

    4. プロセス安全設計を実現するために

    • 化学的本質安全

    • 受動的安全

    • 能動的安全

    • 運転対応安全

    • 機械的本質安全

    5. リスク評価の手法(保護層解析の例)

    6. まとめ

    32Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 多重防護構造による安全の確保

    初期事象の発生防止

    異常状態の早期検知

    異常の進展阻止(事故予防)

    被害の局限化(被害の拡大防止)

    機器の健全設計と維持管理適切な材料・材質選定機器・用役の信頼性確保誤操作防止対策の強化

    流量、温度、圧力その他プロセスパラメータの異常の早期検知

    フェイルセーフの採用安全インターロックの適切配置圧力放出設備緊急遮断と緊急措置

    流出の早期停止・拡大防止防消火設備より安全な機器配置緊急時対応手順

    33Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 事故のスイスチーズモデル

    保護層に欠陥を生じさせた異常状態

    事故の投影防御

    • 設計の多重化• 保護系• 操作手順• 管理的基準例 許可システム

    効果的でない政策(潜在的欠陥)

    それぞれの保護層の欠陥

    不適切な成績に影響する要素• 不適なデータ表現• 不適切なプロセス指示.

    34Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 事故進展防止のための保護層

    CCPS Layer of protection analysis

    地域緊急対策

    工場内緊急対策

    漏えい放出防止系(防液堤)

    物理的防御系(放圧弁など)

    安全制御系(SIF)

    重要警報と修正動作

    基本的なプロセス制御系

    プロセス設計

    35Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • 今日お話ししたいこと1. プロセス安全が目的とすること

    2. プロセスリスクをマネージメーするということは?

    3. プロセス安全を構成する要素

    4. プロセス安全設計を実現するために

    • 化学的本質安全

    • 受動的安全

    • 能動的安全

    • 運転対応安全

    • 機械的本質安全

    5. リスク評価の手法

    6. まとめ

    36Copyrightⓒ2017 SCEJ

  • PSMを実施するメリットの例

    1. プロセスで起こる可能性のある危険要因の特定ができるー原因事故の防止

    2. プロセスで起こる可能性のある重大事故シナリオを特定できる

    3. 過去から学ぶことで同じ事故の繰り返しを防ぐ

    4. 過去の失敗経験から過ちを繰り返さない反省要点を学ぶことができる

    5. プロセスに組み込まれた保護装置が十分かどうかの判定ができる

    6. プロセスの設計や安全作業手順などの整備をすることができる

    7. 事故が起こった時に根本原因の調査ができ同様な事故が未然に防げる

    8. プラントの安全運転に必要なトレーニングを実施できる

    9. 協力会社の従業員にも教育訓練が実施できる

    10. 設備の安全設計、健全性を担保できる

    11. 危険要因に対して感受性を高めることができる

    12. プロセス設計者の設計意図を理解することができる

    13. プロセス変更を安全にできる。

    14. プロセススタートアップ時、安全に開始できる

    15. 定期的な監査の実施でいつもプロセス安全が担保される。

    37

    08-02

    Copyrightⓒ2017 SCEJ

    2008-02-Beacon-Japanese.pdf

  • 小さな漏れというような漏れは存在しない ⇒P59

    たった一つの失敗で重大事故を引き起こさないようにすること

    ⇒P62

    バルブを開けられないときは無理に開けない、理由を見つける

    こと ⇒P72

    あなたがきれいにしないで誰がする ⇒P92

    安全実践のためのキーワード

    38

    11-04

    11-12

    13-06

    06-07

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    2011-04-Beacon-Japanese.pdf2011-12-Beacon-Japanese.pdf2013-06-Beacon-Japanese.pdf2006-07-Beacon-Japanese.pdf

  • まとめに

    リスクのある事象はいつか自分のプラントでも起こるという認識をもって他責とする意識を捨て、自分の職責に責任を持つ

    過去を思い起こし得ないものは、過去を繰り返すように、運命づけられている

    プロセス安全が設備に行き届いて設計されているはず、という意識を捨てて、各人が自分の問題としてリスクを捉える

    日常業務の中で考える習慣をつけて、起こる可能性がある危険事象を特定し、理解し行動する

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  • 補足資料1 教本の利用方法

    • 第I編にあるテーマについては、工場の安全教育カリキュラムや規則を作成するために、安全教育リーダが内容を検討、マネージメントに対する安全システム教育のガイドとして使用することが望ましい。

    • 第II編は事故例や危険事例集から構成されているので各月の安全会議などでリーダが掲げられたテーマに議論を絞って討議する。解説部分の内容とともに自社の内外の同様な事例も取り上げて討議する。議論の焦点は自工場での同様事故の繰り返し発生の防止を目的として事例の根本原因と是正措置の理解を深めることを目的とする。

    • 事故事例の教訓を各月の行動目標として、事例とともに事務所などに掲げておいて従業員の安全目標とする。

    • 教本に書かれたThe Beacon をどう利用できるかも参考としてそれぞれのグループでも使用法の検討(XVI頁参照)をして活用してほしい。

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  • 補足資料2 用語の説明LOPA (Layer of Protection Analysis ):保護層解析

    スイスチーズモデル:事故の初期事象が保護層の不備を突いて大きな事故に発展するという事故モデル

    ALAPP (As Low As practically Possible) : 事故防止にかけるコストと事故で発生するコストを比較して、実際的にかけられるコストでベストな装置を作ることが受け入れられるリスク範囲

    安全設計の用語・本質安全設計 :危険要因をなくす、または大幅に低減させる設計

    ・受動的安全 :プロセスが異常状態になってもその影響が外部に波及しないようなロバスト設計をして事故時特別の措置なしでプロセス安全を達成する

    ・能動的安全 :プロセスが異常状態になった場合、異常状態を検知しその影響が事故につながらないようなインターロックや予防的措置をとる設計

    ・運転対応安全 :プロセスが異常状態になった場合警報を発報し、運転員に必要な措置を取ることを求める安全措置

    リスクマトリックス:リスクの規模を発生頻度と重篤度の積としてマトリックスとして評価する手法。

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