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欧州における再生可能エネルギー発電導入拡大に伴う動き 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 総括研究主幹 小笠原潤一 資料2

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Page 1: 欧州における再生可能エネルギー発電導入拡大に伴 …...(出所)CIGRE, “Energy Structure NCs – Germany- ”, 2016 配電会社の供給区域 ドイツでは配電系統が多層構造になっており、送電系統運用

欧州における再生可能エネルギー発電導入拡大に伴う動き

一般財団法人日本エネルギー経済研究所 総括研究主幹 小笠原潤一

資料2

Page 2: 欧州における再生可能エネルギー発電導入拡大に伴 …...(出所)CIGRE, “Energy Structure NCs – Germany- ”, 2016 配電会社の供給区域 ドイツでは配電系統が多層構造になっており、送電系統運用

1.欧州概要 (1)欧州各国の電源構成(2016年)

-20%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

120%

DK PT

DE IS ES IE IT GB

GR SE

EE FI RO BE LT PL

LV AT

NL

CZ

BG

HR SK

TR FR HU CY

CH SI

LU MK

NO BA

ME

RS

純輸入 揚水動力 その他再エネ 太陽光 風力 水力 原子力 その他 その他火力 ガス火力 石炭火力 再エネシェア 低炭素電源シェア

1

(注)電力消費量を100%とした割合 (出所)ENTSO-E, “Power Statistics”より作成

欧州では各国の電源構成の違いが大きい。再生可能エネルギー発電の電力消費に対する割合の高い国はデンマーク(51.8%)、ポルトガル(31.8%)、ドイツ(29.5%)、アイスランド(26%)、スペイン(24.8%)、アイルランド(23.0%)、イタリア(21.7%)、イギリス(19.7%)、ギリシャ(18.6%)、スウェーデン(18.4%)の順となっている。

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1.欧州概要 (2)欧州の国際連系線の敷設状況

2

(出所)ENTSO-E, “Statistical Factsheet 2015“ (出所)ACER/CEER, “Annual Report on the Results of Monitoring

the Internal Electricity Markets in 2015”, 2016年9月

2015年ドイツ周辺での平均的なループフロー

2015年末時点での連系線敷設状況 • 欧州では各国が周辺国と複数点で連系を進めていることから単独系統化するリスクが小さい。但し特定国で送電混雑が十分に解消できないとループフローのような問題が持続化することも。

• 欧州委員会は国際連系線容量を2030年までに系統容量の30%とする目標を掲げている。

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1.欧州概要 (3)欧州の送電系統制御の単位

3

LFCエリア(周波数制御基本単位)

LFCブロック(三次予備力定義・割当共通化)

監視エリア

以前はフランスのLFCブロックに所

属していた

デンマークはドイツTenneTのLFCエリアに所属

ドイツは周辺国と予備力の協調運用を実施(IGCC)

欧州の送電系統制御に関する役割は国・送電会社によって異なっている。近年、ドイツは周辺国と予備力の共同調達・運用に向けた取り組みを進めている。大陸欧州大でも予備力の標準化・ネッティング等、効率運用化に取り組んでいる。

※ IGCC:International Grid Control Cooperation platform

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1.欧州概要 (4)系統増強の方向性

4

(出所)ENTSO-E, TYNDP2016

全体(長期・将来含む) 中期計画(2022年運転開始まで)

ENTSO-Eの取りまとめている10ヵ年発展計画によると、今後1,500億ユーロのインフラ投資を想定している。中期的にもドイツを中心に系統増強が必要としている。

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1.欧州概要 (5)市場結合の発展(広域市場化)

市場統合メカニズム

年 地域・国

1 価格カップリング

2000 北欧市場統合:ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク

2 2006 三ヵ国市場結合:フランス。ベルギー、オランダ

3 2010 中西欧州(CWE)市場結合:ドイツ、ベルギー、フランス、ルクセンブルグ、オランダ

4 タイトな量的カップリング

2009 欧州市場結合会社(EMCC):北欧・ドイツ

5 2010 CWE及び北欧 6 地域間価格

カップリング 2011 CWE、北欧及び南欧

5

段階的に前日スポット市場結合が進められており、2011年までに南欧・中西欧・北欧の市場結合が進められ、2014年にイタリア連系線でも運用を開始さ

れた。現在、東欧への拡大に向け準備が進められている。(同時に価格ゾーン割りも課題化) ※ 中西欧州で実潮流型市場結合の運用が開始さ

れたのは2015年5月

(出所)EWEA, “Creating the Internal Energy Market in Europe”, 2012年9月

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1.欧州概要 (6)バランシング市場の統合

6

欧州では予備力運用・調達の共同化を:①インバランスのTSO間相殺モデルの統合、②三次予備力(RR:Replacement Reserves)の統合モデル、③マニュアル二次予備力(mFRR:Manual Frequency Restoration Reserves)の統合モデル、④自動二次予備力(Automatic Frequency Restoration Reserves )の統合が検討されている。

ゾーンを跨った連系線容量の使用とバランシング容量の共有化:エネルギー取引よりもバランシング予備力価格の方が高い必要がある。①確率論的アプローチの導入、②エネルギー・容量入札の共最適化、③市場調達の原則が柱となっている。

2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 ネットワーク規則の開発と採択

地域の定義

決済時間区分の調和(15分)

パイロットプロジェクトの実施

商品の標準化

バランシング・アルゴリズムの調和

バランシングエネルギー価格設定の調和

インバランス決済の調和

モデルの地域への適用

IN+RR mFRR+aFRR

(出所)ACER, “Creating a Pan-European Balancing Market”, 2015年11月

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1.欧州概要 【参考】欧州の電力系統の特徴

7

(出所)Euroelectric, “Power distribution in Europe”

欧州では送電会社と配電会社が別であることが多いと共に、配電会社が多数にのぼる国が主要国に多い。例えばドイツでは800社以上(700社程度が地方自治体営)、フランスでは150社程度、スペインでは300社以上の配電会社がいる。またドイツでは中圧水準を管轄する地域配電会社(110kV)、低圧水準を管轄する地方配電会社

と複層構造になっていることも多い。再生可能エネルギー発電は中圧・低圧で連系することが多く、配電系統からの逆潮管理も送電会社の重要な業務となっている。

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1.欧州概要 【参考】ドイツの配電系統

8

(出所)CIGRE, “Energy Structure NCs – Germany- ”, 2016

配電会社の供給区域 ドイツでは配電系統が多層構造になっており、送電系統運用者と配電系統運用者及び配電系統運用者間で協調的に運用を行う必要がある。 配電会社が800社以上(2015年で880社、顧客数1万件未満が803社)と多数にのぼっているが、再生可能エネルギー発

電は配電会社に連系していることが多く、逆潮流の把握・管理が課題。

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2.欧州における接続・抑制の取り組み (1)欧州主要国における接続費用負担方法

接続費用の負担方法 フランス【Shallow】 発電事業者が接続費用に関する全費用を負担(art. 18 Loi n°2000-108) ドイツ【Shallow; Ultra-shallow offshore】

発電事業者は技術的に経済的に最も適切な系統への接続点へ連系する費用と計量器費用を負担する(§16 par. 1 EEG 2017)。

系統運用者は発電事業者が技術的に経済的に最も適切な系統への接続点へ連系する場合、増分費用を負担する(§16 par. 2 EEG 2017)。2013年1月1日以降、送電系統運用者は重大な過失によって生じた洋上風力発電の系統接続遅延に起因する費用について責任を負う。送電系統運用者は発生した総費用の一定割合を補填する必要がある(§17 f par. 2 EnWG)。 • 発生費用の20%≦20億ユーロ/年 • 発生費用の15%:20億ユーロ/年~40億ユーロ/年 • 発生費用の10%:40億ユーロ/年~60億ユーロ/年

イタリア【Shallow】 接続費用は連系者が負担する。再生可能エネルギー発電の場合、従来型発電よりも接続料金が低くなる。 配電系統へ接続する際の料金はart. 12 Annex A ARG/elt 99/08で設定された技術分野毎の式に基づき

計算する。 送電系統へ接続する場合は以下の料金を支払う。

• 技術的解決の開発費用用料金(art. 25.1 Annex A ARG/elt 99/08) • 系統への接続料金(art. 25.2 Annex A ARG/elt 99/08)

スペイン【Shallow】 発電事業者は系統接続と系統拡張費用を負担する(Art. 32.2 RD 1955/2000)。 イギリス 【Deep-Shallow】

接続費用は接続料金により賄われる。接続料金は接続課金手法ステートメント及び相対接続協定に記載される手法により算定される(sec. 2.14 CUSC)。

9

(出所)LEGAL SOURCES ON RENEWABLE ENERGY(http://www.res-legal.eu/compare-grid-issues/)より作成、Deep・Shallowの別はJRC” The regulatory framework for wind energy in EU Member States”(2015)

再生可能エネルギー発電の接続費用(系統増強費用含む)の考え方は各国で多様となっている。負担がある程度定式化されている場合と実費に基づく場合(接続点までの場合と系統増強費用を含む場合)と様々である。

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2.欧州における接続・抑制の取り組み (2)欧州主要国における出力抑制の規定

10

接続費用の負担方法 フランス 系統安定化は法律で規定されていない。系統運用者は過負荷の際に、フランス本土の発電設備を停止させる特別措

置を講じる。最大設備容量が3kVA以上の風力発電や太陽光発電のような自然変動型発電の場合、配電系統運用者の要請に応じて停止されることがある。そのような行動は系統へ流入する電力が系統全体の電力の30%を超えた場合にのみ取ることができる。発電所の停止に関する詳細は接続契約書に記載され、系統使用条件は系統使用契約に記載されている。(art. 22 Arrêté du 23 avril 2008)

ドイツ 系統運用者は以下の場合に再生可能エネルギー発電からの購入及び送電を拒否することができる。 Feed-in management:系統運用者は上位系統を含む各系統の系統容量不足を回避するために、遠隔制御装置を

備えた再生可能エネルギー発電設備を技術的に管理する権利を有する。100kW以下の太陽光発電の抑制は可能な限り回避され、事後的な確認の権利や補償の権利が付与されている。(詳細は次ページ参照)

Agreement:再生可能エネルギーを優先的に購入・送電する義務は、任意契約により制限される場合がある。発電設備が系統により良く統合できる場合にのみ締結される(§11 par. 3 EEG 2017)。発電運営者と系統運用者が流入電気を年間数日減らすことに合意し、系統拡張を回避できる場合に適用される。

Grid safety:系統の安全性と機能性が保証されない場合に優先給電は免除される。例えば系統崩壊の危機に瀕している場合が該当する(§§13 par. 2, par. 2a, 14 par. 1 EnWG)。

イタリア 国家送電系統の安全のため容量制限が課せられる場合がある。再生可能エネルギー発電の損失を避けるため、出力抑制をできるだけ小さくする必要がある。(art. 13 and 26.5 Annex A ARG/elt 5/10)

スペイン 送電系統運用者は以下の場合に出力抑制を行うことができる。系統安定度又は短絡容量警告、送電混雑、不十分な有効電力・無効電力の水準、出力変動、需給バランス維持及び最低負荷制約。再生可能エネルギー発電は従来型発電が可能な限り抑制された後でのみ、抑制される可能性がある。(Art. 56, 65, 52 –RD 1955/2000)

イギリス 発電事業者は接続協定で特定化された流入容量を超えてはならない。(sec. 2.2.4 CUSC)【他の発電設備と同じ扱い】

(出所)LEGAL SOURCES ON RENEWABLE ENERGY(http://www.res-legal.eu/compare-grid-issues/)より作成(原典の記載内容により一部修正)

再生可能エネルギー発電の出力抑制の規定方法は各国で多様となっている。ドイツでは年間数日の抑制の可能性を条件として系統拡張を回避する取り決めも認められている。

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【参考】ドイツのFeed-in managementに関する条件

系統運用者は電力供給システムの安全性と信頼性を保証するため、他の発電設備が送電系統に接続されたままでなければ再生可能エネルギー発電又はCHPの電気を優先させる。最大100kWまでの容量の太陽光発電は、他の発電設備が抑制された場合の後でのみ抑制の対象となる(§14 par. 1 sentence 2 EEG)。系統運用者は当該地域に接続状況に関するデータを公表するものとする(§14 par. 1 EEG)。送電系統運用者は再生可能エネルギー発電及びCHPによる可能な限りに電力量が購入されていることを確認しなければならない(§14 par. 1 EEG)。 容量が100kWを超える発電設備を制御する前に、送電系統運用者は予定日、技術的な制御の前提の程度と機関について、前日より前に遅滞なく通知するものとし、取られる措置を予見可能とする(§14 last sentence EEG 2017)。 制御措置後に配電系統運用者は実際の日付、範囲・期間、技術的制御を行う前提について発電運営者に通知し、要請があればその措置が必要であるという証拠を提出するものとする(§14 par. 3 sentence 1 EEG 2017)。系統運用者はこれら措置の合計持続時間が発電所あたり15時間を超えない限り、全ての制御措置について年1度100kW以下の太陽光発電運営者に通知する(§14 par. 3 sentence 3 EEG 2017)。合意された範囲で電力を供給することができなかった発電運営者は配電系統運用者から報酬を受けることができる(§15 par. 1 EEG 2017)。発電運営者は失われた料金及び収入の95%(燃料費除く)を請求することができる(§15 par. 1 sentence 1 EEG 2017)。1年以内に発電運営者の所得1%以上が失われた場合、失われた所得の100%の補償を受けることができる。系統運用者がFeed-in managementに関する義務に違反した場合、発電運営者は発生した損害に対する補償を請求することができる(§15 par. 1 EEG 2017)。

11

(出所)LEGAL SOURCES ON RENEWABLE ENERGY(http://www.res-legal.eu/compare-grid-issues/)より作成

※出力抑制の詳細は、三菱総合研究所「平成28年度新エネルギー等導入促進基礎調査(固定価格買取制度の見直しに係る調査)(1)再生可能エネルギー電源の出力制御に係るルールの検証と課題抽出」参照。

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2.欧州における接続・抑制の取り組み (3)ドイツ ①再エネ出力抑制の状況

3%

28%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0500

1,0001,5002,0002,5003,0003,5004,0004,5005,000

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

コジェネ法 廃棄物等 中小水力

バイオマス 太陽光発電 風力発電

抑制率 EEGシェア

GWh

12

(出所)連邦ネットワーク庁, “EEG in Zahlen 2015”より作成

出力抑制の状況

ドイツでは2014年及び2015年に再生可能エネルギー発電の出力抑制が急増している。これは北部に立地する

風力発電の送電容量制約による抑制が増加したことが影響しており、送電設備増強に伴って減少することが予想される。

02468

1012141618

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

系統予備力 Feed-inその他系統サービス 再給電・逆取引 送配ロス 三次予備力 二次予備力 一次予備力

億ユーロ

(出所)BMWi, Fifth Monitoring Report “Energy of the Future”より作成

系統サービス費用

出力抑制・混雑処理費用が増加

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2.欧州における接続・抑制の取り組み (3)ドイツ ②2017年4月29日~5月1日の状況

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%110%

-2,000-1,000

01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,000

0:00

3:30

7:00

10:3

014

:00

17:3

021

:00

0:30

4:00

7:30

11:0

014

:30

18:0

021

:30

1:00

4:30

8:00

11:3

015

:00

18:3

022

:00

純輸入 揚水 その他 その他再エネ 太陽光 風力 石油火力等 天然ガス火力 一般炭火力 褐炭火力 水力 原子力 需要 再エネシェア

万kW

4月29日 4月30日 5月1日

(出所)ENTSO-E, “Transparency Platform”より作成

2017年4月30日15時頃にドイツでは再エネ発電の電力消費に占める割合が100%となった(発電との差分は純輸出)。この時間帯の火力発電は発電量全体の13%程度を占めるに過ぎず、下げ代の確保が課題となっていた模様である。

-100

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

1 7 13 19 1 7 13 19 1 7 13 19風力・太陽光予測 前日スポット取引量 前日スポット価格

万kW

4月29日 4月30日 5月1日

€/MW

下げ代制約でマイナスに

1,000万kW超の純輸出

13

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2.欧州における接続・抑制の取り組み (3)ドイツ ③下げ代使用状況

66.4% 66.6%

0

100

200

300

400

500

600

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

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1

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1

08/0

1

09/0

1

10/0

1

11/0

1

12/0

1

mFRR aFRR 平均 最大 最小

万kW

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

16%

18%

20%

1/1 2/1 3/1 4/1 5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/111/112/1

aFRR平均 mFRR平均

14

(注)aFRR:二次予備力、mFRR:三次予備力 (出所)ENTSO-E Transparency Platformより作成

二次予備力・三次予備力下げ代合計値の使用率・調達状況

二次予備力・三次予備力下げ代の平均使用率

ドイツでは二次予備力・三次予備力を上げ方向・下げ方向と分けて調達・運用を行っている。過去実績を基に調達容量を算定しているが、下げ代予備力を最も使った時間でも66.6%の使用率であった。

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2.欧州における接続・抑制の取り組み (4)イギリス ①風力発電出力抑制

0

50

100

150

200

250

300

0.0

0.5

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1.5

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2.5

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4.0

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/520

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120

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2011

/11

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/11

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/520

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15/5

2015

/11

2016

/520

16/1

120

17/5

抑制量 平均支払額 N2EX価格

億kWh £/MWh

15

風力発電への出力抑制の状況

(出所)Renewable Energy Foundation(http://www.ref.org.uk/)

イギリスでは送電制約の解消に伴って再生可能エネルギー発電の出力抑制が行われることがある。全電源を対象にした枠組みでConstraint Paymentと呼ばれており、バランシングメカニズムへの競争入札の価格を基に対価

の支払いが行われている。風力の出力抑制は他の電源に比して高価であるため、送電系統運用者には系統の安定運用の範囲内で出力抑制を最小化するインセンティブとなっている。

0%

2%

4%

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12%

14%

-500

50100150200250300350

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2011

/11

2012

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2013

/11

2014

/520

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15/5

2015

/11

2016

/520

16/1

1

国際連系線 揚水 その他 バイオマス 風力 ガス火力 石炭火力 水力 原子力 風力シェア

億kWh 電源構成と風力シェアの推移

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2.欧州における接続・抑制の取り組み (4)イギリス ②Connect and Manage

05

1015202530354045

2010

.420

11.1

2011

.220

11.3

2011

.420

12.1

2012

.220

12.3

2012

.420

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2013

.220

13.3

2013

.420

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2014

.220

14.3

2014

.420

15.1

2015

.220

15.3

陸上風力 洋上風力 水力 バイオマス

万kW

16

(出所)Ofgem “Connect Manage Outturn Report Jul - Sep 2015 v2”, 2015年11月

CM対象電源の運転開始時期

イギリスでは必要な系統増強を待たずに接続点までの連系を行った発電設備の早期接続を認めるConnect and Manageという手法が2010年8月から開始されている(2011年2月より本格運用開始)。その後発電実績を基に送

電会社は系統増強を行うことになる。系統増強までの間は出力抑制を受ける可能性が高くなることを許容する必要がある。

系統制約解消費用とC&M系統制約解消費用

短期的な再生可能エネルギー発電導入促進に貢献するが、系統制約解消費用の増加を招く。

Constraint Payment総額

C&MのConstraint Payment

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2.欧州における接続・抑制の取り組み (4)イギリス ③Scottish & Southern Electricity Network社の取り組み

内容 Intertrip 2回線で1回線故障時にも送電可能な状態を保つ原則としているが、1回線故障時に発電を

停止する条件で接続するもの。 コンソーシアムの形成 同じ箇所に接続を希望する他の発電設備と費用を分担するもの。 Contractual flexibility 過渡的な解決策が存在する場合に柔軟な契約を結ぶもの。系統増強が完了する見込みが

あるものに関して、短期の接続制限を許容する。 Timed connections 1日又は1週間のうちの特定期間の接続を許容するもの。太陽光発電が地域の大勢を占め

る場合に、日中以外の時間帯に自由に風力発電等に発電を認めるもの等。 Single Generator Active Network Management (SGANM)

系統制約がある発電機に関し、2つまでの系統制約を常時監視し、安全な水準での発電出力をリアルタイムで算定するもの。

Active Network Management (ANM)

多数の顧客に影響する熱容量制約のある地域で系統制約を常時監視し、接続可能な日に利用可能な最大容量を割り当てるもの。Orkney ANM System 、Isle of Wight ANM System 及びShetland ANM で実装されているが、Isle of Wight ANM System のみ追加受付可能。(人口の少ない半島地域等で実施)

3rd Party Active Network Management

設置者自身により接続を管理するもの。システムに障害が発生した場合に停止するバックアップシステムを設置する。複数の発電機が設置され接続容量を一定水準以下にするShared capacityと、送電制約がある場合に最小負荷の底上げ設備導入を行うことで接続を可能とする(制限値持続が条件)Demand Managementとがある。

Flexible payment terms 全ての接続に対し柔軟な支払い条件を提供する。大規模な接続で数年完了に必要な場合、段階的に支払う場合等、支払い条件を事前に提示する。

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(出所)第3回 送配電網の維持・運用費用の 負担の在り方検討WG 事務局提出資料及びScottish & Southern Electricity Network社ウェブサイトより作成

Scottish & Southern Electricity Network社では従来型接続に代替する複数の選択肢を提示し、系統接続の柔軟化を図っている。

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3.欧州委員会Winter Package (1)2016年12月Winter Packageの概要

• 2016年11月30日、EU電力指令(Directive on common rules for the internal market in electricity)、域内電力市場規則(Regulation on the internal market for electricity)及びACER規則(Regulation on establishing a European Union Agency for the Cooperation of Energy Regulators)の修正、及びリスク準備計画( Regulation on risk-preparedness in the electricity sector)の新設が提案された。

• EU電力指令:最終消費者も参加可能な非差別的卸電力市場の構築、アグリゲーターを通じたデ

マンドレスポンスの活用、配電系統の弾力性向上(スマートメータ設置とデータ管理)、市場連動型小売料金等を提案

• 域内電力市場規則:共通的な卸電力市場の枠組み構築、停電コストに基づく卸価格プライスキャップ、欧州大アデカシー評価、容量市場導入の判断基準、地域運用センター(広域系統監視機関)の創設とTSO相互協力の強化、配電系統運用者協会の設立等を提案

※再生可能エネルギー発電の導入拡大・自家消費の拡大を見据え、電力市場の弾力化と広域化、配電系統の高度化を推進する方針を示したもの。

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3.欧州委員会Winter Package (2)卸市場及び小売市場の改革案

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TSO TSO

TSO

TSO TSO

TSO

地域運用センター 地域運用センター

DSO DSO DSO DSO

EU DSO設立 地域エネルギー共同体

蓄電池 分散型発電

「活動的消費者」

スマートメータ

アグリゲーター

明確に位置づけ、DRを中心に参入促進

再エネ、自家発電・自家消費、分散型システムの普及のためスマートメータ導入・デジタル化に取り組む 配電所有・運用、小売、

発電を行う共同体

複数のエリアを跨った安定運用確保、広域予備力算定等(拘束力を持つ決定権限あり)

連系線のDe-rating:国外供給力提供可能最大容量の算定

※CORESO等の地域セキュリティー調整者を改組 • 卸価格キャップは

停電コストへ(下限は▲2,000€)

• Scarcity Pricingが必要としながら制度提案せず

• 需給逼迫時に価格高騰(停電コスト)

• インバランス決済時間を15分化

• 連系線空容量開放厳格化(間接オークション重視)

配電でもアンシラリー提供、TSOとの協調

需給を反映した卸価格形成

小売事業者

動的料金(リアルタイム料金)提供義務

リアルタイムに近い卸市場の需給に応じた卸価格形成と、卸価格を反映した電気料金により、電力市場の弾力性向上を目指す

例外措置でDSOの蓄電池所有

例外措置でTSOの蓄電池所有

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3.欧州委員会Winter Package (3)新規プレーヤーと配電系統のデジタル化

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発電 需要 蓄電池 分散型発電

(特にPV)

「活動的消費者(Active Consumer)」

スマートメータ

双方向での計量器配備義務

「地域エネルギー共同体 (Local energy community)」

参入退出自由

卸市場へ参加

配電系統

配電系統運用者

原則、スマートメータ配備

EU DSOが加盟国間の調整

配電系統へ連系する再エネを中心とした分散型電源の増加に対し、設備増強ではなく、周波数制御以外のアンシラリーサービス市場を構築して安定運用確保

上記の枠組みを構築するためスマートメータ設置とデータ管理システムを構築(=配電系統のデジタル化)

自ら又はアグリゲーターを介して卸市場へ参加

配電系統の所有・運用を許可

☆データ管理システムの構築により供給事業者変更容易化・迅速化

☆地域エネルギー共同体の託送料金は原則自治で、紛争等により希望があれば規制料金へ。

※ エネルギー源が再エネであればRenewable self-consumer ※ エネルギー源が再エネであればRenewable energy community

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3.欧州委員会Winter Package (4)再生可能エネルギー使用指令改正案のポイント

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TSO TSO

TSO

DSO DSO

促進制度の買取のうち、2021年~2025年の新規容量の10%・2026年~2030年の新規容量の15%を他国の再エネに開放

2020年以降は2020年目標を下回らないよう

に国家エネルギー・温暖化計画で再生可能エネルギーの利用拡大に取り組む。再生可能エネルギー熱利用及びバイオ燃料による輸送への取り組みを追加。

家庭:年間販売量10MWh未満

法人:年間販売量50MWh未満

エネルギー供給事業者に該当しない

発電 需要

「再生可能エネルギー共同体 (Renewable energy community)」

地方自治体・市民参加型で今後再エネ導入に取り組む地域エネルギー共同体は再生可能エネルギー共同体という資格を得る(過去5年平均で18MW以上の再エネ設備未導入)

「再生可能エネルギー自己消費者 (Renewable self-consumers)」

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(出所)三菱総合研究所、「平成28年度新エネルギー等導入促進基礎調査(固定価格買取制度の見直しに係る調査)」

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【参考】域内電力市場規則第12条再給電と出力抑制の内容① 23

第12条 再給電と出力抑制 1. 発電の出力抑制又は再給電及びデマンドレスポンスの再給電は客観的、透明かつ非差別的な基準に基づ

かねばならない。 2. 出力抑制又は再給電を受ける供給力は市場メカニズムを用いて出力抑制又は再給電のために入札された

発電又はデマンドレスポンスの中から選ばれるものとし、金銭補償されなければならない。非市場型の発電への出力抑制又は再給電又はデマンドレスポンスへの再給電は代替的選択肢が利用可能ではなく、全ての利用可能な市場型供給力が既に用いられ、サービス提供のために適切な発電設備又は需要設備の数が少な過ぎて有効競争を確保することができない場合にのみ用いられるものとする。市場型供給力の規定は、技術的に実現可能ではない限り、他の加盟国に立地する全ての発電技術、貯蔵及びデマンドレスポンスへ開放されるものとする。

3. 責任ある系統運用者は少なくとも年に一度管轄の規制当局へ、再生可能エネルギー発電又は高効率コジェネの出力抑制及び下げ方向の再給電と、将来にそのような出力抑制又は下げ方向の再給電を減らす措置に関して報告するものとする。再生可能エネルギー発電又は高効率コジェネの出力抑制及び下げ方向の再給電は第6項に従って補填を受けるものとする。

4. 管轄の各国機関によって定められた透明かつ非差別的な基準に基づき、送電系統の信頼度と安全の維持に関連した要件に従い、送電系統運用者及び配電系統運用者は、以下を行うものとする。 (a) 再生可能エネルギー又は高効率コジェネから発電された電気を最小限の出力抑制又は再給電でもって

送電するための送電・配電系統の能力を確保するものとする。経済的に効率的と示された場合に出力抑制又は再給電が行われ、それが当該地域における再生可能エネルギー又は高効率コジェネを用いた設備能力の5%を超えないことを考慮して、系統計画策定を行うことを妨げない。

(b) 再生可能エネルギー又は高効率コジェネから発電される電気の出力抑制又は下げ方向の再給電を最小限に抑えるため適切な系統及び市場関連措置を取るものとする。

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【参考】域内電力市場規則第12条の内容② 24

5. 非市場型の下げ方向再給電又は出力抑制が用いられる場合は、以下の原則に基づき実施されるものとする。 (a) 再生可能エネルギーを用いた発電設備は他の代替手段が存在しない場合、又は他の手法が系統セキュ

リティーへ不均衡な費用又はリスクをもたらす場合には、下げ方向の再給電又は出力抑制の対象となるものとする。

(b) 高効率コジェネを用いる発電設備は、再生可能エネルギーを用いる発電設備の出力抑制又は下げ方向の再給電以外に他の代替的手段が存在しない場合、又は他の手段が系統セキュリティーへ不均衡な費用又はリスクをもたらす場合のみとする。

(c) 送電系統又は配電系統へ逆潮しない再生可能エネルギー又は高効率コジェネの自家消費は系統セキュリティー問題を解消するその他の手法が存在しない場合に出力抑制を受けるものとする。

(d) (a)~(c)項の下げ方向再給電又は出力抑制は正当かつ透明に正当化されるものとする。正当な理由は第3項の報告に含まれるものとする。

6. 非市場型出力抑制又は再給電が用いられる場合、出力抑制又は再給電を受けた発電又は需要設備の所有者へ出力抑制又は再給電を要請する系統運用者により金銭的補償を受けるものとする。金銭的補償は少なくとも以下の要素のうち最高額と同等でなければならない。 (a) 上げ方向の再給電の場合の追加的燃料費や、高効率コジェネを用いた設備の下げ方向の再給電又は

出力抑制の場合のバックアップ熱調達のような、出力抑制又は再給電により生じる追加的運用費用。 (b) 発電又は需要設備が出力抑制又は再給電の要請が無かった場合に得られる前日市場での電力販売純

収入の90%。発電又は消費された電力量に基づき発電又は需要設備へ金銭的支援が付与される場合、失った金銭的支援は純収入の一部と見なされる。

国内に再給電市場を整備している国は少なく実現が難しいという指摘や前日スポット価格90%下限設定ルールが恣意的という指摘が多い模様。

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4.参考資料 (1)卸電力取引の枠組みの違い

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当日スポット市場 LFC制御 (周波数維持)

再給電(混雑解消・電圧維持) <TSOの系統解析で判断>

当日スポット市場 バランシング市場 (混雑解消・電圧維持)

LFC制御 (周波数維持)

前日スポット市場 <独墺>

前日スポット市場 <仏>

送電混雑非考慮 送電混雑非考慮

送電混雑非考慮 送電混雑非考慮

TSOエリア内:予備力 TSO間:TSO間取引 南部:Winter Reserve

三次予備力+BGに供給余力投入義務 二次予備力

二次予備力

系統制約下の最経済給電 (EDC制御)

対電力消費46% 対電力消費4%

対電力消費8% 対電力消費1%

ドイツ

フランス

系統制御区域内の系統インバランスの解消及び、送電混雑処理及び電圧維持等の系統制約解消を行う市場がバランシング市場である(フランス、北欧、イギリス) 。事前調達した三次予備力に加えて当日の供給余力も投入され、系統制約下の最経済給電を実現することができる。 バランシング市場に供給余力投入義務を課した場合には、米国のリアルタイム市場運用に近い運用を行うことができる。 バランシング市場の無いドイツでは、系統制約の解消を再給電で行い、系統インバランスの解消及び周波数維持はLFC制御を中心とした二次予備力・三次予備力で行っている。

※スポット市場が送電混雑を考慮しないゾーンプライシング(市場分割)方式で取引されるため、スポット取引が増加した場合、系統制約を解消する枠組みが必要。

(注)対電力消費の数値は2014年値

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4.参考資料 (2)欧州の託送料金規制における収入キャップ制度

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• (出所)PwC、「平成27年度電源立地推進調整等事業(諸外国の託送制度に関する調査)報告書」より作成

2006年 2007年 2008年

費用査定期間

2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

利潤

収入キャップ規制(第1期)(5年間) 同(第2期)

送電会社 費用実績

3年前の実績を基に2009年以降の収入の上限を設定

2011年の実績を基に2014年以降の収入の上限を設定

第1期中の上限

収入上限額= 効率化に影響を受けない費用 +効率化を求める費用 +電力品質割増/割引 +変動費変分 +前規制期間における収入不足調整金

※効率化を求めない費用は、系統増強費用、送電ロス補填費用、各種税(再エネ賦課金を含む)等

※効率化を求める費用は系統運用費、管理費等

※効率化は他の事業者との比較で評価し、物価上昇率を考慮

※電力品質とは停電回数、停電頻度、(計画供給量と)実供給電力量の差分で、高い品質の場合は割増収入が認められる

※規制期間中の支出額が収入上限額の5%未満を上回る場合に、次期に補填を行う

ドイツの収入キャップ制度

再生可能エネルギー発電の連系増加に対しては、系統増強を適宜見直して費用を回収(効率化以外の費用として認定)

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4.参考資料 (3)送電線投資インセンティブ規制(オーダー679)

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• (注1)Transco:独立系の送電会社 • (注2)パフォーマンス型インセンティブも検討されたが、採用は見送られた。

• オーダー679(2006年7月)により、政策目的に適合する送電投資に報酬率や加速的減価償却等を通じたインセンティブを付与。政策目的とは、①独立送電会社(Transco)の送電投資、②再生可能エネルギー発電に伴う系統増強、③先進的技術の採用、が該当している。

• 先進技術の採用は事業リスクを伴うため報酬率を高く設定するとしているが、蓄電池プロジェクトや洋上風力発電向け送電線等、適用事例は少ない。

対象 施策 内容 事例 全事業者 信頼度強化・送電混雑解消プ

ロジェクトへの報酬率の加算 信頼度を強化する又は送電混雑解消に寄与する送電設備拡張計画に対し、報酬率を高く設定する。

• Central MaineのMaine Power Reliability Program Projectで1.25%の報酬率加算(2008年)

建設仮勘定と商業運転前費用 (1)新規送電投資に伴う建設仮勘定(新規建設費用)を料金算定の際の原価として認める。(2)新規送電投資に伴う商業運転前費用を費用として支出することを認める。

• Central MaineのMaine Power Reliability Program Project(2008年)

• Western Gridの蓄電池設置プロジェクト(2010年) 仮説的資本構成 キャッシュフローを考慮した仮説的資本構成に基づく利益率の申請を

認める。 • AWCのAtlantic Wind Connectionで60%の自己資本と

40%の負債と認定(2011年) • Desert Southwest Powerの500kV・118マイル送電線プロジェクトで50%・50%の自己資本・負債比率を認定(2011年)

加速的減価償却 送電設備について15年償却(償却期間の短縮化)を認める。 - 制御できない要因に基づく閉鎖設備費用回収

燃料源の開発中止、州政府又は地方自治体政府の立地決定に関係する問題など、事業者に制御できない建設中止に伴う所用費用100%回収を認める。

• Citizens EnergyのImperial ValleyからSDG&Eへの再エネ送電プロジェクト(2009年)

繰延費用回収 小売料金モラトリアムを伴う事業者の場合に繰延費用の回収を認める。

• Western Gridの蓄電池設置プロジェクト(2010年)

先進型技術の採用 先進型技術を採用した場合には個別審査で報酬率を高く設定する。 • Western Gridの蓄電池設置プロジェクトで0.45%の報酬率加算(2010年)

Transco設立

Transco設立・投資 Transcoを設立した場合及びTranscoの投資に対して資本収益率を高く設定する。

• Western Gridの蓄電池設置プロジェクトで1%の報酬率加算(2010年)

Transco設立に伴う課税措置に対する保護措置

Transco設立に伴う送電設備の売却・購入等に伴う課税措置に対し、それに対応する金額の調整分を料金に認める。

送電組織加入者

FERCの認可したRTO、ISOその他送電組織への加入

FERCの認可したRTO、ISOその他送電組織への加入・継続した場合に報酬率を高く設定する。

• Western Gridの蓄電池設置プロジェクトで0.5%の報酬率加算(2010年)