人工知能（AI）の発展と防衛力の将来像

元. 9. 26

防衛研究所 小野 圭司

中四国防衛局防衛セミナー

https://ico-lab.jp/knowhow/758/

https://www.mhlnews.com/technology-automation/machine-learning-ai-are-most-impactful-supply-chain-technologies

http://onlineresize.club/pictures-club.html

人工知能（AI）の発展と防衛力の将来像——AIと共存する時代の人間(軍人)とは——

本日の講演内容

１．防衛研究所とは２．AIの開発と軍用システム３．AIの第3次ブーム４．AIの未来と軍の共生

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防衛研究所とは——防衛研究所の概要——

内閣内閣総理大臣

防衛大臣

防衛装備庁

内部部局

統合幕僚監部

陸上幕僚監部陸上自衛隊 各部隊 各地方防衛局

情報本部

防衛監察本部

防衛大学校

防衛医科大学校

防衛研究所共同の部隊共同の機関等

海上幕僚監部海上自衛隊 各部隊

航空幕僚監部航空自衛隊 各部隊

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防衛研究所とは——軍人教育と国防大学——

防衛省・自衛隊 諸外国 旧陸海軍

40歳代（約１年）

防衛研究所（一般課程）統合幕僚学校（統合高級課程）陸/海/空 自衛隊幹部学校（幹部高級課程）

国防大学参謀本部大学（露）人民解放軍国防大学（中）

30歳代（１～２年）

陸/海/空 自衛隊幹部学校（指揮幕僚課程 等）

陸/海/空軍大学校 陸軍大学校海軍大学校

20歳代 陸/海/空 自衛隊幹部候補生学校↑防衛大学校/一般大学

陸/海/空軍士官学校 陸軍士官学校海軍兵学校

10歳代 （高等工科学校） （幼年学校） 陸軍幼年学校

ARF国防大学長会議NATO国防大学長会議

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調査研究・政策研究・理論研究・地域情勢分析・戦争史

教 育・国防大学相当機関・修士号付与（政策研究大学院大学と連携）

戦史史料・保存・公開・レファレンス対応

情報発信・研究成果の公開（HPからダウンロード可能）・公開シンポジウム等開催

防衛研究所とは——防衛研究所の概要——

防衛研究所の刊行物

明治38年5月27日未明発：連合艦隊司令部宛：大本営「本日天気晴朗ナレ共波高シ」

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防衛研究所

○取り上げられたAI活用例

・サイバー防衛の自動化

・軍事・防衛関係のデータ翻訳

・装備品の管理：修理箇所や部品交換の必要性判定

●問題の本質：20年後、30年後はどうか？

・AIは人間(兵士)の知的労働を代替するか

・人間(兵士)の優位性は何に求められるか

・その時の軍の在り方はどのようなものか

【防衛省、AI導入拡大】——『日本経済新聞』元年6月17日(月)朝刊2面——

部品交換の必要性判定

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軍用例

第1次ブーム(1950～60年代)

事前プログラム＋入力情報→結論人間が事前に解答を準備

米露翻訳

第2次ブーム(1970～80年代)

事前プログラム＋データベース→結論事前に人間が解答を入力

対潜水艦作戦、索敵器材修理支援

第3次ブーム(2010年代～)

ビッグデータ→特徴抽出→結論AIが自分で解答を見つける

幕僚の判断支援各種自動化・自律化

シンギュラリティ(2045年?～)

人間の脳が直観･暗黙知を供給機械的知性が人間的知性を超えるか

幕僚の業務代替自律攻撃

AIの開発と軍用システム——1950年代から21世紀へ——

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軍用AIの共通認識

・最終判断は人間の手に･･･

近接火器防御システムと射撃判断

・探知 ： 5,000m手前（15.6秒前）

・照準 ： 4,000m手前（12.5秒前）

・射撃始め：2,500m手前（ 7.8秒前）

・射撃止め： 200m手前（ 0.6秒前）

◎次世代ミサイル：この1/3～1/4に

人間が解答を事前入力

https://navy-matters.blogspot.com/2014/11/ciws-assessment.html

護衛艦「あだご」：海上自衛隊ホームページ

AIの開発と軍用システム——AI第2次ブームと軍用システム——

◎AIの第2次ブーム：人間の直観を超えられない→人間が解答を用意

・専門家でも答えが異なる：(例)中国経済の将来は明か暗か

・専門家の知識が曖昧：｢長年の経験で○○と思う･･･その理由は分からん、勘だ｣

→直観はプログラム/アルゴリズムに落とし込めない

◎AIの第3次ブーム：人間の直観に近づく･･･ビッグデータと統計処理で解答を出す

●ハーバート･サイモン(1978年ノーベル経済学賞)の意思決定モデル

・全知全能モデル ：全て情報を入手して合理性追求

・行動/直観モデル：限定合理性…入手可能な情報で合理性追求＋直観

・兵士・消防士の｢第6感｣：過去の経験に基づいた反射的･直観的行動

・最善手は即座に思い付く(米長邦雄)､長考はその検証･微修正(ガルリ･カスパロフ)

AIの第3次ブーム——人間の直観とAI——

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←ビッグデータ

←人間の実際

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カラシニコフ社製AI戦車

・画像･赤外線･暗視装置の組み合わせ

・敵を画像認識して自動射撃

・主兵装は25mm機銃

・無人＋完全自動制御

◯民間人と戦闘員の違いを深層学習

◯理論的には誤射の可能性は低くなる

➡倫理的に国際世論が受け入れるか

https://nationalinterest.org/blog/the-buzz/the-company-built-the-ak-47-developiong-real-life-terminator-21578

AIの第3次ブーム——AI発展の可能性と脅威——

AIが解答(標的選別･射撃可否判断)を導き出す･･･人間の よりも正確な解答

●価格低減･･･AI兵器の排除は極めて困難

・民生品で高性能兵器が製作可能

・テロ組織/犯罪組織がAIを利用

・昆虫サイボーグの登場：補足･探知不能

・ソフト･ターゲットが標的になると･･･

●群知能とAI

・2,018機のドローン同時制御(インテル社)

・119機のUAV編隊飛行(中国)

・集中制御から自律分散へ

・個々のドローンは単純思考→集団化すると大きな力

・クオンツ･ファンド(1/1,000秒単位でAIが自動高速取引)的戦闘局面

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戦闘局面

https://news.mynavi.jp/article/20180129-insect_control/

http://movie-man.com/512-thebirds/

https://www.coindeskjapan.com/17245/

AIの第3次ブーム——AI発展の可能性と脅威——

○サウジアラビアの油田攻撃

・2019年9月14日

・18機の無人機による攻撃(1,000km以上飛行)

・被害：570万bl/日 (日本の消費：399万bl/日)

〇AIの観点から

・何機までの同時制御可能か（飽和攻撃が可能か）

・群知能を備えるか

→恐らく備えていない

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https://en.radiofarda.com/a/houthis-launch-drone-attack-on-saudi-airport/30027712.html

https://www.presstv.com/Detail/2019/06/21/599018/Yemen-Drone-Attack-Saudi-Jizan-airport

https://jp.reuters.com/article/saudi-oil-disruption-idJPKBN1W206C

AIの第3次ブーム——AI発展の可能性と脅威——

◎社会(軍を含む)構造の変化（羽生善治、茂木健一郎）

・現代社会の前提 ：人間のIQは100程度

・IQ4,000のAI登場：社会の在り方(構成､意思疎通の手段･規則)が大きく変わる

◎明治の軍人と昭和の軍人（戸部良一）

・軍事専門知識：昭和の軍人＞明治の軍人･･･昭和軍部の視野狭窄はなぜ生じたか

・慎慮や叡智、大局観は幅広い教養に基づく･･･明治の軍人：武士としての素養

◎AIと共存する軍隊(社会)とは

従来：指揮官(経験＋専門知識)＋幕僚(専門知識･分析)＋兵士

今後：指揮官(経験＋広い教養)＋AI(情報解析)＋SE(外託)＋ロボット/操作員･兵士

AIの未来と軍の共生——道具･手段から社会の意思決定に関わるAIへ——

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https://mainichi.jp/articles/20160331/dde/012/040/011000c

・戦闘部隊の小型･省力化・民間委託/依存の増大◎システム支援の強化⇒軍はSE集団(+民間委託)へ

戦闘要員

非戦闘要員

非戦闘要員（IT技術者 / SE）

枠内は民間委託部分

米投資銀行ゴールドマンサックスの変貌株式トレーダ600名⇒2名（＋SE200名）◎運用は人間の直観からAIへ

20世紀末 現在(21世紀初期) 近未来(21世紀中頃以降)

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AIの未来と軍の共生——防衛力の将来像——

群知能制御

戦闘部門 非戦闘部門

第１次大戦 (1918) 53% 47%

第２次大戦 (1945) 39% 61%

朝鮮戦争 (1953) 33% 67%

ベトナム戦争 (1968) 35% 65%

西独駐留米軍 (1974) 27% 73%

湾岸戦争 (1991) 30% 70%

イラク戦争 (2005) 28% 72%

同 上 (+外託) ( 〃 ) 28% 30% 42%

ロボット･AI･外詫/SE(20??) ?% ?% ?%

John J. McGrath, “The Other End of the Spear: The Tooth-to-Tail Ratio (T3R) in Modern Military Operations” The Long War Series Occasional Paper23 (Fort Leavenworth, KS: Combat Studies Institute Press, 2007)より作成。

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AIの未来と軍の共生——組織･人的構成：過去から未来へ——

ご清聴、ありがとうございました

http://trithay.vn/vi/phat-trien-tri-thay/chiec-may-anh-linh-thieng-cho-dau-oc-859.html

またの機会に･･･

●22世紀のAIと人間社会(軍)の在り方は・・・

◯シンギュラリティ時代の軍とは

・AIが自己改良を繰り返す

・人間の状況：人間の脳⇔動作機器(人工四肢)＋情報入出力機器(人工視聴覚器)

・社会の状況：AIの｢人格｣、法的権利の議論…課税議論は始まっている

・機械的知性体と人間的知性体の併存・闘争、機械的知性体が社会を構成https://gcn.com/articles/2019/04/05/ai-brain-waves-soldier-assist.aspx