環境影響予測 ・評価 (騒音 、振動- 6 - 2)騒音規制法 に規定 されている...

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環境影響予測・評価 (騒音、振動) 参考資料2

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環境影響予測・評価

(騒音、振動)

参考資料2

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1 騒音

1-1 建設作業騒音

(1) 予測概要

工事中の作業船舶及び陸上建設機械の稼働による騒音(以下「建設作業騒音」という。)の影響につ

いて、工事計画に基づき、「建設工事騒音の予測モデル“ASJ CN-Model 2007”」(日本音響学会、2008

年4月)の工種別予測法を用いて定量的に予測した。

(2) 予測方法

① 予測項目

建設作業騒音の大部分は不連続音(変動騒音)であると考えられることから、工場(三菱重工業高

砂製作所)の敷地境界において、騒音規制法に規定されている評価量(LA5, LA,Fmax, LA,Fmax,5)とした。

② 予測地点

予測地点を図 1-1 に示す。

予測地点は、工場の敷地境界(民家側)1地点とし、計算点は地上 1.2m とした。なお、工場の敷

地境界の地点は、計画地の中央部と最近接民家を結ぶ線と工場の敷地境界線との交点とした。

図 1-1 建設作業騒音の予測地点

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③ 予測手順

建設作業騒音の予測手順を図 1-2 に示す。

予測は「建設工事騒音の予測モデル“ASJ CN-Model 2007”」(日本音響学会、2008年4月)に示さ

れている工種別予測法を用い、工事計画をもとに工種、騒音源データを設定したうえ、伝搬計算、レ

ベル合成を行うことにより、予測地点における騒音レベル(騒音規制法に規定されている評価量(LA5,

LA,Fmax, LA,Fmax,5 )を算出した。

図 1-2 建設作業騒音の予測手順

工種別ユニットの

騒音源データ

工事計画

工種の選択とユニットの設定

騒音伝搬計算

予測地点(敷地境界)の

騒音レベル(LA5等)

レベル合成

補正値

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④ 音源のモデル化

1) 予測対象時期

予測対象時期は、工事期間中最も騒音が大きくなる時期を選定する。

基礎杭を打設しつつ、複数の工種が同時並行で進む時期の騒音が予測地点において最も大きくなる

と考えられる時期を対象とした。

2) 工種及びユニット等の設定

予測の対象とする建設工事の種類(工種)、当該工種で対象とする作業単位を考慮した建設機械の

組み合わせ(ユニット)及びその数、設定したユニットのA特性実効音響パワーレベル(LWAeff)を表

1-1 に示す。

ユニットの設定は、予測対象時期に実施される工種について、「建設工事騒音の予測モデル“ASJ

CN-Model 2007”」(日本音響学会、2008 年4月)に示されているユニットと照らし合わせ、使用する

建設機械等が類似するユニットを当てはめることにより設定した。

表 1-1 工種及びユニットの設定

工種 種別・ユニット※ ユニット数LWAeff

(dB)

U1 上部コンクリート工コンクリートポンプ車を使用したコンク

リート工(RC 躯体工、現場打擁壁工等)1 105

U2 埋立工 盛土(盛土工) 1 108

U3 貯留槽構築工コンクリートポンプ車を使用したコンク

リート工(RC 躯体工、現場打擁壁工等)1 105

U4 クレーン基礎工 油圧パイルハンマ(既製杭工) 1 121

備考:表中の記号 U1~U4 は、図 1-3 の図中の記号に対応する。

出典:※「建設工事騒音の予測モデル“ASJ CN-Model 2007”」(日本音響学会、2008 年4月)

また、予測対象時期に実施される工種のうち浚渫工については、類似するユニットがないため、本

工種についてのみ、使用される船舶を個別の音源として設定した。浚渫工の使用船舶及びA特性音響

パワーレベル(LWA)を表 1-2 に示す。

表 1-2 浚渫工の音源設定条件

使用船舶(騒音発生源) 船数LWA

(dB)出典

S1 浚渫船 1 120 ①

S2 空気圧送船 1 119 ①

S3 引船 1 111 ②

備考:表中の記号 S1~S3 は、図 1-3 の図中の記号に対応する。

出典:①「南大阪湾岸整備事業に伴う実施アセスメント準備調査報告書」(大阪府、昭和 60 年3月)

より、浚渫船はガット船、空気圧送船はバージアンローダー船(類似船舶)のデータを使用。

②「ポートアイランド(第2期)騒音・振動影響予測調査報告書」(神戸市、昭和 61 年3月)よ

り、押船(類似船舶)のデータを使用。

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3) ユニット及び作業船舶の配置

ユニット及び作業船舶の配置図を図 1-3 に示す。音源の高さは、建設機械の駆動部の平均的な高さ

として、地上 1.5m とした。また、各ユニットと予測地点との距離が離れていることから、単一の点

音源とみなし、各ユニットの可動範囲の中心を音源位置とした。

図 1-3 ユニット及び作業船舶の配置

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⑤ 予測式

1) 伝搬計算の基本式

伝搬計算は、音源の騒音発生量を用いる場合と基準の距離(10m)における騒音レベルを用いる場

合の別に、それぞれ以下の式を用いる。

【音源の騒音発生量を用いる場合】

【基準の距離(10m)における騒音レベルを用いる場合】

ここで、

LA,X1 : 予測点における騒音評価量(dB)

LA,emission : 音源の騒音発生量(dB)

LA,X2 : 予測点における騒音評価量(dB)

LA,reference(10m) : 基準の距離(10m)における騒音のレベル(dB)

r : 音源から予測点までの距離(m)

∆Lcor : 伝搬に影響を与える各種要因に関する補正量の和

etcairgrnddifcor LLLLL ∆+∆+∆+∆=∆

∆Ldif : 回折に伴う減衰に関する補正量(dB)

∆Lgrnd : 地表面の影響に関する補正量(dB)

∆Lair : 空気の音響吸収の影響に関する補正量(dB)

∆Letc : その他の影響要因に関する補正量(dB)

a.回折に伴う減衰に関する補正

本予測では、遮音壁等を設置する計画はなく、地形的に音源と予測点を遮る構造物等も存在しな

いため、回折に伴う補正量は0とした。

b.地表面の影響に関する補正

【地表面が平坦な場合】

本予測モデルでは、計算による過剰な減衰を与えることを避けるために、地面を剛と見なし

て補正量は0としている。

【地表面に細かな凹凸がある場合】

本予測モデルでは、地表面の細かな凹凸の影響は無視している。

c.空気の音響吸収に関する補正

本予測モデルで対象としている伝搬距離では、空気の音響吸収による減衰はほぼ無視できるため、

補正量は0としている。

coremissionAXA LrLL ∆+−−= 10,1, log208

( ) cormreferenceAXA LrLL ∆+−=10

log20 1010,2,

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2) 騒音規制法に規定されている評価量の推定

騒音規制法に規定されているLA5, LA,Fmax, LA,Fmax,5などの評価量を予測する場合には、予測地点にお

ける実効騒音レベルLAeffの計算値にユニットの発生騒音の時間変動特性毎に与えられている補正値∆Lを加えることにより行う。

本予測では、伝搬計算により予測地点における実効騒音レベルを求め、予測地点への騒音の寄与が

最も高いクレーン基礎工の補正値(8dB)を加えることにより、予測地点における騒音レベルを予測

した。

表 1-3 設定したユニットの補正値

工種 種別・ユニット※ 評価量記号※ ΔL※(dB)

U1 上部コンクリート工コンクリートポンプ車を使用したコンク

リート工(RC 躯体工、現場打擁壁工等)LA5 5

U2 埋立工 盛土(盛土工) LA5 5

U3 貯留槽構築工コンクリートポンプ車を使用したコンク

リート工(RC 躯体工、現場打擁壁工等)LA5 5

U4 クレーン基礎工 油圧パイルハンマ(既製杭工) LA,Fmax,5 8

備考:表中の記号 U1~U4 は、図 1-3 の図中の記号に対応する。

出典:※「建設工事騒音の予測モデル“ASJ CN-Model 2007”」(日本音響学会、2008 年4月)

(3)予測結果

建設作業騒音の予測結果(LA5)

予測地点 予測結果 規制基準

敷地境界 80dB 85dB 以下

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1-2 交通騒音

(1) 予測概要

工事中の埋立土砂運搬車両等の走行による騒音(以下「道路交通騒音」という。)の影響について、

工事計画に基づき、埋立土砂運搬車両等の走行ルートとなる市道沖浜・荒井幹線及び市道宮前準幹線道

路について、「道路交通騒音の予測モデル“ASJ RTN-Model 2008”」(日本音響学会、2009 年4月)を用

いて定量的に予測した。

(2) 予測方法

① 予測項目

予測項目は、環境基準の評価指標である等価騒音レベル(LAeq)とした。

② 予測地点

予測地点を図 1-4~1-6 に示す。

道路交通騒音の予測は、工事中の埋立土砂運搬車両等の走行ルートとなる市道沖浜荒井幹線及び市

道宮前準幹線道路の2地点(民家側の道路端)で実施し、計算点は地上 1.2m とした。

図 1-4 道路交通騒音の予測地点(広域)

St.2:市道宮前準幹線道路(道路端)

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図 1-5 道路交通騒音の予測地点(詳細:St.1 市道沖浜・荒井幹線)

(単位:m)

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図 1-6 道路交通騒音の予測地点(詳細:St.2 市道宮前準幹線道路)

(単位:m)

予測地点

(St.2:市道宮前準幹線道路の道路端)

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③ 予測手順

道路交通騒音の予測手順を図 1-7 に示す。

予測では、対象道路を走行する埋立土砂運搬車両等を含めた自動車の走行に伴う道路交通騒音レベ

ルを算出した。

予測方法は「道路交通騒音の予測モデル“ASJ RTN-Model 2008”」(日本音響学会、2009年4月)に

示されている手法を用い、現地調査結果による現況再現性を検討したうえで、対象道路の交通条件、

道路条件、車種及び速度別のパワーレベル等を考慮して予測計算を行った。現況再現による補正値は、

現況の交通量、現況の走行速度等を予測式にあてはめて算出した。

図 1-7 道路交通騒音の予測手順

【交通条件の設定】

・交通量(工事車両を含む)

・走行速度

・パワーレベル

【道路条件の設定】

・道路構造

・地表面条件等

【道路交通騒音予測結果】

【騒音伝搬計算】

【ユニットパターン合成】【現況再現性検討】

【現地調査結果】

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④ 音源のモデル化

1) 予測対象時期

予測対象時期は、埋立工事最盛期で埋立土砂運搬車両等の発生台数が最大となる時期とした。

2) 予測対象音源

予測対象音源は、予測対象道路を走行する自動車の走行音とした。

3) 交通条件等

交通条件等を表 1-4 に示す。

埋立土砂運搬車両等の発生台数は、工事期間中の最大発生台数(埋立土砂運搬車両:往復 126 台/

日、通勤車両:往復 60 台/日)を設定した。走行時間は埋立土砂運搬車両が8時~12 時、13時~18

時、通勤車両が7時~8時、18 時~19 時とした。走行速度は、現況、将来ともに車種分類別、上下

車線別、時間別に測定した実測値(現況)に設定した。

なお、埋立土砂運搬車両については、市道沖浜・荒井幹線と市道宮前準幹線道路の走行を計画して

いる。

このため、本予測では、埋立土砂運搬車両の発生台数(計画最大である往復 126 台/日)全てが市

道沖浜・荒井幹線又は市道宮前準幹線道路を走行する条件で計算を行った。通勤車両については市道

沖浜・荒井幹線のみを走行する計画である。

表 1-4 交通条件等

現況交通量

(昼間:16 時間交通量)

将来(工事中)交通量

(昼間:16 時間交通量)予測対象道路道路

構造

車線

数大型車類 小型車類 大型車類 小型車類

1,044 台 6,448 台1,170 台

(126 台)

6,508 台

(60 台)St.1

市道沖浜・荒井幹線平面 4

合計:7,492 台合計:7,678 台

(186 台)

780 台 4,170 台906 台

(126 台)4,170 台St.2

市道宮前準幹線道

平面 2

合計:4,950 台合計:5,076 台

(126 台)

備考:1.昼間(16時間)の時間帯は6時~22時を示す。

2.大型車類は大型車及び中型車、小型車類は小型貨物車及び乗用車を示す。

3.将来交通量の下段の( )内は、事業関連車両の台数を示す。

4) 音源の位置

音源は、上下車線の各車道部中央に配置し、音源の高さは路面上とした。

また、音源の配置は、計算車線から予測地点までの最短距離を L とすると、予測断面の前後 20L

の範囲に Lの間隔で配置した。

5) 道路条件

予測断面は図 1-5、1-6 に示したとおりであり、いずれの予測地点も平面構造である。

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⑤ 予測式

1) パワーレベル計算式

自動車走行騒音のA特性パワーレベルLWAは次式で表される。

ここで、

LWA : 自動車走行騒音のA特性パワーレベル(dB)

a : 車種別に与えられる係数

b : 速度依存性を表す係数

C : 基準値に対する補正項

V : 走行速度(km/h)

∆Lsurf : 排水性舗装等による騒音低減に関する補正項(dB)

∆Lgrad : 道路の縦断勾配による走行騒音の変化に関する補正項(dB)

∆Ldir : 自動車走行騒音の指向性に関する補正項(dB)

∆Letc : その他の要因に関する補正項(dB)

a.定常走行区間及び非定常走行区間におけるa及びbの値

定常走行区間及び非定常走行区間におけるa,bの値を表1-5に示す。 本予測では、対象道路における車両の走行状況から定常走行区間として計算を行った。

表1-5 2車種分類の場合の定数a,bの値

定常走行区間 非定常走行区間

(40km/h≦V≦140km/h) (10km/h≦V≦60km/h)車種分類

a b a b

小型車類

(乗用車+小型貨物車)46.7 30 82.3 10

大型車類

(中型車+大型車)53.2 30 88.8 10

出典:「道路交通騒音の予測モデル“ASJ RTN-Model 2008”」(日本音響学会、2009年4月)

b.排水性舗装による騒音低減に関する補正

排水性舗装による自動車走行騒音の低減効果は、車種別に効果が異なること、また道路施工後の

経過時間によって変化することが知られている。本予測モデルでは以下の式により補正値を計算す

る。なお、本補正の適用範囲は、一般道路では施工後7年までとされている。

(一般道路:走行速度60km/hまで)

・小型車類:

・大型車類:

ここで、yは道路施工後の経過時間(年)

CVbaLWA ++= 10log

etcdirgradsurf LLLLC ∆+∆+∆+∆=

)( 1ylog3.77.5 10 ++−=∆ surfL

)( 1ylog3.63.9 10 ++−=∆ surfL

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icoriiWAiA LrLL ,10,, log208 ∆+−−=

予測地点のうち、St.1の市道沖浜・荒井幹線は、施工後6年経過した排水性舗装路面であり、排水

性舗装による補正値を考慮した。St.2の市道宮前準幹線道路は排水性舗装路面ではないため、考慮

していない。

c.縦断勾配による走行騒音の変化に関する補正

予測地点の縦断勾配は0%であるため、考慮していない。

d.指向性に関する補正

自動車の指向性に関する補正は、高架裏面反射音の計算や道路近傍の高層階における騒音の予測

に適用するものであるため、本予測地点においては考慮していない。

2) 伝搬計算の基本式

1台の自動車が走行したとき、音源位置に対して予測点で観測されるA特性音圧レベルは、半自由

空間における音の伝搬と各種要因による減衰を考慮し、次式により計算した。

ここで、

LA,i : i番目の音源位置から予測点に伝搬する騒音のA特性音圧レベル(dB)

LWA,i : i番目の音源位置における自動車走行騒音のA特性パワーレベル(dB)

ri : i番目の音源位置から予測地点までの直達距離(m)

∆Lcor,i : 音の伝搬に影響を与える各種の減衰要素に関する補正量(dB)

∆Ldif,i : 回折に伴う減衰に関する補正量(dB)

∆Lgrnd,i : 地表面効果による減衰に関する補正量(dB)

∆Lair,i : 空気の音響吸収による減衰に関する補正量(dB)

a.回折に伴う減衰に関する補正

本予測では、音源位置と予測地点(道路端)の間に遮音壁等の音響障害物は存在しないため、回

折に伴う減衰は考慮していない。

b.地表面効果による減衰に関する補正

本予測では、音源位置と予測地点(道路端)の間はアスファルト舗装であるため、地表面効果に

よる減衰量は0とした。

c.空気の音響吸収による減衰に関する補正

本予測では、音源位置から予測地点(道路端)までの距離が非常に小さいため、空気の音響吸収

による減衰は考慮していない。

iairigrndidificor LLLL ,,,, ∆+∆+∆=∆

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3) ユニットパターン

全点音源(i=1からk)についてLAiを算出し、1台の車が道路上を単独で走行したときの予測

地点における騒音レベルの時間的変化(ユニットパターン)を求めた。

4) 単発騒音暴露レベルの算出

予測地点におけるユニットパターンの時間積分値(単発騒音暴露レベル)を次式により算出した。

ここで、

LAE : 単発騒音暴露レベル(dB)

T0 : 基準の時間(T0 =1s)

∆ti : 音源がi番目の区間に存在する時間(s)

5) 等価騒音レベル(LAeq)の合成

以上の計算によって求められた1台の自動車が走行したときの単発騒音暴露レベルLAE に、T(s)時間内の交通量NT(台)を考慮することにより、等価騒音レベルを求めた。算出式は以下に示すとお

りである。

ここで、

LAeq : 等価騒音レベル

NT : 時間交通量(台/時)

⑥ 現況再現による補正値の算出

現況再現による補正値は、現況の交通量、走行速度等を「道路交通騒音の予測モデル“ASJ RTN-Model

2008”」(日本音響学会、2009年4月)の予測式にあてはめて算出した現況再現値と現地調査結果との

比較により求めた。

現況再現により算出した補正値を表1-6に示す。

表 1-6 現況再現により算出した補正値

予測地点 現地調査結果 現況再現値現況再現による

補正値

St.1

市道沖浜・荒井幹線の道路端57.8 dB 63.7 dB -5.9 dB

St.2

市道宮前準幹線道路の道路端65.5 dB 65.6 dB -0.1 dB

∆⋅= ∑ i

i

LAE t

TL iA 10

010

,101log10

⋅=

TNL TL

TAeqAE 10

10, 10log10

TNL T

AE 10log10+=

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(3)予測結果

道路交通騒音の現況と予測結果(LAeq)

予測地点 時間帯現地調査結果

(現況)予測結果 環境基準

市道沖浜・荒井幹線

(道路端)昼間 58dB 58dB 70dB

市道宮前準幹線道路

(道路端)昼間 66dB 66dB 65dB

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2 振動

2-1 建設作業振動

(1) 予測概要

工事中の作業船舶及び陸上建設機械の稼働による振動(以下「建設作業振動」という。)の影響につ

いて、工事計画に基づき、「面整備事業環境影響評価マニュアルⅡ」(建設省、平成 11 年)に示された

手法を用いて定量的に予測した。

(2) 予測方法

① 予測項目

建設作業振動の大部分は不連続に変動すると考えられることから、特定建設作業に伴って発生する

振動の規制に関する基準に示される振動レベル値として、振動レベルの 80%レンジの上端値(L10)

とした。

② 予測地点

予測地点を図 2-1 に示す。

予測地点は工場(三菱重工業高砂製作所)の敷地境界(民家側)1地点とした(建設作業騒音予測

地点と同じ)。なお、工場の敷地境界の地点は、計画地の中央部と最近接民家を結ぶ線と工場の敷地

境界線との交点とした。

図 2-1 建設作業振動の予測地点

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③ 振動源のモデル化

1) 予測対象発生源

予測対象発生源は、岸壁・護岸・埋立工事に使用する主要な陸上建設機械とした。

2) 振動レベルの設定

主要な陸上建設機械の振動レベルは、表 2-1 に示すとおりである。

なお、予測計算には、各陸上建設機械の振動レベルの範囲の上端値を用いた。

表 2-1 主要な陸上建設機械の振動レベル

主要な陸上建設機械基準距離

(m)

振動レベル

(dB)工 種

ブルドーザ(9~21t) 5 64~85 埋立工、舗装工

バックホウ 5 72~83 埋立工、上部工コンクリート、貯留槽構築工

ダンプトラック 5 42~69 埋立工、舗装工

振動ローラ 7 52~90 埋立工

油圧ハンマ(6.5t) 7 85~88 クレーン基礎工

出典:「建設作業振動対策マニュアル」((社)日本建設機械化協会、平成6年4月)

④ 予測式

建設作業振動の予測は、「面整備事業環境影響評価マニュアルⅡ」(建設省、平成11年)に示された

以下の式を用いた。

本予測地点は岩盤等の固結地盤ではないことから、内部減衰係数は未固結地盤の0.037を用いた。

L(r) = L (ro) -15log10(r/ro)-8.68α(r -ro)

ここで、

L(r) : 予測地点における振動レベル(dB)

L(ro) : 基準点における振動レベル(dB)

r : 建設機械又はユニットの稼働位置から予測地点までの距離(m)

ro : 建設機械又はユニットの稼働位置から基準点までの距離(m)

α : 内部減衰係数(固結地盤:0.003、未固結地盤:0.037)

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(3)予測結果

建設作業振動の予測結果

予測地点 予測結果 規制基準

敷地境界 44dB 75dB 以下

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2-2 道路交通振動

(1) 予測概要

工事中の埋立土砂運搬車両等の走行による振動(以下「道路交通振動」という。)の影響について、

工事計画に基づき、埋立土砂運搬車両等の走行ルートとなる市道沖浜・荒井幹線及び市道宮前準幹線道

路について、「道路環境影響評価の技術手法(2007 改訂版)」((財)道路環境研究所、平成 19年9

月)に基づき定量的に予測した。

(2) 予測方法

① 予測項目

予測項目は、道路交通振動の評価基準となる振動レベルの 80%レンジの上端値(L10) とした。

② 予測地点

予測地点を図 2-2~2-4 に示す。

道路交通振動の予測は、工事中の埋立土砂運搬車両等の走行ルートとなる市道沖浜・荒井幹線及び

市道宮前準幹線道路の2地点(民家側の道路端)で実施し(道路交通騒音と同地点)、計算点は地表

面上とした。

図 2-2 道路交通振動の予測地点(広域)

St.2:市道宮前準幹線道路(道路端)

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図 2-3 道路交通振動の予測地点(詳細:St.1 市道沖浜・荒井幹線)

(単位:m)

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図 2-4 道路交通振動の予測地点(詳細:St.2 市道宮前準幹線道路)

(単位:m)

予測地点

(St.2:市道宮前準幹線道路の道路端)

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③ 予測手順

道路交通振動の予測手順を図 2-5 に示す。

予測では、対象道路を走行する埋立土砂運搬車両等を含めた自動車の走行に伴う道路交通振動レベ

ルを算出した。

予測方法は「道路環境影響評価の技術手法(2007改訂版)」((財)道路環境研究所、平成19年9

月)に基づく予測式を用い、現地調査結果による現況再現性を検討したうえで、対象道路の交通条件、

道路条件及び地盤条件を考慮して予測計算を行った。現況再現による補正値は、現況の交通量、走行

速度、地盤条件等を予測式にあてはめて算出した。

図 2-5 道路交通振動の予測手順

④ 振動源のモデル化

1) 予測対象時期

予測対象時期は、埋立工事最盛期で埋立土砂運搬車両等の発生台数が最大となる時期とした。

2) 予測対象振動源

予測対象振動源は、予測対象道路を走行する自動車とした。

【交通条件の設定】

・交通量(工事車両含む)

・走行速度

【道路条件の設定】

・道路構造

・路面条件等

【道路交通振動予測結果】

【振動伝搬計算】

【現地調査結果】

【地盤条件の設定】

・地盤卓越振動数

【現況再現性検討】

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3) 交通条件等

交通条件等を表 2-2 に示す。

埋立土砂運搬車両等の発生台数は、工事期間中の最大発生台数(埋立土砂運搬車両:往復 126 台/

日、通勤車両:往復 60 台/日)を設定した。走行時間は埋立土砂運搬車両が8時~12 時、13時~18

時、通勤車両が7時~8時、18 時~19 時とした。走行速度は、現況、将来ともに車種分類別、上下

車線別、時間別に測定した実測値(現況)に設定した。

なお、埋立土砂運搬車両については、市道沖浜・荒井幹線と市道宮前準幹線道路の走行を計画して

いる。

このため、本予測では、埋立土砂運搬車両の発生台数(計画最大である往復 126 台/日)全てが市

道沖浜・荒井幹線又は市道宮前準幹線道路を走行する条件で計算を行った。通勤車両については市道

沖浜・荒井幹線のみを走行する計画である。

表 2-2 交通条件等

現況交通量(16 時間) 将来(工事中)交通量(16 時間)予測対象道路

道路

構造

車線

数 大型車類 小型車類 大型車類 小型車類

1,044 台 6,448 台1,170 台

(126 台)

6,508 台

(60 台)St.1

市道沖浜・荒井幹線平面 4

合計:7,492 台合計:7,678 台

(186 台)

780 台 4,170 台906 台

(126 台)4,170 台St.2

市道宮前準幹線道

平面 2

合計:4,950 台合計:5,076 台

(126 台)

備考:1.16時間交通量は6時~22時の交通量を示す。

2.大型車類は大型車及び中型車、小型車類は小型貨物車及び乗用車を示す。

3.将来交通量の下段の( )内は、事業関連車両の台数を示す。

4) 道路条件

予測断面は図 2-3、2-4 に示したとおりであり、いずれの予測地点も平面構造である。

⑤ 予測式

1) 基本式

道路交通振動の予測は、「道路環境影響評価の技術手法(2007改訂版)」((財)道路環境研究所、

平成19年9月)に基づく以下の基本式を用いて行った。

ここで、

L10 : 振動レベルの80%レンジの上端値の予測値(dB)

L10※ : 基準点における振動レベルの80%レンジの上端値の予測値(dB)

Q※ : 500秒間の1車線当たり等価交通量(台/500秒/車線)

( )211

600,3500 KQQ

M+××=

Q1 : 小型車時間交通量(台/時)

Q2 : 大型車時間交通量(台/時)

K : 大型車の小型車への換算係数

V : 平均走行速度(km/h)

M : 上下車線合計の車線数

α σ : 路面の平坦性等による補正値(dB)

α f : 地盤卓越振動数による補正値(dB)

( ) sfdMcVbQaL ααασ ++++++= 1010101010 loglogloglog ※※

l1010 α-※LL =

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α s : 道路構造による補正値(dB)

α l : 距離減衰値(dB)

a,b,c,d : 定数

2) 補正値

道路交通振動予測式の定数及び補正値を表2-3に示す。

路面平坦性(σ)は、(社)日本道路協会が提案した路面平坦性の目標値(維持修繕要否判断)か

ら、σ=4.0mm(交通量の多い一般道路の値)とした。

表 2-3 道路交通振動予測式の定数及び補正値

道路

構造K a b c d α σ α f α s

αl=βlog(r/5+1)/log2

r:基準点から予測地点

までの距離

平面

道路

高架道路に

併設された

場合を除く

100<V≦

140km/h

のとき

14

V≧100km/h

のとき

13

47 12 3.5 27.3

アスファルト舗装では

8.2log10σ

コンクリート舗装では

19.4log10σ

σ:3m プロフィルメータ

ーによる路面凹凸

の標準偏差(mm)

f≧8Hz のとき

-17.3log10f

f<8Hz のとき

-9.2log10f-7.3

f:地盤卓越振動数;現

地調査結果より設定

(St.1: 11.8Hz,St.2:

11.6Hz)

β:粘土地盤では

0.068L10※-2.0

β:砂地盤では

0.130L10※-3.9

L10:基準点における

振動レベルの 80%レン

ジの上端値の予測値

出典:「道路環境影響評価の技術手法(2007改訂版)」((財)道路環境研究所、平成19年9月)

⑥ 現況再現による補正値の算出

現況再現による補正値は、現況の交通量、走行速度等を「道路環境影響評価の技術手法(2007改訂

版)」((財)道路環境研究所、平成19年9月)の予測式にあてはめて算出した現況再現値と現地調

査結果との比較により求めた。

振動レベルの将来予測計算値が最大となった時間帯(St.1:11時~12時:,St.2:10時~11時)に

おける補正値を表2-4に示す。

表 2-4 現況再現により算出した補正値

予測地点 現地調査結果 現況再現値現況再現による

補正値

St.1

市道沖浜・荒井幹線の道路端47 dB 45.7 dB +1.3 dB

St.2

市道宮前準幹線道路の道路端46 dB 49.1 dB -3.1 dB

(3)予測結果

道路交通振動の予測結果(時間別最大値:L10)

予測地点現地調査結果

(現況)

予測結果

(事業関連車両の

寄与有り)

要請限度

市道沖浜・荒井幹線

(道路端)47dB 47dB 65dB 以下

市道宮前準幹線道路

(道路端)46dB 47dB 70dB 以下