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世界人口白書 2011 人口70億人の世界: 一人ひとりの可能性 People and possibilities in a world of 7 billion

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世界人口白書 2011

人口70億人の世界:一人ひとりの可能性

People and possibilities in a world of 7 billion

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表紙写真:地理のクラスで学ぶ(モザンビークの首都マプトにあるエドアルド・モンドラネ大学)

©UNFPA/Pedro Sá da Bandeira

This report was produced by the Information and External Relations Division of UNFPA, the United Nations Population Fund. Lead reporter: Barbara CrossetteAdditional reporting and writing: Richard KollodgeUNFPA Advisory Board: Rune Froseth, Werner Haug, Aminata Toure, Sylvia Wong Editor: Richard KollodgeEditorial associate: Robert PuchalikEditorial and administrative associate: Mirey ChaljubDistribution manager: Jayesh Gulrajani

Acknowledgements

The editorial team is grateful to the report’s Advisory Board for guiding the conceptualization and development of the report and for providing invaluable feedback on drafts. Heads or acting chiefs of seven UNFPA field offices (and their staff) set up interviews, arranged logistics and helped identify story ideas and guided the reporting in each location: Bernard Coquelin (China), Ziad Rifai (Egypt), Benoit Kalasa (Ethiopia), Marc Derveeuw (India), Diego Palacios (Mexico), Patricia Guzmán (Mozambique), Agathe Lawson (Nigeria), and François Farah and Tatjana Sikoska (the former Yugoslav Republic of Macedonia). UNFPA’s regional directors provided valuable support to the development of the report: Hafedh Chekir (Arab States), Thea Fierens (Eastern Europe and Central Asia), Nobuko Horibe (Asia and the Pacific), Bunmi Makinwa (Africa) and Marcela Suazo (Latin America and the Caribbean). Hilkka Vuorenmaa, senior advocacy officer of Väestöliitto, the Family Federation of Finland, laid the groundwork for reporting in that country.

Invaluable guidance was also provided by Safiye Çagar, Director of the Information and External Relations Division; Neil Ford, Chief of the Media and Communications Branch; and Delia Barcelona, Saturnin Epie, Ann Erb-Leoncavallo, Antti Kaartinen, Bettina Maas, Purnima Mane, Niyi Ojuolape, Elena Pirondini, Sherin Saadallah and Mari Simonen of UNFPA’s Office of the

Executive Director.

Other colleagues in UNFPA’s Technical Division and Programme Division—too numerous to fully list here—also provided insightful comments on drafts, ensured accuracy of data and lent focus on direction to the issues covered in the report. The Population Division of the United Nations Department of Economic and Social Affairs, the source of most of the data in the report, guided the analysis and presentation of population projections. Without their support, this report would not have been possible. UNESCO’s Institute for Statistics, UNICEF, the World Health Organization, the Food and Agriculture Organization of the United Nations, the World Bank and the UNFPA/NIDI Resource Flows Project and the Statistics Division of the United Nations Department of Economic and Social Affairs also provided critical data. Edilberto Loiaza of UNFPA’s Population and Development Branch guided the selection and presentation of indicators.

Thanks to generous financial support from UNFPA’s Technical Division, this report features all original photography of the people and places mentioned in the narrative.

Original photography in each location by Guo Tieliu (China); Matthew Cassel (Egypt); Antonio Fiorente (Ethiopia); Sami Sallinen (Finland); Sanjit Das and Atul Loke (India); Ricardo Ramirez Arriola (Mexico); Pedro Sa Da Bandeira (Mozambique); Akintunde Akinleye (Nigeria); and Antonin Kratochvil (the former Yugoslav Republic of Macedonia).

The editorial team also wishes to thank the individuals who told their stories for this report.

世界人口白書 2011

編集チーム

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70億人の世界:一人ひとりの可能性

世界人口白書 2011

人口70億の世界についての詳細な考察

若者:世界を再構成する地球規模の新たな力

高齢者の安全保障、経済力、自立

出生率に影響を与えるのは何か

第1 章

第6章

第7章

第8章

第5章1

第2章 9

第3章

第4章

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移住を決める:移民の力と影響 65

都市の拡大に備える事前の計画 77

地球上の資源共有と維持

カイロ行動計画:その後を見据えて

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はじめに ii

参考文献一覧 124

指標、指標の注、テクニカル・ノート 110

©UNFPA Antonio Fiorente

お知らせ『世界人口白書 2011』日本語版は、1 章と 4 章、および指標のページの抜粋です(英語版と対照しやすいように、ページ番号は英語版に合わせてあります)。

People and possibilitiesin a world of 7 billion

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ii はじめに

 私たちは、どうしてこれほどまでに増えたのでしょうか。私たちの地球はどれほどの人口を支えられるのでしょうか。 これらは重要な問いかけですが、おそらく今の時代にふさわしいものではありません。巨大な数字だけを見ていると、その規模に圧倒されて、将来に向けてすべての人々の生活をよりよくするための新しい機会があることを見失う危険があります。 ですから、「私たちは多すぎるのか」と問う代わりに、「世界をよりよくするために、私は何ができるのか」、あるいは「拡大する都市を持続可能な原動力に変えるために私たちには何ができるのか」と問う必要があります。また、高齢者の力を引き出し、高齢者が地域社会でより活発な役割を担えるようにするために、私たち一人ひとりには何ができるのかについても自問する必要があります。人類史上最大の人数になる若者層の創造力と潜在能力を引き出すために、私たちには何ができるでしょうか。女性と男性の平等を阻害する障壁を取り除き、誰もが自分で決定し、自分の可能性を十分に実現する力をもてるようにするために、私たちには何ができるでしょうか。 『世界人口白書 2011』は、人口 70 億の世界を特徴づける動向―ダイナミックな動き―

について概観します。また、異なる国々や多様な状況の中で暮らす人々が、人口 70 億の世界を最大限に活用しようと、それぞれの地域社会でどのようなことをしているかについても呈示します。 世界人口の動向の中には特筆すべきものがあります。例えば、現在 60 歳以上の人は世界全体で 8 億 9300 万人います。今世紀の半ばまでに、この人数は 24 億人に増えます。今は、都市に住んでいる人の割合は約 2 人に 1 人ですが、わずか 35 年後には 3 人に 2人になる見込みです。現在、25 歳未満の人々はすでに世界人口の 43%を占めており、国によっては 60%にも達しています。 今年の白書では、中国、エジプト、エチオピア、フィンランド、インド、メキシコ、モザンビーク、ナイジェリア、マケドニア(旧ユーゴスラビア)が抱えている多様な人口学的課題の一端を紹介しています。その課題は、人口の高齢化から高出生率、都市化から新しい若者世代の出現まで多岐にわたります。高出生率に対処している国がある一方で、出生率があまりにも低いため、政府が人口増加の方策を模索している国もあります。国によっては、労働力不足を補うため移民をあてにしているところもあれば、自国経済を浮揚させるため海外で働く国民からの送金に依存して

はじめに 2011年 10月 31日、この日地球上には 70億の人々が住むことになります。私が生きてきた間に世界人口は約 3倍になりました。そして、今から 13年後には、さらに 10億人の増加を見届けることになりそうです。私の孫の世代には、世界人口は 100億人もの数に達するかもしれません。

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iii世界人口白書 2011

いる国もあります。仕事は多いが生活費の高い新興のメガシティに、ますます多くの人々が惹きつけられている国もあれば、人々が都市中心部から、生活費は安いが、基本的サービスや仕事が少ないであろう郊外に大量に移住している国もあります。 白書は、今こそ周到な計画を立てて人々に適切な投資を行うべきであると主張しています。そうすることで人々の能力を強化し、人々が自分たちのためだけではなく、世界中の人々にも役立つ選択ができるようにするためです。その目指すところは、人口 70 億人の世界が、持続可能な繁栄する都市、経済成長を促す生産性の高い労働力、経済と社会の健全な状態に貢献できる若者人口、地域社会の社会・経済活動に活発に関わる健康な高齢世代をもてるようになることにあります。 人口増加の速度が経済成長の速度よりも早い開発途上世界の多くでは、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)サービスのニーズ、とりわけ家族計画に対するニーズが依然として高いままです。安定した人口を達成することは、計画的で加速性のある経済成長と開発にとって必須条件です。貧困撲滅に真剣に取り組んでいる政府は、女性がリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)を行使するのに必要なサービス、物資、

情報の提供にも真剣に取り組むべきです。 この記録的規模の人口は、多くの観点から人類にとっての成功と見ることもできます。人々は寿命が延び、より健康な生活を送っています。しかし、誰もがこの成果やそれが意味するより高い生活の質の恩恵を受けているわけではありません。国と国の間にも、また一つの国の中にも大きな格差があります。男性と女性、女児と男児の間には、権利と機会の格差があります。不平等をさらに悪化させたり強固にする開発ではなく、平等を推進する開発につながる道筋を描くことが、これまでにも増して重要になっています。 私たちは誰もが人類の未来にかかわりをもっています。すべての個人、すべての政府、すべての企業は、かつてないほど相互につながり合い、互いに依存する関係にあります。だからこそ、今私たち一人ひとりがしていることが、遠い将来にわたり、すべての人々に影響を与えるのです。私たちは共に世界を変え、向上させていくことができるのです。

国連人口基金(UNFPA)ババトゥンデ・オショティメイン事務局長

私たちは、70億の可能性をもつ70億の人間なのです。

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国連人口基金(UNFPA) ババトゥンデ・オショティメイン事務局長©Brad Hamilton

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iv 第 1章 人口70億の世界についての詳細な考察

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1世界人口白書 2011

人口70億の世界についての詳細な考察

第 1章

 先進工業国の中には労働力不足で経済の停滞が懸念されるところがある一方で、移民を希望する開発途上国の失業者に対して、専門知識があっても国境を閉ざすようになってきている。極度の貧困を減らす取り組みは進展しつつあるが、ほとんどの地域で貧富の差は広がっている。 『世界人口白書 2011』は、これらの矛盾のいくつかを個人の視点から掘り下げ、人々が自分自身、家族、地域社会、および国民のためのよりよい生活を築こうとする際に直面する障害、また克服してきた障害について述べている。 本書は、個人の話を通して、人口 70 億の世界で私たちが直面する実生活上の課題を浮き彫りにする。それは主に次の 9 カ国の現場―中国、エジプト、エチオピア、フィンランド、インド、メキシコ、モザンビーク、ナイジェリア、マケドニア(旧ユーゴスラビア)―からの報告によって構成されており、これら

の国々で暮らす普通の人々、人口動向を研究する国の専門家、国内の実情をもとに政策決定を行わなければならない人々が、自らの生活や仕事について直接語っている。 これら 9 カ国の人々の姿は、人間の多様な経験、願望、優先事項のコラージュであり、世界の人々の多様性とその背後にある動向を描き出している。 これらの国々に暮らし、働いている人々と話をすれば、いまや人口問題は他の問題と無関係ではないとみなされていることがすぐわかる。たとえば、高齢者の生活は、例外なく若者たちの動向と結びついている。多くの先進国と開発途上国では、仕事を探す若者たちが農村部から就職の見込みが比較的高い都市部や他の国に移動する。そのため、年老いた家族は、ときには日常生活を送るのに必要な支援もないまま、置き去りにされることが多い。比較的豊かな国の一部では若者人口が減少しており、このことは、将来誰が高齢者の

 人口 70 億という歴史的里程標は、成果と挫折と矛盾に満ちている。1960 年代と比べ女性が産む平均の子ども数は減っているが、世界人口は増え続けている。世界的には、人口は以前より若年化し、その後高齢化している。最も貧しい国々のいくつかでは、出生率の高さが開発を滞らせ、貧困を長期化させている。一方で、最も裕福な国々の中には、出生率が低く、雇用市場に参入する人があまりに少ないため、経済成長を維持し、社会保障制度を存続させる展望がもてるのかという懸念が高まっているところがある。

©UNFPA/Ricardo

Ramirez Arriola

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メキシコシティの歩行者たち

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2 第 1章 人口70億の世界についての詳細な考察

面倒をみるのか、高齢者が得ている給付金を誰が支払うのかが不確実になっていることを意味している。 本書で取り上げられた国には、都市化、平均寿命の延び、生産年齢人口の急速な拡大など、それぞれ独自の人口動向があり、各国はこれらの動向を大きな課題とみるだけでなく、この勢いをとらえてよい知らせに転じていく大きな好機であるともみている。これらの動向は、人口の規模に関する議論の中だけでは分かりにくくなってしまうこともあり、

詳しく調べることによって初めて、差し迫った課題と機会の多くが明らかになってくる。たとえば中国の陜西省は、増え続ける高齢者のための保護と支援の方法を模索している。ナイジェリアのラゴスのようなメガシティでは、計画担当者は近隣地区を再開発して、よりまとまりのある、管理しやすく住みやすい地域社会を創設しようとしている。メキシコシティでは、都市生活をより健康的で持続可能にする努力の中で、親しみやすい公園や道路沿いの緑地帯、公共交通機関の拡大を優先

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 世界人口が急速に増加したのは最近の現象である。およそ 2000 年前には、世界の人口は 3 億

人程度であった。人口が倍増して 6 億人になるまでには 1600 年かかった。世界人口の急増は

1950 年に始まった。開発途上国で死亡率が低下するのに伴い、2000 年には、1950 年の人口の約 2.5

倍にあたる推計 61 億人に達した。世界のほとんどの国で出生率が低下しているため、世界人口の

増加率そのものは 1965 - 1970 年の 2.0%をピークに低下してきている。

Source: Population Division of the United Nations Department of Economic and Social Affairs

世界人口が 10億人台になった年

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3世界人口白書 2011

事項としている。 マケドニア(旧ユーゴスラビア)とフィンランドのように、他の多くの国々よりも出生率が低く、出産年齢が高い国では、もっと子どもが欲しいという女性への支援方法を模索している。エチオピアやインドなどは、児童婚をやめさせ、生命を脅かしかねない思春期の妊娠を防ぐためのキャンペーンを始めた。 ほとんどの国で都市が肥大化している。こうした国の政府は、すぐれた計画と熟慮された政策があれば、エネルギーをより効果的に使い、

より多くの人々が社会サービスを受けられるようにしながら、経済を活性化させ雇用を創出する都市の成長を促進させることができる。 世界人口の 43%は 25 歳未満の人たちが占める。青少年が健康、教育、適正な労働条件を求める権利を要求できれば、彼らは経済発展と建設的な変化を促す強力な原動力になる。途上国全体を通して、社会科学者と政策立案者は、希望にあふれた青少年自身のために、また経済発展と開発の観点からも、膨大な若者人口を最大限活用したいと考えている。しかし、この「人口配当」(demographic dividend)の好機は短い間しか続かず、素早く活用しないとなくなってしまう。 最貧国では、極度の貧困、食糧不安、不平等、高死亡率、高出生率が相互に関連して悪循環となっている。しかし、保健分野と教育分野への投資、とくに女性と女児の保健と教育に投資をして貧困を減らすことで、この悪循環は断ち切ることができる。生活条件が向上するにつれ、親は自分たちの子どものほとんどが生き延びると確信をもつようになる。そうなれば、親の多くは家族の人数を少なくしようとする。子どもが少なくなれば、子ども一人ひとりの保健ケアや教育にお金をかけられるようになり、家族にとっても国にとっても生産性が増し、より明るい長期展望がもてるようになる。

成果を称え、将来の計画を立てる

 過去 60 年間に世界人口の動向には多くの進展があった。なかでも、1950 年代初期に約 48歳だった平均寿命は、21 世紀最初の 10 年までに約 68 歳に延びた。乳児死亡率は 1950 年代には出生 1000 あたり 133 であったものが、2005 - 2010 年 (の 5 年間) の出生 1000 あたり46にまで激減した。予防接種拡大キャンペーンにより、世界中で幼児期の疾病率が低下した。

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32 15 13 12 1210億が増えるのにかかった年数

孫の世代は、人口 100億の世界に生きるのか?

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4 第 1章 人口70億の世界についての詳細な考察

 さらに合計特殊出生率、つまり女性 1 人が出産可能期間に産むと見込まれる子どもの数は 6.0 から 2.5 へと半分以下になった。それはひとつには、国が経済成長と発展を遂げたためだが、その他に社会・文化的要因が複雑に絡み合った結果でもあり、女性の教育と収入を得る機会が拡大し、女性が近代的避妊法を含めたセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスサービスをより広く利用できるようになったためでもある。 地域によっては、合計特殊出生率が 1950年から今日までの間に劇的に低下した。中米では、約 6.7 だった合計特殊出生率が 61 年間で 2.6 にまで低下した。これは人口置換水準の2.1(そのうちの1人は女児)をわずか0.5ポイント上回るだけである。東アジアでは、1950 年の合計特殊出生率は 6 前後だったが、

今日では 1.6 と人口置換水準よりはるかに低い。しかし、アフリカの一部では合計特殊出生率はわずかに落ちただけで、現在でも女性1 人あたりの子ども数は 5 人以上である。 また、世界全体の出生率が低下したとはいえ、世界人口には毎年約 8000 万人もの人口が付け加わる。この数はドイツまたはエチオピアの人口にほぼ等しい。現在でもかなりの人口増加が続いているのは、1950 年代と1960 年代の出生数が多く、ここで大きな基礎人口が構成され、その結果、現在何百万人もの青少年が次々と出産可能年齢に達しているからである。 国連経済社会局人口部は、『世界人口推計 2010 年 版 』(World Population Prospects: The 2010 Revision, 2011 年 5 月発表)において、今後も出生率の低下が続くという(出生率中位の) シナリオの下で、世界人口は2050 年に前回の推計より多い 93 億人になり、21 世紀末までには 100 億人以上になるとみている。とくに人口の多い国々の出生率のシナリオを少し(高めに)変えるだけで(すなわち高位推計では)、世界人口はさらに多くなる。その場合、世界人口は 2050 年には106 億人、2100 年には 150 億人に上ることもありうると人口部では推計している。「このような世界人口の増加分のほとんどは、アフリカの 39 カ国、アジアの 9 カ国、オセアニアの 6 カ国、およびラテンアメリカの 4カ国の出生率の高い国々で起こると予測される」と国連は報告している。 アフリカの妊娠・出産に関する問題についての国際的専門家であるロンドン大学公衆衛生学熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical Medicine)のジョン・クレランドによると、サハラ以南のアフリカは「今後 40 年間に人口が倍増ないし 3 倍増となる、世界で唯一の地域として残る」こと

 最近、中国とインドは最新の人口センサス結果を発表し、彼ら人口大国

がその人口の規模と増加率をどのように再調整しようとしているかを世界

に示した。以下に、国連推計の公的統計を使って両国の人口状況を示す。

 国連経済社会局人口部の推計によると、インドは 2021 年に人口 14 億

人に達し、13 億 9000 万人と推計される中国を追い越して、世界で最も

人口が多い国となる。中位推計に基づけば、その後、中国の人口は 2050

年に約 13 億人に減少し、インドでは 2060 年代はじめまで増加が続いて

約 17 億人に達した後、下降線をたどる。

中国 インド

2011年の総人口 13億 5000万人 12億 4000万人

2001- 2011年の増加数 6970万人 1億 7010万人

合計特殊出生率(2010- 2015年の平均)

1.6 2.5

人口が安定化するとみられる年 2025年 2060年

Source: Population Division of the United Nations Department of Economic and Social Affairs.

中国とインド:10億人台の人口大国

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5世界人口白書 2011

になる。この地域に対する人口学者の関心が高まっている理由は明らかで、クレランドが言うように、「急速な人口増加によって、貧困と飢餓からの脱却が一層困難になっているから」である。 「私たちは明らかに、人類の歴史の中でも、ヒトという種が先例のないほど増えている特

異な時代に生きている」と、スティーブン・シンディングは言う。彼は米国国際開発庁(USAID)の人口室室長、コロンビア大学の人口・家庭保健学部教授、さらに国際家族計画連盟(IPPF)の事務局長として人口動向を何年にもわたり観察してきた。「人口増加が急激であることが、多くの貧しい国々に難題

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アジア アフリカ ラテンアメリカ・カリブ海地域 ヨーロッパ 北アメリカ オセアニア

世界の主要地域別人口推計の中位推計値(1950- 2100年・単位:億人)

 アジアは 21 世紀を通して世界で最も人

口の多い地域であり続けるが、アフリカの

人口は 2011 年の 10 億人から 2100 年の

36 億人へと 3 倍以上に増加して、アジア

を追い上げることになる。

 2011 年の時点では、世界人口の 60%が

アジアに、15%がアフリカに住んでいる。

アフリカの人口は年率 2.3%で増加する。

これは年率 1%というアジアの人口増加率

の 2 倍以上である。アフリカの人口が 10

億人を超えたのは 2009 年のことで、今

後わずか 35 年の間に(2044 年までに)さ

らに 10 億人増える見込みである。アフリ

カの女性 1 人あたりの出生率は 2005 -

2010 年の間の 4.6 から 2040 - 2045 年

には 3.0 に低下する見込みだが、それでも

これだけの人口増加が予測されている。

 現在 42 億人のアジアの人口は、今世紀

半ばにピークに達し(2052 年に 52 億人に

達する見込み)、それ以降は緩やかに減少

し始めると予想される。

 その他、南北アメリカ、中米、ヨーロッ

パ、オセアニアのすべての地域を合わせた

人口は 2011 年時点で 17 億人だが、2060

年には 20 億人近くまで増加し、それ以降

はごく緩やかな下降線を描きながら、それ

でも 20 億近くで 21 世紀末までには安定

していく。ヨーロッパは 2025 年に 7 億

4000 万人あたりでピークとなり、その後

は減少すると推計される。

Source: Population Division of the United Nations Department of Economic and Social Affairs.

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6 第 1章 人口70億の世界についての詳細な考察

を突きつけている。どの国も財源不足で、社会基盤の整備、保健・教育の基礎的サービス、増え続ける青少年人口の雇用機会の需要を満たせないだけでなく、気候変動に適応することもできないでいる」。 人口増加をとくに最貧国で安定化させるには、それぞれの国でより良質のリプロダクティブ・ヘルスサービス、そのなかでも家族計画を、だれでも利用できるようにすることが必要である。このサービスは人権に基づくものであるべきで、かつ人権を強化するものでなければならない。また、その中には青少年、とくに思春期の少女に対する性教育を含めていく必要がある。 セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス・ライツを推進するメキシコの非政府組織(NGO)「Democracia y sexualidad, A.C.」のホセ・アンヘル・アギラル・ヒル事務局長は、思春期の少女や若い女性には「より広義の人権としての教育を受ける権利の一環として、総合的な性教育を受ける権利がある」と

言う。  メ キ シ コ シ テ ィ に あ る 国 連 人 口 基 金(UNFPA)事務所のプログラム・アソシエイトであるガブリエラ・リベラは、権利に基づく性教育が成果を生むことについて「幅広い証拠」があると言う。彼女によると、成功したプログラムは、時宜にかなう科学的で十分な知識を提供するものであり、各年齢層のニーズに合わせて作られたものである。「評価調査をみると、性教育による影響として、若者たちの性行為の初体験年齢が遅くなり、避妊法やコンドームの利用率が高くなり、少女への暴力が減ることがわかった」とリベラは言う。「このことは、若い時期の望まない妊娠を減らし、HIV/エイズを減らすことにもつながります」。

70億-それは人々のこと

 世界人口が 70 億人に達すると人口学者たちが推計している今年の 10 月 31 日には、世界の多くの人の目がその数に集中するに違いない。しかし、本白書は一人ひとりの人間と、人々の日常生活に影響を及ぼす動向を分析している研究者に焦点を当てている。本白書が注目するのは、個人が下す決断、または個人が、機会があるならそうしたいと考えている決断である。 1994 年の国際人口開発会議(ICPD/カイロ会議)の席上、参加国は、女性・女児の能力を強化し、彼女たちが男性・男児と同等に社会や経済活動に参加でき、妊娠・出産の時期や間隔も含め、自ら自分の人生について重要な決定ができるようにすることが、人口問題への取組みの一層の進展につながることに同意した。カイロ会議の政府代表団は歴史的行動計画を発表したが、それまでにすでに、多くの国の膨大な調査と経験を通し、女性がそ

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©UNFPA/Ricardo Ramirez

Arriola

UNFPAの青少年や弱者のためのセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス担当のプログラム・アソシエイト、ガブリエラ・リベラ

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7世界人口白書 2011

れぞれの社会で平等の権利と機会をもったとき、また女児が教育を受け、健康であるとき、出生率は低下することが実証されていた。行動計画は、女性の能力強化はそれ自体が目的であるのみでなく、貧困撲滅に向けた第一歩であることも明らかにした。 『世界人口白書 2011』は、まず青少年を取り上げ、増大する若者人口が異なる状況の中でどのような意味をもつかを考察することから始める。それに続く章では人口の高齢化、移住、出生率パターンとリプロダクティブ・ヘルスサービスとジェンダーと女性・女児の権利の相互関係、膨大な都市地域の管理、環境負荷の順に考察する。 この白書では、思慮深く明確なビジョンをもつ世界中の個人が、それぞれの社会を形づくる中で直面する課題や機会と、今世紀およびそれ以降の世界の人口について語っている。その多くは若くて、自分たちが設計するであろう 21 世紀の世界の人口学的事実を認識している人たちである。

人口と貧困

国際人口開発会議の行動計画より抜粋

…絶え間なく拡大する貧困および深刻な社会的、また両性間の不平等が、

人口増加、構造および分布といった人口統計学的パラメーターに影響を及

ぼし、またそれにより影響されることは、一般的に同意されている。…人

口増加を緩和し、貧困を削減し、経済の進展を達成し、環境保護を向上さ

せ、持続不可能な消費と生産のパターンを減少させる努力は、相互に強化

し合う。…貧困の撲滅は人口増加を減速させ、早期の人口安定化達成に寄

与するものである。

©UNFPA/Antonio Fiorente

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アムサル・ブケ(左)とアシスタント

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42 第 4章 出生率に影響を与えるのは何か

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43世界人口白書 2011

出生率に影響を与えるのは何か

第 4章

 先進諸国の合計特殊出生率は約 1.7 で、人口置換水準の 2.1 を下回る。後発開発途上国の出生率は約 4.2 で、サハラ以南のアフリカ諸国では 4.8 と報告されている。しかしながら、世界的にみると 20 世紀の半ばから出生率は徐々に低下してきている。1 人の女性が産む子どもの数は、それぞれの地域と国に固有の状況によって影響される。 ハニア・ズロトニク国連経済社会局人口部長は、2011 年 4 月にニューヨークで開かれた人口開発委員会の会合で、これまでの出生率低下が経済成長と貧困削減を促してきたことは明らかであると述べた。彼女によれば、

「さらに、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、子どもの健康、教育、女性のエンパワーメント(能力強化)の分野における改善を通して、出生率低下が達成されてきた。多くの国で、親は子どもによりよい機会を与えるために、子どもを少なくする決定をしている」という。

 国によっては、高出生率が経済、保健、社会面の経費負担を高めることになる。例えばモザンビーク保健省のレオナルド・シャバネによれば、同国では「高出生率は公衆衛生の問題」である。特に出産間隔が 2 年未満の母親は、体力が低下し病気にかかりやすい。シャバネは「妊娠中の母親は、自分や子どもたちの健康に注意を払う時間的ゆとりがないことがある」と言う。 シャバネの説明によると、モザンビークの農村女性、特に北部の女性は、農作業のすべてを担っているので、女性が妊娠や不健康が原因で家族のための食料を十分生産できない場合は、子どもが飢えたり栄養不良になる危険がある。モザンビーク全土では、子どもの 44%が慢性的に栄養不良状態にある。北部のカーボ・デルガド州では、女性のほぼ3 人に 1 人が 15 歳前に結婚し、近代的避妊法を利用する女性はわずか 3%で、この州の子どもの約 59%は慢性的な栄養不良である。

 合計特殊出生率―1 人の女性が産む子どもの数―は、人口の増減を予測するための指標のひとつであるだけではない。それは子どもを産まないか、少なく産むか、多く産むかという女性の生活の質を測る尺度ともなり得る。家族、国あるいは世界人口の規模を表わすこの出生率という指標は、他のさまざまな要因と関連している。その要因とは、保健、教育、経済的機会、平等であり、さらには女性一人ひとりがパートナー、家族、地域社会、あるいは国の政策に強要されることなく、出産の時期と間隔を自ら決定する権利などである。

©UNFPA/Pedro Sá da

Bandeira

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2 人の娘の母であるアナ・マリア・シバンダ。彼女は次の子は男の子を希望している

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44 第 4章 出生率に影響を与えるのは何か

栄養不良の子どもは、知能あるいは身体面で発育不良の危険があり、長命で健康的で生産的な人生を送る機会を失う恐れがある。 モザンビーク開発計画省人口分析・調査局長のエリシオ・ナーンツンボは、同国の高い出生率は「憂慮すべき問題」であると言う。彼はその理由として、人口増加の速度が、国民、特に急増する若年層に、物資、サービス、収入獲得の機会を提供するという国の能力を超えていることを挙げる。『国連開発援助枠組み(UNDAF)2012 - 2015 年:モザンビーク』は、同国の公式経済の規模が小さく、「毎年新たに労働市場に参入する推定 30 万人の若年層を吸収することは到底できない」と指摘している。 本白書で取り上げたいくつかの国では、人々は何人子どもをもつかを自由に責任をもって決められない状況にあるが、何がそれを妨げているのだろうか。他の国々では、人口置換水準以下の出生率や出生率の安定化が達成されているが、それを促した力は何なのか。 1994 年のカイロの国際人口開発会議で179 の参加国が採択した合意により、新たな認識を反映した 20 年間の行動計画が動き出した。その新たな認識とは、出生率、保健、貧困、生産と消費のパターン、エンパワーメントは相互に深くかかわっており、どれ一つ

とっても切り離して考えることはできないというものである 女性のエンパワーメントは、女性が政府の要請によらず自ら選択することによって、人口の安定化に決定的役割を果たすものとして、カイロ以降の活動の中心テーマとなり、政策立案の基準となった。妊娠や出産に関する選択に関し、女性、男性およびその家族の能力を強化することとともに、国際社会が約束したのは、家族計画を含むリプロダクティブ・ヘルスケアを 2015 年までに誰もが利用できるようにすることだった。リプロダクティブ・ヘルスケアを利用できるようにすることは、子どもの数と出産間隔を自由に決定できるようにするための前提条件であることが認識されたのだ。個人のエンパワーメント、開発の促進、保健の向上、教育の機会拡大を目指す多くの活動によって、出生率が人口置換水準である女性 1 人あたり 2.1(うち 1 人は次世代の母親となる女児)に向かうことが期待される。 2011 年は、カイロ会議の目標達成年までちょうど残り 3 年、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限まで 4 年という年にあたる。これらの目標には、女性と女児の生活と権利を向上させるための目的が数多く含まれている。目標のいくつかは一部の地域では達成されつつある。しかし、家族計画へのアクセスは、妊娠や出産に関する女性の選択権の保証とならんで、目標の達成度が極めて低い。現在、開発途上国には、利用可能なサービスがあれば家族計画を実行すると推定される出産可能年齢の女性が 2 億 1500 万人いる。毎年数え切れないほどの女性が妊娠・出産関連の原因によって死亡しており、その多くは防ぐことができたものである。 国によっては交通・輸送網が整備されていないため、遠隔地への避妊薬(具)供給がほと

©UNFPA/Pedro Sá da

Bandeira

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モザンビーク保健省のレオナルド・シャバネ公衆衛生局長

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45世界人口白書 2011

んど不可能であり、その結果として、家族計画へのアクセスが整わないところもある。また家族計画サービスや避妊薬(具)はすぐに利用できるものの、文化的圧力やジェンダーの不平等が原因で、女性のリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)の行使が妨げられている国もある。さらには、経済的・社会的理由があいまって避妊薬(具)の需要が減少している国もある。その理由の中には、人口学者やこのような傾向を研究している者にもまだ明らかになっていないものがある。

エジプト:家族計画の利用減少で横ばい状態にある出生率

 人口 8100 万人のエジプトでは、数十年間にわたる政府およびNGO(非政府組織)の家族計画プログラムによって、出生率が急速に低下したと多くの人が考えてきた。1950 年代には女性 1 人あたり 6.37 人だった子ども数が、2005 - 2010 年には約 3 人になった。10 年前の目標は、2017 年頃までに合計特殊出生率を人口置換水準の 2.1 にすることだった。 現在の推計では、出生率が人口置換水準になるのは 2030 年近くになるとみられている。しかし、何年にもわたって人口動向調査を行い、出生率下降の動きが「横ばい」状態であることを注視してきた人口学者と社会科学者は、この見通しすら疑問視している。地方における家族計画の運動家の中には、この10 年間政府とメディアが子ども数の問題を重要視するのを怠ったため、この停滞状態が起きているとみている人もいる。 エジプト人口学会会長でカイロ大学統計研究所の教授でもあるヒシャム・マクロウフは、「出生率を人口置換水準まで下げられなければ、エジプトは大きな問題を抱えること

になる」と言う。マクロウフによれば「エジプトはすでに飲料水と灌漑用水の不足に悩まされている」。エジプトでは、耕作可能な土地が非常に不足しており、国民は国土のわずか 5 - 6%の面積に住んでいるのだから、「いかなる政府も人口政策を優先課題とするべきだ」と彼は言う。彼はさらに「家族計画では避妊薬(具)の使用を中断する人の割合が高い―家族計画を始めてから最初の 1 年間で、3分の 1 の女性が使用を中止している」と付け加えた。 マクロウフは、出生率が横ばい状態にある原因のひとつは、エジプト社会に対する保守的な考えが台頭したことにあると考える人たちのひとりである。保守的な見方の中には、湾岸諸国で働く移民労働者や湾岸諸国からの旅行者から数十年間にわたって影響を受けたものもある。 カイロのアル・アズハル大学にある人口問題調査研究国際イスラムセンターは、世界中のイスラム宗教学者の中心となっている。同センター所長のガマル・セロールは、エジプトの出生率が横ばい状態にある原因として、宗教を非難することはできないと言う。チュニジアやインドネシアなどイスラム教徒が多数派を占める他の国々が、出生率の劇的低下を経験していることがそれを証明している。北アフリカでは、チュニジアがリプロダクティブ・ヘルス/ライツ分野のパイオニアだが、この地域の出生率は他の大部分のアフリカ地域よりも低い。 ロンドンに拠点をおく国際産婦人科連盟の理事長でもあるセロールは、アル・アズハル大学をイスラム世界で最も保守的な高等教育機関と称しているが、1974 年にこの大学に人口問題調査研究センターを創設したのは、

「イスラム教は家族計画に反対しない、女性の健康を保護することに反対しない」という

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46 第 4章 出生率に影響を与えるのは何か

ことを人々に知らせたかったからだと言う。彼はこの問題に関して宗教書を引用した指導書を出版している。その内容は教え子のイマーム(イスラム教の導師)によってはるかアフガニスタンにまで伝わっている。 セロールは、若者向けのリプロダクティブ・

ヘルスに関する情報とサービスを改善する必要があると指摘する。セロールによれば、エジプトが、彼の言う「人口爆発」の危険を冒すこと、また妊産婦死亡、安全でない中絶、その他エジプトの女性と女児に有害な健康問題など、リプロダクティブ・ヘルスケアにか

 スエズ運河西岸のイスマイリア市(エ

ジプト)近郊の半農村地域で、ダリア・

シャムスは、窮屈な自分の事務所から家

族計画サービスを提供している。この

事務所は、ユース・フレンドリー (若者

に身近で親しみやすい)クリニックとい

う国連人口基金(UNFPA)の事業が支援

しているエジプト家族計画協会(EFPA)

センターの診察室も兼ねている。シャム

スは大半の時間を話を聞くことに、特に

思春期の少女の話を聞くことに充ててい

る。彼女は、「私を信頼してもらえるよ

うに、まず世間話から始めます。そうす

れば何でも隠さずに話してくれるように

なります」と語る。

 シャムスは、「少女たちは性について

ほとんど何も知らないので怖がっていま

す。彼女たちはにわか雨にあったら処女

をなくすのか、ロバに乗ると処女ではな

くなるのかということを質問しに来るの

です。月経の問題や感染症のことも聞い

てきます。母親が少女を連れてくること

もあります。母親もまた心配なのです」

と言う。シャムスは彼女たちと性につい

て率直な話をする。また、栄養や清潔を

保つこと、健康的な生活などについても

話をする。母親から自分の娘の性器切除

をすべきかどうかたずねられた場合は、

「母親が怖がって逃げないように、注意

深く対処しなければならない」と言う。

エジプト家族計画協会は女性性器切除に

反対している。女性性器切除は、エジプ

トでは非合法化され件数が減ってきてい

ると考えられているものの、まだ広く行

われている。

 シャムスは、結婚を間近に控えた若い

カップルのカウンセリングも行ってい

る。彼女が会う若い女性のほとんどは

18 歳から 25 歳までの間に結婚する。し

かし、彼女自身が育ったイスマイリアの

都市部では、法律を破って 16 歳以下で

結婚する女性も珍しくない。年齢に関係

なく、若い女性もその夫も結婚前の肉体

的純潔を固く守っているので、性的にど

うしたらいいかについてほとんど何も知

らない。

 家族計画について言えば、シャムスは

若いカップルに子宮内避妊具(IUD)、コン

ドーム、避妊注射、インプラント(皮下埋

没法)、経口避妊薬(ピル)の処方と提供が

できる。しかし彼女は、実際の避妊薬(具)

の提供を結婚後まで待たなければならな

い。それは、花嫁の処女性は、結婚式の

日まで損なわれてはならないからである。

しかしその時までに、花嫁に避妊法の選

択肢についての情報は与えている。

 「男性の多くは家族計画を禁止しようと

します。私は彼らに、母親の健康と出産

間隔をあける必要性について説明するよ

う努力しています。出産間隔を 2 年間は

あけるようにアドバイスします」とシャ

ムスは言う。

エジプトの若い女性と家族計画の情報・サービスへのアクセス

エジプト家族計画協会「ユース・フレンドリー・クリニック」で働くダリア・シャムス医師。イスマイリア近くのアボ・アッツワにて ©UNFPA/Matthew Cassel

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47世界人口白書 2011

かわるあらゆる問題への取り組みに失敗することは許されない。「私たちは西洋社会の考えを輸入しているのではない。西洋社会の政策を導入しているのでもない。私たち自身の問題について語っているのだ」。 彼は、性と生殖の問題に対する学生たちの知識について調査したところ「ぞっとするような」結果が出たと言い、アル・アズハル大学当局の支援を得て、このテーマを大学の講義に取り入れたと話す。 セロールによれば、この 20 年間で家族計画分野の国際支援が大幅にカットされたことが、エジプトの出生率低下を鈍化させる一因となった。彼は家族計画分野の援助を文化の押し付けや、時代遅れの受け入れがたい人口抑制手段と見る人たちに批判的である。貧しい国の力のない女性が、思想的な理由から避妊を否定されるのは「人権侵害である」と彼は言う。 彼は「家族計画によって毎年 100 万人の子どもの死を防ぐことができる。アフリカでは、(家族計画に対する)ニーズが満たされないために、安全でない中絶によって毎年 6万 8000 人の女性が死亡している。それなのになぜ避妊法を提供しないのか?」と言う。エジプトでは、既婚あるいはパートナーのいる出産可能年齢の女性の 9.2%は、家族計画ニーズが満たされていないと推定されている。

家族計画の利用を制限し、出生率を維持しようとする様々な力

 モザンビークでは、さまざまな伝統、ジェンダーの不平等、大家族は富の象徴という考え、さらには近代的避妊法に対する誤った考えによって、多くの男女が家族計画サービスの利用から遠ざかっている。モザンビークで

は出産可能年齢の女性のうち、妊娠を防ぐためピルやコンドームなどの近代的避妊法を利用しているのは、わずか 11.8%にとどまる。 モザンビークには、主として遠隔地の配給拠点への避妊薬(具)輸送が困難なため、供給が制限されてしまっている地域がある。しかし避妊実行率が低い原因の一部は、避妊薬(具)に対する需要が少ない地域があるからでもある。 マプトに駐在するUNFPAモザンビーク事務所長のパトリシア・グスマンは、モザンビークの農村地域に暮らす貧しい人々にとって、家族計画の概念そのものが見当違いに思えるのかもしれないと言う。「人生のどんなことも計画できないのに、どうして家族 “計画”ができるだろうか。何人子どもが欲しいかという質問は、モザンビークのほとんどの人にとって、彼らの思考枠組みにないのだ」と彼は言う。 しかし、リプロダクティブ・ヘルスに関する世界銀行報告書(2011 年 4 月)には、モザンビークでは家族計画のアンメット・ニーズ(満たされないニーズ)が「高い」と指摘されている。このことは「女性は、自分が望む子ども数を達成できない可能性がある」ことを意味している。

©UNFPA/Pedro Sá da

Bandeira

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モザンビーク・マプトのエドアルド・モンドラネ大学の人口学教授カルロス・アルナウド

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48 第 4章 出生率に影響を与えるのは何か

 モザンビーク計画開発省の国家調査政策分析総局によれば、家族計画のアンメットニーズは実際に上昇している。それは、ますます多くの女性やカップルが避妊薬(具)を一段と認識するようになっている一方、保健制度がそれらの需要に応えられないでいることを示している。 モザンビークの首都マプトにあるエドアルド・モンドラネ大学の人口学者カルロス・アルナウドは、「都市部では家族計画が利用しやすくなっているが、“文化的背景” のために多くの人々がその利用を妨げられている」と語る。「家族計画は実施されつつあるが、決定するのは女性ではない。男性は多くの子どもを望むので家族計画には反対する」。 モザンビーク保健省のレオナルド・シャバネは、「モザンビークは、女性が近代的避妊法に関する情報を得られるよう早急に方策を進めなければならない。そうすれば、より多くの人々が近代的避妊法は安全で、自分たちの生活を改善しうるものであることを理解す

るようになるだろう」と言う。モザンビークは、家族計画への取り組み方法を変えて、男性も巻き込むようにしなければならない。シャバネは、「モザンビークの家族計画はこれまで女性に焦点を当ててきた。今は対象を家族全体に広げ、話し合いを奨励し、家族計画の需要を高める努力をしている」と言う。大家族を望んでいるのは男性だけではない。2003 年の調査によれば、モザンビークの一般女性は平均して 5.3 人の子どもが欲しいと思っている。 UNFPAのグスマンによれば、モザンビークは他の多くの国と同様に、HIV予防を含むリプロダクティブ・ヘルスプログラムに家族計画サービスを統合することを進めている。その狙いは、望まない妊娠の削減とHIV感染率の低下という相乗効果を生み出すことにある。そこで家族計画サービスは現在、産前ケアの担当者が行う検査に加えHIV検査も提供している。さらに、HIV予防・治療サービスではコンドームの使用を奨励し、抗レトロウイルス薬を妊産婦に提供してウイルスが新生児に感染しないようにしている。同国では急増する若者人口のHIV感染と望まない妊娠の予防を目的として、3 省合同のGeração Biz (活発な世代)プロジェクトを実施しており、このプロジェクトでは包括的なサービスがすでに標準となっている。 世界銀行の保健上級専門官サミュエル・ミルズは、「他の多くの国もそうだが、モザンビークでは、避妊すること、出産間隔をあけること、子どもの数を少なくすることの利点をもっと説明できるはずだ」と言う。 「男性に対しては、出産間隔をあけ、子どもの数を減らすことには経済的利点があると伝える必要がある。つまり、子どもの数が少なくなれば、子どもを教育するゆとりが増し、食事にかける経費は減らすことができるだろ

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©UNFPA/Matthew Cassel

エジプト家族計画協会で医師の診察を待つ母親と子どもたち。イスマイリア近くのアボ・アッツワにて

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49世界人口白書 2011

う。女性に対しては、出産間隔をあけることで、子どもも母親もより健康になると伝えるべきだ」。 モザンビーク保健省のシャバネは、「より多くの女性が情報を得ることができれば、この国の避妊薬(具)の利用は増えていくだろう」と言う。「私たちは子どもの数を少なくするよう人々を説得しようとしているのではない。最初の妊娠を遅らせることを奨励しているのだ。人々には、子どもと母親が健康でいるためには、家族は少なくとも 2 年間は次の妊娠を待つべきだと伝えている」とシャバネは言う。彼によれば、政府は出産間隔をあけることの利点について認識を高めることを目的としたキャンペーンを開始し、マリア・ダ=ルス・グエブーサ大統領夫人のような著名人を使って家族計画を推進している。

インドでは不妊手術によって妊娠を制限

 インドでは、政府のサービスを通じて無料で利用できる近代的避妊法がいくつかあるが、そのなかで最も一般的なものは不妊手術である。国連経済社会局人口部によれば、近代的避妊法を利用しているインド女性の37%以上が不妊手術をしているが、男性の不妊手術は 1%である。世界全体では、女性が利用する近代的避妊法のうち、不妊手術の割合は 18.9%であり、男性は 2.4%である。インドでは、例えば男性用コンドームは避妊法全体の 5%をわずかに上回る程度に過ぎない。ピルは女性の 3.1%しか使用していない。政府による避妊注射の提供はない。 インドの元人口センサス局長官、中央政府保健家庭福祉省長官で、後にインド人口基金の事務局長となったA・R・ナンダは、インドで不妊手術が他の避妊薬(具)より圧倒的に

多い理由や、不妊手術の質、安全性、選択に関する国内基準がすべて順守されているか否かについての調査を行うことを「やかましく要求」してきたと言う。彼によれば、不妊手術の質と安全性については、ある公益法に関する活動を行う団体が、一般に「キャンプ」と呼ばれる仮設診療所で行われる不妊手術の方法について、政府を相手に訴訟を起こした。その結果、高等裁判所は全国のすべての医師およびキャンプ運営者に対し、品質、安全性,医療手順に関する国内基準を順守すべきとする判決を下した。ナンダは、「この基準に従えば、どんな医師も 1 日に 30 件以上の不妊手術を行うことは許されない。過去には 1日に 50 - 60 件もの手術をする医師がいた」と言う。彼は質の基準を強化して合併症を減らすことも期待している。不妊手術という元に戻せない避妊法を選ぶにあたり、個人の自由意思による決定を保証することは、インド政府が一部強制的不妊手術によって人口増加を抑制しようとした 1970 年代以来、リプロダクティブ・ヘルスと人権を擁護する人々にとっての優先課題であった。 インドの一部では、医師が 1 日あたり、または 1 カ月につき行うこととされている不妊手術の件数が決まっているところがある。このことを引用して、ナンダは「“数値目標癖” (例えば過度の数値目標を立てる等)はインド最大の悪魔である」と言う。彼は数値目標を廃止すべきで、避妊法を含む家族計画は単独ではなく、政府の包括的リプロダクティブ・ヘルスプログラムの一環として提供すべきだと考えると言い、「リプロダクティブ・ヘルスというアプローチのほうがはるかによいアイディアであり、かつ、はるかに効果的で女性のために有益である」と語る。 インドの一部地域では、不妊手術の数値目標が設定され、奨励金が支給されるとのメ

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50 第 4章 出生率に影響を与えるのは何か

ディアによる報道があったが、UNFPAデリー事務所によれば、これは国の政策に反するもので、同事務所はそのような報道について政府の注意を喚起し、行動につなげたいという。 プーナム・ムットレジャはナンダの後任のインド人口財団事務局長である。同財団は人口、保健、ジェンダーに関する幅広い問題について研究と政策提言を行う、影響力の強いNGOである。彼女は、インド政府のサービス提供者から無料で入手できる避妊法は選択肢が少なく―しかも不妊手術に偏っており―このことが女性にとっては障壁であり、危険でもあると語る。「避妊法のニーズが満たされないのは、需要側の問題ではない。需要はあるが供給がないのだ」と彼女は言う。 ムットレジャは、家族計画サービスの質を上げ、より包括的にすることによって、出生10 万対 230 というインドの妊産婦死亡率を低下させ、多くの命を救うことができるだろうと言う。「インドでは 1000 万件を超す人工妊娠中絶が行われており、その大部分は既婚者によるものだ。これは悲劇的だ」と彼女は言う。中絶に起因する合併症は妊産婦死亡の 8%を占めるという。 調査によると、あらゆる避妊法を好きなように選べる「カフェテリア方式」を採用しているブラジルやメキシコなどでは、出生率が急落したことがわかっている。同様の方式は、東アジアと東南アジアでも多くの国で人口増加の安定化に役立った。ただし、不妊手術が最も一般的手段、または唯一の手段である場合には、現実には出生率が高くなる可能性がある。女性は、計画的に間隔をあけて子どもを産む場合に比べ、不可逆性の不妊手術を受ける場合は、もっと多くの子どもを産むまで待ってから手術する可能性があるからだ。マックス・プランク人口研究所のゾーイ・マシュー他による調査がこのことを示唆してい

る。

ジェンダーの不平等と高い出生率

 モザンビークの首都マプトから 1 時間ほど郊外にあるボアネ保健所で、産前健診を待つ妊婦のアナ・マリアは、自分のお腹を指さしながら「子どもは 3 人がいいです」と話した。彼女は「すでに男の子と女の子が一人ずついるので、この子を最後にしたいです」と言い、育児にお金がかかるし、それより部屋が 4 つある新しい家を建てるのにお金を使いたいと説明した。同じく、マプト郊外にある急ごしらえの市場でトマトを売っている22 歳のアスセナも、子どもは 3 人にしたいと言う。近くの露店の女性たちも全員、子どもは 2 人か 3 人しか欲しくないと言う。 しかし、ここで会った女性たちをはじめ、モザンビークの女性たちの言うこととは裏腹に、彼女たちは生涯に平均約 5 人の子どもを産む。農村部に住む女性の子ども数は平均して 7 人に近い。 女性が欲しいと思う子どもの数と、実際に出産する子どもの数の間に食い違いがあるのはなぜなのだろう。 モザンビークにいる人口と開発の専門家や援助機関によると、女性の地位が低く、それに伴って女性の経済的・社会的機会が限られていることが高出生率の一因になっている。 ジェンダーの不平等の深刻度によって 169カ国をランクづけすると、モザンビークは111 位である。国連開発計画(UNDP)の『人間開発報告書 2010 年版』に記載されている

「ジェンダー不平等指数」では、女性と男性の間の不平等を、リプロダクティブ・ヘルス、政治参加、収入獲得の機会、教育の各分野で測定している。これらの不平等、特にリプロダクティブ・ヘルス分野の不平等が原因で、

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51世界人口白書 2011

モザンビークでは人間開発のおよそ 4 分の 3が失われていることを指数は明らかにしている。 「根強いジェンダーの不平等によって、貧困、食料不足、疾病の犠牲者は、不当なまでに女性と子どもたちに偏っている」と、『モザンビーク国連開発支援フレームワーク(2012- 2015 年)』は述べている。 モザンビークでは「女性がものごとを決定することはない」。子どもを何人産むか、いつ産むかについての選択になると特にそうだ、と人口学者のカルロス・アルナウドは語る。 2009 年には家庭内暴力を犯罪とする法律が公布されたが、家庭内暴力は広く蔓延している。女性には妊娠・出産に関することも含め、自分の人生にかかわる主要な決定をする自由がほとんどないという状況が、そこに現れている。「モザンビークで女性に対する暴力が多いのは、男性に対する女性の社会的地位と直接関係している」と べルタ・シルンドは言う。彼女は、虐待を受けた女性に法的・心理的支援を行うNGO「女性・法律・開発委員会」、略称ムレイデ(MULEIDE)の副会長である。 43 歳のマリア・ファティマは、一緒になって 2 年目から彼女を殴り始めたパートナーともうこれ以上一緒に暮らせないと決心し、昨年支援を求めてMULEIDEを訪れた。「彼と知り合ったのは 1995 年、私は鉄道会社で働いていて、大学で経済学を勉強していました」と彼女は語る。「ところがその年に妊娠して、彼に仕事も大学も辞めるよう強要されたのです。結果として、彼に全面的に依存するようになってしまいました」。 家庭内暴力に何年も耐えたあと、ファティマは家を出て、警察に直近の事例を届け出た。警察は、家庭内暴力は「公的犯罪」とみなす

という施行 2 年目の法律に基づき、パートナーを起訴している。「公的犯罪」は一度提訴されると、被害者から要請があっても取り下げられることはない。 モザンビークでは、女性が避妊をしたいと主張したり、性交渉の時に相手にコンドームを使うよう頼んだりした結果、家庭内暴力が起こることがあるとMULEIDEのシルンドは言う。 女性自身も、多くは自分が殴られても仕方がないと考えている。2003 年の人口保健調査の結果、モザンビークでは全国的に女性の3 人に 1 人以上が、夕食を焦がしたという理由や、夫が外出する際に玄関で「いってらっしゃい」と言わなかったという理由で殴られても仕方がないと考えていることがわかった。家庭内暴力を容認するのは都市部より農村部で一般的であり、容認の程度は、女性がそれまでに受けた教育レベルと反比例している。 フォーラム・ムルへルという女性の権利と

©UNFPA/Pedro Sá da

Bandeira

t

モザンビークで女性の地位向上を目指すNGO「ムレイデ」(MULEIDE)の 理 事で弁護士でもあるベルタ・シルンド

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52 第 4章 出生率に影響を与えるのは何か

開発に関する提言活動を行うグループの事務局長グラサ・サモは、女性の教育はモザンビークにおけるジェンダーの不平等を是正するのに重要だが、同時に、女性が社会の中で自分自身に低い期待度しかもてないよう育てられている慣習を変えない限り、不平等は解消できないと語る。女性は「あなたの問題を解決するのは男性」と教えられる。「女性の地位は、夫や父親や兄弟という男性次第なのだ」とサモは言う。 サモは、男性と女性の活動の場を平等にするには、政府や非営利組織の介入だけではなく、家族の介入が必要だと主張する。女児と男児が社会の中で、自分自身を、またお互いをどのように認識するかについては、家族の影響が非常に大きいからだ。女児が社会の中で自分のもつ強さと可能性を認識できるよう励ます教育は重要であり、その一方で、社会の一員となる男児の育て方を変え、小さな頃からジェンダーの平等はだれにとっても有益であることを理解させることも同じように重要である。

男児選好

 インドでは、男児選好による影響が人口学者、メディア、政策立案者、その他大勢の人の頭を悩ませている。なぜなら、それが人口の性比を左右し、インド社会がいかに女児を軽んじているかというメッセージになっているからだ。この問題は 2011 年の全国人口センサスの結果、より浮き彫りになった。0 歳から 6 歳の女児の数は、2001 年の男児1000 人対 927 人に比べてさらに差が広がり、男児 1000 人に対して 914 人に急落したのである。この性比は 1947 年の独立以来最大である。非合法とされている性を選別するための人工妊娠中絶や、時には、生まれた

南アジア

西アジア

東南アジア

北アフリカ

ラテンアメリカ

東アジア

開発途上地域

1990 2000 2008

2624

25

19.520.420.2

2017

15

141212

1614

12

151111

1119

10

1610

9

322

1412

0 5 10 15 20 25 30

11

既婚、あるいは同棲している 15-49歳の女性の間での「家族計画のアンメットニーズ」の割合(1990年、2000年、2008年・%)

サハラ以南のアフリカ

コーカサス・中央アジア

カリブ海地域

Source: Millennium Development Goals Report 2011. United Nations.

 2005 年に開催された国連世界サミットでは、ミレニアム開発目標 5 -

Bとして「2015 年までに誰もがリプロダクティブ・ヘルスを受けられる

ようにすること」が誓約され、この目標の進捗を測る指標のひとつとして

「家族計画のアンメットニーズ」を用いることが決められた。2011 年、国

連経済社会局人口部は世界の避妊の最新データを発表した。それによると

避妊実行率は上昇しているが、希望しながら避妊ができない既婚、あるい

は同棲中の女性が 20%以上いる国は、いまだに 46 カ国もある。家族計

画のアンメットニーズは 2000 年以降、ほぼすべての地域で変わりなく「や

や高い」レベルにあり、最も高いのはサハラ以南のアフリカとカリブ海地

域である。

依然として高い家族計画のアンメットニーズ(満たされないニーズ)

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53世界人口白書 2011

女児を育児放棄で死なせることが、この異常な性比につながる原因だと広く考えられている。超音波による胎児の性別診断は法律違反だが、費用が安くなっており、全国的に広く利用されている。 2011 年の全国人口センサスを指揮した、インド人口登録・センサス庁長官のC・チャンドラモウリは、この傾向を非常に憂慮すべき事態だと語る。彼はこれを人口問題ではなく社会問題であるとみている。そこには、当局が超音波技術を宣伝する診療所の監視を通して、性の選別を禁止する法律を実行するという努力を怠ってきたことも絡んでいる。彼は「主な元凶はテクノロジーだ」と言う。一部の評論家が「性差による大量殺人」と呼ぶこの状況から脱け出す唯一の方法は、政府がより効果的な奨励策を打ち出し、その後押しを得た社会運動によって女児の地位を向上させることだと彼は付け加えた。 チャンドラモウリの見解は国際機関の支持を得ている。世界保健機関(WHO)、国連人口基金(UNFPA)、国連児童基金 (UNICEF)、国連ウィメン、国連人権高等弁務官事務所が国連機関の合同文書として 2011 年に発行した『ジェンダーの偏見に基づく性の選別防止』によると、男児の誕生を願って、家族が女性に次々に妊娠することを強いれば、女性の健康はどこにいようとむしばまれる。場合によっては、女児を産もうとする女性が安全でない中絶を強いられたり、暴力の危険にさらされることもあると、UNFPAのジェンダー専門家ゲイル・ネルソンは指摘する。 この複数の国連機関による合同文書には、

「性比の不均衡は、女児と女性に対するジェンダー差別という容認しがたい実態の表れであり、女児・女性の人権の侵害である」という記述がある。しかし、超音波検査や羊水穿刺などの技術は、問題の根本的原因ではない

とも言う。政府が技術の誤用を制限したり、禁止しようとする場合、「これまでの経験によれば、根深い社会規範への取り組みや行動変容を促す対策など、より幅広い社会政策と無関係に法的制限をしても効果はなく、むしろ女性の人権やリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)」に悪影響を及ぼすこ

ジェンダーの平等

国際人口開発会議行動計画からの抜粋

…女性の地位向上は、生活のあらゆる側面、とくにセクシュアリティー

および生殖の分野において、あらゆるレベルで女性の意思決定能力を

強化することになる。そしてこれはまた、人口計画の長期的成功にも

不可欠である。…ほとんどの社会で、男性は家族の規模に関する個人

的決定から、政府のあらゆるレベルで行われる政策およびプログラム

の決定にいたるまで、両性間の平等の実現において、男性は重要な役

割を果たしている。

t

©UNFPA/Pedro

Sá da Bandeira

「フォーラム・ムルヘル」のグラサ・サモ事務局長。モザンビーク・マプトにて

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54 第 4章 出生率に影響を与えるのは何か

とさえあり得る」と合同文書は述べている。 チャンドラモウリは、かつて子どもの性比が最も大きかったいくつの州で、その差がわずかに狭まっていることを示す 2011 年のインド人口センサスの結果を指摘し、そこにある程度の希望をみている。もっとも、他の多くの州では逆の方向に動いており、それらの州の男女比は全国平均の男児 1000 人対女児914 人よりはるかに低い 1000 人対 800 人にまで落ちている。 インドでは、昔から女児をもつことをためらわせる経済的理屈が根強くある。娘によい夫を得るためには親が高額のダウリー (持参金)を支払わねばならない、あるいは女性は世帯の所得向上に大きく貢献できないなどの理由で、娘をもつことは経済的負担だとみなされるのである。インド人口財団のプーナム・ムットレジャ事務局長は、これらの理屈には反論できるという。「私たちは、女児も男児も家族を助けられるという証拠を打ち立てることができる。大体においてインドは、これまで女性の問題や国民の問題に投資してこな

かった」と彼女は言う。 前インド保健家庭福祉省長官のナンダは、子どもの男女比がますます不均衡になっているのは、出生率低下との関連で見るべき「非常に深刻な問題」であると述べる。彼をはじめ関係者は、性の選別による中絶の大半とはいわないまでも、その多くは小家族を望む裕福な都市住民の間で行われていることを示すデータに注目する。小家族への志向と男児選好が重なって、結果として女の胎児の中絶が起こり得る。裕福な親は2000 -3000ルピーの女児出産奨励金などに気持ちをなびかせることはないとナンダは言う。 「当局は女の子を育てて教育を受けさせるための現金支給は行うけれども、ダウリーや財産に関する法律を執行しはしない」、「名ばかりの差別撤廃になっている」とナンダは批判する。政治色のない保健省のトップ官僚として、彼は診療所に “おとり” の妊婦を行かせ、超音波検査を使って不法な性の選別手術を実施している医者を特定し、その結果何人かは逮捕された。「彼らを法に則って起訴する必要がある」と彼は言うが、これまでにそれが広く行われたことはない。

社会保障としての大家族

 モザンビーク、特に北部農村地域では子沢山は豊かさの象徴である。子どもが多ければ多いほど家事の手伝いが増え、農作業の担い手も多くなる。さらに、両親が年老いた時の生活保障も大きいと考えられている。 「子どもは家族の財産であり、子どもをもつことが力を得る手段と考えられてきた」とフォーラム・ムルヘルのグラサ・サモ理事長は言う。 子どもを富と見ることは経済的資産が乏しい国では道理にかなう。国民 1 人あたり

リプロダクティブ・ヘルス/ライツ

国際人口開発会議からの抜粋

…リプロダクティブ・ヘルスとは、人々が生殖能力をもち、子どもを

産むか産まないか、いつ産むか、何人産むかを決める自由をもつこと

を意味する。この最後の条件で示唆されるのは、男女とも自ら選択し

た安全で効果的、経済的にも無理がなく、受け入れやすい家族計画の

方法、ならびに法に反しない他の出生調節の方法についての情報を得、

その方法を利用する権利、および女性が安全に妊娠・出産でき、また

カップルが健康な子どもを持てる最善の機会を与えるよう、適切なヘ

ルスサービスを利用できる権利が含まれる。…リプロダクティブ・ラ

イツは人権の一部をなす。…これらの権利はすべてのカップルと個人

が自分たちの子どもの数、出産間隔と出産時期を責任をもって自由に

決定でき、そのための情報と手段を得ることができるという基本的権

利を認めることにより成立している。

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55世界人口白書 2011

の国内総所得が 440 ドルのモザンビークは、世界で 14 番目に貧しい国であり、国民の 4分の 3 は1日 1.25 ドルで生活している。 『国連開発援助枠組み (UNDAF)2012 -2015 年:モザンビーク』によれば、国民のおよそ 70%は農村部に暮らし、ほとんどが自給自足の農業に依存している。「気候変化に非常に影響を受けやすいことから、モザンビークの農業生産性は極度に低く、国民の大多数が慢性的食料不足にある。農作物から得られる収入は少なく不安定だ」と同『枠組み』は指摘する。 出生率が最も高く、教育程度が最も低く、早婚が一般的で、家族計画の実行率が低いのも同じ農村地域である。 貧困がもたらすものは、母親と子どもの短い余命と高死亡率である。世界銀行の上級保健専門家サミュエル・ミルズは「子どもの死亡率が高いところでは、子沢山が多くなる。子どもの死亡率が低いところでは、人は大家族にする必要性を感じなくなる」と説明する。 マプトにある社会経済研究所のアントニオ・フランシスコ、ロシミナ・アリ、ヤスフィル・イブライモは、声をそろえて、「モザンビークでは多すぎるほどの子どもをもつことが、昔から、そして今でも、社会的扶助の主な形態となっている」と言う。年老いた時や働けなくなった時、政府が何らかの所得手当てをしてくれることを当てにできる人はほとんどいないため、子どもをもつことで、自前の社会保障制度をつくっているのだと彼らは言う。「これからもほとんどの国民にとって、子どもをもつことが主な社会的扶助の形であり続けるだろう」。

出生増加が望まれる時

 ヨーロッパでは、東西南北いずれの地域で

も、人口増加ではなく低出生率に対する警鐘が鳴っており、いくつかの国は、もっと子どもを産むよう促す奨励策を採用した。人口増加主義あるいは出産奨励主義と呼ばれるそのような政策は、国の経済成長を維持するためにもっと子どもを産もうと家族に訴えることが多い。しかしながら低出生率のヨーロッパで、この政策について質問された女性の多くは、奨励金やその他の優遇策は、子どもをもう 1 人か 2 人増やす理由としては、受け入れがたいとは言わないまでも、度を超していると考えているようである。 マケドニア(旧ユーゴスラビア)の首都スコピエで、労働社会政策省のスピロ・リストヴスキー副大臣と話をしたところ、国が新たに打ち出した出産奨励策の背後にあるいくつかの数字が即座に出てきた。リストヴスキーによれば、例えば、国は自国の経済を強化し、ヨーロッパとの統合、さらにヨーロッパ以外のより広い世界との統合を目指しているが、雇用主が働き手を探すのには 6 カ月から 9

©VII/Antonin Kratochvilt

ロマの人々のための保育所。マケドニア(旧ユーゴスラビア)

のスコピエにて

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56 第 4章 出生率に影響を与えるのは何か

カ月もかかると言う。1990 年代に旧ユーゴスラビアが崩壊して誕生したばかりのマケドニアは、相対的に貧しい国である。 同国の合計特殊出生率は、国連の計算では女性 1 人あたり 1.5(政府の報告書によっては 1.3 の数字を使用)に低下している。さらに、青少年がよりよい仕事と生活水準を求めて西欧や北米に移住しているため、雇用に必要な能力のある人たちが減ってしまった。低出生率は南欧とロシアを含む東欧全域で見られ、これらの地域の出生率は 1.5 かそれ以下になっている(例外はモンテネグロの 1.6)。西欧でも出生率は低く、地域全体の平均は1.6、フランスとアイルランドは他より高く2 である。 リストヴスキーは、3 人目の子どもに手当てを出す優遇策が人口増加につながるかどうかを判断するには、5 年から 7 年かかるだろうと言う。マケドニア全土で女性にインタビューしたところ、彼女たちは、その手当で3 人目の子どもを育てる経費がまかなえるかどうか疑問があると言い、この計画に対して複雑な感情をもっていた(同国の合計特殊出

生率は、多くの家族がまだ子ども 2 人にすら達していないことを示している)。 ここ 2 年間で 5000 世帯が奨励金制度を利用した。政府の資料によるとその大半はスコピエの住民である。手当ての受給者の半分以上、54%は伝統的に大家族志向のアルバニア系住民、31%がマケドニア系住民、約 10%がロマである。 キリル・メトディウス大学社会学研究所の人口学者アニカ・ドラゴビッチは、すでに大家族を計画していた人たちには奨励金が届かないのではないかと言い、この給付制度に疑問をもっていると語る。仕事をもち、子どもの数を少なくしようと計画している女性は、この金銭的優遇措置が自分の人生にとって価値あるものと思わないかもしれない。ドラゴビッチはまた、出産奨励策は女性のエンパワーメント(能力強化)にほとんど、あるいは全くつながらないとも語った。 ボゴヴィニエ北部の村の若い女性は、アルバニア系イスラム教徒が大半を占める近隣地区の年配女性と、自分たちの生活について話す中で、「若い人たちは子どもの数が少ないほうがいいと考えています」と語った。「確かに経済はひどいけれど、自分のためにもっと時間を使いたいと思っているのです」。 ボゴヴィニエ地域では、経済成長の兆しが見え始め、出生率はすでに人口置換水準を下回っている。男性の態度が変わらない限り、女性は相変わらず家に関する事や高齢者の世話をすべてこなすことを期待される。子どもの数が増えれば、その分女性の仕事が増えるだけだと女性たちは言う。女性が仕事を見つけ、外で働くことに夫が反対したり禁止しなかったとしても、就学前の子どものための無料あるいは政府補助のある保育所や幼稚園はない。この状況は全国に広く共通する。 ボゴヴィニエ地域では、中年の女性も収入

© VII/Antonin Kratochvil

t マケドニア(旧ユーゴスラビア)の労働・社会政策副大臣スピロ・リストヴスキー

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57世界人口白書 2011

を得る機会を探していたが、そのうちの何人かはほとんど教育を受けたことがなかった。彼女らは成人教育を望んでおり、女性向けの雇用の創出や起業したい女性への経済支援に、もっと注意を向けて欲しいと語った。  彼女たちより若い未婚の女性たちは、教員から専門職の事務所での仕事まで幅広い職業への道を見つけていた。そのなかには歯科矯正医の助手や会社員もおり、将来の外国資本による経済発展を見据えて、民間の教育機関で専門技術や外国語を習得したいと希望している。この山の多い地域では、製造業と観光産業に成長の可能性がある。 マケドニアの南部では、オーリッド湖周辺の観光と地域特有の史跡が、ストルガとオーリッドの町およびその周辺の村や農場の経済を支えるのに貢献している。失業は依然として問題で、女性の賃金は男性の賃金よりも低いが、若い女性は接客業の仕事を見つけている。 自分の人生や関心事について話すためストルガに集まってくれた、活発な女性グループの代表たちや専門職の女性たちは、政府の第三子給付金計画に賛同しなかった。世帯収入に「少なからぬ」額が追加されたと言う人がいる一方で、女性の結婚が遅くなり、離婚率も高まっている都市部では、技術訓練や女性起業家支援のほうがより必要であると主張する人もいる。リストヴスキーは労働社会政策省で、中央政府の開発計画および開発事業の中に、女性の経済力の強化が含まれていると語った。 スコピエの国家統計局局長ブラジツァ・ノヴコウスカは、「働く女性の 80%が公務員だったこれまでの女性の伝統的雇用パターンが変わって、今では民間部門で職を見つけている女性が増えている」と言う。女子学生も文科系より技術系や理科系の大学に入学し、

民間のビジネス・スクールでマネジメントのコースをとるなど、伝統を破り始めているという。国家統計局ではこの動向について調査しており、今後さらに多くのデータを発表したいと考えている。女性に職業上の機会を与えることは、女性にもっと多くの子どもを産むよう説得することと矛盾するのか否か、またこうして力をつけた女性が、出産給付金のおかげで生まれくる子どもたちよりも早く、求人に応えて職に就けるか否かについては、答が出ていない。

家族の形成を容易にする

 フィンランドでは、すべての市町村に保育所が設置されたことで、働く女性と共働きの夫婦は子どもをもつ決断がしやすくなった。フィンランドの出生率は 1970 年代以来、人口置換水準の女性 1 人あたり 2.1 よりも低い状態が続いていた。20 世紀末になると、移民が少ないこの国では、やがて深刻な労働力不足に陥るだろうとの懸念が起きるようになった。

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©VII/Antonin Kratochvil

マケドニア(旧ユーゴ ス ラ ビ ア)の ストゥルガの女性ビジネスリーダーたち

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58 第 4章 出生率に影響を与えるのは何か

 ヘルシンキ大学のペッカ・マルティカイネンは、寛大な社会保障政策は出生率を上げることを意図したものではなく、むしろ家族が経済面で深刻な影響を受ける心配をせずに自分たちの選択ができるよう、さまざまな側面から支援することが目的だったと言う。「フィンランドの女性は、かなりの割合が労働市場に留まる。女性の労働参加率は男性とほぼ同等だ。ある一定時期に女性の労働参加が多少低下するが、それはたいてい小さな子どもと一緒に家に居る時期である。フィンランドでは、女性は授乳時期が終わるまで家にいるのが普通だ」と彼は言う。 フィンランドの特に都市で働く女性にとって、子育て関連の支援制度は寛大なものであると同時に法的権利でもあると考えられている。例えばヘルシンキでは、1 日 5 時間の保育をすべての子どもが無条件で受けられる権利があり、この他に全日保育、夜間保育、週末保育、24 時間保育のサービスが有料で受けられる。料金は利用者の所得に応じて定められているが、最大でも月額 254 ユーロ(366ドル)を超えることはない。親は保育サービスの種類を選ぶことができ、そのすべてが食事つきである。3 歳以下の子どもを市町村の保育所に通わせていない場合、親は家族手当てを受け取ることができる。その金額はヘルシンキでは、月額 448 ユーロ(約 645 ドル)から 746 ユーロ(約 1075 ドル)の間である。親族以外の人に個人的に子どもの面倒をみてもらう場合も補助が出る。  市町村の保育所には十分な数の職員が配置されている。1 歳未満の子ども 2 人につき職員 1 人、就学前の子どもは 13 人につき職員1 人というように、子どもの年齢別に保育士の人数が決められ配置されている。フィンランド人以外の移民の子ども数が少しずつ増えているので、ヘルシンキ市では、教える立場

の人たちに多文化問題に関する研修を行い、保育所レベルでフィンランド語を第二言語として教えることもしている。身体障害や学習障害のある子ども向けには特別教室が用意されている。 フィンランドでは、すべての母親が 105日の出産有給休暇をとる権利をもち、その後は元の職場で同じ仕事、または同じレベルの類似の仕事に戻る権利をもつ。妊娠した女性は、出産に必要なものと子どもの誕生後に必要なものを準備するため、140 ユーロ(201ドル)の現金給付か育児用品キットを受け取ることができる。出産有給休暇が終わると、政府は父母のいずれかに 158 日分の育児休業手当を支払うが、これは各人のニーズと資金力に応じて計算される。父親は 18 日間の産休をとることができ、これに 12 日間の育児休暇を加えると、フィンランド人の言う「パパの 1 カ月」となる。 これらの制度は全体として、親になるかどうかで気持ちが揺れている人々を支援する雰囲気を作り出し、近年の出生率上昇に部分的に貢献しているかもしれないが、家族の人数を増やすことにつながったとは必ずしも言えない。これは他のヨーロッパ諸国のほとんどに共通する状況である。 フィンランド家族連盟(Väestöliitto)で出生力と不妊に関する研究をしているアンネリ・ミーティネンは、低出生率に関しては出産の高齢化ほど心配していない。「私たちは人口を安定化させる必要がある。そのためには一家に子どもが 2 人必要だが、現在の出生率は 1.85 だから、それにほぼ近いところまできている」と彼女は言う。 「しかし、問題がいくつかある。ひとつは第 1 子の平均出産年齢が高くなっていることだ。現在の平均出産年齢は 28 歳か 29 歳だが、首都圏では約 30 歳になっている。女

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59世界人口白書 2011

性が初めて家庭をもつ、あるいは家庭をもとうかと考え出した時には、もうすでに若くはない。このことは、出産を遅らせることを選んだ若い女性の多くが、結果として不妊問題につきあたることを意味しており、私たちはそれにまだ気付いていなのではないか」と彼女は言う。 「妊

にん

孕よう

力りょく

(生殖能力)という意味では、35 歳を過ぎると生物学的年齢としては少し遅い」とミーティネンは言う。「女性たちは、“まだ時間はたっぷりあるし、そういうことを考える必要はまったく感じない。教育を終えなければならないし、正規の仕事について、家庭をもつ前にまずよい父親になる人を見つけなければならない” などと言ったりする」。 1970 年代のフィンランド女性に関する調査によると、当時の女性たちは、遅くとも37 歳までに出産するべきだと考えていた。現在では、出産の年齢制限を設けたくないと考えている。ミーティネンが言うには、「今では、子どもを産み始めるのが 37 歳で、状況がすっかり変わってしまった」。 このような決定をする人が増えると、将来的に不妊症も増加すると彼女は言う。35 歳以上の女性は受胎しにくくなることにすでに気づいている。体外受精に頼る女性も増えている。「法律には年齢制限の記載はない。女性に子どもが産めるかどうか、母体と子どもに健康上の問題が起こらないかどうかの判断は医師に任されている。これではあまりにも医師の倫理的配慮に頼りすぎていると思う。45 歳の女性が体外受精をするのに高齢過ぎるかどうかを 1 人の医師が判断しなくてはならない場合、その医師の負担はあまりに重い」とミーティネンは言う。 36 歳のルーテル派の牧師カタリーナ・ソルサは、政府の保健サービスの支援を受けて、体外受精を成功させた経験を持つ。彼女の長

男のマルテイは 2008 年、彼女が 34 歳の時に生まれ、次男のヤンネは 2011 年 6 月に生まれた。ソルサと夫は大学生の時に結婚したが、30 代になるまでは子どもができないことに気がつかなかった。 彼らは養子をもつことも考えたが、それはやめることに決めた。人工授精には失敗した。そこで自分たちの住んでいるヘルシンキの北の地域にある公的保健サービスの医師に助けを求めることにした。地元の公立病院で、彼らにとってはわずかな費用で受精卵の着床に2 回成功した。ソルサは、「体外受精と出産までにかかった諸経費、それに薬代として、数百ユーロを自己負担で払いましたが、私立病院だったら何千ユーロもかかったでしょう」と話す。「夫と私にとっては、すべてがうまくいきました」。 牧師として、ソルサは洗礼のために教会につれてこられる赤ん坊を大勢見ているが、2006 年または 2007 年以降に生まれた子どもの数が全体的に増えている。その子どもたち

©UNFPA/Sami Sallinent

ルーテル教会のカタリーナ・ソルサ牧師。不妊治療によって 2

人目の子を妊娠中である

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60 第 4章 出生率に影響を与えるのは何か

は必ずしも結婚した夫婦の子どもではなく、非婚のパートナー間に生まれた子どもやシングル・マザーの子どももいる。フィンランドでは不妊治療に対する社会的障壁がない。

貧困層の不妊

 開発途上地域では、不妊はしばしば看過される悲劇である。不妊は家族計画や避妊の問題のほうが優先順位が高いとして無視されることが多く、子どものいない女性は人間として失格であると見なされる。不妊の問題が、現在利用できるリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)ケアの対象となっていない場合もある。2010 年 12 月に世界保健機関(WHO)は、『母親にならなければ価値のない人間なのか―不妊の苦悩』(Mother or Nothing: The Agony of Infertility)と題する出版物を発行した。その中には、子どもを産めない原因にはたくさんあると書かれており、例として、子宮外妊娠、性器結核、生殖器系感染症(RTI)に起因する卵管閉塞、安全でない人工妊娠中絶、性感染症等があげられている。 WHOの専門家は、受胎できないカップルの半数以上は、男性側の不妊に原因がある

が、責められるのは一方的に女性の側だと言う。女性は意思に反して離婚させられたり、地域社会で汚名を着せられたり、村八分にされたりする。不妊の人は世界中にいるが、アフリカにはタンザニアからガボンまで東西に広がる「不妊ベルト」と見られる地域があるという。外科的治療で女性を助けられることもよくあるが、フィンランドで行われているような体外受精は、利用する家族にとってもサービス提供者にとっても高額すぎることが多い。 WHOの報告書によると、エジプトとインドは不妊治療に関する先駆的プログラムを始め、コストを軽減する方法を見つけている。カイロにあるアル・アズハル大学のガマル・セロールは、貧しい女性にも不妊治療を受ける権利があるはずだと言う。「WHOの人口学的調査によると、(中国を除く)低所得の国々では、出産可能年齢で不妊症の女性が 1億 8600 万人以上いる。不妊症は世界疾病負担(WHOが推計する、世界全体で各種の疾病により死亡で失われる年数と障害で失われる健康年数の合計値)に寄与する疾患のひとつであり、ジェンダーによる苦悩を伴うので、あらゆる手段を講じて減らす必要がある。不妊の予防と治療はリプロダクティブ・ライツ

1. 統計上の理由で、中国のデータには香港・マカオ・台湾を含んでいない2. オーランド諸島を含む3. マケドニア(旧ユーゴスラビア)

Source: United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division. World Population Prospects: The 2010 Revision.

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5

10

エチオピア モザンビークエジプト ナイジェリア中国 1 インドフィンランド 2 TFYRM3メキシコ

国別 世界

女性 1人当たりの子ども数(1950-2010年)

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61世界人口白書 2011

である」とセロールは言い、さらに家族計画プログラムは、カップルに妊娠を先に延ばしたり、遅らせたり、妊娠の間隔を長く置いたりするよう勧めるだけでなく、「後になって子どもが欲しいと決めた時、妊娠できるように支援を受けられることも保証すべきだ。家族計画とは避妊だけを意味するのではなく、家族のために計画することなのだから」とも語った。

情報を得たうえで選択する力

 エジプト、インド、モザンビークでの経験から、出生率の高さは容易には説明できない

こと、また、女性が出産の時期と間隔について決定するのに必要な情報、手段、自由を確実に入手できる唯一の方法があるわけではないことがわかる。 フィンランドとマケドニア(旧ユーゴスラビア)の経験は、出生率を高める方法が同様に複雑であることを示している。 夫婦が子どもの数を少なくするにしろ、多くするにしろ、子どもをもちやすくするのが目的であれば、政府は選択の自由と能力強化の原則に沿って、そのとるべき行動を決めなければならない。それは、国際人口開発会議で世界各国が合意したことである。

 アフリカ大陸の国々は、地中海諸国に

面した北部地域から、サハラ砂漠とサハ

ラ以南の国々を通過して最南端の喜望峰

に至るまで、多様な民族・人種に満ちて

おり、アフリカ全部に通用する普遍性は

ない。しかし集合的にみると、アフリカ

は現在の世界人口の 15%近くを占めて

いる。

 2011 年 5 月に発行された『世界人

口推計 2010 年版』にまとめられた統

計を人口学者たちが分析し始めた頃、国

連経済社会局人口部のトーマス・ブェト

ナー次長は、国連人口開発委員会のある

会合で次のように述べた。

 「仮に現在の出生率と死亡率が国レベ

ルでは変化せずに推移したら、長期的に

はどのようなことが起こるだろうか。こ

のシナリオでいくと、2300 年には世界

人口は 3 兆 5000 億人になり、膨大す

ぎて他のシナリオを示すグラフの中に表

示できない。それはあまりにあり得ない

ことで、そこから現在の出生率と死亡率

のレベルは持続可能でないことがわか

る。統計結果を詳しくみると、アフリ

カ諸国の高出生率が 300 年続いたら、

2300 年にはアフリカ大陸だけで人口が

3 兆 1000 億になることがわかった」。

 2300 年というのは、ほとんどの人

にとっては想像もつかないほどはるか

先のことだが、2050 年や 2100 年な

ら、いま生きている人たちの多くにとっ

ては、孫や曾孫の世代という範囲に入

る。前国連経済社会局人口部長で、現在

はニューヨークにある移住研究所の調査

部長であるジョセフ・シャミーは、先頃

最新の人口推計を分析し、アフリカ、特

にナイジェリアが将来の世界人口の増加

を狂わせることになりそうだと書いた

(彼はまた、もし人口の安定化を目指す

インドで 2045 年までに出生率が減ら

なければ、現在のインドの人口 12 億は

2050 年には 20 億にまで増えることも

ありうると記している)。

 「アフリカの出生率が今後何十年にも

わたって変化しなければ、アフリカ大陸

の人口は猛烈な速度で増え、2050 年に

は 30 億、2100 年には 150 億という

信じがたい数字に達する。これは 2100

年には現在の人口の 15 倍になるという

ことである」とシャミーは『グローバリ

スト』(The Globalist:ワシントンに本

拠を置くグローバリスト・リサーチ・セ

ンターが刊行するオンライン・マガジン)

の 2011 年 6 月版に書いている。「世界

的にみて、アフリカは人口転換が起こる

最後の大陸となるだろう。人口転換とは、

多産多死から少産少死へ移行する過程の

ことである」。

アフリカの高出生率が人口増加に与える長期的影響

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62 第 4章 出生率に影響を与えるのは何か

 過去 20 年にわたる調査は、女性が健康で、教育を受け、家族計画を含むセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの包括的サービスを利用できた時、出生率は低下し、家族の平均規模は小さくなるという結果を繰り返し示してきた。 例えば、2008 年にモザンビークの国立統計研究所が実施した「複数指標クラスター調査」(MICS)によると、同国における避妊薬(具)の利用は女性の教育レベルと経済力に大きく連関していることがわかった。学校に一度も行ったことがない女性の間では、避妊薬(具)は約 12%しか使われていなかったが、少なくとも中等教育を受けた女性の間では37%だった。家族計画サービスを利用している女性は、子どもの数、出産の時期、出産間隔を自分で管理できる割合が高い。 インド保健家族福祉省の前長官であるA・R・ナンダは、女児と女性の能力強化に力を入れた地域では、出生率も低下したと言う。

南インドのケララ州はそのひとつで、ジェンダーに配慮した政策を通して、より豊かな国と肩を並べるほどの出生率と開発レベルを達成した。この政策には、長年にわたり築かれた、ほぼすべての女子に行き渡る教育と、利用しやすい保健ケアが含まれる。ケララの経験は、政府が女性に子ども数を減らすよう圧力をかけなくとも、出生率の大幅削減が可能なことを示しているとナンダは説く。モザンビークの将来の出生率を減らす活動でも、女子教育が中心になっている。モザンビーク保健省のレオナルド・シャバネは最優先の仕事は女性を教育することであり、「自分たちのいる状況を切り抜けるために、女性には教育が必要だ」と言う。 中国には、中国の出生率が低下したのは、現在の一人っ子政策の結果とは限らないと説く人口学者がいる。代わりに彼らは、出生率低下の大部分は経済と社会の発展の結果であると見ている。彼らによると、政府の家族計画政策が施行される前から、経済・社会発展によって出生率は下がりつつあった。もし一人っ子政策が突然緩和されたり後退したりしても、ほとんどの家族は自分たちが育てられる以上の数の子どもを急いで産むことはないだろう。なぜなら彼らは、子どもを少なくしたほうが、家計にとっても子どもにとっても、価値があり恩恵が大きいことを学習したからだと彼らは言う。東アジアや東南アジアにある中国の近隣諸国のいくつかは、一家族の子ども数を制限する政策がなくても、低い出生率水準を達成している。台湾の出生率は、家族規模を制限しなくても中国本土より低くなったことで知られる。ワシントンD.C.のポピュレーション・レファランス・ビューロー(PRB)によると、台湾の 0.9 という出生率は世界で最も低いと考えられているが、中国の2010 年人口センサスによると、上海大都市

©UNFPA/Guo Tieliu

t

中国、シャーリャンの郷病院で、子どもに予防接種を受けさせる準備をしている母親

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63世界人口白書 2011

圏の最新の出生率は 0.8 に低下したという。 韓国も主に厳しい政策を採らずに人口増加率を大幅に低下させた国で、性の選別を減らし、若者たちの間の性比の不均衡を減らした成功国とも見られている。韓国では、経済の拡大と女性の就職口の増加、農村から都市への人口移動、性の選別に対する効果的規制、婚姻関係における女性の権利強化のための法

律、マルチメディアによる「あなたの娘を愛しなさい」キャンペーンなどが相まって、わずか 10 年あまりの間に性比の不均衡を改善することに成功した。

 カイロでの画期的な国際人口開発会議

(ICPD)から 6 年後、国連加盟国はニュー

ヨークで会合を開き、ミレニアム宣言と、

貧困、疾病、環境破壊、社会・経済的不

平等を 2015 年までに減らすことを目

指す 8 つの野心的で包括的指針を採択

した。これら 8 つのミレニアム開発目

標(MDGs)と、後で追加された具体的な

測定指標は、国連が目標達成に向けた進

捗を追跡する際の得点表となっている。

 1990 年代は、国連にとって重要な国

際会議が続く多忙な 10 年であった。そ

れらの会議は 1992 年にリオデジャネ

イロで開かれた環境開発会議、1993 年

の世界人権会議(ウィーン)、1994 年の

国際人口開発会議(カイロ)、1995 年の

世界女性会議(北京)である。これらすべ

ての会議で採択された宣言や行動計画の

内容は、ミレニアム宣言とミレニアム開

発目標の文中に盛り込まれた。貧困を多

方面から克服しようとするなら、開発の

あらゆる側面で女性が中心的役割を担う

べきであるとの認識が世界的に高まる中

で、進歩に向けおそらく最大の希望を与

えたのは、国際人口開発会議の行動計画

だろう。世界人口の半分を占める女性の

生命と権利は、貧困撲滅、初等教育の完

全普及の達成、ジェンダー平等の推進、

乳幼児死亡率の削減、妊産婦の健康の改

善、HIV/エイズ、マラリアその他の疾

病のまん延防止、環境の持続可能性の確

保、開発のためのグローバルなパート

ナーシップの推進というすべての目標に

関連する。

 これらの目標は、女性のリプロダク

ティブ・ヘルスの推進と、妊産婦と新生

児の健康の保護に一層の進展がない限

り、どれひとつとして達成することはで

きない。しかし、すべてのミレニアム開

発目標の中で最も進捗が遅れているの

は、目標5の妊産婦の健康の改善である。

それは保健関連の目標の中でも、最も資

金が不足している分野である。2007 年

には、世界の指導者がミレニアム開発

目標 5‐2 として、「リプロダクティブ・

ヘルスを誰もが受けられるようにするこ

と」を追加した。

 2010 年 9 月、ミレニアム開発目標

サミットの締めくくりに、潘基文(パン・

ギムン)国連事務総長、各国首脳、民間

セクター、財団、国際機関、市民社会、

調査機関が協調して、1600 万人以上の

女性と子どもの命を救う世界規模の活動

を開始した。「女性と子どもの健康のた

めの世界戦略」を発表する国連特別イベ

ントの席で、関係者は女性と子どもの保

健に対して 400 億ドル以上の資金を拠

出することを約束した。「何をすれば女

性と子どもの命を救えるか、私たちは

知っている。また、すべてのミレニアム

開発目標にとって、女性と子どもが重要

であることを私たちは知っている」と国

連事務総長は述べている。

 ガーナの青年活動家サミュエル・キッ

シは、2010 年のミレニアム開発目標サ

ミットの時に開催された若者向け会議

で、以下のように発言している。若者の

問題は、8 つのミレニアム開発目標の中

には含まれていないが、若者には目標達

成、特に目標 1 の貧困撲滅に貢献でき

る可能性がある。「18 億人いる私たち

若者は、いつでも参画する用意がある。

私たちは単なる人的資源にとどまるもの

ではなく、パートナーであり、ミレニア

ム開発目標に大きく貢献する準備ができ

ている」と彼は強調した。

国連人口開発会議(ICPD)とミレニアム開発目標(MDGs)

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110 指標

カイロ会議の目標の検証

国/領域/その他の地域アフガニスタン 198.6 1400 151 14 38 15 23 15

アルバニア 15.3 31 17 99 91 91 75 73 99 100 69 10 13 6

アルジェリア 32.3 120 4 95 96 95 65 68 94 89 61 52 13 0.1 <0.1

アンゴラ 160.5 610 165 47 81 65 6 5 0.6 1.6

アンチグア・ バーブーダ島 11.7 67 100 91 87 89 87

アルゼンチン 14.1 70 65 99 75 84 99 99 65 64 0.3 0.2

アルメニア 21.6 29 26 100 92 94 86 89 100 100 53 19 13 15 23 <0.1 <0.1

オーストラリア 1 5.1 8 18 100 97 98 87 89 71 71 0.1 0.1

オーストリア 4.1 5 11 100 97 98 51 47 0.3 0.2

アゼルバイジャン 33.5 38 42 88 97 95 91 94 100 100 51 13 23 5 5 <0.1 0.1

バハマ 12.4 49 44 99 91 93 83 87 1.4 3.1

バーレーン 12.1 19 14 98 100 99 87 91 100 100 62 31

バングラデシュ 52.0 340 133 18 88 89 40 43 73 76 56 48 17 18 8 <0.1 <0.1

バルバドス 11.0 64 53 100 0.9 1.1

ベラルーシ 12.1 15 22 100 94 96 87 89 100 100 73 56 34 <0.1 0.1

ベルギー 4.6 5 11 98 99 89 85 75 73 3 <0.1 <0.1

ベリーズ 18.0 94 91 95 100 100 62 68 76 77 34 31 21 40 0.7 1.8

ベナン 118.0 410 114 74 99 87 26 13 64 42 17 6 30 35 16 0.3 0.7

ブータン 78.6 200 46 71 87 90 46 49 80 68 31 35 0.1 <0.1

ボリビア 51.2 180 89 66 95 95 69 69 100 99 61 34 20 28 24 0.1 0.1

ボスニア・ ヘルツェゴビナ 14.4 9 15 100 100 99 36 11 44

ボツワナ 56.9 190 51 94 88 91 56 64 94 96 44 42 33 40 5.2 11.8

ブラジル 20.6 58 56 97 96 94 78 85 97 99 80 77 6

ブルネイ 6.7 21 26 99 97 97 88 91 100 100

ブルガリア 10.0 13 42 99 97 98 85 82 97 97 63 40 30 15 17 <0.1 <0.1

ブルキナファソ 166.4 560 131 54 68 61 18 14 47 33 17 13 29 23 19 0.5 0.8

ブルンジ 166.3 970 30 34 91 89 10 8 77 75 9 8 29 30 1.0 2.1

カンボジア 87.5 290 52 44 90 87 36 32 89 86 40 27 25 45 50 0.1 0.1

カメルーン 154.3 600 141 63 94 82 88 84 29 12 20 34 32 1.6 3.9

カナダ 6.1 12 14 98 99 100 74 72 0.1 0.1

カーボヴェルデ 27.5 94 92 78 86 84 97 99 61 57 17 36 36

中央アフリカ共和国 170.8 850 133 53 77 57 13 8 72 56 19 9 16 26 17 1.0 2.2

チャド 209.0 1200 193 14 72 50 16 5 54 37 3 2 21 20 8 1.0 2.5

チリ 8.5 26 51 100 95 94 83 86 99 99 64 58 0.2 0.1

15-49歳の女性の避妊 実行率 (すべての方法、%、1990/2010)*

家族計画のアンメットニーズ(満たされないニーズ)の割合(%、1992/2009)*

15-49歳の女性の避妊実行率(近代的避妊法、%、1990/2010)*

セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの指標

HIV/エイズの 正しい知識を もっている 15-24歳人口の割合(%、2000/2008)*

5歳未満児死亡率(出生千対、 2009)

妊産婦 死亡率 (出生10万対、2008)

15-19歳の女子1000人あたりの 出生数 (1996/ 2008)*

専門技能者の立会いの下での出産の割合 (%、1992/ 2009)*

初等教育 就学率 (%、1991/ 2009)*

中等教育 就学率 (%、1999/ 2010)*

15-24歳 人口の識字率 (%、1991/ 2008)*

15-24歳人口のHIV/エイズ感染率(%、2009)

男    女 男    女 男    女 男    女 男    女

妊産婦と新生児の健康の指標 教育の指標

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カイロ会議の目標の検証

111世界人口白書 2011

中国 19.1 38 5 98 99 99 85 84 2

コロンビア 18.9 85 96 96 94 94 71 77 98 98 78 68 6 0.2 0.1

コモロ 104.0 340 95 62 79 67 86 84 26 19 35 10 <0.1 <0.1

コンゴ民主共和国 2 198.6 670 127 74 34 32 69 62 21 6 24 21 15

コンゴ共和国 128.2 580 132 83 66 62 87 78 44 13 16 22 10 1.2 2.6

コスタリカ 10.6 44 69 99 87 88 44 49 98 99 80 72 5 0.2 0.1

コートジボワール 118.5 470 111 57 64 51 72 60 13 8 28 28 18 0.7 1.5

クロアチア 5.4 14 14 100 98 100 87 89 100 100 <0.1 <0.1

キューバ 5.8 53 44 100 100 99 82 83 100 100 73 72 52 0.1 0.1

キプロス 3.5 10 5 100 99 99 95 97 100 100

チェコ 3.5 8 12 100 88 91 72 63 11 <0.1 <0.1

デンマーク 4.0 5 6 95 97 88 92 0.1 0.1

ジブチ 93.5 300 27 61 51 44 28 20 18 17 22 18 0.8 1.9

ドミニカ 9.8 47 94 72 80 88 91

ドミニカ共和国 31.9 100 98 98 82 83 58 65 95 97 73 70 11 34 41 0.3 0.7

エクアドル 24.2 140 100 99 98 100 59 60 95 96 73 59 7 0.2 0.2

エジプト 21.0 82 50 79 97 93 73 69 88 82 60 58 9 18 5 <0.1 <0.1

エルサルバドル 16.6 110 68 92 95 97 54 56 95 97 73 66 9 27 0.4 0.3

赤道ギニア 145.1 280 128 65 72 65 98 98 10 6 4 1.9 5.0

エリトリア 55.2 280 85 28 43 37 32 23 91 84 8 5 27 37 0.2 0.4

エストニア 5.5 12 25 100 96 97 88 91 100 100 70 56 0.3 0.2

エチオピア 104.4 470 109 6 82 76 17 11 62 39 15 14 34 33 21

フィジー 17.6 26 30 99 90 89 76 83 0.1 0.1

フィンランド 3.2 8 9 100 96 96 96 97 0.1 <0.1

フランス 3.9 8 11 99 99 99 98 99 77 75 2 0.2 0.1

ガボン 68.9 260 144 86 82 81 98 96 33 12 28 22 24 1.4 3.5

ガンビア 102.8 400 104 57 69 74 43 42 70 58 18 13 39 0.9 2.4

グルジア 29.1 48 44 98 96 93 82 79 100 100 47 27 16 15 <0.1 <0.1

ドイツ 4.2 7 10 99 99 70 66 0.1 <0.1

ガーナ 68.5 350 70 57 77 78 48 44 81 78 24 17 35 34 28 0.5 1.3

ギリシャ 3.4 2 11 99 100 91 91 99 99 76 46 0.1 0.1

グレナダ 14.5 54 99 98 99 93 85 54 52

グアテマラ 39.8 110 92 41 98 95 41 39 89 84 43 34 28 0.5 0.3

ギニア 141.5 680 153 46 77 67 36 22 67 51 9 4 21 23 17 0.4 0.9

ギニアビサウ 192.6 1000 170 39 61 44 12 7 78 62 10 6 18 0.8 2.0

ガイアナ 35.3 270 90 83 99 99 43 40 47 50 0.6 0.8

ハイチ 86.7 300 69 26 21 22 32 24 38 40 34 0.6 1.3

ホンジュラス 29.7 110 108 67 96 98 93 95 65 56 17 30 0.3 0.2

ハンガリー 6.3 13 19 100 96 95 91 91 98 99 81 71 7 <0.1 <0.1

アイスランド 3.0 5 15 98 98 89 91 0.1 0.1

国/領域/その他の地域

15-49歳の女性の避妊 実行率 (すべての方法、%、1990/2010)*

家族計画のアンメットニーズ(満たされないニーズ)の割合(%、1992/2009)*

15-49歳の女性の避妊実行率(近代的避妊法、%、1990/2010)*

セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの指標

HIV/エイズの 正しい知識を もっている 15-24歳人口の割合(%、2000/2008)*

5歳未満児死亡率(出生千対、 2009)

妊産婦 死亡率 (出生10万対、2008)

15-19歳の女子1000人あたりの 出生数 (1996/ 2008)*

専門技能者の立会いの下での出産の割合 (%、1992/ 2009)*

初等教育 就学率 (%、1991/ 2009)*

中等教育 就学率 (%、1999/ 2010)*

15-24歳 人口の識字率 (%、1991/ 2008)*

15-24歳人口のHIV/エイズ感染率(%、2009)

男    女 男    女 男    女 男    女 男    女

妊産婦と新生児の健康の指標 教育の指標

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カイロ会議の目標の検証

112 指標

インド 65.6 230 45 47 97 94 88 74 56 49 13 36 20 0.1 0.1

インドネシア 38.9 240 52 79 69 68 97 96 61 57 9 15 10 0.1 <0.1

イラン 30.9 30 31 97 95 92 97 96 73 59 <0.1 <0.1

イラク 43.5 75 68 80 93 81 48 38 85 80 50 33 3

アイルランド 4.2 3 17 100 96 98 86 90 65 61 0.1 0.1

イスラエル 4.4 7 15 97 98 85 88 0.1 <0.1

イタリア 4.0 5 7 100 99 94 95 100 100 63 41 12 <0.1 <0.1

ジャマイカ 30.9 89 60 97 82 79 75 78 92 98 69 66 12 60 1.0 0.7

日本 3.3 6 5 100 98 98 54 44 <0.1 <0.1

ヨルダン 25.3 59 28 99 93 94 80 84 99 99 59 41 12 13

カザフスタン 28.7 45 31 100 99 100 90 91 100 100 51 49 9 22 0.1 0.2

ケニア 84.0 530 103 44 82 83 51 48 92 93 46 39 26 47 34 1.8 4.1

キリバチ 46.2 39 63 64 71 36 31

北朝鮮 33.3 250 1 97 100 100 69 58

韓国 4.9 18 2 100 100 98 97 94 80 70 <0.1 <0.1

クウェート 9.9 9 13 98 94 93 77 80 98 99 52 39

キルギス 36.6 81 29 98 91 91 79 80 100 100 48 46 12 20 0.1 0.1

ラオス 58.6 580 110 20 84 81 39 33 89 79 38 29 27 0.1 0.2

ラトビア 8.0 20 18 100 99 98 100 100 68 56 17 0.2 0.1

レバノン 12.4 26 18 98 92 90 71 79 98 99 58 34 0.1 <0.1

レソト 83.5 530 98 55 71 75 22 36 86 98 47 46 31 18 26 5.4 14.2

リベリア 112.0 990 177 46 85 66 25 14 70 80 11 10 36 27 21 0.3 0.7

リビア 18.5 64 4 94 100 100 45 26

リトアニア 6.2 13 19 100 96 96 91 92 100 100 51 33 18 <0.1 <0.1

ルクセンブルク 2.6 17 10 100 97 98 82 85 0.1 0.1

マダガスカル 57.7 440 148 51 99 100 23 24 73 68 40 28 19 16 19 0.1 0.1

マラウイ 110.0 510 177 54 89 94 26 24 87 85 41 38 28 42 42 3.1 6.8

マレーシア 6.1 31 12 98 96 96 66 71 98 99 55 30 0.1 <0.1

モルディブ 12.7 37 14 84 97 95 47 54 99 99 35 27 <0.1 <0.1

マリ 191.1 830 190 49 84 70 37 23 47 31 8 6 31 22 18 0.2 0.5

マルタ 6.7 8 17 98 91 92 79 82 98 99 86 46 <0.1 <0.1

マルチニーク 21

モーリタニア 117.1 550 88 61 74 79 17 15 71 63 9 8 32 14 5 0.4 0.3

モーリシャス3 17.0 36 35 98 93 95 79 81 95 97 76 39 4 0.3 0.2

メラネシア 4 57.7 222 66 58 83 82 55 57 67 70 36 21 11 15 0.3 0.7

メキシコ 16.8 85 90 93 99 100 71 74 98 98 71 67 12 0.2 0.1

ミクロネシア連邦 5 29.9 51 80 73 72 59 65 - - 52 46 8 39 27

モルドバ 16.7 32 26 100 91 90 79 80 99 100 68 43 7 39 42 0.1 0.1

モンゴル 28.8 65 19 99 99 99 79 85 93 97 66 61 5 31 <0.1 <0.1

モンテネグロ 9.0 15 17 99 39 17 30

国/領域/その他の地域

15-49歳の女性の避妊 実行率 (すべての方法、%、1990/2010)*

家族計画のアンメットニーズ(満たされないニーズ)の割合(%、1992/2009)*

15-49歳の女性の避妊実行率(近代的避妊法、%、1990/2010)*

セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの指標

HIV/エイズの 正しい知識を もっている 15-24歳人口の割合(%、2000/2008)*

5歳未満児死亡率(出生千対、 2009)

妊産婦 死亡率 (出生10万対、2008)

15-19歳の女子1000人あたりの 出生数 (1996/ 2008)*

専門技能者の立会いの下での出産の割合 (%、1992/ 2009)*

初等教育 就学率 (%、1991/ 2009)*

中等教育 就学率 (%、1999/ 2010)*

15-24歳 人口の識字率 (%、1991/ 2008)*

15-24歳人口のHIV/エイズ感染率(%、2009)

男    女 男    女 男    女 男    女 男    女

妊産婦と新生児の健康の指標 教育の指標

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カイロ会議の目標の検証

113世界人口白書 2011

モロッコ 37.5 110 18 63 92 88 37 32 85 68 63 52 10 12 0.1 0.1

モザンビーク 141.9 550 185 55 82 77 17 15 78 62 17 12 18 33 14 3.1 8.6

ミャンマー 71.2 240 17 57 49 50 96 95 41 38 19 0.3 0.3

ナミビア 47.5 180 74 81 88 93 49 60 91 95 55 54 21 62 65 2.3 5.8

ネパール 48.2 380 106 19 81 66 86 75 48 44 25 44 28 0.2 0.1

オランダ 4.4 9 4 100 99 99 88 89 69 67 0.1 <0.1

ニュージーランド 6.2 14 32 100 99 100 90 92 75 72 <0.1 <0.1

ニカラグア 25.6 100 109 74 93 94 42 48 85 89 72 69 8 22 0.1 0.1

ニジェール 160.3 820 199 33 60 48 11 7 52 23 11 5 16 16 13 0.2 0.5

ナイジェリア 137.9 840 123 39 66 60 29 22 78 65 15 8 20 33 22 1.2 2.9

ノルウェー 3.3 7 9 99 99 96 96 88 82 <0.1 <0.1

パレスチナ自治区 29.5 60 99 77 78 82 87 99 99 50 39

オマーン 12.0 20 8 99 71 73 83 81 98 98 32 25 <0.1 <0.1

パキスタン 87.0 260 20 39 72 60 36 29 79 59 27 19 25 3 0.1 <0.1

パナマ 22.9 71 83 92 99 99 63 69 97 96 0.4 0.3

パプアニューギニア 68.3 250 70 53 65 69 36 20 0.3 0.8

パラグアイ 22.6 95 65 82 91 91 57 62 99 99 79 70 5 0.2 0.1

ペルー 21.3 98 59 71 97 98 75 75 98 97 73 50 7 19 0.2 0.1

フィリピン 33.1 94 53 62 91 93 55 66 94 96 51 34 22 18 12 <0.1 <0.1

ポーランド 6.7 6 14 100 95 96 93 95 100 100 73 28 <0.1 <0.1

ポリネシア6 20.5 26 98 95 94 62 73 99 100 30 28 35

ポルトガル 3.7 7 17 100 99 99 84 92 100 100 87 83 0.3 0.2

カタール 10.8 8 16 99 99 98 65 96 99 99 43 32 <0.1 <0.1

ルーマニア 11.9 27 36 98 96 97 74 72 97 98 70 38 12 1 3 0.1 <0.1

ロシア 12.4 39 29 100 100 100 80 65 0.2 0.3

ルワンダ 110.8 540 43 52 95 97 77 77 36 26 38 54 51 1.3 1.9

サモア 25.3 29 100 94 94 60 68 99 100 29 27 46

サントメプリンシペ 77.8 91 82 88 87 30 35 95 96 38 33 37 44

サウジアラビア 21.0 24 7 91 85 84 70 76 98 96 24 29

セネガル 92.8 410 96 52 75 76 24 18 58 45 12 10 32 24 19 0.3 0.7

セルビア 7.1 8 22 99 96 96 89 91 99 99 41 19 42 0.1 0.1

セイシェル 12.4 59 94 96 95 99 99 99

シエラレオネ 192.3 970 143 42 30 20 66 46 8 6 28 28 17 0.6 1.5

シンガポール 2.8 9 5 100 100 100 62 55 <0.1 <0.1

スロバキア 6.9 6 21 100 80 66 <0.1 <0.1

スロベニア 3.0 18 5 100 98 97 91 92 100 100 79 63 9 <0.1 <0.1

ソロモン諸島 35.8 100 70 70 67 67 32 29 90 80 35 27 11

ソマリア 180.0 1200 123 33 15 1 4 0.4 0.6

南アフリカ共和国 61.9 410 54 91 92 94 59 65 96 98 60 60 14 4.5 13.6

スペイン 4.1 6 13 100 100 93 97 100 100 66 62 12 0.2 0.1

国/領域/その他の地域

15-49歳の女性の避妊 実行率 (すべての方法、%、1990/2010)*

家族計画のアンメットニーズ(満たされないニーズ)の割合(%、1992/2009)*

15-49歳の女性の避妊実行率(近代的避妊法、%、1990/2010)*

セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの指標

HIV/エイズの 正しい知識を もっている 15-24歳人口の割合(%、2000/2008)*

5歳未満児死亡率(出生千対、 2009)

妊産婦 死亡率 (出生10万対、2008)

15-19歳の女子1000人あたりの 出生数 (1996/ 2008)*

専門技能者の立会いの下での出産の割合 (%、1992/ 2009)*

初等教育 就学率 (%、1991/ 2009)*

中等教育 就学率 (%、1999/ 2010)*

15-24歳 人口の識字率 (%、1991/ 2008)*

15-24歳人口のHIV/エイズ感染率(%、2009)

男    女 男    女 男    女 男    女 男    女

妊産婦と新生児の健康の指標 教育の指標

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カイロ会議の目標の検証

114 指標

スリランカ 14.7 39 28 99 99 100 97 99 68 53 7 <0.1 <0.1

セント・クリストファー ネービス 14.9 67 100 93 98 85 92

セント・ヴィンセントおよび グレナディーン諸島 12.4 72 100 100 97 85 95

セント・ルシア 19.8 50 98 94 93 77 82

スーダン 7 108.2 750 72 49 46 38 89 82 8 6 26 0.5 1.3

スリナム 26.3 100 66 90 91 90 55 74 96 95 46 45 41 0.6 0.4

スワジランド 73.0 420 111 69 82 84 31 26 92 95 51 47 24 52 52 6.5 15.6

スウェーデン 2.8 5 6 95 94 99 99 75 65 <0.1 <0.1

スイス 4.4 10 4 99 100 87 83 82 78 0.2 0.1

シリア 16.2 46 75 93 99 93 70 69 96 93 58 43 7

タジキスタン 61.2 64 27 88 99 96 88 77 100 100 37 32 2 <0.1 <0.1

タンザニア 107.9 790 139 43 96 95 79 76 34 26 22 42 39 1.7 3.9

タイ 13.5 48 43 97 91 89 68 76 98 98 81 80 3 46

マケドニア (旧ユーゴスラビア) 10.5 9 21 99 92 92 82 81 99 99 14 10 27

東ティモール 56.4 370 59 18 79 76 22 21 4

トーゴ 97.5 350 89 62 98 89 30 15 87 80 17 11 32 15 0.9 2.2

トリニダード・トバゴ 35.3 55 33 98 96 95 72 77 100 100 43 38 54 1.0 0.7

チュニジア 20.7 60 6 95 99 100 67 76 98 96 60 52 12 <0.1 <0.1

トルコ 20.3 23 51 91 96 94 77 70 99 94 73 46 6 <0.1 <0.1

トルクメニスタン 45.3 77 21 100 100 100 62 45 10 5

ツバル 35.1 23 98 31 22 24

ウガンダ 127.5 430 159 42 96 99 16 15 89 86 24 18 41 38 32 2.3 4.8

ウクライナ 15.1 26 30 99 89 90 84 85 100 100 67 48 10 43 45 0.2 0.3

アラブ首長国連邦 7.4 10 22 99 99 99 82 84 94 97 28 24

英国 5.5 12 26 99 100 100 92 95 84 84 0.2 0.1

米国 7.8 24 41 99 93 94 88 89 79 73 7 0.3 0.2

ウルグアイ 13.4 27 60 100 98 98 66 73 99 99 77 75 0.3 0.2

ウズベキスタン 36.1 30 26 100 92 90 93 91 100 100 65 59 14 7 31 <0.1 <0.1

バヌアツ 16.3 92 74 99 97 41 35 94 94 38 37 15

ベネズエラ 17.5 68 101 95 92 93 67 75 98 99 70 62 19

ベトナム 23.6 56 35 88 97 92 97 96 80 69 5 50 44 0.1 0.1

イエメン 66.4 210 80 36 80 66 49 26 95 70 28 19 39 2

ザンビア 141.3 470 151 47 96 97 82 68 41 27 27 37 34 4.2 8.9

ジンバブエ 89.5 790 101 80 90 91 98 99 60 58 13 46 44 3.3 6.9

国/領域/その他の地域

15-49歳の女性の避妊 実行率 (すべての方法、%、1990/2010)*

家族計画のアンメットニーズ(満たされないニーズ)の割合(%、1992/2009)*

15-49歳の女性の避妊実行率(近代的避妊法、%、1990/2010)*

セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの指標

HIV/エイズの 正しい知識を もっている 15-24歳人口の割合(%、2000/2008)*

5歳未満児死亡率(出生千対、 2009)

妊産婦 死亡率 (出生10万対、2008)

15-19歳の女子1000人あたりの 出生数 (1996/ 2008)*

専門技能者の立会いの下での出産の割合 (%、1992/ 2009)*

初等教育 就学率 (%、1991/ 2009)*

中等教育 就学率 (%、1999/ 2010)*

15-24歳 人口の識字率 (%、1991/ 2008)*

15-24歳人口のHIV/エイズ感染率(%、2009)

男    女 男    女 男    女 男    女 男    女

妊産婦と新生児の健康の指標 教育の指標

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115世界人口白書 2011

15-49歳の女性の避妊 実行率 (すべての方法、%、1990/2010)*

家族計画のアンメットニーズ(満たされないニーズ)の割合(%、1992/2009)*

15-49歳の女性の避妊実行率(近代的避妊法、%、1990/2010)*

セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの指標

HIV/エイズの 正しい知識を もっている 15-24歳人口の割合(%、2000/2008)*

5歳未満児死亡率(出生千対、 2009)

妊産婦 死亡率 (出生10万対、2008)

15-19歳の女子1000人あたりの 出生数 (1996/ 2008)*

専門技能者の立会いの下での出産の割合 (%、1992/ 2009)*

初等教育 就学率 (%、1991/ 2009)*

中等教育 就学率 (%、1999/ 2010)*

15-24歳 人口の識字率 (%、1991/ 2008)*

15-24歳人口のHIV/エイズ感染率(%、2009)

男    女 男    女 男    女 男    女 男    女

妊産婦と新生児の健康の指標 教育の指標

世界/地域データ

世界全体 61.7 265 49 66 89 86 61 61 91 86 63 56 22 31 19 0.4 0.7

先進工業地域 8 7.1 18 24 99 96 96 90 91 99 100 72 62 12 29 32 0.2 0.1

開発途上地域 9 66.9 293 53 63 88 85 53 53 90 84 61 55 23 31 19 0.4 0.8

後発開発途上国 10 122.4 597 120 39 76 73 31 24 75 65 30 24 27 28 20 0.8 1.7

アラブ諸国 11 50.7 247 45 72 86 80 63 59 91 84 47 39 21 18 7 0.2 0.3

アジア・太平洋地域 12 50.0 193 34 64 93 89 22 56 93 86 67 61 21 32 18 0.1 0.1

東ヨーロッパ・ 中央アジア地域 13 19.7 30 31 97 94 94 85 83 99 99 70 50 13 20 26 0.1 0.2

ラテンアメリカ・ カリブ海地域 14 22.4 85 74 89 94 94 72 76 97 98 73 67 17 34 30 0.3 0.2

サハラ以南の アフリカ地域15 130.1 638 122 47 76 72 30 25 76 67 25 19 26 32 25 1.6 4.0

カイロ会議の目標の検証

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116 指標

人口(百万人)(2011)

人口総数 (百万人)(2011)**

年平均人口増加率(%、2010-2015)

都市人口の 割合(%、2010)

15-49歳女性の合計特殊出生率(2010-2015の年平均)

平均寿命(歳、2010-2015の年平均)

衛生施設を 利用している 人の割合 (%、2000/ 2008)*

1日1.25ドル未満 (PPPによる)で 生活する人口の 割合(%、1992/ 2008)*男    女男    女

アフガニスタン 32.4 16.7 15.6 3.1 23 6.0 49 49 37

アルバニア 3.2 1.6 1.6 0.3 52 1.5 74 80 98 2

アルジェリア 36.0 18.2 17.8 1.4 66 2.1 72 75 95 7

アンゴラ 19.6 9.7 9.9 2.7 59 5.1 50 53 57 54

アンチグア・バーブーダ島 0.0 0.0 0.0 1.0 30 95

アルゼンチン 40.8 19.9 20.8 0.9 92 2.2 72 80 90 3

アルメニア 3.1 1.4 1.7 0.3 64 1.7 71 77 90 4

オーストラリア 1 22.6 11.3 11.3 1.3 89 1.9 80 84 100

オーストリア 8.4 4.1 4.3 0.2 68 1.3 78 84 100

アゼルバイジャン 9.3 4.6 4.7 1.2 52 2.1 68 74 45 2

バハマ 0.3 0.2 0.2 1.1 84 1.9 73 79 100

バーレーン 1.3 0.8 0.5 2.1 89 2.4 75 76

バングラデシュ 150.5 76.2 74.3 1.3 28 2.2 69 70 53 50

バルバドス 0.3 0.1 0.1 0.2 44 1.6 74 80 100

ベラルーシ 9.6 4.4 5.1 -0.3 75 1.5 65 76 93 2

ベルギー 10.8 5.3 5.5 0.3 97 1.8 77 83 100

ベリーズ 0.3 0.2 0.2 2.0 52 2.7 75 78 90 13

ベナン 9.1 4.5 4.6 2.7 42 5.1 55 59 12 47

ブータン 0.7 0.4 0.3 1.5 35 2.3 66 70 65 26

ボリビア 10.1 5.0 5.1 1.6 67 3.2 65 69 25 12

ボスニア・ヘルツェゴビナ 3.8 1.8 1.9 -0.2 49 1.1 73 78 95 2

ボツワナ 2.0 1.0 1.0 1.1 61 2.6 54 51 60 31

ブラジル 196.7 96.7 99.9 0.8 87 1.8 71 77 80 5

ブルネイ 0.4 0.2 0.2 1.7 76 2.0 76 81

ブルガリア 7.4 3.6 3.8 -0.7 71 1.5 70 77 100 2

ブルキナファソ 17.0 8.4 8.5 3.0 26 5.8 55 57 11 57

ブルンジ 8.6 4.2 4.4 1.9 11 4.1 50 53 46 81

カンボジア 14.3 7.0 7.3 1.2 20 2.4 62 65 29 26

カメルーン 20.0 10.0 10.0 2.1 58 4.3 51 54 47 33

カナダ 34.3 17.0 17.3 0.9 81 1.7 79 83 100

カーボヴェルデ 0.5 0.2 0.3 0.9 61 2.3 71 78 54 21

中央アフリカ共和国 4.5 2.2 2.3 2.0 39 4.4 48 51 34 62

チャド 11.5 5.7 5.8 2.6 28 5.7 49 52 9 62

チリ 17.3 8.5 8.7 0.9 89 1.8 76 82 96 2

中国 1347.6 699.6 647.9 0.4 47 1.6 72 76 55 16

コロンビア 46.9 23.1 23.8 1.3 75 2.3 70 78 74 16

国/領域/その他の地域

人口・社会・経済指標

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117世界人口白書 2011

人口・社会・経済指標

国/領域/その他の地域

人口(百万人)(2011)

人口総数 (百万人)(2011)**

年平均人口増加率(%、2010-2015)

都市人口の 割合(%、2010)

15-49歳女性の合計特殊出生率(2010-2015の年平均)

平均寿命(歳、2010-2015の年平均)

衛生施設を 利用している 人の割合 (%、2000/ 2008)*

1日1.25ドル未満 (PPPによる)で 生活する人口の 割合(%、1992/ 2008)*男    女男    女

コモロ 0.8 0.4 0.4 2.5 28 4.7 60 63 36 46

コンゴ民主共和国 2 67.8 33.7 34.1 2.6 35 5.5 47 51 23 59

コンゴ共和国 4.1 2.1 2.1 2.2 62 4.4 57 59 30 54

コスタリカ 4.7 2.4 2.3 1.4 64 1.8 77 82 95 2

コートジボワール 20.2 10.3 9.9 2.2 51 4.2 55 58 23 23

クロアチア 4.4 2.1 2.3 -0.2 58 1.5 73 80 99 2

キューバ 11.3 5.7 5.6 0.0 75 1.5 77 81 91

キプロス 1.1 0.6 0.5 1.1 70 1.5 78 82 100

チェコ 10.5 5.2 5.4 0.3 74 1.5 75 81 98 2

デンマーク 5.6 2.8 2.8 0.3 87 1.9 77 81 100

ジブチ 0.9 0.5 0.5 1.9 76 3.6 57 60 56 19

ドミニカ 0.0 0.0 0.0 0.0 67 81

ドミニカ共和国 10.1 5.0 5.0 1.2 69 2.5 71 77 83 4

エクアドル 14.7 7.3 7.3 1.3 67 2.4 73 79 92 5

エジプト 82.5 41.4 41.1 1.7 43 2.6 72 76 94 2

エルサルバドル 6.2 3.0 3.3 0.6 64 2.2 68 77 87 6

赤道ギニア 0.7 0.4 0.4 2.7 40 5.0 50 53 51

エリトリア 5.4 2.7 2.7 2.9 22 4.2 60 64 14

エストニア 1.3 0.6 0.7 -0.1 69 1.7 70 80 95 2

エチオピア 84.7 42.2 42.6 2.1 17 3.8 58 62 12 39

フィジー 0.9 0.4 0.4 0.8 52 2.6 67 72

フィンランド 5.4 2.6 2.7 0.3 85 1.9 77 83 100

フランス 63.1 30.7 32.4 0.5 85 2.0 78 85 100

ガボン 1.5 0.8 0.8 1.9 86 3.2 62 64 33 5

ガンビア 1.8 0.9 0.9 2.7 58 4.7 58 60 67 34

グルジア 4.3 2.0 2.3 -0.6 53 1.5 71 77 95 13

ドイツ 82.2 40.3 41.9 -0.2 74 1.5 78 83 100

ガーナ 25.0 12.7 12.3 2.3 51 4.0 64 66 13 30

ギリシャ 11.4 5.6 5.8 0.2 61 1.5 78 83 98

グレナダ 0.1 0.1 0.1 0.4 39 2.2 74 78 97

グアテマラ 14.8 7.2 7.6 2.5 49 3.8 68 75 81 12

ギニア 10.2 5.2 5.1 2.5 35 5.0 53 56 19 70

ギニアビサウ 1.5 0.8 0.8 2.1 30 4.9 47 50 21 49

ガイアナ 0.8 0.4 0.4 0.2 29 2.2 67 73 81 8

ハイチ 10.1 5.0 5.1 1.3 52 3.2 61 64 17 55

ホンジュラス 7.8 3.9 3.9 2.0 52 3.0 71 76 71 18

ハンガリー 10.0 4.7 5.2 -0.2 68 1.4 71 78 100 2

アイスランド 0.3 0.2 0.2 1.2 93 2.1 80 84 100

インド 1241.5 641.0 600.5 1.3 30 2.5 64 68 31 42

インドネシア 242.3 120.8 121.5 1.0 44 2.1 68 72 52 29

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118 指標

人口・社会・経済指標

国/領域/その他の地域

人口(百万人)(2011)

人口総数 (百万人)(2011)**

年平均人口増加率(%、2010-2015)

都市人口の 割合(%、2010)

15-49歳女性の合計特殊出生率(2010-2015の年平均)

平均寿命(歳、2010-2015の年平均)

衛生施設を 利用している 人の割合 (%、2000/ 2008)*

1日1.25ドル未満 (PPPによる)で 生活する人口の 割合(%、1992/ 2008)*男    女男    女

イラン 74.8 37.9 36.9 1.0 71 1.6 72 75 83 2

イラク 32.7 16.4 16.3 3.1 66 4.5 68 73 73

アイルランド 4.5 2.3 2.3 1.1 62 2.1 78 83 99

イスラエル 7.6 3.7 3.8 1.7 92 2.9 80 84 100

イタリア 60.8 29.8 31.0 0.2 68 1.5 79 85

ジャマイカ 2.8 1.4 1.4 0.4 52 2.3 71 76 83 2

日本 126.5 61.6 64.9 -0.1 67 1.4 80 87 100

ヨルダン 6.3 3.3 3.1 1.9 79 2.9 72 75 98 2

カザフスタン 16.2 7.8 8.4 1.0 59 2.5 62 73 97 2

ケニア 41.6 20.8 20.8 2.7 22 4.6 57 59 31 20

キリバチ 0.0 0.0 0.0 1.5 44 35

北朝鮮 24.5 12.0 12.5 0.4 60 2.0 66 72 59

韓国 48.4 24.1 24.3 0.4 83 1.4 77 84 100

クウェート 2.8 1.7 1.1 2.4 98 2.3 74 76 100

キルギス 5.4 2.7 2.7 1.1 35 2.6 64 72 93 3

ラオス 6.3 3.1 3.1 1.3 33 2.5 66 69 53 44

ラトビア 2.2 1.0 1.2 -0.4 68 1.5 69 79 78 2

レバノン 4.3 2.1 2.2 0.7 87 1.8 71 75 98

レソト 2.2 1.1 1.1 1.0 27 3.1 50 48 29 43

リベリア 4.1 2.1 2.1 2.6 48 5.0 56 59 17 84

リビア 6.4 3.2 3.2 0.8 78 2.4 73 78 97

リトアニア 3.3 1.5 1.8 -0.4 67 1.5 67 78 2

ルクセンブルク 0.5 0.3 0.3 1.4 85 1.7 78 83 100

マダガスカル 21.3 10.6 10.7 2.8 30 4.5 65 69 11 68

マラウイ 15.4 7.7 7.7 3.2 20 6.0 55 55 56 74

マレーシア 28.9 14.6 14.2 1.6 72 2.6 73 77 96 2

モルディブ 0.3 0.2 0.2 1.3 40 1.7 76 79 98

マリ 15.8 7.9 7.9 3.0 36 6.1 51 53 36 51

マルタ 0.4 0.2 0.2 0.3 95 1.3 78 82 100

マルチニーク 0.4 0.2 0.2 0.3 89 1.8 77 84

モーリタニア 3.5 1.8 1.8 2.2 41 4.4 57 61 26 21

モーリシャス3 1.3 0.6 0.7 0.5 42 1.6 70 77 91

メラネシア 4 8.9 4.6 4.4 2.1 18 3.7 63 67 44 36

メキシコ 114.8 56.6 58.2 1.1 78 2.2 75 80 85 4

ミクロネシア連邦 5 0.5 0.3 0.3 1.1 67 2.7 72 76 65

モルドバ 3.5 1.7 1.9 -0.7 47 1.5 66 73 79 2

モンゴル 2.8 1.4 1.4 1.5 62 2.4 65 73 50 2

モンテネグロ 0.6 0.3 0.3 0.1 61 1.6 73 77 92 2

モロッコ 32.3 15.8 16.5 1.0 58 2.2 70 75 69 3

モザンビーク 23.9 11.7 12.3 2.2 38 4.7 50 52 17 75

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119世界人口白書 2011

人口・社会・経済指標

国/領域/その他の地域

人口(百万人)(2011)

人口総数 (百万人)(2011)**

年平均人口増加率(%、2010-2015)

都市人口の 割合(%、2010)

15-49歳女性の合計特殊出生率(2010-2015の年平均)

平均寿命(歳、2010-2015の年平均)

衛生施設を 利用している 人の割合 (%、2000/ 2008)*

1日1.25ドル未満 (PPPによる)で 生活する人口の 割合(%、1992/ 2008)*男    女男    女

ミャンマー 48.3 23.8 24.5 0.8 34 1.9 64 68 81

ナミビア 2.3 1.2 1.2 1.7 38 3.1 62 63 33 49

ネパール 30.5 15.1 15.4 1.7 19 2.6 68 70 31 55

オランダ 16.7 8.3 8.4 0.3 83 1.8 79 83 100

ニュージーランド 4.4 2.2 2.2 1.0 86 2.1 79 83

ニカラグア 5.9 2.9 3.0 1.4 57 2.5 71 77 52 16

ニジェール 16.1 8.1 8.0 3.5 17 6.9 55 56 9 66

ナイジェリア 162.5 82.3 80.2 2.5 50 5.4 52 53 32 64

ノルウェー 4.9 2.5 2.5 0.7 79 1.9 79 83 100

パレスチナ自治区 4.2 2.1 2.0 2.8 74 4.3 72 75 89

オマーン 2.8 1.7 1.2 1.9 73 2.1 71 76 87

パキスタン 176.7 89.8 86.9 1.8 36 3.2 65 67 45 23

パナマ 3.6 1.8 1.8 1.5 75 2.4 74 79 69 10

パプアニューギニア 7.0 3.6 3.4 2.2 13 3.8 61 66 45 36

パラグアイ 6.6 3.3 3.3 1.7 61 2.9 71 75 70 7

ペルー 29.4 14.7 14.7 1.1 77 2.4 72 77 68 8

フィリピン 94.9 47.6 47.3 1.7 49 3.1 66 73 76 23

ポーランド 38.3 18.5 19.8 0.0 61 1.4 72 81 90 2

ポリネシア6 0.7 0.3 0.3 0.7 22 2.9 70 76 98

ポルトガル 10.7 5.2 5.5 0.0 61 1.3 77 83 100

カタール 1.9 1.4 0.5 2.9 96 2.2 79 78 100

ルーマニア 21.4 10.4 11.0 -0.2 57 1.4 71 78 72 2

ロシア 142.8 66.1 76.8 -0.1 73 1.5 63 75 87 2

ルワンダ 10.9 5.4 5.6 2.9 19 5.3 54 57 54 77

サモア 0.2 0.1 0.1 0.5 20 3.8 70 76 100

サントメプリンシペ 0.2 0.1 0.1 2.0 62 3.5 64 66 26 28

サウジアラビア 28.1 15.5 12.6 2.1 82 2.6 73 76

セネガル 12.8 6.3 6.4 2.6 42 4.6 59 61 51 34

セルビア 9.9 4.9 5.0 -0.1 56 1.6 72 77 92 2

セイシェル 0.0 0.0 0.0 0.3 55 2

シエラレオネ 6.0 2.9 3.1 2.1 38 4.7 48 49 13 53

シンガポール 5.2 2.6 2.6 1.1 100 1.4 79 84 100

スロバキア 5.5 2.7 2.8 0.2 55 1.4 72 80 100 2

スロベニア 2.0 1.0 1.0 0.2 50 1.5 76 83 100 2

ソロモン諸島 0.6 0.3 0.3 2.5 19 4.0 67 70 32

ソマリア 9.6 4.7 4.8 2.6 37 6.3 50 53 23

南アフリカ共和国 50.5 25.0 25.5 0.5 62 2.4 53 54 77 26

スペイン 46.5 22.9 23.5 0.6 77 1.5 79 85 100

スリランカ 21.0 10.4 10.7 0.8 14 2.2 72 78 91 14

セント・クリストファーネービス 0.0 0.0 0.0 1.2 32 96

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120 指標

人口・社会・経済指標

国/領域/その他の地域

人口(百万人)(2011)

人口総数 (百万人)(2011)**

年平均人口増加率(%、2010-2015)

都市人口の 割合(%、2010)

15-49歳女性の合計特殊出生率(2010-2015の年平均)

平均寿命(歳、2010-2015の年平均)

衛生施設を 利用している 人の割合 (%、2000/ 2008)*

1日1.25ドル未満 (PPPによる)で 生活する人口の 割合(%、1992/ 2008)*男    女男    女

セント・ヴィンセントおよびグレナディーン諸島 0.1 0.1 0.1 0.0 49 2.0 70 75

セント・ルシア 0.2 0.1 0.1 1.0 28 1.9 72 78 89 21

スーダン 7 44.6 22.5 22.1 2.4 40 4.2 60 64 34

スリナム 0.5 0.3 0.3 0.9 69 2.3 68 74 84 16

スワジランド 1.2 0.6 0.6 1.4 21 3.2 50 49 55 63

スウェーデン 9.4 4.7 4.7 0.6 85 1.9 80 84 100

スイス 7.7 3.8 3.9 0.4 74 1.5 80 85 100

シリア 20.8 10.5 10.3 1.7 56 2.8 74 78 96

タジキスタン 7.0 3.4 3.5 1.5 26 3.2 65 71 94 22

タンザニア 46.2 23.1 23.1 3.1 26 5.5 58 60 24 89

タイ 69.5 34.2 35.4 0.5 34 1.5 71 78 96 2

マケドニア(旧ユーゴスラビア) 2.1 1.0 1.0 0.1 59 1.4 73 77 89 2

東ティモール 1.2 0.6 0.6 2.9 28 5.9 62 64 50 37

トーゴ 6.2 3.0 3.1 2.0 43 3.9 56 59 12 39

トリニダード・トバゴ 1.3 0.7 0.7 0.3 14 1.6 67 74 92 4

チュニジア 10.6 5.3 5.3 1.0 67 1.9 73 77 85 3

トルコ 73.6 36.7 36.9 1.1 70 2.0 72 77 90 3

トルクメニスタン 5.1 2.5 2.6 1.2 50 2.3 61 69 98 25

ツバル 0.0 0.0 0.0 0.2 50 84

ウガンダ 34.5 17.3 17.3 3.1 13 5.9 54 55 48 52

ウクライナ 45.2 20.8 24.4 -0.5 69 1.5 64 75 95 2

アラブ首長国連邦 7.9 5.5 2.4 2.2 84 1.7 76 78 97

英国 62.4 30.7 31.7 0.6 80 1.9 78 82 100

米国 313.1 154.6 158.5 0.9 82 2.1 76 81 100

ウルグアイ 3.4 1.6 1.7 0.3 92 2.0 74 81 100 2

ウズベキスタン 27.8 13.8 14.0 1.1 36 2.3 66 72 100 46

バヌアツ 0.2 0.1 0.1 2.4 26 3.8 70 74 52

ベネズエラ 29.4 14.8 14.7 1.5 93 2.4 72 78 91 4

ベトナム 88.8 43.9 44.9 1.0 30 1.8 73 77 75 22

イエメン 24.8 12.5 12.3 3.0 32 4.9 65 68 52 18

ザンビア 13.5 6.8 6.7 3.0 36 6.3 49 50 49 64

ジンバブエ 12.8 6.3 6.5 2.2 38 3.1 54 53 44

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121世界人口白書 2011

人口(百万人)(2011)

人口総数 (百万人)(2011)**

年平均人口増加率(%、2010-2015)

都市人口の 割合(%、2010)

15-49歳女性の合計特殊出生率(2010-2015の年平均)

平均寿命(歳、2010-2015の年平均)

衛生施設を 利用している 人の割合 (%、2000/ 2008)*

1日1.25ドル未満 (PPPによる)で 生活する人口の 割合(%、1992/ 2008)*男    女男    女

人口・社会・経済指標

世界全体 6974.0 3517.3 3456.8 1.1 50 2.5 68 72 61 26

先進工業地域 8 1240.4 603.1 637.3 0.4 75 1.7 75 82 97 1

開発途上地域 9 5733.7 2914.2 2819.5 1.3 45 2.6 67 70 53 27

後発開発途上国 10 851.1 425.4 425.7 2.2 29 4.2 57 59 36 54

アラブ諸国 11 360.7 185.0 175.7 2.0 56 3.1 69 73 76 5

アジア・太平洋地域 12 3924.2 2008.0 1916.2 0.9 41 2.1 69 72 52 27

東ヨーロッパ・中央アジア地域 13 473.7 226.6 247.0 0.3 65 1.8 68 76 90 5

ラテンアメリカ・カリブ海地域 14 591.4 292.1 299.3 1.1 79 2.2 72 78 80 7

サハラ以南のアフリカ地域15 821.3 410.5 410.8 2.4 37 4.8 54 56 31 5

世界/地域データ

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122 指標

テクニカル・ノート:データの出典と定義

カイロ会議の目標の検証妊産婦と新生児の健康の指標5歳未満児死亡率(2009) 出典:国連経済社会局統計部ミレニアム開発目標指標ウェブサイト(http://mdgs.un.org/unsd/

mdg/)。出生 1000人あたりの率で示される 5歳未満児死亡率は、特定の年に生まれた子どもが現在の年齢別死亡率で死んでいった場合に、5歳に達する前に死亡する確率をいう。妊産婦死亡率(2008) 出典:国連経済社会局統計部ミレニアム開発目標指標ウェブサイト(http://mdgs.un.org/unsd/

mdg/)。妊産婦死亡率は、出生 10万人あたりで示される妊娠中または妊娠終了後 42日以内に、妊娠関連の原因で 1年間に死亡する女性の数。15 - 19歳の女子 1000人あたりの出生数(1996/2008) 出典:国連経済社会局統計部ミレニアム開発目標指標ウェブサイト(http://mdgs.un.org/unsd/mdg/)。この数値は、15 - 19歳の女子 1000人あたりの 1年間の出生数を示す。15 - 19歳の女子の年齢層別出生率とも言われる。専門技能者の立会いの下での出産の割合(1992/2009) 出典:

国連経済社会局統計部ミレニアム開発目標指標ウェブサイト(http://mdgs.un.org/unsd/mdg/)。専門技能者の立会いの下での出産とは、妊娠中・分娩時・産後の時期に女性に必要な監視、ケア、助言も含む救命産科ケアの提供、単独での分娩介助、ならびに新生児ケアに関する訓練を受けた要員の立会いの下での出産の割合を示す。伝統的な助産師は、短期の訓練コースを受けていても、この中には含まれない。

教育の指標男女別、学齢期の子どもの初等教育就学率(1991/2009) 出典:国連経済社会局統計部ミレニアム開発目標指標ウェブサイト(http://mdgs.un.org/unsd/mdg/)。初等教育就学率は、公式の初等教育年齢の子ども総数に対する、国際標準教育分類(ISCED97)に沿った公式の初等教育年齢の児童が初等教育に在学している子ども数の割合。合計初等教育就学率には、初等教育年齢にある子どもが中等教育に在学している場合も含める。初等教育制度が複数あるような国では、公式の学齢集団を決定するのに、最も広く普及した、または最も一般的な制度を使用している。

指標の注 * 現在入手可能なデータで最新のものを使用。最も古いデータの得られた年次をスラッシュ (/)の左側に、最も新しいデータの年次をスラッシュの右側に記載している。

** 人口総数は、男女別人口数を足した数である。この欄の右にある男女別人口数は、小数点以下を四捨五入してあるため、この数を足しても人口総数とは一致しない場合もある。

1 クリスマス島、ココス(キーリング)諸島、ノーフォーク島を含む。

2 旧ザイール。

3 アガレザ諸島、ロドリゲス島、セント・ブランドン島を含む。

4 フィジー、ニューカレドニア、パプアニューギニア、ソロモン諸島、バヌアツからなる。

5 ミクロネシア連邦、グアム、キリバス、マーシャル諸島、ナウル、北マリアナ諸島、パシフィック諸島(パラオ)からなる。

6 米領サモア、クック諸島、ジョンストン島、ピトケアン、サモア、トケラウ、トンガ、ミッドウェー諸島、ツバル、ワリス・フテュナ諸島からなる。

7 現在の南スーダンを含む。

8 先進工業地域(More developed regions)は、北アメリカ、日本、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドで構成されている。

9 開発途上地域(Less developed regions)はアフ

リカ全域、ラテンアメリカ・カリブ海地域、日本を除くアジア、メラネシア、ミクロネシア、ポリネシアで構成されている。

10 後発開発途上国(Least developed countries)は、国連の基準による。

11 アルジェリア、バーレーン、ジブチ、エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モロッコ、パレスチナ自治区、オマーン、カタール、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、シリア、チュニジア、アラブ首長国連邦、イエメンから構成される。

12 UNFPAによるプログラムの実施国・地域のみが含まれる:アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、カンボジア、中国、クック諸島、北朝鮮、フィジー、インド、インドネシア、イラン、キリバチ、ラオス、マレーシア、モルジブ、マーシャル諸島、ミクロネシア、モンゴル、ミャンマー、ナウル、ネパール、ニウエ、パキスタン、パラオ、パプアニューギニア、フィリピン、サモア、ソロモン諸島、スリランカ、タイ、東ティモール、トケラウ、トンガ、ツバル、バヌアツ、ベトナム

13 UNFPAによるプログラムの実施国・地域のみが含まれる:アルバニア、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、グルジア、カザフスタン、キルギス、モルドバ、ルーマニア、ロシア、セルビア、タジキスタン、マケドニア(旧ユーゴスラビア)、トルクメニスタン、ウクライナ、ウズベキスタン

14 UNFPAによるプログラムの実施国・地域のみが含まれる:アンギラ、アンチグア・バーブーダ島、アルゼンチン、バハマ、バルバドス、ベリーズ、バーミューダ、ボリビア、ブラジル、英領バージン諸島、ケイマン諸島、チリ、コロンビア、コスタリカ、キューバ、ドミニカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グレナダ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、メキシコ、モントセラト、オランダ領アンティル諸島、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、セント・ヴィンセントおよびグレナディーン諸島、スリナム、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、ウルグアイ、ベネズエラ

15 UNFPAによるプログラムの実施国・地域のみが含まれる:アンゴラ、ベナン、ボツワナ、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、カーボヴェルデ、中央アフリカ共和国、チャド、コモロ、コンゴ、コートジボワール、コンゴ民主共和国、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、ガボン、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、ケニア、レソト、リベリア、マダガスカル、マラウイ、マリ、モーリタニア、モーリシャス、モザンビーク、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、セイシェル、シエラレオネ、南アフリカ共和国、スワジランド、トーゴ、ウガンダ、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ

16 世界の主要地域別値は、データが入手可能な国の人口による重み付き(加重)平均値である。

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123世界人口白書 2011

男女別、学齢期の子どもの中等教育就学率(1999/2010) 出典:ユネスコ統計研究所データセンターのウェブサイト(http://stats.uis.unesco.org/unesco/TableViewer/document.

aspx?ReportId=143&IF_Language=eng)。中等教育就学率は、公式の中等教育年齢の子ども総数に対する、国際標準教育分類(ISCED97)に沿った公式の中等教育年齢の子どもが中等教育に在学している子ども数の割合。中等教育制度が複数あるような国では、公式の学齢集団を決定するのに、最も広く普及した、または最も一般的な制度を使用している。15- 24歳人口の男女別の識字率(1991/2008) 出典:国連経済社会局統計部ミレニアム開発目標指標ウェブサイト(http://mdgs.un.org/unsd/mdg/)。識字率は、15- 24歳人口のうち、日常生活で使う短く簡単な文を理解したうえで、読み書きができる人の比率をいう。

セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの指標15- 49歳の女性の避妊実行率(すべてのまたは近代的方法、1990/2010) 出典:国連経済社会局人口部(2011)。World

Contraceptive Use 2010, U.N., New York.。避妊実行率とは、事実婚を含む有配偶女性のうち、現在、近代的な避妊法または何らかの避妊法を実行している人の割合をいう。近代的避妊法には、男性・女性の不妊手術、IUD、ピル、注射、ホルモン剤埋め込み法、コンドーム、女性用のバリア法がある。これらの率は、調査対象の年齢層(15歳から 49歳の女性が最も多い)、調査時期や質問事項の細部が異なるため、国と国の比較はおおまかにはできるが、完全にはできない。家族計画のアンメットニーズ(満たされないニーズ)の割合(1992/2009) 出典:国連経済社会局人口部(2011)。World

Contraceptive Use 2010, U.N., New York.。これは有配偶者または事実婚の女性対象の指標である。家族計画のニーズが満たされていない女性には、①妊娠中の女性で受胎時にその妊娠を望んでいなかった人のすべて、②産後無月経期間の女性で避妊をしておらず、直前の出産が望まないものであったり、時期を違えたという人のすべて、③妊娠中でも無月経でもない受胎可能な女性のうち、これ以上子どもは欲しくない人、少なくとも 2

年は出産を延期したい人、または次の子どもが欲しいかどうか、あるいはいつ産みたいかもわからないが、出産の間隔をあけたいと望む人で、現在避妊をしていない人のすべてが入る。避妊の失敗が原因で意図しない妊娠をした女性は家族計画のニーズが満たされていない女性には含まれない。HIV/エイズの正しい知識のもっている 15- 24歳人口の男女別割合(2000/2008) 出典:国連経済社会局統計部ミレニアム開発目標指標ウェブサイト(http://mdgs.un.org/unsd/

mdg/)。この指標は、15- 24歳の人口のうち、性行為により感染するHIVの二大予防法(コンドームの使用と誠実で未感染の相手に限定した性行為)を正しく知り、HIVの感染について国内で最も一般的な二つの誤解を間違っていると認識してお

り、しかも健康に見える人がHIVを感染させることもあることを知っている人の割合を示す。15- 24歳人口の男女別HIV/エイズ感染率(2009) 出典:UNAIDS, 2010 . Global Report: UNAIDS report on the global

AIDS epidemic 2010, Geneva: UNAIDS.。HIV/エイズ感染率は、HIVとともに生きている 15- 24歳の男女の推定割合をいう。

人口・社会・経済指標人口総数と男女別人口(2011) 出典:国連経済社会局人口部(2011).『世界人口推計 2010年版』World Population Prospects:

The 2010 Revision. New York. U.N.。人口は、各国・地域における各指標年の 7月 1日時点の国・地域の人口を百万人単位で示したもの。中位推計値に基づいている。年平均人口増加率(2010- 2015) 出典:国連経済社会局人口部(2011). 『世界人口推計 2010年版』 World Population

Prospects: The 2010 Revision. New York. U.N.。人口増加率は、ある期間の平均指数関数的増加率のこと。中位推計に基づく。都市人口の割合(2010) 出典:国連経済社会局人口部 (2010)。World Urbanization Prospects: The 2009 Revision, New York:

U.N.。各国の国民のうち、その国が「都市」と定義する地域に居住する人の割合。典型的には、2000人以上の町と首都または州・県レベルの地方行政府所在地を「都市」と分類する。15- 49歳の女性の合計特殊出生率(2010- 2015の年平均) 出典:国連経済社会局人口部(2011). 『世界人口推計 2010年版』 World Population Prospects: The 2010 Revision. New York. U.N.。合計特殊出生率は、15歳から 49歳の間の年齢別出生率が不変であると仮定した場合に、女性が生涯に産むであろう子ども数の平均で、中位推計に基づく。男女別平均寿命(2010- 2015) 出典:国連経済社会局人口部(2011). 『世界人口推計 2010年版』 World Population

Prospects: The 2010 Revision. New York. U.N.。平均寿命は、生涯にわたり出生時と同じ保健・生活状況が続く場合に、新生児が生存すると見込まれる年数の平均。衛生施設を利用できる人口の割合(2000/2008) 出典:国連経済社会局人口部ミレニアム開発目標指標ウェブサイト(http://mdgs.un.org/unsd/mdg/)。衛生施設を利用できる人口の割合とは、人間の排泄物に人間が接触しないように衛生的に分離されている施設を利用できる人の割合をいう。1日 1.25ドル未満(PPPによる)で生活する人口の割合(1992/

2008) 出典:国連経済社会局人口部ミレニアム開発目標指標ウェブサイト(http://mdgs.un.org/unsd/mdg/)。1日 1.25

ドル未満(PPPによる)で生活する人口の割合は、2005年の国際的物価を購買力平価(PPP)で調整して計算した、1日あたり1.25ドル未満で生活している人口の割合をいう。この指標は、「1

日あたり 1ドル(PPP)未満の人口の割合」とされることもある。

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出 典

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UNFPA(国連人口基金)は、すべての女性、男性、そして子どもが健康な生活を送り、平等な機会を享受できる世界を実現するために活動する国際開発機関です。UNFPAは、貧困を減らし、望まれない妊娠をなくし、すべての出産が安全に行われ、すべての若者がHIV/エイズの脅威にさらされることなく生活し、すべての女性と少女が尊重され、尊厳ある人生を送ることができるよう、人口統計データを用いながら、さまざまな国の政策を支援しています。

すべての人に価値がある。だから、UNFPAは活動を続けます。

『世界人口白書 2011』の英語版は、UNFPAのホームページhttp://www.unfpa.orgで、ご覧いただけます。

  日本語版監修:      阿藤 誠(早稲田大学特任教授)  日本語版制作:      公益財団法人ジョイセフ      〒162-0843 東京都新宿区市谷田町1−10             保健会館新館      電 話 03-3268-5875      FAX 03-3235-9776      E-mail [email protected]      URL http://www.joicfp.or.jp  印刷:NPC日本印刷株式会社

白書には、再生紙を使用しています。

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United Nations Population Fund605 Third AvenueNew York, NY 10158 USATel. +1-212 297-5000www.unfpa.org

1 貧困と不平等:悪循環を断ち切るために貧困と不平等の撲滅が人口増加を緩和する。

女性と少女:エンパワーメントが発展を促す女性と少女への抑圧をなくすことがあらゆる面の発展を加速する。

若者:未来への原動力エネルギーに満ち溢れ、新しいテクノロジーに対し柔軟な若い世代がグローバルな政治と文化を形成する。

リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:すべての命を守るためにすべての子どもが望まれて生まれ、出産が安全なものであれば、家族はより小さな規模になり、より強くなる。

環境:地球環境の保護が、私たちの生活を支えていく私たち一人ひとりの生活は、地球環境によって左右される。だからこそ、環境を守らなければいけない。

高齢化:前例のないチャレンジ高齢者の健康を守り、生産性を高めることにより、高齢化社会の抱える様々な課題を軽減できる。

都市化:これから都市はますます大きくなるこれから増える20億人が都市に住む可能性に備え、計画する必要がある。

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7

www.7billionactions.orgISBN978-4-906581-30-6-C0320-¥0E

7つの課題

「70億人の世界、7つの課題」:いま、私たち一人ひとりが協力するとき人類にとって節目となるこの出来事は、重要な挑戦(challenge)であると同時に機会(opportunity)でもある。