粉末指数付けの原理と用語...
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CONTENTS
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粉末指数付けの原理
1. 解析のソフトウェアを立ち上げて、実行ボタンを押すところまでやってみる。
• 結晶学のエッセンスを理解
• 実験結果の解析(限られた時間の中で正しい結果を導きだす)
目標
近道
2. ソフトウェアマニュアルを読む。
3. 実行ボタンを押したとき、中で何が起こっているかを知る。
4. さらに、中でどうやって計算しているかを知る。
CONOGRAPH GUIの探し方
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http://research.kek.jp/people/rtomi/ConographGUI/web_page.html
「Conograph GUI」 で検索
Conograph GUIのページ
CUI
ソースコード
「粉末指数付け」 「powder indexing」
その他のKeywords
粉末指数付けの概略
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粉末回折パターン
ピーク位置(横軸の座標)を取得
ピークサーチ
回折
格子定数: a, b, c, α, β, γ
a c
b
γ α
β Rietveld 法
未知構造解析
結晶構造
粉末指数付け
ピークサーチ
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2θTOF q値}変換
Autoindexing
ピークサーチ
ブラベー格子決定
ソートされたリスト
出力
格子定数候補のリスト
FOMによるソート
xi: ピーク位置
di: ピークの半値幅
--
xi
di
hi=I(xi)-b(xi)
ピークのパラメータ
hi: ピーク高さ
バックグラウンド曲線
Conographのピークサーチ
ピーク高さを基準としたピークサーチ
(xi,b(xi))
(xi,I(xi))
hi > c×Err[I(xi)]
c: 3—10程度の数字(入力値)
Err[I(xi)]: 観測値 I(xi) の誤差 (入力値)
or hi > c
ピーク位置(2Θ , TOF)を 値に変換
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2θTOF q値}変換
Autoindexing
ピークサーチ
ブラベー格子決定
ソートされたリスト
出力
格子定数候補のリスト
FOMによるソート
q
λ
⇐とりあえず0を入力
⇐装置ごとに決まる値
⇐装置ごとに決まる値
変換に用いるパラメータ
1. ピークサーチ実行ボタンを押す2. 上記のパラメータを変更3. 粉末指数付けの実行ボタンを押す
粉末指数付けの基本的な流れ
ピーク位置(2Θ , TOF)を 値に変換
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2θTOF q値}変換
Autoindexing
ピークサーチ
ブラベー格子決定
ソートされたリスト
出力
格子定数候補のリスト
FOMによるソート
TOF = c0 + c1d + c2d2 + ….
q2 2sin
2 2d
(角度分散法)
(飛行時間法)
2. 得られたd-spacingの値に対応する、d*値, q値を算出。
1. 入力された波長λ, Δ2θから、各ピークの2θに対応するd-spacingの値を算出。
変換の手順(角度分散法の場合):
* 1d d
2 2* 1/q d d
d*値
q値
2 22sin2
d
注) Q=2πd* も Q値と呼ばれる。
ピーク位置(2Θ , TOF)を 値に変換
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q
2θTOF q値}変換
Autoindexing
ピークサーチ
ブラベー格子決定
ソートされたリスト
出力
格子定数候補のリスト
FOMによるソート
ピークのミラー指数を [hkl]とする。
2
2
2
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cos coscos coscos cos
da ab ac h
h k l ab b bc kac bc c l
2
2
2
1cos cos
* 1 cos coscos cos
a ab ac hd d h k l ab b bc k
ac bc c l
2
2 2
2
1cos cos
* cos coscos cos
a ab ac hq d h k l ab b bc k
ac bc c l
求める格子定数: a, b, c, α, β, γ
格子定数とd値、d*値、q値の関係
AUTOINDEXING (格子定数のリストの生成)
10
2θTOF q値}変換
Autoindexing
ピークサーチ
ブラベー格子決定
ソートされたリスト
出力
格子定数候補のリスト
FOMによるソート
各ピークに対応するq値 qi が得られたとする。
2
2
2
1cos cos
cos coscos cos
i
i i i i i
i
a ab ac hq h k l ab b bc k
ac bc c l
2
2
2
11 12 13
12 22 23
13 23 33
1cos cos
cos coscos cos
s s s a ab acs s s ab b bcs s s ac bc c
とおくと
11 22 33 12 13 232 2 2 2 2 2i i i i i i i i i iq h s k s l s h k s h l s k l s
1 1 11 1 22 1 33 1 1 12 1 1 13 1 1 232 2 2 2 2 2q h s k s l s h k s h l s k l s
11 22 33 12 13 232 2 2 2 2 2n n n n n n n n n nq h s k s l s h k s h l s k l s
連立
方程式
左辺のq値は観測値 右辺のパラメータは全て未知
⇑ こう書くとあまり出来そうに見えない。
AUTOINDEXING (格子定数のリストの生成)
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2θTOF q値}変換
Autoindexing
ピークサーチ
ブラベー格子決定
ソートされたリスト
出力
格子定数候補のリスト
FOMによるソート
各ミラー指数 [hikili] (i=1,…,n) に対応するピークのq値qi が得られたとする。
2
2
2
1cos cos
cos coscos cos
i
i i i i i
i
a ab ac hq h k l ab b bc k
ac bc c l
2
2
2
11 12 13
12 22 23
13 23 33
1cos cos
cos coscos cos
s s s a ab acs s s ab b bcs s s ac bc c
とおくと
11 22 33 12 13 232 2 2 2 2 2i i i i i i i i i iq h s k s l s h k s h l s k l s
1 1 11 1 22 1 33 1 1 12 1 1 13 1 1 232 2 2 2 2 2q h s k s l s h k s h l s k l s
11 22 33 12 13 232 2 2 2 2 2n n n n n n n n n nq h s k s l s h k s h l s k l s
連立
方程式
左辺のq値は観測値 右辺のパラメータは全て未知変数
⇑ こう書くとあまり出来そうに見えない。
AUTOINDEXING (格子定数のリストの生成)
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2θTOF q値}変換
Autoindexing
ピークサーチ
ブラベー格子決定
ソートされたリスト
出力
格子定数候補のリスト
FOMによるソート
AUTOINDEXINGの手順(共通)
1 1 11 1 22 1 33 1 1 12 1 1 13 1 1 23
11 22 33 12 13 23
2 2 2 2 2 2
2 2 2 2 2 2mm
i
m m m m m m m mi
q h s k s l s h k s h l s k l s
q h s k s l s h k s h l s k l s
・q1, …, qnのうち用いる
qi1, …, qim を選択
・hikiliを全て選択
sij を求める
格子定数のリスト
毎回保存
選択し直して再計算
Conographの特徴
粉末指数付けの数学上の問題を解決。特に、他のソフトより以下に強く、速い。
消滅則 低角(2θが小さい)ピークが観測範囲に含まれない ゼロ点シフトが大き目
CONOGRAPHのAUTOINDEXINGアルゴリズム概要(1/2)
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1.
1 3 2 4
1 ? 2 4
2 ? 1 3
3 3
2
2
q q q q
q q q q
q q q q
2q 4q?q
1q1q 3q?q
2q
Two Ito equations
2.3q 4q
2q
1q
2q 5q4q
1q
3q 4q2q
1q5q
ブラベー格子手順:
ブラベー格子決定 (観測誤差を考慮)
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2θTOF q値}変換
Autoindexing
ピークサーチ
ブラベー格子決定
ソートされたリスト
出力
格子定数候補のリスト
FOMによるソート
1を決定⇒2を決定
2. Crystal system (rhombohedralを除く)
1. Centering (+ rhombohedral)の決定
単純 or 底心 or 体心 or 面心 or rhombohedral
triclinic, monoclinic, orthogonal, tetragonal, hexagonal, cubic⇒14種類のブラベー格子決定を決定
ピーク位置の誤差得られた格子定数
の誤差
波及
FIGURE OF MERIT (FOM)による格子定数のソート
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2θTOF q値}変換
Autoindexing
ピークサーチ
ブラベー格子決定
ソートされたリスト
出力
格子定数候補のリスト
FOMによるソート
De Wolff FOM によるソートが最も強力。
全てのFOMに共通する特徴
• De Wolff FOM• Wu FOM• Reversed FOM
• Symmetic FOM
値が大きいほど、正解である可能性が高い。 特に、10を超えると正解である可能性が高い。 しかし、正しい解が一番大きな値を取るとは限らない。
De Wolff FOMが見落としやすい良い解を拾うように定義。
De Wolff と Reversedの中間
同じブラベー格子の格子定数なら強力
FIGURE OF MERIT (FOM)による格子定数のソート
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2θTOF q値}変換
Autoindexing
ピークサーチ
ブラベー格子決定
ソートされたリスト
出力
格子定数候補のリスト
FOMによるソート
正解を探すときのお勧めの方法
• De Wolff FOM• Wu FOM• Reversed FOM• Symmetic FOM
14個のブラベー格子における最上位の解の de Wolff FOMの値を比較する。(解が一つも表示されてないブラベー格子は除いてよい)。
このとき、De Wolff FOMが比較的大きく、ブラベー格子
の対称性が高いものは優先的にチェックする。
注) Monoclinic (B), Orthorhombic (C)はde Wolff FOMが
大きくなりやすい。この格子定数が最上位に来たときは他の解もチェックする。
代表的な解析の注意点
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ほぼ同じ結晶格子でも、微細な誤差が原因で、全く異なる格子定数になることがある。これは、以下の選択が誤差の影響で違ってしまったことが原因。
(i) ブラベー格子の選択
(ii) 格子基底の選択(Niggli reduction)
しかし、誤差の範囲を超えて異なる結晶格子が、全く同じピーク位置を持つことも稀に起きる。
粉末指数付けの解の一意性
以下のケースはde Wolff FOMの値が小さくなりやすい。
結果として格子定数のソート結果が不安定になる。
ゼロ点シフトが大きい
不純物ピークがある
消滅則
⇒ FOMが最大となる解だけではなく、他のFOM値が比較的良い格子定数もチェックしてみる。
CUBIC (F) と同じピーク位置を持つ格子定数
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以下の3つの格子定数は、異なる結晶格子に対応しているが、幾何学上の偶然 (geometrical ambiguity) の結果、 全く同じピーク位置を持つ。
問1) Conograph上で上記の格子定数が、全く同じピーク位置を持つことを確認してみよう。
ヒント: 単位胞の体積を比較。
問2) 3つの格子定数が(誤差の範囲を超えて)実際に異なると言えるのはなぜか?
手順: Siliconのサンプルを開く→「格子定数精密化」から、ブラベー格子と格子定数を入力→ミラー指数付け → 精密化して保存
非常によく似たピーク位置を持つ格子定数の見つけ方
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対称性低い格子定数の場合にも、完全に一致するケースが、非常に稀に存在する。
Conographでは、そういうケースに該当しないことのチェックのための機能がある。
22
格子定数を選択
⇒「一意性のチェック」ボタン
その他の注意するケース(DOMINANT ZONE)
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Dominant zone が存在するときも、どれが正解かの判定が難しくなることがある。
*1a
*2a
*3a
* * *3 1 2,a a a
単位胞 粉末回折パターン
Dominant zone problem
| : [hk0]| : [hkl] with l ≠0
上記のケースでは、 の情報があまり FOMの値に効いてこない。*3a
1/d
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