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JAPAN LIFELINE TVI MARKETING REPORT Vol.042 年齢:72 歳 / 性別:男性 狭心症 現病歴:不安定狭心症にてCAG施行し3枝病 変を認めた。責任病変である LAD#6-7 に対し て ad-hoc PCI 施 し、EES(3.0)18mm + EES(2.75)38mm を留置。2 期的に HLbr. に対 して EES(2.25)32mm を留置し良好に拡張した。 今回、残存病変の RCA#1、#3 に対して PCI 施 行した(fig1)。 冠危険因子:糖尿病、高血圧、脂質異常症、慢性 腎臓病 (Cr. 2.35mg/dl、eGFR 22.3ml/min ) Target lesionRCA#1#3 Rt.TFI Guide CatheterHeartrail 7Fr. Wave3-S Guide WireRunthrough NS floppy IVUSViewIT 病変は蛇行の強い、高度石灰化病変であり、 IVUS #2 から不通過であっ た(Fig. 2)。#1-2 IVUS 観察範囲内では表在性に強い石灰化を認めた。 2.75mm balloon にて #1#3 の病変を前拡張した(Fig. 3)。 手技手順 狭窄病変に対する Drug-eluting stent DES)、stent 内再狭窄病変に対する Drug-coated balloon DCB)の再狭窄抑制効果 は非常に優れており、実臨床の PCI において標準的治療となっている。病変に適切に DES DCB delivery できれば効果 的であるが、高度石灰化や蛇行の強い病変に対して、DES やクロッシングプロファイルの大きい DCB delivery は難渋す ることも多く、また DCB においては delivery に難渋した際の薬剤の剥がれが問題になることがある。 GiudeLiner が石灰化、蛇行に強い病変、またステント内再狭窄病変に対して、極めて簡便、かつスムーズにデバイス delivery を可能にした症例を経験したため報告する。 はじめに Fig. 1 Fig. 2 Fig. 3 DES / DCB 時代における GuideLiner V2 の有用性 監修:広井 知歳 先生  術者:柳沢 三朗 先生  (高崎総合医療センター 循環器内科)

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Page 1: DES / DCB時代におけるGuideLiner V2の有用性 - … › pdf › medical › TVI_42.pdfJAP F R Fig. 5 Fig. 8 Fig. 4 Fig. 6 Fig. 7 Balloonも#2 の蛇行を通過する際にやや抵抗があった。その後

JAPAN LIFELINE TVI MARKETING REPORT Vol.042

年齢:72 歳 / 性別:男性 狭心症現病歴:不安定狭心症にて CAG 施行し 3 枝病変を認めた。責任病変である LAD#6-7 に対して ad-hoc PCI 施 行 し、EES(3.0)18mm +EES(2.75)38mm を留置。2 期的に HLbr. に対して EES(2.25)32mm を留置し良好に拡張した。今回、残存病変の RCA#1、#3 に対して PCI 施行した(fig1)。冠危険因子:糖尿病、高血圧、脂質異常症、慢性腎臓病 (Cr. 2.35mg/dl、eGFR 22.3ml/min )

Target lesion:RCA#1、#3Rt.TFIGuide Catheter:Heartrail 7Fr. Wave3-SGuide Wire:Runthrough NS floppyIVUS:ViewIT病変は蛇行の強い、高度石灰化病変であり、IVUS は #2 から不通過であった(Fig. 2)。#1-2 の IVUS 観察範囲内では表在性に強い石灰化を認めた。2.75mm balloon にて #1、#3 の病変を前拡張した(Fig. 3)。

手技手順

狭窄病変に対する Drug-eluting stent (DES)、stent 内再狭窄病変に対する Drug-coated balloon (DCB)の再狭窄抑制効果は非常に優れており、実臨床の PCI において標準的治療となっている。病変に適切に DES や DCB を delivery できれば効果的であるが、高度石灰化や蛇行の強い病変に対して、DES やクロッシングプロファイルの大きい DCB の delivery は難渋することも多く、また DCB においては delivery に難渋した際の薬剤の剥がれが問題になることがある。GiudeLiner が石灰化、蛇行に強い病変、またステント内再狭窄病変に対して、極めて簡便、かつスムーズにデバイス deliveryを可能にした症例を経験したため報告する。

はじめに

Fig. 1

Fig. 2 Fig. 3

DES / DCB 時代における GuideLiner V2 の有用性

監修:広井 知歳 先生 術者:柳沢 三朗 先生 (高崎総合医療センター 循環器内科)

Page 2: DES / DCB時代におけるGuideLiner V2の有用性 - … › pdf › medical › TVI_42.pdfJAP F R Fig. 5 Fig. 8 Fig. 4 Fig. 6 Fig. 7 Balloonも#2 の蛇行を通過する際にやや抵抗があった。その後

JAPAN LIFELINE TVI MARKETING REPORT

Fig. 5

Fig. 8

Fig. 4

Fig. 6

Fig. 7

Balloon も #2 の蛇行を通過する際にやや抵抗があった。その後 ZES(3.0)18mm を delivery しようとするも #1 で不通過であった。そのため、GuideLiner を用いて Mother-Child 法としたが、GuideLiner をそのまま進めたところ、#1 の肩より先には進まず、stent delivery はできなかった(Fig. 4)。そのため、#3 の病変で balloon anchor した上で、GuideLiner を#3proximal まで進めることができ、stent を抵抗なく #3 に delivery することができた(fig. 5)。#3 に ZES(3.0)18mm をmax 12atm で留置し良好に拡張した(fig. 6)。続いて #1 に GuideLiner 使用下に ZES(3.5)12mm を進め、max 12atm にて留置し良好に拡張した(fig. 7)。造影剤使用量は 20ml であった(fig. 8)。

Page 3: DES / DCB時代におけるGuideLiner V2の有用性 - … › pdf › medical › TVI_42.pdfJAP F R Fig. 5 Fig. 8 Fig. 4 Fig. 6 Fig. 7 Balloonも#2 の蛇行を通過する際にやや抵抗があった。その後

Target Lesion:RCA#1-2 (ISR)、Rt.TRIGuide Catheter:6Fr. SAL1.0Guide Wire:Runthrough NS floppyIVUS:Opticross病変をIVUSで確認したところ、内膜増殖はステント内から両edge付近にまで強くみられた。まずCutting balloon(3.0)10mmにて両edgeから少し出す形で拡張(fig. 10)。その後GuideLinerを病変の先まで進め(fig. 11)、DCB(3.0)30mmを病変にスムーズにdeliveryすることができ、7atmで良好に拡張した(fig. 12, 13)。

PCI

年齢:65 歳 / 性別:男性、

狭心症、陳旧性心筋梗塞

現病歴 :1 年前に急性下壁心

筋梗塞を発症し、RCA#1-2

に BMS(3.0)26mm を

留置されている。最近、労

作時胸痛を自覚するように

な っ た た め、CAG 施 行 し、

RCA#1-2 のステント内再狭

窄を認めた (fig. 9)。

冠危険因子 : 高血圧、脂質異

常症、喫煙

2Fig. 9

Fig. 11Fig. 10

Page 4: DES / DCB時代におけるGuideLiner V2の有用性 - … › pdf › medical › TVI_42.pdfJAP F R Fig. 5 Fig. 8 Fig. 4 Fig. 6 Fig. 7 Balloonも#2 の蛇行を通過する際にやや抵抗があった。その後

JAPAN LIFELINE TVI MARKETING REPORT

2015-02-07-01

術者 高崎総合医療センター 循環器内科

柳沢 三朗  先生

2003 年 3 月 金沢大学卒業

監修 高崎総合医療センター 循環器内科 部長心臓・脳血管カテーテルセンター センター長

広井 知歳  先生

1993 年 3 月 群馬大学医学部附属病院卒業

GuideLinerが非常に有用であった2症例を報告した。GuideLinerはラピッドエクスチェンジ方式のカテーテルであり、ガイディングカテーテルから伸長させることで、強力なバックアップサポートを得ることができる。今までの多くのMother-Child法と異なり、GuideLinerはラピッドエクスチェンジを可能にしたことで、極めて簡便に扱うことができ、石灰化や蛇行が強いデバイスdeliveryに難渋する症例において、非常に有効である。また、DCBを扱う場合には、delivery時の薬剤の剥がれは、遠隔期再狭窄抑制効果に影響する大きな問題となる。この際にもGuideLinerを使用することにより、DCB薬剤の剥がれを最小限にしつつ、病変までスムーズにdeliveryすることが可能になる。本品はDES / DCB時代において、簡便かつ有効なサポートデバイスになると思われる。

まとめ

Fig. 13Fig. 12