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2014331平成25年度販路開拓支援調査事業 事業報告書 Distty株式会社 東京本社 100-0013 東京都千代田区永田町2-17-17 アイオス永田町7TEL 03-3580-0090 仙台支店 980-0012 宮城県仙台市青葉区錦町1-5-1 N-ovalビル2

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2014年3月31日

平成25年度販路開拓支援調査事業

事業報告書

Distty株式会社

東京本社 〒100-0013 東京都千代田区永田町2-17-17 アイオス永田町7階 TEL 03-3580-0090 仙台支店 〒980-0012 宮城県仙台市青葉区錦町1-5-1 N-ovalビル2階

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1.平成25年度販路開拓支援調査事業の概要

1-1:本事業の背景と目的 背景 これまで、東北経済産業局では、東北地域の中小・ベンチャー企業(以下、企業等という)の競争力強化のため、ビジネス

チャンスを拡大するような販路開拓活動が不足しているという問題意識のもと、企業等が首都圏等で自律的に販路を開拓できる能力を培う事を目的として、外部専門家を活用した「セールスパートナー事業」等の販路開拓支援調査事業を展開してきた。

24年度においては「平成24年度地域イノベーション・基盤技術高度化促進委託事業(研究開発終了事業に対する販路開拓・事業化支援事業)」により、研究開発終了プロジェクトごとに「事業化提案書」を策定し、最適な販路開拓支援を実現するための手法を検討するとともに、「平成24年度販路開拓支援調査事業」において、専門家による販路開拓支援を実践することにより、「事業化提案書」の検証を行うとともに、課題等を抽出し、支援ニーズを整理することで支援機能の強化を行った。

目的 25年度においては、昨年度調査の成果を踏まえた上で、昨年度と同様、当局関連の研究開発終了プロジェクトを実施した

企業を対象として、より効果的かつ効率的な販路開拓支援を実践・検証することにより、さらなる支援機能の強化を目指す。

具体的には、シーズ起点の販路開拓のみならず、ニーズ起点の販路開拓も実践することで、より効率的・確度の高い販路開拓を目指す。

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1.平成25年度販路開拓支援調査事業の概要

1-2:事業内容 ① 支援対象企業・セールスパートナー(専門家、企業OB人材等)の選定

東北経済産業局が提示する候補の中から、契約後に東北経済産業局と協議の上シーズ起点での支援企業7社を選定した

そのうち2社についてのセールスパートナーは、支援企業のユーザー業界に知見を持つ、経営支援NPOクラブの中から適任者を選定し、2社に対する支援を実施した

また、残りの5社についてはDistty株式会社から専門人材を選定し、各地の産業支援機関との連携で、販路開拓支援を実施した

② 販路開拓活動の実践 支援対象企業へのヒアリングを実施し、支援ニーズを把握する。その後販路候補先を調査し、電話、メール、訪問によ

って状況をヒアリングする。実践レポートとして活動内容をまとめる。また、支援対象企業に訪問し、活動結果を報告する

③ 調査報告書のとりまとめ 販路開拓支援活動の結果を分析し、課題を抽出する 報告書を作成、提出する

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1.平成25年度販路開拓支援調査事業の概要

1-3:本事業の流れ

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東北経済産業局

Distty株式会社

支援対象企業 の選定

セールスパートナー の選定

支援対象企業への ヒアリング

販路開拓活動の 実践

実践レポートの 作成

経営支援NPOクラブ(2社のみ)

販路開拓 支援活動

の 分析 川下企業

(販路候補先)

調査、訪問、紹介

支援対象企業

ヒアリング、情報交換

各地の 産業支援機関

販路開拓の支援

Distty株式会社

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2.販路開拓支援調査事業の実施概要

2-1:支援対象企業の選定 • 本事業の販路開拓支援対象企業として選定された下記の2企業は、経営支援NPOクラブが担当した。

• また、以下の5企業についてはDistty株式会社が担当した。

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No 地域 企業 分野 製品

1 山形県 A社 金属加工 新規開発の鋳鉄材料

2 青森県 B社 真空装置 真空技術等の技術

No 地域 企業 分野 製品

3 宮城県 C社 板金加工 低コストで大型の板金加工

4 山形県 D社 表示機器 カスタム生産対応可能な表示機器

5 宮城県 E社 エンジニアリング会社 電気システムメンテナンス技術

6 宮城県 F社 測定装置 画像処理ソフトを組み合わせた測定装置

7 宮城県 G社 電子デバイス MEMS技術

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2.販路開拓支援調査事業の実施概要

2-2:セールスパートナーの選定 • 本事業の個々の支援対象テーマを担当するセールスパートナー(専門家人材)は、No1、2のテーマについては経営支援NPOクラブの7名のセールスパートナーが担当した。

• またNo3~7までの5テーマに関しては、Distty株式会社の統括コーディネーターが担当し、他の産業支援機関との連携により実施した。

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担当者 出身業界 専門分野

A 商社 化学品

B 航空会社 人事・労務・乗員訓練

C 化学メーカー 素材

D 化学メーカー 金型、成形、モールド

E 総合電機メーカー 機械加工

F 総合電機メーカー ソリューション事業

G プラスチックメーカー 医療機器、福祉機器

担当者 出身業界 専門分野

D シンクタンク 電子産業、エネルギー産業、金属加工

E シンクタンク エネルギー産業、自動車産業、産業機械、素材

F 外資コンサルファーム 金融、経営支援

G シンクタンク 消費財産業、産業機械、航空機

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2.販路開拓支援調査事業の実施概要

2-2:セールスパートナーの選定 • Distty社が販路先の探索において連携した産業支援機関は以下のとおり。

• 日本能率協会コンサルティング • ジャフコ • 東経連ビジネスセンター • 中部経済連合会 • 野村総合研究所

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2.販路開拓支援調査事業の実施概要

2-3:販路開拓プランの作成および実践結果

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No 企業 成果

1 A社(金属加工) 機械メーカー、自動車部品メーカーから試作・実用化推進の検討を頂くことになった。

2 B社(真空装置) 医療機器関連メーカーに対してB社の技術を提案したところ、圧力容器関連で提案余地があることが分かった。

3 C社(板金加工) 産業機械メーカーからの見積もり対応をしたところ、既存サプライヤーよりも安価であったため採用の見通し。現在は工場監査中。

4 D社(表示機器) 建材メーカーの新製品への導入に向けて見積もり対応中。 現在仕様や価格交渉を行っている最中。

5 E社 (エンジニアリング会社)

映像システムインテグレータのメンテナンスパートナーとして候補企業になった。現在はパートナー選定に向けて条件のすり合わせ中。

6 F社(測定装置) 商用車メーカーの生産ラインへの導入に向けて、F社が代理店になっている測定装置メーカー2社を商用車メーカーに紹介。

7 G社(電子デバイス) 玩具メーカーがイベント用機器を開発したいというニーズがあり、G社と中部に拠点を持つ他社と連携して提案中。現在条件等のすり合わせ中。

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3.販路開拓支援活動から見えた課題

販路開拓支援活動の実践を通じて見えた個々の課題は以下の通りである。 【技術の課題】 • カスタム対応できる設計ノウハウを保有しておらず、作業の下請けになってしまっている • 特定技術のみに特化してしまい技術の幅が無いため、顧客のニーズに対応しきれない

【営業の課題】 • ユーザー企業のスケジュールに合わせるため早急な対応が必要になることが多く、柔軟な対応が必要 • 顧客との関係上、過去の実績を公開できない • 受注したいという熱意がユーザー企業に伝わりにくい • 物理的な距離が遠くユーザー企業と密なコミュニケーションが取りにくい • エリアのカバレッジが狭く、ユーザーの窓口を一本化したいというニーズに対応できていない • 顧客のキーマンに出会える確率が低く、営業が上手くできていない • 自社の強みを顧客に伝える資料が無い。そもそも強みを上手く整理できていない • 戦略的に受注を狙うには開発費を含めてリスクを負う必要があり中小企業には対応が難しい

【製造の課題】 • 大量生産に対応できず受注ができない • 自社内にある機器を有しておらず対象となる加工ができない • 工場を保有しておらず、他社との協業が必要となる

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4.販路開拓支援活動の課題まとめ①

上記の個別事例の課題を元にして、本販路開拓支援活動全体での課題と対応策をまとめた。

1. 情報開示とPRが不十分 自社の強みが何か、顧客がどのようなうれしさがあるのかPRが出来ていないことが課題になっている。多くのモノづくり系企業では良いモノをつくるということにやはり意識が集中しており、どのように売るか、そのためにどのようにPRするかの戦略が十分に練り込まれていない。 また、顧客との機密保持の縛りがあり、過去の実績や類似製品の実績など十分に開示することが出来ていない。そのため新規ユーザーにとっては何ができるのか分からずに採用に至らないということが多かった。しかし、実際に見積もりを取ってみると圧倒的に安かったり、できないと思っていた加工ができるなどの強みが見られる企業も多々ある。 これら課題解決のためには、専門家の知見を入れた上でのPRの方法を練り、最低でもホームページやパンフレットを整備すべきである。さらに、下請け関係から脱却して自社事業としてモノづくりを行ったり、もしくは、下請け関係ではなくリスクをシェアするパートナーとしてモノづくりを推進することで自社がアピールできる実績を構築する必要もある。

2. 産業支援機関等の外部機関との連携が不十分 特に新規顧客開拓では、地域の限られた顧客だけを相手にするのではなく、その企業の情報が全く知られていない異業種や他地域の潜在的な顧客を開拓する必要がある。 これを行うには中小企業のリソースで十分とは言えない。そのためにこそ、外部機関と連携を行うことが重要となる。例えば、公設試や経済団体や産業支援機関との関係を構築しておけば、展示会への共同出展など新しい機会を取り込める可能性がある。また、公的機関、民間機関それぞれが地域の中小企業支援の施策を用意しているので、これらの活用を行うことで、地域の中で目立った存在となることができる。 実際に多くの大手企業は中小企業等の探索に、産業支援機関等を活用していることがあるので、これら機関と普段から連携を行っていることが重要となる。

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4.販路開拓支援活動の課題まとめ②

3. 外部企業・専門家と連携を行った受注が必要 中小企業が保有するリソースには限界がある一方で、発注者である大手企業は業務の効率化や、責任所在の一元化により、なるべく窓口を一本化して一括発注を行いたいというニーズがある。 ところが現在各地で行われている自治体主導の受注グループでは、責任の所在があいまいになるなどして発注企業のニーズに合致していないケースがある。 このような状況の中、地元の中でもある程度の能力のある企業が、窓口となって地域のリソースを一元的に管理する体制を構築して行くことが求められている。それにより、技術的な幅や、生産能力を仮想的に拡大させることができ、顧客ニーズに対応できる可能性も増える。 また、昨今では団塊の世代の退職や、大手企業のリストラ等により、独立して動けるOB人材が多数存在している。彼らの能力を使って足りない部分(技術ノウハウや、販路開拓のノウハウ)を補完して受注に結び付けるという活動も重要であろう。

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5.総括

• 今回支援対象となった7社に対する販路開拓支援を実施し、その結果、No3のC社については某産業機械メ

ーカーを紹介した結果、既に工場監査まで進んでおり、新規サプライヤーとして受注直前まで至っている。この案件が獲得できれば、年間数億円での取引が数年間続くと予定されており、非常に大きな事業機会を提供することに成功した。

• また、No4のD社とNo7のG社についても既に話は具体的な価格交渉まで進んでおり、かなり高い確率で取

引に至ると見られる。これらの案件規模は年間取引額数千万円以下と見られているが、新たな顧客開拓という点では成功している。

• その他の案件についても、今回紹介した発注企業側で検討を進めており、今後の取引可能性に続いている。

• 今回、経営支援NPOクラブもDistty社も普段から顧客候補企業をまわって発注企業との関係構築を行っており、そのネットワークを使ったことが成功の要因となっている。

• このように業界・地域横断的に発注企業をカバーした活動を行うことは中小企業にはリソースの観点から難しく、まさに第三者機関としてサポートする価値がある分野であると考えられる。

• 今後は、中小企業に対してより高精度・高効率な販路開拓支援を行うことを可能とすべく、この発注企業ネットワークを拡充させることが強く望まれている。

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