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消防局予防部予防課
介護サービス利用者を火災から守るために
~ 居宅での防火安全対策 ~
高齢者世帯の火災(札幌市)
わずか10年で高齢者の火災被害は2倍以上に急増!
札幌市における平成20年と平成29年の住宅火災統計を
比較すると、住宅火災件数は大幅に減少しているのにも関
わらず、高齢者世帯の火災被害が急増した。
項 目 平成20年中 平成29年中
住宅火災件数 275件 200件
高齢者世帯火災件数(全体に占める割合)
31件(11.3%)
48件(24.0%)
高齢者死者の割合(高齢者の死者)
約3割(1名)
約7割(10名)
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統計から見る高齢者世帯火災の特徴
65歳未満の世帯と比較すると特にストーブ火災の割合が高い
順位 原因 割合
1位 こんろ 27.6%
2位 放火(疑い含む) 18.9%
3位 たばこ 12.5%
4位 電気関係 11.8%
5位 ストーブ 9.1%
6位 灯火 2.7%
7位 その他 22.8%
順位 原因 割合
1位 こんろ 28.9%
2位 ストーブ 14.3%
3位 電気関係 13.5%
4位 たばこ 12.7%
5位 放火(疑い含む) 7.6%
6位 灯火 4.6%
7位 その他 22.8%
平成20年~29年住宅火災の出火原因(札幌市)
65歳未満の世帯 65歳以上の高齢者世帯
高齢者世帯のこんろ火災統計(平成20年~29年)
天ぷら油の過熱発火とグリル内の発火が2大原因!
順位 出火原因 割合
1位 天ぷら油の過熱発火 27.1%
2位 グリル内の発火 23.4%
3位 周囲に置かれた物に着火 16.8%
4位 漏洩ガスに引火 14.9%
− その他 17.8%
こんろから離れる時は火を消し、魚焼きグリルを洗って、こんろ周りの整頓を行えば、約7割は防げる!!
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① 調理中はこんろ前を離れていないか?火をつけたまま他のことをする、内容物が焦げた鍋
② こんろはきれいに掃除されているか?五徳やグリル内の油汚れ
③ こんろ周りに燃えやすい物が置かれていないか?洗い物かごがこんろに近い、近くに布巾が置かれている
高齢者宅で着目すべき3つのこんろ火災リスク
かんたん!こんろ火災を防ぐ極意
① 火をつけたまま離れない
② 魚焼きグリルは清潔に
③ 周りに燃えやすい物を置かない
④ 定期的にガスホースなどを確認
こんろ火災を防ぐ極意
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高齢者世帯のストーブ火災統計(平成20年~29年)
ひとたび火災になると焼損被害がとても大きい!
順位 出火原因 割合
1位 可燃物の落下・接触 35.9%
2位 輻射熱による発火 22.6%
3位 誤給油・漏洩などのミス 15.1%
4位 スプレー缶の爆発 5.7%
− その他 20%
出火原因の約7割が「ストーブ周囲に置かれた物に着火・爆発」している(その他も含む)。
① 正面に燃えやすい物が置かれていないか?近くにたたまれた布団、家具や可燃物の接近
② 上や周囲に洗濯物が干されていないか?ストーブ上の洗濯ロープ、近くに物干しスタンド
③ 給油はきちんとできているのか?室内に灯油の臭い、こぼれた形跡など
高齢者宅で着目すべき3つのストーブ火災リスク
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【参考】見逃さないで!ストーブ異常のサイン!!
以下の兆候が見られたら、販売店または、ストーブ整備の専門業者に連絡し、早めの点検・清掃を行うことをお勧めします。
① エラー表示が出る② 運転中に火が消える③ のぞき窓、円筒ガラス内側が黒い(不完全燃焼)④ 点火しない
※ ストーブ底面と置台の燃焼状況調査のため、ストーブを倒して撮影
【清掃・整備不良により出火したストーブ】
かんたん!ストーブ火災を防ぐ極意
① 周りに燃えやすい物を置かない
② 近くに洗濯物を干さない
③ スプレー缶類は遠ざけて保管
④ 給油の手順はひとつずつ確実に
⑤ 定期的に点検・整備を行う
ストーブ火災を防ぐ極意
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高齢者世帯の電気火災統計(平成20年~29年)
電気コードからコンセントの間で6割以上が発生!
順位 出火原因 割合
1位 電気コードの断線・ショート 48.0%
2位 トラッキング 14.0%
3位 輻射熱による発火 12.0%
4位 電化製品本体の故障 8.0%
− その他 18.0%
電気コードに負荷のかかる使い方やコンセント・プラグ間のホコリによるトラッキングなど、日頃からの確認で防げる火災が多い。
今すぐ確認!電気コードのやってはいけない集
重いものをのせない
いたんだコードを使用しない
プラグにほこりをためない
コードを束ねない
無理なタコ足配線をしない
ステップルをしない
コードを巻き付けない
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① コンセント・プラグ、電気コード類に異常はないか?コードの劣化・束ね・踏みつけ、過度なタコ足、ほこり
② 電化製品に異常はないか?コード巻き付けによる根元の折れ、古い電化製品の使用
③ 発熱する電化製品は適切に管理されているか?電球の近くに可燃物、電源プラグをさしっぱなし
高齢者世帯で着目すべき3つの電気火災リスク
かんたん!電気火災を防ぐ極意
電気火災を防ぐ極意
① 電気コードに負担をかけない
② プラグにほこりを溜めない
③ 発熱する家電は可燃物接触に注意
④ 古い電化製品は使用しない
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高齢者世帯のたばこ火災統計(平成20年~29年)
CO中毒による死者発生率が高い!
順位 出火原因 割合
1位 火種の落下 40.4%
2位 寝たばこ 12.8%
3位 消火不完全なたばこの廃棄 10.6%
− その他 36.2%
火種の落下が4割を超えており、寝たばこ・消火不完全なたばこの廃棄といった喫煙習慣によるものが続く。
① 布製品等のこげ痕はないか?じゅうたん、畳、寝具類、ソファーなど
② 喫煙場所は適切か?布団の近く、じゅうたんの上など危険な場所
③ 灰皿・吸い殻の管理は適切か?灰皿が山盛り、水を含ませずに捨てている
高齢者宅で着目すべき3つのたばこ火災リスク
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かんたん!たばこ火災を防ぐ極意
① 喫煙場所に燃えやすい物を置かない
② 歩きたばこ・寝たばこをしない
③ 灰皿に吸殻をためない
④ 吸殻は水につけてから捨てる
たばこ火災を防ぐ極意
高齢者世帯の灯火(ローソク)火災
お盆やお彼岸などの時期に集中!着衣着火も危険!
ローソクによる火災は神棚や仏壇を始め、停電時などに発生する。また、着衣着火も毎年一定数発生している。お盆やお彼岸時期は特に注意が必要。
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① 周囲のこげ痕はないか?座布団、仏壇マット、お供え物など
② 火をつけたままで放置した形跡はないか?燭台の下に溶け落ちたロウ、倒れて燃え落ちた線香
③ 仏壇での習慣は適切か?袖口など衣服に炎が近づく、火をつけたまま離れている
高齢者世帯で着目すべき3つの灯火火災リスク
かんたん!灯火火災を防ぐ極意
① 火をつけたままその場を離れない
② お供えや花はローソクから離す
③ 衣服を火に近づけない
④ 燭台は安定したものを使う
⑤ 防炎仏壇マットや電気ローソクを使う
灯火火災を防ぐ極意
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