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論文

学術リ ソ ースと し ての W eb サイ ト 引用方法について

O n C ita tio n o f a W eb S ite as an A cadem i c Reso urce

伊藤 博文† ( 愛知大学法科大学院)

要旨

近時,学術リ ソ ース と し てイ ンタ ーネッ ト 上の Web ページが引用さ れる 場面が多く 見ら れる が,そ

の引用方法は多様であり , 統一する こ と が望ま し い。 引用方法の問題点を指摘し , 私案と し ての引用

方法を提示し , 規格化への一歩を踏み出すための提案を行う 。

キーワ ード : 学術リ ソ ース , 引用方法, URL, URI, 検索エンジン表記法

1. はじ めに

本稿は, イ ンタ ーネッ ト 上の学術リ ソ ー

ス ( Academ ic Resource) を引用する 場合

の表記方法について検討し , 望ま し い引用

方法を新たに提案する こ と を目的と する 1。

昨今さ ま ざま な情報がイ ンタ ーネッ ト 上

で公開さ れており , 学術リ ソ ース も 例外で

はない。 学術論文の多く は, Web サイ ト か

ら の情報リ ソ ース を典拠引用し ている 。 し

かし ながら , その引用方法にはさ ま ざま な

形式があり , 一致を見ていない。

そこ で, イ ンタ ーネッ ト 上のコ ンテンツ

や情報リ ソ ース を引用する 場合の引用方法

を新たに考案する ために, 現状で行われて

いる 引用方法を検討し つつ, 引用そのも の

の意義を再検討し て, 新たな引用方法を提

案し たい 2。

2. 引用の意義

ま ず, 引用の意義を確かめる こ と から 始

めたい。【 引用】 と いう 語の意味は, 広辞

苑 3によ る と 「 自分の説のよ り ど こ ろ と し

て他の文章や事例ま たは古人の語を引く こ

と 。」 と さ れる 。 ま た, も う 一例を掲げる 。

アメ リ カ 法を 学ぶにあ たり 最も 権威のあ

† 愛知大学法科大学院教授。 以下のメ ールアド

レ ス に忌憚なき 意見や批判を送付し ていただけ

れば幸いで あ る 。 m ailto: hirofum i@ law school.

aichi-u.ac.jp1 本稿においては, 混乱を避ける ため, 敢えて

従来型の引用方法をと る 。 なお引用文中URL の

最終アク セス 確認日は2012年11月30日である 。

2 こ の分野の先駆的な研究と し ては, 指宿信

「 ネッ ト 文献の引用方法について―学術資源と

し てのネッ ト の可能性―」 およ びその掲げる 参

考文献等参照。 available at http://w w w .ne.jp/

asahi/coffee/house/ARG/054.htm l# c3 広辞苑第六版 岩波書店 2008年

愛知大学情報メ ディ アセンター - 13 - vol.23, No.1, 2013

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る アメ リ カ法律学辞典である Black’s Law

Dictionary で は, 日本語の引用にあ た る

Citation を次のよ う に説明し ている 4。

つま り , 我々は, 他人の言葉を引く 行為

そのも のと , 同時にその典拠を示すこ と も

引用と 呼んでいる のである 。 引用と いう 意

味は多義的に用いら れ, 第1は, Quotation

の意味であり , 他所に存在する 文章等の一

部をそのま ま 書き 写し て, 自ら の文書の中

で使う こ と であり , 第2は, Citation の意味

であり , 引用物の典拠を示すこ と 若し く は

その表示方法である 。

換言すれば, 日本語の引用と いう 語が,

Quotation と Citation と いう 意味を 混在さ

せている のである 。 論点を明確にする ため

にも , 本稿では, 第2の意味つま り Citation

の意味での典拠表示と し ての引用( 典拠表

示) について論じ る こ と と する 。

2.1 引用の目的

では, なぜ引用( 典拠表示) をする かと

4 Bryan A . Garner, Black’s Law Dictionary

4th Pocket Edition, WEST 2011 at 115. 原 文

を 以下に掲げる 。 Citation: 3. A reference to a

legal precedent or authority, such as a case,

statute, or treaties, that either substantiates or

contradicts a given position.

いう 基本的な問題から 始めたい。 引用を行

う 場面は, 学術論文がも っぱら であり , 引

用をする こ と の意味は,( 1) 自己の主張を

裏付ける ため,( 2) 権威付け,( 3) 後発研

究への経路を 示すこ と の 3つに集約でき よ

う 。

( 1),( 2) は, 相互関連性の強いも ので

あり 引用者の自己満足的な要素が強いが,

( 3) 後発研究への経路を示すこ と , つま り

「 バッ ク ト ラ ッ ク( 後述2.2)」 を可能にする

こ と で, 客観的な検証が行われ初めて引用

が意味を持つ。 よ って, 重要なのは, バッ

ク ト ラ ッ ク である 。 原典にたどり 着く 指標

と なる こ と を引用の主目的と 考える べき で

あろう 。

こ れによ り , 引用・ 転載し た記述が, 本

当に存在する かを確認し , 適切なコ ンテク

ス ト の内で引用・ 転載さ れている かを証明

する と いう 引用の持つ義務を果たせる と い

えよ う 。

2.2 バッ ク ト ラ ッ ク

引用の主目的は, 参照典拠を示し 後発研

究への経路を示すこ と である 。 典拠を示す

と いう こ と は, 読者が典拠を確認し よ う と

し たと き に, 確実に原典である 典拠物ま で

読者がたどり 着ける 道筋を示すこ と , つま

り ト レ ース 可能な表記が求めら れる のであ

る 。 こ れをバッ ク ト ラ ッ ク ( Back Track)

と 呼ぶこ と と する 。

こ れは時間軸から は, 当然過去へ戻る こ

愛知大学情報メ ディ アセンター - 14 - vol.23, No.1, 2013

引用 3 特定の主張を根拠付ける 若し

く は矛盾を指摘する 判例, 制定法, ま た

は条約と いっ た, 法的先例若し く は権

威。

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と と なり , 既に滅失し てし ま っている 情報

源へと 道筋を辿る こ と も 想定さ れる 。 引用

表記においては, 確実にタ ーゲッ ト と なる

情報源へと 導く 方法が必要であり , 可能な

限り の客観的な方策を講ずる こ と が必要と

なる 。

3. さ ま ざ ま なリ ソ ース と 引用方法

こ こ ま での引用の意義の検討を踏ま えた

上で, イ ン タ ーネッ ト 上のリ ソ ース と し

て, 引用はど のよ う な 形で行われて いる

のかを見ていく 。 ま ずは, アメ リ カ法での

Citation について 最も 権威あ る BlueBook5

と ALWD Citation Manual6を例にし て, そ

の表記方法を検討し てみたい。

3.1 引用例

BlueBook も 第19版と なり , こ れま で以

上に電子文字化さ れたリ ソ ース への引用に

対し て紙面を割いている 。 対応する リ ソ ー

ス と し ては,イ ンタ ーネッ ト 上の Web サイ

ト , オン ラ イ ン データ ベース , CD-ROM,

マイ ク ロ フィ ルム, Podcastsと いった録音

源なども 対象と し ている 。 こ こ では, イ ン

タ ーネッ ト で最も 情報量の多い Web サイ

ト の引用,つま り URL によ る 引用を例と し

たい。

ま ず, Basic Citation Form s (a) Internet

Source (rule 18.2)に掲げら れている 引用例

から 2点を示す 7。

上記Sam ple 1は,印刷文字と し て入手可

能な文献がイ ンタ ーネッ ト 上でも 入手可能

である こ と を示し ており , Sam ple 2は, ブ

ロ グ を URL で表記し ており , 特徴的なの

はそのアク セス 日時を表記し ている 点であ

る 。

も う 一つ例を 出そう 。 ア メ リ カ での法

文書作成でよ く 使われる ALWD Citation

Manualも ,PART4. Electronic Sourcesに

おいて, イ ンタ ーネッ ト 上のリ ソ ース 引用

方法について紙面を割いて詳し く 述べてい

る 。 特に 40.1 (d) URL8 において Web 上の

コ ンテンツに対する 引用方法が特徴的であ

る 。5 T he Harvar d Law Rev iew A ssociation ,

The BlueBook - A Uniform System of Citation

Nineteenth Edition, 2010, at PP.164-176.6 A ssociation of Legal W r iting Director s,

Darby Dickerson, ALWD Citation Manual 4th

ed., Aspen Publishers 2010.

7

8

The BlueBook 19th ed., at 164.

ALWD Citation Manual 4th ed. at 343.

愛知大学情報メ ディ アセンター - 15 - vol.23, No.1, 2013

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ALWD Citation Manual に 掲載さ れて

いる Sam ple 3は, 合州国政府の刊行物の

所在を示し ている が, 大規模なデータ ベー

ス のよ う な Web サイ ト から 目的に辿り 着

く 道筋と し て, URL の みな ら ず, select,

search-keyw ords "xxx "と いった keystroke

を 使っ た引用方法を 提示し て いる 。 こ れ

は Bluebook に掲載さ れていない形式であ

り ,単なる URL 表記から は一歩前進し た引

用形式である と 評価でき る 。 その理由は,

バッ ク ト ラ ッ ク に対する 配慮がみら れる か

ら である 。

こ こ での例示でわかる よ う に, イ ンタ ー

ネッ ト 上のリ ソ ース に対する 引用方法に定

番がある わけではなく , 現段階では試行錯

誤が行われている と いう のが実情である 。

3.2 引用の表示技術

インタ ーネッ ト 上の情報つま り リ ソ ース

は URL によ っ て表記可能であ る 。 こ こ で

URL と いう 表記について触れておく 。URL

( Uniform Resource Locator)は, イ ンタ ー

ネッ ト 上の場所を示す表記方法のルールで

あり ,RFC39869に規定さ れている 。 たと え

ば, URI のス キーム( Schem e) と し ては,

ftp, http, ldap, m ailto, new s, tel, telnet, urn

などがある こ と を下記枠内の1.1.2 Exam ple

は示し ている 。

3.3 UR L と UR I について

こ こ で URL と URI と について 述べる 。

RFC3986によ れば, URL は, UR(I Uniform

Resource Identifier) の下位概念と 位置づ

けら れており ,URI の一例が URL と し てい

る 。 イ ンタ ーネッ ト 上で場所を表記する 場

合,多く はWeb 上のコ ンテンツを指し 示す

も のである ので, URL と 表記すれば事足り

る のである が, 両者を 使い分ける 意味は,

9 RFC 3986 http://w w w .ietf.org/rfc/rfc3986.

txt RFC (Request for Com m ent) と は, IETF

(Internet Engineering Task Force)によ る 技術

仕様の保存, 公開形式であり , イ ンタ ーネッ ト

上のネッ ト ワ ーク 技術を 標準化する 作業時の

仕様書と なっ ている 。 http://w w w .ietf.org/rfc.

htm l

愛知大学情報メ ディ アセンター - 16 - vol.23, No.1, 2013

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URN の存在である 。

URL が, 場所を 示す書き 方のルールで

あ り , Web ページ や画像な ど にア ク セス

する ための主要な存在場所と ア ク セス 方

法を指定する も のである 。 URN( Uniform

Resource Nam e) は, 名前を永続的に識別

する 書き 方のルールと さ れる 。 URL がイ

ンタ ーネッ ト 上で動的に変化する 可能性の

ある 場所を示し ている のに対し , URN は,

書籍のも つISBN のよ う な静的に安定し た

記号を用いて情報源の特定を行う も のであ

る 。 たと ば, urn:isbn: 9784535510869のよ

う に表記する のである 。

URI と URN の上位概念と し て URI を 置

く が,URN が書籍名の引用と いった従来の

表記方法( たと えばISBN) と 異なる も の

ではなく , ク リ ッ ク し ても タ ーゲッ ト と な

る 情報源にアク セス でき る わけではないの

で, 結果的に普及し ていない。

イ ンタ ーネッ ト 上のリ ソ ース 源を表記す

る 場合, イ ンタ ーネッ ト 上に存在し ないリ

ソ ース を 参照する 表記方法には意味がな

く , 結果的に URI と URL が同じ も のと な

り , 両者を使い分ける 実益が乏し く なって

いる 。 よ って, Web サイ ト の場所を示すた

めには,一般に普及し ている URL と 表記す

れば事足り る のである 。

3.4 リ ン ク 切れ

イ ンタ ーネッ ト 上のリ ソ ース は動的に動

いている ので, それを静的に捉えよ う と す

る と 不具合が生じ る 。 つま り , URL を ク

リ ッ ク し ても 対象の Web ページが表示さ

れないと いう 現象である 。 いわゆる , リ ン

ク 切れ( Dead Link) の問題である 。

こ のリ ンク 切れの原因には, 大き く 分け

て 2種類ある 。 パタ ーンA と し ては, 見た

い Web ページがイ ン タ ーネッ ト 上で今も

見ら れる 状態にある が, URL が変更になっ

たため参照でき ない場合である 。 パタ ーン

B と し ては,も はや見たい Web ページが削

除さ れてし ま い閲覧不能な状態になってい

る 場合である 。

ま ずは, パタ ーンA である 。 具体例と し

て,私のサイ ト の URL 変遷を一例と し て示

す。 Project CaLS のサイ ト は, 私の前任校

の時代ではhttp://cals2.sozo2.ac.jp( 図1)で

図 1 旧 URL http ://cals2.sozo2.ac.jp

愛知大学情報メ ディ アセンター - 17 - vol.23, No.1, 2013

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図 2 新 URL http ://cals.a ich i-u .ac.jp

あった。 2004年に愛知大学に移ったこ と に

よ り 同一のサイ ト 名が, http://cals.aichi-u.

ac.jp( 図2) へと 変わった。 よ って URL と

し て http://cals2.sozo2.ac.jp を 典拠と し て

いる 私の過去の論文は, イ ンタ ーネッ ト 上

で入手可能な PDF ファ イ ル 10 も 含め, 全て

リ ン ク 切れになっ ている 。 旧URL から 新

URL へと 誘導する 場合, 旧URL 上のサイ

ト に移転先を 明示する 若し く は旧URL を

自動的に新URL へと 導く Web ページを 置

けば解決と なる が, 既に所属し ていない組

織のサーバーにそのよ う な Web ページを

置く こ と は難し い。 よ ってド メ イ ン名の多

様化にと も なう 変化も あわせて, URL が変

化する こ と は避けら れず, リ ンク 切れは今

後も 頻発する こ と と なる 。

パタ ーンA に対し て最も 効果的なのは検

索エンジンの活用である 。 コ ンテンツがイ

ンタ ーネッ ト 上に存在し ている がたどり 着

けないのであれば, 検索エンジンを使い拾

い出すこ と が可能である 。 検索エンジンが

全てのコ ンテンツをイ ンデッ ク ス 化し てい

る わけではないので, 必ずたどり 着ける と

いう 保証はないが, かなり の確率でたどり

着ける はずである 。 こ の点は次項において

詳し く 述べる 。

次にパタ ーンB である 。 イ ンタ ーネッ ト

上にも はや原典と なる コ ンテンツそのも の

が存在し ない場合にはアク セス し よ う がな

いのは当然である 。 し かし , こ のパタ ーン

B においても バッ ク ト ラ ッ ク の方法がない

わけではない。

イ ンタ ーネッ ト 上にコ ンテンツが存在し

ないと いう のは, 著作者自ら はも はや公開

し ていないが, イ ンタ ーネッ ト 上には別の

形で残さ れている 可能性も ある 。 それは,

検索エンジンの持つキャ ッ シュ , 他者によ

る コ ンテンツの転載, イ ンタ ーネッ ト 上に

ある アーカイ ーブサイ ト ( 後述4.2, 図3参

照) を利用する 方法である 。

こ れら の方法を使う こ と を前提と し てど

のよ う な引用方法が望ま し いのか次項で説

明し たい。

4. 新し い引用方法

こ こ では, リ ン ク 切れによ り バッ ク ト

ラ ッ ク が不能と なってし ま う 問題への対応

策を考えていき ながら , 引用方法と し ての10 私の書いた論文は PDF フ ァ イ ル型式で下記

URL にて公開し ている 。

http://cals.aichi-u.ac.jp/project/PN0160.htm l。

愛知大学情報メ ディ アセンター - 18 - vol.23, No.1, 2013

望ま し い姿を検討し ていく 。

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4.1 引用の静と 動

こ こ で新たな視点と し て電子文字と いう

観点を 視野に入れる 。 電子文字と はコ ン

ピュ ータ 等の画面で表示さ れる 電気的な信

号に置き 換えら れた文字であり , 紙等に記

載・ 印刷さ れた静的な状態の印刷文字への

対立概念である 11。

イ ンタ ーネッ ト 上のリ ソ ース を引用する

と いう こ と は, 電子文字( 動) を印刷文字

( 静) に置き 換える こ と , つま り 動的に変

化し 得る 電子文字情報を静的で変化し ない

印刷文字にする と いう 側面を持つこ と と な

る 。 よ って, 常に変化し 続ける 電子文字を

静的に捉える と いう こ と は, ある 一時点で

の情報を印刷文字と し て静的に表記する こ

と になら ざる を得ない。 こ れは当然のこ と

ながら 動的な電子文字の変化に対応はでき

ない。 既述のよ う に URL でも ,ド メ イ ン名

の変化に伴いバッ ク ト ラ ッ ク を失う こ と は

現実に多発し ている 現象である 。 当然のこ

と と し て, 日々変化し 続ける イ ンタ ーネッ

ト 上のコ ンテンツを紙面上で表記する こ と

には限界がある 。

よ って引用方法を考慮する 場合, その引

用方法が電子文字で行われる のか印刷文字

で行われる のかも 分けて考え る 必要があ

る 。 つま り , 論文や書籍のよ う に印刷さ れ

11 電子文字化については, 伊藤博文「 電子文字

化論再考」 愛知大学情報メ ディ アセンタ ー紀要

『 COM』 Vol.22/No.1第37号1頁( 2012年) 参照。

available at http://cals.aichi-u.ac.jp/products/

articles/ElectrifyingWrittenSymbolsRevisited.pdf

紙面に表記さ れる には印刷文字用の引用表

記が必要であり , オンラ イ ンで閲覧する コ

ンテンツの場合は動的に対応でき る 引用が

必要であり 電子文字用の引用表記が必要と

なる 。

印刷文字での引用表記には, 一時点の

URL を 表記し てその後の変化に対応すべ

く 可能な限り のフ ォ ロ ーを すべき であ ろ

う 。 一方, 電子文字によ る 引用では, Web

サイ ト 上のリ ンク を想定し , 動的に変化可

能な形式を想定すべき である 。 つま り , 検

索エンジンの力を借り て表記する こ と も 必

要と なる 。 電子文字の特徴である 動的変化

に対応でき る 機能を活かし た引用方法が必

要である 。

そこ で, 引用を動的引用と 静的引用と 区

別し , 動的引用では, 電子文字独自の機能

を反映さ せた手法を用いる べき である 。

4.2 過去に遡る 技術

バッ ク ト ラ ッ ク での大き な問題の一つで

ある リ ンク 切れへの対策の一つには, イ ン

ターネッ ト アーカイ ブを利用する 方法があ

る 。

既述のリ ン ク 切れパタ ーン B において

は, も はやイ ンタ ーネッ ト 上に存在し 得な

いリ ソ ース を 参照する こ と にな り , バッ

ク ト ラ ッ ク ができ ない状態であった。 し か

し , イ ン タ ーネッ ト 上には過去の Web サ

イ ト 上のデータ を 全て保存し ア ーカ イ ブ

化し ている サイ ト がある 。 それは, 図3に

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示さ れて いる Internet Archive WayBack

Machineである 。 こ の Web サイ ト では, あ

たかも タ イ ムマシンのよ う に, 過去に遡っ

てイ ン タ ーネッ ト 上の Web サイ ト の経年

変化を調べる こ と ができ る 。

こ のサイ ト は膨大な量の蓄積データ から

過去の Web サイ ト を表示し てく れる が,限

界も ある 。 たと えば, 前掲17頁の図1では

私の過去のサイ ト を表示さ せていたも ので

ある が, ASP( Active Server Pages) のよ

う に動的な Web サイ ト 表示には対応でき

ておら ず, 完全な意味での復元と はなって

いない。 し かし , 文字データ などはほぼ完

全な形で保存さ れている ので, 文献引用と

いった場面において問題はなく 使える と 考

えている 。

こ れ以外に も , 検索エ ン ジ ン の 持つ

キャ ッ シュ を利用し , 検索エンジンの検索

結果一覧表に出てく る キャ ッ シュ を使う こ

と も 一方法である 。 そし て, 他者によ る コ

ンテンツの転載が有効な場合も ある 。 イ ン

タ ーネッ ト のユーザーが, 自身のブロ グや

Web サイ ト に転載し 掲示し ている 場合は,

こ れも 検索エンジンによ り 拾い出す可能性

も ある 。

4.3 検索エン ジン 最適化

検 索 エ ン ジ ン 最 適 化( SEO: Search

Engine Optim ization)12 は,イ ンタ ーネッ ト

上の検索エンジンが普及する につれ, 検索

エンジン・ ビジネス の発展と あいま って注

目さ れる 技術である 。

検索エン ジン の代表格であ る Google が

検索結果を出すアルゴリ ズムは 13

( 1) ク ロ ール: Googleがサイ ト を認識

し て検出する

( 2) イ ンデッ ク ス 作成: Googleがサイ

ト のイ ンデッ ク ス を作成する

( 3) 検索結果の表示: ユーザーの検索

と 関連する 有益なコ ンテンツが含ま

れている サイ ト を表示する

の 3つから 構成さ れる 。

検索エンジンが検索結果と し て上位に表

記する ために重要なのは,( 2)の「 イ ンデッ

ク ス 作成」 過程であ る 。 Google の検索エ

ン ジン が放つ「 Googlebotはク ロ ールし た

12 http://ja.w ikipedia.org/w iki/検索エンジン最

http://ar ch iv e.or g /w eb/w eb.php

適化13 http://support.google.com /w ebm asters/bin/

answ er.py?hl= ja& answ er= 70897# 1

愛知大学情報メ ディ アセンター - 20 - vol.23, No.1, 2013

図3 Internet Archive WayBack Machine

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各ページを処理し , 検出し たすべての単語

と ページ上の場所を登録し た大規模なイ ン

デッ ク ス を作成し ま す。 さ ら に, titleタ グ

やalt属性など の主要なコ ン テン ツ タ グや

属性に含ま れる 情報も 処理し ま す。」 14 と し

ている 。

つま り 検索エ ン ジ ン を 利用する 場合

も , 目的と なる Web サイ ト のタ グ, 特に

< title> ~< /title> を キ ーワ ード と する こ

と で, バッ ク ト ラ ッ ク する 可能性が高く な

る 。

た と え ば, 上 枠 内 は 私 の サ イ ト の

1 ページ( http://cals.aichi-u.ac.jp/project/

PN0160.htm l) のソ ース フ ァ イ ルの一部で

ある 。 こ の Web ページのタ イ ト ルは,タ グ

< title> と タ グ < /title> に挟ま れた 文字列

「 抜刷を差し 上げま す」である 。 こ の文字列

を検索エンジンにキーワ ード と し て入れれ

ば, 上位にラ ンク さ れて検索結果表示がな

さ れる 。

検索エンジンにも 種類があり , どの検索

エンジンを使う かによ っても 検索結果は異

なる 。 ま た, それに近い形での二次的なサ

イ ト を 見つける こ と も 可能と な る 。 つま

り , タ ーゲッ ト と なる サイ ト が消滅し てい

ても それを複製し たサイ ト , 一部を引用し

たサイ ト などを見つけ出すこ と も 可能と な

る のである 。

つま り 検索エンジン最適化の働き を上手

く 利用すれば, かな り の確率でバッ ク ト

ラ ッ ク ができ る のであ る から , こ の機能

を引用方法に入れる こ と が望ま し いと いえ

る 。

4.4 ア ク セス 日時表示

動的に変化する 情報を静的に引用表記す

る のであれば, 表記時の時間を示す必要が

ある 。

確かに, ブロ グなどのよ う に刻々と 変化

する リ ソ ース では, 時分秒ま で特定する 必

要があろう が, 通常は年月日ま でで表記す

れば十分である 。 し かし 年月日表示にし て

も , 下枠内のよ う にアメ リ カ式表記と イ ギ

14 http://support.google.com /w ebm asters/bin/

answ er.py?hl= ja& answ er= 70897# 1

愛知大学情報メ ディ アセンター - 21 - vol.23, No.1, 2013

2012年12月21日 を表記する と

1. アメ リ カ式表記

Dec 21, 2012 or 12/21/12

2. イ ギリ ス 式表記

21 Dec 2102 or 21/12/12

3. 本稿での提案

20121221

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リ ス 式表記では異なる 。 こ れら を統一する

意味から も , 年( 西暦4桁半角数字) +月

( 2桁半角数字) +日( 2桁半角数字) で表

記する のが好ま し い。 こ の表記方法の一番

のメ リ ッ ト は, ファ イ ル名などに利用し た

と き 必ず時系列にコ ンピュ ータ 上で並べ替

える こ と ができ る こ と である 。

ま た日時表示では,“ last visited on” と

か“ accessed on” を付加する こ と なく , 端

的に 8桁の半角数字だけを 表示する こ と が

望ま し いと いえる 。

4.5 あ ら たな引用方法

こ れま で述べてき た引用方法以外のも の

と し ては, 引用表記を行う 時点での原典を

画像で保存する こ と も 一案であ る 。 つま

る 。 動的引用においては, むし ろこ のよ う

なアプロ ーチが好ま し いと も いえる 。

ま と めと し て, 引用形式と し て含ま せる

要素には, 検索エンジン( Search) と 検索

キーワ ード ( T itleタ グ内の文字列) を表記

し 15, 最終アク セス 時刻を 表示する こ と も

必要であろう 。 以上をま と める と , 提案し

たいのは上記のよ う な引用方法である 。

15 検索キ ーワ ード を 表記する と いっ ても , 面

面のハード コ ピーを取って, それを画像と

し て保存し 典拠表示する 方法である 。 こ の

画像ファ イ ルをサーバー上に置いてク リ ッ

ク すれば大き な画像を表示でき る よ う にす

倒な操作を伴う こ と も 事実である 。 ブラ ウ ザ上

で右ク リ ッ ク し て Web サイ ト のソ ース を 表示

さ せ, こ のソ ース 内から < T itle> タ グ内にある

文字列をコ ピ ー&ペース ト する 作業が必要と な

る 。 こ う し た 作業も 将来的には Macroで簡単

に引き 出せる よ う になる こ と が望ま し いであろ

う 。

愛知大学情報メ ディ アセンター - 22 - vol.23, No.1, 2013

り , Web サイ ト 上で原典と な る ページ 画

動的引用方法(Active Citation Method)(クリッカブルが望ましい)[タイトル], URL , アクセス日時, 検索キーワード, 画面保存画像(クリックで大画像表示)

Project CaLS, http://cals.aichi-u.ac.jp, 20121022, search “Project CaLS”,

静的引用方法(Static Citation Method)[タイトル], URL, アクセス日時, [検索キーワード]Project CaLS, http://cals.aichi-u.ac.jp, 20121022, search “Project CaLS”

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5. おわり に

イ ンタ ーネッ ト 技術には無限の可能性が

ある 。 現在起き ている リ ン ク 切れの問題,

インタ ーネッ ト 上の情報氾濫と その情報の

玉石混淆問題は, なんら かの技術によ り 解

決さ れる であろう と 予想さ れる 。 イ ンタ ー

ネッ ト を形成し てき た繋ぐ 技術が目指し た

も のが, 分散し た情報へどのよ う なアク セ

ン経路を示すかと いう アプロ ーチであった

のが変化し つつある 。 それは, 昨今のク ラ

ウド 化のよ う な情報リ ソ ース 源の一局集中

化によ り , よ り 新たな情報の存在形式が生

ま れ, よ り 確実に情報源へたどり 着ける 方

法が確立さ れる こ と が望ま し いから であろ

う 。

ま た, 本稿の扱った引用についての議論

が, さ ま ざま な制約から , 限ら れたコ ンテ

イツ のみを 対象と する こ と に留ま っ てお

り , あら ゆる 学術リ ソ ース を網羅し ている

と はいえない。 こ れは今後の研究に委ねざ

る を得ない。 そのためにも 本稿の提起する

問題点や手法がその研究の一助になれば幸

いである 。 も っと 多様な視点から 伝統的な

文献引用と いう 手法に考察の光があてら れ

て, 次世代の引用方法が生ま れてく る こ と

を期待し たい。

本稿は,愛知大学研究助成共同研究B「 大

学教育における 学生と の双方向通信のあり

方」によ る 研究助成によ る 研究成果である 。

こ のよ う な研究助成を与えていただいた愛

知大学に感謝し たい。

愛知大学情報メ ディ アセンター - 23 - vol.23, No.1, 2013

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� � �愛知大学情報メ ディ アセンター - 24 - vol.23, No.1, 2013


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