Title ラテン・アメリカの概況
Author(s) 新垣, 真保
Citation 琉大農家便り(160): 5-7
Issue Date 1969-03
URL http://hdl.handle.net/20.500.12000/21291
Rights
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ラ テ ン.アメ リカ の概況+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++#++++++++++++++++++++
世界の人々の、また我々同胞の移住の重要な受
入地域である 「ラテン・アメリカ」と呼ばれる地
域についてその概況を述べてみよう。
この地域はメキシコとその南の中米,及び南米
大陸ならびにカリブ海諸島を含む広大な地域で面
積は約2,100万km12で日本の約57倍にあた.り,人口
は約2億人と推定され,人口密度は1/m2当り平均
9人であるが最近における人口の増加率は世界最
高といわれている。ラテン ・アメリカは中米に13
ヶ国,南米に11ヶ国,合計24の独立国と英仏蘭の
植民地から成立ちそれぞれ国情は異なっているが
極めて類似した点も多い。この地域は世界人種の
混血地帯ともいわれ,白人,インディオ,ニグロ
の三人種及び,これらによる多数の混血人と少数
の中国人,日本人等によって構成されている。 白
人の国といわれるのは南米のアルゼソチシ,ウル
グアイ,チリーと中米のコス ・タ ・リカの4ヶ国
で,カリブ海に浮ぶ-イチはアフリカ系の黒人の
国であり,その他の国々は多少の差はあるが白,
黒,黄褐色系の人種の混住と混血の国である。
ラテン ・アメリカの歴史は1492年コロソブスの
新大陸発見を境いとしてそれ以前と以後に大きく
分けられる。
発見以前は数種族の先住民族インディオの時代
であるが,1世紀頃から16世紀の初めにかけては
メキシコを中心にマヤとアズテカの文化が栄え,
天文学と暦が進み石造,織物,染色の技術に優れ
ていたが,1519年スペイン人コルテスの侵略によ
って滅ぼされた。なお南米においては古くからユ
ンカ,アイマラの種族が栄えたが,それぞれイン
カ族に征服された。インカ族は10世紀から15世紀
にかけて約500年間,今日のペルーを中心に栄え,
中央アンデス山脈一帯に大帝国を誇り,天文学が
発達し優れた暦や日時計を持ち,その他石造土木
と金属製作の技術,織物と農耕の技術に極めて優
れていたが1533年スペイン人ピサロの策略により
インカ帝国はあえなく滅亡した。
15世紀末になってスペイン,ポル トガル人の海
外発展はめざましく金銀財宝の取得とカトリック
の布教を目的にラテン・アメリカ地域に進出し,
やがてこれらの地域は征服され,両国の植民地と
5
第1表中南米主要受入国国J橋一覧表
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アルゼンチン
ブラジル
パラグアイ
ボリビア
ドミ二カ
日本
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(9人)1,900
(4.6人)3,787
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ガラニーン語406
(日Zkより約1割大)大部分白人とインディオの混血 アニヨン'約30〃白人14%インディオ55%混血31〃 ラパス'約3611
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1,098
(日本の約3倍)ボリビ|アー/|,,
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白人20%混皿68〃
日本
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黒人11.5〃48.
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|
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|那覇'約2811仰 縄’(日本の約155分の1) ̄-----------__
註参考のため日本及び沖縄を附記した
なった。ポルトガル人は今日のブラジルにあたるるようになった。
地域を征服したに止つたが,スペイン人は各地に 次に主なる国々が独立した年をひろって承ると
進出し残りの全ラ米地域をその支配下におさめ, 次の通りである。
以来300年間に亘り植民地としてほしいままに統メキシコ(1811),キューバ(1898),ドミニ
拾してきた。力(1844),ペルー(1821),ボリビア(1825)
18世紀末に至りアメリカ合衆国の独立(1776)ブラジル(1822),パラグアイ(1811),アルゼ
及びフランス革命(1789)の影響を受け,直接的ンチン(1816).チリー(1818),ウルグアイ(18には1807年ナポレオンによるスペイン及びボルト 28年)。
ガル本国の制圧を契機として,植民地人の自覚は独立以来約150年間においてなされたこれら各
高まり,ラテン・アメリカの諸地域においては相国の国士の開発と経済の発展は北米のアングロ。
次いで独立運動の風潮が高まった。19世紀においアメリカに比べて著しくおくれている。清教徒の
て約100年の間にそれぞれの国が本国から独立す北米移住は1620年であり,スペインの植民開始ようテンアメリカ各国の比較
.(第2表生iii畠報告)ラテンアメリカ各国の比較(第3表遮輸通信報告1964年)
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グアテマラ
ハイチ
ホンジュラス
メキシコ
ニカラグワ
パナマ
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ベルー
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ラテンアメリカ各国の比較
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アルゼンチン
ポリビア
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クアテマラ
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メキシコ
ニカラグア
パナマ
バラグアイ
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(アルゼンチン!B(11:f,iMff瞠料)
盟などを通じて積極化されてし、る。更に国連機構
によるラテン・アメリカ経済委員会(ECLA)
の活動及び欧州移住国政府間委員会(ICEM)
やラテン・アメリカ自由貿易連合(LAFTA)
の結成などによりラ米地域の開発は現在大きく進
展しつつある。
ラテン・アメリカ各国の状況は別表第1表から
第5表までの中に詳しいことが分るので,それら
についての説明は省くことにするが,いくらかな
りともラテン・アメリカの国をについて関心を持
つものはそれらの表を十分検討してもらうようお
勧めする次第である。(新垣真保)」蕊j蝿舗:蕊;灘jユ(iw.*と;(,:!「:;;;鉾j:蟻;蕊#嚢:;;懸蕊蝋:「!:溌三:;議論:irW;諺熟蕊:緯:鍵:il識辮蕊鐘溌鐘藷;議蕊鐸製?鶏:鋼j:;…
り約100年おくれているが,アメリカ合衆国の独
立(1776)とその後の発展ぶりに比べて,ラテン
・アメリカの地域は広大な士地と豊かな資源に恵
まれながら長い眠りを続け,その停滞はいわゆる
後進地域として取残されていた。
しかし第二次大戦を境いとして漸く民族主義運
動が盛り上がり,農牧業の技術的発展を進める一
方国士の開発に力を入れ,工業の生産発展への努
力がなされつつある。また南半球の多くを占める
後進,低開発諸国の開発援助が国際間の重要課題
となるに及んで,アメリカ合衆国の援助は米州機
構(OAS),汎米道路の建設,進歩のための同三Biダ
牧畜国アルゼンチンの大牧場 アルファルファーをはじめいろいろの牧草が豊かで、飼料は牧草だけだが牛は
いつも肥え太っている。アルゼンチンは年間1000万頭位の牛芝屠数する。-7-