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佐賀のホスピスを進める会 会報 会報第16号 Page1 13 16 TEL 0952-87-2303 FAX 0952-87-4155 99 調佐賀のホスピスを 進める会 会員 今村 義臣さん

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佐賀のホスピスを進める会 会報

会報第16号 Page1

佐賀のホスピスを進める会

2010・6・13発行

会報第16号

発行元 

佐賀のホスピスを進める会

代 

表 

宮本祐一 

会報編集 

大雄

連絡先 

事務局・平川義雄

TEL 0952-87-2303 FAX 0952-87-4155

 

私がどうしてホスピスを進める会に参加

したのかというと、科学に身をおく者として

死生の問題をただ知りたかったためである。

科学の世界で死後の世界を前提とした理論

を認めている学者はおそらく99%いない。

知る限りではエディンバラ大学の心理学

研究室は残りの1%に属するはずだ。他方、

宗教では死後の世界を前提とした教えが、特

に調べたわけでもないが、結構あるように思

える。科学と宗教ではこのような齟齬がいく

らでもある(結局の所それらは時間が解決す

る問題と思われるが)。死の想像は進化した

脳の副産物という考えがある。ヒトの脳ほど

進化していない動物では死を意識すること

ができないというわけである。そのような脳

を持つ私たちは死生の問題に内在する矛盾

から未だに逃れられない。

意識という言葉を例にとって死生の不可思

議さの一端をみてみよう。ここでいう意識と

は、例えば今この文章を読んでいるときの心

の状態を指している。あなたはここに印刷さ

れた文字を見る。文字は眼に入り、神経信号

に置き換わり脳に入っていく。そして、その

形、音、意味が処理され、あなたのこれまでの経

験(記憶)等と結びつき、感情や理解を引き起

こす。この一連の過程で生じているものを意

識と呼ぶ(中には意識化されないものもある)。

意識は、今生きているから生じるのであって、

死んでしまったら生じない。これが脳科学の

考え方である。もし死んでも意識があるとし

たら、それは別の何かを想定しなければなら

ない。だが、それはかなり繊細な問題である

ことも確かだ。今後、意識の科学的な解明は

可能と思われるが、死後の科学的解明はそ

う簡単ではない。とりあえず未知のことは脇

に追いやるとして、そこに現実的な妥協点を

求めるのなら、死を考えることは生きている

間にしかできないという点であろう。では死

を考えるのに何のメリットがあるのだろう。

 

大抵の人は身近な人の死を契機にそれを

考えるようになる。だが、そのようにして死

の恐怖や悲しみを取り除こうとしても、考え

れば考えるほど逆にそれらは増幅するので

はないかと不安になるかもしれない。逆に生

きていることこそが全てだとしよう。しかし、

環境破壊がそうであるように、ただの刹那主

義が幸福をもたらすとは考えにくい。今生き

ている私たちの為だけに世界があるのでは

ないからだ。脳の進化は私たちに過去・現在・

未来を問うことを課してしまったのである。

 

この会で私は、緩和ケア病棟での活動では

なく学生を対象とした死の準備教育の活動

に参加している。その中で少しわかってき

たことがある。それは、死を語ることが、決し

て死を肯定することでもないし、またそれを

否定することでもないこと、何よりもあなた

の今の生き方を見つめ直すことに他なら

ないということ、である。そして改めて感

じるのである。偉大な先人達は決して未知

のことを無意味に語り継いできたのではない

ということを。

ホスピスを進める会に入って

佐賀のホスピスを

進める会 会 員

今村 義臣さん

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佐賀のホスピスを進める会 会報

会報第16号 Page2

伊万里大会講演会

ホスピスってなぁに?の感想

    

医療法人 

光仁会 

西田病院

       

看護師 

石橋亜矢さん

 

今回、伊万里での市民対象の緩和ケア講演会

のお話を頂き、本地にも少しずつ緩和ケアの

根がつき始め嬉しく感じております。

「ホスピス」という言葉は、皆さんご存知です

が、「緩和ケア」と語源をかえてしまうと医療

者間でもまだ本地では、そういった施設もな

く、理解されている方は少ない様です。

伊万里地区では、今回で二度目の緩和ケアの

講演で、初めての講演では、日本の麻薬を浸透さ

せ、今尚、厚生省や医療従事者等を対象とした

麻薬の基本となるものをご指導されている武

田文和先生より、市民向けの講演をして頂き、

大盛況で幕を閉じる事が出来ました。

今回の講演で私が心に残った事は、シンポジウム

の中で医療スタッフと共に家族を癌で亡くさ

れた方の悲嘆のプロセスを聞かせて頂いた事

です。

 

緩和ケアを選択する際の気持ちの中で、緩和

ケアの場を変更する事への不安や周囲の緩和

ケアに対する抵抗感等、様々な障壁がありな

がらも、緩和ケア施設を見学し、施設内の雰

囲気のよさ、スタッフからの心温かい言葉で、

緩和ケアを選択された事等を話されましたが、

そこには、家族と医療者側が尊敬しあい、オー

プンで正直なコミュニケーションをとる事が

出来、信頼関係が確立したからこそ、この選

択肢がとれたのではないかと思います。ギア

チェンジ等の心揺れ方は、患者様、ご家族様、私達

医療者も同じ辛さがあります。

今後、当院でも緩和ケア病棟が立ち上がりま

すが、今回のご遺族の事例を通し目の前にい

るご家族の苦悩、苦しみや希望、共感できるス

タッフを育成し安心して入院して頂けるよう、

多職種チーム一丸となり私たちも役割機能が

最大限に発揮できる様、自らを高めていく必

要性を再度確認する事が出来、又、命の尊さ、倫

理原則の重みを感じ取った貴重な講演会でし

た。

第6回佐賀のホスピスを進める会

講演会・伊万里大会 

報告

 

平成22年1月31日(日)

午後1時~午後5時

伊万里市大坪町の伊万里市民図書館ホールに

於いて、「ホスピスってなぁに?」をテーマに

講演会・伊万里大会を開催しました。

 

今回は伊万里市山代町の「医療法人光仁会

西田病院」さんで緩和ケア病棟開設に向けて

準備をされていることもあり、伊万里市の皆

さんに「ホスピス」への理解を深めて頂く目的で

”がん“になったらどうすればいいの?

ホスピス」

耳にはするけど、どんなところ?

誰が利用するの? 

なぜ必要なの?

こんな、皆さんの疑問にお答え出来ればと思い

佐賀県立病院好生館緩和ケアセンター長の

小杉寿文先生に演題「がんと共に生き、治療と

生活を支える緩和ケア」の基調講演、同病院緩

和ケア病棟看護師園田美佐枝さんによるホス

ピス紹介をして頂きました。そして会場にお越

しの皆様には同病院緩和ケア病棟ゲストボラ

ンティアの深川りえさん・香月綾子さんによ

るサックスとピアノのミニコンサートに耳を

傾けて頂き、ゆったりとした時間を共有する

ことが出来ました。シンポジウムでは、宮本祐

一代表を座長とし4人のシンポジスト「

西田

病院院長・西田博先生」

唐津河畔病院緩和

ケア病棟看護師長・松本美佐子さん」

患者家族・川口克也さん」

進める会会員・

五十嵐雄道さん」

により充実した意見交換が

なされました。

ミニコンサート 基 調 講 演

シ ン ポ ジ ウ ム ポスピス紹介

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佐賀のホスピスを進める会 会報

会報第16号 Page3

平成21年 7/ 8  西有田中学校講話(2年生)  8/28  多久東部小学校打ち合わせ 9/10  久留米祐誠高校2年生授業(五十嵐・山下・宮原・今川)10/ 6  多久東部中学校グループワーク   13  鳥栖高校講話(全学年)   19  春日小学校打ち合わせ   22  唐津工業高校講話(全学年)   28  北山東部小学校(全学年)11/ 2  兵庫小学校打ち合わせ   10  富士南小学校講話(高学年)       多久東部中学校グループワーク   19  兵庫小学校打ち合わせ   24  武雄中学校講話(全学年)   29  多久東部小学校公開授業(5学年担当)12/ 2  大川看護学校グループワーク    4  芙蓉小中一貫校講話(中学部担当)    9  南波多中学校講話(全学年担当)   14  多久東部中学校グループワーク

平成22年 1/18  東与賀小学校打ち合わせ       兵庫小学校打ち合わせ   21  嬉野高校講話(福祉コース)   22  砥川小学校打ち合わせ   26  東与賀小学校打ち合わせ   28  久留米祐誠高校2年生授業   29  砥川小学校講話(6年生) 2/ 3  納所小学校講話(高学年)    4  兵庫小学校グループワーク    5  白石中学校PTA講話    8  東与賀小学校5年生グループワーク   10  多久東部地区PTA連合会講話   17  県内高校福祉部会講話(会場 嬉野高校)   23  牛津小学校講話(4学年) 3/ 2  大和中学校講話(1・2学年)   11  外町小学校講話(6学年)   17  宝城中学校講話(1・2学年)   18  多久東部中学校授業(with 看護学生)   23  鹿児島県・徳之島深浦中学校授業(全学年)       鹿児島県・徳之島高校授業(全学年) 4/27  多久東部中学校年間計画打ち合わせ    28  若草保育園事前研修会・会議(保育士・保護者) 5/ 6  若草保育園打ち合わせ会議(保育士)    7  鳥栖工業高校定時制講話(全学年)   14  若草保育園事前研修会・会議(保育士・保護者)   15  多久東部中公開授業(全学年) 担当1年「お話」(今川・小林)        2年「ライフボート」(山下)3年「ライフライン図」(今村・加藤・五十嵐・光吉)   19  佐賀大学医学部グループワーク       (2年生 担当五十嵐・山下・平川・加藤・牧・光吉・中岡・樗木・森山)   22  若草保育園グループワーク(年長園児・保護者・職員)   29  光明保育園グループワーク(年長園児・保護者・職員) 6/ 3  若草・光明保育園合同会議(保育士)   20  富士南小学校講話(全学年)       春日小学校グループワーク(5年生)

「生と死の準備教育」活動報告(21年7月~22年6月)

3/18 多久東部中学校(with 看護学生)

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佐賀のホスピスを進める会 会報

会報第16号 Page4

平成21年

 6/18  総 会 iスクエア       【総会】 20年度事業報告・決算/21年度事業予算の審議       【学習会】 講師 佐 賀 県 立 病 院 好 生 館 緩 和 ケ ア 医 長 小杉寿文さん               佐賀看護協会訪問看護ステーション管理者 上野幸子さん       【テーマ】佐賀のホスピスの現状と在宅へ向けて

 7/30  月例会 iスクエア     来春の講演会について(学習会)スピリュチュアルケア(高木病院臨床心理士土井泰彦さんの質問から)

 9/10  月例会 iスクエア       来春の出前講演会・伊万里大会開催について

10/15  月例会 iスクエア       来春の出前講演会・伊万里大会開催について

11/12  月例会 iスクエア       伊万里大会開催について       【学習会】講師 進める会代表 宮本祐一さん       【テーマ】「いのちより重いものがあるのか?」

12/11・18 多久東部中の佐賀県立病院好生館ホスピス訪問のお世話

12/11  月例会 iスクエア       伊万里大会開催について  準備教育報告       【学習会】講師 進める会代表 宮本祐一さん  【テーマ】「臨床倫理」について

平成22年

 1/22  月例会 iスクエア       講演会伊万里大会の準備状況報告と最終打合せ       【学習会】講師 進める会代表 宮本祐一さん  【テーマ】「臨床倫理」について事例検討① 

 1/31  講演会「伊万里大会開催」伊万里市民図書館ホール 参加者150名程       〔テーマ〕「ホスピスってなぁに?」        〔講 師〕 佐賀県立病院好生館緩和ケアセンター長 小杉寿文さん       〔シンポジュウム〕 座長 代表 宮本祐一  シンポジスト 4名        〔ミニコンサート〕 サックスとピアノのコンサート                  県立病院ゲストボランティア 深川りえさん 香月綾子さん

 2/19  月例会 iスクエア 講演会伊万里大会の反省       【学習会】講師 進める会代表 宮本祐一さん  【テーマ】「臨床倫理」について事例検討② 

 3/17  月例会 iスクエア 【学習会】講師 進める会代表 宮本祐一さん  【テーマ】「臨床倫理」について事例検討③ 

 4/14  月例会 iスクエア       総会の内容について       【学習会】講師 進める会代表 宮本祐一さん  【テーマ】「臨床倫理」について事例検討④ 

 5/19  月例会 iスクエア       総会の内容について・意見交換       【学習会】講師 佐賀県立病院好生館緩和ケア病棟師長 津城雪枝 さん       【テーマ】「ホスピス病棟の現場から」

「活動報告」(21年6月~22年5月)

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会報第16号 Page5

5月15日に多久市立東部中学校で先生方の協力の下「生と死の準備教育」の公開授業をいたしました。

1年生は「瞳スーパーデラックス(ビデオ)とお話」     担当:今川房子さん、小林朝子さん2年生は「ライフボート」     担当:山下一徹さん3年生は「ライフライン図」     担当:今村義臣さん、加藤亮雄さん、五十嵐雄道さん、光吉祐證さん

この授業の様子が5月17日の佐賀新聞朝刊に載りましたのでご紹介いたします。

平成22年5月17日付

佐賀新聞朝刊17頁の

記事を掲載しています。

 

5月19日(水)に佐賀大学医学部2年生の授業

に当会のメンバー9名が参加させていただき、

若い学生の皆さんのエネルギーをいっぱい

頂いてきました。

 

グループワークでは最初に医学生達から

「なぜ、命の授業をする必要があるのか?」と

言う疑問を投げかけられる場面もありました

が、「人の死を他人事ではなく自分の事として

考える事の出来る医療者になって欲しい!」

と話しながら、楽しく授業を進めることが出

来ました。

生と死の準備教育in佐賀大学医学部

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佐賀のホスピスを進める会 会報

会報第16号 Page6

「事務局だより」

 

今年に入り世の中がより変わりはじめた

ことを実感しています。とはいえ政権は交

代したものの不安定、経済の悪化に加え天候

不順・インフルエンザ・口蹄疫の流行など

不安なことが続きます。県立病院も独法化

されました。医療現場も更なる変革が必要な

のでしょう。不易流行(変わるものと変わら

ないもの)を大切に見きわめていくことが大

切な時代だと思います。

 

さて事務局の不手際で、昨年から会報が年

1回となり誠に申し訳ありません。

 

当会も発足して10年が過ぎました。

「ホスピス」のことを一人でも多くの方に

知っていただきたいという思いで始めた会

ですが、その間には学習会をはじめ、各地を

巡回して開催した出前講座は本年1月開

催の伊万里大会で6回目となりました。伊万

里では西田病院様が緩和ケア病棟開設に向

け準備されています。当会もささやかですが、

なにかお手伝いができればと考えています。

また生と死への準備教育活動は試行錯誤し

ながらも8年目に入りました。人手不足は否

めませんが、保育園から高校・一般まで世代

間を越えて活動の輪が広がっています。この

ような遅々とした歩みの活動ではあります

が、おかげさまで一般の方へのホスピス(緩

和医療)への理解が、少しづつ広がっている

のではと思います。平成19年にはガン対策基

本法が制定され、緩和医療への取り組みがよ

り進んでいます。佐賀県立病院好生館でも、

現在は希望者が多く入院待機の方が多くい

らっしゃるとのこと。それに伴い従来のホス

ピスの受け入れのあり方が、変わりつつあり

ます。開設当時は入院されたら最後までお過

ごしになる場合が多かったのですが、現在は

容態に応じての入院、入院されても容態が安

定したら、一時退院し、自宅やお近くの病院

で療養することも増えてきました。

いまは「終の棲家」というイメージから「拠り

所」としてホスピス病棟の機能を最大限生か

し、患者さまの要望に応えられる体制支援が

望まれます。それには在宅支援の充実や地

域医療連携そして一般の方の意識改革が必

要だと思います。より情報を伝え、ホスピス

への理解を広める活動はこれからも必要で

す。そしてホスピスをとおして「死を見つめ

ることは生きる今を見つめること」をより伝

えていくことが大切だと思います。

当会も10年の月日が過ぎ、また新たな一歩

を踏み出します。自分にとっての不易流行を

心に問いながら「なにを進めていく会なのか」

を常に自答しながら活動したいと思います。

これからもよろしくお願いします。

(平川)

http: / /areahot .jp/saga /hospice/index .html

佐賀のホスピスを進める会

 公式サイト

編集後記

会報15号に引き続き、今回も会報16号

の発行が遅れてしまい6月の発行と

なってしまいました。

皆様には御迷惑をお掛けする事になっ

てしまい大変申し訳ございません。

この場を借りてお詫び申し上げます。

最後に今回原稿を書いて下さった方々

に感謝申し上げます。

(牧

大雄)