調査研究報告書 - soumu.go.jp · web...

Click here to load reader

Upload: others

Post on 31-Dec-2019

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

調査研究報告書

 

   

「公共分野におけるウェブアクセシビリティの普及に関する調査研究」報告書

平成27年3月

総務省

(請負者:株式会社 インフォ・クリエイツ)

はじめに

  「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」(総務省:平成26年10月7日付け報道発表)では、我が国のブロードバンド契約者のダウンロード及びアップロードのトラフィックは、双方ともに年々増加していると報告され、このことは、ウェブを通じて提供される情報や機能が、益々重要性を増していることを示すものである。

 このように、ウェブが社会基盤として重要な位置付けを担う今日では、高齢者や障害者を含む誰もがウェブを利用できるよう「ウェブアクセシビリティ」を確保することが重要である。

障害者基本法(昭和45年法律第84号)では、情報の利用におるけるバリアフリー化に関し、障害者への配慮義務等が規定され、障害者基本計画(平成25年9月閣議決定)では、公的機関によるウェブアクセシビリティ向上の取組促進が掲げられている。また、「世界最先端IT国家創造宣言 工程表」(平成26年6月閣議決定)においても、ウェブアクセシビリティの維持・向上に取り組むこととされている。

 一方、国際的な動向では、平成11年5月にW3C/WAI(World Wide Web Consortium/Web Accessibility Initiative)によって「ウェブアクセシビリティガイドライン1.0」が公表され、平成20年12月に改定版となる「ウェブアクセシビリティガイドライン2.0」が公表された。その後このガイドラインは、平成24年10月に国際標準機関であるISO/IEC(International Organization for Standardization:国際標準化機構/ International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議 )により、「ISO/IEC 40500:2012」として勧告された。我が国においても、この標準化の動向に呼応して、「JIS X8341-3:2010」(高齢者・障害者等配慮設計指針 第3部ウェブコンテンツ)の改定が進められている。

 このような内外のウェブアクセシビリティに関する動向を受け、総務省では、国や地方公共団体等の公的機関におけるウェブアクセシビリティの確保の重要性に鑑み、公的機関の規格対応の取組みを支援するため、「みんなの公共サイト運用モデル」を平成17年12月に開発し公表した。その後、平成22年8月の規格改定に合わせ、同運用モデルの改定版となる「みんなの公共サイト運用モデル(2010年度改定版)」を平成23年3月に公開するとともに、ウェブアクセシビリティ確保の状態を公的機関自らが評価できる「miChecker」(ソフトウェア)を開発し公表した。

 本事業は、以上の背景を踏まえ、地方公共団体等の公的機関を対象としたアンケート調査やヒアリング調査等を実施し、ウェブアクセシビリティ確保の状況、「みんなの公共サイト運用モデル」や「miChecker」の有用性又は改善点等の把握を行い、総務省として新たな施策の検討・展開に当たって必要な資料の収集・作成等を行うことを目的に実施した。

目次「公共分野におけるウェブアクセシビリティの普及に関する調査研究」報告書1はじめに2第1章調査研究の概要81.調査研究の手順と方法82.報告書の構成8第2章国・地方公共団体の「運用モデル」活用状況調査91.アンケート調査の実施概要91.1アンケート実施方法91.2団体属性別アンケートの回答状況91.3アンケート設問項目102.公式ホームページの管理運用体制とCMS活用について112.1ホームページを主に管理運営している部署(設問2)112.2ホームページ要員数(設問1)112.3CMSの導入状況(設問3)123.ホームページのリニューアル状況とトップページからのリンクについて133.1ホームページのリニューアル状況とその目的(設問4、5)133.2トップページからリンクしているページ(設問6)(複数回答)144.ウェブアクセシビリティに対する認識・意識144.1ウェブアクセシビリティに関する認識144.2関連法令に関する認識175.ウェブアクセシビリティ向上への取組状況について185.1ウェブアクセシビリティの確保に向けた取組状況(設問12)185.2JISがウェブアクセシビリティ方針の策定・公開を求めていることについての認識(設問13)195.3JISに基づくウェブアクセシビリティ方針の策定・公開状況(設問14)205.4ウェブアクセシビリティ方針の策定時期と、目標達成等級(設問15)215.5ウェブアクセシビリティ方針策定の際に悩んだことや困ったこと (設問16)(複数回答)225.6運用管理担当部署で把握しているアクセシビリティに関する事柄(設問17)(複数回答)246.ホームページ作成・更新、運用におけるウェブアクセシビリティの取組について246.1ホームページ作成・更新時にアクセシビリティ確保をしている方法(設問18)(複数回答)246.2利用者の意見の収集と、ウェブアクセシビリティ改善への活用(設問19)256.3ウェブアクセシビリティ・ガイドラインの有無(設問20)266.4職員向けウェブアクセシビリティ研修の実施(設問21)276.5高齢者や障害者など利用者による「ユーザー評価」(設問22)287.JIS X 8341-3:2010に基づく試験について287.1JIS X 8341-3:2010への対応状況の試験の実施・公開に関する認識(設問23)287.2JIS X 8341-3:2010に基づく試験の実施・結果公開状況(設問24)297.3JIS X 8341-3:2010の試験方法(「ウェブページ単位」と「ウェブページ一式単位」の採用状況)(設問25)307.4試験の実施方法または予定している方法(設問26)317.5試験の実施頻度または予定している頻度(設問27)327.6試験を実施した際に困ったことや困難だったこと(設問28)338.継続的な試験とウェブアクセシビリティ改善に向けた取組みについて338.1定期的に実施していること(設問29)(複数回答)338.2今後、定期的な実施に向けて検討していること(設問30)(複数回答)349.災害発生時や緊急時の情報発信について359.1災害発生時や緊急時の情報提供の状況と提供方法(設問31、32)359.2災害発生時や緊急時の情報提供ページにおけるアクセシビリティ対応状況(設問33)(複数回答)3510.公式ホームページ以外について3610.1関連サイトの提供状況等(設問34)(複数回答)3610.2関連サイトのウェブアクセシビリティの取組状況(設問35)3811.運用モデルの活用状況について3911.1運用モデルについての認識(設問36)3911.2運用モデルを知った方法(設問37)(複数回答)4011.3運用モデルが目安として示す達成期限と等級の認識(設問38)4111.4運用モデルの活用効果(設問39)(複数回答)4212.ウェブアクセシビリティ向上の課題について4212.1ウェブアクセシビリティ向上を進める上での課題(設問40)(複数回答)4212.2ウェブアクセシビリティ向上の取組について期待する外部支援(設問41)(複数回答)4513.本章のまとめ4713.1アンケート結果まとめ4713.2ウェブアクセシビリティ取組課題48第3章ウェブアクセシビリティ対応状況に関する実態調査491.実態調査の概要491.1実態調査の目的491.2調査の種類と方法492.チェックツールによる機械的試験502.1調査の目的502.2調査の概要502.3評価結果512.4miCheckerの問題出力機能を使用した評価結果522.5ウェブアクセシビリティ取組の分析532.6技術的考察553.標準ブラウザによる目視検査583.1標準ブラウザを使用した目視検査の目的583.2調査概要583.3ウェブアクセシビリティ方針の公開状況等593.4目標達成状況 (項目2.)613.5「試験」結果の公開状況(項目3.)633.6利用者の利便性配慮状況について643.7アンケート回答と調査結果654.JIS X 8341-3:2010適合性評価調査674.1JIS X 8341-3:2010適合性評価の目的674.2JIS X 8341-3:2010適合性評価の概要674.3調査対象ウェブページ全体の適合性評価の結果684.4調査対象団体別の適合性評価結果694.5アンケート回答と、JIS X 8341-3:2010等級AA対応度評価704.6技術的考察725.本章の考察765.1ウェブアクセシビリティ確保に向けた取組の成果765.2ウェブアクセシビリティ確保に向けた取組の課題775.3ウェブアクセシビリティ確保に向けた取組に対する阻害要因77第4章地方公共団体のウェブアクセシビリティ取組状況の把握781.自治体ヒアリング調査の概要781.1自治体ヒアリング目的781.2訪問ヒアリング調査対象団体781.3主なヒアリング項目782.団体内でのウェブアクセシビリティ意識付けと取組の促進について793.「ウェブアクセシビリティ方針」の策定・公開について793.1ウェブアクセシビリティ方針の策定803.2ウェブアクセシビリティ方針に記述する、達成等級と達成期限803.3ウェブアクセシビリティ方針の公開814.ホームページのリニューアル状況について825.日々のホームページ作成・更新、運用管理825.1日々の各ページ公開前のアクセシビリティ確認835.2ガイドライン835.3職員向けアクセシビリティ研修845.4利用者の意見収集856.JIS X 8341-3:2010に基づく試験856.1試験方法856.2JIS X 8341-3:2010に基づく試験の実施866.3miCheckerの活用877.運用モデル887.1運用モデルの理解(利用目的など)887.2運用モデル改定888.その他付随する事項898.1災害発生時や緊急時のホームページを利用した情報発信について898.2SNSの利用898.3ウェブシステム(電子申請、施設予約システムなど)909.本章のまとめ919.1ヒアリング結果919.2求められる取組みについて92第5章取組状況の調査結果と、課題のまとめ931.概要931.1アクセシビリティ対応が求められる背景と重要性の認識931.2ウェブアクセシビリティの関心・取組意識931.3ウェブアクセシビリティ方針の策定と公開931.4ガイドラインの策定と研修941.5ユーザー評価・利用者の意見収集941.6JIS X 8341-3:2010に基づく試験の実施と公開941.7運用モデル942.求められる取組み952.1自治体に求められる取組み952.2総務省に求められる取組み953.解決方策の求められる課題95第6章専門的な知見を踏まえた課題と解決策等のヒアリング961.調査の概要961.1ヒアリングの目的961.2ヒアリング対象有識者の選定961.3公的機関におけるウェブアクセシビリティ確保の取組についての課題962.ウェブアクセシビリティ対応が求められる背景と重要性の認識972.1背景973.ウェブアクセシビリティの関心・取組意識993.1背景993.2聴取した指摘993.3聴取した方策994.ウェブアクセシビリティ方針策定・公開1004.1背景1004.2聴取した指摘1004.3聴取した方策1005.日々のページ作成・更新時におけるアクセシビリティ確認1015.1背景1015.2聴取した指摘1015.3聴取した方策1016.ガイドラインの作成と職員研修1026.1背景1026.2聴取した指摘1026.3聴取した方策1027.ユーザー評価・利用者の意見収集1037.1背景1037.2聴取した指摘1037.3聴取した方策1038.JIS X 8341-3に基づく試験の実施と公開1038.1背景1038.2聴取した指摘1038.3聴取した方策1038.4miChecker1049.外部発注(ホームページのリニューアル)1059.1背景1059.2聴取した指摘1059.3聴取した方策案10510.運用モデル10610.1背景10610.2聴取した指摘10610.3聴取した方策案10611.その他(災害発生時や緊急時のホームページ利活用・ウェブシステム)10711.1背景10711.2有識者から示されたコメント107第7章方策・考察1091.運用モデルがウェブアクセシビリティ向上に果した役割と成果1092.運用モデルに求められる改善1092.1継続性のある周知活動1092.2民間事業者も含めた取組1092.3内容の充実1092.4具体的な取組手法の提供1092.5miCheckerの改善110

調査研究の概要調査研究の手順と方法

国及び地方公共団体に対して、運用モデルが示したウェブアクセシビリティ確保に向けた取組状況、運用モデルの活用状況等について、アンケート調査を行った。(第2章)

アンケート回収後、アンケート回答団体の約1/2を対象団体に選び、対象団体のホームページに対して、日本工業規格(JIS X 8341-3:2010)に基づく試験と検査を行い、ウェブアクセシビリティ対応状況について実態を調査した。そして、調査結果を基に、各団体のウェブアクセシビリティ向上に向けた取組成果と、取組課題と阻害要因を抽出し、分析を行った。(第3章)

ウェブアクセシビリティ対応状況の実態調査及び分析結果を基に、地域、団体規模、団体属性に偏ることがないようアンケート回答傾向を考慮して、6地方公共団体を選定の上、ウェブアクセシビリティ確保に向けた取組成果と課題についてヒアリング調査を行った。(第4章)

以上の、アンケートによる国及び地方公共団体の調査、ホームページのウェブアクセシビリティ対応状況の実態調査、ウェブアクセシビリティ確保に向けた取組みについてのヒアリング調査結果を基に、ウェブアクセシビリティ確保に向けた取組成果と課題を取りまとめ、取組課題の解決方策に求められる検討項目の抽出を行った。(第5章)

抽出したウェブアクセシビリティ確保に向けた取組課題及び解決策に求められる検討項目を基に、利用者、ホームページ構築、規格/標準、ICT/ウェブ技術の観点から、ウェブアクセシビリティに深い知見を有する有識者5名を選定の上、ヒアリングを行い、我が国におけるウェブアクセシビリティ普及に求められる方策等に関する意見を聴取した。(第6章)

以上の調査結果を踏まえ、運用モデルにおける課題、公的機関に求められるウェブアクセシビリティの普及に関する課題を整理し、課題解決の方策を検討し、取りまとめた。(第7章)

報告書の構成

本調査研究の報告書は、調査手順に基づき構成した報告書本文と、付属用語集で構成している。(図表 第1章2 参照)

図表第1章 2 報告書本文の構成

国・地方公共団体の「運用モデル」活用状況調査

本章では、国及び地方公共団体におけるウェブアクセシビリティの取組み及び運用モデルの活用状況について、アンケート調査を行った結果をまとめている。

アンケート調査の実施概要アンケート実施方法

アンケート調査の実施方法は次のとおりである。

図表 第2章 1.1 アンケート調査実施方法

件名

「国及び地方公共団体におけるウェブアクセシビリティへの取組に関するアンケート」

 実施主体

株式会社 インフォ・クリエイツ

目的

公的機関におけるウェブアクセシビリティに対する意識や取組状況の把握

総務省運用モデルが示す「ウェブアクセシビリティ方針策定・公開」等に関する取組状況の把握

実施期間

平成26年11月14日~12月02日

調査対象件数

1,828団体

団体区分内訳(府省庁:40、都道府県:47、政令指定都市:20、特別区:23、市:770、町:745、村:183)

有効回収数(率)

1,030団体(56%)

依頼・回答方法

アンケート依頼方法:郵送

回答方法:Fax及びインターネットフォーム

集計・分析

単純集計

経年変化(一部)

回答団体別クロス集計

団体属性別アンケートの回答状況

  アンケートに回答した団体数1,030の団体属性別の分布は以下のとおりである。

表 第2章 1.2 団体属性別アンケート回答状況

全体

府省庁

都道府県

政令指定都市

特別区

有効回収数

1,030

14

43

14

19

489

372

79

有効回収率

56%

35%

91%

70%

83%

64%

50%

42%

アンケート設問項目

アンケートの設問項目は以下のとおり、全41設問である。

図表 第2章 1.3 アンケート設問一覧

調査テーマ

調査項目

要員体制

設問1.ホームページの運用管理、制作・更新業務等に係る職員数

公式ホームページについて

設問2.ホームページを主に管理運営している部署

設問3.CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)の利用状況

設問4. 最近のリニューアル状況及び予定

設問5. リニューアルの目的

設問6. トップページにリンクしているページ

ウェブアクセシビリティについて

設問7. 回答者のウェブアクセシビリティに関する認識

設問8. 回答団体のウェブアクセシビリティに関する認識

設問9.「JIS X 8341-3:2010」の認識

設問10. 障害者差別解消法の平成28年度施行に関する認識

設問11.  わが国の「障害者の権利に関する条約」批准に関する認識

ウェブアクセシビリティ向上への取組状況について

設問12. ウェブアクセシビリティの確保に向けた取組状況

設問13.  JIS X 8341-3:2010のウェブアクセシビリティ方針の策定・公開に関する認識

設問14. JISに基づくウェブアクセシビリティ方針の策定・公開状況

設問15.  ウェブアクセシビリティ方針の策定時期と目標達成等級

設問16.  ウェブアクセシビリティ方針策定の際に悩んだことや困ったこと

設問17. 運用管理担当部署で把握しているウェブアクセシビリティに関する事柄

ウェブページ作成・更新、運用における取組について

設問18.  ウェブページ作成・更新時にアクセシビリティを確保している方法

設問19.  利用者の意見の収集と、ウェブアクセシビリティ改善への活用

設問20.  ウェブアクセシビリティ・ガイドラインの有無

設問21.  職員向けウェブアクセシビリティ研修の実施状況

設問22.  高齢者や障害者など利用者による「ユーザー評価」の実施状況

JIS X 8341-3:2010に基づく試験について

設問23.  JIS X 8341-3:2010への対応状況の試験の実施・公開に関する認識

設問24.  JIS X 8341-3:2010に基づく試験の実施・結果公開の状況

設問25.  JIS X 8341-3:2010の試験方法(「ウェブページ単位」と「ウェブページ一式単位」の採用状況)

設問26.  試験の実施方法または予定している方法

設問27.  試験の実施頻度または予定している頻度

設問28.  試験を実施した際に困ったことや困難だったこと

継続的な試験とウェブアクセシビリティ改善に向けた取組について

設問29.  定期的に実施していること

設問30.  今後、定期的な実施に向けて検討していること

災害発生時や緊急時の情報発信等について

設問31.  災害発生時や緊急時におけるホームページ等での情報提供の状況

設問32.  災害発生時や緊急時の情報提供の方法

設問33.  災害発生時や緊急時の情報提供ページにおけるアクセシビリティ対応状況

公式ホームページ以外について

設問34.  関連サイトの提供状況等

設問35.  関連サイトのウェブアクセシビリティの取組状況

運用モデルの活用状況について

設問36.  運用モデルの活用状況

設問37.  運用モデルを知った方法

設問38.  運用モデルが目安として示す達成期限と等級の認識

設問39.  運用モデルの活用効果

ウェブアクセシビリティ向上の課題について

設問40.  ウェブアクセシビリティ向上を進める上での課題

設問41.  ウェブアクセシビリティ向上の取組について期待する外部支援

公式ホームページの管理運用体制とCMS活用についてホームページを主に管理運営している部署(設問2)

ホームページを主に管理運営している部署について、「広報担当部署」と回答した団体は全体の69.6%、「情報システム担当部署」は26.1%である。(図表第2章 2.1-1参照)

平成17年調査では、広報担当部署が20.7%である。(図表 第2章 2.1-2参照)

また、平成17年調査では、担当部署が決まっていない団体が42.0%であったが、今回の調査では0件である。

図表 第2章 2.1-1 ホームページを主に管理運営している部署

図表 第2章 2.1-2 ホームページを主に管理運営している部署(経年変化)

ホームページ要員数(設問1)

ホームページの運用管理者数について、1名と回答した団体は全体の19.5%、2-3名が37.7%、4名以上が42.9%である。(図表第2章2.2-1参照)

制作・更新担当者数は、1-5名が25.2%、501名以上の担当者がいる団体は66.7%である。(図表第2章2.2-2参照)

図表 第2章2.2-1 ホームページ運用管理者数

図表第2章2.2-2 ホームページ制作・更新担当者数

CMSの導入状況(設問3)

CMSの導入状況について、「ホームページ全体でCMSを利用している」と回答した団体は全体の72.6%である。「ホームページの一部でCMSを利用している」を含めると、合計で84.4%の団体がCMSをウェブページ作成・更新に利用している。(図表 第2章2.3-1参照)平成17年調査では、「ホームページ全体でCMSを利用している」は21.7%である。(図表第2章2.3-2参照)

また、所属団体別のCMSの利用率は、「政令指定都市」では100%、「特別区」で89.5%、市町村は72.9%である。(図表 第2章2.3-3 参照)

図表 第2章2.3-1 CMSの利用状況

図表 第2章2.3-2 CMSの利用状況(経年比較)

図表 第2章2.3-3 CMSの利用状況(団体属性別)

ホームページのリニューアル状況とトップページからのリンクについてホームページのリニューアル状況とその目的(設問4、5)

ホームページのリニューアル状況について、「最近リニューアルを行った」と回答した団体は全体の59.0%。「現在リニューアル作業中」は、13.6%、「リニューアル予定」は17.8%である。(図表 第2章3.1-1参照)

主なリニューアル目的では、「ホームページのユーザビリティを向上させるため」が最も多く39.5%である。「ウェブアクセシビリティの確保に取組むため」は9.7%である。(第2章3.1-2参照)

図表 第2章3.1-1 ホームページのリニューアル状況

図表 第2章3.1-2 ホームページのリニューアル目的

トップページからリンクしているページ(設問6)(複数回答)

トップページからリンクしているページについて、「問合せ」と回答した団体は全体の88.8%、「サイトマップ」は86.1%である。「ウェブアクセシビリティ方針」へのリンクは30.8%である。(図表 第2章3.2-1参照)

「ウェブアクセシビリティ方針」へのリンクについて、団体属性別にみると、「政令指定都市」は78.6%と最も高く、「市町村」が31.6%と最も低かった。(図表 第2章3.2-2参照)

図表 第2章3.2-1 トップページからリンクしているページ

図表 第2章3.2-2 トップページからリンクしているページ

(ウェブアクセシビリティ方針へのリンク)(団体属性別)

ウェブアクセシビリティに対する認識・意識ウェブアクセシビリティに関する認識0. ホームページ管理運営担当者のウェブアクセシビリティに関する認識(設問7)

ホームページの管理運営担当者のウェブアクセシビリティに対する認識について、「内容を知っている」と回答した団体は全体の79.1%である。平成17年調査と比較すると、5ポイント増加している。(図表 第2章4.1.1-2参照)

団体属性別にみると、「内容を知っている」と回答した割合は、「政令指定都市」、「特別区」がともに100%であるが、「市町村」は77.3%である。(図表 第2章4.1.1-3参照)

図表 第2章4.1.1-1 ホームページ管理運営担当者の「ウェブアクセシビリティ」に関する認識

図表 第2章4.1.1-2 ホームページ管理運営担当者の「ウェブアクセシビリティ」に関する認識

(経年変化)

図表 第2章4.1.1-3 ホームページ管理運営担当者の「ウェブアクセシビリティ」に関する認識

(内容を知っている)(団体属性別)

回答団体の「ウェブアクセシビリティ」に関する認識(設問8)

ウェブアクセシビリティの認識について、「首長のリーダーシップのもとホームページに係わる全職員が必要性を認識している」と回答した団体は全体の6.2%、「必要性はほとんど認識されていない(概ね1/3未満)」が44.9%である。(図表 第2章4.1.2-1 参照)

団体属性別では、「府省庁」や「政令指定都市」において、組織全体での取組が他団体に比べて高い。(図表 第2章4.1.2-2参照)

図表 第2章4.1.2-1 回答団体の「ウェブアクセシビリティ」に関する認識

図表 第2章4.1.2-2 回答団体の「ウェブアクセシビリティ」に関する認識(団体属性別)

JIS X 8341-3:2010の認識度合い(設問9)

ウェブアクセシビリティに関する規格「JIS X 8341-3:2010」についての認識は、「規格票を購入し、所持している」と回答した団体は全体の7.2%、「よく知っている」は32.4%、「あることは知っているが内容は知らない」が45.1%である。(図表 第2章4.1.3-1参照)

 団体属性別では、「よく知っている」と回答した割合は、政令指定都市の57.1%が最も高く、市町村の30.1%が最も低い。(図表 第2章4.1.3-2参照)

図表 第2章4.1.3-1 JIS X 8341-3:2010の認識

図表 第2章4.1.3-2 JIS X 8341-3:2010についての認識(団体属性別)

関連法令に関する認識障害者差別解消法の平成28年施行に関する認識(設問10)

「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」という。)が平成28年度から施行されることに対する認識について、「施行されることも内容も良く知っている」と回答した団体は全体の13.1%、「聞いたことがあるが、内容は知らない」は52.4%である。(図表 第2章4.2.1-1参照)

 団体属性別でみると、「施行されることも内容も良く知っている」と回答した割合は「府省庁」は50.0%、「都道府県」は47.6%、「政令指定都市」は50.0%、「特別区」は42.1%、「市町村」は、9.9%である。(図表 第2章4.2.1-2参照)

図表 第2章4.2.1-1 障害者差別解消法の平成28年度施行についての認識

図表 第2章4.2.1-2 障害者差別解消法の平成28年度施行についての認識(団体属性別)

我が国の「障害者の権利に関する条約」批准に関する認識(設問11)

我が国が平成26年1月に「障害者の権利に関する条約」を批准したことについての認識は、「知っている」と回答した団体は全体の17.3%である。(図表 第2章4.2.2-1参照)

団体属性別にみると、「知っている」と回答した割合は、「府省庁」は57.1%、「都道府県」は53.5%、「政令指定都市」は35.7%、「特別区」は42.1%、「市町村」は14.3%である。(図表 第2章4.2.2-2参照)

図表 第2章4.2.2-1 我が国の「障害者の権利に関する条約」批准に関する認識

図表 第2章4.2.2-2 我が国の「障害者の権利に関する条約」批准についての認識(団体属性別)

 

  

ウェブアクセシビリティ向上への取組状況についてウェブアクセシビリティの確保に向けた取組状況(設問12)

ウェブアクセシビリティの確保に向けた取組状況について、「十分に取組んでいる」と回答した団体は全体の10.5%である。「まだ不十分であり、今後も取組を進めていく予定である」は62.1%である。(図表 第2章5.1-1参照)

団体属性別にみると、「十分に取組んでいる」と回答した割合は「府省庁」は28.6%、「政令指定都市」は35.7%で他の団体に比べ高い。「市町村」は9.4%である。(図表 第2章5.1-2参照)

図表 第2章5.1-1 ウェブアクセシビリティの確保に向けた取組状況

図表 第2章5.1-2 ウェブアクセシビリティの確保に向けた取組状況(団体属性別)

JISがウェブアクセシビリティ方針の策定・公開を求めていることについての認識(設問13)

JIS X 8341-3:2010が、各団体に対して「ウェブアクセシビリティ方針」の策定、及びホームページ上での公開を求めていることへの認識について、全体では約半数の49.9%が「知っている」と回答している。(図表 第2章5.2-1参照)

団体属性別にみると「知っている」と回答した割合は、「市町村」は45.5%、他の団体では9割以上である。(図表 第2章5.2-2参照)

図表 第2章5.2-1 JISがウェブアクセシビリティ方針の策定・公開を求めていることについての認識

図表 第2章5.2-2 JISが「ウェブアクセシビリティ方針」策定・公開を求めていることについての認識

(団体属性別)

JISに基づくウェブアクセシビリティ方針の策定・公開状況(設問14)

JIS X 8341-3:2010に基づく「ウェブアクセシビリティ方針」の策定、及びホームページ上での公開の状況について、「既に策定・公開している」と回答した団体は全体の17.2%である。一方、「今のところ策定・公開の予定はない」は43.9%である。(図表 第2章5.3-1参照)

団体属性別にみると、「既に策定・公開している」と回答した割合は、「政令指定都市」が78.6%、「都道府県」は57.1%、「府省庁」は42.9%である。(図表 第2章5.3-2参照)

図表 第2章5.3-1 JISに基づくウェブアクセシビリティ方針の策定・公開状況

図表 第2章5.3-2 JISに基づくウェブアクセシビリティ方針の策定・公開状況

(団体属性別)n=1,027

ウェブアクセシビリティ方針の策定時期と、目標達成等級(設問15)

ウェブアクセシビリティ方針を策定した年、または策定予定の年に回答した団体は200団体で、回答年は2008年から2015年の期間である。(図表 第2章5.4-1参照)

ウェブアクセシビリティ方針を公開した年、または公開予定の年に回答した団体は189団体である。(図表 第2章5.4-2参照)

ウェブアクセシビリティ方針策定及び公開した年の両方に回答した団体は179団体。その内、策定した年に公開した団体は82.1%、策定した翌年に公開と回答した団体は11.7%、策定した翌々年に公開した、または公開予定と回答した団体は6.1%である。(図表 第2章5.4-3 参照)

ウェブアクセシビリティ方針の設定目標等級について回答したのは194団体。回答の内訳は、等級Aが21.1%、等級AAが76.8%、等級AAAが2.1%である。(図表 第2章5.4-4 参照)

図表 第2章5.4-1 ウェブアクセシビリティ方針 策定(予定)年

図表 第2章5.4-2 ウェブアクセシビリティ方針 公開(予定)年

図表 第2章5.4-3 ウェブアクセシビリティ方針 策定年から公開公開までの期間

図表 第2章5.4-4 ウェブアクセシビリティ方針 目標とした達成等級

図表 第2章5.4-5 団体属性別 ウェブアクセシビリティ方針 目標とした達成等級 N=194

ウェブアクセシビリティ方針策定の際に悩んだことや困ったこと (設問16)(複数回答)

ウェブアクセシビリティ方針策定の際に悩んだことや困ったことについて、複数選択回答方式による232団体の回答数は、のべ443項目(選択肢は7項目)である。(図表 第2章5.5-1参照)

JIS X 8341-3:2010において、ウェブアクセシビリティ方針に必ず含めなければならないこととされている「対象範囲」と回答した割合は25.5%、「目標達成等級」が19.0%、計44.5%である。

上記JIS要件に加えて、運用モデルにおいて、必ず含める事柄としている「目標達成期限」は11.1%、「追加する達成基準」は4.5%、「例外事項(ある場合)」は19.9%、計35.5%である。

また、運用モデルにおいて、含めることが望ましい事柄としている「担当部署」は2.9%、「現時点で把握している問題点とその対応策」は17.2%、計20.1%である。(図表 第2章5.5-1参照)

団体属性別にみると、「対象範囲の選定」と「目標とする達成等級の決定」を回答した割合の合計は、市町村が47.1%、特別区が32.1%、政令指定都市が39.3%、都道府県が41.6%、府省庁が41.1%である。

また、「目標達成期限」、「追加する達成基準」及び「例外事項(ある場合)」と回答した割合の合計は、市町村が53%、特別区が67%、政令指定都市が60%、都道府県が59%、府省庁が59%である。(図表 第2章5.5-2 参照)

図表 第2章5.5-1 ウェブアクセシビリティ方針策定の際に悩んだことや困ったこと

図表 第2章5.5-2 ウェブアクセシビリティ方針策定の際に悩んだことや困ったこと

団体属性別 n=443

図表 第2章5.5-3 ウェブアクセシビリティ方針策定の際に悩んだことや困ったこと

団体属性別 n=443

運用管理担当部署で把握しているアクセシビリティに関する事柄(設問17)(複数回答)

ホームページ運用管理担当部署で把握しているアクセシビリティ関連事項について、「各部署でのウェブページ作成方法」と回答した団体は全体の84.6%、「ホームページのアクセシビリティ対応/非対応」が50.5%、「各部署でウェブページを作成する職員のスキルと業務負担」が44.6%である。(図表 第2章5.6-1参照)

6つの選択項目の内、回答の多かった上位3項目について団体属性別にみると、「各部署でのウェブページ作成方法」はいずれの団体も高く、84.2%~92.9%である。「ホームページのアクセシビリティ対応/非対応」は、「都道府県」が42.9%、「市町村」は49.6%であり、他の団体の61.5%~85.7%に比較して低い。また、「各部署でウェブページを作成する職員のスキルと業務負担」については「政令指定都市」は7.7%であり、他の団体の27.8%~46.4%に比較して低い。(図表 第2章5.6-2参照)

図表 第2章5.6-1 運用管理担当部署で把握しているアクセシビリティに関する事柄 N=2,288

図表 第2章5.6-2  運用管理担当部署で把握しているアクセシビリティに関する事柄(団体属性別)N=1,591

ホームページ作成・更新、運用におけるウェブアクセシビリティの取組についてホームページ作成・更新時にアクセシビリティ確保をしている方法(設問18)(複数回答)

ホームページ作成・更新の際に、アクセシビリティを確保する方法について、「CMSに実装されているチェック機能を活用し、ホームページ制作・更新担当者が確認する」と回答した団体の割合は、65.7%で他の回答より高く、「運用管理担当部署が、公開前に確認する」が次に高く43.1%である。(図表 第2章6.1-1参照)

7つの選択項目の内、件数の多い上位4項目について団体属性別にみると、「CMSに実装されているチェック機能を活用し、ホームページ制作・更新担当者が確認する」と回答した割合は、「政令指定都市」が92.9%、「特別区」が88.9%、「都道府県」が83.7%である。「運用管理担当部署が、公開前に確認する」との回答は、「府省庁」が64.3%、「市町村」が43.6%である。(図表 第2章6.1-2 参照)

図表 第2章6.1-1 ホームページ作成・更新時にアクセシビリティ確保をしている方法

図表 第2章6.1-2  ホームページ作成・更新時にアクセシビリティ確保をしている方法(団体属性別)

利用者の意見の収集と、ウェブアクセシビリティ改善への活用(設問19)

高齢者や障害者をはじめとする利用者の意見収集、アクセシビリティ改善への活用度合いについて、「利用者の意見を収集し、ウェブアクセシビリティの改善に活用している」と回答した団体は全体の24.4%、「利用者の意見を収集しているが、ウェブアクセシビリティに関する利用者の意見がない」は44.9%である。(図表 第2章6.1-1参照)

団体属性別にみると、「利用者の意見を収集し、ウェブアクセシビリティの改善に活用している」とした割合は「政令指定都市」が71.4%と最も高く、「市町村」が21.4%と最も低い。(図表 第2章6.1-2参照)

図表 第2章6.2-1 利用者の意見の収集と活用

図表 第2章6.2-2 利用者の意見の収集と活用(団体属性別)

ウェブアクセシビリティ・ガイドラインの有無(設問20)

ウェブアクセシビリティに配慮したホームページを作成・更新するためのガイドラインについて、「独自のウェブアクセシビリティ・ガイドラインを定めている」と回答した団体は全体の31.8%、「独自のウェブアクセシビリティ・ガイドラインも、参照している規格等もない」との回答は47.7%である。(図表 第2章6.3-1参照)

団体属性別にみると、「独自のウェブアクセシビリティ・ガイドラインを定めている」と回答した割合は、「市町村」以外は64.4%~74.4%で、「市町村」は27.9%である。(図表 第2章6.3-2参照)

図表 第2章6.3-1ウェブアクセシビリティ・ガイドラインの有無

図表 第2章6.3-2 ウェブアクセシビリティ・ガイドラインの有無(団体属性別)

職員向けウェブアクセシビリティ研修の実施(設問21)

職員向けのウェブアクセシビリティ研修実施の有無について、「実施している」と回答した団体は全体の30.4%である。(図表 第2章6.4-1参照)

団体属性別にみると、「実施している」と回答した割合は、「都道府県」が73.8%、「特別区」が64.3%である。一方、「府省庁」は35.7%、「市町村」は26.3%である。(図表 第2章6.4-2参照)

図表 第2章6.4-1 職員向けウェブアクセシビリティ研修実施状況

図表 第2章6.4-2 職員向けウェブアクセシビリティ研修実施状況(団体属性別)

高齢者や障害者など利用者による「ユーザー評価」(設問22)

高齢者や障害者をはじめとする利用者による「ユーザー評価」実施の有無について、「実施したことがある」と回答した団体は全体の4.4%、「実施したことはない」が95.6%である。(図表 第2章6.5-1 参照)

団体属性別でみると、「実施したことがある」と回答した割合は「特別区」が31.6%で最も高い。(図表 第2章6.5-2 参照)

図表 第2章6.5-1 高齢者や障害者の利用者による「ユーザー評価」

図表 第2章6.5-2 高齢者や障害者の利用者による「ユーザー評価」(団体属性別)

JIS X 8341-3:2010に基づく試験についてJIS X 8341-3:2010への対応状況の試験の実施・公開に関する認識(設問23)

JIS X 8341-3:2010がウェブアクセシビリティの対応状況を試験し、結果を公開するよう求めていることについて、「内容を知っている」と回答した団体は全体の36.5%であり、「まったく知らない」が35.1%である。(図表 第2章7.1-1参照)

団体属性別にみると、「内容を知っている」と回答した割合は、「市町村」は31.7%であり、他の団体の69.2%~100%の回答に比べて低い。(図表 第2章7.1-2参照)

図表 第2章7.1-1 JIS X 8341-3:2010への対応状況を「試験」し、結果を公開することに関する認識

図表 第2章7.1-2 JIS X 8341-3:2010への対応状況の試験の実施・公開に関する認識

(団体属性別)

JIS X 8341-3:2010に基づく試験の実施・結果公開状況(設問24)

JIS X 8341-3:2010に基づく試験の実施と試験結果の公開状況について、「試験を実施し、結果を公開している」と回答した団体は全体の9.0%、「今のところどちらの予定もない」との回答は61.3%である。(図表 第2章7.2-1参照)

団体属性別でみると、「試験を実施し、結果を公開している」と回答した割合は、「政令指定都市」が他の団体より高く50.0%である。(図表 第2章7.2-2参照)

一方、実施団体を実数からみると、「試験を実施し、結果を公開している」92団体の74%(68団体)は市町村が占めている。(図表 第2章7.2-3参照)

図表 第2章7.2-1  JIS X 8341-3:2010に基づく「試験」の実施・結果公開状況

図表 第2章7.2-2 JIS X 8341-3:2010に基づく試験の実施・結果公開状況(団体属性別)

図表 第2章7.2-3 JIS X 8341-3:2010に基づく試験を実施し

結果を公開している団体(団体属性別)

JIS X 8341-3:2010の試験方法(「ウェブページ単位」と「ウェブページ一式単位」の採用状況)(設問25)

JIS X 8341-3:2010に基づく試験の方法は、(1)ウェブページ単位と、(2)ウェブページ一式単位の2種類ある。

(1) ウェブページ単位とは、試験を行ったウェブページ(URI)単位に、合否の判断と試験結果を表示する方法。

(2) ウェブページ一式単位とは、対象ホームページ全てのウェブページ、またはJIS X 8341-3:2010が定める方法で選択した複数ウェブページを試験して、対象ホームページ全体の合否判断と試験結果を表示する方法。

「ウェブページ単位」と「ウェブページ一式単位」のどちらを採用したかを調査した結果、「ウェブページ単位」が33.7%、「ウェブページ一式単位」が45.8%と、「ウェブページ一式単位」の採用率が、「ウェブページ単位」よりも12.1ポイント高い。(図表 第2章7.3-1参照)

団体属性別に比較すると、「府省庁」は「ウェブページ単位」の採用率が高く、他の団体では、「ウェブページ一式単位」の採用率が高い。(図表 第2章7.3-2 参照)

図表 第2章7.3-1 JIS X 8341-3:2010の試験方法(「ウェブページ単位」と「ウェブページ一式単位」の

採用状況)

図表 第2章7.3-2 JIS X 8341-3:2010の試験方法(「ウェブページ単位」と「ウェブページ一式単位」の

採用状況)(団体属性別)

試験の実施方法または予定している方法(設問26)

試験の実施方法または今後予定している方法については、165団体(回答団体の16%)から回答を得たが、その内「外部業者に委託」と回答した割合が最も多く、81.2%である。(図表 第2章7.4-1参照)

「外部業者に委託」との回答のみ抽出して、団体属性別に比較したところ、「都道府県」が71.4%と若干低いものの、他の団体ではいずれも8割を超えており大きな差異はないことがわかる。(図表 第2章7.4-2参照)

図表 第2章7.4-1  試験の実施方法または予定している方法

図表 第2章7.4-2 試験の実施方法または予定している方法(外部委託)(団体属性別)

試験の実施頻度または予定している頻度(設問27)

試験の実施頻度、または今後予定している頻度について、「特に決めていない」と回答した団体は全体の72.1%である。(図表 第2章7.5-1参照)

団体属性別でみると、「毎年度末」と回答した割合は、「府省庁」は60.0%、「都道府県」は42.9%である。「特に決めていない」との回答は、「市町村」が77.2%、「政令指定都市」が62.5%、「特別区」が66.7%である。(図表 第2章7.5-2参照)

図表 第2章7.5-1 試験の実施頻度または予定している頻度

図表 第2章7.5-2 「試験」の実施頻度または予定頻度(団体属性別)

試験を実施した際に困ったことや困難だったこと(設問28)

試験を実施した際に困ったことや困難だったことについての回答(自由回答)では、以下のようなコメントが得られた。

· ページ数が膨大であり、全てのページをチェックできない

· 画像の代替テキストや表の設定の適切さの判断基準がわからなかった

· 確認内容が難しかった

· 業者の選定

· 現CMSでは改善が困難な場合があった

· 項目が多く、技術的で時間がかかる。担当者レベルでは難しい

· 試験結果を踏まえ、どのように活用すればよいか、わからない

· 試験方法についての詳しい資料がWAICのサイトくらいしかない

· 試験方法の理解や各試験項目の合否判定に専門的知識が必要であり、試験実施の作業負担が重い

· 総務省で提供するmiCheckerが単一ページしか対応できず,作業効率が悪い

· 対象ページの選定

· 担当者(広報課職員)で試験をするには難易度が非常に高いと感じた(範囲の設定、チェック項目、機械によるチェック方法、人の目によるチェック方法等)

· 適合試験を実施した結果の中で出てくる専門用語が分からない

· 評価項目にあいまいな記述があり、判断に迷う

· 目視チェックでの判断のやり方

· 予算策定時(平成24年)の達成等級「A」により計画。その後変更があったが仕様書等の修正が間に合わなかった

継続的な試験とウェブアクセシビリティ改善に向けた取組みについて定期的に実施していること(設問29)(複数回答)

継続的な試験とウェブアクセシビリティ改善のため、現時点で定期的に実施している施策等について尋ねた結果、全体では「特に実施していない」が70.2%、「職員向けのウェブアクセシビリティ研修」が23.5%である。(図表 第2章8.1-1参照)

「特に実施していない」との回答結果を団体属性別にみると、「市町村」が74.8%と他団体に比べて高い。(図表 第2章8.1-2参照)

図表 第2章8.1-1 定期的に実施していること

図表 第2章8.1-2 「特に実施していない」と回答した団体属性

今後、定期的な実施に向けて検討していること(設問30)(複数回答)

継続的な試験とウェブアクセシビリティ改善のため、今後、定期的な実施に向けて検討していることについて尋ねた結果、全体では「特に検討しているものはない」が54.3%、「職員向けのウェブアクセシビリティ研修」が31.8%、「団体内で使用するウェブアクセシビリティ・ガイドラインの更新」が17.5%である。(図表 第2章8.2-1参照)

また、7つの選択項目の内、回答の多かった上位4項目について団体属性別にみると、「職員向けのウェブアクセシビリティ研修」が都道府県で51.2%、政令指定都市で50.0%と多く、「得に検討しているものはない」が市町村で57.6%と多い。(図表 第2章8.2-2参照)

    図表 第2章8.2-1 今後、定期的な実施に向けて検討していること

図表 第2章8.2-2 今後、定期的な実施に向けて検討していること(団体属性別)

災害発生時や緊急時の情報発信について 災害発生時や緊急時の情報提供の状況と提供方法(設問31、32)

災害発生時や緊急時に、ホームページ等で情報提供を行っているかどうかについては「提供している」と回答した団体は全体の82.5%である。(図表 第2章9.1-1参照)

提供方法を見ると、「ホームページ内に災害、緊急情報ページを常設している」が47.4%、「災害発生時、緊急情報の提供が必要な時に、ホームページ上でニュース等により提供している」が35.3%である。(図表 第2章9.1-2 参照)

図表 第2章9.1-1 災害発生時や緊急時におけるホームページ等での情報提供の状況

図表 第2章9.1-2 災害発生時や緊急時におけるホームページ等での情報提供方法

災害発生時や緊急時の情報提供ページにおけるアクセシビリティ対応状況(設問33)(複数回答)

災害発生時や緊急時の情報提供ページにおけるアクセシビリティの対応状況について、「ウェブアクセシビリティ状況はわからない」と回答した団体は全体の58.5%、「ウェブアクセシビリティ対応を検討中」は19.4%である。(図表 第2章9.2-1参照)

団体属性別にみると、「ウェブアクセシビリティ試験を行い、問題がないことを確認している」と回答した割合は「政令指定都市」が42.9%で最も高く、都道府県が4.7%と最も低い。(図表 第2章9.2-2参照)

図表 第2章9.2-1災害発生時や緊急時の情報提供ページのアクセシビリティ対応状況

図表 第2章9.2-2災害発生時や緊急時の情報提供ページのアクセシビリティ対応状況(団体属性別)

公式ホームページ以外について 関連サイトの提供状況等(設問34)(複数回答)

公式ホームページ以外にどんなサイトを提供しているかについては、「携帯サイトを提供している」が68.2%、「Facebookを利用している」が56.3%、「電子申請システムを提供している」が47.6%、「Twitterを利用している」が43.2%である。(図表 第2章10.1-1参照)

図表 第2章10.1-1関連サイトの提供状況 N=3,121

図表 第2章 10.1-2 関連サイトの提供状況(市町村)N=2,611

図表 第2章10.1-3 関連サイトの提供状況(特別区)N=108

図表 第2章10.1-4 関連サイトの提供状況(政令指定都市)N=94

図表 第2章10.1-5 関連サイトの提供状況(都道府県)N=260

図表 第2章10.1-6 関連サイトの提供状況(府省庁)N=48

図表 第2章10.1-7 関連サイトのウェブアクセシビリティ方針を策定中、策定予定、また公式HPと一体化して策定、と回答した団体における、関連サイト提供状況 N=821

関連サイトのウェブアクセシビリティの取組状況(設問35)

公式ホームページ以外の関連サイトにおけるウェブアクセシビリティの取組状況について、「ウェブアクセシビリティ方針を策定する予定はない」と回答団体は全体の73.6%である。(図表 第2章10.2-1 参照)

団体属性別にみると、「ウェブアクセシビリティ方針を策定する予定はない」と回答した団体は、「都道府県」が58.5%、「市町村」は74.6%である。(図表 第2章10.2-2参照)

図表 第2章10.2-1 関連サイトのウェブアクセシビリティの取組状況

図表 第2章10.2-2 関連サイトのウェブアクセシビリティの取組状況(団体属性別)

運用モデルの活用状況について運用モデルについての認識(設問36)

運用モデルについての認識について、「活用している」と回答した団体は全体の18.0%、「まったく知らない」が34.1%である。(図表 第2章11.1-1 参照)

団体属性別にみると、「活用している」と「活用はしていないが、内容は知っている」と回答した割合の合計は、「市町村」以外の団体が84.2%~92.9%で、「市町村」は40.5%である。(図表 第2章11.1-2参照)

図表 第2章11.1-1 運用モデルの活用状況

図表 第2章11.1-2 「運用モデル」についての認識(団体属性別)

運用モデルを知った方法(設問37)(複数回答)

「運用モデル」を知った方法について、「総務省のホームページで情報を得た」と回答した団体は全体の34.0%、「外部セミナーに参加した際、言及があった」は23.8%、「前任者から引き継ぎがあった」が20.6%である。(図表 第2章11.2-1参照)

6つの選択項目の内、回答の多かった上位3項目について団体属性別にみると、「総務省のホームページで情報を得た」との回答は「政令指定都市」が最も多く64.3%、「外部セミナーに参加した際、言及があった」との回答は「特別区」が最も多く55.6%。「前任者から引き継ぎがあった」は、「都道府県」が最も多く50.0%である。(図表 第2章11.2-1参照)

図表 第2章11.2-1 「運用モデル」を知った方法 N=916

図表 第2章11.2-2 「運用モデル」を知った方法(団体属性別) N=666

運用モデルが目安として示す達成期限と等級の認識(設問38)

運用モデルが目安として示す達成期限と等級の認識について、「知っている」と回答した団体は全体の61.7%である。(図表 第2章11.3-1参照)

団体属性別でみると、「知っている」と回答した割合は、政令指定都市が最も多く100%、市町村が最も低く57.0%である。(図表 第2章11.3-2参照)

図表 第2章11.3-1 運用モデルが目安として示す達成期限と等級の認識

図表 第2章11.3-2 運用モデルが目安として示す達成期限と等級の認識(団体属性別)

図表 第2章11.3-3 運用モデルの認識別の、運用モデルが目安として示す達成期限と等級の認識

運用モデルの活用効果(設問39)(複数回答)

運用モデルを活用した効果については、「ウェブアクセシビリティについて理解が深まった」とした団体は全体の71.7%、「ウェブアクセシビリティ方針の策定・公開の参考になった」は49.4%、「ホームページ運用管理担当部署として実施すべき取組が明確になった」は36.1%である。(図表 第2章11.4-1参照)

図表 第2章11.4-1 運用モデルの活用効果

ウェブアクセシビリティ向上の課題についてウェブアクセシビリティ向上を進める上での課題(設問40)(複数回答)

ウェブアクセシビリティ向上を進める上で問題となっていることについて聞いた結果、「ウェブページ作成・更新担当者のアクセシビリティの理解や知識が十分でない」との回答が77.3%である。次いで、「職員の異動によりウェブアクセシビリティに関するノウハウや意識が引き継がれない」が43.9%、「ウェブアクセシビリティの確保のための予算や人手が配分されない」が36.7%である。(図表 第2章12.1-1参照)

12の選択項目の内、回答の多かった上位5項目について所属団体別にみると、「ウェブページ作成・更新担当者のアクセシビリティの理解や知識が十分でない」と回答した割合は「府省庁」が50.0%、「府省庁」以外の団体は69.8%~78.9%である。

「職員の異動によりウェブアクセシビリティに関するノウハウや意識が引き継がれない」については、「政令指定都市」が85.7%、「府省庁」が71.4%である。「ウェブアクセシビリティの確保のための予算や人手が配分されない」と回答したのは「市町村」が37.5%、都道府県が同37.2%である。(図表 第2章12.1-2参照)

図表 第2章12.1-1 ウェブアクセシビリティ向上の課題 N=2,464

図表 第2章12.1-2 ウェブアクセシビリティ向上の課題(団体属性別) N=2,015

    上記選択肢以外の具体的な課題としては以下のようなコメントが得られた。

· 必要度が低い、ウェブアクセシビリティの知識に乏しい

· 特定の部署が個別開設しているサイトのチェックが難しい

· 担当者は他業務を兼任しており、日々の管理以外に、ウェブアクセシビリティ関連の業務を行うことは困難

· 担当者が少ない

· 他業務多忙につき対応できない

· 全職員の意識向上

· 人的チェックに頼るには限界がある

· 震災復興期であり、画像への代替テキスト張り付けなどに全く人が割けない

· 所管部署担当者でさえ、JIS達成基準の全項目を詳細まで把握できていない(タグなど専門的で分からない)

· 所管部署がホームページの運用管理部署と異なっており、連携が十分でない

· 実施する時間がない、まだ規定を定めていない

· 使いやすさや、魅力的なコンテンツとウェブアクセシビリティとの両立

· 作成支援ツールやチェックツールには限界があり、最終的には人手に委ねられることになるが、ホームページ作成に携わる全職員の知識、スキル、意識を確保するのは極めて難しい

· 作成や適用に係る作成者の負担が大きい

· 作成・更新担当者の負担が増大する。導入済のCMSでは回避できない問題がある

· 研修を実施しても担当課で適切な運用ができていない

· 健常者から見た場合のデザイン(見た目)との兼ね合い

· 経費の負担が多大であり、取組みを進めるのが財政的に厳しい

· 関連サイト、ウェブシステムなどCMS以外で作成したページのアクセシビリティの確保が難しい

· 各部署が個別に開設している、県(公式)ホームページ以外のホームページについて、対応が不十分である

· 委託業者に任せざるを得ない

· 委託せずに職員で行うには内容が難しい。総務省のチェッカーも難しい

· リニューアルにより、ウェブアクセシビリティは確保しているが、まだ、方針等を文書していない

· ホームページ作成を外部発注しウェブアクセシビリティを盛り込んだが、どこまで適用されているか分からない

· ホームページのページ数が膨大であるため、全ページのアクセシビリティ確保は難しく、トップページの上層部を中心に確保せざるをえない

· チェックに経費がかかる

· システムに頼れない部分も多く、人的チェックでばらつきやチェック漏れが発生する

· カナ名称が多すぎるので公的機関であれば漢字で名称を付けてほしい

· ウェブアクセシビリティ方針の「例外事項」とした(1)達成等級7.1.2.5、(2)PDF等添付ファイル、(3)Googleマップ等の外部サービスの今後の対応や、CMS以外を用いて管理しているページの今後の対応について検討が必要

· ウェブアクセシビリティ対応のCMSの調達

· ウェブアクセシビリティ所管部署の理解や知識が十分でない

· ウェブアクセシビリティへの対応を図ることにより、シンプルな内容になりすぎてしまう

· ウェブアクセシビリティに対応したCMSの選定が困難

· ウェブアクセシビリティについての知識がない

· ウェブアクセシビリティ項目の入力とチェック作業に手間と時間がかかる

· ウェブアクセシビリティばかりに目を向けると、表現、デザイン共に硬直的なページとなってしまう

· PDFのデータが多いこと。

· JIS規格以外に求められる情報の伝わりやすさ(日本語表記)について指針がないこと

· CMS契約所管課とアクセシビリティ担当課が分かれており、調整を要する

· CMSを導入していない

· CMSに依存している

· CMSにチェックツールが実装されていたが、現在は理由不明で利用できない

· CMSでの規制に頼らざるを得ない

ウェブアクセシビリティ向上の取組について期待する外部支援(設問41)(複数回答)

ウェブアクセシビリティ向上の取組みのための外部支援として期待することについて聞いた結果、「職員向けの集合研修、e-ラーニングプログラムの提供」と回答した団体は全体の59.7%、「他の団体のウェブアクセシビリティの確保への取組事例の紹介」が59.3%である。(図表 第2章12.2-1参照)

     5つの選択項目の内、上位4項目について団体属性別にみると、「職員向けの集合研修、e-ラーニングプログラムの提供」については、「特別区」が73.7%、「都道府県」が67.4%である。「ウェブアクセシビリティの確保に関する外部調達の仕様書(ひな形)の提供は、「府省庁」が57.1%、「市町村」が47.1%である。「他の団体のウェブアクセシビリティの確保への取組事例の紹介」については「政令指定都市」が78.6%、「市町村」が59.8%である。(図表 第2章12.2-2 参照)

図表 第2章12.2-1 ウェブアクセシビリティ向上の取組のための外部支援として期待すること

図表 第2章12.2-2 ウェブアクセシビリティ向上の取組のための外部支援として期待すること(団体属性別)

その他の期待する外部支援として以下のような具体的なコメントが得られている。

· 作成支援ツール及びチェックツールの無償提供

· (国へ)HP更改CMS導入WEBアクセシビリティ基準を達成することを目的として補助金等の交付

· 効果的な試験方法の提供

· 効果的な作成支援ツールの提供

· 経費のかからないチェック方法

· 具体的な試験のやり方

· 幹部への必要性の周知

· 各団体がカスタマイズできるような形式(Word等)にて標準的なウェブアクセシビリティ・ガイドラインの提供(団体内で使用するもの)

· 外部評価、チェック

· ホームページやHTML、広報マインドなどに長けていない人間でも容易に理解可能な、アクセシビリティ対応マニュアルや研修の提供

· ウェブアクセシビリティ向上に対する、国の経費負担

· ウェブアクセシビリティチェックの外部委託に対する費用補助

· CMSでの自動チェック機能の強化

· 「みんなの公共サイト運用モデル」に記載されている内容を実現するための財政支援

本章のまとめアンケート結果まとめ

公的機関におけるウェブアクセシビリティに対する意識や取組状況の把握と、運用モデルが示す「ウェブアクセシビリティ方針策定・公開」等に関する取組状況の把握を目的に、1,828団体に郵送で調査依頼を行い、インターネット及びfaxで1,030団体(56.3%)の有効回答を得た。

主な回答(傾向)は、以下のとおりである。

調査テーマ

主な回答(傾向)

該当箇所

公式ホームページ

管理運営部署(広報担当69.6%、情報システム担当26.1%)が、各部署の作成・更新するホームページを、管理する体制である。(CMS利用率は84.4%)

最近リニューアルを行った団体のリニューアル目的は、ユーザビリティ向上が39.5%と最も多く、ウェブアクセシビリティ確保を目的とするものは4位の9.7%である。

トップページに、「ウェブアクセシビリティ方針」の入り口(メニュー)を掲載している団体は30.8%である。

(2.1)

(3.1)

(3.2)

ウェブクセシビリティに対する認識

管理運営部署(79.1%)に比べて、団体組織全体の理解はまだ低い傾向である。

「JIS X 8341-3:2010」や「障害者差別解消法」など関連法規の認識は低い傾向である。

(4.1.1-2)

(4.2)

ウェブアクセシビリティ向上への取組

(方針策定)

アクセシビリティの確保に向けた取組について、91.3%の団体が何らかの取組意識を持っている。

JIS X8341-3:2010が、各団体に対して「ウェブアクセシビリティ方針」の策定・公開を求めていることついては、全体では49.9%が「知っている」と回答している。市町村は45.5%であり、今後市町村への周知徹底が求められる。

JIS X8341-3:2010に基づく「ウェブアクセシビリティ方針」の策定・公開は、「公開済み」及び「策定・公開準備中」の合計が19.0%である。策定・公開の必要性は分かっているができない団体が多い傾向である。

ウェブアクセシビリティ方針の策定・公開(予定)時期を回答した189団体のうち、98.9%の団体が、2015年に公開または公開を予定していた。

目標とした達成等級は「AA」が76.8%である。

ウェブアクセシビリティ方針策定の際に悩んだことや困ったこととしては、「対象範囲の選定」が最も多く25.5%、続いて目標とする達成等級の策定(19.0%)、「目標とする達成等級の決定」(11.1%)となっている。

(5.1)

(5.2)

(5.3)

(5.4)

(5.5)

ウェブページ作成・更新の取組

約半数の団体がホームページ作成・更新の際に何らかの方法でウェブアクセシビリティを確認している。

一方、ガイドラインの作成、職員向け研修、ユーザー評価等の年度毎に実施する取組については低調である

(6.1)

(6.2)

(6.3)

(6.4)

(6.5)

JISに基づく試験

試験の実施と公開が必要なことを知ってはいるものの、実施には至っていない団体が多い傾向である。

試験の実施(予定を含む)は、外部業者に委託する傾向が高い(81.2%)。その理由として試験実施の難易度が高く、専門的な知識が必要であることが根底にあり、担当職員のスキルが不足していることが一因である。

(7.2)

(7.4)

(7.4)

(7.6)

継続的な試験と改善に向けた取組

継続的な「試験」とウェブアクセシビリティ改善のための定期的な取組については、「特に実施していない」が70.2%、、今後についても「検討しているものはない」が54.3%であり、継続的な取組を実施する段階までいたっていないことが分かる。

(8.1)

(8.2)

災害発生時や緊急時の情報発信等

82.5%の団体が、災害時、緊急時の情報提供ページを公開している58.5%がアクセシビリティ対応は分からないと回答している。

公式ホームページ以外に携帯サイトやFacebook、Twitter等を活用している団体も比較的多い。このことからSNSのアクセシビリティに関する対応方法がわからないものと思われる。

(9.1)

(9.2)

(10.1)

公式ホームページ以外

73.6%の団体が関連サイトのウェブアクセシビリティ方針の策定予定はないと回答している。

(10.2)

運用モデルの活用

運用モデルの活用度合いは、「活用している」又は「内容を知っている」団体は、市町村以外は8割を超えたが、市町村は40.5%と低く、市町村への周知が望まれる。

運用モデルの示した達成期限と等級の認識については、どちらか又は両方知っている者は80.4%である。運用モデルの中心的な内容を知っていると回答する割合より高い。

(11.1)

(11.3)

ウェブアクセシビリティ向上の課題

ウェブアクセシビリティ向上を進める上での課題は、「ウェブページ作成・更新担当者のアクセシビリティの理解や知識が十分でない」との回答が最も多く、77.3%である。「職員の異動によりウェブアクセシビリティに関するノウハウや意識が引き継がれない」は43.9%、「ウェブアクセシビリティの確保のための予算や人手が配分されない」は36.7%である。

ウェブアクセシビリティ向上のために期待する外部支援としては、制作・更新担当者の知識不足を解決することに寄与する「職員向けの集合研修、e-ラーニングプログラムの提供」が最も多く、また具体的な先行事例として参考になる「他の団体のウェブアクセシビリティの確保への取組事例の紹介」に対する期待が高いことがわかった。

(12.1)

(12.2)

ウェブアクセシビリティ取組課題

アクセシビリティの確保に向けた取組については、91.3%の団体が取組意識を持っていると考えられる。また、JISがウェブアクセシビリティ方針の策定・公開を求めていることも49.9%が知っている。

しかし、「対象範囲の選定」、「例外事項(ある場合)の記述」、「目標とする達成等級の決定」が難しいため、ウェブアクセシビリティ方針の策定・公開ができていないとの回答傾向である。

試験の実施と試験結果の公開については、必要性は理解しているが、ページ数が膨大で全ページをチェックできない、技術的に難しいなど、多大な労力と専門的な知識が必要であるためにできていないと考えていることがうかがえる。

運用モデルを知っているとの回答と比較して、運用モデルが例として示した、達成期限と達成等級を知っているとの回答の方が高い。

ホームページ運用管理部署は、ウェブアクセシビリティの関心は高いが、「ウェブページ作成・更新担当者のアクセシビリティの理解や知識が十分でない」、「職員の異動によりウェブアクセシビリティに関するノウハウや意識が引き継がれない」ため、ウェブアクセシビリティの取組が進まないと回答している。

ウェブアクセシビリティ確保への取組課題として、「ウェブページ作成・更新担当者のアクセシビリティの理解や知識が十分でない」との回答が最も多い。また外部支援として集合研修やe-ラーニングを求める声が多く、これらの実施が、ウェブアクセシビリティの向上に寄与するものと考えられる。

1. ウェブアクセシビリティ対応状況に関する実態調査実態調査の概要実態調査の目的

第2章で報告したアンケート結果を踏まえ、ウェブアクセシビリティ方針の公開状況、試験結果公開の進捗状況等を調査するとともに、職員研修や団体内ガイドライン作成等の独自の取組みと、ウェブアクセシビリティの実態との相関関係について傾向を把握することにより、ウェブアクセシビリティの向上に具体的な成果を上げている取組みを分析するほか、取組みを行っているにも関わらずウェブアクセシビリティの実態に結びついていない事例を把握し、阻害要因を分析することを目的とする調査である。

調査の種類と方法

調査対象のホームページは多数のページで構成されている。そして、JIS X 8341-3:2010達成状況の検証にあたっては、チェックツールによる調査のほか、目視による確認作業が必要となる。そのため、ホームページの全体的なウェブアクセシビリティ対応の傾向はアクセシビリティチェックツール(miCecker)により、方針や試験結果の公開状況は標準ブラウザを使用した目視により、トップページ他主要ページのウェブアクセシビリティ対応状況はウェブアクセシビリティ認証機関の検証方法に、よりそれぞれ調査を行った。

0. チェックツールによる機械的試験

トップページからリンクでたどり、最大4階層のページを収集し、総務省が配布するmiCheckerを使用して、ウェブアクセシビリティ確保に関する全体的な取組状況を確認する。

0. 標準ブラウザによる目視調査

ウェブアクセシビリティ方針及び試験結果の公開状況を標準ブラウザを使用して目視確認し、各団体のウェブアクセシビリティ取組状況を確認する。(付録説明集:調査マニュアル参照)

0. 検査員によるJIS X 8341-3:2010適合性評価

JIS Q 17