臓器循環に関する研究ginmu.naramed-u.ac.jp/dspace/bitstream/10564/2231/1/566...臓器循環に関する研究...

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(566) 奈医誌. CJ. N ara Med. Ass.) 40 566 580 ,平 1 臓器循環に関する研究 臓器相関の立場からみた A遮断薬 Acebutolol 投与の影響- 奈良県立医科大学第 1 内科学教室 勝文 EFFECTSOFACEBUTOLOL ON THESYSTEMICAND REGIONALBLOODFLOWINDOGS MASAFUMIHA Y ASHI TheFirstDepartment01InternalMedicine NaraMedicalUniversity Received J uly 28 1989 Summa ηThe hemodynamicpropertiesofacebutololCAc) aselective β'1 -receptor blockingagent were examined. To investigatetheeffects ofAconsystemic andregionalhemodynamicsinthe anesthetized adult mongrel dogs given the drug in a single intravenous dose the blood flows inseveralorgansweremeasuredatthesametimeusingtheelectromagneticflowmete r. Theseparatedrenalbloodflow Cextra-RBF) onthe extracorporeal circuitwas also measured. The drug was given in doses of 0.01 0.05 and 0.25 mg/kg. 1) Cardiac output CCO)andheartratedecreasedsignificantlyregardlessofAcdosage. 2) Renalblood flowrarelychanged. GFRalsodidnotchangealthoughtheeffectiverenalbloodflow (E RBF)decreased. In the extracorporeal circuit either RBF or ERBF did not change. 3) Carotid bloodflowCCBF)decreased withanincreaseincarotidvascularresistance. 4) Hepatic superior mesenteric arterial blood flow and portal vein blood flow decreased more markedly thanCOdid. TheresultssuggestthatCBFandvisceralorgan bloodflowsdecreaseunpredictably after dosing with Ac and that Ac maintains GFR by intra-renal circulatory redistribution. Index Terms acebutolol s1-blocker systemic hemodynamics visceralhemodynamics 宅... あるいは動脈硬化症患者であるため,脳・心・腎など重 要臓器の機能低下を合併している可能性が高い.したが 近年本邦における虚血性心疾患の発生頻度は増加のー って,これら薬剤の投与に際しては,標的臓器のみなら 途をたどり,欧米における頻度に近づいている.したが ず全身諸臓器の血行動態におよぼす影響についても考慮 って本疾患の予防・治療対策は今日,臨床における最重 する必要がある. 要課題の l つとなっている.現在,本疾患の治療薬とし 著者は,近年開発され虚血性心疾患治療薬として日常 ては亜硝酸薬,いわゆる冠拡張薬, β遮断薬および Ca 臨床に汎用されている A選択性 β遮断薬 acebutolol 抗薬があるが,これら薬剤の投与対象は主として高齢者 〔以下 Ac と略す〉について,その全身投与が,心拍出量,

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Page 1: 臓器循環に関する研究ginmu.naramed-u.ac.jp/dspace/bitstream/10564/2231/1/566...臓器循環に関する研究 (569) した圧曲線から平均腎動脈圧(MRBP)を求めた

(566) 奈医誌. CJ. N ara Med. Ass.) 40, 566 ~ 580,平 1

臓器循環に関する研究

臓器相関の立場からみた A遮断薬 Acebutolol投与の影響-

奈良県立医科大学第 1内科学教室

林 勝 文

EFFECTS OF ACEBUTOLOL O N THE SYSTEMIC AND

REGIONAL BLOOD FLOW IN DOGS

MASAFUMI HA Y ASHI

The First Department 01 Internal Medicine, Nara Medical University

Received J uly 28, 1989

SummaηThe hemodynamic properties of acebutolol CAc) , a selective β'1 -receptor

blocking agent, were examined.

To investigate the effects of Ac on systemic and regional hemodynamics in the

anesthetized adult mongrel dogs given the drug in a single intravenous dose, the blood flows

in several organs were measured at the same time using the electromagnetic flowmeter.

The separated renal blood flow Cextra-RBF) on the extracorporeal circuit was also

measured. The drug was given in doses of 0.01,0.05 and 0.25 mg/kg. 1) Cardiac output

CCO) and heart rate decreased significantly regardless of Ac dosage. 2) Renal blood

flow rarely changed. GFR also did not change although the effective renal blood flow

(ERBF) decreased. In the extracorporeal circuit, either RBF or ERBF did not change. 3)

Carotid blood flow CCBF) decreased with an increase in carotid vascular resistance. 4)

Hepatic, superior mesenteric arterial blood flow and portal vein blood flow decreased more

markedly, than CO did.

The results suggest that CBF and visceral organ blood flows decrease unpredictably

after dosing with Ac, and that Ac maintains GFR by intra-renal circulatory redistribution.

Index Terms

acebutolol, s1-blocker, systemic hemodynamics, visceral hemodynamics

緒 宅... 回

あるいは動脈硬化症患者であるため,脳・心・腎など重

要臓器の機能低下を合併している可能性が高い.したが

近年本邦における虚血性心疾患の発生頻度は増加のー って,これら薬剤の投与に際しては,標的臓器のみなら

途をたどり,欧米における頻度に近づいている.したが ず全身諸臓器の血行動態におよぼす影響についても考慮

って本疾患の予防・治療対策は今日,臨床における最重 する必要がある.

要課題の lつとなっている.現在,本疾患の治療薬とし 著者は,近年開発され虚血性心疾患治療薬として日常

ては亜硝酸薬,いわゆる冠拡張薬, β遮断薬およびCa桔 臨床に汎用されている A選択性β遮断薬 acebutolol

抗薬があるが,これら薬剤の投与対象は主として高齢者 〔以下 Acと略す〉について,その全身投与が,心拍出量,

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臓器循環に関する研究 (567)

腎動脈,肝動脈,上腸間膜動脈,門脈,総頚動脈および

大腿動脈の血行動態および腎機能にいかなる影響をおよ

ぼすかを実験的にイヌを用いて検討した.

実験方法

1. 実験群

体重 9-18kg (平均 12kg)の健康な雑種成熟イヌ 45

頭を使用し,これをA群cl5頭), B群 (15頭〉および

C群 05頭〉に分けた.

A実験・ Acが心拍出量・腎動脈・総頚動脈・大腿動脈

循環動態および腎機能におよぼす影響を観察した.

B実験:Acが肝動脈・上腸間膜動脈および門脈循環

動態におよぼす影響を観察した.

C実験:体血圧の変動が腎機能におよぼす影響を除外

するため,体外循環路を用いて両側腎を一定圧で潅流し,

定圧潅流下で Acが腎循環におよぼす影響を観察した.

2. 実験の方法

(1) 手術・操作

A実験:イヌを p巴ntobarbitalsodium 30 mg/kgの

腹腔内麻酔後,気管内チューブを挿管し, レスピレータ

による人工呼吸下に左第4肋聞を切開・開胸して大動脈

起始部を鈍的に剥離した.ついで左側腹切聞により後腹

膜腔に達し,左腎動脈と左尿管を露出し,大動脈起始部

と左腎動脈にそれぞれ適合する電磁流量計プロープ(米

国Narco社製〉を装着し,尿管にカテーテノレを挿入した.

同時に左総頚動脈・左大腿動脈も剥離してそれぞれに適

合する電磁流量計プロープ〔米国 Narco社製〉を装着し,

さらに左腎のクリアランスを測定するため生理食塩水に

溶解したパラアミノ馬尿酸ソーダ (PAH) 8 mg/kg,ク

レアチニン (Cr)30 mg/kgをoneshotで静注したの

ち, P AH 0.25 mg/kg • min, CrO.58 mg/kg・minを

静脈内に持続注入して血中の PAH'Cr濃度を一定に維

持した.以上の操作ののち,イヌの血行動態ならびに分

時尿量の安定を待って実験を行った.なおクリアランス

1区間は 20分間とし,その中間点にあたる 10分に大腿

動脈から採血した (Fig.1-a).

B実験,イヌを腹部正中切開により開腹し,肝動脈・

上腸間膜動脈および門脈を鈍的に剥離し,それぞれに適

合する電磁流量計プロープを装着した.また門脈圧を測

定するため, Ishikawa et aP)に従い,腸間膜静脈より細

いカテーテノレを門脈本管まで挿入したのち実験を行っ

た.

C実験:松島2)の方法に準じて体外循環路を用いて左

側腎を一定圧で潅流し,定圧潅流下での腎血流量を測定

した.すなわち左側腹切聞により後腹膜腔に達し,腹部

大動脈および左側腎動脈を鈍的に剥離した.抗凝血薬と

して heparin5,000単位を肘静脈から投与したのち,体外

循環用二重管カニューレを腹部大動脈下部から挿入し,

内管の先端が腎動脈起始部の上方,外管の先端が腎動脈

起始部の直下に達したところでまず外管を大動脈ととも

に結紫した.ついでポンプによる送血を開始すると同時

に腎動脈起始部より上方で内管を大動脈とともに結殺し

た.以上の操作により腎は血流が中断されることなく体

外循環路を介する定圧潅流下におかれることになる

(Fig. 1-b).体循環および体外循環における血行動態が

安定したところで測定を開始した.

なお各血流量,大動脈圧,腎動脈圧および下大静脈圧

の記録は, A, B, Cいずれの実験群についても心電図と

の同時記録を行った.大動脈圧は A実験および B実験

では右大腿動脈より, C実験では左上腕動脈より,いずれ

もカニューレを大動脈起始部に挿入し,圧トランスジュ

ーサ〔三栄測器製MPU-0.5-290)に接続して記録,下大

静脈圧はいずれの実験群においても右大腿静脈に挿入し

たカニューレを圧トランスジューサ(三栄測器製 LPU

0.1-350)に接続して記録した.腎動脈圧はA実験・B実

験ではカテ先マノメータ (millar社製 PC-340)を右大腿

動脈より腎動脈分岐部まで挿入して記録した.なお C実

験における腎クリアランスは A実験と同様の方法で測

定した.

(2) Acの投与法および投与量

各群とも, Acは0.01mg/kg(少量), 0.05 mg/kg(中

等量〉および0.25mg/kg (大量〉の 3用量を,手術後の

血行動態が安定した時点で肘静脈から oneshotで全身

投与した.

3. 測定項目および測定時期

(1) 全身血行動態

心拍数 (HR;beats/ min) :心電図の連続 3R-R間隔

の平均値から算出した.

大動脈圧 (ABP; -mmHg) :大腿動脈または上腕動脈

から挿入したカニューレを介して測定し,記録した圧曲

線から平均血圧 (MBP)を求めた.

下大静脈圧(IVP;mmHg) :大腿静脈に挿入したカ

ニューレを介して測定した.

心拍出量 (CO;ml/min・kg):大動脈起始部に装着

したプローブを用いて測定した.

全末梢血管抵抗 (TPR;mmHg • min ・kg/mI)

(MBP-IVP)/COとして計算により算出した.

(2) 腎血行動態

腎動脈圧 (RBP;mmHg) : :右大腿動脈から腎動脈起

始部大動脈に挿入したカテーテルを介して測定し,記録

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(568) 林 勝文

a

020020min

P,

1U1 IV

Acebutolol ~

pbgb

n

n

・1目

1

1

l

p

p

mm

aa

ss

、d

eo

n

b.n

'ou

p

U

STARLING's reslstance

Renal perfusion pressure

/べ「一¥b

Fig. 1. a) Procedure of experiment. b) Schema of the extracorporeal circuit.

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臓器循環に関する研究 (569)

した圧曲線から平均腎動脈圧 (MRBP)を求めた.

腎潅流圧 (RPP;mmHg) : C実験では, RPPを濯流

圧調節機構を用いて 100mmHgに保った.

腎血流量 (RBF;ml/ min・kg): A実験・B実験では

左腎動脈に, C実験では体外循環路に装着したプロープ

を用いて測定した.

腎血管抵抗 (RVR;mmHgomin・kg/mJ): A実験-

B実験では MRBPから (MRBP-IVP) /RBFとして

また C実験では (RPP-IVP) /RBFとして計算した.

(3) 腎機能

有効腎血流量 (ERBF;ml/min) : CPAHをヘマトク

リット (Ht)で補正し, CPAH/(1-Ht)として算出した.

糸球体漉過量 (GFR;ml/min) : CPAHと同様にU♂

V /Pcr(Ucr;左腎排池尿中 Cr濃度,V;左腎の 1分間尿

量, PCr;血疑 Cr濃度〉として算出した C町として示し

7こ.

鴻過率 (FF)・Ccr/CPAHとして算出した.

(4) 肝動脈・上腸間膜動脈・門脈血行動態

肝動脈血流量(HAF)・肝動脈血管抵抗(HAR): HAF

は肝動脈に装着したプロープを用いて測定した.また

HARは,次式を用いて計算した. HAR=(MBP-

IVP)/HAF

上腸間膜動脈血流量 (SMF)・上腸間膜動脈血管抵抗

(SMR) : SMFは上腸間膜動脈に装着したプロープを用

いて測定した.また SMRは,次式を用いて計算した.

SMR = (MBP-IVP)/SMF

門脈圧 (PVP;mmHg)・門脈血流量 (PVF): PVPは

上腸間膜静脈より細いカテーテノレを門脈本幹まで挿入し

て測定した.PVFは門脈に装着したプロープを用いて測

定した.

(5) 総頚動脈・大腿動脈血行動態

総頚動脈血流量 (CBF)・総頚動脈血管抵抗 (CVR):

CBFは総頚動脈に装着したプロープを用いて測定した.

また CVRは,次式を用いて計算した.CVR=(MBP

IVP)/CBF

大腿動脈血流量 (FBF)・大腿動脈血管抵抗 (FVR):

FBFは大腿動脈に装着したプロープを用いて測定した.

また FVRは,次式を用いて計算した.FVR=(MBP-

IVP)/FBF

測定時期は原則として Ac投与前と投与後 l分, 3分,

5分, 7分, 10分, 15分および 20分の各時点とした.

実験成績

A, B実験における測定値は平均±標準誤差と Lて

Tabl巴 1に示し,各実験における測定値の変化は対照値

に対する百分率(平均士標準誤差〉として順次図示した.

測定値の差の有意性については対照値と Ac投与後の測

定値の間で student'spaired t-testを用いて検定した.

1. 全身血行動態

(1) HR

A実験で測定した HRは, Acの少最投与により, 1分

後に前値の 94.4:t2.3%になり,そのまま 20分後まで持

続した.いずれも有意の変化ではなかった.Acの中等量

投与では 1分後に前値の 87.5:t2.3%に減少し (p<

0.05) ,以後 15分まで有意の減少が持続した.Acの大量

投与では l分後から減少傾向を示し, 5分後には前値の

89.6:t2.8 %に減少した(p<0.05). この減少は 20分後ま

で持続した (Fig.2-a).

(2) ABP

Ac少量投与では明らかな変化はみられなかった.中

等量投与では直後から漸次下降し, 3分後に前値の

96.2士1.6%に(p<0.05),7分後には 95.4:t1.4%に(pく

0.01),いずれも有意に下降した.大量投与では,有意の

変化はみられなかった (Fig.2-b).

(3) IVP

A・B・Cいずれの実験においても, Ac投与により明

らかな変化はみられなかった.

(4) CO

Ac少量投与では COに明らかな変化はなかった.中等

量投与では 3分後に前値の 94.7:t2.5%に減少し (p<

O目05),その後は有意の変化を示さなかった.大量では投

与 l分後に前値の 95.2士3.1%に減少したが,有意の変化

ではなく,その後前値に復した (Fig.2-c).

(5) TPR

Ac少量投与は明らかな変化を示さなかった.中等量

投与では, 1分後から漸増傾向を示したが,有意の変化で

はなかった.大量では投与直後より 7分まで増加傾向を

示したが,有意の変化ではなかった (Fig.2…d).

2. 腎血行動態

(1) RBP

Ac少量では投与 7分後までは明らかな変化を示さ

ず, 10分後に前値の 97.0:t1.1 %, 15分後に 95.0士1.9%

に減少した (p<0.05).中等量投与では l分後に前値の

95.9:t1.4%, 7分後に 95.9:t1.4%に減少し (p<0.05),

その後前値に復した.大量投与では 15分まで明らかな変

化を示さず, 20分後に前値の 97.0:t0.5%に減少した

(p<0.05) (Fig. 3-a).

(2) RBF

A実験では,いずれの投与量も明らかな変化を示さな

かった(Fig.3-b).RBFの変化率を coの変化率と比較

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(570) 林 勝文

Table 1. Valu巴Sobtain巴dbefore and after Ac

Dose of AC Control Time after administration of Ac Item

(mg/kg) value 1 min 3min 5 min 7 min 10 mil1 15 min 20 min

0.01 139:t14 131:t10 130:t10 131士11 132士12 132:t11 131士10 131士11

HR 0.05 152土9 139土V 133:t10* 133:t 10* 134:t9* 133土10* 136:t10* 138土10

0.25 126:t8 115士5 115士3 112土5* 112:t5* 112:t5* 111士ゲ 111:tゲ

0.01 108+5 105:t4 105士4 106士4 106:t5 105土5 103:t4 105士5

MBP 。目 05 127土12 125:t13 123:t11 * 123士13 123士13** 125+ 13 126:t13 125:t14

0.25 101士7 99土8 99+7 102+5 103:t 5 104土5 101士5 103士4

0.01 95:t10 93土10 96:t9 94土10 95士10 94士11 94:t11 95士11

CO 。目。5 85:t11 81土10 79+ 10* 80土10 80:t 10 80:t10 79:t9 76土9

0.25 97十 12 92土10 92土10 93士11 94:t11 96:t11 96士11 94土11

0.01 8.5土1.3 7.8土1.4 8.1:t1. 4 7. 5:t1. 4 7.5土1.4 7.0土1.2* 6.5士1.3 6.9土1.2

CBF 0.05 8.5土2.0 7.9士1.7 7.5士1.9 7.9:t1.8 8.1士1.9 7. 9:t1. 9 7目8士1.8 7.5+1.8

0.25 7.8土1.1 7.2士0.8 7.2士0.9 7.4土0.9 7.5士1.0 7.4土1.0 7.1土0.9 7.1土1.1

0.01 10.0士2.1 10.1士2.2 9. 9:t2. 1 10目2士2目2 10. 2:t2. 2 10. 0:t2. 0 10.1土1.9 10.2+2.1

RBF 0.05 10.4士1.0 10. 3:t 1. 1 10.3土1.1 10目2:t1. 1 10. 3:t 1. 1 10目3:t1. 1 10. 0:t1. 1 9. 8:t1. 3

0.25 10目。士1.9 10. 0:t2. 1 9. 9:t2. 0 9.9+2.1 9. 7:t2. 1 9目9:t2.2 10.2土2.3 10.0土2.3

0.01 6.2士3.7 5.7+3.8 5.7土3.8 5.5+3.8 5.4土4.0 5.3土3.7 5.4十 3.7 5.3士3.7

FBF 0.05 5目8士2.0 5目。:t2.2 5.0士2.2 5.4士2.4 5.8士2.4 5.4土2.2 5. 2:t2. 2 5.0士1.8*

0.25 6. 4:t3. 5 6.3士3.6 6目3士3.5 6目3士3目5 6目4士3.5 6.2士3.5 5.9土3.5 5.8:t3.6

0.01 12目。士2.1 11.1:t2目1 11. 4:t2. 1 12.2+2.1 11. 4士2.0 9.1士1.7 10.8土1.9* 11. 2:t2. 0**

SMF 0.05 12.1:t2目4 11. 6土2.6 10. 7:t2. 7 11. 2:t3. 0 11. 2:t3. 1 9目9:t3.2 9.5士3目3 10.5土3.0

0.25 12.1土1.8 11.8士1.9 11.5土1.8 11. 3土1.9 11.3+1.9 11.5土1.8 10. 8:t 1. 8 11.1士1.5

0.01 9.8土1.6 9.6士1.7 9.5士1.6 9.9士1.7 9.4土1.7 9. 6士1.7 9. 5:t1. 7 10.4士1.8

HAF 0.05 9.8土3.3 9.0士3.3 8.6+3.5 9.1士3.5 9.4士3.6 10.3士3.5 11.7士3.5 10. 9:t3. 7

0.25 9. 4:tl. 2 8. 7士1.2 8.3:t1.1 8.4士1.2 8. 6士0.9 8.5:t1.0 8目2士1.0 8. 3:t1. 1

0.01 21. 6土5.1 20.6土5.1 20.1土5.6 20.7土5.4 20.3土5.3 20.6:t5目1 20.4士5.2 20.7土4.4

PVF 0.05 20.4土4.8 19.6土4.9 19.0土5.0 20.6土5.6 20. 4:t5. 8 19. 9:t5. 6 19.6+5.6 20.9士5.3

0.25 21. 7土4.4 21. 6土5.0 23. 0:t4. 6 22.4土4.9 23.9土4.6 22.7:t4目5 23. 7:t4. 9 22.3士4.6L一一一一

HR; heart rate (beats per minute), MBP; mean blood pr巴ssur巴 (mmHg),CO; cardiac output (ml/min.kg), CBF;

carotid blood f10w (ml/min・kg),RBF; renal blood flow (ml/min・kg),FBF; femoral blood flow (ml/mil1・kg),SMF;

supra m巴sent巴ricblood f10w (ml/mil1・kg),HAF; hepatic blood f10w (ml/min.kg), PVF; portal blood f10w (ml/min.kg).

* =p<0.05, * * =p<O.01.

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臓器循環に関する研究 (571)

リ|吋Ac a) HR

%l ・・ 0.01 b) ABP ←______ O.閃 A('110 ←--e O. 25

__ -_e O. 25m

百+ロ。UJ loo I -100

90 90~ ¥r-\1\いーl!____L*_______.~.ーよ三三d.』。+E ω U ∞ h J

80ト 80

70 ロ4~

イ, , o 1 3 5 7 10 15 20min 01 3 5 7 10 15 20min

3121に明Ac c) CO

% 110

@ー』ー・ 0.2

E+ロ8」 10900L 、r 七!ふl んーームー100

90 同。+口。。」 80ト 80 』。p.., 70

<11._1

01 3 5 7 10 15 20min 01 3 5 7 10 15 20min

Fig. 2. a) Effect of acebutolol on heart rate. b) Effect of acebutolol on art巴rialm巴anblood pressure. c) Effect of acebutolol on cardiac output. d) Effect of acebutolol on total peripheral resistance. * = p < 0目05,(n=5).

-←ー・O.Olmg! • ←ー→ O.OSmgトAc----........ 0, Z5mgJ

a) RBP 110

90

% ~ 110 6 〉

ち 1002吋

8 90 0

E 80 0

'" よ 70キ ]o 1 3 5 7

学d芋手ボヨ存〉斗特100

80

70

10 15 20min デ'-'--'

01 3 5 7 10 15 20min

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Fig. 3. a) Effect of acebutolol on renal arterial mean blood pressure. b) Effect of acebutolal on renal blood flow. c) Ratio of RBF to CO expressed in percentage. d) Effect of acebutolol on renal vascular resistance (n=5).

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(572) 林

するため RBF/COを求めてみると,その比は 1より大

きい傾向で推移した (Fig.3-c).

C実験では, Acの少量投与によって RBFが徐々に減

少し, 5分後に前値の 92.4:t3.8%になったが,有意の変

化ではなく, 10分後には前値に回復した.中等量投与で

はRBFはほとんど変化を示さなかった.大量投与では,

徐々に減少する傾向を示して 20分後に前値の 91.0:t2.3

%になったが,有意の変化はなかった (Fig.4).

(3) RVR

Ac少量投与では徐々に減少して 10分後に前値の

95.3士3.1%になったが有意の変化はなかった.中等量投

与では投与 3分後まで軽度に減少したが有意の変化では

なかった.大量投与では, 3分までは不変, 5分後から増

加の傾向を示したが有意、の変化ではなかった (Fig目 3

d).

型%', 0-...... 11. IIlm,l 云1l0l ←--.11・05叫ん.extra-RBF > -------U, ~;.,mgJ o ふ ,'t

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Fig. 4. Effect of acebutolol on extracorpor巴alrenal blood flow (n=5).

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~ 70 ~ 。 .・

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勝文

3. 腎機能

(1) ERBF

A実験においてクリアランスによって求めた ERBF

は, Acの少量投与では前値の 116.7:t11.9 %に増加傾向

を示し,中等量投与では前値の 87.2:t7.3%に減少する傾

向を示したが,いずれも有意の変化ではなかった.大量

投与では変化しなかった (Fig.5-a).

C実験においても ERBFは, Acの少量,中等量,大量,

いずれの投与量でも有意の変化を示さなかった (Fig.5-

b).

(2) GFR

A実験における GFRは, Acの少量投与では前値の

111.7士11.9%,中等量投与では 99.0:t3.4%,大量投与で

は97.l:t6.2%であり明らかな変化を示さなかった (Fig.

5-a).

C実験における GFRはAcの少量投与によって前値

の92.6:t17.1%になったが,中等量投与では 104.0士6.5

%,大量投与では96.7:t16.2%であり,いずれも有意の

変化でなかった (Fig.5-b).

(3) FF

A実験における FFはAc少量投与では前値の 98.l:t

12.0 %でほとんど不変,中等量投与では前値の 125.0:t

8.8 %に増加(p<0.05),大量投与では 93.0士3.4%に減少

した (Fig.5-a).

C実験では Acの少量投与,中等量投与とも明らかな

変化を示さなかったが,大量投与では 76.6士13.5%に減

少した (Fig.5-b).

4. 肝動脈・上腸間膜動脈・門脈血行動態

(1) HAF' HAR

% 120

110

100

90

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70

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て0.01 0.05 0.25 mg/kg 0.01 O. C

a b

Fig. 5. a) Effect of acebutolol on renal function in renal circulation under aortic blood pressur巴.b) Effect of acebutolol on renal function under steady per. fusion pressure through the extracorporeal circuit *ニp<0.05,(n=5).

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(573)

HAF/COを求めてみると,いずれの投与量においても

投与後 7分までは HAFの減少度が COの減少度に比し

て高度であり, とくに中等量投与時にその傾向が明らか

であった (Fig.6-b).

HAR: Ac少量投与では l分後に前値の 103.4士11.8

%. 7分後に 124.6::!::27.8%. 10分後に 107.1士13.8%を

示した.中等量では l分後 95.8::!::1.9%. 3分後 110.8::!::

13.2 %. 5分後 111.0::!::6.6%. 20分後 88.8士4.7%となり

臓器循環に関する研究

HAF: Acの少量投与では 1分後 96.0::!::7.1%. 7分後

89.2士11.1%. 20分後 103.8::!::5.7%であり,中等量投与

では 1分後 82.2::!::13.6%. 3分後 65.9::!::19.2%に減少し,

その後回復して.20分後には前値の 111.0::!::6.2%になっ

た.大量投与では 1分後に 92.2::!::3.7%. 3分後に 88.2::!::

11.0 %になり,以後そのまま持続した.いずれの投与量

においても分散が大きく,変化は有意でなかった (Fig

6-a), HAFの変化率を COの変化率と比較するために

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110 a) HAF

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20min 15

Fig. 6. Effect of ac巴butololon hepatic arterial blood flow. b) Ratio of HAF to CO expressed in percentage. c) Effect ofacebutolol on hepatic arterial resistance. d) Effect of acebutolol on superior mesenteric blood flow.巴)Ratio of SMF to CO巴xpressedin percentage. f) Effect of acebutolol on superior mesenteric

vascular resistance. * =p<0.05. * * =p<O.OI. (n=5)

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動揺した.大量投与では 1分後前値の 106.4士3.4%, 3分 与時に著明であった (Fig.8-b).

後 107.6:t5.2%, 5分後に一旦減少したのち前値に復す CVR: Acの少量投与では投与直後より増加し, 15分

る傾向を示した (Fig.6-C). 後には 128.2士14.6%に増加したが,有意の変化ではなか

(2) SMF・SMR った.中等量投与では 3分後に前値の 114.4土5.7%を示

SMF: SMFはHAFと類似の推移を示した.すなわ した後,前値に回復した.大量投与では 3分後に前値の

ちAcの少量投与では 1分後に前値の 93.4士5.5%に減 104.9士2.9%, 7分後に 107.7士4.0%, 15分後に 110.0士

少し, 5分後に 101.2士2.6%に回復した. 15分後には前 3.0 %に増加した (p<0.05)(Fig. 8-c).

値の 97.4:t7.6% (p<0.05), 20分後には前値の 91.8:t (2) FBF' FVR

2.7 %に減少した (p<O.01).中等量投与では 1分後に前 FBF: Acの少量投与では 3分後に前値の 88.2:t9.2

値の 86.9:t5.5%, 3分後に 78.8士10.0%に減少し以後持 %, 5分後に 83.2:t11.6%となったが,有意の変化ではな

続した.大量投与では l分後に前値の 96.0士3.2%にな

り,そのまま持続した(Fig.6-d).SMFの減少度は CO

の減少度に比し,少量で同程度,中等量で高度であった.

CBF: Ac少量投与では投与 1分後に前値の 92.0:t3.7

%に, 5分後に前値の 89.2士5.8%に,さらに 10分後には 0.5

前値の 83目。士4.6%に減少した (p<0.05). 中等量投与で

は3分後に前値の 88.0士6.7%に減少し,その後軽度に回

復したが, 20分後には再び前値の 88.4士1.7%に減少し

た.大量投与では 15分まで徐々に減少した (Fig.8-a).

CBF/COの推移でみると, CBFの減少度は COの減少

度に比し高度で,その程度は中等量・大量に比し少量投

(574) 林

大量で、はやや高度であった (Fig.6-e).

SMR: Acの少量投与では l分後に前値の 105.1士

10.7 %を示したが, 5分後には前値の 94.6士2.1%に減少

し(p<0.05),以後前値に復する傾向を示した.中等量投

与では 1分後に前値の 109.2:t6.9%, 3分後には 128.7:t

18.0 %, 5分後に 133.0:t17.9%に増加し,以後持続した.

大量投与では 5分後に前値の 107.5:t9.4%になったが有

意の変化ではなかった (Fig.6-0.

(3) PVP. PVF

PVP: Acの少量,中等量,大量,いずれの投与量にお

いても明らかな変化は認められなかった (Fig.7-a),

PVF: Ac少量投与では 1分後が前値の 94.2:t9.0%

であり,その後も明らかな変化を示さなかった.中等量

投与では 1分後が前値の 87.9:t11.0%, 3分後が 82.l:t

13.4 %であり, 20分後に前値の 95.0:t17.3%に回復し

た.大量投与では 1分後が前値の 95.6士3.5%, 3分後

106.0土6.6%, 7分後 112.8:t8.1%となり, 20分後には前

値に回復した (Fig.7-b).PVF/COの推移でみると,

少量・中等量では PVFの減少度が COの減少度に比し

て大であり,ことに中等量でその傾向が明らかであった.

大量投与では COが減少したのに対し, PVFは増加した

(Fig. 7-C).

5. 総頚動脈・大腿動脈血行動態

(1) CBF・CVR

勝文

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Fig.7目 a)Effect of acebutolol on portal vein pressure. b) Effect of acebutolol on portal vein blood flow. c) Ratio of PVF to CO 巴xpressedin percentage

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臓器循環に関する研究 (575)

かつだ.中等量投与では 1分後に前値の 83.2::!::8.1%, 3

分後に 81.6土7.0%, 7分後に 91.3::!::5.5%となり, 20分

後には 85.1士4.8%に減少した (p<0.05).大量投与では

軽度の減少傾向を示した後, 20分後に前値の 87目8::!::10.3

%になった (Fig.8-d).FBF/COをみると,少量・中

等量投与では FBFの減少度が COの減少度に比して高

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01 3 5 7 10 20min 15

度であった (Fig.8-e).

FVR: Acの少量投与では投与直後から著明に増加

し, 3分後には前値の 137.1士10.7%に,さらに 10分後に

は前値の 150.6::!::25.0%に増加し以後持続した.中等量投

与では 1分後に前値の 125.4::!::14.3%に増加したが,その

後回復傾向を示し 7分後に一旦前値に復した後,再び

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Fig. 8. Effect of acebutolol on carotid blood flow. b) Ratio of CBF to CO expr巴ssedin percentage. c) Effect of acebutolol on carotidal resistance. d) Effect of ac巴butololon femoral blood flow.巴) Ratio of FBF to CO expressed in percentage. f) Effect of acebutolol on femoral vascular resistance. * =p< 0.05, (nニ 5).

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(576) 林

増加して, 20分後には前値の 112.4:t12.0 %になった.大

量投与では投与直後より徐々に増加し, 10分後に前値の

111.0:t9.3 %, 20分後に前値の 125.4:t15.4 %になった.

しかし,これらの変動はいずれも分散が大きく有意の変

化とはいえなかった (Fig目 8-0.

考察

1. Acの薬理作用と投与量

薬理作用田 Acすなわち, D.L-(2-acetyl.4-n-

butyramidophenoxy)ー2同 hy d r 0 x y -3-

isopropy laminopropane hydrochlorideは, Prichard3)

によると II類 1群に属する交感神経β受容体遮断薬に

分類される.薬理作用として1)心選択性β1受容体遮断

作用4) 2)膜安定化作用〔キニジン様作用)5) 3)内因性

交感神経刺激作用酬を有し,心選択性を有する点、で心臓

以外の臓器におよぼす影響が少ないとされている.

投与量.研究の目的が血管作動薬を臨床的に全身投与

する際の諸臓器血行動態の変化について考察することで

あるため,薬剤の反応性は人とイヌでは同一ではないが,

臨床に使用される投与量で、得られる血中濃度とおおむね

同程度の血中濃度が得られる投与量を中等量とし,その

1/5量を少量, 5倍量を大量として設定した.

2. Acが全身血行動態におよぼす影響

(1) HR' CO におよぼす影響

HR:橘ら7)は,イヌに Ac2mg/kgを静注した結果,

HRは30秒後に有意に減少したのち 3分まで漸減し,以

後ほぼ一定の値を保ったとし,高海ら8)は京都ウィスタ

ー系ラット (WKY)について実験を行い, HRはAc0.5

-10mg/kg投与で減少したが, 20mg/kg投与では減

少しなかったとしている.

本研究では HRは, Ac 0_01 mg/kg (少量〉の投与で

はl分後に前値の 94.4土2.3%に減少し,そのまま持続し

た. 0.05 mg/kg (中等量〉の投与では, 1分後に前値の

87.5:t2目3%に減少し(p<0.05), 15分後まで有意の減少

が続いた.Ac 0.25 mg/kg(大量)の投与で、は同じく l分

後から減少し, 5分後に前値の 89.6士2.8%に減少 (p<

0.05)して 20分後まで持続した.つまり内因性交感神経

刺激作用の存在下でも HRの減少を示し,諸家の報告と

同様の β遮断作用が認められた.本研究に用いた投与量

は諸家の報告に比していずれも少量であったが,今回の

投与量の範閤内ではAcの効果に用量依存性は認められ

なかった.

CO:橘ら7)は,イヌを用いた実験で Ac2mg/kgの

投与により COは1分後に前値の 88%に有意に減少し

たとしている.

勝文

今回の実験において, COはAc0.01 mg/kgの少量投

与では 1分後減少傾向, 3分後には回復し,中等量では l

分後減少傾向, 3分後に有意 (p<0.05)の減少を示し,

そのまま持続した.大量では 1分後減少傾向を示し,そ

の後前値に復した.以上から β遮断薬の変時作用ととも

に陰性変力作用の存在が示唆された.

(2) ABPにおよぼす影響

β遮断薬は陰性変時・陰性変力作用を有し, HRとCO

を減少させて血圧を下降させることは周知の通りであ

る.β 遮断薬の降圧機序としてはCOを減少させるほか,

レニン・ァ γジオテンシン・アノレドステロン系 (RAA系〉

の抑制作用,中枢作用,交感神経抑制作用,圧受容体リ

セットなどが知られている叫が,急性投与では降圧降下

は不十分との報告も少なくない.急性投与ではCOは減

少するが, TPRは増大し血庄はむしろ上昇することがあ

るという 10)11) その理由としてシナフ。ス後A受容体遮断

による細動脈弛緩の抑制jならびに CO減少にもとづく反

射性交感神経緊張,すなわち血管壁の d 受容体の刺激,

副腎髄質からのカテコラミン遊離およびノノレアドレナリ

ン取り込み抑制などが関与するものと考えられてい

る叫.イヌを使用した実験で教室の辻村13)は非選択性β

遮断薬では降圧作用はみられなかったが, β1遮断薬では

降圧効果がみられたとしている.橘ら7)は静注 30秒後に

血圧は下降するが 1分後にはやや回復しそのまま持続し

たとしているのに対し,高海ら8)はラットを使用した実

験ではあるが 0.5-20mg/kgの投与量では, 1mg/kg

投与でのみ有意に下降したが,投与量を増量するとかえ

って降圧作用は減弱するなど一定した作用がみられなか

ったとしている.一方,清水ら14)は1.0-5.0mg/kgの

投与量では用量に比例した降圧効果がみられたとしてい

る.

本研究の成績によると,血圧はAcの少量投与では l

分後わずかに下降し,中等量投与では投与直後から漸次

下降し, 3分後と 7分後に有意の下降を示した.大量投与

においても下降するが,その程度は少量・中等量と同程

度で, 5分後には回復している.以上,本剤の投与によっ

て降圧が認められたが,少なくとも今回の投与量の範囲

ではその降圧効果に用量依存性を観察し得なかった.

(3) TPR におよぼす影響

橘ら7)は同じ実験で, TPRは,投与 30秒後に前値の

77 %に一過性に減少したのち l分後には前値に復し, 2

分以後増加傾向を示したが,いずれも有意の変化ではな

かったとしている.

著者の実験では, TPRは,少量では変化せず,中等量・

大量では増大し,諸家の報告と一致した.交感神経緊張

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臓器循環に関する研究 (577)

時にA受容体を介して細動脈の拡張が起こり, β2受容体

の遮断によってその収縮が生じることは周知の事実であ

るが,今回の成績において Acの中等量・大量投与時に

TPRの上昇をみたことは, AcのβI選択性が完全なもの

で無く,中等量・大量投与ではそのA選択性が弱まるこ

とを示唆している.

3. Acが腎血行動態・腎機能におよぼす影響

RBFは神経性,体液性および自己調節機構の 3つのメ

カニズムにより調節されている.このうち神経性調節は

主として交感神経系によるものであり 15),副交感神経の

関与については明らかではない.また中枢神経系の腎血

行動態への関与については,精神的ストレス同や蒸痛聞

によって RBFに変化の生ずることが知られており,大

脳皮質レベノレにおいてすでに影響が現れるとされてい

る17) 体液性因子としてはRAA系の関与が考慮される.

さらに自己調節に関連する状態として,出血性ショッタ

や低酸素状態など各種ストレス時に血流の脳・冠血管系

への集中現象18)が見られるように, coの減少に伴って

各臓器血流量が変動する際には,臓器により血流量の変

化率に差が生じ,各臓器に対する血流配分が均等で、なく

なる.つまり血管が拡張して血流量が増加する臓器,ほ

とんど変化しない臓器,逆に減少する臓器など,臓器に

よって血流の分布率が異なり同一21)COの減少に対する

RBFの変化は同様ではない.さらに局所循環では, RBF

が変化すると腎内において ERBFとGFRに解離の生

じることが知られている22)-24)•

今回のA実験では, COが減少し,それに伴い RBFも

わずかに減少したが, RBFの減少率はCOの減少率に比

して軽度であった.この局所循環すなわち腎内血行動態

の変化についてみると, A実験の中等量でERBFの減少

度およびGFRの減少度に解離が認められた.また, A実

験の少量・中等量投与で GFRの変動はERBFに比して

軽度であった.このことは,腎内血管系の反応に差異の

生じたことを示唆したものと考えられる.さらに中等量

投与では, ERBFの減少が RBFに比して著明であった.

このことは,腎皮質・髄質問で血流減少の程度に差が生

じたことを示している.しかし潅流圧を一定に保った C

実験では RBFの減少度はA実験とほぼ間程度であり,

ERBFは中等量・大量投与でも保たれていた点,異なっ

た結果が得られた.ERBFすなわち皮質血流量の減少の

原因としては,レニンが皮質外層に多く存在する町こと

から, A実験での中等量投与における RBPの下降がレ

ニン分泌を促進させERBFを減少させた可能性が示唆

される.しかし腎は,s,受容体をほとんど有しない臓器で

あり,さらにレニンは β2受容体を介して分泌される26)に

もかかわらずβ1選択性を有する Ac投与によって血流ス

ティーノレがみられたことから, レニン単独によるものと

は考えにくい.一方,腎臓は腎循環のみならず体循環調

節に関与する重要臓器であり,自己調節能の発達した臓

器2巾 8)である.辻村13)はtrapidil, prazosin, pro.

pranolol, acebutololなど血管に対する反応性の異なる

種々の薬剤を使用した実験で RBF,ERBFの減少に比

しGFRが保たれたことから自己調節が関与したとして

いる.しかし, N onaka et a]29)はブナゾシン投与の結果

ではRBF,ERBFが減少するが,GFRも同程度減少した

とし自己調節の関与しなかった例を報告している.今回

の実験ではCOの減少率に比して RBFの減少率が軽度

であった.また血行動態の変化は投与初期,とりわけ投

与後 1分前後に出現した.この変化出現に要する時聞は

自己調節を特徴づける根拠の 1つである30)ことから自

己調節が働いた可能性も否定できない.

腎血流再配分の部位については現在なお不明であり,

RBF, ERBF, GFRの三者聞に生じる解離の理由を各血

管床の反応性の相違によるとする報告31)ー叫があるが,

輸入細動脈と輸出細動脈の両者聞の拡張・収縮度に差が

生じた結果と考えたい.

4. Acの肝動脈・上腸間膜動脈・門脈血行動態におよ

ぼす影響.

腹部内臓血管床を流れる血液量は正常時COの約1/4,

ときには全循環血液量の1/3におよぶとされている.し

たがって腹部内臓血管床の変化は,血圧・有効循環血液

量などの全身血行動態に大きな影響をおよぼしうる.と

りわけ,肝・門脈流域における血行動態の変化は,全身

血行動態に大きく影響する.一方,腹部内臓血行動態に

ついてみると生理的に HAFに影響を与える因子として

は体位・運動・呼吸などが知られている35)36)

本研究では,実験中イヌの体位は不変で,安静状態と

し,さらに調節呼吸が行われている点,これらの影響を

最小限にとどめた.Acの少・中等量投与により程度は異

なるが, HAF・PVFはいずれも減少傾向を示しており,

減少率ではcoの減少率に比し高度であった.しかし

PVFは大量ではむしろ増加した.腹部内臓血管の交感神

経 β受容体はAとされており, Acの直接作用はみられ

ないと考えられるにかかわらず血流減少がみられ,厳密

なβl選択性の失われる大量投与4)でむしろ血流増加が認

められたことから,今回の成績での減少はβ遮断作用に

よるものと考えるよりは主として血流スティーノレによる

ものと思われる.SMFは内臓血流の多くを占め,さらに

腸間膜静脈血管床は多量の血液を貯留する能力を有する

ため,消化管血管は血管抵抗のみならず,血液容量の面

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(578) 林

からも循環動態調節に重要な役割を演じるといわれてい

る.また, PVPは消化管への動脈血流入抵抗の変動を介

して消化管の血流量に影響をおよぼすとされている

が37),本研究では, Ishikawa et aP)の方法に準じて,零

点を設定して測定した結果, 12mmHg前後で安定して

変動がなく,循環動態に影響をおよぼさなかった.SMF

についても Ac投与によって, HAFと類似の減少を示し

たことから,この減少の原因としては主として他臓器へ

の血流スティーノレの関与が推測された.

5. Acが総頚動脈・大腿動脈血行動態におよ v:tす影響

脳は諸臓器の中で最も酸素不足に弱し、臓器であり, CO

の15%に相当する血液供給を受けている.脳血流量を左

右する因子は血圧と脳血管抵抗であり,脳血管抵抗に影

響をおよぼす因子として神経性因子,化学的因子,頭蓋

因子など種々の因子が存在する削.神経性因子は,主とし

て交感神経 aによって支配され39)ているが, βも軽度な

がら存在する 40) とされている.これら因子のうち,最も

大きな影響をおよぼすのは,化学的因子, とりわけ動脈

血 CO2分圧である叫42) さらに脳は腎と同様自己調節機

構の発達した臓器とされている43)-45)

本研究では,気管内挿管を行い,血液ガス所見が正常

となるように,定速で人工呼吸を行った.したがって,

今回の研究では化学的因子とりわけ動脈血中 CO2分圧

の影響は除外しうる.CBFはAc少量投与では,投与 10

分後に前値の 83目。%に有意に減少した.減少率は COの

減少率に比して少量投与では高度であったが,中等量・

大量投与ではむしろ軽度になった.CVRは,少量投与で

増加,中等量では初期に増加するが, 3分以後は前値に復

し,大量投与で軽度ながら有意に増加した.このことは,

血管反応について,大量投与時には《受容体遮断作用も

現れる可能性を示唆するものと考える.しかし Acによ

る血流減少作用については少量投与時に著明であったこ

とから,投与量によっては総頚動脈への直接的 β遮断作

用よりも腎などの他臓器への血流スティーノレが生じた可

能性も否定できない.

FBFは主として骨格筋・皮膚に血液を供給している

が,骨格筋の循環調節は他臓器と異なる特殊性を有して

いる.骨格筋では血管は a,β両者の支配をうけており,

血流量は安静時には a優位になっているため 2-5ml/

min ・100gと少ない.しかし運動時には運動性充血およ

びβ刺激によって血流量が安静時の 20倍以上に増加す

るとされている 46) さらに,骨格筋や皮膚は腎・脳と異な

り,自己調節機構はほとんどない刊とされている.

本研究は実験動物を 20-250Cの室温下安静状態で実

施された点,骨格筋・皮膚の血液量は安定した状態と考

勝文

えてよい.FBFはAcの少量,中等量投与で COに比し

て,高度の減少率を示したが,大量では COの減少率と同

程度にとどまった.また FVRは少量投与では高度の増

加を示した.このことは本剤は下肢血管を収縮させるが,

その程度が用量に比例しない可能性を示したものと考え

られ,さらに大腿動脈が命受容体のみを有する48) とさ

れていることから, βl選択性とされる Acにおいても,

A受容体に対する作用のみられる可能性が示唆される.

しかし,血流量減少の程度が少量投与時に大量投与時よ

りも著明であったことから,血流減必はβ遮断作用によ

るよりも腎などの他臓器への血流スティーノレが生じた結

果と考えたい.

以上の成績は, Ac投与時にみられる各臓器血流量の

変化が, COの減少に比例して減少するのではなく,変化

の程度が臓器によって異なることを示している.つまり

腎で、は血流が保たれるのに対し,肝および消化管では,

血流の減少が著しい.CBFもスティーノレによって減少す

る.このことは,臨床において動脈硬化性疾患・虚血性

疾患の治療に対して β遮断薬を投与する場合に,目標臓

器以外の諸臓器血行動態への影響にも留意する必要のあ

ること,また β1選択性であっても投与量によって作用効

果が必ずしも同一でないことを示している.

結 論

β1選択性交感神経β受容体遮断薬 ac巴butolol(Ac)が

諸臓器血行動態におよぼす影響を検討する目的で,雑種

成熟イヌ 45頭を用い, Ac投与前後の心,腎動脈,肝動

脈,上腸間膜動脈,門脈,総頚動脈および大腿動脈の血

行動態変化を検討した.

l. Ac 0.01 mg/kg (少量), 0.05 mg/kg (中等量〉

および 0.25mg/kg(大量〉の全身投与により, HRの減

少, ABPの下降, COの減少, TPRの増大傾向が認めら

れた.

2. RBPは減少したが, RVRには有意の変化がなく,

RBFはほとんど変化しなかった.ERBFは減少したが

GFRはほとんど減少せず,腎内血流量の再配分が認めら

れた.腎定圧潅流実験では, RBFが減少し,腎血管の収

縮が示された.

3. SMFはAc投与によって減少した. HAFは減少

例が多く, PVFは少量・中等量で減少,大量で増加の傾

向を示した.減少率はcoの減少率に比して高度であっ

た.

4. CBF' FBFはAc投与により滅少した.減少率は

COの減少率に比して高度であった.

5 本実験における Ac投与量の範囲では,その作用

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臓器循環に関する研究 (579)

に明らかな用量依存性を認めなかった.

謝 辞

稿を終るに臨み,恩師石川兵衛教授のご指導ご校聞に

深甚の謝意を表するとともに,ご教示ご校聞をいただい

た薬理学黒河内寛教授および第 2外科学内海庄三郎教授

に深謝します.あわせて終始直接ご指導いただし、た野中

秀郎助教授はじめ血行動態グノレープの諸兄に感謝の意を

表します.

本論文の要旨は第 24回日本脈管学会総会,第 20回日

本臨床生理学会総会および第 8回アジア太平洋心臓学会

議において発表した.

文 献

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