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南魚沼市農業委員会だより 2019.3.1発行 かけ橋とは… ────────── 農地と担い手をつなぐ… 現場と農政をつなぐ… 消費者と農業者をつなぐ… 農地と農村をつなぐ… 次の世代と農業をつなぐ… かけ橋 南魚沼市農業委員会への お問い合わせは 電話 025 − 773 − 6664 FAX025 − 773 − 6710 E-mail [email protected] までお願いします。 56 28 稿大崎菜の収穫 (大崎) 魚野のかけ橋/南魚沼市農業委員会だより 平成31年3月1日発行 1

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南魚沼市農業委員会だより 2019.3.1発行

かけ橋とは…──────────農地と担い手をつなぐ…現場と農政をつなぐ…消費者と農業者をつなぐ…農地と農村をつなぐ…次の世代と農業をつなぐ…

かけ橋

南魚沼市農業委員会へのお問い合わせは

電話025−773−6664 FAX025−773−6710E-mail [email protected]までお願いします。

第56号

 「魚沼産コシヒカリ」雑感

南魚沼地域振興局長    

小幡武志

 

昨年、日本穀物検定協会の食

味ランキングで、魚沼産コシヒ

カリが28年連続の「特A」から

初めて「A」評価となりました。

この原稿を書いている時点では最新のランキングがまだ

公表されていませんが、結果いかんにかかわらず、農業

者の皆さんやJAはじめ関係者の皆さんの特A復帰に向

けたこの1年間のご努力に心から敬意を表します。

 

ご承知のように、このランキングはあくまでも供試さ

れたお米に対する食味試験の結果であり、流通するお米

全体を評価するものではありません。しかし、魚沼産コ

シヒカリのブランド維持には、絶えずお客様から「価格

に見合う価値があるお米」として評価され続けることが

必要だと思っています。ランキング結果は、それに一喜

一憂するものではなく、評価の一つとして受け止め、価

格に見合う食味・品質の確保や、効果的な情報発信など、

お客様の満足度を高める取組に生かしていくことが大切

だと考えています。

 

なお私見ですが、近年の魚沼産コシヒカリは、産地の

中で各JAや生産者の独自ブランドが競いあっているよ

うに見えます。これ自体を否定するものではありません

が、独自ブランドも魚沼産コシヒカリという共通の土台

の上にあります。独自ブランドに注力するあまり、この

土台を守ることに以前よりも関心が薄れていないか懸念

しています。「親亀が転ければ子亀も転ける」という言

葉もあります。産地全体として、この共通の土台を守る

ことにもう少し目を向ける必要があるのではないでしょ

うか。

大崎菜の収穫(大崎)

魚野のかけ橋/南魚沼市農業委員会だより平成31年3月1日発行1

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「家族と農業」

林 貴司〔下一日市〕

私の家は、春

のすじまき

から始まり、秋

の稲刈りまでの

工程を、八十代

の父親を中心に

4人で従来のコシヒカリを生産して

います。炊きたてのコシヒカリは、

ねばり気が有り噛むたびに甘さを感

じ、とてもおいしい米だと実感して

います。

 

両親は、兼業農家として営んでき

ましたが、現在は、仲間の皆さんと

共に季節の野菜、山菜などを5月か

ら11月の間、石打正直村へ出荷して

います。

 「昔はニワトリや牛を飼い全ての

作業を家族総出でやっていたんだ」

と話を聞きます。近年農業も大きく

変わりました。

 

私は、勤めながら、春の田植え、

畦の草刈り、稲刈り、米の調整、お

客様への配達などを行っています。

この南魚沼の恵まれた自然の中で、

美味しい米を作れることは大変うれ

しいことです。両親のように兼業農

家としてやっていけるか不安なとこ

ろもありますが、精一杯努力してい

きたいと思います。

手後継者に恵まれており、活気ある

地域です。農業機械のことだけでは

なく、少しではありますが農業にも

携わっています。田んぼの作付けが

終わってからは、若手後継者と田ん

ぼや畑に行き現場で意見交換なども

やっています。そんな中で日ごろ私

が感じていることは、もっともっと

沢山の若い人たちに農業を知っても

らいたいということです。地域の若

手が一丸となり、良質な米作りと農

地保全を行えば、ふるさとに恩返し

ができるのではないかと思います。

先輩方が守ってきた技術と知恵を継

承しながら、新しい仕組みを取り入

れた農業を子どもたちに伝えたいで

す。大型化する農業機械の使い方や、

効率的な作業をアドバイスし、安心

安全なお米作りを目指していきたい

と思います。

畦道の声

「農業を通して」

山本克幸〔柳古新田〕

農業をしてい

て一番うれ

しい瞬間は、や

はりお客様から

の「美味しい」

の一言だと思い

ます。15年程前より、家業だった農

業に携わるようになり、最初の数年

は、作業に追われる日々で正直中々

モチベーションが上がらない状態で

した。当時、直接お客様と関わるこ

とは少なく、その喜びを感じる機会

が少なかったのだと思います。約10

年前より、お客様との交流を増やそ

うと思い、直売は勿論、田植え・稲

刈り体験や収穫祭などを毎年行い、

県外でのイベントなどにも積極的に

参加してきました。お客様を知るこ

とにより、より責任感も増し、日々

の農作業のモチベーションも高まり、

楽しく取り組むことができるように

なったと思います。

 

今では、農業を通して様々な方と

関わることができ魚沼の四季を感じ

ながら、農業に誇りを持ち、大変だ

からこそ楽しく仕事ができています。

2年程前に法人化し、これからも食

べた人に幸せを感じてもらえる、そ

して、環境、次世代のことを考え、

作り手も含め全てに喜ばれる農業を

目指し頑張っていきたいと思います。

「若手農家応援し隊」

小幡大輔〔麓〕

私は農業機械

の販売、整

備をしています。

私が家業を継い

だのは15年前で

した。そのころ

は農業機械も沢山あり、農家の軒数

も沢山ありました。最近では米価が

下落し、離農する農家が増えていま

す。現在では全国で農業をする人口

の平均年齢は60才を超えており、農

業をする人の高齢化が進んでいます。

ですが、私の住んでいる南魚沼は若

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農地パトロール報告

 

8月21日から29日にかけての

第1回農地パトロール及び11月

5日に実施した第2回農地パト

ロールの結果について報告させ

ていただきます。

 

第1回農地パトロールでは、

例年通り市内を12地区に分け農

業委員および最適化推進委員で

実施しています。この結果を受

け、市内6か所について、第2

回農地パトロールを実施し、市

内の遊休農地、耕作放棄地再生

箇所の状況確認をしました。更

に集計の結果、本年度の荒廃農

地は8,750㎡増加し186,

309㎡となっており、当委員

会も大変危惧しています。今後、

 

今年度の交流会は、12月6日に関

係者を含め43名で開催されました。

 

第一部は、舞子の宿「和風いん越

路」の小林淳子さんと㈱自遊人代表

取締役の岩佐十良さんから「郷土料

理の魅力と地産地消」をテーマに講

演をしていただきました。

 

小林さんの講演は、以前は母から

教わった野菜や山菜の収穫、保存、

調理方法が今の時代に必要なのかと

疑問を抱えていたが、食推の研修会

で講師の岩佐さんから「この日本有

数の豪雪地には、日本では風前の灯

ともいえる貴重な食文化が残ってい

る」と科学的なことも含め褒めてい

ただいた。この地域の郷土料理を通

して食文化の持つ意味や価値を知り、

自信をもって次の世代に伝えていき

たいという内容でした。

 

岩佐さんの講演では、「2010

年にスタートした雪国A級グルメは、

永久に守りたい味として始まった。

農業、加工、観光の三者を結び付加

価値を付けていく活動である。南魚

沼産コシヒカリは誰もが美味しさを

絶賛する。郷土料理は地域の風土、

文化、歴史を皿の上に表現してい

る。」という内容でした。

 

その後、自家栽培の野菜や米を

女性農業者との交流会

平成

30年度

関係者に対しての意向調査を実

施していきます。以上、農地パ

トロールの報告とさせていただ

きます。

 

さて、今年は農村基本法の見

直し年です。我々の営農環境が

大きく改正されることとなりま

す。そんな中思い出すのは、昨

年の猛暑の日、近所の90歳を超

えるおじいちゃんに「じい、こっ

けんあちいがんにどごへいくが

だ、倒れるぞ」と声を掛けまし

た。すると「たっぽにひえが生

えたんなんが取りにいくがだ」…

凄い。負けた。他にする仕事が

ないと言いながらシニアカーに

鎌をのせ、真っ黒に日焼けした

笑顔がトロトロと動き出しまし

た。後ろ姿を見送りながら「やっ

ぱ凄い。」と、私もあっちちに

焼けたトラックに乗り込んで、

後を追うように田んぼに向かい

ました。私もあんな風に後輩に

笑顔と背中で「頑張ろてぇ」と

語られるジイになりたい。基本

法は変わっても営農活動は変わ

りません。皆さん頑張りましょ

う。�

(中島直樹委員)

使った食事を板長の説明を交えなが

ら味わいました。第二部での意見交

換会では、農地や制度に関する質問

が寄せられました。また、南魚沼の

暮らしや料理に対する思いを語り合

うなど会話が弾みました。

 

何気なく暮らしているこの地域や

日常が、視点を変えれば何と美しく

満ち足りたものかと気付かされ、明

日への活力が湧いてきた一日でした。

(内山裕子委員)

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弥生、3月、ひな祭り。まもなく二十四節気の

「啓蟄」を迎えます。二十四節気は中国から伝わり、

季節を示すのに用いられ、古来より農耕作業に深

く関わってきました。土の中で冬ごもりしていた

虫が地表に出てくる「啓蟄」。命が息吹く春が、

もうすぐやってきます。

(内山裕子委員)

編集後記

農業委員会の主な活動

・12月6日㈭ 

女性農業者との交流会�(和風いん越路)

・12月25日㈫ 

第12回農業委員会総会�

(大和庁舎)

・1月25日㈮ 

第1回農業委員会総会�(大和庁舎)

・2月23日㈯ 

認定農業者と農業委員会の意見交換会�

(ほてる木の芽坂)

・2月25日㈪ 

第2回農業委員会総会�

(大和庁舎)

所有者の分からない農地等の取扱いについて

底面がコンクリート等で覆われた農業用施設用地の取扱いについて

 農業経営基盤強化促進法等の一部が改正され、農地について他の共有者が分からない場合や、共有者の誰かが貸付けに反対している場合でも、探索や公示等の手続きを行うことで共有者の一人等による申込でも農地中間管理機構に貸付けができるようになりました。また、その場合の契約期間も最長20年まで貸付けができます。 貸付けを希望される方は市農林課、または農業委員会事務局までご相談ください。

 平成30年11月16日施行の改正農地法により、もっぱら農作物の栽培を目的として、農業用ハウス等の底面をコンクリート等で覆った場合における農作物栽培高度化施設の用地として使われる農地は、転用手続きが不要になる等、農地法上の農地としての扱いを受けます。 農作物栽培高度化施設に供される農地と認められるためには、事前に農業委員会へ届出し、内容を確認する手続きが必要となりますので、あらかじめ農業委員会までご相談ください。また、届出がされていない、届出内容と利用実態が異なる等の場合には違反転用となるおそれがありますのでご注意ください。

「農地利用最適化推進委員に

       

なって思うこと」

 

私は、農地利用最適化推進委員になり、

どんな役割、仕事をすれば良いか納得す

るまで1年かかりました。これからの農

業委員会は、推進委員を設けたことで地

域の農業情勢を把握して農業委員と共に

農業の発展と農地の利用を最適化し農地

を守ることが職務と考えています。

 

今全国で耕作放棄地が増えています。

管内も例外ではありません。これをどう

防ぎどう対処していくか皆で取組んでい

るところです。また、農業者が高齢化し

てきているために離農者が年々増えてい

ます。こういう問題に対処するため私た

ちは駆けずり回っています。水稲農業で

採算が合う農業経営は難しい時期になっ

ていることは確かです。これらを解決す

るには、担い手の育成が大事だと考えま

す。農業委員会では、担い手を一人でも

多く育てるために相談を受けたり、経営

等の応援をしていきたいと考えています。

それが今の農業委員会に課せられた職務

だとも思っています。

 

改革された農業委員会に相談、意見等

ありましたら何なりと申しつけください、

一生懸命に頑張りたいと思います。�

(桑

原善和委員)

新委員コラム

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