苦しいとき技術者を支えた、 ものづくり・ものがたり 「我々 …特別賞...

ものづくり日本大賞 13 13 左から、竹内和敏、高松 守、石井康博 枠内は山田健太郎 苦しいとき技術者を支えた、 「我々は進化の世界に 生きている」という言葉を 信じて前へ進む 10 10 ⃝商号 株式会社イシモク・コーポレー ション ⃝設立 1948 年 ⃝従業員数 164 名 ⃝事業内容 木質系を主体とした内外装商品の 開発・製造・販売。 株式会社イシモク・コーポレーション 福岡県大川市向島 1703 TEL:0944-87-6688 FAX:0944-87-6685 https://www.ishimok.co.jp/ 5年以上の月日をかけた研究開発が特別賞に選ばれ、大変嬉 しく思います。開発に携わっていただいたすべての方に感謝申 し上げます。 本技術を更に進化させ多くの商品に付加する事で、弊社事業 のみならず地域社会に貢献できれば幸いと考えます。 受賞メッセージ 受賞者名 リーダー 石井 康博 メンバー 高松 守、 山田健太郎 竹内和敏 (1) (1)福岡県工業技術センター インテリア研究所)

Upload: others

Post on 24-Mar-2021

7 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 苦しいとき技術者を支えた、 ものづくり・ものがたり 「我々 …特別賞 第7回 ものづくり日本大賞 13 ものづくり・ものがたり 左から、竹内和敏、高松

特別賞

第7回ものづくり日本大賞

1313

ものづくり・ものがたり

左から、竹内和敏、高松 守、石井康博枠内は山田健太郎

苦しいとき技術者を支えた、「我々は進化の世界に生きている」という言葉を

信じて前へ進む

鏡の仕組みをヒントに

革新的な塗装法を開発

 

ピアノや高級感のあるキッチンの

鏡面製品などは、華やかでモダンな

印象を与えるため、長年安定的な需

要があった。しかし、周りの景色が

鮮明に写りこむような面材は、熟練

の職人により何度も塗り重ねなけれ

ば仕上がらない。そのため手磨きに

よる塗装職人育成に10年以上かか

り、後継者難に陥っていたのだ。

 

鏡の仕組みをヒントに開発した革

世界初の革新的な

塗装方法により

従来比工程数1/10を実現した

高耐久性塗装鏡面家具の開発

受賞件名

伝統技術の応用部門 

株式会社イシモク・コーポレーション

⃝商号株式会社イシモク・コーポレーション⃝設立1948年⃝従業員数164名⃝事業内容木質系を主体とした内外装商品の開発・製造・販売。

会社概要

株式会社イシモク・コーポレーション福岡県大川市向島1703TEL:0944-87-6688FAX:0944-87-6685https://www.ishimok.co.jp/

お問い合わせ先

 5年以上の月日をかけた研究開発が特別賞に選ばれ、大変嬉しく思います。開発に携わっていただいたすべての方に感謝申し上げます。 本技術を更に進化させ多くの商品に付加する事で、弊社事業のみならず地域社会に貢献できれば幸いと考えます。

▼受賞メッセージ

受賞者名リーダー石井 康博

メンバー高松 守、山田健太郎

竹内和敏(1)

(1)福岡県工業技術センターインテリア研究所)

第7回ものづくりパンフ-本文.indd 13 2018/03/20 18:27:32

Page 2: 苦しいとき技術者を支えた、 ものづくり・ものがたり 「我々 …特別賞 第7回 ものづくり日本大賞 13 ものづくり・ものがたり 左から、竹内和敏、高松

14

ファイル名

第7回

ものづくり日本大賞(特別賞)

従来技術と新技術の違い世界初の塗装方法である「平滑面転写法」を確立し、その手法を自動で実現する独創的な装置「IM

(Innovative Mirror finish:革新的な鏡面) system」を開発した

IM system(革新的な鏡面)により平滑面転写法を具現化した装置

塗装鏡面の例

従来技術との生産工程比較簡単で、かつ低コスト化を実現

新的な塗装方法「平滑面転写法」

(IM system

)の誕生は、画期的だっ

た。従来、塗装→研磨を30回繰り返

していた意匠性鏡面が、機械による

塗装(平滑面転写)を3回繰り返す

だけで実現可能になったのだ。熟練

の作業者を必要としない工業製品と

して製造することを、世界に先駆け

て実現したのである。

貼り付けシートの不良品が

製品誕生のきっかけに

 「ある時、不良品のシートの試し

貼りをし、そのシートを剥がしてみ

たところ、剥がした部分の表面が見

事なほど美しかったんです」と語る

のは高松守氏。そこでフィルム越し

に、紫外線を照射して塗料を固める

実験を2年間繰り返して、「平滑面

転写法」を開発。それまで熟練技術

が必要だった作業を半日の研修で生

産可能にした。しかも3カ月程度

だった耐久性を、10年以上に延ばす

ことにも成功。1カ月以上必要だっ

た作業も3日間に短縮し、大量生産

が出来るようになった。

「以前読んだ著名な経営者の本に、

『我々は進化の世界に生きている』

と書かれていました。フィルムの不

良品に出会い、平塗りの段階で完成

させることが可能だと判断した以

上、それを信じて前に進むしかあり

ませんでした。夜眠れない日が続い

たり、ヘルペスができたりしたんで

すけれど(笑)」(高松氏)

 

同社の本社がある筑後川流域の福

岡県大川市は、大川家具という全国

有数の「家具の町」。同社は樹脂注

入など独自の技術を開発。ドア、玄

関収納、クロゼット、壁パネル、キッ

チン収納、トイレ収納、医療家具な

ど木質系を主体とした内・外装商品

の開発・製造・販売を手がけ、この

伝統技術を継承してきたのである。

ここがスゴイ! この技術熟練技術が必要だった作業を半日の研修で

 熟練技術が必要だった作業をわずか半日の研修で生産可能にした。

熟練技術者の激減に対応 地元活性化の成功モデルになれるよう、熟練技術者の激減にも対応。

フィルム越しに塗料を固める実験 フィルム越しに、紫外線を照射して塗料を固める実験を2年間繰り返して、「平滑面転写法」を開発した。

 本内容は高松氏を中心に、着想から製品化まで一貫して独自に開発された技術です。地場中小企業でも世界と渡り合える製品開発力を持つことで、衰退著しい地域産業の活性化を牽引するモデルケースとして推薦しました。

【福岡県産業・科学技術振興財団】

▼推薦者の声

第7回ものづくりパンフ-本文.indd 14 2018/03/20 18:27:34