脊髄小脳変性症における瞳孔異常に関する研究 · 2018-02-10 · pupillary...

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25 〔東女医大誌 第58巻 第1!号頁1103~1112昭和63年11,月〕 脊髄小脳変性症における瞳孔異常に関する研究 東京女子医科大学 脳神経センター神経内科学教室(主任 トウ ミチ 伊 藤 道 子 丸山勝一教授) (受付 昭和63年7月19日) Studies on Pupillary Abnormalities in Spinocere Miclliko ITO Department of Neurology(Director:Prof. Shoichi MARUYAMA), Neur Tokyo Women’s Medical College Various pupillary abnormalities are known to be associated (SCD). In this study, infrared oculography was performed in 80 patie Shy-Drager syndrome(SDS),30 with olivopontocerebellar atroph cerebellar atorophy(LCCA),13 with Menzel type,10 with Holmes Pupillary abnormalities observed were myosis in 10, midriasis in 1 syndrome in 16, and tonic pupil in one patient. Horner’s syndrome was observed most frequently in SDS(40ut of 8 patients with OPCA. Mydriasis was most commonly found in here Menzel,30f 10 with Holmes). Other pupillary abnormalities were mo in OPCA, and often in late stage of LCCA, whereas they were rare Intraocular instillation of drugs were performed in the patients localization was diagnosed in the sympathetic neurons. T supersensitivity with epinephrine. The results suggested that the the central or preganglionic neurons、 脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration 以下SCD)は原因不明の徐・々に進行する神経変性 疾患で,小脳失調,錐体路,錐体外路障害の他に, 起立性低血圧,排尿障害,直腸障害,陰萎,発汗 障害,瞳孔異常,睡眠呼吸障害などの多彩な自律 神経障害を呈することが知られている1).SCD患 者では,様々な瞳孔異常を呈することは知られて いるが2)~6),瞳孔異常に注目し多数例で検討した 報告は少ない.本報告では,Shy-Drager症候群 (以下SDS),オリーブ橋小脳萎縮症 (olivopontocerebellar atrophy以下OPCA),晩 発性皮質性小脳萎縮症(late cortical cerebellar atrophy以下LCCA),遺伝歴を有するMenzel 型,Holmes型7)~9)を含むSCD患者80例(M 型,Friedreich病は除外した)について各病型の 瞳孔異常について検討した.瞳孔異常の検索は, SCDにおける自律神経障害の有無の判定,さらに 自律神経系における障害部位判定に有用と考えら れたので報告する. 1.患者対象群 対象は1979年から1987年目でに当科外来を受診 もしくは入院したSCD患者80例である.男性50 例,女性30例,年齢は平均52.4歳である.SCDの 内訳はSDS 8例, OPCA 30例, LCCA 19例 Menzel型13例, Holmes型10例である(表1 型診断は,家族歴,現病歴,神経学的所見より行 一1103一

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Page 1: 脊髄小脳変性症における瞳孔異常に関する研究 · 2018-02-10 · Pupillary abnormalities observed were myosis in 10, midriasis in 17, anisocoria in 11, Horner’s

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原 著

〔東女医大誌 第58巻 第1!号頁1103~1112昭和63年11,月〕

脊髄小脳変性症における瞳孔異常に関する研究

東京女子医科大学 脳神経センター神経内科学教室(主任

イ トウ ミチ コ

伊 藤 道 子

丸山勝一教授)

(受付 昭和63年7月19日)

Studies on Pupillary Abnormalities in SpinocerebeUar Degeneration

Miclliko ITO

Department of Neurology(Director:Prof. Shoichi MARUYAMA), Neurological Institute,

Tokyo Women’s Medical College

Various pupillary abnormalities are known to be associated with spinocerebellar degeneration

(SCD). In this study, infrared oculography was performed in 80 patients with SCD including 8 with

Shy-Drager syndrome(SDS),30 with olivopontocerebellar atrophy(OPCA),19 with late cortical

cerebellar atorophy(LCCA),13 with Menzel type,10 with Holmes type.

Pupillary abnormalities observed were myosis in 10, midriasis in 17, anisocoria in 11, Horner’s

syndrome in 16, and tonic pupil in one patient.

Horner’s syndrome was observed most frequently in SDS(40ut of 8 patients), and in 60ut of 30

patients with OPCA. Mydriasis was most commonly found in hereditary SCD(50f 13 patients with

Menzel,30f 10 with Holmes). Other pupillary abnormalities were most frequent in SDS, next frequent

in OPCA, and often in late stage of LCCA, whereas they were rare in hereditary types of SCD.

Intraocular instillation of drugs were performed in the patients with Horner’s syndrome and its

localization was diagnosed in the sympathetic neurons. There were no patients who had

supersensitivity with epinephrine. The results suggested that the responsible lesions were located in

the central or preganglionic neurons、

緒 言

脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration

以下SCD)は原因不明の徐・々に進行する神経変性

疾患で,小脳失調,錐体路,錐体外路障害の他に,

起立性低血圧,排尿障害,直腸障害,陰萎,発汗

障害,瞳孔異常,睡眠呼吸障害などの多彩な自律

神経障害を呈することが知られている1).SCD患

者では,様々な瞳孔異常を呈することは知られて

いるが2)~6),瞳孔異常に注目し多数例で検討した

報告は少ない.本報告では,Shy-Drager症候群

(以下SDS),オリーブ橋小脳萎縮症(olivopontocerebellar atrophy以下OPCA),晩

発性皮質性小脳萎縮症(late cortical cerebellar

atrophy以下LCCA),遺伝歴を有するMenzel

型,Holmes型7)~9)を含むSCD患者80例(Marie

型,Friedreich病は除外した)について各病型の

瞳孔異常について検討した.瞳孔異常の検索は,

SCDにおける自律神経障害の有無の判定,さらに

自律神経系における障害部位判定に有用と考えら

れたので報告する.

対 象

1.患者対象群

対象は1979年から1987年目でに当科外来を受診

もしくは入院したSCD患者80例である.男性50

例,女性30例,年齢は平均52.4歳である.SCDの

内訳はSDS 8例, OPCA 30例, LCCA 19例,

Menzel型13例, Holmes型10例である(表1).病

型診断は,家族歴,現病歴,神経学的所見より行

一1103一

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表1 対象

症例数(男:女)年 齢(平均)

@ 〔歳〕平均罹病期間@ 〔年〕

SDSnPCAkCCAlenzel

golmes

8(8:0)

R0(17:13)

P9(9:10)

P3(10:3)

P0(5:5)

39-71(54±11)

R1-71(52±9)

R1-71(62±10)

R1-59(43±8)

R3-67(52±13)

4.1±2,1

S.6±5.6

T.8±5.6

V.3±4.7

U.2±2.3

計 80(49:31) 31-71(52±10) 5.6±4.9

表2 方法

SDS:Shy・Drager症候群, OPCA:オリーブ橋小脳萎縮

症,LCCA=晩発性皮質小脳変性症.

い,補助診断としてcomputed tomography

(CT),また一部の症例にはmagnetic resonance

imaging(MRI)による画像診断を用いた.

2.正常対照群

健常者34人(21~64歳,平均34.1±11歳)を対

照とした.

検査方法

1.瞳孔検査

検査は瞳孔径の最も安定している午後2時を開

始時間とした.被検者を41uxの暗所で10分間暗

順応させた後,正面遠方視,対光反射,近見反射,

および点眼負荷における赤外線瞳孔写真の撮影を

行った(表2).点眼薬は5%c㏄aine,1.25%

epinephrine,5%tyramineおよび2.5%mecholy1

を使用し,両眼に2滴ずつ点眼,点眼20分後より

10分間隔で前3者は60分まで,mecholylは40分ま

での瞳孔を撮影した.得られた写真より上裂の幅

1.座位にて41uxの暗所で10分間暗順応

2.赤外線瞳孔写真撮影

1)正面遠方視

2)対光反応

3)近見反応

4)点眼試験:両眼に2滴ずつ点眼し,20,30,

40,50,60分後の写真を撮影

点眼薬:1.25%1-epinephrine

5%tyramine 5 %cocahle

2.5%m㏄holy13.瞳孔横径,眼裂を計測

4.散瞳率計算

散瞳量(点眼前後の瞳孔径の差) 散瞳率(%)= ×100 点眼前の瞳孔径

および瞳孔の横径を比例コンパスを用いて測定し

た.楕円型の瞳孔については長径と短径の平均を

求めた.点眼試験による散瞳率は,点眼前と最大

に反応した瞳孔横径の差を点眼前の瞳孔横径で除

して百分率を求めた10}.

2.判定

正常対照群から得られた数値を基準として散

瞳,縮瞳,瞳孔不同等の異常を判定した(後述).

さらに高眼の眼瞼下垂と縮瞳を認めた症例を

Homer徴候陽性とした(図1).

点眼試験によるHomer徴候の障害部位判定

は,大野らによる交感神経系の障害部位判定法(表

3)11)を一部改変して用いた.

3.瞳孔異常と自律神経障害を,臨床症状よりそ

R「

◎…

’「.1. 61y.♂

「’

L

瑚■隊 定ド 粘

OPCA

.鑛灘き

N,K. 62 y.♂ SDS

図1

R L

㌔の. ♂◎ 喧 F.A. 63 y. ♂ OPCA

騒ぐ 一『験

験圃「.H. 47 y.♂ OPCA

Homer徴候および瞳孔不同の症例左:Homer徴候例,右:瞳孔不同例. SDS:Shy・Drager症候群, OPCA:オリーブ

橋小脳萎縮症.

一1104一

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表3 点眼試験によるHorner症候群の障害部位判 定法(大野らによる方法を一部改変)

Epin]臓) Tyramine@ (5%)

Cocaine@ (5%)

中枢性障害

゚前障害゚後障害

過敏性獲得(一)

゚敏性獲得(+)

゚敏性獲得(昔)

散瞳反応:正常

U瞳反応:正常

U瞳反応:減弱

散瞳反応:減弱

U瞳反応:消失

U瞳反応:消失

判定時間 60分 45分 60分

れそれ著明,軽度,なしの3段階の評価をし,両

者の関連性について検討した.瞳孔異常について

は,主眼の多種の障害,両眼の障害を著明とし,

他の自律神経障害については,多種の障害および

高度な障害(血便失禁,失神を伴う起立性低血圧

など)を著明とした.

4.SCD患者を発症後2年までの症例と,2年

以上の症例に分けて,Horner微候,瞳孔不同,緊

張性瞳孔,epinephrine過敏性,およびmecholyl

過敏性を有する瞳孔等の瞳孔異常の出現率につい

て検討した.

結 果

1.正常対照群と瞳孔異常の基準

34人の健常者の年齢と瞳孔径の関係をグラフに

示す(図2).瞳孔径は年齢と共に小さくなること

を示し,瞳孔径 年齢の相関関係は係数r=一

〇.56で推計学的に有意(p〈0.01)であった.以上

のことをふまえてSCDの患者の平均年齢が52.4

歳であることから推定し,瞳孔の大きさの異常の

基準を瞳孔横径が7mm以上を散瞳,5mm以下を

縮瞳とした.また,対照における瞳孔の左右差は,

0。26±0.17mmであり,左右差の異常の基準を

0.6mm(M十2SD)以上とした.

健常者10人20眼の1.25%epinephrine点眼にお

ける散瞳率は一6.7±5.5%であり,5%(M+2

SD)以上15%未満を過敏性(十),15%(M十4SD)

以上を過敏性(++)とした.また,健常者7人

14眼の2.5%mecholyl点眼における散瞳率は一

7.6±3.4%であり,一15%(M+2SD)以下一21%

以上を過敏性(十),一21%(M十4SD)以下を過敏

性(++)とした.5%cocaine,5%tyramine点

眼による散瞳率は個体差が大きく,Horner徴候

の障害部位判定においては反応の左右差を参考に

pupil size

×10-Lmm

90

80

70

60

⊂) y=一〇.G5 x十9.03

r=一〇,56 O P〈O.OT

o o

:書∴.・・ 。

Q・Q

W ぎ o o Q O

o o

20 30 40 50 60 age

y「s.図2 正常対照群における年齢と瞳孔の大きさ

した.

2.SCD群における瞳孔異常

散瞳は,SDS 1例, OPCA 6例, LCCA 2例,

Menzel型5例, Holmes型3例,合計17例(21.3%)に,縮瞳は,SDS 3例, OPCA 3例,

LCCA 3例, Menzel型1例,計10例(12.5)に認

められ,散瞳はMenzel型, Holmes型に多く認め

られる傾向があった.LCCAにおける縮瞳3例中

2例の年齢は71歳,73歳であった.

瞳孔不同は,SDSで1例, OPCAで6例, LCCA

で3例,Menzel型で1例, Holmes型で1例,計

12例(15%)で認められた.またHorner徴候は,

SDS 4イ列(50%), OPCA 6例(20%), LCCA 3

例(17%),Menzel型2例(17%), Holmes型1

例(10%),計21例(26.3%)で認められ,そのう

ちSDSの3例は交代性Horner徴候を呈していた(表4).

点眼試験では,1.25%epinephrine点眼で53例

106眼中38例に過敏性を認め,2.5%mecholyl点眼

で36例72眼中14眼に過敏性を認めた(表5).

Horner徴候の点眼試験による障害部位判定で

は,中枢性4例,節前性2例,中枢性または節前

性6例,不明が4例で,明らかな節後性と判定さ

れた症例はなかった(表6).

次に,瞳孔の副交感神経系および中脳に関連し

た異常として近見反身,対光反射の障害,さらに

眼球運動の異常について検討した(表7).散瞳を

示した17例のうち3例で2.5%mecholyl点眼にお

いて過敏性縮瞳が認められた.またLCCAの1例

一1105一

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表4 SCD80例における瞳孔異常

SDS OPCA LCCA Menzel Holmes

症例数 8 30 19 13 玉0

縮 瞳 3 3 3 1 0

散 瞳 1 6 2 5 3

Horner徴候 4(50%) 6(20%) 3(17%) 2(17%) 1(10%)

瞳孔不同 1 6 3 1 0

交代性gorner徴候

3 0 0 0 0

緊張性瞳孔 0 0 1 0 0

SDS:Shy-Drager症候群, OPCA:オリーブ橋小脳萎縮

症,LCCA:晩発性皮質小脳変性症.

表5 SCD80例における点眼試験

点眼薬 反応 SDS OPCA LCCA Menzel Holmes

L25%エピネフリン升十 0/8

Q/8

9/44

W/44

5/26

Q/26

1/12

T/12

0/16

U/16

2.5%メコリール 卦十 1/6

P/6

4/26

Q/26

2/14

Q/14

1旭P/14

0/12

O/12

(異常眼数/検査眼数)

表7 散瞳およびメコリール過敏性を有する瞳孔に

おける曙光反応,輻藤,上方注視に関する検討

病 型 症例 年齢 1繍理羅 散瞳対光

ス応輻藤障害 上方注視

@障害

SDS 1 43 十 十 十 十 一

OPCA 2 54一 十 十 一 }

3 55一 十 十 十 一

4 51 十 十 十 一

5 56 十一

一 十 ,

一 皿

6 54一 十 十 } 一

7 31一 十 十 一 十

8 00一

十 十 一 一

LCCA 9 63 十 一 十 } 一

10 60 升 十 一 一 一

11 46一 十 十 一 十

Menzel 12 59 十 一 十 十

13 33 ? 十 十 一 一

14 42一 十 十 一 一

15 46一 十 一 十 十

16 36一 十 十 一

17 40 ? 十 十 十 一

Holmes 18 33一 十 十 十

19 40一 ± 十 十 一

20 64 ? ± 十 一 一

+:あり,一:なし,?:不明。

表6 Horner症候群の障害部位判定結果

節前性中枢性 または 節前性 節後性 不 明 計

中枢性

SDS 1 2 1 0 0 4

OPCA 1 2 0 0 3 6

LCCA 1 1 0 0 1 3

Menzel 0 1 1 0 0 2

Holmes 1 0 0 0 0 1

計 4 6 2 0 4 16

(No.10)では,寂光反射は遅延し,総見反射は正

常であるlight-near dissociationおよび2.5%me-

cholyl点眼において過敏性縮瞳が認められ,緊張

性瞳孔と診断した(症例2として後述).

3.他の自律神経症状との関連

瞳孔異常と他の自律神経症状の評価の結果(表

8)では,両者に統計学的に有意な関連性は認め

られなかった.SDS 8例中膀胱直腸障害8例,起

立性低血圧8例,陰萎7例,瞳孔異常7例であっ

た.OPCA 30例においては,膀胱障害16例,直腸

障害10例,発汗障害8例に対し,瞳孔異常は13例

であった.LCCA13例では1例に起立性低血圧を

認め,4例に瞳孔異常を認めた.

表8 瞳孔異常とその他の自律神経症状の関連

自律神経症状 梓 十 一

瞳孔異常

●●●●● ●■■●● ○○

升 ● ●o

●●●●● ●●●●● ●●OQO十 ●OOOOn

○○○○

●●● ●●●●● ●OOOO一 ●●●QO ○○○○○

OOO OOOO一H一:著明,+:軽度,一:なし.

●Shy-Drager症候群, OPCA,

OLCCA, Menzel型, Holmes型.

4.SCDの病期と瞳孔異常の発現との関連性

瞳孔異常は,SDSでは初期より高率に異常を示

し,OPCA, LCCAでは経過と共に異常の頻度が

高くなる傾向があった(図3).

特徴ある瞳孔異常の症例呈示

症例1 交代性Horner徴候

患者:ES.57歳,男性

診断:Shy-Drager症候群

主訴:起立歩行障害,構音障害,尿失禁

一1106一

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症例数

20

15

10

5

0

(黛)

◎一〇右眼

今一4左眼

ノ\〈_%ノク\h一かρ4」、6

2年2年目2年2年 2年2年 未満以上 未満以上 未満以上

SDS OPCA LCCA

図3 罹病期間による瞳孔異常の出現頻度.斜線部が

異常例

現病歴:昭和50年(50歳)頃より陰萎,そして

52歳より歩行障害,構音障害が出現.昭和53年某

病院受診し,脊髄小脳変性症と診断された.同院

に入院し,TRH(thyrotropin releasing hormone)

による治療を行ったが症状の改善が認められず退

院.昭和55年頃より発汗低下,起立性低血圧が出

現し,さらに嚥下障害,手指の振戦も出現するよ

うになり昭和57年5月,精査目的で当科に入院と

なった.

入院時所見:眼球運動は正常であるが,水平性

注視方向性眼振を認め,瞳孔異常が認められた(後

述).深部反射は両側膝蓋腱反射直進し,病的反射

は上肢で陰性,下肢で陽性であった.感覚系は正

常であった.小脳症状としては,断綴性言語,四

肢の失調を認め独歩は不可能であった.自律神経

系では,交代性Horner徴候,発汗低下,起立性低

血圧(臥位125/80,座位100/70,立位98/70),神

経因性膀胱,陰萎が認められた.

瞳孔所見:対光反射,近見反射は正常であった.

連日にわたる瞳孔撮影より,Homer徴候は2

~3日の日差変動で左右交代が確認され,終夜瞳

孔撮影で瞳孔径の左右交代が明け方5時頃起こる

ことが確認された(図4,5).点眼試験では患側

眼でのcocaineに対する反応減弱, tyramineによ

る散瞳を認め,epinephrineに反応がなかったこ

とより,交感神経節前または中枢性の障害が考え

られた.TRH負荷テストでは,プロラクチンは

15~60分値にかけてやや高値を呈し,TSHが低

値かつ遷延化を示したことより視床下部の障害が

1718192021222324 234567891011(E寺貰1】)

図4 症例1Homer徴候は明け方5時頃に左右交代していることが確認された.

R

1母瓶醤.

9PM.◎ 1輩’

・AM.愈

・AM・

図5 症例1交代性Homer徴候

L

硝嚇

推定された.以上より交代性Horner徴候の障害

部位として,中枢性が考えられた12),

症例2 緊張性瞳孔

患者:M.0.59歳,男性

診断:LCCA

主訴:歩行障害,構音障害

現病歴:昭和43年(49歳)頃より歩行時のふら

つきに気付く.昭和47年より構音障害,49年春よ

り書字障害が出現.某大学病院に入院し小脳萎縮

症と診断された.昭和50年複視および手の振るえ

が出現し,徐々に症状が増悪したため,昭和53年

7月,精査および治療の目的で当科へ入院となっ

た.

入院所見:眼球運動制限はないが,水平性注視

方向性眼振のほか,瞳孔異常が認められた(後述).

深部腱反射,感覚系は正常だった.小脳症状とし

ては断綴言語,四肢の失調,企図振戦,および軽

度の躯幹失調を認めた.瞳孔以外の自律神経系の

異常は認められなかった.

一1107一

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30

点眼前

40分後

R

.顯で

・窄「

蜘『

L

’“

鱒麟

図6 症例22.5%mecholyl点眼において右一66%,左一67%の縮瞳

が認められた.

瞳孔所見:瞳孔は正円で右6.2mm,左7.2mm

の瞳孔不同を認めた.両眼において南光反射は遅

延していたが,近見反射でより強い縮瞳が認めら

れた.2.5%mecholy1点眼では右一66%,左一67%

の強い縮瞳が認められた.以上より本症は両眼の

緊張性瞳孔と考えられた(図6).

考 察

SCD(spinocerebellar degeneration)における

自律神経障害については多くの報告があるが,病

症別の特徴として,SDS(Shy-Drager症候群)で

は初期より起立性低血圧を中心とする多彩な自律

神経症状が,OPCAでは病期の進行に連れてSDS

に比べれば軽度ながら種々の障害が認められ,

LCCAでは一般には自律神経症状が乏しいとさ

れているが,経過と共に自律神経症状を呈すると

の報告もある4).しかし,SCDにおける瞳孔異常に

関しての多数例による研究は十分でなく,また病

理学的検討はほとんどなされていない.今回の研

究では,SCDにおける瞳孔異常を生理学的な面か

ら検討し,その障害部位を推定した.

1.瞳孔検査について

瞳孔の大きさには生理的変動があり,日内変動

の他に年齢,精神状態,疲労,覚醒などの影響を

受ける11)13).また,点眼による薬物の眼球内への浸

透は涙の分泌や角膜の状態などの影響をうける.

さらに瞳孔はある一定の範囲の中で反応するた

め,点眼前の瞳孔径により反応の大きさが異なっ

てくる.瞳孔検査は以上のようなことを十分に留

意した上で施行されなけれぽならない.今回は,

検査開始時刻を瞳孔径が最も安定しているとされ

る午後2時とし,検査中は楽な姿勢で安静が持続

できるように配慮した.

点眼薬は,交感神経作動薬として5%cocaine,

1.25%epinephrine,5%tyramineを使用した.

cocaineは交感神経終末におけるnoradrenarine

のre-uptakeを阻害する結果,散瞳筋を刺激す

る.交感神経系のどこかに障害があれぽneuro・

effector junctionにはnoradrenarineは放出され

ず,cocaineによる散瞳は発現しない.また,

1.25%epinephrineは, neuroeffector junctionセこ

直接作用する.この濃度では正常では反応しない

が,節後性病変が存在する場合には軸索が変性し,

瞳孔筋線維に脱神経が生じるために,脱神経過敏

反応(散瞳)が生じる.節前障害では弱い過敏性

が認められ,中枢障害では認められない.5%

tyramineは,神経終末よりnoradrenarineを放出

させて間接的に作用を発現する.節前,あるいは

中枢に病変が存在しても,節後線維が正常であれ

ぽ正常の反応が認められる.もし節後に障害があ

れば交感神経終末にも変性が起こり,その程度に

応じてnoradrenarineの蓄積も減じるため,散大

効果は不十分となる.副交感神経作動薬としては,

瞳孔括約筋のreceptorに直接作用する2.5%me・

cholylを使用した.この濃度では健常者は縮瞳せ

ず,denervation hypersensitivityが生じると縮瞳

が起こる14)15).

2.SCDにおける瞳孔異常

SCDにおいて様々な瞳孔異常を呈することは

よく知られているが,多数例による検討の報告は

少なく,その方法も報告者により様々である(表

10).平山ら3),北ら4),陸ら5)の報告によれば,三

型別ではSDSで異常を呈することが最も多く,

ついでOPCA, LCCAの順に多く,さらに北らは

SDS, OPCAでは主に交感神経系が, LCCAでは

副交感神経系に限局した障害が認められたと報告

している.またMenzel, Holmes, Marie三等の

遺伝型のSCDに関する報告16)即19)では散瞳傾向が

示唆される.

一1108一

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表9 SCDにおける瞳孔異常の報告

10PCA&LCCA 宇川ら(1984)OPCA 9例 交感神経節後障害

散 瞳

LCCA 2例 散瞳 平山ら(1985)OPCA 24例 瞳孔異常

北照 m鱗総 1筆記灘翫

II SDS

SDS+交代性Horner徴候

平山ら(1985)

陸ら(1985)

IIIその他

山根ら(1971)

前田ら(1984)

福島ら(1985)

磯崎ら(1985)

北 ら(1985)

SDS 13{列

SDS 22例

3{ 匹(33.3%)

4イ 0(44.4%)

2イ U(100%)

7イ列( 29%)

1例( 10%)

2イ “( 20%)

9f列( 90%)

4イ列( 40%)

1{ U(14.3%)

3イ列( 50%)

2イ σ( 33%)

2イ U( 33%)

9例(Furukawa,宇川,古川,倉田, 赤塚,陸ら 6報告)

瞳孔異常 5例(38.5%)

瞳孔不同 4例(18.2%)

Horner徴候 3例(13.6%)

Marie型SCD 5例 瞳孔不同 1例

散 瞳 2例開散麻痺と両側性緊張瞳孔症を合併した脊髄小脳変性症

両側性瞳孔緊張症とDown beat nystagmusを伴ったSCDの1例

Marie型2例(同胞例)で散瞳 副交感神経障害

緊張性瞳孔症を伴うHolmes型2姉妹例

本研究における検討結果では,交感神経系に関

する瞳孔不同,縮瞳,Horner徴候等の瞳孔異常の

出現率は,SDS, OPCA, LCCA,遺伝型のSCD

の順で高く,今までの報告と一致している.SDS

とOPCAを1群とし, LCCA, Menzel型,

Holmes型群と比較すると, SDS, OPCA群で瞳

孔異常の出現が有意に高かった.このことはいわ

ゆるMSA(multiple system atrophy)に包括さ

れるOPCA, SDS群において自律神経障害が多い

傾向があると結論づけられる.Horner徴候の障

害部位としては中枢性,または節前性と考えられ

る症例が大部分であり,明らかな節後性を示した

ものはなかった.

平山ら3)は,SDS 13例中5例に縮瞳,瞳孔不同,

Horner徴候等の異常を認めたとし,北ら4)は

OPCA, LCCA 17例中12例でcocaineに対する反

応低下を認め,また6例はepinephrine点眼で過

敏性を示したとし,節後性を含む交感神経型の障

害を示唆している.Horner徴候については,陸

ら5)は,SDS 22例中3例(14%),北らは, OPCA

10例中1例(10%)で認めたと報告しているが障

害部位についての見解は明かではない.今回の結

果では,今までの報告と比較するとより高率に

Horner徴候を認めているが,これは瞳孔写真を

撮影することにより臨床的には気づきにくい症例

も検討し得たためと考えた.また,SCDにおいて

は,脊髄,小脳にほとんど左右差なく対称性に変

性が生じることを考えれば,両側性の障害も多く

存在すると考えられる.そして,今回,節後性の

障害が認められなかったことは今までの報告と異

な:るが,瞳孔で節後性の異常を示さなかった例に

おいて,アドレナリン静注試験で過敏性を認めた

症例があったことより,瞳孔の節後性線維は他の

節後性線維に比べて障害をうけにくいか,あるい

は本検査では検出しえない潜在性の節後性の障

害が存在する可能性が推察される.また,典型

的な自律神経の節後障害を呈するAIPD(acute

idiopathic pandysautonomia)20)21)と比較したが,

一!109一

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AIPDに認められるような節後障害を示唆する所

見は,SCD,その中でも特に多彩な自律神経障害

を示すとされるSDSにおいても認められなかっ

た.このことはSCDにおける自律神経障害がよ

り高位に存在する可能性を示唆しているものと思

われる.

我々の経験した交代性Horner徴候の3例の障

害部位については,節前性または中枢性が考えら

れ,うち1例(症例1)は内分泌学的検討より障

害部位として視床下部が推察された12).SCDに合

併した交代性Horner徴候の報告22)~25)は8例あ

り,いずれもSDSの症例であった.交代性Hor-

ner症候群の交代の原因については不明の点が多

いが,点眼試験より節前性または中枢性の障害が

考えられている.大部分の報告において,我々の

症例と同様に自律神経系の最も変動の大きい早朝

に左右交代が起こっていることや,交代の周期が

一定していることなどから,サーカディアソリズ

ムと関連があると考えられる.

副交感神経系の異常としては,緊張性瞳孔,

mecholyl点眼における過敏性反応,散瞳等が挙げ

られる.今回の結果では,Menzel型, Holmes型

で散瞳型が多い傾向があり今までの報告と同様で

あった.Mecholylにより過敏性縮瞳を呈した例

は毛様体神経節後性の障害とされているが,過敏

性縮瞳のなかった例については中脳が責任中枢と

される電略反対,意趣反射,および上方注視につ

いて検討したところ,3者とも異常を示したのは

Menzel型, Holmes型のそれぞれ1例ずつであっ

た.この2例については中脳のEW核, AM核を

含む中脳被蓋の障害が推測された.また,中脳背

側の血管障害などによる重症患者で認められる

midbrain corectopia26)も同部の障害で起こると

されているがSCDにおいては認められなかっ

た.これまでには緊張性瞳孔,対光反応異常,近

見反応異常または散瞳を伴った遺伝型のSCDの

報告16)~19)が少数みられるのみであり(表9),その

頻度は散発例の交感神経系の障害に比べて少な

い.散瞳は,遺伝型のSCDで比較的多く報告され

ている.福島ら27)は,両側性の瞳孔緊張症を伴った

SCDにおける短潜時視覚誘発反応から中脳レベ

ルの障害を考えている.本研究においては,LCCA

の1例でlight・near dissociationおよびme-

cholyl点眼による過敏性縮瞳を認め, tonic pupi1

と診断した.北ら4>19)は,LCCAでは副交感神経系

の障害が主であるとし,室頂立を含む小脳核から

の遠心性線維がコリン作動性であることより小脳

変性症と末梢性chorinergic dysautonomiaを関

連づけている.

3.病理学的検討

瞳孔に関する自律神経系の病理学的検討では,

ShyおよびDragerら28)は10H(idiopathic orth-

ostatic hypotension)クこおいて視床下部, EW核,

交感神経節においての神経細胞の変性,脱落を認

めたとしているが,Bannisterら29)はMSA 4例

で視床下部,EW核は正常であり,全例で上部胸

髄のlateral horn cellの脱落を認めたとしてい

る.Shwartz30)は, SDSにおいて星状神経節,脊

髄のlateral horn cell, EW核に異常を認めたと

している.これらの報告では瞳孔に関する記載は

なく,また上頸部リンパ節,毛様体神経節につい

ては明らかにされていない.朝長3Dは,左Horner

徴候を呈したSDSの1剖検例において視床下

部,脊髄中間外側核,星状神経節の著明な変化を

認め,交感神経節は加齢による変化の著しい部位

とされているが,同年齢の対象に比して変化は著

明であったとしている.また大矢ら32)は,交代性

Horner徴候の1剖検例で脊髄中間質外側核に高

度な変化を認めたが交感神経節に変化はなく脊髄

中間質外側核より中枢の障害を考えている.以上,

文献上の病理学的研究においては,交感神経の中

枢性および節前性の異常は裏づけられるが,末梢

自律神経系については十分な記載が少なく,節後

性障害が確認されなかった本研究の結果と併せ興

味ある点である.

藤本ら33)はMarie型SCDの剖検例で視床下

部,動眼神経核の変性を認めたと報告しているが

EW核の病変については記載がない.水谷34)は遺

伝研SCD 4例において胸髄側柱の変化はごく軽

度であり,外皮筋運動核そのものに病変があった

としているが,瞳孔についての記述はなく,EW核

についても明らかにされていない.

一1110一

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4.瞳孔異常と他の自律神経障害

本研究では,両者に有意な関連性は認められな

かったが,宇川ら2)の報告でも両者に相関は認め

られなかったとしている.また,瞳孔異常と他の

自律神経異常の出現頻度に差はないが,障害の種

類の組合せは病例によって様々であり,一定の傾

向はないと考えられる.

5.瞳孔異常と病期との関連

SDSでは初期より高率に異常を示し, OPCA,

LCCAでは2年以上の経過で異常を出現する頻

度が高くなる傾向があり,瞳孔に関する自律神経

系の障害にSCDの病期が関与している可能性が

示唆される.他の自律神経についても同様の傾向

を示していた.北ら4)はOPCAを経過が2年未満,

2年以上の2群に分けて自律神経症状について検

討し,後者で障害がより高度であったとしている.

さらにLCCAでも一部の症例では発症後2~8

年,平均4年半で,排尿障害や起立性低血圧が出

現すると述べている.

以上,SCDの瞳孔異常について赤外線瞳孔写真

を用いる方法により検討してきたが,最近電子瞳

孔計の発達35>により,対光反応,近見反応等の詳細

にわたる観察が可能となってぎており,今後,電

子瞳孔計を用いた検討を加えることにより更にこ

の研究を発展させることができると考える.

結 語

SCD 80例の瞳孔異常を正常対照と比較して検

討した.

1.健常者の瞳孔の大きさは,年齢と共に縮瞳し

(p<0.01),左右差は0.26±0.34mm(平均±2SD)

であった.

2.瞳孔異常はHorner徴候16例,うち交代性

Horner徴候3例,瞳孔不同11例,緊張性瞳孔1例

であり,SDS, OPCAにより多く認められた.

3.瞳孔異常は,SDSでは初期より, OPCA,

LCCAでは経過と共に出現する傾向があった.

4.点眼試験によるHorner徴候の障害部位判

定では,明らかな節後性を示した例はなく中枢性

または節前性が考えられた.

稿を終えるにあたり,御指導,御校閲を賜りました

神経内科主任丸山勝一教授に深謝致します.

また,本研究に御助言を頂きました神経内科竹宮敏

子教授に深謝致します.ま.た,終始御指導をしていた

だきました神経内科小林逸郎助教授,相川隆司講師に

深謝致します.

また,御協力いただきました神経内科学教室の諸先

生方,並びに瞳孔検査等に助力していただきました小

原三千代技師に感謝致します.

文 献

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