次世代自動車軽量化のためのcnf複合材の開発cnf10%...
TRANSCRIPT
令和元年 ~ 3年度 新成長戦略研究
共同研究機関:静岡大学農学部 ふじのくにCNF寄附講座 青木研究室
問い合せ先:富士工業技術支援センター CNF科 TEL 0545-35-5190
工業技術研究所 化学材料科 TEL 054-278-3025
次 世 代 自 動 車 軽 量 化 の た め の C N F 複 合 材 の 開 発
静岡県工業技術研究所 /富士工業技術支援センター
背景・目的背景・目的次世代自動車など自動車部材へのセルロースナノファイバー(CNF)の活用が、軽量化や、環境保全などの観点から世界的に期待されている。しかしながら、地域自動車関連企業のCNF産業への参入に2つの障壁、①CNFの分散に優れた「マスターバッチ」が手に入らない②マスターバッチを入手して試作をしても求める特性が得
られない、があり、産業振興に結び付いていない。そこで、本プロジェクトでは、自動車用部材等の成形に必要なマスターバッチを開発し、県内企業にマスターバッチの提供と製造技術の普及を行うことにより、企業のCNF関連産業への参入を推進する。
結果の概要結果の概要CNFを作る マスターバッチを作る
分散性の評価(マイクロX線CT) 分散性の評価(赤外分光イメージング)
ボールミル装置 前処理のボールミル処理により、パルプの結晶化度が徐々に低下した
二軸混練機
マイクロX線CT
静岡大学が開発した種材(マスターバッチのもと)にPPを混練し、CNFの熱変性を抑制しながらペレットを作製した
PP/CNF12%
押出方向にCNFが配向している様子が観察された
赤外分光分析装置
赤外分光イメージングによりCNFとMAPPの反応を確認
試料間の分散性を数値的に解析
セルロース
MAPP(C=O)
PP/CNF3%
図1 CNFの自動車部材への利用 図2 研究の小課題
20μm
20μm
PPによるMBの希釈混練
令和元年 ~ 3年度 新成長戦略研究
共同研究機関:静岡大学農学部
問い合せ先:富士工業技術支援センター CNF科 TEL 0545-35-5190
次 世 代 自 動 車 軽 量 化 の た め の C N F 複 合 材 の 開 発
静岡県工業技術研究所 /富士工業技術支援センター
背景・目的背景・目的セルロースナノファイバー(CNF)は木材等の植物繊維を微細化した素材であり、樹脂の強化材として使用すると高強度、軽量、低環境負荷など多くの付加価値を付与できることが期待されている。当センターでは令和元年度から県の新成長戦略研究として、従来の素材を代替して軽量化することができるポリプロピレン(PP)/CNF複合材の開発を行っている。CNFを樹脂の強化材として有効に機能させるためには、樹脂中のCNFの分散状態を把握し、適切な対策
をとることが重要となる。今回は、平成30年度当センターに導入したマイクロX線CTによりPP/CNF複合材を測定し、PP中のセルロース繊維の分散状態を確認した事例を紹介する。
結果結果・考察・考察
図3 他手法によるPP/CNF複合材(CNF3%)のCT像
図1 マイクロX線CT外観
方法方法
-マイクロX線CTによるCNF複合材の評価-
測定に使用したマイクロX線CT((株)リガク 高分解能3DX線顕微鏡 nano 3DX)の外観を図1に示す。測定試料は1mm×1mm×3mm程度の角柱状とし、X線源には有
機物の材料の違いを見分けるのに適したCuターゲットを使用した。測定条件の例を以下に示す。
レンズ: 測定視野 0.906mm×0.680mm画素サイズ:0.81μm/voxel撮影枚数: 600枚照射時間: 16sec/枚1試料あたりのCT撮影時間 2時間54分
本研究で作製したPP/CNF複合材をCT測定により3次元観察した画像を図2に、他手法によるPP/CNF複合材のCT像を図3に示す。本研究によるPP/CNF複合材は、他手法に比べてセルロース繊維が良好に分散していることが確認できた。今後は、観察したセルロース繊維を定量し、微細化の程度を評価する手法の検討等を行い、
PP/CNF複合材の開発に活用していく予定である。
図2 作製したPP/CNF複合材(CNF3%)のCT像
100μm 100μm
静岡県工業技術研究所
令和元年度~3年度新成長戦略研究「次世代自動車軽量化のためのCNF複合材の開発」
共同研究機関:静岡大学農学部 他
問合せ先:化学材料科 TEL 054-278-3025
PP/CNFコンポジット試料間のCNF分散性を明確に比較するため、赤外分光イメージングを用いて数値的に評価することを試みた。
CNF分散性評価の手順CNF分散性評価の手順
<事例1>試作マスターバッチ(MB)を用いたPP/CNFコンポジットの比較
P・・・CNFの凝集強い。窓枠サイズの小さい領域で大きなCV値を示した。
S・・・S1→S2→S3と試作を重ねる毎に分散性向上。 S3は分散性が非常に良好。
R・・・MB不使用のため分散性悪い。
CV値が高く、窓枠サイズが小さい領域で他と異なる挙動を示した。
試料間で数値的に比較してみると・・・試料間で数値的に比較してみると・・・<事例2>市販MB(CNF濃度40%)を用いたPP/CNFコンポジットの比較
赤外分光イメージングを用いたCNF分散性の数値的評価
はじめにはじめに
STEP1 測定 STEP2 ピーク解析 → イメージング画像
得られたイメージング画像
16,384点のスペクトルからなる測定領域の各ピクセルにおいてセルロースとPPのピーク面積の比を計算、イメージング画像を得る
STEP3イメージング画像から個々の数値を位置情報とともに抽出
2 3 1 1 1 2 1 33 1 2 1 3 3 3 32 3 1 3 1 2 3 31 1 2 1 2 2 1 32 2 3 2 1 2 3 22 2 2 1 3 2 1 11 2 1 2 1 2 3 32 1 3 1 2 3 3 3
2.003.00
2.50
1.75 1.75 2.50
2.00 2.00 1.75
2.25
1.75
2.00
1.50
1.25 2.25
1.75 2.00
1.75
1.81
2.25
2.19
STEP4 窓枠サイズの異なる平均化フィルタの適用
Window size4×4pixel
Window size8×8pixel
Window size2×2pixel
Window size1pixel
2 3 1 1 1 2 1 33 1 2 1 3 3 3 32 3 1 3 1 2 3 31 1 2 1 2 2 1 32 2 3 2 1 2 3 22 2 2 1 3 2 1 11 2 1 2 1 2 3 32 1 3 1 2 3 3 3
SD,Ave.
1pixel 2×2pixel
3.00
2.50
1.75 1.75 2.50
2.00 2.00 1.75
2.25
1.75
2.00
1.50
1.25 2.25
1.75 2.00
SD,Ave.
4×4pixel
1.75
1.81
2.25
2.19
SD,Ave.
8×8pixel
2.00
SD,Ave.
各窓枠サイズにおいて変動係数CV値を求め、窓枠サイズとCV値との関係をグラフにする。
平均化フィルタの窓枠サイズとCV値との関係
P、S1、S2、S3・・・試作MB使用 R・・・MB不使用
CNF40%→1%の場合
混練時高い剪断力がかかるように、MB希釈倍率・混練温度を調整する。複数回パスと同等の剪断効果が得られる混練機のスクリュ構成とする。
CNF40%→5%の場合
CNF40%→10%の場合
MBを用いたコンポジットの分散性を高めるためには
温度180℃、軸回転数200rpm
CNF10%1回の混練で効率よく良好なCNF分散性が得られる。CNF5%2回混練で10%と同等の分散性が得られる。CNF1%混練パス数を増やしても分散性は改善しない。
㈱エー・アンド・デイ製 万能材料試験機 RTC2410
〇引張試験条件・つかみ具間距離:58mm・試験速度: 2.5mm/min
〇3点曲げ試験条件・支点間距離: 32mm・試験速度:2.5mm/min・圧子半径: 5mm・支持台の半径: 2 mm
静岡県工業技術研究所
令和元年度~ 新成長戦略研究事業
共同研究機関:国立大学法人静岡大学農学部、協力企業:東芝機械(株)
所内連携:富士工業技術支援センターCNF科
問い合せ先:化学材料科 TEL 054-278-3025
マスターバッチを使用したPP/CNF複合材の混練・成形・評価
目的・背景 ①セルロースナノファイバー(CNF)/ポリプロピレン(PP)複合材の作製には、親水性のCNFを疎水
性のPP内に均一に分散させることが必要
②CNF、PP、分散剤を反応させた種材またはマスターバッチと呼ばれるものが流通
検討内容 ①種材と市販マスターバッチをPPに混練する条件が、CNF分散性に与える影響を検討
②種材からPP/CNF複合材ペレットを作成し、試作品を成形して、その強度特性を評価
混練温度 低 → 分散性 良、着色 発生(剪断発熱のためと考えられる) 混練温度:低いCNF分散性:良混練温度:低いCNF分散性:良
混練温度:高いCNF分散性:不良混練温度:高いCNF分散性:不良
(株)井元製作所製 小型射出成形機 IMC-1933
成形条件成形温度 190℃金型温度 80℃射出圧力 約15MPa
成形試験片引張試験:ダンベル形試験片3点曲げ試験:短冊形
▲図 曲げ強さ ▲図 曲げ弾性率
▲写真 作成したPP/CNF(10%)マスターバッチ
結果
①種材(静岡大学製)のマスターバッチ化
②マスターバッチを使用した混練、成形、評価
テクノベル(株)製 二軸押出機 KZW20TW
混練条件:スクリュー回転数 150rpm吐出量 2.9kg/ h温度 160℃
▲図 引張降伏応力
CNF50%種材(粉体)
凍結粉砕PP(粉体)
PP/CNF(10%)マスターバッチ
混練(130~160℃)
今後の課題:①着色を抑制するマスターバッチ混練条件の検討②CNF10%以上における射出成形条件の探索と物性評価
・CNF濃度の増加に伴い、強度、曲げ弾性率が増加 → CNF添加による物理特性の向上
・CNF5%試作品(静大)は、CNF0%(PP単体)より引張降伏応力20%、曲げ強さ22%、曲げ弾性率24%増
CNF5%試作品(静大)は、赤外分光イメージングでCNF分散性がよいこと確認
・静大製の種材を使用したPP/CNF複合材では、CNF濃度10%の試作品の成形不可 → 流動性が悪いため?
PP/CNFマスターバッチ・静大種材使用(CNF10%)・市販品(CNF40%) PP/CNF複合材
(1~10%、ペレット)
PP(ペレット)
混練 評価:強度試験(引張、3点曲げ)
射出成形
試作品(CNF1~10%)ダンベル試験片