鶏貧血ウイルス(cav)に関する最近の知見鶏貧血ウイルス(cav)に関する最近の知見...

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鶏貧血ウイルス(CAV)に関する最近の知見 誌名 誌名 鶏病研究会報 ISSN ISSN 0285709X 巻/号 巻/号 281 掲載ページ 掲載ページ p. 1-11 発行年月 発行年月 1992年3月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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鶏貧血ウイルス(CAV)に関する最近の知見

誌名誌名 鶏病研究会報

ISSNISSN 0285709X

巻/号巻/号 281

掲載ページ掲載ページ p. 1-11

発行年月発行年月 1992年3月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

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〈 解説 〉

鶏貧血ウイルス (CAV)に関する最近の知見

Current status of chicken anemia virus (CA V)

鶏病研究会

鶏病研究会,干151東京都渋谷区代々木 1-37-20,酪農会館内

The Japanese Society on Poultry Diseases.

Rakuno-kaikan, 1-97-20 Y oyogi, Shibuya, Tokyo 151

キーワード:鶏貧血ウイルス (CAV),総説,貧血症,サーコウイルス

はじめに

鶏貧血ウイルス (chikenanemia virus : CA V)は,

1974年に日本の野外の鶏から検出されたウイルスであ

る。 CAVは猪過性で,鶏に容易に感染し伝達が可能で

あったため,分離当初からウイルスの一種と考えられて

いた。しかし,その時点では既知のどのようなウイルス

とも性状が異なり,ウイルスとしての分類上の位置付け

が決定されなかったこと,また,実験的に鶏ヒナに強い

貧血を起こしたことから,鶏貧血因子 (chickenane-

mia agent : CAA)と名付けられ 1979年に報告され

た6へその後,日本1.17,19,23,26, 39,43, 51,60,師 ドイツベス

エーデン11)イギリス10,31)アメリカ 15,25,ω,49) オース

トラリアゅなどで CAVの分離が多数報告された。ま

た抗体検査の結果から,フランス,ニュージーラシト¥

マレイシア,デンマークなどにも CAVの存在が明ら

かにされている9,24,29,78)。

CAVは普通に用いられる鶏の培養細胞系では増殖せ

ず, SPFヒナあるいは特殊な培養系(鶏のリンパ腫由

来樹立細胞株)以外は CAVの増殖や検出に利用でき

ないため65) ウイルス学的A性状の解明はなかなか進まな

かった。しかし,最近になって,詳細な電子顕微鏡学的

研究あるいは核酸の分析などが行われるようになり,

CAVが環状一本鎖 DNAからなる小型ウイルスである

1991年 10月31日受付

この解説は鶏病研究会専門委員会小委員で検討された

ものである。

担当委員:湯浅裏・谷口稔明・大滝与三郎

鶏病研報, 28巻 1号, 1 ~ 11 (1992)

ことが報告され14,55),CA V -Cux 1株遺伝子の全塩基配

列も決定された37)。これらの報告では,いずれもほぼ同

ーの結果が得られており,今までのような CAAと言

う呼び方をやめ, CAVあるいはトリサーコウイルス

(avian circovirus)とするよう提案されている 14,37)。

まだ広く用いられるようにはなっていないが,今後は

CAVと呼ぶ方が適切であろう。

CAVは実験的に鶏ヒナに強い貧血を引き起こす。

CAVによる貧血症の発生は,野外でも多数報告されて

いる。発生鶏群での損耗率はかなり高くなる。また,

CAVの不顕性感染によりブロイラーの生産性が低下す

ると言う報告もあるが35) 実際の発生数や経済的被害が

どの程度かは十分に分かっていない。 CAVに起因する

貧血を Buwwは伝染性貧血8) GOODWIN らはパルボ

ウイルス様ウイルス (PVLV)付随一過性貧血, PVLV

誘発一過性汎血球減少症15)あるいは PVLV感染症16)

また LUCIO ら25)は鶏伝染性貧血などと呼んでいる。し

かし, CAV以外のウイルスによる貧血も考えられるの

で, CAVによることが明らかである貧血症は CAV感

染症と呼ぶ方がよいように恩われる。

CAVは骨髄及びリシパ系組織を傷害するため,免疫

機能に影響を与える可能性が考えられる。 CAVによる

マレック病 (MD)あるいはニューカッスル病 (ND)

ワクチン効果の抑制が報告されているが, CAVの免疫

抑制についてはまだ多くのデータは得られていない。

CAVに対するワクチンを使用し,効果を上げていると

言う報告もあるが59) 広く使用されてはいない。

ここでは, CAVの理化学・血清学的性状,病理学的

変化,疫学,検査法,免疫抑制などに関し解説する。

1 -

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・・・・-

鶏病 研究会報

CAVについてはすでにいくつかの総説があるので札45,

70,71,73, 75,76, 79,剖にできるだけ新しい知見を中心に記載す

るよう努めた。

理化学・血清学的性状

各種理化学的処理の結果は, CAVが耐熱J性で外被膜

を持たない小型ウイルスであることを示している76)

CAVは一般に使用される鶏組織の細胞培養系では増殖

せず, MDやリンパ性白血病リンパ腫から樹立された

培養系でのみ増殖可能である65)。これらの培養系でも増

殖はあまり良くなく,大量のウイルス材料を得ることは

容易でない。また,既知のウイルスとは異なる点が多か

ったため,従来の方法では解析が難しかった。そのため,

ウイルスの分類上最も重要な点となる核酸の種類など,

CAVに関する重要な理化学的性状はなかなか明らかに

されなかった。 GORYOら18)は塩化セシウムによる密度

勾配遠心で, CAVの感染価のピークは浮上密度1.35

~1. 36 g/cm3にあり,その部位に一致して,直径 19.1

::t0.2nmのウイルス粒子を多数観察した。また,最近

GELDERBLOMらドイツの研究者は電子顕微鏡による詳

細なウイルス粒子の形態観察及び核酸型の同定を行っ

た14)。また, TODDらイギリスのグループは,同様に電

子顕微鏡及び電気泳動法による核酸型の決定を行い,ま

た蛋白の分析の結果も報告した55)。これらの結果を表 l

にまとめる。

観察された粒子の大きさ及び浮上密度測定の結果は,

それぞれで若干異なっているが,それは使用ウイルス株,

測定法,染色法の相違などによるもので,基本的には同

じと考えられている。 GELDERBLOMらによると, CAV

粒子は酢酸ウラニル陰性染色による電子顕微鏡観察で,

直径平均 25nm (23~ 28 nm), 7つのリング状構造

(カプソメアに当たり,全体で 32個のカプソメアからな

る)あるいは周囲に 10個の突起を有する車軸状の粒子

として円形あるいは 6角形に観察されている。精製され

たウイルス粒子から抽出された核酸は,電子顕微鏡観察

で2174土147塩基の環状一本鎖 DNAであった。また,

TODDらも電子顕微鏡観察及び電気泳動法で DNAに

関する同様の結果と, CAVが分子量 50,000の一つの

主要ポリペプチドからなることを報告した55)。

さらに最近, NOTEBORNらは 2,319塩基からなる

CAV-Cux 1株 DNAの全塩基配列を決定し,クロー

ニングされた全 DNAを細胞にトランスフェクトする

ことにより,感染性ウイルスの産生を認めた37)。

CAV感染培養細胞 (MDCC-MSBI細胞)の切片を

電子顕微鏡で観察した McNULTYらの報告では34) 感

染細胞の主として核内に,微細頼粒物からなる限界膜を

持たない大小の凝集物(封入体)が観察されている。こ

れらは, しばしば特徴的なリング状構造を示し,金標識

抗 CAVモノクローナル抗体が特異的に吸着された。

また,少数ではあるが,核内にウイルス様粒子の凝集塊

も認められ,大きなものの直径は約 21nmであった。

このウイルス様粒子に標識モノクローナル抗体は反応し

なかったが, CAV関連粒子と考えられている。

環状一本鎖 DNAウイルスは豚同及びボタンイン

コ48)からの分離が報告されているだけの珍しいウイル

スである。しかし,これらのウイルスは, CAVとは粒

子や DNAのサイズ,あるいは構成蛋白に差がみられ

(表1),また,血清学的にも交差せず,粒子の形態にも

差がある57)。これらのウイルスが同一グループのウイル

スかどうかを含め,分類学的位置付けについてはさらに

検討を要しよう。

CAV は小型で、耐熱性のウイルスであることから,分

離当初パルボウイルスに近いウイルスと想像されてい

た。パルボウイルスも一本鎖 DNAウイルスであるが,

表 1 CAV及び類似ウイルスの理化学性状の比較

ウイノレス j 核酸 (kb) 直経 (nm)浮上密度構成

文献(g/cm3

) 蛋白

CAV(TK5803T) K 19. 1士0,2 1. 35-1. 36 GORYO et αl.18)

CAV (Cux-1, TK-5803) 単鎖環状 DNA(2.174) 25(23-28) 1. 36-1. 37 GELDERBLOM et αl.14)

CAV (Cux-1) 単鎖環状 DNA(2.3) 23.5土0,8 1. 33-1. 34 l TODD et αl.55)

CAV (Cux-1)。 26.5土1.2 McNULTY et al,34)

Porcine circovirus 単鎖環状 DNA(1. 7) 17::t1.3 1. 37 1 TrscHER et αl,日)

PBFD virus 単鎖環状 DNA(1. 7-2. 0) 14-16 3 RrTcHE et αl.48)

Parvovirus 単鎖直鎖状 DNA(5) 18-26 1. 39-1. 42 3

PBFD: Psittacine beak and feather dis巴ase.

一 2一

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年1992 第 28巻

CAVに対するモノクローナル抗体の反応性 (McNuLTYetαl.33)) 表 2.

CAV株

88/78/276 (英国)Gifu-1 (日本)CUX-1 (ドイツ)染色ノf

ターンイソタイプ抗体

NT

+++ 十十十

++ +十+

十十+

IFA NT

+++

+

IFA

十十+

+十

+ +

十+十

+十十

+十十

十+十

NTb)

IFAa)

+十十 c)

+++ ++

十十+

++十

+++ +++

1i1i1i寸

i

n

4

9“つυ

IgG 2a IgG 1 IgG 1 IgG2 a IgG 1 IgG2b IgG 1

2A9 4H4

4C9

5H6

5H4

1H1

3B1

a) IFA:間接蛍光抗体法

b)NT:中和試験

c)ー+冊:反応の強さ

未検査

ここでは CAVが何等かの形で貧血の発生に関与した

野外発生例及び実験感染例において認められている病理

変化について記載する。

1) 野外発生例

発生はレイヤー,フ。ロイラーともに認められ,いずれ

も著しい貧血を主徴とし,肉眼的には.骨髄の黄色化・

脂肪化,胸腺及びファブリキウス嚢 (F嚢)の萎縮,

肝臓の黄色化と腫大,骨格筋の出血などが高率に認めら

れる 1,10, 15, 17,19, 23,26, 39,43, 51,74)。このほか,心膜や気嚢の

混濁,肥厚,チーズ様物の付着17) 肺の硬化19) 筋胃の

漬蕩1)翼部や腹部皮膚の出血,水腫,壊死12,15,58)など

も観察されている。

組織検査では,骨髄の低・無形成及び胸腺, F嚢,

牌臓,消化管などのリンパ組織におけるリンパ球の消失

が,我が国1,19,23,43.51)や諸外国主10.12,15)の発生例に共通

して観察されている。このほか,肝臓の巣状壊死,類洞

内の類線維素様血栓,肉芽腫や菌塊の出現を伴う心外膜

炎,気嚢炎円牌臓や腕での菌塊形成,アスペルギルス

病変17) 牌臓の爽組織の変性・壊死1,23,51)などの多種多

様の変化が認められている。これらの変化は,発生例に

よって出現頻度が異なり,その多くは,大腸菌などの細

菌や真菌などの二次感染にも密接に関連しているものと

恩われる。

2) 実験感染例

CAVのヒナに対する病原性は,接種目齢によって異

なり,初生ヒナの感受性が最も高L、17,50,62)。そのため,

ここでは初生ヒナにおける病変を中心に紹介する。

我が国及び欧米諸国の野外例から分離された CAV

を感受性の初生ヒナに接種した場合,いずれも骨髄の造

-3-

DNAは環状構造をとらず,また,その他の性状にも差

があるため, CAVとパルボウイルスは明らかに違う種

類のウイルスと考えられる。米国の GOODWIN ら15)は

CAVを parvovirus-likevirus : PVL Vという呼び

方をしているが,まぎらわしく適当とは思えない。

湯浅らは日本で分離された 11株の CAVは普通の蛍

光抗体法及び中和試験では区別できないことを報告し

た72)。また, MCNULTYらは米国で分離された EF88/

78/276株, ドイツの Cux-1株及び日本の Gifu-1株は

交差中和試験で同じ血清型であることを示し30) CAV

株間で血清学的差は認められていなL、。 McNULTYら

は CAVに対するマウスのモノクローナル抗体を作製

した33)。得られた抗体は間接蛍光抗体法による細胞の染

色パターンから 3つのタイプに分けられた。 7株のモノ

クローナル抗体とドイツ,日本,英国で分離された 3株

の CAVの間接蛍光抗体法及び中和試験による反応性

を表2に示す。これらの抗体の中には,蛍光抗体法及び

中和試験で,鶏の耐過血清と同様に各株共通に反応する

抗体,中和能がない抗体, CAV株により反応性に差が

ある抗体などが含まれている。このように,モノクロー

ナル抗体を用いることにより, CAVの株聞に存在する

若干の抗原性の差が認識される。

病理学的変化

CAVが分離された野外の症例は多数報告されている

(表3)。しかし,貧血を主徴とする疾病には CAV以外

にも多くの原因があり,これらとの鑑別を行う一方で

CAV感染症の定義付けを行っていく必要がある。従っ

て,その発生報告は慎重に判断すべき面がある。しかし,

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鶏病研究会報

世界各国の CAV分離報告表 3

IBH, MD, ND, CRD

貧血

貧血症

MD (実験例)

Anemia

Anemia

Anemia

MD

Hemorrhagic syndrome

再生不良性貧血

再生不良性貧血

CAA感染症

Anemia-derma ti tis

Blue wing disease

CAA infection

MD

Pale bird, Necrotic dermatitis

Blu巴 wing,Anemia dermatitis

Chicken infectious anemla

Runting and stunting syndrome

異常なし

疾病または症状a)

YUASA et αl.62) 1979

柴谷ら5D 1979

池ら23) 1981

BULOwet αl.3) 1983

YUASA et al師 1983

GORYO et αl.17) 1985

GORYO et αl.19) 1987

OTAKI et αl.39) 1987

YUASA et al.74) 1987

天橋らD 1987

渡辺ら印 1987

大滝ら43) 1988

VIELITZ & LANDGRAF58) 1988

ENGSTROMllJ 1988

CHETTLE et αl.10) 1989

ROSENBERGER et al.49) 1989

GOODWIN et αl.15) 1989

2.4%(♀), 20.9%U;)

6%, 149出

596/6376(9.3%)

536/12,000(4.5%)

128/640(20%)

1. 7-7.4%

13%, 11%

1. 3-15. 6%

8.83-34.7%

>8%

7.1%

淘汰率(%)

5-152日

6-9週

12-25日

60, 120日

12-26日

28-70,44-60日

13-24日

3-20日

12-24日

10日 4週

日・週齢

43-77日

28-70日

44-60日

ン-ア

分離国報告者

18日

5% 18日国米1989 McNULTY et al.30)

国米1990 LUCIO et αl.25)

11, 14日国英1990 McNULTY et al.3D

25週オーストラリア

日本

1990 FIRTH & IMAII3)

再生不良性貧血938/13, 500(7%) 2-3週1991 牧井ら26)

めたヒナでは,骨髄は徐々に赤色調を増し,胸腺及び F

嚢も次第に大きさを増す20.53)。

(2) 組織学的変化

組織学的には,肉眼変化ともよく一致して,骨髄と胸

腺を始めとするリンパ組織に変化が認められている20.53.

62)。とりわけ,最も早期に侵される骨髄と胸腺が CAV

による貧血発生のメカニズムを考える上で興味深い。

骨髄・赤血球系,穎粒球系の造血細胞が接種後6日か

ら減少し,マクロファージによる変性造血細胞の貧食が

みられる。 8日には造血組織の低形成が明瞭になり,洞

内には大きく未分化な造血細胞の出現が報告されてい

る20.53)。これらの細胞の核は大きく,大きな明るい核小

体を有している。また,核内には好酸性の封入体が接種

後 6~12 日に観察されている 20)。この封入体は電子顕微

鏡観察で,限界膜を持たず,電子密度の高い,均質な微

細頼粒状物として報告されている21J。これらの細胞や赤

芽球及び多染性赤芽球などの細胞質には,電子密度の高

- 4

a)欧文報告の病名はそのまま記載した。

血組織の低形成及び胸腺などのリンパ性器官のリンパ球

の高度な減少などが共通して観察されている3.10.12,15,17,

18,20-22,25, 31,39, 49,52, 53,62)。骨髄や胸腺には CAV特異抗原

が蛍光抗体法あるいは免疫酵素抗体染色法で観察されて

おり 27) これらの組織が CAVの増殖の場のーっと考

えられる。

(1) 肉眼的変化

CAV接種例に好発する骨髄の退色及び胸腺の萎縮は

接種後 6日頃がら観察され,接種後 10日には,骨髄の

黄色化,胸腺の著しい萎縮,肝臓の退色・腫大がみられ

る。これらの変化は,貧血症状が著しくなる接種後 12

~18 日にはさらに高度となり,骨髄の膝様化, F 嚢の

著しい萎縮,皮下の水腫,腺胃粘膜の出血,筋胃の廃;繍,

肝臓の黄色網状壊死,牌臓や腎臓の退色・腫大,心臓の

球状化などの変化も高率に観察されるようになる20,52,53,

62)。さらに,骨格筋,心筋などの出血も観察されてい

る31,52,62)。しかし,接種後 20日以降の症状が回復し始

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第 28巻 1992 年

い領域及び微小管様構造が観察されており,侵された造 する。この未熟赤血球の減少に先立つて,接種後 4~8

血細胞は,不規則な細胞膜を持ち,空胞及び偽足形成な 日に赤芽球よりも大きい幼若な芽細胞が一過性に増加す

ども報告されている2J)。この時期には,マクロファージ ることが認められている52)。頼粒球系細胞は貧血が激し

に貧食された変性造血細胞の核内に直径 18nmのウイ い 12~16 日に著しく減少している。未熟赤血球及び頼

ルス粒子が認められている 2J)。貧血が激しくなる接種後 粒球系の細胞の比率は, 20日以降の回復例では上昇し

1O~16 日には造血組織はほとんど脂肪組織で置換され, てくる52)。このことは,骨髄洞内の前赤芽球,好塩基性

無形成の像を示している20,53)。この時期に死亡する例で 赤芽球及び洞外の前頼粒芽球が接種後 20日から増加し

は,脂肪細胞の変性,膝様浸潤及び骨髄のリンパ組織か ている所見20)ともよく一致している O

らのリンパ球の消失も観察される20,52)。しかし,接種後 CAVを 7日齢以上のヒナに単独感染させた場合,貧

18日からは,洞の内外に好塩基性の細胞質を持つ赤血 血の発現頻度は著しく低下し,肉眼的にも著しい変化は

球系及び頼粒球系細胞が出現し,骨髄の造血機能は次第 観察されていない17,50,62)。また,組織学的検査において

に修復され, 24日以降では一時的に造血機能の過形成 も, 1~2 週齢ヒナの CAV 接種後 7 及び 14 日の胸腺に

を示した後,骨髄組織は回復する加,53)。 のみ, リンパ球の軽度な減少が認められるにとどまって

胸腺:接種後 4日から皮質リンパ球の散発的な消失が いる。

みられ, 6~8 日には,皮質辺縁部から帯状または島状 (3) 造血細胞障害の機序

にリンパ球の消失と大きな核を持つ細網細胞の出現がみ 以上の病理組織変化から, CAVによって誘発される

られる53)。この細網細胞は核内封入体を入れる腫大した 貧血は骨髄の赤血球系,白血球系及び栓球系のすべての

胸腺芽細胞であると報告されている20)。この細胞には, 造血細胞の変性・壊死などによる造血機能の低下に起因

電子顕微鏡観察で,不規則な核を有し,微細頼粒状また していることを示している。また,病勢の極期は,再生

は均質な物質よりなる封入体が形成され,細胞質には電 不良性貧血あるいは汎血球減少症の像を呈していること

子密度の高い領域,オートファゴゾームなどがみられ, が理解できる。このような細胞の著しい減少は CAV

14~18 nmの大きさのウイルス粒子も観察されている 22)。 が造血細胞を直接の標的としたウイルスであることを示

McNULTY らも金粒子をラベルした抗 CAVモノクロ 唆するように思われるが,まだ明かではない。実験的に

ーナル抗体が特異的に付着する核内封入体及び細胞質の CAVを感染させたヒナでは,そのすべてが致死的経過

微小管を観察しているが,ウイルス粒子は認めなかった をとるものではなく,耐過したヒナでは骨髄の再生像が

と報告している 34)。接種後 12~18 日には,ほとんどの 認められ,貧血は一過性に過ぎないものとみなされる。

リンパ球が皮質及び髄質から消失し,細網細胞と線維細 この回復所見を重視して,本例を一過性の伝染性貧血と

胞により置換される20,52,53)。その後,回復例では,皮質 呼ぶように提案している報告もある 15)。一方,胸腺が他

を中心に幼若なリンパ球の出現がみられ,胸腺組織は再 のリンパ性器官よりも高率にかっ高度に侵される点は大

生修復に向かう 20,53)。 変興味深いが,その原因はまだよく分かっていない。ま

その他の器官 :F嚢,腸管,牌臓などのリンパ組織 た,変性した造血細胞や胸腺芽細胞に認められているウ

におけるリンパ球の著しい減少,牌臓の爽組織の変性・ イルス粒子21,22)が CAVそのものであるのか,封入体

壊死,肝臓の中心性の変性・壊死及び腸管粘膜の出血な とウイルス粒子様のものとの関連, CAVの株による病

どの変化は,貧血症状が著しく,死亡ヒナが多発する接 変形成の差異の有無なども今後明確にじていく必要があ

種後 14~16 日で明瞭に観察される 20, 52 , 53)。 る。

血液及び骨髄塗抹像:血液塗抹検査では,接種後8日

から赤血球の大小不同,核の濃縮,細胞質の暗調化など野外における CAVの伝揺

の変性が目立ち,正常な幼弱ヒナによく認められる多染 世界各国の CAVの分離報告を表 3に,抗体検査の

性赤血球はみられなくなり,接種後1O~16 日には,頼 結果を表4に示す。いずれの成績でも,抗体陽性率は非

粒球,栓球数も激減する 53)。これらの血球は,この時期 常に高く,各国とも CAVが鶏群に広く伝播している

に死亡するヒナではほとんど、皆無に近くなるが, 16日 ことが分かる。抗体陽性率は各成績で若干異なるが,こ

以降の回復例では,末梢血液中に多数の未熟な赤血球及 れは検査した日齢が色々あるためであろう。抗体陽性群

び頼粒球が出現するようになる52)。 は,隔離飼育されている SPF鶏群にも世界各国で認め

骨髄塗抹では,前赤芽球,赤芽球,多染性赤血球など られている。

の未熟赤血球の出現率は,接種後 8~16 日に著しく低下 ブロイラー鶏群を経時的に調べた湯浅の成績による

- 5

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鶏病研究会報

報告者

表 4. 世界各国での CAV抗体調査成績

通常鶏群

検査国名 ド与当占ず、、、、-B白J,

髄ω悦w

J/,

性数

陽群

告次

報年 陽性/検査 陽性/検査陽性/検査

羽数(%) 週齢 群数(%) 羽数(%)週齢

SPF鶏群

YUASA etαl.69)

湯浅80)

BULOW7)

McNULTY et al.29)

湯浅田)

McNULTY et al.28,29)

McNULTY et al. 29•紛

GOODWIN et αl.16)

LUCIO et αl.25)

湯浅田〉

McNULTY et al.29)

湯浅80)

湯浅田)

McNULTY et al.29)

McNULTY et al.29)

CHAI & YUASA9)

JφRGENSEN24)

rnunun白

QdnUAKUQdQununU

ハUQ

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nxunudnxunxUA叫υoxunxunxunudnud

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ハ同υnuunudn同dnudA叫υ

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11

39/40(98) 381/357(94)

20/20(100) 60/146(41)

134/170(79) 14-18

68/95(72)

127/141(90) 466/768(61) 8-65

74/95(78) 12-43

51/52(98) 530/861(62) 1-55

23/29(79)

5/5(100) 14/42(33)

31/43(72) 199/470(43)

2/4(50) 10/49(20)

87/97(90) 861/1161(74) 5-80

2/19(11) 13/170(8)

2/5(40) 12/45(27)

22/114(19) 16-60

10/182(5)

1/4(25)

9/26(35) 31/98(32)

6/8(75) 89/158(56)

5/8(63) 30/68(44)

33/97(34)

6/23(26) 62/189(33)

0/31

5/6(83)

と76) ヒナの移行抗体は 2週齢まで 100%陽性であった。

その後陽性率は低下したが, 8週齢には再び陽性率は

100%になった。 McNULTYら28)の報告もほぼ同様の

成績で, ヒナの移行抗体はおよそ 3週間持続し,その後

8~9 週で抗体は陽転し, 18~24 週齢には大部分の鶏が

抗体を保有していた。このように, CAVは容易に水平

感染し鶏群に伝播する。鶏群が CAVに感染する時期

は群によりまちまちであるが,一般にはかなり早期に感

染する鶏群が多いようである。しかし,産卵開始時期ま

で,抗体陰性のままの種鶏群もある。これらには,飼育

形態が関係すると推察される。

CAVは病原性が明らかなウイルスであるが,抗体陽

性率が非常に高いにもかかわらず,病気の発生はそれほ

ど多くない。これは移行抗体が消失する時期に CAV

に感染してもヒナが発症することはほとんどないため

で, CAV感染は普通不顕性感染で終わると考えられる。

YUASAと YOSHIDAは CAVの介卵感染を実験的

に証明した問。その後, CHETTLEらは, CAVによる

貧血が特定の種鶏由来のヒナにのみ認められたこと,ま

た,ヒナを初生時からアイソレータで飼育したところ 10

日齢頃から貧血が発生したことから,野外例での CAV

の介卵感染を明確に示した10)。また,そのほかの野外発

生例においても,疫学的に介卵感染が示唆される例が報

告されている 26.43,74)0 CAVの水平感染で,鶏が発症に

いたる可能性は少なく, CAVに起因する貧血症は介卵

感染によるものが大部分であろう。

一度汚染された SPF鶏群から CAVをなくするこ

とは大変難しいようである。これは単に CAVが各種

理化学的処理にきわめて耐性であることによるものか,

あるいは CAVの体内での何らかの存続様式に原因し

ているものか,よく分からない点である。

CAVは野外における貧血症の原因の一つになってい

ることが明確に示された。 CAV感染症と同様の臨床病

理所見を呈する病気の発生はかなり以前から知られてい

た。米国では, 1950年代の始め頃から出血性症候群な

どの呼称で多数発生が報告されてきた47)。これらには,

感染性・相惑染↑生のいろいろな原因が考えられてきたが,

明確にはされていない。このように以前からあった出血

性・貧血性疾病に CAVが関係していたかどうかは興

味ある点である。日本では, CAVが最初に分離される

以前の 1965年の血清に抗体陽性例が見いだされている

が78) いつごろから CAVが鶏群に広がり,病気の原

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因となってきたかについては,世界的にも証明されてい

ない。

SPF鶏群でも CAVに汚染されているものがあるこ

と29,78) また CAVは介卵感染することから,鶏用ワ

クチンの CAV汚染の可能性が考えられる。 NICHOLAS

ら38)は MD,ND,伝染性気管支炎,鶏脳脊髄炎及び

伝染性喉頭気管炎のワクチン 10ドーズをそれぞれヒナ

に2回接種後, CAVに対する抗体を調べることにより

ワクチンの CAV汚染を調べた。調べた範囲では,こ

れらワクチンの CAV汚染は証明されなかった。しか

し,ワクチン被造に用いられる SPF鶏群及びワクチン

の CAV検査は CAVによる事故防止のために不可欠

であろう。

CAVの分離と抗原検出法

CAVは鶏腔線維芽細胞,鶏腎細胞あるいは鶏腔肝細

胞など通常の組織培養細胞では増殖しないが, MDリ

ンパ腫由来株化細胞の一つである MDCC-MSB1細胞

でよく増殖し,仇 vitroでの CAVの分離,同定には

この細胞が主に用いられている4,65)。また,感染した細

胞には CAVに特異的な抗体を用いた間接蛍光抗体法

(IFA)により抗原が認められる4,69)0 CAVの同定は,

この納胞系を用い IFAあるいはウイルス中和 (VN)

試験により行う。

McNEILLYら27)は実験感染ヒナの骨髄あるいは胸腺

の塗抹及び凍結切片に蛍光抗体法で CAV特異抗原を

認めた。また,酵素抗体染色法により,胸腺皮質が特異

的に染色されることを示した。しかし,これらが野外材

料の診断に利用できるかどうかは分からない。

CAVの分離は感受性ヒナを用い貧血の発現を指標に

行うこともできる。貧血を指標とした場合,たとえ

CAVが存在しでも,低濃度ではヒナが貧血を示さない

ので感度は悪い32)。しかし,そのような低濃度の CAV

を接種されたヒナでも,抗体は陽転するので,抗体検査

により感度良く検出が可能になる。培養系が必ずしも安

定した系とは言えないので, ヒナの抗体陽転を指標とす

る CAV検出系は望ましい一つの方法であろう 32)。検

査法の詳細は別の解説73)を参照してほしい。

DNAプロープを用いたサザンブロットやドットブロ

ットによる CAA検出法も可能である 38)。これらが利

用できれば,より感度が高く迅速な CAV分離が可能

となろう。

抗体検査法

第 28巻 1992 年

IFAと VN試験が報告されているが4,67,69,72) 最近,

CAV感染細胞より抽出した抗原あるいはモノクローナ

ル抗体をプレートに固相化した酵素抗体法 (ELISA)

も報告された46,56)0 IF A は, VN試験より簡便なことか

ら野外の鶏群の抗体検査によく用いられている7,28,29,刷。

IFAと VN試験の結果はよく一致し,両試験とも特異

性が高いと報告されていた4,28,69)。しかし, Buwwは

IFAは VN試験より感度が低く, しばしば偽陽性また

は偽陰性の反応を示すことを報告している7)0 OTAKI

ら46)は1:10に希釈された一次血清を用いた IFAでは

偽陽性が高率にみられるが, 1: 100に希釈された一次

血清ではそれがほとんどみられないことを確認してい

る。また, CAV感染鶏の抗体を長期間にわたり IFA

と VN試験で検査したところ,感染後期の血清では,

IFAより VN試験の方で検出率が高かった。 McNULTY

らも,一次血清を 1:100あるいは 1:500に高希釈する

ことにより,非特異反応がみられなくなることを報告し

ている加。これらのことから, IFAでは特異性の高い

抗原を作製すること及び高希釈の一次血清を用いること

が重要であると恩われる。

VN試験の方法は一般のウイルス検査法と同じであ

るが,およそ 7回の細胞継代を要するため,最終判定ま

でには長時間かかる4,67,72)。一方,短期間で判定可能な

定性的な中和抗体測定法として,高濃度の CAV(105.5-

106.OTCID5o/O.1 ml)を用いる簡便法も報告されてい

る4,46)。TODDら日)はモノクローナル抗体をプレートに固相

化した後,超遠心法で集めた CAV抗原をそれに吸着

させ,サンドイツチ法による抗体検出 ELISAを開発

した。 OTAKIらは,濃縮された CAV感染 MSB1細

胞から超音波処理により抽出された抗原を固相化した

ELISAを報告した 46)。抗体検出における ELISAと

IFAの結果は,よく一致することが両報告で確認され

ている O 現在, CAV抗体検出法として, IFA, VN試

験及び ELISAの3方法があるが, VN試験が最も感

度が高いようである。従って, IFAあるいは ELISA

で抗体が検出されない場合, VN試験で再試験される

べきであろう。

野外における CAV感染症とその診断

CAV感染症と類似の臨床・病理所見を示す疾病はほ

かにもある47)0 CAVは不顕性感染が多いので,たとえ

CAVが分離されても,その病気が CAV感染症であ

るとは即断できない。表 3に示した CAV分離例の中

CAVの抗体検査法として,細胞の増殖系を用いた にも,貧血とは関係のない症例あるいは健康鶏からも

- 7

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鶏病研究会報

CAVは分離されている。また,貧血と記載されている

ものでも,疫学的観点から CAV感染症とは診断でき

ないものもある。これらのことから, CAV感染症の診

断は,すでに述べてきたような臨床・病理所見, CAV

の分離,抗体検出,発生日齢や病鶏群の由来などの疫学

調査などから総合的になされなければならない。若齢鶏

(主に 6週齢以内}に発生し,特徴的な臨床・病理所見

をもち,病鶏からの CAVの分離頻度が高く,種鶏群

の CAV抗体が陰性であることなどが CAV感染症診

断の要点となる79)。

野外における CAV感染症の臨床・病理所見は実験

例と基本的には変わりなL、。しかし, CAV感染は免疫

抑制の原因にもなるので,野外例では他の病原体の関与

により,実験例とは異なる症状も観察されるであろうか

ら15,58) この点も診断上留意すべきであろう O

免疫抑制

CAVを 1日齢または 7日齢のヒナに非経口的に接種

すると, 12-13日後にそれらの牌リンパ球のフィトへム

アグルチニン (PHA)刺激に対する反応は有意に抑制

されるが, 19日後には認められないこと,さらに 14日

齢ヒナに CAVを接種した場合には PHAに対する反

応性は対照と変わらないことが報告されている4[)。一日

齢に七面鳥ヘルベスウイルス (HVT),7日齢に CAV

を接種されたヒナでは, HVT単独接種ヒナに比較し,

HVTに対する IFA抗体価は 19日齢で有意に低かっ

たが, 21日齢では差がみられなかった41)。これらの結

果は, c昨化後早期の CAV感染が T及び B細胞依存

性免疫応答を一過性ではあるが阻害することを示唆して

いる。

日VTの MD防御能に対する CAVの免疫抑制作用

については実験的によく研究されている。初生時に

HVTで免疫し, 8日齢に MDウイルス (MDV)で攻

撃したヒナでは, CAVが 1-14日齢に感染した場合,

HVTによる MD防御能が明らかに抑制される40,42,77)。

しかしながら, MDV攻撃を 18日齢に行った場合には

CAVが 4日齢に感染しでも, HVTの免疫は抑制され

なかった77)。これらは上述の CAVの免疫抑制の発現

時期とほぼ一致しているようにみえる O

Boxら2)は同一瞬化のブロイラーの種鶏を 2群に分

け,一群は野外で,一群は実験施設内で飼育し, CAV

感染と各種ワクチン接種に対するヒナの抗体応答との関

係を調べた。野外飼育群では CAV抗体は 8週齢です

でに検出されたが,実験施設内飼育群では 22週齢に

CAV抗体の陽転がみられた。伝染性ファブリキウス嚢

- 8

病ウイルス (IBDV)の抗体は,生ワクチンを投与した

8週齢まで両群ともに検出されなかった。このような状

況で, 8または 17週齢に注射された ND不活化ワクチ

ンに対する抗体応答は,実験施設内飼育鶏群に比べ野外

飼育群で明らかに低かった。彼らは CAVの早期感染

が, NDVに対するヒナの免疫応答を抑制していると考

察している。しかし, MDVあるいは細網内皮症ウイ

ルス (REV)などのような免疫抑制作用を示す他のウ

イルスについての検査成績については述べられていな

鶏の封入体肝炎(IBH)はアデノウイルスに起因する

と言われている。しかし,実験的に,アデノウイルスで

典型的な IBHは再現されない場合が多い。また,野外

鶏群の IBHでは, F嚢の萎縮,貧血あるいは出血病変

が伴うことが多く,本病の発生には他の要因がかかわっ

ていると考えられている。 BULOW ら6)は一日齢ヒナに

アデノウイルスと CAVを同時接種することにより野

外例でみられる IBH一再生不良性貧血症候群を再現した。

野外における典型的な IBHの発症には, CAVが関与

しているようである O

野外の CAV感染症には細菌の 2次感染を伴う症例

が多く,それが死亡率上昇の一因となっている 17,19,43)。

これは CAVの免疫抑制作用に起因すると考えられる。

IBDV5,田,臼), MDV2,5,39,42,771あるいは REV5)など

の免疫抑制作用のあるウイルスによる CAVの病原性

増強が報告されている。 IBDVと CAVの感染により,

前述の HVTによる MDVに対する防御効果はより抑

制されることが実験的に明らかにされている44)。強毒

MDVと CAVを同時接種されたヒナではリンパ器官

の萎縮を伴う早期死亡症候群がみられる3,5,39)。これは

MDワクチンフレイクを起こす超強毒 MDVのある株

でみられるものに類似している 6[)。しかし, CAV単独

あるいは CAVと他の病原体との混合感染による免疫

抑制作用あるいは病原性増強現象の実態は十分解明され

ていない。

ワクチン

野外における CAV感染症は, 2週齢頃から死亡する

ヒナが急増し,およそ 4週齢頃には終息する幼雛期のも

のと,おそらくは IBDVなどの免疫抑制作用のあるウ

イルスの感染を基礎として発症する中雛期のものがある

と思われる。幼雛期の CAV感染症の多くは特定の種

鶏由来のコマーシャルヒナでみられる10,26,43,58)。移行抗

体フリーのヒナでも,一般に CAVの同居感染で発症

することはほとんどない32,62)。このことから幼雛期の

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CAV感染症は介卵感染によるものが多いと考えられ

る10,26)0 CAVの移行抗体を保有したヒナは CAVの攻

撃に耐過することが知られている63)。これらのことから,

種鶏は種卵採取までに CAVに対する抗体を保有して

いること,コマーシャルヒナは CAVの移行抗体を保

有していることが望ましい。

西ドイツでは, CAVに対するワクチンが野外で応用

され, CAV感染症の予防に有効であったと報告されて

いる 59)。ワクチンの経済的効果,必要性についてはまだ

評価されるに至っていないが CAV感染症の発生が皆

無ではなく,また,不顕性感染による経済的損失も示唆

されている現状からすると,種鶏をワクチンにより計画

的に免疫することは今後考慮されるべき点であろう。

おわりに

CAVに関する最近の知見について紹介した。最近,

世界各国で CAVに関する研究が行われるようになり,

CAVのウイルス学的性状あるいは CAV感染症の実

態などについて数多くの新しい知見が得られた。特に,

CAVが分類学的に未定のまったく新しい種類のウイル

スである可能性が示唆されていることは大変興味深い。

しかし,まだ分類上の位置付けが決定されたわけではな

く,さらにデータの集積が必要であろう。また, CAV

の標的細胞や病理発生についてもまだ明確にされていな

い。 CAV感染症の経済的被害の実態を明らかにするこ

とや,ワクチンによる予防の可能性も今後の問題となろ

つ。

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