首都大学東京 経済経営学科 森口ゼミ · 商学系経済・経営・...

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学生の 39 経済経営学科 森口ゼミ (分野:経営科学) 首都大学東京 ゼミ・研究室紹介 ゼミには 3 年生で配属される 経済経営学部 (2018 年 4 月再編) 森口 聡子 准教授 東京工業大学大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻博士後期課程修了。 博士(理学)。2013年度より現職。主な研究テーマは、「離散凸最適化に関す るアルゴリズムの構築とその応用」など。 指導教員 ならグラフを描いて理解できるが、現実の 問題では問題の大きさ、つまり変数の数や データの量が膨大になりコンピュータを使 わないと計算できない。そのためプログラ ミングの知識や専門ソフトウェアの使い方 を習得しなければいけないのがこのゼミの 特徴だという。 その一方で、森口先生は「数学やコン ピュータはあくまでもツール。大事なのは それらを用いてどんな問題を解きたいか、 何ができるのかという独自の着眼点を磨く こと」だと話す。 「2016 年にはある学生が数理計画法を 適用したアルゴリズム作曲に関する卒業研 究に取り組み、学会で発表を行いました。 経営学系の卒論としてはちょっと異端です が、守備範囲、応用先の広さがORの特徴 です。幅広い学びは、複合境界領域の学問 の特徴であり強みであると言えます。なの で学生たちにも広い視野と深い探究心で、 まずは自分が好きなことや面白いと思った 研究の 主点 大事なのは独自の 着眼点を磨くこと ゼミ紹介のときに「オペレーションズ・リ サーチは野球などのスポーツにおける戦略を 考える際にも用いられている」という話を聞 いて、なんだか面白そうな学問だなと思った のが、森口ゼミに入ろうと思ったきっかけで す。現在は、 「家電量販店のシフトスケジュー ルを最適化する」というテーマで卒業研究に 取り組んでいます。自分も働いていたことが あるのですが、家電量販店はアルバイトの数 が多く、しかも担当がかなり細分化されてい るので毎回シフトを組むのがとても面倒なん です。それでもっと簡単にシフトを組めるソ フトを自分で開発できたらいいなと思って取 り組み始めました。文系の学部にいながら、 理系的な考え方も身につけられるのが、この ゼミの特徴だと思います。森口先生はいつも、 学生たちの自主性や興味関心を尊重してくれ るので、皆が自由に伸び伸びと研究している のも魅力のひとつ。将来は金融やコンサルタ ントなど、数学の知識を生かせる分野で活躍 したいと思っています。 都市教養学部 都市教養学科 経営学系 経営学コース 4年 志村 達矢さん 千葉県立佐原高校卒 レクチャーと演習を通して、プロ グラミングや数理計画、シミュレー ションに関する専門ソフトウェア のスキルを身につけていく ORは、マーケティングにおいて ネット上の口コミで影響力を持つ インフルエンサーを探す際などに も用いられているという 「数理モデル」を軸として、経営や 公共活動をはじめとする様々な分 野において、最良の策を導く科学 的手法を研究している 社会にある様々な問題を 数理モデルに置き換えて解決に導く 研究 テーマ 数学とコンピュータを使って 最適解を解き明かす 経営科学とは例えば、限られた予算のな かでできるだけ生産効率を上げたいとか、 儲けを最大化したいといった、その昔は多 くの経営者が勘と努力と根性でやっていた ようなことを、数理モデルを使って科学的 に解決しようというもの。そこで用いられ る数学的な技法をオペレーションズ・リ サーチ(OR)といい、そのなかの最適化と いう分野が森口聡子先生の専門だ。何か物 事を計画する際にいくつかの選択肢のなか から最も良い決断を導き出すための方法と いえば分かりやすいだろうか。その応用分 野は医療施設や保育園の設置計画をはじ め、コンビニや宅配便事業者の配送計画と、 多岐にわたっている。 当然、問題を数理モデルに置き換えるに は数学を理解する必要があるので、ゼミで はまず数学を勉強する。最適化という言葉 には耳馴染みがないかもしれないが、高校 の数学でも、例えば 2 次関数の最大値を求 める問題などで実は慣れ親しんでいるも のだ。ただ 2 次元や 3 次元の簡単な関数 ことを大事にしてほしいと考えています。 目の前にある現実問題に役立つ成果を出す ためにがんばるもよし。数学的により美し い解法を追求するのもよし。とにかく好 奇心が旺盛で、研究に夢中になれる人に集 まってもらいたいですね」 ゼミの風景 学部所在地:東京都八王子市南大沢1-1(南大沢キャンパス) 首都大学東京 検索

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栄養系

環境系

総合系

39

経済経営学科 森口ゼミ(分野:経営科学)

首都大学東京

ゼミ・研究室紹介

ゼミには 3年生で配属される

経済経営学部(2018 年 4月再編)

森口 聡子 准教授東京工業大学大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻博士後期課程修了。博士(理学)。2013年度より現職。主な研究テーマは、「離散凸最適化に関するアルゴリズムの構築とその応用」など。

●指導教員

ならグラフを描いて理解できるが、現実の問題では問題の大きさ、つまり変数の数やデータの量が膨大になりコンピュータを使わないと計算できない。そのためプログラミングの知識や専門ソフトウェアの使い方を習得しなければいけないのがこのゼミの特徴だという。

その一方で、森口先生は「数学やコンピュータはあくまでもツール。大事なのはそれらを用いてどんな問題を解きたいか、何ができるのかという独自の着眼点を磨くこと」だと話す。「2016 年にはある学生が数理計画法を適用したアルゴリズム作曲に関する卒業研究に取り組み、学会で発表を行いました。経営学系の卒論としてはちょっと異端ですが、守備範囲、応用先の広さがORの特徴です。幅広い学びは、複合境界領域の学問の特徴であり強みであると言えます。なので学生たちにも広い視野と深い探究心で、まずは自分が好きなことや面白いと思った

研究の主点

大事なのは独自の着眼点を磨くこと

ゼミ紹介のときに「オペレーションズ・リサーチは野球などのスポーツにおける戦略を考える際にも用いられている」という話を聞いて、なんだか面白そうな学問だなと思ったのが、森口ゼミに入ろうと思ったきっかけです。現在は、「家電量販店のシフトスケジュールを最適化する」というテーマで卒業研究に取り組んでいます。自分も働いていたことがあるのですが、家電量販店はアルバイトの数が多く、しかも担当がかなり細分化されているので毎回シフトを組むのがとても面倒なんです。それでもっと簡単にシフトを組めるソフトを自分で開発できたらいいなと思って取り組み始めました。文系の学部にいながら、理系的な考え方も身につけられるのが、このゼミの特徴だと思います。森口先生はいつも、学生たちの自主性や興味関心を尊重してくれるので、皆が自由に伸び伸びと研究しているのも魅力のひとつ。将来は金融やコンサルタントなど、数学の知識を生かせる分野で活躍したいと思っています。

都市教養学部 都市教養学科経営学系 経営学コース 4年

志村 達矢さん千葉県立佐原高校卒

レクチャーと演習を通して、プログラミングや数理計画、シミュレーションに関する専門ソフトウェアのスキルを身につけていく

OR は、マーケティングにおいてネット上の口コミで影響力を持つインフルエンサーを探す際などにも用いられているという

「数理モデル」を軸として、経営や公共活動をはじめとする様々な分野において、最良の策を導く科学的手法を研究している

社会にある様々な問題を数理モデルに置き換えて解決に導く

研究テーマ

数学とコンピュータを使って最適解を解き明かす

経営科学とは例えば、限られた予算のなかでできるだけ生産効率を上げたいとか、儲けを最大化したいといった、その昔は多くの経営者が勘と努力と根性でやっていたようなことを、数理モデルを使って科学的に解決しようというもの。そこで用いられる数学的な技法をオペレーションズ・リサーチ(OR)といい、そのなかの最適化という分野が森口聡子先生の専門だ。何か物事を計画する際にいくつかの選択肢のなかから最も良い決断を導き出すための方法といえば分かりやすいだろうか。その応用分野は医療施設や保育園の設置計画をはじめ、コンビニや宅配便事業者の配送計画と、多岐にわたっている。当然、問題を数理モデルに置き換えるに

は数学を理解する必要があるので、ゼミではまず数学を勉強する。最適化という言葉には耳馴染みがないかもしれないが、高校の数学でも、例えば 2次関数の最大値を求める問題などで実は慣れ親しんでいるものだ。ただ 2次元や 3次元の簡単な関数

ことを大事にしてほしいと考えています。目の前にある現実問題に役立つ成果を出すためにがんばるもよし。数学的により美しい解法を追求するのもよし。とにかく好奇心が旺盛で、研究に夢中になれる人に集まってもらいたいですね」

ゼミの風景

■学部所在地:東京都八王子市南大沢1-1(南大沢キャンパス) 首都大学東京 検索