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新首長下でのカタールの石油・天然ガス開発の現況と展望

2013年11月28日

調査部

濱田 秀明

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日本にとってのカタールの位置づけ

・原油・ガス共に埋蔵量、生産量は世界有数。

・世界最大LNG輸出国。日本にとっても、最大のLNG供給国の一つ。供給余力による高いフレキシビリティ。

・カントリーリスク低い。（内政安定）

・外資誘致にも積極的。

(日系企業も権益保有)

・予定される大型プロジェクト。

「国旗」：国営

の機関・プロジェクトにも国旗の色は度々使用されている。

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日本の国別原油輸入実績

クウェート7.4％

カタール13.2％

その他8.4％

ロシア6.3％

サウジ31.4％

UAE22.3％

「2013年1～9月 100％」

イラン5.2％

アジア5.8％

国名数量

割合

千ｂ/ｄ

サウジ 1132 31.4%

UAE 805 22.3%

カタール 478 13.2%

クウェート 266 7.4%

ロシア 228 6.3%

イラン 189 5.2%

アジア 210 5.8%

その他 302 8.4%

合計 3610 100.0%

出典：通関統計

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日本のLNG輸入実績

オーストラリア

カタール

マレーシア

ロシア

インドネシア

UAE

ブルネイ

オマーン

ナイジェリア

赤道ギニア

その他

国 名 数 量 シェア

オーストラリア 13.3  20.5%カタール 12.0  18.5%マレーシア 11.1  17.2%ロシア 6.4  9.9%インドネシア 4.4  6.8%UAE 4.3  6.6%ブルネイ 3.9  6.1%オマーン 3.0  4.6%ナイジェリア 2.8  4.3%赤道ギニア 1.7  2.6%その他 1.9  2.9%

合計 64.7  100.0%

単位：百万トン

「2013年1月～9月」出典：通関統計

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(参考)韓国のカタールLNG輸入実績

カタール

インドネシア

オマーン

マレーシア

イエメン

ナイジェリア

ロシア

その他アジア

アフリカ

欧州

単位：百万トン

国 名 数 量 シェア

カタール 10.2  34.6%インドネシア 4.2  14.3%オマーン 3.3  11.2%マレーシア 2.9  9.7%イエメン 2.7  9.2%ナイジェリア 1.9  6.6%ロシア 1.2  4.1%その他アジア 1.2  4.2%

アフリカ 1.1  3.9%欧州 0.7  2.2%

0.0%

合計 29.5  100.0%出典：韓国貿易統計

「2013年1月～9月」

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カタールのLNG輸出先

日本

インド

韓国

英国

台湾

中国

イタリア

ベルギー

スペイン

米大陸

中東他

単位：百万トン

国 名 数 量 割 合

日本 15.8 20.2%

インド 11.9 15.3%

韓国 10.5 13.5%

英国 9.9 12.6%

台湾 5.9 7.5%

中国 5.0 6.5%

イタリア 4.3 5.5%

ベルギー 3.3 4.3%

スペイン 3.2 4.1%

米大陸 3.6 4.6%

中東他 4.7 6.0%

合 計 78.1 100.0%

2012年1月～12月

Source: BP Statistical June 2013

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原油・天然ガスの埋蔵量及び生産量

世界ランク可採年数

確認埋蔵量 原油 239億バレル 第13位 33.2年

天然ガス 885.1Tcf 第3位 100年以上

生産量 原油 196.6万バレル/日 第13位

天然ガス 1570億m3/年 第4位

出典：BP Statistical Review of World Energy June 2013、原油生産量はコンデンセート含む）

・カタールは原油の埋蔵量/生産量も、世界上位にあ

るが、天然ガス埋蔵量は世界第3位、生産量は第4位。

・日本にとっては、LNGを最も安定して長期的に供給

できる国としての存在感。

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カタールの天然ガス埋蔵量と生産量

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100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

単位：Tcf

2000        2004 2008          2012

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

単位：Bcm

2000                              2004 2008          2012

埋蔵量 生産量

出典：BP統計

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カタール石油（Qatar Petroleum：QP)

●Dr.ムハンマド ビン・サーリハ アッ・サーダエネルギー工業大臣、QP総裁& Managing Director

（2011年2月14日就任）

・ハマド ラーシド アル・ムハンナディQP副総裁、RasGas Managing Director

・ファハド ハマド アル・ムハンナディQP理事、カタール電力水会社(QEWC)GM

・ナーセル ハリール アッジャイダQP理事、QPインターナショナルCEO

・サード シャリーダ アル・カアビーQP理事、原油・ガス事業担当

・ハリーファ アブドッラー アッ・スウェイディQP理事、Managing Director, Qatar Fertiliser Company (QAFCO)

・イーサー ヒラール アル・クワリー(技師) QP理事、カタール水・電気公社 (Kahramaa)会長

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QPの事業領域

●石油・天然ガス開発・陸上、洋上の油ガス田・ノースフィールド(AKG、Barzan Gas Project、ドルフィンプロジェクト)・Halul 島出荷基地

●LNG輸出・Qatar Gas Operationg Company Ltd.：カタールガス1,2,3,4。・RasGas Company Limited：RasGas1,2,3。 Barzan Gas社。

●NGLおよび国内ガス・QP Gas Operations

●精製・製油所(Laffan製油所。)・GTL：Oryx GTL、Pearl GTL

●石油化学・ＱＡＦＣＯ、ＱＡＰＣＯ、ＱＡＦＡＣ、ＱＶＣ、Q-Chem、RLOC

●その他・産業都市(Mesaieed、Ras Laffan)・鉄鋼、プラスチック、アルミニュウム、海外でのプロジェクト投資など

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カタールの油・ガス田分布

洋上油・ガス田

陸上油・ガス田

出典：各種資料を基にJOGMEC作成

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ノースフィールドについて

発見：1971年(シェル）埋蔵量：約900兆立方フィート構造：イラン海域のサウス・

パールス・ガス田と地質的に同一。

生産： 85％は天然ガス。残りはコンデンセート、LPG、エタン、硫黄、ヘリウムなど。

総面積：合計約1万㎢

出典：各種資料を基にJOGMEC作成

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ノースフィールドの大きさ

身近な比較例として関東と、面積、人口を比較。

カタール人の自国およびノースフィールドに対する意識を探り、開発の指向を模索する。

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他の石油・ガス田開発

・Dukhan：1939～1940年発見の陸上油田。

・Al Shaheen (Block5)・Al Rayyan：ＱＰ(92.5％)、丸紅(7.5％)

・Al Khalij

・Idd El Shargi North Dome & South Dome・Al Karkara & A‐Structures：QPD(カタール石油開発

/コスモ石油(75%)、双日(25%))・Maydan Mahzan & Bul Hanine

・El Bunduq：合同石油(ＪＸ日鉱日石開発(45％)、コスモ石油(45%)、三井石油開発(10%))

・Block4N：ＱＰ(20％)、Wintershall(60%)、三井物産(20％)。2013年3月、新規ガス田発見。42年ぶり。

・Block A(Pre‐Khuff層)：ＪＸ日鉱日石開発(100％)。2011年5月、探鉱権益取得)

日本企業も複数の開発に参画

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天然ガス開発状況

プロジェクト名 開始年 用途 権益(比率)

Alpha 1991 国内 QP（100％）

カタルガス(上流) 1993 LNGQP(65%)、Total(20%)、エクソンモービル（10％）、丸紅（2.5％）、三井物産（2.5％）

RasGas 1993 LNGQP863%)、エクソンモービル（25％）、伊藤忠（4％）、*KORAS(5%)、LNG Japan(3%)

カタルガス1 1996 LNGQP(65%)、Total(10%)、エクソンモービル（10％）、丸紅（7.5％）、三井物産（7.5％）

Al Khaleej Gas 2000 国内/GTL/LNG エクソンモービル（100％）

RasGas2 2001 LNG QP(.68.83％）、エクソンモービル（29.50％）、CPC(1.67%)

Dolphin Gas 2001パイプライン輸出

ムバダラ（51％）、Oxy(24.50%)、Total(24.50%)

カタルガス2 2002 LNG QP(67.5%)、エクソンモービル（24.15％）、Total(8.35%)

カタルガス3 2003 LNG QP(68.50％）、コノコフィリップ（30％）、三井物産（1.5％）

RasGas3 2003 LNG QP（70％）、シェル（30％）

Pearl GTL 2004 GTL シェル(100％)

カタルガス4 2005 LNG QP(70%)、シェル（30％）

Barzan 2007 国内 QP(90%)、エクソンモービル（10％）

*KORASは、Korea RasGas LNG Ltd.の略。株主構成はKOGAS60%、Samsung10%、Hyundai8%、LG5.6%、Daesung5.4%、Hanhwa3%。

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カタールのLNG生産量

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1000

2000

3000

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5000

6000

7000

8000

9000

カタールガス4(トレイン7)

カタールガス3(トレイン6)

ラスガス3(トレイン6,7)

カタールガス2（トレイン4，5）

ラスガス2(トレイン3,4,5）

ラスガス(トレイン1,2）

カタールガス1(トレイン1,2,3）

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2112

出典：各種資料を基にJOGMEC作成

２０１１年２月に78百万トン/年の生産体制が確立

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カタールのLNG価格について

他国に比べてカタールのLNG価格は必ずしも高いものでは無い。

849

988

853823

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100

200

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500

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700

800

900

1000

1100

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月

$/t 日本（2013年1～9月）LNG輸入価格マレーシア

ブルネイ

インドネシア

カタール

オマーン

アラブ首長国連邦

イエメン

ロシア

トリニダード・トバゴ

ペルー

アルジェリア

エジプト

ナイジェリア

赤道ギニア

オーストラリア

オーストラリア

オマーン

ロシア

赤道ギニアインドネシア

アルジェリア

ペルー

カタール

平均：16.1＄/mmbtuカタール：16.8/mmbtu

出典：通関統計を基にJOGMEC片山作成

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カタールのLNG価格について

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100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

1100

Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep

(参考)韓国1～9月LNG輸入価格（通関統計による）

Algeria

Australia

Belgium

Brunei Darussalam

Egypt

Equatorial Guinea

Indonesia

Malaysia

Nigeria

Norway

Oman

Panama

Peru

Qatar

Russian Federation

Taiwan, Province of China

Trinidad And Tobago

Yemen

Indonesia

Yemen

Russia

Qatar

Brunei

Australia

Malaysia

T & T

Oman

Nigeria

出典：通関統計を基にJOGMEC片山作成

平均：14.9＄/mmbtuカタール：17.6/mmbtu

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海外でのLNGプロジェクト

国 名 基 地 名 出 資 者 権益比率処理能力

開始年

(万トン/年)

ベルギー Zeebrugge FluxysRasGas（QP、エクソンモービル）として使用権を保有

660 1987

イタリア

Isola Di Porto Levante, Adriatic LNG/ Offshore (GBS)

Terminale GNL AdriaticoSri

エクソン70.7％QP22%Edison7.3%

590 2009

イギリスSouth Hook LNG Milford Haven、Whales

South Hook LNG Terminal Co., Ltd.

QP 67.5%エクソン24.15％Total8.35%

1550 2009

アメリカ

Golden Pass LNG Sabine, TX

フェーズ1Golden Pass LNG LLC

QP70%エクソンモービル17.6％コノコフィリップス12.4％

750 2011

同 フェーズ２ 同 上 同 上 810 2011

上記受入基地に併設の液化基地

Golden Pass ProductsQP 70%エクソンモービル30％

1560 2018

QPが出資または使用権を保有する受入基地

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計画中の大規模開発プロジェクト

・大型のプロジェクトとインフラへの巨額投資により、急激な経済成長が見込まれている。これらの財源は石油・ガスの輸出。

・競技場（FIFA World Cup2022)と関連インフラ(9面。700億ドル)・都市鉄道計画(300億ドル)・新ハマド国際空港(一部開港部分含め155億ドル)・バハレーンとの海上架橋(40億ドル)・新都市開発(Barwa City、Lusail複合施設、Musheireb首都再開発。美術館)

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タミーム新首長

新首相

新首長

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新首長就任後、最近までの動き

＜新政権での動き＞・内閣改造。但し、エネルギー工業大臣など4人は留任。

新首相：アブドッラー ビン・ナーセル アーリー・サーニー殿下

・サウジアラビアを始め、GCC諸国訪問。‐関係強化‐・エジプトへの支援。・アフガニスタン、シリア情勢での微修正。

＜懸念事項＞・FIFA World Cup 2022の開催

FIFAはスケジュール変更に理解を示す。イギリスは変更反対。

・外国人労働者問題国連査察団を受入れ。

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カタールの今後の展望

・原油・ガス共に埋蔵量、生産量は世界有数。・原油・LNG共に日本にとって最重要な供給元の一つ。・カントリーリスク低い。（内政面の安定。）

・先端技術、外資誘致に極めて積極的（日系企業も複数進出）

・大型インフラ/都市開発プロジェクト・新規ガス田発見(2013年3月)/新規探鉱鉱区取得(2011年5月)

・ノースフィールドのモラトリアム期限(2015年)、LNG長期契約期限(2021年など)への準備。

・カタール側も日本への新たな投資先を模索。・日本は産業協力に加えて、人材交流など、幅広い関係の

構築が必要。

24

ご清聴ありがとうございました。

25

近代建築プロジェクト例イマーム ムハンマド ビン・アブドルワッハーブ モスク

26

都市開発プロジェクト例

国家モスク内部

27

都市開発プロジェクト例（The Pearl）

28

都市開発プロジェクト例(The Pearl)（共同事業相手の社会状況を知るために）