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JPEC レポート 1 平成 26 3 19 LNG 大国 カタールのエネルギー産業 米国 DOE・エネルギー情報局( EIA)のレ ポートを主なベースとして、世界最大の LNG 輸出国となっているカタールのエネルギー産 業について紹介する。 1. カタールの位置 カタールはアラビア半島東部のペルシア湾 に突き出たカタール半島のほぼ全域(図 1 照)を領土としている。国土の大部分は砂漠 であるが、西部には標高の低い石灰岩山地が存在している。サウジアラビアとアラブ首長 国連邦( UAE)に接し、海を隔ててバーレーン(島国)に隣接している。 1 カタールの概略地図 2013年度 35 1. カタールの位置.................................... 1 2. カタールの主な一般情報................... 2 3. カタールの主なエネルギー情報..... 3 4. カタールのエネルギー事情.............. 4 4.1. 炭化水素資源全般 ......................... 4 4.2. 石油................................................... 4 4.3. 天然ガス.......................................... 9 4.4. Gas-to-Liquids GTL.............. 14

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平成26年3月19日

LNG 大国 カタールのエネルギー産業

米国DOE・エネルギー情報局(EIA)のレ

ポートを主なベースとして、世界最大のLNG

輸出国となっているカタールのエネルギー産

業について紹介する。

1. カタールの位置

カタールはアラビア半島東部のペルシア湾

に突き出たカタール半島のほぼ全域(図1参

照)を領土としている。国土の大部分は砂漠

であるが、西部には標高の低い石灰岩山地が存在している。サウジアラビアとアラブ首長

国連邦(UAE)に接し、海を隔ててバーレーン(島国)に隣接している。

図1 カタールの概略地図

JJJPPPEEECCC レレレポポポーーートトト 2013年度 第第 3355 回回

1. カタールの位置 .................................... 1

2. カタールの主な一般情報 ................... 2

3. カタールの主なエネルギー情報 ..... 3

4. カタールのエネルギー事情 .............. 4

4.1. 炭化水素資源全般 ......................... 4

4.2. 石油 ................................................... 4

4.3. 天然ガス .......................................... 9

4.4. Gas-to-Liquids(GTL) .............. 14

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2. カタールの主な一般情報(表1参照)

表 1 カタールの主な一般情報

正式国名及び国旗

カタール国

独立年 1971年 英国から独立

政体 首長制

歴代、カタール土着の部族であるサーニー家が首

長のポストを独占している。現在の首長は2013年6 月に就任したタミーム・ビン・ハマド・アール

=サーニー (Tamim Bin Hamad Al-Thani)

首都 ドーハ

人口 202万人 (2013年/カタール統計庁)

公用語 アラビア語

通貨 カタール リヤル (QAR)

名目GDP 1,915億ドル (2013年/IMF予測)

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3. カタールの主なエネルギー情報(表2参照)

表2 カタールの主なエネルギー情報

石 油 輸 出 国 機 構

(OPEC) ○(加盟)

石油確認埋蔵量 252億バレル (世界第13位)

石油の輸出入 純輸出国

原油精製能力 33.9万BPD

製油所数 2

ガス輸出国フォーラ

ム(GECF) [注] ○(加盟)

天然ガス確認埋蔵量 25兆億m3 (世界第3位)

天然ガスの輸出入 純輸出国

天然ガス(ガス+LNG)の輸出量はロシアに次ぎ

世界第2位、LNGの輸出量は世界第1位。

特記事項 天然ガスを低硫黄ディーゼルやナフサなどの液体

燃料に変換するGas-to-Liquids(GTL)技術を用い

て、GTL製品の商業生産を行っている。

[注] 世界の主な天然ガス生産国が集まり、カタールのドーハに本部を置く国際政府機関としてガス輸出国フォーラム(GECF)が発足した。加盟国間の協力レベルを上げ強調を強くすることが目的となっている。メンバーとして、アルジェリア、ボリビア、エジプト、赤道ギニア、イラン、リビア、ナイジェリア、オマーン、カタール、ロシア、トリニダード ドバゴ、アラブ首長国連邦、ベネズエラの 13 ヵ国。オブザーバーとして、カザフスタン、イラク、オランダ、ノルウェーの4ヵ国が参加している。

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4. カタールのエネルギー事情

4.1. 炭化水素資源全般

カタールの経済は炭化水素資源に大きく依存している。カタール国立銀行は炭化水素分

野からの収入が過去5回の会計年度の政府歳入の60%を占め、2012年の国民総生産(GDP)

の 57.8%を占めたと報告している。カタールは人口が少なく且つ、国産エネルギー資源が

豊富なためエネルギー必要量を完全に自給自足している。同国の石油と天然ガス分野の上

流および下流部門の全てをカタール国営石油(QP)がコントロールしている。

4.2. 石油

4.2.1. 石油の確認埋蔵量 2014年1月時点のカタールの石油確認埋蔵量は252億バレルで、中東ではアラブ首長国

連邦に次ぎ第6位(図2参照)・世界では第13位にランクされている。

図2 中東諸国の石油確認埋蔵量 (2014年1月時点)

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4.2.2. 石油の生産 カタールは石油輸出国機構(OPEC)のメンバーであるが、加盟12ヵ国のうち最下位の

エクアドルに次ぎ2番目に原油生産量の少ない国である。(図3参照)

図3 OPEC加盟諸国の原油生産量 (2013年)

2012 年にカタールの非原油液体燃料の生産量が初めて原油の生産量を上回った。2013

年には約160万BPDの液体燃料(原油、コンデンセート、天然ガス液:NGL、Gas-to-Liquids:

GTL)を生産(図4参照)した。そのうち原油は73万BPDで、残りの87万BPDは非原

油液体燃料であった。近年の非原油液体燃料生産量の伸びはコンデンセートや天然ガス液

を副生する天然ガス生産の堅調さに由来している。それ故、カタールの天然ガス生産の高

レベルが継続すると予想され、非原油液体燃料の生産量も高止まりするであろう。

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図4 カタールの石油生産量と消費量 (2003~2012年)

3大油田(Al Shaheen、Dukhan、Idd al Shargi)の産油量がカタールの原油生産量合計の

85%超を占めている(表3参照)。カタール国内での石油探査は進行中である。同時に、い

くつかの既存油田(Al Shaheen、Dukhan、Bu Hanine、Maydan、Mahzam)では石油増進回

収(EOR)技術を使っており、近い将来産油量が増えそうである。カタール国立銀行はカ

タールの原油生産レベルが2017年までに80万BPDに達することを期待している。一方、

カタール国営石油(QP)の66億ドルの原油開発プロジェクト(2010~2014年)が継続す

るとしても、以前の政府の原油生産目標120万BPDが達成できるとは思えない。

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表 3 カタールの主な油田の産油能力 (2013年) Field Capacity

(thousand barrels per day)

Primary operator Comments

Al Shaheen 300 Maersk Maersk began work on $2.5 billion drilling program in 2013 to maintain output at 300,000 bbl/d

Dukhan 225 Qatar Petroleum ExxonMobil-led development plan likely to conclude in 2014

Idd al-Shargi 100 Occidental Occidental Petroleum investing $3 billion to maintain production of 100,000 bbl/d through use of enhanced oil recovery techniques

Bul Hanine 45 Qatar Petroleum Total to invest $6 billion to double capacity to 90,000 bbl/d by 2017

Maydan Mahzam

22 Qatar Petroleum --

Al-Kahaleej 19 Total -- Al Rayyan 8 Occidental -- Al-Karkara 7 Qatar Petroleum

Development Company

--

El-Bunduq 6.5 Bunduq Oil Company

Operated jointly with United Arab Emirates

total 732.5 Note: These totals may not reflect non-crude liquids production capacity for these fields. Source: Middle East Economic Survey, U.S. Energy Information Administration

ここ数年間の天然ガス生産量の増加の結果として、非原油液体燃料(コンデンセート、

NGL、NGL)の生産量が顕著に増加してきた。この傾向は短期的および中期的に継続する

と思われる。カタールの政府高官はコンデンセートの生産量が2015年までに80万BPDを

超え、2016年までに約100万BPDに達すると表明している。2013年8月、カタール国立

銀行はカタールが220億バレル以上のコンデンセートを埋蔵しているが、これらのコンデ

ンセートがどのような経済的および技術的条件のもとで採掘可能となるかは未だ明確にな

っていないと報告した。

4.2.3. 石油の消費 カタールの石油消費量に関しては、2003 年に 7.2 万BPD であったものが、2012 年には

19.0万BPDと増加している。

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4.2.4. 石油の輸出入 カタールは原油と石油製品の大部分を輸出している。同国は少しの原油も輸入していな

いが、時折り石油製品を少量輸入している。

カタールは3種類の原油(Qatar Land 、Qatar Marine 、Al Shaheen)をもっている。Qatar

Land原油とQatar Marine原油は軽質で、Al Shaheen原油は僅かに重質である。Qatar Marine

原油とAl Shaheen原油は硫黄分が多く、Qatar Land原油の硫黄分はそれらより僅かに少な

い。

カタール国営石油(QP)は海洋油田から採掘した原油を輸出用に前処理するため、海中

パイプライン網を通してHalul Islandの処理施設へ送っている。前処理された原油は3大輸

出ターミナル(Umm Said 、Halul Island 、Ras Laffan)から輸出されている。2013年発行

のOPECの統計資料によれば、カタールは2012年に原油を58.8万BPD、石油製品を46.5

万 BPD 輸出した。原油のほぼ全量はアジア市場向けに輸出された一方、石油製品の 86%

はアジア諸国へ輸出され、そのうちの60%超は日本向けであった。

図5 カタールの原油輸出量 (1986~2013年)

4.2.5. 製油所 カタールには 2 つの製油所がある。1 つは同国南東部沿岸のUmm Said 製油所(20.0 万

BPD)、もう 1 つは北東部沿岸のRas Laffan 製油所(13.9 万BPD)で、両製油所とも輸出

ターミナルの近くに位置している。原油精製能力合計は 33.9 万 BPD で、カタールの国内

需要量を満たすのに十分の能力であり、その余剰能力が石油製品の輸出を可能にしている。

Ras Laffan製油所は2009年9月に稼動開始した原油ではなくコンデンセートを精製する

製油所で、North Field(北部ガス田)のコンデンセート増産に対応するため2016年までに

能力を倍増する計画である。

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4.3. 天然ガス

4.3.1. 天然ガスの確認埋蔵量 2014年1月OGJ発表のカタールの天然ガス確認埋蔵量は25兆m3(885兆 cf)で、ロシ

ア・イランに次ぎ世界第3位(表4参照)である。その大半はカタールの国土面積に匹敵

する海洋ガス田であるNorth Field(北部ガス田)に埋蔵されている。当ガス田は地質学的

にイランのSouth Parsガス田まで広がり、両方あわせて1つの堆積層を形成している。そ

の堆積層は世界最大のガス田であり、北部ガス田はその一部である。(図6参照)

表4 世界の国別天然ガス確認埋蔵量のトップ10 (2014年1月時点) Country trillion cubic feet

Russia 1,688 Iran 1,193 Qatar 885 United States 334* Saudi Arabia 291 Turkmenistan 265 United Arab Emirates 215 Venezuela 196 Nigeria 181 Algeria 159 *2012 data Source: U.S. Energy Information Administration, International Energy Statistics, Oil & Gas Journal

図 6 北部ガス田(North Field)とイランのSouth Parsガス田

およびカタールのエネルギーインフラの位置図

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4.3.2. 天然ガス生産プロセスの概要 図 7 のとおり、ガス田の坑井から流出した原料ガスはセパレーターセクションでガス/

コンデンセート/凝縮水に分離され、気相は酸性ガス分離→脱水→水銀除去→窒素除去

→NGL回収を経て販売用の天然ガスとなる。さらにメタンを分離された残りの天然ガス液

(NGL)は蒸留→スイートニングを経て、エタン、プロパン、ブタン、及びペンタンより

重い留分に分かれる。

図7 天然ガス生産プロセスの概略フロー

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コンデンセートが生成するメカニズムは図8のとおりである。坑井から流出した原料ガ

スは高圧・高温条件下にあるので、セパレーターに導き圧力と温度を下げればより重質な

炭化水素は液体になりガスから分離回収される。つまり、原料ガスが高圧セパレーターで

気液分離され、その液相が低圧セパレーターでさらに気液分離され、油層はコンデンセー

トとして、水層は凝縮水として系外へ流出する。

図 8 セパレーター回りのフロー

4.3.3. 天然ガスの生産と探査 カタールは天然ガス資源の開発(特に北部ガス田の開発)に何年も費やし、2012年に入

ってカタールは中東で2番目・世界で4番目の天然ガス生産国になった。カタールの2012

年の天然ガス生産量(図 9)は 10 年前の 310 億m3(1.1 兆 cf)から増加して 1,560 億m3

(5.5兆 cf)に達している。いくつかの小規模ガス田も貢献したが、大部分が北部ガス田で

生産された。

104億ドルのBarzan Gasプロジェクトは近いうちに北部ガス田からの天然ガス生産量を

押し上げるであろう。当プロジェクトはプラットフォーム、パイプライン、ガス処理施設

を含む海洋および陸上の開発で構成されている。政府高官とエクソンモービルの発表では、

2011 年に始まった当プロジェクトは 2014 年内に稼動開始し、3,960 万 m3/d(14 億 cf/d)

の天然ガス処理能力をもつとしている。

今後、カタールにおける天然ガス探査は商業的に成り立つ天然ガス資源を発見するかも

しれないが、1971年の北部ガス田の発見のような大規模発見を誰も予想していない。2013

年5月、カタール国営石油(QP)とドイツの企業Wintershallはカタール沿岸沖の第4鉱区

で天然ガスを発見したと発表した。その可採埋蔵量は710億m3(2.5兆 cf)を超えると推

定され、Wintershallは570~1,130万m3/d(2~4億 cf)の生産を期待している。

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図 9 カタールの乾性天然ガス生産量と国内消費量 (2003~2012年)

4.3.4. 天然ガスの消費 カタールは国内の天然ガス需要の全てを国産資源で満たしている。過去数年間、天然ガ

スの消費は急速に伸びており、2003~2012年の間に約3倍伸びた。この傾向は天然ガス生

産にも相関しており、その生産量は同期間に4倍に増えている。2012年の消費量は370万

m3/d(13億 cf)で、発電と海水脱塩分野で最も多く使われている。

4.3.5. 天然ガス(ガス+LNG)の輸出 カタールは2012年に約1,220億m3(4.3兆 cf)の天然ガス(ガス+LNG)を輸出し、ロ

シアに次いで世界第2位の天然ガス輸出国(表5参照)となっている。カタールの次はノ

ルウェー、カナダ、オランダの順である。

カタールは少量の天然ガスを Dolphin パイプライン(図 6 参照)経由でアラブ首長国連

邦とオマーンに送っている。2012年にアラブ首長国連邦へ4,810万m3/d(17億 cf)、オマ

ーンへ560万m3/d(2億 cf)輸出した。Dolphinパイプラインの現在の輸送能力は5,660万

m3/d(20億 cf)だが、2015年内に9,060万m3/d(32億 cf)に拡大する計画である。

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表5 世界の国別天然ガス輸出量のトップ10 (2012年) Country trillion cubic feet

Russia 7.4 Qatar 4.3 Norway 3.8 Canada 3.1 Netherlands 2.1 Algeria 1.7 Turkmenistan 1.6 United States 1.6 Indonesia 1.2 Austria 1.2 Source: U.S. Energy Information Administration, International Energy Statistics

一方、カタールは生産した天然ガスの約85%をLNG として輸出している。2006年にイ

ンドネシアを抜き世界最大の LNG 輸出国となって以来、世界第 1 位を維持している。現

時点のトップ5はカタール、マレーシア、オーストラリア、ナイジェリア、インドネシア

の順(図 10 参照)となっている。カタールには LNG 生産企業が Qatargas 社(4,200 万ト

ン/年)とRasGas 社(3,500 万トン/年)の2 社存在し、LNG 輸出能力合計は世界最大の年

間7,700万トン(天然ガス換算で約1,047億m3)である。なお、2011年1月に最新の第14

番目のトレインが稼動し、現在のLNGプラント数は両社合わせて14トレインとなってい

る。因みに、2012年のLNGの輸出先(表6参照)はアジア63%・欧州30%・残りはその

他となっている。

図10 世界の国別LNG輸出量のトップ5 (2012年)

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表6 カタールのLNG輸出先 (2012年) Qatar LNG exports by destination, 2012

Region Percent of total Asia 63% Europe 30% other 8% Source: U.S. Energy Information Administration, Cedigaz

4.4. Gas-to-Liquids(GTL)

4.4.1. Gas-to-Liquids(GTL)プロセス(図11参照)の概要 GTLプロセスとは天然ガスをより長い鎖状炭化水素に変換するプロセスである。

先ず、天然ガス(メタン)を水蒸気改質して合成ガスを生成する。

CH4 + H2O → CO + 3 H2

次いで、その合成ガス(一酸化炭素と水素)をフ Fischer-Tropsch 法により、触媒反応を

用いて液体炭化水素(鎖式飽和炭化水素:アルカン)に変換する。

(2n + 1) H2 + n CO → CnH2n+2 + n H2O

さらに、生成した液状炭化水素を水素化処理して、LPG、ナフサ、ディーゼルなどのGTL

製品に仕上げる。

図11 GTLのプロセスフロー

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4.4.2. カタールのGTLプロジェクト カタールは天然ガスをより重い炭化水素に加工するGas-to-Liquids(GTL)技術の最先端

を走っている。GTL技術は乾性天然ガスを低硫黄ディーゼルやナフサなどの液体燃料に変

換する精製プロセスに適用されている。GTLのパイロットプロジェクトは他の多くの国で

進行中であるが、カタールは南アフリカとマレーシアと共に稼動中のGTL工場を有してい

る3ヵ国のうちの1つである。加えて、カタールの2つの稼動中のGTL工場には世界最大

のGTLプラントがある。

カタールは同時に、Gas-to-Liquids(GTL)生産の先頭に立っている。大型プロジェクト

として2件が挙げられる。1件はドーハの北80kmのラスラファン(Ras Laffan)工業都市

に位置するOryx GTLプロジェクト(QP 51% 、サソール 49%)である。当プロジェクト

は2007年に稼動開始したが、初期トラブルのため2009年初頭までフル稼働しなかった。

フル稼働時、当プロジェクトは北部ガス田からの約934万m3/dの天然ガス原料を使いGTL

製品を3.4万BPD(ディーゼル 2.4BPD、ナフサ 0.9BPD、LPG 0.1BPD)生産している。

現在、カタール政府が北部ガス田の拡大開発を一時停止しているが、解除された場合に備

え JVは当プロジェクトの10万BPD生産への拡大について議論している。

もう1件は同じくラスラファン工業都市に位置するPearl GTLプロジェクト(QP 51% 、

シェル 49%)である。当プロジェクトは 4,530 万m3/d の天然ガス原料を用い、GTL 製品

を 14 万BPD、NGL(コンデンセート+LPG+エタン)を石油換算で 12 万BPD 生産する

ものである。2011 年初頭に第1 フェーズが完了し、2011 年6 月にGTL 軽油が初出荷され

た。その後第2フェーズが始まり2012年10月にフル稼動に達した。当プロジェクトは世

界最大のGTL プラントを保有し、且つ世界初のGTL のインテグレーション運転をしてい

る。即ち、上流側の海洋の天然ガス生産プラント(写真1参照)と陸上の転換プラント(天

然ガスをGTLに転換するプラント、写真2参照)が統合運転されている。

写真 1 Pearl GTL の海洋側プラント

写真 2 Pearl GTLの陸上側プラント

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<出典および参考資料> (1) 米国DOE・エネルギー情報局(EIA)レポート Qatar Country Analysis Brief、

http://www.eia.gov/countries/cab.cfm?fips=QA (2) 米国DOE・エネルギー情報局(EIA)レポート Malaysia Country Analysis Brief

http://www.eia.gov/countries/cab.cfm?fips=MY (3) 外務省ホームページ、各国情勢

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html (4) EIA 、GLOSSARY

http://www.eia.gov/tools/glossary/index.cfm?id=Lease (5) INVESTOPEDIA 、NGL

http://www.investopedia.com/terms/n/natural-gas-liquids.asp 、 (6) Wikipedia 、Natural-gas processing

http://en.wikipedia.org/wiki/Natural-gas_processing (7) Wikipedia 、Natural gas condensate

http://en.wikipedia.org/wiki/Natural-gas_condensate (8) Wintershall 、Home Page

http://www.wintershall.com/en/company.html (9) Oxy GTL 、Home Page

http://oryxgtl.com.qa/index.html (10) Wikipedia 、Oxy GTL

http://en.wikipedia.org/wiki/Oryx_GTL (11) Qatar Petroleum 、Home Page

http://www.qp.com.qa/en/Homepage/QPActivities/SubsidiariesAndJointVentures/SubsidiariesAndJointVenturesDetails.aspx?SJVID=bfae4d2f-fa15-4b5c-9f10-cb8fba3e6ea4

(12) Wikipedia 、Peal GTL http://en.wikipedia.org/wiki/Pearl_GTL

(13) hydrocarbons technology.com http://www.hydrocarbons-technology.com/projects/pearl/

(14) KENTZ 、Home Page http://www.kentz.com/our-operations/construction/electrical-and-instrumentation-construction/pearl-gtl-(qatar).aspx

(15) Wikipedia 、Gas to liquids http://en.wikipedia.org/wiki/Gas_to_liquids

(16) Wikipedia 、Fischer-Tropsch process http://en.wikipedia.org/wiki/Fischer_tropsch

以上

本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、分析

したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは[email protected] までお願いします。

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次回の JPECレポート(2013年度 第36回)は

「2014年再生可能燃料基準義務量案に関する議論」

を予定しています。