図書館誌にみる -...

図書館誌にみる　駒大図書館史【その5】

駒大史ブックレット9

駒澤大学禅文化歴史博物館大学史資料室

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凡

例

一、資料の収録にあたり、原則として漢字はすべて新字体に改めたが、漢数字については原資料通りとした。

一、仮名づかい・送り仮名は原文通りとし、変体仮名・合わせ文字は現用の仮名に改めた。

一、資料本文中には、適宜、句点、読点、および並列点を付した。

一、明らかな誤字には、該当部分の右側に（　

）内に正しい文字を注記した。

一、資料本文中の寄贈図書で現在、駒澤大学図書館で所蔵する図書や注釈が必要な語句には、（１）、（２）・・・等を付し、巻末に釈文を示した。

　　

また、簡単な注釈を必要とする語句は、語句の右側に（　

）で傍注とした。

一、掲載した写真の内、特に所蔵者名のないものは、駒澤大学禅文化歴史博物館大学史資料室の所蔵写真である。

一、資料中には、今日の視点から見ると不適切と思われる表現もみられるが、歴史資料としての性格にかんがみ、原文のままとした部分もある。

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駒大史ブックレット９　

「図書館誌」にみる駒大図書館史（その５）

　

目　

次　

１

「図書館誌」を読むまえに（その５）･････････････････････････････････････････････

４

２

「図書館誌」の紹介（その５）･･･････････････････････････････････････････････････

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4

１　

「図書館誌」を読むまえに（その５）

　

これまで「図書館誌」にみる駒大図書館史(

その１)

・(

その２)

・（その３）・（その４）として、駒澤大学

図書館の記録「図書館誌」第一号・第二号を紹介してきました。今回は「図書館誌」第三号の前半部分を紹

介していきます。記述の期間は、昭和三年（一九二八）一月五日〜昭和四年（一九二九）五月三十一日になり

ます。

　

前巻の「図書館誌」からは、関東大震災によって倒壊した図書館に代わり、新図書館（耕雲館、現禅文化

歴史博物館）が建設される過程がよくわかりました。昭和二年十一月十五日には図書館の新閲覧室が開館さ

れ、たくさんの学生が図書館を訪れたことが記されています。そして、本巻の記述からは、図書館の落成式

が行われたことや、『禅籍目録』が出版されたことなどが分かります。

図書館の落成式

　

図書館の落成式は、昭和三年三月七日に行われました。落成式の準備のため、図書館は三月五日から休館

し、館員はその準備に追われていたようです。落成式の前日と当日の「図書館誌」をみてみましょう。

　

「愈々落成式も明日に迫り、屋上の雪かき、館内外の大掃除、展覧会準備等七転八倒、午後八時半に及ぶ、

其より植木屋へ交渉に行きしが遂に不調ニ終る、此日心配せし禅籍目録並ニ絵葉書出来、何れも上出来ニ　

て満足、其包装を中村文房具店ニ依頼せり」（昭和三年三月六日条）

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「落成式当日、起床早々植木屋交渉ニ行く、尚

種々支度ある処へ今津氏の仏教学研究室の陳列

ハ本朝なりとて米本・磯貝・阡陌三氏を取られ

一層忙殺せられたり、されど宗務職員、宗会議

員初め多数の来賓を迎へ盛大ニ挙式する事を得、

大に満足せり、来賓にハ禅籍目録・絵葉書並ニ

明治以後刊行禅籍目録各一部づゝと弁松の中食

弁当を呈し、研究室主催の展覧会も可成の珍品

集り頗る盛会を極めたり」（昭和三年三月七日

条、抄出）

　

落成式は盛大に行われ、図書館誌の執筆

者である小川霊道も「満足」するものでし

た（小川霊道については、駒大史ブックレット５・８の「図書館誌を読むまえに」を参照）。落成式に出

席した来賓には、『禅籍目録』や絵葉書、「明治以後刊行禅籍目録」が配布され、弁当が出されたようで

す。ここで配布された『禅籍目録』や絵葉書は、落成式の前日に完成したようで、小川は「図書館誌」に

「何れも上出来ニて満足」と記しています。『禅籍目録』については後述しますが、この絵葉書はどのよ

図書館落成式で配布された絵葉書

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うなものだったのでしょうか。「図書館誌」昭和三年二月二一日条に、「菅原技師絵葉書作製につき打合

せに来る」とあります。この「菅原技師」とは、図書館を設計した菅原榮蔵で、絵葉書は菅原が作成した

ことがわかります（菅原については、駒大史ブックレット８の「図書館誌を読むまえに」、菅原定三『美

術建築士・菅原栄蔵』（住まいの図書館出版局、一九九四年）を参照）。絵葉書のデザインに注目すると、

「KOMAZAWADAIGAKU

」・「 LIBR

ARY

」のロゴが確認できます。このように絵葉書は菅原の意匠が詰まっ

たものとなっています。この絵葉書は「一千組作成」され（昭和三年二月二三日条）、絵葉書の写真の撮影

がされたことも「図書館誌」に記されています（昭和三年二月二七日条）。そして、来賓の昼食に供された

弁当ですが、これは現在も日本橋にある弁松の弁当でした。

　

また、ここで「展覧会」とあるのは、落成式に合わせて行われた研究室主催の展覧会のことですが、展覧

会開催については、館員の小川霊道などが禅籍展覧会を企画していたようです（昭和三年二月二九日条な

ど）。しかし、落成式直前になって、研究室主催の展覧会となりました（昭和三年三月二日条）。展覧会に

出品された展示品も小川曰く「珍品」が多く集まり、展覧会も盛況であったことが分かります。

『禅籍目録』刊行へ

　

これまで出版に向けて準備されてきた『禅籍目録』（図書請求記号Ｈ１０１／３・３Ａ・３Ｂ・３Ｃ）が

昭和三年に刊行されます。この『禅籍目録』は、「扶桑禅林書目」・「日本禅林撰述書目」・「禅籍志」や元

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禄・享保ごろの書籍目録など、あらゆる

禅籍書目をまとめて五〇音順に配列した

ものになります（『新版禅学大辞典』大修

館書店、一九八五年）。

　

『禅籍目録』の作業は、いよいよ出版へ

向けて大詰めを迎えており、小川霊道が

『禅籍目録』の緒言・凡例の初校（昭和三

年一月十一日条）や、正誤表の作成を行っ

ていることが「図書館誌」にみえます（昭

和三年二月二六日条）。そして、小川はこ

の目録を『昭和新編禅籍目録』（昭和三

年一月二一日条）と仮定していたことも確

認できます。前述したように、『禅籍目

録』は落成式前日の三月六日に出来上が

り、三月十七日に関係機関へ発送がされました（昭和三年三月十七日条）。

　

なお、この『禅籍目録』の改訂増補版として、『新纂禅籍目録』（図書請求記号Ｈ１０１／２９‐１Ｄ）

『新纂禅籍目録』(左)『新纂禅籍目録追補篇』(中央)『禅籍目録』(右)

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が昭和三七年に刊行されます。

　

また、その追補篇（図書請求記号Ｈ１０１／２９‐２

Ｄ・２Ｆ）も昭和三九年に刊行されます。小川霊道は昭

和十七年には図書館長に就任し、昭和三五年には図書館

長の職を退きます。しかし、館長退任後も小川は『禅籍

目録』の改訂に心を砕き、『新纂禅籍目録』を刊行しま

した。

　

こうした成果から、駒澤大学図書館は私立大学図書館

協会から、協会賞を授与されています。これら『禅籍目

録』の刊行によって、禅学を始めとした諸研究が進展し

たことはいうまでもなく、『禅籍目録』刊行の成果は駒

澤大学の歴史に燦然と輝く業績のひとつとして大いに今

後も顕彰していくべきものでしょう。

図書館員の日常

　

本巻からは図書館に勤務していた館員たちの日常も

垣間見ることができます。まずは、卓球です。「昨日卓

私立大学図書館協会から授与された協会賞

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球の道具を求め来りし処、一同大喜びにて昼食時に試合をなせり」（昭和三年四月三十日条）とあるように、

小川が卓球の道具を購入し、館員一同で昼休みの息抜きに卓球をしている様子がみえます。やがて、「卓球

熱講師間ニも曼延し時間外頻ニと使用喧騒を極む」（昭和三年十一月十三日条）とあるように、卓球熱が本

学講師にも広まっています。

　

続いては庭球、テニスです。「土曜日に付、仕事ハ午前中にて切上げ午後ハ一同ニて庭球をなす」（昭和

三年七月二八日条）とあり、館員一同でテニスを行っています。「終日炎天の下に庭球をなせり」（昭和三

年八月十二日条）という記述もあるように、小川はテニスにも熱心であったことがうかがえます。

　

最後に銀ブラです。「午後三時頃より磯貝、大野、橋本三君を伴い銀ブラに赴く」（昭和三年七月十一日

条）とあるように、小川は図書館員の磯貝・大野・橋本と銀ブラをしています。銀ブラとは、『日本国語大

辞典』によれば二つ意味があります。

　

ひとつは銀座をブラブラすることで、東京の街をモガ・モボと呼ばれる人が闊歩しはじめた大正時代から

使われた言葉だそうです。しかし、銀座の町並みが変わったせいか、昭和末期には銀ブラは死語となったよ

うです。そして、現代では銀ブラといった場合、ほとんどがこの意味で使われるそうです。

　

では、

銀ブラのもうひとつの意味ですが、それは著名作家らが好んだ銀座にある喫茶店 “パウリスタ” でブ

ラジルコーヒーを飲むことだそうで、この意味で銀ブラという言葉が先に使われたとされています。ここで

いう小川らの銀ブラとはどの意味で書かれているのか不明です。この他、茶話会も頻繁に開かれており、図

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書館員同士の交流をみいだすことができます。

　　

以上「図書館誌」の概略や注目できる箇所を紹介してきましたが、ここで取り上げた記事以外にも駒澤大

学や図書館の歴史にとってたいへん興味深い記事も数多くあります。

　

本書をお読みいただき、駒澤大学や図書館のあゆみについて新たな歴史を発見していただければ幸いです。

平成二十一(

二〇〇九)

年十月三十一日　　　　　　　

大学史資料室

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図書館落成式で配布された絵葉書の付録カード

図書館落成式で配布された絵葉書

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２　

図書館誌の紹介（その５）

「図

（表紙・題箋）

書館誌　自昭和三年

至同五年　

第三号」

　　

昭和三年度

　

一月

五日（木）　

司書は其中堂書目により未蔵禅籍の調査をなし、直ニ注文の手続を取る、更ニ夜再調査をなし追

加注文書を認む

七日（土）　

受附係清野清人の件ニつき秘密調査をなす

九日（月）　

一同出勤、本日より執務、スチーム初めて通じ館内適度の温度となる

十日（火）　

米本君本師病気看護の為、両三日欠席の旨申出らる

十一日（水）　

高尾書店より事

（１）

物原始考一部を、大島正健氏より其著改訂韻

（２）鏡

一部を、勝島仙之介氏より

鉄

（３）

石詩存一部二冊をそれ

ぐ寄贈せらる、四部叢刊第一期分六〇七冊着本す、此夜禅籍目録緒言、凡例の初校

をなす

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十二日（木）　

高橋竹迷氏より譲受けし図書調査をなす

十三日（金）　

其中堂より五日注文の図書着、就中南浦文

集三冊八十円及叢林貫華集ハ返本す、庄司氏警視庁ニ

出頭の為スチーム不通、初めて事務所より館用手提金

庫の購入を受く

十六日（月）　

勝峰清幹氏より購入せし宗乗書籍を書架

に収む、本日より新聞五種追加、井上耕哉氏より四谷

懐（４）

古録一部を、大阪毎日新聞社よりJapan To

‐Day and

To

‐Morrow

一部をそれ

ぐ寄贈せらる

十七日（火）　

小原氏寄贈本を書庫に納入す

十八日（水）　

クリーナーの使用開始、磯貝君は書庫納入

本のカード繰入に、司書は禅籍調査ニ従事、米本君ハ

十日以来引続き欠勤、山上学監より小使雇入に関し来

信、されど当にしてゐたのが駄目になり閉口す

井上耕哉氏寄贈『四谷懐古録』（本学図書館蔵）

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十九日（木）　

倉沢、橋本両君を丸善及柿沼商店ニ派遣、禅籍の近着書調終了、小使雇入に関し池尻安藤ブリキ

屋ニ赴く

二十日（金）　

谷本富氏より其著梨

（５）

花回咲一冊を寄贈せらる、文部省より試験官来学の為掃除接待等に関し大

に奏者を駆使す、開館式問題につき館長に進言す

廿一日（土）　

目録の名称は昭和

新編

　

禅籍目録と仮定す、司書は事務所係員諸氏と共に林屋教授の招を受く

廿三日（月）　

磯貝、阡陌氏等の助力を得て、禅籍目録の正誤表作製を了る

廿五日（水）　

禅籍のカード繰込をなす、赤坂区役所より清野、列橋氏の戸籍謄本来る、之ニよれば受附清人　

老人に就てハ別に問題にすべきこともなきが如し、清水書房より館員一同へ餅菓子並ニ蜜柑各一箱を贈　

らる

廿七日（金）　

阡陌さんから来る三月限り辞任し度き旨、並ニ後任として其姉を採用されたき旨申出ありき、

併し館改革の事を思へば時期もよし、教習所出身者を以て補充するに如かずと、早速米本君ニ通知相談す、

地下室リグノイド工事を始む、倉沢・橋本両奏者ニ苦言を呈すとは何と？

廿八日（土）　

阡陌氏後任問題につき館長と協議するつもりなりしが既ニ帰宅され果さず、依て山上学監の了

解を得直ニ帝国図書館の太田・加藤両氏ニ依頼状を発送せんとせしが、後難を恐れ先づ館長老師へ照会す

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廿九日（日）　

米本君を訪問し、本師の病気見舞ひ、併て阡陌氏後任につき協議す

三十日（月）　

本師病気看護の為、本学期初頭より引続き欠勤中なりし米本君は本日より出勤す、反対に阡陌

氏欠勤、宇佐美庫太郎と称する掃除夫決定、本日挨拶に来る、外務省より国際経済会議報

（６）

告書一部を寄贈せ

らる、其中堂より叢林貫華集代を返送し来る

三十一日（火）　

宇佐美小使本日より出勤す、磯貝君の添菜を受く

　　

二月

一日（水）　

館員補充に関してハ館長より何等の返信なし、依て更ニ米本君と打合せをなす、午後休館、大掃

除執行中、明二日文部省より督学官来学の旨、事務所より通知し来り、一層入念に掃除器具の整頓をなせり、

終って清水書房寄贈の蜜柑分配、茶話会を開く

二日（木）　

文部省より木村督学官来学、専門部の諸事項につき仔細に調査す、殊に本館ニ休憩所を設けし為

其応対、案内を初め閲覧人員の統計を要求され閉口せり、学長忽滑谷先生より大正

新修

大蔵経全部と要文

抄録

大蔵経索

引一部三冊、及び東洋史講座一部六冊を寄贈せらる、司書は阡陌氏後任補充につき館長に進言す

三日（金）　

米本君もまた館員補充問題につき予と同一主張を繰返し館長に進言せし由、されど館長よりは同

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件ニ関し何等の指図なし、原簿等補充作製の為磯貝君の助力を得て其図案を作製せり

四日（土）　

館長より学生の投書ニ対する回答文掲示方を命ぜらる、されど館員補充ニ就てハ依然として指

図なし、依て一応当局者に報告、了解を求む、帳簿図案尚完製せず為ニ丸善行等不可能に終る、其中堂より

転（７）経

考一部を寄贈せらる

六日（月）　

昨日福井久蔵氏より中等学校使用の国語及国文法教科書八部五十冊を寄贈せらる、前本学寮監河

瀬太嶽氏よりも真歇和尚拈古等九部四拾壱冊を寄贈されしが、蠹魚の害甚しく其内六部二十九冊は遺憾乍

ら廃本とせり、米本君欠勤

七日（火）　

諸種の統計表草案を作り磯貝君に謄写方依頼、硝子屋漸く来り書庫内破損硝子を修（

ママ）膳

す、東京地

下鉄道株式会社より東京地下鉄道写真帖並工事概

（８）

要書を寄贈せらる

八日（水）　

更に統計表草案を作り、磯貝君を煩はし謄写、午後丸善に赴き洋書引取、注文をなす、帰途青山備

文堂に立寄り、原簿・受附簿・寄贈簿等注文

九日（木）　

館長来学されしも館員補充に就てハ何等の指図なし

十日（金）　

司書は本朝出勤後間もなく清水先生重態との通知を受け急ぎ帰宅、此日午後先生ハ六十五歳を一

期として遂に化を他界ニ遷さる、彼の教界稀ニ見る一偉材を失った事、並ニ先生が畢生の身血を濺ぎ執筆

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中なりし一大著述も完成するに至らずして逝去せられ

し事ハ誠ニ遺憾の極みである

十一日（土、紀元節）

十二日（日）　

清水先生の告別式行はれ、信徒に対し、田辺

惜道氏法統相続の旨宣言す

十三日（月）　

故清水梁山先生の一般告別式にて司書ハ欠

勤せり

十四日（火）　

法隆寺勧学院同窓会より唯識三類境義本質

私（９）記

一冊を、河瀬太嶽氏より眼蔵抄写本・渉典和語鈔写本

を寄贈せらる、眼蔵抄ハ既蔵本と何等の差なく、例によ

り蠹魚の害甚しく廃本とせり

十六日（木）　

伊藤林之助氏より阿弥陀経意（

１０）訳

一冊を、阿

部芳春氏より東嶺和尚年（

１１）譜

等三部三冊の禅籍謄写本を、

更に東洋文庫より東洋文庫論叢第（

１２）八

、並にM

emoirs of

伊藤林之助氏寄贈『阿弥陀経意訳』（本学図書館蔵）

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The Research D

epertment of the Toyo-Bunko.

をそ

れ

ぐ寄贈せらる

十七日（金）　

館長に宗会の日附を告げ、落成式の件につ

き進言協議す、其結果阡陌氏には展覧会の準備を、技

師へは地下室床の油塗、時計設置、絵葉書作製等を依

頼す

十八日（土）　

館長に落成式挙行の件につき、打合せの為

宗務院に出頭せられたき旨要求す、依て館長は間もな

く宗務院に赴かる、午後米本、磯貝君と共に藤山工業図書館を参観す

十九日（日）　

館長より絵葉書作製につき宗務院の認可ありし旨を承り、直に技師に伝達手配す

廿日（月）　

普通選挙による下院議員選挙日、司書も初めて一票を投ず、李恒九氏より一堂記事一部を寄贈せ

らる

廿一日（火）　

菅原技師絵葉書作製につき打合せに来る、請求書提出

廿二日（水）　

磯貝君に雑誌の製本準備を依頼す、汽缶室落成届も提出せずして之を使用するは不都合なりと

阿部芳春氏寄贈『東嶺和尚年譜』(本学図書館蔵）

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て世田谷署工場係来学、遂に其使用を禁止せらる、大学当局者の無責任に一同呆然たり

廿三日（木）　

汽缶室落成届の件につきてハ、学校当局と技師との間に於て責任の所在判明ならず、何れにせ

よ技師ハ大に面喰ひ居れり、絵葉書一千組作製は正式の許可を受く

廿四日（金）　

汽缶室問題につき世田谷署は大学に対し始末書提出を要求す、其提出すべきや否やにつき大学

事務所、並ニ学長老師と打合せをなす、午後交番巡査小林某来学、同問題につき署へ好意を以て交渉すべき

旨言明す

廿五日（土）　

汽缶室問題依然として解決の曙光見へず、学監・技師共に署へ出張交渉の意志なく困却せり、備

文堂より注文中なりしレッテル、帳簿等持参、文化商会よりも禅籍目録を一冊だけ持参

廿六日（日）　

夜十二時までも起床、禅籍目録正誤表を作る

廿七日（月）　

スチーム通ぜず炭火により暖を取る為か頻りに頭痛を覚へ困惑す、汽缶室問題につき山上学監

と打合せをなし、技師を呼び督促す、間もなく同問題につき小林交番巡査来訪、其意見に従ひ遂に始末書提

出に一決す、同巡査を技師に紹介す、絵葉書写真撮影に来る、支那僧志円氏参観、阡陌氏午後欠勤、志円氏よ

り同氏著梅（

１３）譜

二冊を寄贈せらる

廿八日（火）　

汽缶室落成届の件迂余曲折を経しが、遂に始末書を添附し本日世田谷署に提出せり、昨日理事

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会にて本館落成式ハ愈々来月七日と決定せし由、此日米本君、阡陌氏欠勤、館長また不在、余日幾何もなく

司書独り焦慮す、先づ山上学監と打合せ、案内状印刷を文化商会に依頼、他方禅籍展覧会の目録浄書を磯貝

君に依頼す

廿九日（木）　

禅籍展覧会の準備として磯貝君始め奏・

・

・

・

・

・

・

・

者一同を指揮し、書架より明治以后刊行の禅籍を取出し

年代順に配列す、一同午後八時半まで勤務、但し此忙中米本・阡陌両氏欠勤の為、大打撃を受く、館長、予の

電報を見、夕刻来館せらる、依て落成式に関し準備として取りたる種々の処置を報告す、また事務室の地下

移転ニ就て進言す、午後九時帰宅其より十二時まで禅籍目録の正誤調に没頭

　　

三月

一日（木）　

米本君には禅籍展覧会の準備を、阡陌氏ニハ案内状及其控簿を頼み、予は事務所との打合せ其他

の庶務を処理しつゝ目録の正誤ニ没頭、禅籍目録洋書の部を逆ニ組み、其訂正を命ず為に、六日頃ならでハ

納本覚束なしと、文化商会ハ勿論、館としても大迷惑なり、本日も一同午後八時まで勤務、案内状発送、正誤

も七百頁余ニ進み、明日ハ原稿を出し得るまでニ達す、

二日（金）　

廿九日来二日晩の努力により、禅籍展覧会の準備殆んど完了せしが、他方今津教授、並ニ米本君主

21

となり借入本ニより研究室主催の展覧会を企画し館長との間に了解成立、館長よりハ突然予ニ向って前者

を中止し、研究室主催展覧会ニ変更せし旨の報告ありき、予ハ司書として不眠不休の努力を無視せられ、且

つ他館員ニ対しても頃日の努力水泡ニ帰し気の毒に堪へず、遂に館長ニ直言激論す、蓋し予赴任以来始め

ての出来事なり、無論予も決する所あり

三日（土）　

今朝正誤表並ニ明治以後出版の禅籍目録原稿を文化商会に渡す、館長より阡陌氏后任ハ教習所出

身者採用許可の旨報告ありしが、余りニ其決定遅き憾あり、直に米本君ニ其交渉を依頼せり、此日同君ハ開

館式の講演依頼に商大へ出頭す

四日（日）　

宗務職員並ニ宗会議員への案内状を認め司書ハ宗務院へ持参す、其節谷口宗会議員より宗典編纂

事業ニつき面白き材料を聴取す、銀座へ迂廻し落成式用の買物をなす、伊藤硝子屋より展覧会用の硝子を

持参せしが余りの不出来ニ閉口す

五日（月）　

本日より落成式準備の為休館、二階事務室を取片附け地下押入に運搬、更に地下室に食堂を作る、

米本君ハ雪中を犯し、所々へ講演依頼に出張せしが、結局無駄骨折ニ相成しと、依て之ハ全然中止に決す、

事務室移転問題につき館長より文書を以て特に注意を受く、此夜正誤表の校正をなす

六日（火）　

愈々落成式も明日に迫り、屋上の雪かき、館内外の大掃除、展覧会準備等七転八倒、午後八時半に

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及ぶ、其より植木屋へ交渉に行きしが遂に不調ニ終る、此日心配せし禅籍目録並ニ絵葉書出来、何れも上出

来ニて満足、其包装を中村文房具店ニ依頼せり

七日（水）　

落成式当日、起床早々植木屋交渉ニ行く、尚種々支度ある処へ今津氏の仏教学研究室の陳列ハ本

朝なりとて米本・磯貝・阡陌三氏を取られ一層忙殺せられたり、されど宗務職員、宗会議員初め多数の来賓

を迎へ盛大ニ挙式する事を得、大に満足せり、来賓にハ禅籍目録・絵葉書並ニ明治以後刊行禅籍目録各一部

づゝと弁松の中食弁当を呈し、研究室主催の展覧会も可成の珍品集り頗る盛会を極めたり、其後一同にて

跡片附け、慰労茶話会中並び事務室移転問題出で、館長は五日の文書注意説を主張せられ、予ハ館員一同の

意志を主張し、再び激論となる、此間にありて米本君は稍や館長に左袒せられし為、予の立場ハ全く窮る

八日（木）　

午前中出勤諸種の計算並ニ支払をなす、一同ハ休養、事務室問題につき山上学監斡旋の労を取ら

る九日（金）　

今朝出勤間もなく、館長より「事務室ハ学長の命令により卒業式まで地下室を使用すべき事、其

室割問題につき自分は辞職することにならうが、其事ハ何れ後より云々」と申渡さる、万一館長にして本問

題の為辞職せらるゝ事あらば、其反対を主張せる予と雖も何んぞ安舒たる事を得んやと愈々決する処あり、

其後若守・衛藤両先生来訪、一切を両人に一任し心配せざる様にと仰せ下さる、依て予も両先生の仲裁に任

23

せ成行を傍観する事ニす、午後米本君は今津教授と共に籾山氏方へ借入本返却ニ赴く、予は他館員を指揮

し事務室整理ニ没頭す、阡陌氏欠勤、

十日（土）　

阡陌氏今日も欠勤、同嬢小林氏と婚約成立の旨を聞く、午前中事務室整理に、午後司書・米本・磯貝

の三名ハ猛雨を犯して駒場農大ニ赴き、簡易図書修理の実習をなし日を没して帰る

十二日（月）　

事務室整理漸く一段落を告ぐ、阡陌氏出勤、反対に赴任以来無欠勤なりし磯貝君遂ニ病気欠席

十三日（火）　

事務室整頓愈々山堆せる事務を処理し、漸く机辺清々しさを覚ゆ、されど磯貝君・米本君欠席の

為、広々としたる新事務室内更に一段の寂しみあり

十四日（水）　

今日は米本・磯貝君も来り漸く賑々しくなれり、落成式費決算の結果六百円を超過す、午後小

林・橋本両君及び宇佐美小使の三名を宗務院に遣はし禅籍目録を持参せしむ、此頃中に寄贈を受けし図書

左の如し

　東京府

群部

集団的不良住宅地区図集　　

一冊　　

東京府学務部社会課より

　

朝鮮ニ於ケル宗教及享祝一覧　　

一冊　　

朝鮮総督府学務局長より

　

江湖風月集作者伝考　　　　　　

一冊　　

森　

大狂氏より

　

カトリック教会の組（

１４）織　

　　　　

一冊　　

相原一郎介氏より

24

十五日（木）　

終日禅籍目録寄贈本発送事務ニ従事す、勝峰氏来館、浅草寺出版部より台学

階梯

教

十六日（金）　

禅籍目録寄贈先の控簿作製、更に特殊の人及び書店への依頼状を認む、勝峰氏また来館、毎々時

間を空費させられ閉口す、衛藤・若守両教授来館され事務室問題につき館長と交渉の結果を報告せらる、即

ち事務室ハ卒業式後も来学期始まで此侭地下室を使用したる上にて、館員一同の意見を徴し、其により何

れへなりと決定する方針なり云々

十七日（土）　

禅籍目録発送の準備整ひ、今日其手続を履行せり、本学期は本日を以て閉館せり、午後東美倶楽

部古書展に赴き、福井先生の選択を受け七拾余円の買物をなせり

十八日（日）　

館長への詫状を認め発送す、蓋し此日中拝顔の機を得ざりしが為なり

十九日（月）　

本日よりは休暇の筈なれど事務山堆の為出勤整理す、荻原雲来氏より安慧

造

三

（１５）

十唯識の和訳一冊を、

渡辺小洋氏より礼拝は何の為にす

（１６）

るか一部をそれ

ぐ寄贈せらる、また諏訪鉤玄氏よりも為霖老人語（

１７）録

一

部を寄贈せらる

二十日（火）　

午後会計調をなす、松屋呉服店より明治戊辰

展覧会

明治元年史暦附展覧会目録を、沼沢竜雄氏より源氏物

語精（

１８）粋

を寄贈せらる

廿一日（水）　

春期皇霊祭なりしも一同出勤大掃除をなす、其より桑原・大野両君歓迎、阡陌氏送別の茶話会を

25

開く、午後も卒業式準備にて閲覧室整理に没頭せり

廿二日（木）　

愈々明日を以て昇格後第一回の卒業式を

本館閲覧室に行はるゝ事となる、依て種々準備をな

す、卒業式に際し更に英文学参考書の陳列を行ふ筈

なりしが、来賓ハ落成式の場合と殆んど同一に付、協

議の結果遂に中止せり

廿三日（金）　

館長老師の来訪を受く、先般来の諸問題

につき先生の御瞭解を得、大に安堵す、尚事務につ

き種々打合せをなす、卒業式は事務所の事柄なれど

閲覧室を式場に充てられたる事とて主任の如くなり、

種々の指揮をなせり

廿四日（土）　

単身出勤緊急の事務を処理す、東京府学

務部社会課より東京府

郡部

不

（１９）

良住宅地区調査を、尾崎知飫

氏より敬斎遺（

２０）稿

を、汐川泰仙氏より新井石禅師講話

諏訪鉤玄氏寄贈『為霖老人語録』（本学図書館蔵）

26

選（２１）集

をそれ

ぐ寄贈せらる、本夕前本館主事保坂玉

泉氏の送別会あり、司書出席す、牛込洪洋社に至り絵

葉書注文をなせり

廿七日（火）　

午前中執務、今井福山老師より禅籍目録

寄贈に対し懇篤なる礼状来る、依て更に同師へ挨拶

状を発送す

廿八日（水）　

小原文鼎氏より続禅林僧

（２２）

宝伝第弐輯を、

佐藤文承氏より鉄眼翁物（

２３）語

を、光山覚音氏より洞上

安心の妙（

２４）訣

を一部づゝ寄贈せらる


保坂玉泉氏より日本仏教徒訪華要（

２５）録

の寄

贈を受く、帰朝以来自坊に静養中なりし富谷教授来

館され、同氏の蔵本を持参せらる

三十日（金）　

勝峰清幹氏自宅に来訪、四、五時間の長談

議全く閉口す、禅籍目録広告文は予のハ余りに微温

小原文鼎氏寄贈『続禅林僧宝伝第弐輯』（本学図書館蔵）

27

的なりとて之を破棄し、米本君のを以て之に代へし旨、文化商会の報告を受く

三十一日（土）　

学部三年生への図書帯出券を作製す

　　

四月

（枠外上部　「桑原、大野共赴任」）

一日（日）　

九州帝大附属図書館より図書館参考書展覧会目（

２６）録

を、陸鉞巌師より正法眼蔵摘旨

韻

（２７）

文布鼓三冊、伝灯

歌疏布（

２８）鼓

一冊を寄贈せらる、数十通の信書発送、小包差出、館外貸出の指図等忙を極む、吉永卯太郎氏より

多数の未載書目を通知せられし故、其礼状を兼ね、誤解の点ニつき弁明す、夜目録訂正

二日（月）　

岸沢惟安師よりも目録の誤謬等を指摘せられ、挨拶をなすと共に其訂正をなす

四日（水）　

漸く建築事務所の小屋を取払ふ、今一ヶ月早かりせば落成式にも外観上冝しかりしを、雨晴れ陽

春荐りに催し校庭の桜花咲き初む

六日（金）　

休暇以来全く無掃除の為事務室内殊ニ不潔を極む、依て清野宇・

・

・

佐美両老人を煩・

・

・

はし大掃除を行ふ

七日（土）　

館員慰労の為上野博覧会見物をなせり、集りしもの磯貝・倉沢・藤生・橋本・小林の五君と司書の六

人なりき、朝猛雨、間もなく晴れ上り筇の代りニ傘を重たげに引き歩く、帰途浅草に迂回す、地下鉄乗初が

28

目的

九日（月）　

午前出勤中米本君来る、同君学長老師に会見し来りて曰く、学長は今回高田館長に辞職を強要せ

らるべし云々と、其理由判然せず、予に於ても折角館長との間に了解成りて間もなく斯かる事態発生せば

如何にせんかと大に考慮せしめらる、午後奏者連と玉川に散策

十日（火）　

司書、衛藤先生を訪問、館長問題につき報告指揮を仰ぐ


司書、高田館長を自坊に訪ねしも不在、更に足利実践女学校に至り会見す


高田先生よりの来信に曰く「十一日帰宅せし処、九日附書留郵便を以て、教授並に館長の職を解

嘱する旨、学長より通知あり、依て当分は籠城の考に付、直に荷物等取纏め送還されたし」云々と、其処置余

りニ急激なるに驚き、且つ呆然たり、午後藤生奏者と共に先生の荷物を片附け、夕刻藤生君を田沼へ派遣す

十四日（土）　

新入学生入学式挙行せらる、米本・藤生の両君を除き、其他全部出席、大掃除をなし、茶話会を開

く、東洋文庫より同文庫論叢第（

２９）九

を、勝峰清幹氏より禅月集二冊を寄贈せらる、桑原・大野君新任


一同出勤、本日より開館執務、研究室変更につき岡田・衛藤教授等と打合せをなす、指物師に下

駄箱修繕を命ず、保坂玉泉氏寄贈金にて補訂

仏教大辞典一部を購ふ、高田先生より金剛経註

（３０）

等七部十一冊の仏

書を寄贈せらる、また巧芸社よりも一絲和尚遺墨集並解（

３１）説

二冊を寄贈せらる、前本館主事現教授たる佐藤

29

泰舜氏は今回留学生に任命せられ、最初の二ヶ年は奈良地方に滞在、専心研学に従事せられ、最後の一ヶ年

に欧米を漫遊せらるゝ事に相成しとか、可賀可祝


竹内道説氏在米中に購入を受けし九拾壱部の洋書を、岩本宗国師寄贈本として取扱ふ、此書は

岩本師寄贈金五百円を以て購入せしものなりと、新着書報告作製、雑誌整理、館員用下駄箱出来し、雑然た

る履物の姿を消し、入口清々しく成れり


長日月の懸案、研究室割問題も自然に解決する事となれり、依て全部の研究室を一・二階に、地

下室ハ悉く館用に決定、奏者連を指揮し、終日移転整理ニ没頭す、雑誌整理大約終了す


研究室変更を館にて決定、之を講師控室ニ掲ぐると共に、事務室の小鍵及び机二個を注文せし

処、技師より山上先生ニ照会あり、遂に事務所より金銭を要する事ハ、凡て一応事務所の承認を経て執行す

る様注意を受く、米本君独逸書整理ニ着手す、笠森伝繁氏より徳川制度史（

３２）料

並ニ最近政治外

（３３）

交史を寄贈せ

らる

二十日（金）　

教授の図書帯出券を改め交附す、高田前館長を招き、懇親会を開くべく斡旋せしも僅かの行違

にて先生の臨席を得ず、館員四名の慰労会に終る、中文館より綜合日本史概説巻（

３４）下

を、小畠文鼎氏より相国寺

小史

万

（３５）

年の翠並ニ独園禅（

３６）師

各一部を寄贈せらる

30


米本君、中野達慧氏を訪ふ、間宮氏の紹介により、北京精華学校図書館より同館の和洋両目録を

寄贈せらる


猛烈なる風吹き館員昇降口のドーア硝子破損す、米本君風邪欠勤、西村為法館より多数の注文

書着す

廿四日（火）　

桑原君病気欠席、司書ハ清水家の依頼を受け、役場及区裁判所行の為午後欠勤


学長老師より御録

宗鏡大綱等四部二十冊の書籍を寄贈せらる、藤生君実父上京の為欠勤、小林君ハ

適齢検査の為午後より早引帰国す、三月限り辞任せし阡陌きぬ子さんは、噂の如く本月十八日小林文成氏

と結婚されし旨通知を受く、米本君頸部痛み大に悩む

廿六日（木）　

高田前館長より来信に曰く「大学の為留任と、而して学長ハ館の会計につき疑念を懐かるゝも

のゝ如し」云々と、依て予ハ会計に就てハ、平素検査院制度の設置を主張せるものにて、何時にても臨検を

歓迎する旨即時回答せり、此日先年度の決算書並ニ本年度の予算表を事務所に提出す、米本君病気重ク欠

勤、東京市役所より江戸実測図二十枚を寄贈せらる


新着書書庫納入に着手、米本君欠席

廿八日（土）　　

〃　　　　　　　　　

〃　　　　　

橋本君曰く、学長老師には蔵書の殆んど全部を国許ヘ送

31

附せられしと、或ハ尚余震やまざるにや、懸念に堪へ

ず廿九日（日）　

高田先生留任の件ハ、学長の態度一変の

為また中止に相成りしとか


井上耕哉氏より鹿島

神社

直心影流を、勝峰清幹

氏より白隠和尚大道狂（

３７）諭

を、高木利太氏より家蔵日

本地誌目（

３８）録

をそれ

ぐ寄贈せらる、休日後ハ新着書

等山堆忙を極む、橋本君を丸善、正金銀行等に遣はす、

昨日卓球の道具を求め来りし処、一同大喜びにて昼

食時に試合をなせり

　　

五月

二日（水）　

北海道帝国大学図書館より創基五十周年記

念講

（３９）

演集一部を寄贈せらる、司書ハ隣宅主人失踪の

勝峰清幹氏寄贈『白隠和尚大道狂諭』（本学図書館蔵）

32

為大に迷惑を感ず

三日（木）　

館員米本君より詩集

藁家と花一部を寄贈せらる、出納主任倉沢実竜君は専門部学生となり本日限り

辞任、小林奏者ハ先月廿五日適齢検査の為帰国中の処漸く帰館す、中島奏者また受験の為今、明両日欠勤、

出納員動揺甚しく閉口す、其補充につき掲示す

四日（金）　

山本穆淳氏より太陽

開山

丹

（４０）

嶺禅師紀年録を、前田稔晴氏より土地増価

（４１）

税論を寄贈せらる、出納手の応募

者二三名あり、館員増加の為新着書整理等着々進行気持よし、米本君、安部充家氏及宗務院等を訪問す

五日（土）　

林哲雄氏寄贈金にて要文

抄録

大蔵経索引一部を購入す、宗務院より曹洞宗讃仏歌第

（４２）

一集を下附せらる、

桑原君田沼行にて欠席、磯貝、大野両君は午後芸草会例会に出席す

七日（月）　

初て図書館としての什具調をなせり、小原氏より静物の洋画一幅を寄贈せらる、高田先生また赴

任せられ反対に学長は当分静養休講さるゝに至りしとか、校内何となく円滑を欠き遺憾なり

八日（火）　

奏者の件、図書調査の件につき米本君と協議す、清水書房より菓子一包を貰ふ

九日（水）　

笠森教授申請にかゝる法経書第一回分の手続を履行す、更に購入予定書目調査

十日（木）　

桑原君師命を果すベく欠勤、倉沢奏者の後任として新に山崎久治君赴任す、事務所へ更に昨年度

の決算明細書を提出す

33

十一日（金）　

桑原君越後行の為二三日欠勤申出、増加図書調査並ニ閲覧者統計を磯貝、大野両君に依頼す、事

務所より昨年度の決算書に関し数回出張方申来る、大野君珍花を持参しくれ事務室内自然になごやかなり

十二日（土）　

研究室整理、更に什具調を行ふ、また閲覧者統計調の援助をなせり、午後事務所に呼ばれ学長老

師より大学編纂にかゝる仏教読本の校正、並ニ決算につき大叱責を蒙る、殊に校正の件につきてハ辞任せ

よとまで極言せらる、依て予も其に就て弁明了解を仰ぐ、帰館之を米本君等に伝へし処同君また大に憤慨

せり、蓋しこは藤生奏者の軽卒にもよるべけれど、祇樹監事としても予に対し一言の依頼も注意も促さゞ

りしは、強て風なきに波を起せるものとも言フべし、遺憾至極なり、夜購入予定書の分類記入に着手す、学

長より浦口氏著ぐるーぷ、めそっどを、豊田八千代氏よりみ

（４３）

ちくさ二部を寄贈せらる

十四日（月）　

一昨日学長老師より叱責されし仏教学講本校正の件ハ、米本君の交渉により事務所の三名も分

担する事ニ相成しとか、之によっても本館のみの責任にあらず、また予一人叱責を蒙る理由なき事判明せ

り、況んや之が為辞職云々に於ておや、事務所より問題となりし右講本一部を貰ひ来る、桑原君欠、清野老

人も発熱の為午後休養

十五日（火）　

昭和二年度増加図書調は磯貝君の努力により殆んど終了す、光山学監より会議室設置、研究室

変更を申出らる、石黒先生より国語教育の為の音声学一部を寄贈せらる

34

十六日（水）　

昨年度の増加図書調終了せり、依て大野君にハ購入予定書の分類記入を磯貝君には製本準備を

依頼す、小柳教授より漢籍購入の申出ありき、昨夏以来の日記整理記入始む、東京府学務部社会課より社会

調査資料第四輯を、東京帝国大学よりTokyo Imperial U

niv. Calendar 1927-8

を寄贈せらる、また事務所よ

りハ朝鮮仏教一覧表並ニ三家亀鑑を交附せらる、清野老人昨今両日欠

十七日（木）　

会議室設置に伴ひ宗教学研究室を貴賓室に移す、午後笠森教授申請の法経書多数着本、草人堂

より製本を持参す

十八日（金）　

芸草会例会を来月本館ニて開催の件につき照会を受く、大野君よりまた美事なる芍薬を頂く、

毎々の事で恐縮

十九日（土）　

丸善より六部十一冊の洋書を購入す

廿一日（月）　

伊藤古鑑氏より大般若理趣分の研究一部を寄贈せらる、事務所より不戦条約論一部を交附せら

る廿二日（火)　

大野君に依頼中なりし購入候補図書の分類記入終了す、依て更に統計依頼、磯貝君また和漢書

整理に一段落を告げ、近着洋書整理に着手す、間宮商店員、智山大学事務員等来訪す、佐藤賢司氏より其著

西洋文化史講話一部を寄贈せらる

35

廿三日（水）　

新着書々庫納入をなす、高田前館長四月の事件以来初めて来館せらる、倉光活文氏また来館、禅

学会設立の件と明治以后刊行の禅籍目録原稿の件につき交渉を遂げ夕刻帰らる

廿四日（木）　

祇樹監事、竹内助教授より高田前館長慰労会を図書館主催の許に開催致度しとて相談し来りし

も、責任の所在は之を明瞭にする必要ありとし断然拒絶の態度を取れり、蓋し廿六日に開かるべき歓迎慰

労会との関係上なり、円山全提氏より凡

（４４）

鳥録一部を寄贈せらる、勝峰清幹氏より十五部の未蔵禅籍購入せ

り廿五日（金）　

司書は自宅大掃除の為役三時間許り休む

廿六日（土）　

本夕丸ビル精養軒に於て新学監歓迎、山上前学監慰労、富谷渡辺両教授帰朝歓迎会開催せらる、

其会ニ出席するに先ち司書は牛込矢来倶楽部古書展に赴き十部許りの書籍を購入せり

廿八日（月）　

禅籍の函架索引訂正と明治以後刊行の禅籍目録校訂を磯貝大野両君に依頼す、桑原君欠席、橋

本君を丸善に遣す

廿九日（火）　

桑原君子供会の相談ニて早引

三十日（水）　

矢来古書展にての購入本漸く着本す、山岸興運氏より御陵巡拝和（

４５）讃

を寄贈せらる

三十一日（木）　

書架見積書集まりし故、申請書の草案を作る、天理図書館、竜大史学研究室より禅籍目録の寄

36

贈方申出ありしも断る、国際聯盟協会より先に購入せし各国の政党の追録を送り来る

　　

六月

一日（金）　

貴重書架並ニ研究室用書架新設申請書を其理由書、見積書と共に事務所に提出せり、本日再び開

催の予定なりし前館長との懇親会は米本君病気欠勤の為また延期のやむなきに至る

二日（土）　

大掃除執行の予定なりしも雨天の為休止平日通り開館せり、日本図書館協会より岩波書店の寄贈

本を明後四日大橋図書館に於て渡す旨通知ありき、高田前館長を招き茶話会を開く、米本君欠

四日（月）　

桑原君、橋本君を大橋図書館、誠文堂、並ニ文求堂等ニ派遣し多数の図書を引取る、其内大橋図書

館より受取りし廿一冊は岩波書店寄贈にかゝるものなり、宗務院教学部社会課より日曜学校

子供会

経営の知識一部

を交附せらる、米本君は尚病ひ癒へざるにや欠勤、小畠文鼎氏来訪さる

五日（火）　

岩波書店寄贈本を整理す、文求堂より太平御覧等四部百五十二冊の唐本を持参せり、光山学監に

特別閲覧者の取扱ひ並ニ一日申請の書架の件につき談合す、学長老師より予算と図書購入に付左の如き信

書来り呆然として処置に窮す、拝啓　

先日御話申上候、図書館本年度予算一千五百円也を四月より費し了

り候上ハ、書籍購入に付一々上申書を提出し、教学部長の認可を得て決行するやう部長に約定し置候条、右

37

御承引願上候、万一この約定に背きて図書を購入するときは予算も紊乱し、特別図書購入金一万円也に就

ても決算不明と為り候条、御留意願度候也　

云々、受附係清野老人の醜聞問題となる

六日（水）　

明治以後の禅籍調査殆んど終了す、依て其不明の分につき取調をなせり、夕刻学長よりの書面に

つき相談すべく米本君を訪問せし処、病勢依然として頻りニ疼痛を覚へ室内の進退さへ自由ならざる有様、

其間にありて本師並ニ本師妻の病体を見護り炊事までなし居るとの事全く気の毒ニ堪へず

七日（木）　

午前中ニ例の禅籍不審個所の調査を終りし故、午後より磯貝大野両君に其浄書を依頼せり、購入

予定書蔵否取調をなす、本館前館長にも学長老師の書面を示し図書購入費の関係等を伺ひ協議す

八日（金）　

福井教授来館、高価なる春日権現霊験記購入方申出らる、已むなく例の学長書面の写を示し断り

し処、同教授も其非常識と強て干渉を要求するが如き無謀の処置とに呆然たりき、禅籍目録早や古本屋に

出で三円七十銭の値段を附せり、一同大に驚く、而して其出所につき古本屋ニ照会

九日（土）　

玉英堂より十四部の福井教授選択本を持参す、依て館ニて択みしものも追加注文す、午後学監並

ニ新入生歓迎会開かれしが学長不在の為実に締りなき会合なりき、米本君より仏教大辞典売却方申来る

十一日（月）　

明治以後刊行の禅籍目録序引作製、祇樹監事より絵葉書を要求さる、また禅籍目録寄贈に就て

申出あり、尚禅籍目録売上金に就ても疑問あるやの口吻なりし故、一ニ館として取りたる処置並に会計簿

38

につき説明し置けり

十二日（火）　

米本君本月一日より病気欠勤中の処殆んど快復、本日より出勤、玉英堂より第二回注文書十五

部を持参す

十三日（水）　

明治以後刊行の禅籍目録校正を了り其原稿を倉光活文氏宛送附せり、其より玉英堂持参の書籍

を取調べしが、一冊見当らず閉口す、同店へ禅籍目録五部送附、米本君ハ漸く出勤し初めし許りなるに今日

はまた疼痛大分甚しき様子気の毒の至りなり

十四日（木）　

磯貝、大野君ハ新着書整理に予は再び日記浄書を初む、仏教専修学校より同校一覧一部を寄せ

らる、米本君病気再び盛り返し欠勤す

十五日（金）　

村上博士功績記念会事務所より同博士著改訂

愚

（４６）

禿鈔の愚禿草一部を、国民文庫刊行会よりハ国訳

大

（４７）

蔵経の読み方一部を寄贈せらる、大正大学図書館司書及館員四名来観、米本君よりハ病勢悪化絶対安静

を要する事となりし故、当分休学したき旨申越さる、明後十七日は芸草会例会を初めて本館に開催する事

と相成居る矢先にて頗る閉口す

十六日（土）　

芸草会例会出席者四十一名の旨通知し来る、中には米本君病気の為失望する人もあるべし、午

後休館大掃除をなし休憩室並ニ食堂等明日の諸準備をなす、散会ニ先ち簡単なる茶話会を開き種に打合せ

39

を行ふ

十七日（日）　

愈々芸草会例会を本日開催す、集るもの植松安先生、山田正佐会長以下新旧会員参拾五名、婦人

会員も六、七名ありき、本館にてハ図書整理上、建築上何等専門図書館員の参考となる点なく、また特別展

覧に供すべき稀覯書等もなく甚だ遺憾なりしが植松先生の訓話謡曲等もあり誠に愉快に挙行するを得た

るは司書として予の満足する所なると共に磯貝、桑原、大野君等を初め館員諸氏に深く感謝する次第なり、

植松安先生の歌に曰く

　「法の道海のかなたにひろまらん光も見ゆるこの館より」

　

其より一同玉川静嘉堂文庫に行く長沢氏等の説明案内を受け設備完全せる同館を見学し玉川河原を散策

し夕刻散会せり

十八日（月）　

昨日波多野氏より承りし「道楽御指南」と題する映画問題につき調査を初む、斯かる悪映画の材

料に我が図書館を使用し何等結果に就て考慮を払はざる大学当局者ニハ呆るゝの外なし

十九日（火）　

文献書院より国語国文の研究特別号、万葉集の基礎研（

４８）究

を寄贈せらる、また静嘉堂文庫より其

略史一部を寄附せらる（此本ハ一昨日受領）、名古屋明治短歌研究社より漸く注文書着本す、磯貝君欠席、

廿日（水）　

図書購入と其予算問題につき宗務当局の了解を得べく参考書類を持参し態々宗務院に出張せし

40

処折悪くも本日ハ布教講習会開会日とて教学部ハ特ニ七転八倒中、為に目的を果さず蒼皇として引上げ其

弁明書を認め次で本月分の決算をなす、米本君欠勤中なるに磯貝君また出勤せず、館内殊に寂しさを加ふ、

池田竜蔵氏より経済的亡国の危機外二部三冊の書を寄贈せらる、逓信省よりも逓信事業発達史を寄附せら

る　　　　　　　　　　　　　　

廿一日（木）　

決算書作製提出、学長の命ニよる一々の上申書も二通提出、石川県立図書館より加賀藩勤皇始

末一部を東京市役所文書課より東京市史稿市街篇三、四の二冊を寄贈せらる、磯貝君より風邪の為また頬

はれニ付両三日欠勤致度旨申来る、前館長来館さる、依て例の映画問題につき報告せし処、由々しき大事件

なりとて直に学長への報告書を作製し来る、依て之を複写浄書せり

廿二日（金）　

磯貝君本日より出勤す、厄介なる図書購入申請書数通を作る、其より事務所に至り光山学監に

絵葉書問題に就て依頼し更に図書購入手続に就ても宗務院に交渉方依頼せり

廿三日（土）　

鹿田書店、杉田大学堂へ図書注文、午後東美倶楽部古書展覧会に赴き七部廿九冊の書籍を求む、

帰途川口君より五月十四日の一件以来祇樹監事と予との関係兎角面白からざるを心配し居る旨承り、予も

自分の感想と態度につき説明し置けり

廿五日（月）　

午後二時頃より五時頃までの間に布教講習生百名許り参観し大混雑を呈す、会終了後残菓処分

41

の件につき事務所と館員間に生ぜし行違より不快の思をなす、晩餐後米本君の病気見舞に赴きし処、経過

良好一両日中に出勤し得んとの事ニ安堵せり

廿六日（火）　

文献書院より再び万葉集の基礎研究一部を送らる、昨日の一件より出納員一同に注意を与ふ、

其より芸草会の添菜料弐円を以て館員をねぎらふ

廿七日（水）　

久しく病気欠勤中なりし米本君も病ひ殆んど癒え、本日より出勤せらる、新着書報告書を作る、

安部無仏氏蔵書目録より多数の禅籍を選択し其注文書倉光大愚氏方へ持参せしむ、伊藤孜宗師より瞎驢行

を寄贈せらる

廿八日（木）　

米本君ニ無仏氏蔵書購入につき倉光氏方へ出頭を乞ひしが、交渉の結果、香ばしからざりき、鹿

田書店より第二回注文書着、橋本奏者を丸善に遣はし拾壱部拾参冊の洋書を引取る

廿九日（金）　

米本君欠勤、

三十日（土）　

井上書店、松雲堂等より注文書を持参す、午後日比谷図書館其他の館員七名許り相連れ参観に

来らる、大部分ハ先日の芸草会例会欠席せし人々なり

　

42

　

七月

二日（月）　

来る四日限り閉館並ニ学部三年生には七月中貸出を行ふ旨掲示す、窪川書店より注文書を持参せ

しが鎌倉室町時代文学史ハ売切なりき、文部省への図書報告は本館統計より約一万冊過剰に計算しある事

を知る、関岡賢一君より社会調査資料第五を、児玉至玄君よりロシアの真（

４９）相

を寄贈せらる

三日（火）　

例の図書購入と予算の問題につき了解を仰ぐべく再び宗務院に赴きしが、保坂部長、石原宮崎

両主事とも不在にて直接了解を得る能はず、依て竹内書記を通じ我等の意思伝達方を依頼し置けり、新着

書々庫納入の手続履行

四日（水）　

本日限り一般開館を中止せり、昼食後の休養時間中図書配排列法と整理方針につき協議せり、米

本君欠、桑原君も午前中欠

五日（木）　

米本君また容体悪化とか悲惨なりと謂フべし、館員一同に大掃除を命じ更に桑原君指揮の許に過

去帳、雑誌類、論文等を三階より地下室に移さしむ、終て本学期最終の茶話会を開く、司書は本夕倉光大愚

氏を訪ね無仏庵蔵書中館に購入する事となりし図書調を行ふ

六日（金）　

橋本君不動堂より図書を曳き来る、為に終日其整理に没頭せり、其購入本ハ五十部百六拾弐冊に

して四百六拾円五拾銭、稍や高価なれど専門古書肆の附値故致方なし、尚増田某氏も近く宋塹・元塹のもの

43

より五山板等多数に手離さるゝとか、松永大俊氏より

荃汀遺（

５０）稿

二冊を浪速叢書刊行会より増修

改正

摂

（５１）

州大阪地図

一部を寄贈せらる

七日（土）　

新着書々庫納入、米本君欠勤、藤生中嶋君等

に四部叢刊等を整理せしむ

八日（日）　

清野老人姉危篤の報に接し本夕青森県に帰

る九日（月）　

松本書店送本の鏡と剱と玉一三、〇〇は余

りニ高価と思惟し返本せり、桑原君は本夕新潟へ帰国、

九月ならでハ帰校せずとの事、米本君引続き欠勤、事

務室も益々寂莫を加ふ

十日（火）　

昨今両日を費し、阿部氏より購入せし禅籍を

調べ禅籍目録ニ記入、其が為に四部弐拾弐冊の重複本

発見之を返却す

松永大俊氏寄贈『荃汀遺稿』（本学図書館蔵）

44


今日は貴重書類の整理を行ふ、文求堂より古逸叢書を丸善より四冊の洋書を購入す、午後三時

頃より磯貝、大野、橋本三君を伴い銀ブラに赴く、其に先ち米本君来館三度菓子を頂戴す

十二日（木）　

今日も仏教図像集古等貴重書整理をなす、閉館前米本君の添菜を頂く


盆休、司書は神田に至り三省堂、東京堂其他にて禅籍の新旧刊本を取調ぶ

十四日（土）　

盆休


本日よりまた出勤、貴重書整理大体終了す、文部省普通学務局より弁栄聖者の著書五部五冊を

寄贈せらる、此日前教学部主事久保田実宗老師来訪せらる


磯貝、大野、司書の三名は本日より暑熱をも厭はず本整理の準備に着手す、即ち書架につき一々

の図書と原簿との対照調査を行ふことゝなる


販売部寄贈本として購入中なりし「富士に立つ影」完結す、今日も終日書庫内にあって図書調を

行へり


天候陰鬱恰も梅雨中の如く従て気分殊に重苦し、決算書作製

廿日（金）　

図書調査ハ磯貝、大野両君に一任し、司書ハ本日より大蔵経の著者名索引作製を初む、何れの仕事

も一朝一夕に終るものなし

45


鹿田書店目録により多数の書籍注文、東京府学務部社会課より社会調査資料第五を寄贈せらる


米本君一寸来館、経過良好との事、先以て安心、八日青森県に赴きし清野老人帰学す


磯貝、大野両君ハ休暇以来も連日出勤に付、特に祇樹監事に交渉し俸給以外に心附けを与ふ、昨

年度館費決算ニ四月分ニ於て四円の過剰収得ありとの注意を受け早速取調し処、右は全く先方の誤解ニ基

ける事を知り其旨監事ニ説明せり


高貴寺より慈雲尊者全集一部を送附し来る、禅籍目録校正四、五日を費し漸く終る

廿八日（土）　

土曜日に付、仕事ハ午前中にて切上げ午後ハ一同ニて庭球をなす


鹿田書店より廿七部の禅籍着本

三十一日（火）　

昨夜来暴風雨となる本朝も依然としてやまず、されど押して出勤せし処、磯貝大野両君もま

た出勤、気の毒せり、本日を以て執務を切上ぐ、蓋し暑休中の特別勤務も容易ならざればなり、清野老人一

週間前に帰学せしが此度ハ次兄死亡せりとて再び青森県に赴く

　　

八月

三日（金）　

司書ハ文行堂、正金銀行、丸善、近代社並ニ細川書店等ニ出張それ

ぐ館用を果す

46

四日（土）　

丸善より昨日購入せし七部九冊の洋書を持参す、大阪朝日新聞社よりP

rezent

‐Day Jap

an

Coronation Number

二部を寄贈せらる

六日（月）　

若本徳温氏へ図書館新設につき調査返信す、丸善よりまた洋書持参、清水とよ氏より梁山先生遺

著日蓮宗綱（

５２）要


七日（火）　

連日天候不良にて碌々書庫を開き風を通し得る日もなし、明日は愈々立秋といふに土用中の晴天

僅かに三日驚くの外なし

九日（木）　

東京市役所文書課より大都市行政比較調査報告第四輯都市教育行政一部を寄贈せらる

十二日（日）　

珍らしく磯貝君大野君等来学、終日炎天の下に庭球をなせり


土用中雨天続きのみなりしが漸く天候も定まりし様子、依て今日は書庫を開放し図書のカビ拭

いを行はしむ、大久保道舟君来館、一時に数百冊の図書借覧を申出られ大に迷惑す、高田前館長より栃木県

下の某寺に眼蔵の珍写本ある旨通知を受け早速寄贈依頼状を差出す

十四日（火）　

大久保君連日多数の書を要求し奏者は閉口の有様なり

十五日（水）　

東京府学務部長宛図書館統計に関し報告す、杉田大学堂へ図書注文


乙部呑海氏を其自坊に訪ね、図書館蔵書印の彫刻を依頼せし処快く承諾を受く

47

十八日（土）　

今日は午後二時過まで就務、勝峰清幹氏より三部三冊の禅籍購入、前奏者清水宗之助君来訪す

十九日（日）　

猛雨を犯し清水君を送るべく出京、序ニ丸善に赴き四部四冊の洋書を求む、留守中磯貝君友人

と共に来館、予の帰宅を待居るとの事ニ早速出校、該友人に禅籍目録を一部譲る

廿日（月）　

午前中出勤、会計調を行ひしも其半ばニも達せず、依て夜更に継続午後十一時に及ぶ


森田組主人森田錠三郎氏一店員と共に来館、修繕個所の巡検をなす、司書は始終其側を離れず

案内旁ニ不良個所を指摘し速に根本的修理を行はれたき旨督促せり


乙部呑海氏より小蔵書印出来したりとて其印影を送らる、警視庁工場係来館、気缶の定期検査

を執行す


勝峰氏来訪長談義に妨げられし為午後三時までも執務せり、板原闡教氏より仏伝関係史料二部

を送附せらる


Arthur Probsthain

より六月三十日附注文の洋書大部分着本す、其整理の為午後まで執務せり

廿九日（水）　

館員一同ヘ来月三日より出勤執務せられたき旨通知す、尚学部三年生に対しても同日より館外

貸出を行ふべき旨掲示す

三十日（木）　

正金銀行支店に赴き外国為替を取りA

rthur Probsthain

ヘ送金す

48

三十一日（金）　

前川清二氏より円覚経頌（

５３）義

一部を寄贈

せらる

　　

九月

三日（月）　

本日より館員総出勤漸く賑々し、但し事務員

ニてハ桑原君出納係ハ中島小林の二君欠、庄司氏本朝

女児を挙ぐ可祝、加藤宗厚君よりメリルの分類規程一

部を寄贈せらる

四日（火）　

藤生君本日より世中の補欠試験を受けニ行

く五日（水）　

橋本奏者を愛知社に遣はす

六日（木）　

石黒魯平教授より都市の教育並ニ行政ニ関

する図書雑誌等十一部四十七冊を寄贈せらる、司書ハ

午後宇佐美小使、庄司氏を指揮し垣根造りをなす

前川清二氏寄贈『円覚経頌義』（本学図書館蔵）

49

七日（金）　

磯貝君大掃除ニて欠席せし為、予ハ大野君を援け書庫ニて図書調をなせり、内山書店より仏説

優婆塞

五戒相経箋要並補釈一部を寄贈せらる

八日（土）　

藤生奏者世中に入学せし為、辞任申出

十日（月）　

中村林盛氏より勤皇

家

杉

（５４）

山対軒先生小伝一部を寄贈せらる、明十一日より愈々今学期の授業始め依て

今日ハ一日休養とす、橋本奏者を丸善ニ派遣す

十一日（火）　

本日より正式に執務開館、出納主任後任につき米本君と打合せを行ふ、伊藤古鑑氏より其著和訳

解呪

禅

（５５）

宗日課経新釈一部を、またお伽旅行中の館員桑原氏より林檎一箱を寄贈せらる

十二日（水）　

新着書受附、寄贈書礼状等山積せる事務を処理し、机辺清しさを覚ゆ

十三日（木）　

末永、川口両君の推挙により山田憲定君を出納主任として雇入れし処同人は全然ローマ字を解

せずとの事、依て即日主任の名義を解く、尚米本君と出納事務を中心に種々協議の結果明十四日より午前

八時開館、午後五時閉館に改む、忽滑谷学長より三家亀鑑二部を寄贈せらる

十四日（金）　

昨日入館者の靴、下駄一足づゝ紛失せし処、今日もまた靴一足紛失せし旨届出ありき、頻ニたる

盗難事件に閉口し事務所に届出しが、評議員会開催中にて責任者と交渉するを得ざりき、井上書店より多

数の書籍を持参す

50

十五日（土）　

今朝履物紛失事件につき学長老師に申告、其結果館内持込自由の旨承認を受く、近来出納係員

による閲覧統計杜撰を極む、依て午後は司書自ら之を行ふことにす

十七日（月）　

本館仏教部の分類草案を浄写し、佐藤泰舜氏に送る、同君の批評を受けんが為なり

十八日（火）　

桑原君漸く帰学本日より出勤す、佐賀高等学校仏教青年会より高祖大師に関する著述、伝記、及

其宗義研究資料につき事務所宛照会し来りしを更に本館に廻附し来る、依て司書は詳細なる返信書を作り

差出すと共に禅積目録一部を同校に寄贈せり、更に栗山泰音氏へも遅蒔ながら一本を寄贈せり

十九日（水）　

更に仏教部分類草案を筆写し、加藤宗厚君に送る、清水、荒木、研究社等より多数の書籍来着、受

入事務に没頭す

廿日（木）　

事務所に来訪者あり、「秩父宮殿下と節子姫」と称する書を持参し、購入方申出しも予は断然拒絶

せり、価格の不廉、非参考書、勢津子を節子とせる点、及び該商人の態度に不穏当の点を認めしが為なり、会

計調を始めしも雑用に妨げられ半ばにも達せざりき、橋本奏者を丸善に遣はす、国井憲道氏より正法眼蔵

面受巻開講偈講義一部を世界文庫刊行会より和漢英　

三文対録

古

（５６）

事記神代巻一部をそれ

ぐ寄贈せらる

廿一日（金）　

磯貝、大野両君主となり七月以来調査中なりし原簿と図書の対校大部分終了す、依て一時之を

休止し新着書整理を依頼す、乙部呑海君より館印彫刻につき照会あり直に返信す

51

廿二日（土）　

午前中館務処理午後米本君と共ニ矢来倶

楽部古書展に赴き約十種許りの古書を求む、帰途北

沢書店に立寄る

廿四日（月）　

彙文堂ヘ多数の漢籍注文、高尾、本吉、開

拓社、清水書房等より多数の納入本あり多忙を極む、

館員桑原君より「汗に濡れつ（

５７）ゝ

」等五部五冊の書籍を

寄贈せらる

廿五日（火）　

三階洋式便所の修繕、窓硝子の修理につ

き技師に申出、東京歯科医学専門学校より「野口英世、

其生涯及業（

５８）蹟

」二部二冊を寄贈せらる、宇佐美老人地

下室入口にて頭部を負傷す

廿六日（水）　

司書は米本、桑原両君と共に宮内省図書

寮落成記念展覧会参観に赴く

廿七日（木）　

米本君により整理中なりし独逸書（先年

東京歯科医学専門学校寄贈『野口英世其生涯及業蹟』（本学図書館蔵）

52

衛藤教授在独中購入を受けしもの）の登録漸く終了す

廿八日（金）　

清水梁山先生遺書取扱につき相談を受く、購入予定書につき在否取調をなす

　　

十月

一日（月）　

彙文堂、丸善、玉英堂より多数の書籍来着、受入整理ニ没頭す、磯貝、大野両君は米本君を援け独逸

書の函架書込に従事す、熊本県下益城郡支会より名僧鉄（

５９）眼


二日（火）　

司書は家内に病人あり欠勤す、午後館巡視中山田出納員につき川口義雄君より種ニ申出ありき

三日（水）　

司書は午前中二時間程出勤、九一堂、健明舎、日本魂社及びD

eperment of Education

等よりそれ

ぐ図書を寄贈せらる

四日（木）　

司書は本日も欠勤

五日（金）　

司書本日より出勤、独逸書の函架書入を終り索引作製に着手す、東京市役所文書課、同社会局、若

本徳温、南禅寺等よりそれ

ぐ発行本を一部づゝ寄贈せらる

六日（土）　

東美倶楽部古書展に赴き米本君と巡見十二部参拾弐冊の書籍購入

八日（月）　

去月廿八日警視庁衛生試験所ニ於て浄化装置の汚水検査を執行せし処適水と認められし旨、経塚

53

工務所より通知を受く、先月十三日入館せし山田憲定ハ一ヶ月にも充たざるに一身上の都合と称し遂に辞

任申出、依て当分其補充を行はざることにし事務所の了解を得置けり、米本君は渡辺氏在欧中の購入本整

理ニ着手す、市役所文書課より市政概要一部を橋本奏者より二部二冊の小冊子を寄贈せらる

九日（火）　

学長老師令息遠藤初一君病没せらる、依て司書、米本、桑原の三名より荻窪に出頭弔意を表す

十日（水）　

橋本奏者より徳翁良高和尚示衆一部を寄附せらる、販売部名義ニて国漢受験参考書三部を備付く

十一日（木）　

東洋図書刊行会ヘ日本儒林叢書申込、市政調査会ヘ「都市問題」の寄贈方申出づ

十二日（金）　

故清水梁山先生蔵書全部を館ニて一時預かることゝなり先方より持参す、其紙包み個数八十五

個十四日―

廿一日　

秋期臨時休業、此間館員諸氏は大正天皇の御陵及び高尾山参詣をなし秋の武蔵野を散策、

司書は家族連れニて郷里ニ帰り其序ニ伊勢神宮ニ参拝す

廿二日（月）　

本日より一同出勤、一週間不在の為新着図書山堆容易ニ整理し得ず閉口す、其数寄贈本を合せ

て四十部壱百九冊に上る、岡本一平、静岡県立葵文庫、啓明会、立正同窓会及び前本学講師N

yanatiloka

諸氏

より五部五冊を寄贈せらる、乙部呑海師より予て依頼中の木印を届けらる、藤善靴店より御用商人となり

し挨拶ニ菓子一包持参す

54

廿三日（火）　

今日も庶務ニ没頭す、会計決算書漸く成り夕刻監事ヘ届く

廿四日（水）　

乙部君ヘ礼状を、其他注文書等十余通の発信、釈種蓬仙師より仙珪和（

６０）尚一部を斉藤道痴師より

洞上法系大鑑一部を寄贈せらる

廿五日（木）　

米本君豪徳寺ニ赴き碧岩考弁提の真筆か否かニつき調査をなす、更ニ深沢不動堂ニ倉光氏を訪

ふ、

廿七日（土）　

倉光大愚氏より十

（６１）

規論、真歇和尚拈古、禅家亀鑑、当尓和尚普説の四部四冊を、田村直臣氏より

宗教々育の手

（６３）

引１一冊をそれ

ぐ寄贈せらる、新着書の書庫納入及び陳列替を行ふ

廿八日（日）　

史料編纂所の新築移転記念展覧会を見る

三十日（火）　

販売部名義ニて二部の宗教劇ニ関するものを備付く、臨休后既ニ一旬而も連日の雨ニて全く困

却す

三十一日（水）　

予て問題ニなり居りし日置禅師の著書編述に関し該編者高橋悠久氏ニ詰問的質問書を差出

す、硝子磨液ハラボントリオ一折を事務所の了解を得て注文す、笠森伝繁教授より最近政治外交史下（

６４）巻

を、

事務所より秩父宮殿下と勢

（６５）

津子姫を寄贈せらる

55

　　

十一月

一日（木）　

司書ハ来客の為午後欠勤

三日（土）　

明治節ニて休業、本日より三日間大学主催ニて大礼奉祝記念大講演会開催せらる、今日は其第一

日ニて会場ハ大学なり

四日（日）　

青山会館ニ於ける第二日目の記念講演会ニ随喜、聴衆頗る僅少手伝ふべき仕事も碌ニなかりしニ

晩餐の饗座を受け却て恐縮す

五日（月）　

報知講堂ニ第三日目の記念講演会開かれ館よりは米本桑原両君出頭す、京都佐々木惣四郎書店よ

り福井教授選択ニかかる多数の書籍着本す、福田原子氏より死生超（

６６）脱

一部を寄附せらる

六日（火）　

聖上陛下京都ニ於て御即位式を挙行せらるべく、本朝八時御発輦遊ばさる、館よりハ桑原君代理

し磯貝学生等と共ニ徹夜して宮上前芝生席ニて奉送す、米本君欠席

七日（水）　

勝峰清幹氏より和歌禅（

６７）話

一部を寄附せらる、清野老人一昨日来病気（風邪）欠勤

八日（木）　

新着書報告書成る、予て注文中の文官、武官、女官の束帯人形着す、宛然雛人形を稍や大きくした

るが如し、而もその代参百五十円何人も値段を聞き驚かざるものなし、松竹会社より再び館を利用し撮影

の申出ありしとて、祇樹監事来館せしが先回の撮影許可が図書館界二大問題を惹起し、我等当事者の大ニ

56

迷惑を感ぜし旨を述べ断然拒絶せり

九日（金）　

三田隆真氏より其著心

（６８）

清集一部を寄贈せらる、事務所と館との間に校内電話架設せらる、清野老

人ハ尚風邪と称し欠勤

十日（土）　

御即位式ニて休業

十二日（月）　

文求堂より多数の図書を持参す、此頃のピンポン熱の盛なること驚く許り、事務所方面よりも

尚勤務時間中なるニ押かけ閉口す、寧ろ無くもがなの感を懐くに至る

十三日（火）　

閲覧統計表を改むべく其準備として製図ニ没頭す、佐々木惣四郎書店送本の奈良絵本、志田及

里延年集ハ一時返却ニ決し其手続を取る、米本君ハ青松寺前住遷化弔問ニ出頭す、祇樹君の紹介ニより卓

球熱講師間ニも曼延し時間外頻ニと使用喧騒を極む

十四日（水）　

大嘗祭ニて休業

十五日（木）　

草人堂より製本持参

十六日（金）　

大饗宴第一日にてまた休業

十七日（土）　

愈々御大礼も終了し臨時も昨日を以て終ったから今日からはと言ひたい処だがまた明日は休

み、従て一向ニ緊張せず、四月以后の各科別統計表作製を初む

57

十九日（月）　

乙部呑海氏より其著公案の芸術的種ニ相二部を寄贈せらる同時に石印篆刻の見事なる蔵書印

をも届けらる不堪感謝、先ニ同氏から寄贈された木印は同氏の希望ニより返却した、大野磯貝両君ニ統計

の手伝を依頼す、司書は帰宅后も統計事務に没頭した

廿日（火）　

琳琅閣より劉文清

公書

金剛般若波羅蜜経一部を寄附せらる、勝峰清幹氏頻ニ来館、其都度未蔵禅籍を持

参せらるゝ事ハ館ニ取りて何より嬉しいが近来ハ少々高い様だ、午後から夜ニかけ大ニ閲覧統計を取る

廿一日（水）　

会計調を行ひ請求書提出、太祖大師降誕会ニて午後休館

廿二日（木）　

四月以后の閲覧統計調漸く終了す、四、八、九、十、十一月分ハ司書之を行ひ五、六、七月分ハ磯貝、

大野両君を煩はした、文部大臣官房文書課より文部統計摘要を、市政調査会より東京市社会事業批（

６９）判

を寄

贈せらる

廿三日（金）　

寸陰を惜み懸命ニ館務ニ従事しつゝある司書の背部に悪戯をなせるものあり、而も其を知り

つゝ他の館員全部が黙殺嘲笑の態度に出でし事ニ憤慨し先づ橋本奏者を叱責し続いて館員一同に向つて

も近来緊張気分なく執務中も喧騒を極むること多く反対ニ遊戯にのみ熱中するの不可を指摘し厳重に戒

飭を加へたり、帰宅后橋本奏者詫に来る

廿四日（土）　

司書矢来倶楽部古書展並ニ丸善ニ赴き、帰途渋谷ニて軽傷を負ふ、蓋し昨日の問題の為平調を

58

欠き居りし為ならん

廿六日（月）　

桑原君欠席、新着和装書を書架に納入す、此夜学生の閲覧状況調査を行ふべく其名簿作製に着

手廿七日（火）　

大礼の諸儀停りなく終了、本日を以て聖上陛下還御あらせらる、依て奉迎の為諸科休業となり

しが人員ニ制限あり、館よりは出席するを得ざりき、午後より夜に亘り閲覧者調の名簿作製を終る

廿八日（水）　

佐藤泰舜師より仏教美術雑誌「寧楽」購入に関し紹介状来り早速返信す、桑原君より仙台行の土

産を貰ふ


米本君より相馬信斎先生伝一部を貰ふ、正午頃台湾総督府図書館長山中樵氏及台北帝大図書館

司書来訪せらる

三十日（金）　「瑞石遺芳」の件につき永源寺出張所執事来訪す、伊藤伊商店よりカードを持参せしが汚損甚し

く其分の代金仕払を延期せり、学監より思想涵養叢書の購入方申附らる、文化商会より童話絵話の理論と

実例を、永源寺執事より寂室和尚御伝記壱部をそれ

ぐ寄附せらる

　　

十二月

59

一日　

内閣統計局より大正

九年

国勢調査報告全国

の部

第（７０）一を寄贈

せらる、磯貝、大野両君講座本の製本準備ニ忙殺せら

る三日（月）磯貝君、橋本君欠席、清野老人ハ一週間程以前

より廿七八歳の青年を引入れ自己の代理を行はしめ、

或ハ政子とか称する若き婦人を毎夜自室ニ宿泊せし

め居るの噂あり館員間に問題化す、立正教授某立花

教授を介し再訪書庫拝見を願ひ出づ依て桑原君ニ案

内方を頼みし処、禅関係の定期刊行物の存否を調査

し行きしとか

四日（火）　

磯貝君欠、桑原君午前中欠、司書は大野君と

共ニ閲覧統計作製ニ没頭す

五日（水）　

大野君と司書とは統計事務ニ没頭前后ニ桑

原君の助力を得漸く閉館間際ニ終了す、磯貝君尚欠

内閣統計局寄贈『大正九年　国勢調査報告　全国の部第一』（本学図書館蔵）

60

勤、浜名祖光氏より日韓正宗溯源一部を寄附せらる

六日（木）　

文部省より専門部の諸事項調査ニ来る、予等は統計を終りし為事務所任せにして他の館務ニ従事

す、磯貝君出席せしが尚頬のはれ全快し居らず苦しそうに見ゆ

七日（金）　

清野老人問題につき山上前学監を訪ね報告し処分につき領解を仰ぐ、次で午後真島間三郎氏を訪

ふ、磯貝君病勢昂進の為また欠席、橋本君を丸善及正金支店へ遣はす

八日（土）　

光山学監を訪ね清野老人解雇の件ニ付打合せをなす、磯貝君欠、宇佐美老人も昨今就床

十日（月）　

外国郵便三通を作り発送、勤務時間中事務室訪問者多く閉口す、清野老人ハ例の若者に任し不在、

宇佐美小使も尚暗室に閉ぢ篭る、清野老人の后任として交渉中なりし間島氏より断り来る

十一日（火）　

宇佐美小使漸く起床、館外帯出者一同へ学期末の請求書発送

十二日（水）　

先週中より引続き欠勤中なりし磯貝君十一時頃出席されど尚不快の趣なり、東洋文化協会員来

訪其態度不遜ニて嫌気を催す

十三日（木）　

学長老師より来学年度ニ卒業すべき学部学生（現在学部二年生在籍者）に対し、来学期（一月）よ

り論文提出期まで満一ヶ年間館外貸出を行ふべき旨命ぜらる、序ニ清野老人の件ニつき報告せし処学長老

師も直ニ断る様申渡さる、磯貝君また欠勤、東奥日報社より青森県総（

７１）覧

一部を寄贈せらる、販売部名義ニて

61

釈尊物語一部備付

十四日（金）　

清野老人に依頼せし閲覧票の学年別変更成る、磯貝君尚欠席、鹿田書店より注文書を送附し来

りしが同店として送料壱円を請求し居るに渋谷駅ニて更に九拾銭を要求さる、本当に仕方（鹿田）がない店

だ十五日（土）　

青年子女の親閲あり為ニ学生も出席する故臨時休業となる、依て司書ハ正金銀行支店ニ赴く

十七日（月）　

学長老師より清野老人ニ今学期限り解職の旨至急申渡すこと並ニ後任として阡陌藤枝さんを

採用すべき旨申附らる、夜上野翠松園に於て大学の忘年会開かる、来会者学長老師初め四十三名頗る盛な

りき、陸鉞巌師より西航行脚記布鼓を、立教大学同窓会より欧文の同学一覧を安宅弥吉氏よりSuzuki,D

.T.-

Eessays in Zen 　

Butthism

を寄贈せらる

十八日（火）　

光山学監と司書と立会の許ニ清野老人に今学期限り解職の旨申渡す、予科並ニ専門部の試験開

始せらる、年一回の定期刊行物礼状発送の準備をなす

十九日（水）　

学部卒業生ヘの館外貸出は十七日限りの旨並ニ来学期よりは学部二年生（来学年度に卒業すべ

き学生）に対し同様貸出を行ふべき旨報告す、叢書索引を作る、橋本奏者より洞谷山永光寺（

７２）誌

の寄附を受く

二十日（木）　

年一回の定期刊行物礼状発送、再び統計表印刷の原稿を作る、西脇玉峯氏より廻潤集二冊を寄

62

附せらる、今夕前館長を招き会食す、集るもの主賓の

外米本、桑原の二君と予

廿一日（金）　

愈々試験終了に付午前中にて閉館、午後

は大掃除執行其より年末慰労兼清野老人送別会を開

きしが、老人ハ何時しか外出不在一同ニて大ニ談笑

す、司書は会計調ニ従事せしが終了せず帰宅后漸く

にして出来せり、江田俊雄君より禅門五宗綱（

７３）要

一部

を寄贈せらる

廿二日（土）　

磯貝君と共ニ司書は新着書を書庫ニ納入す、大野君ニハ十二月分の統計を依頼す

廿三日（日）　

東美倶楽部古書展に赴く

廿四日（月）　

本学期の事務納め、依て出来得る限り新着書を整理し書架に納入す、午後佐野商店より錠前取

付に来り四時半頃其工を終る、之ニ先ち清水書房より年末の挨拶を受け一同ニて最終茶話会を開く

廿七日（木）　

文求堂、伊藤伊、杉村履物店等ニ赴き支払をなす、文求堂ニて井上

支那語辞典一部を寄附せらる

江田俊雄氏寄贈『禅門五宗綱要』（本学図書館蔵）

63

　　

昭和四年

　　

一月

四日（土）　

司書は単独ニて出勤、昨年末以来の重なる事務を処理す、今成覚禅氏より其著仏教最后の地（

７４）点

一

部を音声学協会より音声の研究第二を寄贈せらる

六日（月）　

司書は正金銀行支店、丸善等に赴く、其中堂ヘ第二回注文書発送、学部二年生ニ交附すべき図書滞

出券を作る

八日（火）　

奏者等に掃除を行はしむ

九日（水）　

本学期の授業開始さる、本日より受附係として赴任せられし阡陌藤枝氏の歓迎を兼ね新年茶話会

を開く

十日（木）　

本日より開館す、其中堂及W

.Heffer

より多数の図書着す、事務用基本カード記入に関し打合せを

なす、日華書房並ニ国際美術社員来訪す

十一日（金）　

国際美術社より古事類苑の欠本届く、高橋蔵海君より曹洞宗史（

７５）要

、金剛経講（

７６）解・冠導

心

（７７）

経顕密詮の

三部三冊を、光融館よりハ日この信仰と工夫壱部を寄贈せらる

十二日（土）　

入館者の閲覧回数調を阡陌氏に依頼、勝峰清幹氏より数部の禅籍購入

64

十三日（日）　

司書頭痛甚しく駒沢診療院ニて受診す

十四日（月）　

水上興基氏より梵音大悲呪等三部四冊の仏書を、石井光雄氏は一帆風一部を、勝峰氏ハ妙心寺

布達壱冊を寄附せらる、橋本奏者につき米本君と打合せをなす

十五日（火）　

本日より愈々本整理を行ふ準備として先づ事務用カードの記入を初む、磯貝大野両君主となる、

石黒魯平氏より岡倉先生記念論文集一部を寄贈せらる、司書病気減退せず校医月江氏の診療を受く、橋本

君欠勤

十六日（水）　

福富泰蔵氏より其著循環的進（

７８）化

を寄贈せらる

十七日（木）　

司書は月江医師の注意により当分自宅にて静養することゝなる

廿日（日）　

司書は血液検査の結果チブス有菌と決定、直に入院すべき旨月江医師より通知来る、依て本月分

の決算書作製に着手、夕刻米本君の来着を待ち、一切を一任して伝染病研究所に入院す

　（以下、入院中の記事は米本君の備忘録により転載す）

廿一日（月）　

中央大学より学員名簿を、日本仏化新青年会より金剛経提綱を、佃与二郎氏より将門公正伝を

寄せられ、其れ

ぐ礼状発送す、歴史地理科の和漢書目録出来し之を事務所ニ届く、事務の内容シックリ呑

込めず稍や閉口す

65

廿二日（火）　

本月分の請求書作製を終り祇樹監事に提出す、松村印舗より事務用カードに押捺すべき印三個

を受取る

廿三日（水）　

軍事教練査閲ニて午前中休館、仏教学研究室並ニ特別閲覧室を査閲官等の休憩並ニ食堂として

使用したき旨事務所より申出あり承認す、大野君親族に不幸生じ十時頃帰宅、玉英堂より禅籍目録五部送

本方申来る、宗務院竹内君より登録用レッテル百枚寄附有之度旨古池哲英君を使者として申越され承認右

使者に付与す

廿四日（木）　

法政大学出版部ヘ標準洋書目録法一部注文、清水書房より会計帳簿持参、照会するに一ニ疑問

あり、再調査せられたき旨を以てす

廿五日（金）　

東京市役所より「東京市各経済財政計画概説並附（

７９）図

」六点を寄贈せられ礼状発送す、四谷区花園

町一〇美術社より「支那書画大観」を「唐宋元明名画大観」と改題発行し送本する故着次第代金四拾八円仕

払方申来りしも主任不在ニて予約の有無も判明せず依て暫く送本中止せられたき旨申送る

廿六日（土）　

高祖大師降誕会ニて午後休館、受附ヘ絵葉書百組渡す、全国師範学校長会議出席者中の有志参

観ニ来る

廿八日（月）　

富山房より大日本国語辞典索引五部送附し来る、米本祇樹監事と共に館員一同を代表し小川司

66

書の病気を見舞ふ、経過頗る良好との事、紹慶密応氏より小冊子四冊を寄贈せらる

廿九日（火）　

荷田全集中のもの殆んど館本として見当らず、右は国文学並ニ史学の参考書として必要と認め

国際美術社へ月賦払にて注文す、清水書房ヘ本月分の本代を仕払ふ、幕末明治文化変遷史の購入方再び請

求し来りしも急を要せざるものと認め断然拒絶す

三十日（水）　

熊本県第二師範学校長長谷川藤太郎氏へ新井禅師の著書を通知す、勝峰清幹氏禅籍持参七点十

冊にて弐拾円との事近来何となく高価に思惟せらるゝ故、図書費削減を名として謝絶せり、午後三時五十

分米本師匠遷化の旨通知あり、地歴科の洋書追加記入の調査一応終了せし故、之をカードに繰入れたる後

教務に廻す様依頼して急遽帰宅す

三十一日（木）　

米本欠勤、

　　

二月

一日（金）　

二日（土）　

米本欠勤、入院中の小川主任平熱に復す

四日（月）　

香資返礼旁ニ出席、時計掛の仕事に付菅原技師を招き位置方法等につき相談の上仕事請負人ニ依

67

頼す、米本初七日逮夜且つ御礼廻りの為午後欠勤す

五日（火）　

小林君代表となり閲覧室の大掃除を行ひたき故休館を乞ふ旨申出ありしも、出納手にて毎日行ふ

筈に付一日の大掃除以外の休館ハ以ての外なしと叱し、更に書庫各階と共ニ分担励行すべき事を命ず、宇

佐美小使も近来掃除怠り勝に付、注意し特に便所等の掃除を命ず、館用上草履また欠乏を告げ大学小使を

通じ一百足購入代金は小川主任の時と同じく一足八銭の割、丸善ヘ橋本君を派遣す、大阪九一堂ヘ同叢書

を取纏め寄贈されたき旨申出づ、宗務院横関師より宗典史料編纂会の写本を目録と共に届けらる、依て目

録と対照して受取る、時計掛の仕事終了す、桜井大典師来館、乙部呑海氏より「悟りへの道程」を東京市役所

文書課より「我国に於ける都市協議機関」を京都市長より京都名勝誌並附図を寄贈せらる

六日（水）　

研究社英文学叢書のカードを洋書の部に編入す、京城帝大司書関野真吉氏来館視察の上諸事調査

せらる、購入費は年額廿五万円の由、僅ニ一万円の購入費を半減せられんとしつゝある本館とは桁違ひな

りし、整理事務ニつき意見交換得る所ありき、巴梵両語本につき依頼を受く、世田谷局長より「健康増進の

為家庭生活を如何に改善すべきか」と称する論文集を寄せらる、主任は二舎十一号室に転じ経過益々良好

の由

七日（木）　

学長老師を通じ村上素道師の手を煩はし天童如浄禅師行録聞解二冊の写本を受く、此代拾弐円

68

〇八銭なり、福井教授より国文学註釈叢書の購入方及特価ニ就て申出あり

八日（金）　

事務所より統計年鑑の購入申出あり、立花教授よりR

igveda

の購入方及教科用として巴利後の本

を購入し、館に備ヘ置かれたしとの要求あり、主任と相談の上返事致すべく答ふ、主人夫人来館再び清水先

生蔵書に就て注意を乞はる、依て館員諸氏にもその旨を通ず

九日（土）　

榑林皓堂氏本師遷化せらる、依て葬儀参列の為午後欠勤す、高橋竹迷師来館、明日三州妙厳寺に赴

かるゝ由而して「禅韻句集」著述の為先ニ譲りし即非禅師語録の貸出を願ひ出られしが教職員以外への館

外貸出ハ行はざる規程ニ付其旨主任ニ伝ふべく返答す、尚灌伝記の写本を申込まれしが此分ハ橋本君ニ依

頼せり、学長より懐古（専門部卒業生アルバム）を寄贈せらる

十一日（月）　

紀元節

十二日（火）　

米本君二七日法要ニ付欠勤


国際書房よりヘーゲル全集代（巻二、十一、十三）未納の旨督促あり、館帳簿振替用紙を取調べし

処既ニ支払済なること判明、更ニ祇樹監事の振替控をも調査せしが何れも支払済ニ付其旨返信す、中央仏

教社より禅籍目録壱部申込あり直に承認す、祇樹氏を通じ宗務院竹内実明氏より登録用レッテル五十枚の

交附を申出られしも再三の事にて迷惑至極に付伊藤伊商店を教へて断る、小柳教授より図書購入の申出あ

69

りしが多額のものニ付主任ニ照会す

十四日（木）　

磯貝君父母並ニ兄君旅行ニ付留守番の為今明日欠勤申出で本日より欠席、祇樹監事より皇后

云々の書を学監の命ニより購入する旨申伝へられしも館としてハ購入費の関係上不可能ニ付事務所とし

て購入館へ交附されたしと答ふ、宗典史料編纂会本の取扱を如何ニすべきかニつき文書を以て教学部長ニ

伺書を提出せり

十五日（金）　

主任より返信あり小柳氏申請本購入に決す、立花教授よりリグベイダ代金を百弐拾五円に割引

する旨を申出らる、此金子にて巴利語教科書を購入し着本後、大学又は館に代金支払方を交渉すと、祇樹監

事曰く図書購入費は宗務院の議にて金五千円ニ半減され如何とも手段なし、小川氏にも其旨通知し置かれ

たしと而して文部省ヘハ一万円して届出づとの事、困ったものであると同時に其無理解に驚く、中央大学

図書館より三名参観に来る、五十万円にて新築に付其調査に巡回し居るとの事、禅籍目録懇望ニ付同図書

館ヘ一部と絵葉書を三名に一組づゝ頒与せり、富山房より国語辞典第一巻二冊着本す、安心問題につき原

田師派側ニ於てパンフレット発行宗会開会ニ際し議員間に運動すとの説あり、大学側も之に対抗し第一義

ニ検討号を出す事ニなり学長ハ別にパンフレット配布の由なり、而して之が編輯に榑林、米本の両君責任

者となることに決す

70


卒業生予餞会につき午後休館す、橋本君欠席、宗典史料委託本の記入とカード作製を終り指令

を待つのみなり、本日午後小川司書退院されたしと

　　　（以上、小川司書入院中の記録、米本手記ニよる）


文求堂ヘ小柳氏申請本を注文す、丸善ヘ洋書二三冊注文、序ニW

eukstern

の日本書史第一巻に

つき照会す、小川司書退院挨拶ニ出頭す、仏教科一年森隆定の靴紛失す

十九日（火）　

小川司書本日より出勤執務、学長老師より来学年度の図書購入費ハ宗務院ニ多額の負債（弐拾

壱万八千円）あるを以て五千円に減額されし旨申渡さる（但し経常費ハ別）更ニ地歴科増設の場合ニハ新設

費として五千円下附せらるゝ故、其内図書購入費も大分割当ニ得る予定との事、欠勤中の事務見閲、清水書

房ヘ通知す

廿日（水）　

松雲堂、本吉書店ヘ図書注文、文求堂より注文書を持参す、東洋文庫よりA

merican Foreign Policy

t

■waret Japan D

uring the Nineteenth Century　

一部を寄贈せらる、司書は伝研行の為午后早引


十四日教学部長宛照会せし宗典史料委託本の取扱に関し昨日附を以て返信ありしが、凡て特別

扱ニて保管願度、従て館内にての閲覧は自由なるも館外持出は御断とあり本館の事情ニ暗き為の返信ニて

致方なきも当方としてハ迷惑の至りなり、明治大学より禅籍目録二部申込あり、米本君事務用カードの書

71

名をタイプライターにて打初めんとせしが、幾多の疑問起り他の図書館見学後に延期し事務用カードを分

担記入することゝす、昨夕刻五時頃中村小太郎方倅発作的狂暴を演じ、本館地下室の硝子参拾参枚を破壊

せり、依て早速小泉硝子店ニ命じ修繕の手続きを取る


硝子戸修繕成る、丸善よりウエンクステルン日本書史第一巻の外注文取消に関し返信あり、本

月分請求書を祇樹監事に提出す、清水書房ヘ決算の誤謬を指摘し、併て未着本の督促をなす、コロンビア大

学ヘ目録寄贈の礼状を発す


文求堂ヘ昨年十一月購入本の落丁補充ニ付発信、更生閣ヘ大日本書史第一巻購入に関し更に依

頼状を差出す、消火器購入を受け取附をなす、祇樹監事より硝子修繕費は当然本人若くは其家族より弁償

せしむべきものなりと申来る

廿五日（月）　

中村小太郎氏方並ニ交番を訪ね、狂人家族の状態並ニ損害賠償の件につき調査せし処、本人若

くは其家族より弁償せしむることは到底不可能なるを知り、更ニ其旨を具し祇樹監事に交渉し全部大学を

して負担せしむることに談合解決す、日華書房へ続古逸叢書申込、村上素道氏へは其著孤雲禅師御伝記寄

贈方申出づ

廿六日（火）　

司書病気全快礼廻りの為欠勤す

72

廿七日（水）　

洋書の注文すべきものを取調べ丸善仲間課へ注文、更に其中堂へも和書注文、森江書房より永

平発菩

（８０）

提心二部を寄贈せらる

廿八日（木）　

未着雑誌の督促状を丸善へ、更に科学画報欠号を笹原氏へ注文す、其他雑件整理、漸く旧状態に

復す、立花教授より購入せしリッグベーダ代ハ事務所ニて立替支払済なることを知り早速持参せしむ

　　

三月

一日（金）　

笠松伝繁氏を通じ蜷川新氏より其著亜細亜に生

（８１）

きる途等五部五冊の書を寄贈せらる、司書は過去

の日誌記録に着手す

二日（土）　

教友新聞社より昨年一月以降一ヶ年半分の誌代請求集金郵便来りしも、取調の結果本年四五月分

まで支払済なることを知り、集金を拒絶すると共に抗議書を差出せり、午前中に橋本君を丸善に遣はし午

後ハ休館し一同にて大掃除執行、其より茶話会を開く

四日（月）　

休日の後を受け小包新着書等多数着本す、中央仏教社より「正しき信（

８２）仰

」一部を寄贈せらる

五日（火）　

館員補充につき事務所ニ出頭申出しが、更に之を申請書として文書ニて提出す、更に貴重書架並

ニ研究室用書架新調ニ付申請書並ニ理由書を提出すべく其草稿を作る、前館員倉沢実竜君再び雇はれたき

73

旨申出づ、李添春君より金剛経科（

８３）儀、禅門日（

８４）誦の二部を寄贈せらる、本日より学年末の試験開始ニ付米本君

は監督に赴く

六日（水）　

書架新調申請書を浄書す、但し提出は暫く延期す

九日（土）　

試験終了、小川司書親戚ニ不幸あり当分出席不可能ニ付本日を以て本学期の正式執務を切上げ茶

話会を開き散会す、九州帝大図書館より同大学要覧を、森大器氏より曹洞宗安心問題論（

８５）纂

を寄贈せらる


森田兵松氏より「人生の宝（

８６）典

」一部を寄贈せらる


司書東美倶楽部古書展覧会に赴き、九部廿冊の書籍を購入す


丸善に使を遣はし洋書引取、宗務院教学部より曹洞宗布教講

（８７）

習録一部を寄贈せらる

廿日（水）　

司書は午前中出勤、大学当事者と卒業式の件につき打合せをなす、田代秀徳氏より其著「生活と哲

学的思（

８８）索

」二部を寄贈せらる


小川司書及奏者一同にて大掃除をなす、出納員山崎久治昨夜辞任の書置きをなし帰国す、依て

倉沢実竜君を其後任として採用す


明日の卒業式準備をなす、本月分決算書作製序ニ本年度の図書購入費残額を以て貴重書架一台、

仏教学研究室用書架二台を作るべく其申請書を認む

74


例の如く本館閲覧室に於て卒業式執行せ

らる、本月分請求書並ニ書架新設申請書を提出す、熊

原君挨拶に来る、

廿四日（日）　

司書は中島大智氏訪問の序ニ初めて磯貝

君宅を訪問せり、其より志久木古書店に赴き数冊の

書籍を購入す

三十日（土）　

司書矢来倶楽部の古書展に行き拾六部拾

六冊の書籍を求む

　　

四月

二日（火）　

栗木智堂氏より質問書来り直に取調べ返信す

四日（木）　

地平社、南陽堂、松雲堂等へ返本す、横浜市港湾部より横浜の港湾一部を東京農業大学より同大学

要（８９）覧

を寄贈せらる、司書は多数の新着書等の整理をなす、午後丸善ニ使者派遣

六日（土）　

新着洋書整理、花漸く綻び初めし故、館員諸氏ヘ案内状を差出せり

東京農業大学寄贈『東京農業大学大学要覧』

（本学図書館蔵）

75

八日（月）　

花祭りにふさはしく桜花真盛り、館員も一同案内に応じ集合、花見会を催す、但し酒なく肴なくピ

ンポン遊びをなせしのみ

十日（水）　

東洋文庫よりM

emories of The Research N

o.2､3､Depertm

ent of The Toyo-Bunko.2Vols

を東京

市役所より東京市史稿市街篇五、六巻及附（

９０）図を寄贈せらる（枠外上部に「桑原君ハ今週中欠席の届出あり」）

十五日（月）　

愈々新学期の初にて入学式等挙行せらる、鹿田、窪川等の書店より多数の注文書着本す、一同本

日より出勤執務、先ニ申請書を提出せし書架購入の件許可さる、熊原政男君新任

十六日（火）　

本日より開館す、中島奏者学生となり辞任申出、依て後任に付心当り物色す、小林藤意も兎角の

風評あり其処置につき協議す、本日書架注文の手続を取る

十七日（水）　

中島奏者の後任として竹内助教授申請の丸山馨君を雇入るゝことに決定す、大学堂、玉英堂等

ヘ図書注文

十八日（木）　

藤原信孝氏より国際

共産党の話壱部を寄贈せらる

十九日（金）　

中島君の後任として丸山馨君赴任す、学長老師より曹洞宗全書編輯室として館内の一室を提供

し其処にて筆写等を行はしむべき旨申渡さる

廿日（土）　

玉英堂より注文書到着、日本読書協会より戦闘的婦人参政運動壱部を寄贈せらる、新館員熊原、倉

76

沢、丸山君歓迎茶話会を開く

廿二日（月）　

桑原君は本日より出勤の筈なりしが、更に今週中欠勤の旨自坊より打電せらる、内外書房より

注文の特価本を送附し来る、福井教授より投淵写興及皇室略牒の二部を寄贈せらる

廿三日（火）　

新着漢籍を書庫に納入す

廿四日（水）　

一般新着書を書庫ニ納入す、文求堂より玉海等四部弐百五拾弐冊の図書を持参す、静嘉堂文庫

より同文庫国書分類目録一部を寄贈せらる、庄司氏より報告書を提出さる

廿六日（金）　

靖国神社臨時大祭にて休日となる

廿七日（土）　

出納員小林藤意を本日限り解任す、北村正信氏より四海余滴一部を寄贈せらる

廿九日（月）　

天長節にて休み

三十日（火）　

桑原君自坊の戒会等にて欠勤中の処本日より出勤、勝峰清幹氏来訪、同氏より未蔵禅籍八部

十一冊を購ふ

　　

五月

二日（木）　

午前中漢籍類のレッテル貼布、午後司書は正金支店、丸善ニ赴く

77

三日（金）　

間宮商店員来学注文中の書架組立を成す、（仏教学研究室の分）依て一同ニて蔵経を納入す、日華

書房ヘ注文中なりし続古逸叢書十帙廿二種四十六冊着本す

四日（土）　

今日も午前中仏教学研究室の整理ニ従事す、之ニより面目一新初めて研究室らしくなる、川口君

を通じ出納員の候補者新井稔ニ出頭を命ず、

六日（月）　

一誠堂書店より邦文参考書目（

９１）録

を、京城帝大法文学部より郷歌及び吏読の研（

９２）究

、平安南北道の

方（９３）言

の二部を寄贈せらる、南陽堂、カズオ書店、更生閣等ヘ図書注文、小林奏者後任として新井稔を雇入るゝ

ことに決す、一同にて貴重書を整理し新書架に納む

七日（火）　

新井稔は本日より出勤すべき筈の処本朝白木屋花部に招かれし故とて辞任申出、依て更に他の候

補者栃木県の嘉久和渡に通知す、事務室電灯修理を庄司氏に依頼す、石黒教授より国語教育の基礎として

の言語学一部を寄贈せらる

八日（水）　

桑原君岡田先生の寺ニ招かれ欠勤、続印続古逸叢書六帙十二種廿四冊着本、電灯線の修理成り机

辺に頓に明さを加ふ

九日（木）　

嘉久和出納員候補もまた断り来る、宗務院教学部石原三尾両主事来館せらる、川辺喜三郎氏より

社会思想批判を、東京府社会課より社会調査資料第七輯を寄贈せらる

78

十日（金）　

厚生閣、南陽堂、カズオ書店等より注文書着す、大谷大学図書館長西本竜山氏来館、食堂開設の件

ニ付相談会あり

十一日（土）　

中外商業新報社よりThe Chugai Shogyo Shim

po Supplement

を、本学第二回卒業生より記念ア

ルバムを寄贈せらる、竜谷大学図書館長中井玄道氏来館、出納員候補者沢田金太郎来り、小林藤意の后任漸

く決定す、食堂として本館地下室使用の申出あり、実地検分に来る、米本君本日より図書館大会に出席す


米本君本日まで三日間図書館大会に出席す、沢田金太郎本日より出勤す、

十四日（火）　財団

法人

輔成会より保護

美談

更生の人々を寄贈せらる、多数の地歴科参考書一時に来る、其取扱に関し祇樹

監事曰く館本として登録することハ差支なきも会計は記入見合せを頼むと其意那辺にあるや了解し難し、

尚光山学監に地歴科新設費中より同参考書購入費として幾何を廻附下さるやを尋ねし処、俸給等に取られ

全然無之故、臨時費五千円中より互融支出しくれとの事、本年二月十九日学長老師と小川司書に言明せら

れし所と全然一致せず余りの無理解ニ驚く、食堂開設問題ニ就てハ学長老師の認可を得て実行する様昨日

注意致し置きしが、尚念の為改めて川口君に申出づ、司書は米本君と共に食堂委員ニ加はる事を拒絶すべ

く決定す

79

十五日（水）本朝司書並ニ米本君は連名にて食堂委員辞退を申出づ、京城帝大書記等来館、事務用カードの書

名タイプ打は小川司書引受くることにし本日より開始す、午後学生大会開催ニ付臨時休館し、食堂に充て

らるべき書庫地下室の書架移転等を行ひ其より茶話会を開く、財団

法人

啓明会より衛生長寿伝一部を寄贈せらる


学部三年生に対する館外貸出の時間を午後まで延長す、食堂開設の件に就てハ我等再三の注意

をなせしに拘らず尚学長老師の了解を得居らざる事判明す、而して祇樹氏に促され司書は事の顛末を学長

老師に報告し其命により準備工事一切の延期方を川口君に申込む

十八日（土）　誰にも

解かる

独逸語の第一歩を販売部名義にて備付く、磯貝、大野両君に昨年度の増加図書調査を依頼す、

食堂として本館書庫地下室使用の件ハ一先づ延期となりし旨川口君より伝達せらる

廿日（月）　

浦口先生等の申請により沙翁全集一部購入す、竜谷大学図書館より同大学和漢書分類目録

（仏

（９４）

教の部）を寄贈せらる、清水とよ氏寄贈金により国文学註釈叢書及び川柳か

ら観た

ユモアの日本を購入し同氏寄

贈本として取扱ふ


米本君を通じ学長老師に研究室変更並ニ夜間開館の件を申出で略ぼ承認せらる、佐々木喆山君

容易ニ図書を返却せず督促状を出す


昨年度の増加図書調査終了す

80

廿四日（金）　

東京府より「東京府統計書昭和二年度」を寄贈せらる、大野君頭痛の為午後欠勤


午後事務室の書架移転ケース整理を行ひ面目一新す、北村大栄氏より慈愛

の母

観音さまを寄贈せらる、

大野橋本両君病気欠勤、丸善ニ使者派遣

廿七日（月）　

丸善及びhuzac &

Co.

ヘ立花教授選択本を多数注文す、磯貝君実姉結婚手伝の為本日午後より

明後廿九日まで欠勤申出、間宮店員来訪


紛失中の成象堂白地図等発見せらる、小林文成氏夫妻来訪土産を頂く、川口君より例の食堂は

場所を変更し練武場脇を使用することゝなりし故、会員として加入されたしとの申出ありしが、米本君と

協議の結果断然辞退することに定む

廿九日（水）　

大正十四年光山学監の依頼により、海外より取寄せし独逸語教科書の残本処分に困却致居しが、

今回清水書房ニより全部販売を受け漸く安堵、磯貝君本日まで欠勤

三十日（木）　

佐々木喆山君容易ニ図書を返却せず依て三度厳重なる督促状を出す、木村泰賢師より其著「仏教

の正

しき

観方

真空より妙有ヘ」を高尾彦四郎書店より京阪書籍商沿

（９５）

革史をそれ

ぐ寄贈せらる

三十一日（金）　

大阪清和堂より多数の注文書着す、学長老師より本館奏者の食費問題につき祇樹監事に注意

81

ありし由、祇樹監事は之を司書の進言なるかに認め頗る不快の様子なりしが、司書ハ全然関知せざること

に付橋本君に糾せし処、全く同君の進言ニかゝること判明せり、同窓会の為午後二時閉館す、大野君病気欠

席、来月三日より時間延長午後八時まで開館の旨掲示す

82

【註】

（１）

図書請求記号　

Ｈ０２３／３。

（２）


Ｈ５９１・３／７。

（３）


Ｈ５４１・３／１０４‐１・２。

（４）図書請求記号　

Ｈ６１６・１／２１。

（５）図書請求記号　

Ｈ４８９／６。

（６）


Ｈ７１７／５７。

（７）


Ｈ２９３／３７Ａ。

（８）


Ｈ９３８・６／８‐１・２。正しくは『上野浅草間開通記念』『上野浅草間建設工事概要』。

（９）


Ｈ３３７・３／３。

（１０）


Ｈ３８３／１。

（１１）


Ｈ１１４・４Ｗ／６７。

（１２）


Ｈ０３１／３‐８。正しくは『道家の思想と其の開展』。

（１３）


Ｈ９４２・２Ｗ／２‐１・２。

（１４）


Ｈ４０３・８／２。

（１５）


Ｈ３３４・２／８。正しくは『安慧造三十唯識の釋論和譯』。

（１６）


Ｈ２０９／２８。

（１７）


Ｈ１３３Ｗ／２５。

（１８）


Ｈ５２２・１／２３。

（１９）


Ｈ７６４・／８。なお、図書請求記号　

Ｈ７６４／８Ａのラベルには、昭和三年四月九日寄贈となっている。

83

（２０）


Ｈ５４１・３／１０６。

（２１）


Ｈ１９０／３９。ラベルの寄贈者名は神戸修養会。

（２２）


Ｈ１１４・３Ｗ／１８‐４〜７。

（２３）


Ｈ１１４・４／１２９。正しくは『鐵眼禪師物語』。

（２４）図書請求記号　

Ｈ１０４・３／７。

（２５）図書請求記号　

Ｈ２１７・２／９。

（２６）


Ｈ０１１・９Ｔ／７。正しくは『圖書館學參考書展覽會目録』。

（２７）


Ｈ１３１・２／４１‐１〜３。

（２８）


Ｈ１１４・９／６Ａ。

（２９）


Ｈ０３１／３‐９／１・２。正しくは『文禄元年天草版吉利支丹教義の研究』。

（３０）


Ｈ２５３・１／５Ａ‐１〜３。

（３１）


Ｈ０８８／１５‐１・１Ａ・２・２Ａ。

（３２）


Ｈ７２７・２／５。

（３３）


Ｈ７１７／１１‐１。

（３４）


Ｈ６１０／２４‐２。

（３５）


Ｈ１１５／３６。

（３６）


Ｈ１１４・４／７９。

（３７）


Ｈ１８０／１０３。

（３８）


Ｈ０１１・２／３‐１。

（３９）


Ｈ０７３／１３。正しくは『北海道帝国大学創基五十周年記念講演集』。

84

（４０）


Ｈ１１４・４Ｗ／６１。

（４１）


Ｈ７４３／３。

（４２）


Ｈ１０９／５９。

（４３）


Ｈ５１４・６／７１・７１Ａ。

（４４）


Ｈ１３４／２０６。

（４５）図書請求記号　

Ｈ６４４／５１。

（４６）


Ｈ３９３．３／１。

（４７）


Ｈ２３１･

２／１。

（４８）


Ｈ５１４・５Ｍ／４１・４１Ａ

。

（４９）


Ｈ７６９／５

。

（５０）


Ｈ５４１・３／８８‐１・２。

（５１）


Ｈ６６３／１３。

（５２）


Ｈ３６０／２。

（５３）


Ｈ２５８・２／１７。

（５４）


Ｈ６４８・１／２２１。

（５５）


Ｈ１６４／２０。

（５６）


Ｈ６１１／２２。

（５７）


Ｈ５２５／２。

（５８）


Ｈ６４８・１／２５・２５Ａ。

（５９）


Ｈ１１４・４／１２８。正しくは『國定教科書に現はれたる名僧鐵眼』。

85

（６０）


Ｈ１１４・４／１１７。

（６１）


Ｈ１２５／２。正しくは『宗門十規論』。

（６２）


Ｈ１２３・３／１９Ａ。

（６３）


Ｈ４９５・１／６。

（６４）図書請求記号　

Ｈ７１７／１１‐３。

（６５）図書請求記号　

Ｈ６４４／７２。

（６６）


Ｈ４０１・９／６７。

（６７）


Ｈ５１４・４Ｗ／２０。

（６８）


Ｈ５１４・６／７６。

（６９）


Ｈ７６７／１７８。

（７０）


Ｈ７５５／１‐１。

（７１）


Ｈ６６７・２／８。

（７２）


Ｈ１１５／４６。

（７３）


Ｈ１００Ｗ／４Ｂ。

（７４）


Ｈ２０８／３８。

（７５）


Ｈ１１０／１、Ｈ１１０／１Ａ・１Ｂ・１Ｃ。

（７６）


Ｈ２５３・１／３５Ｂ。

（７７）


Ｈ２５３・４／５１。

（７８）


Ｈ４１８／４。

（７９）


Ｈ７４７／３‐１・２。

86

（８０）


Ｈ１３１・３／１７・１７Ａ。

（８１）


Ｈ７６４／７。正しくは『

亜細亜に生きるの途

』。

（８２）


Ｈ１０４・３／１１。

（８３）


Ｈ２５３・１／１２。

（８４）


Ｈ１６４Ｗ／１。

（８５）図書請求記号　

Ｈ１０４・３／１０。

（８６）


Ｈ４４６／１３。正しくは『人生之宝典』。

（８７）


Ｈ１０９／６７。

（８８）


Ｈ４１８／７・７Ａ。

（８９）


Ｈ４９３・２／１７‐１。

（９０）

図書請求番号　

Ｈ６１６・１／５‐ハ／５

・６。

（９１）


Ｈ０１１・８／１６。

（９２）


Ｈ５８８・４／１２。

（９３）


Ｈ５８８・４／１１。

（９４）


Ｈ０１１・１Ｇ／１２‐２。

（９５）


Ｈ０１２・３／４。

87

【協力者一覧】（五十音順・敬称略）

○団体　

駒澤大学図書館

88

平成二十一(

二〇〇九)

年十月三十一日発行

編集・発行　

駒澤大学禅文化歴史博物館大学史資料室

〒一五四―

八五二五　

東京都世田谷区駒沢一―

二三―

一

電話　

〇三(三四一八)

九六一四番　【ＦＡＸ　

九六一一番】

印刷　

光写真印刷株式会社

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