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ジェンダー研究プログラム
都留文科大学留都 学大科文留留都
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学大科文留
ーダンェ プ究研ー グロプ ムラグ
ジェンダー研究プログラムとは?
「ジェンダー・フリー」という言葉が目につく今日この頃ですが、あなたは「ジェンダー」についてきちんと説明できるでしょうか?
「ジェンダー研究プログラム」では、女性と男性の関係、社会の諸制度や規範、価値観がどのようにジェンダーによって作られているのか、その起源、原因、形成過程はどのようなものなのか、また現在ジェンダーにどのような変化が起こっているのかを、教育、文化、社会、歴史、思想、経済、開発、法、政治などの様々な領域から探求します。
平成 20 年度講演会 マラシュリ・ラル教授(デリー大学前女性教育センター長、デリー大学南キャンパス副学長)幼児婚・ダウリ・寡婦問題などインドの女性問題について御講演いただきました。
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ジェンダー研究プログラムの6つの特色
1.ジェンダーについて、専門的かつ体系的に学べる日本屈指のプログラム
日本では学部で「体系的」に勉強できる大学はまだ多くありません。ジェンダー研究
プログラムは、都留文科大学が誇りをもって推奨するプログラムです。
2.学科横断から生まれる学問の連結
学科横断を基軸としたジェンダー研究プログラムは、様々な知の連携プレーを可能に
しています。学生、教員ともに、学科を超え、刺激しあい、学問を深めていくことが
できます。
3.単位は「ダブル」に利用可能
ジェンダー研究プログラムの科目は、共通教育科目と学科の専門科目から構成されて
います。つまり、科目によって、共通教育科目としても認定されたり、自分の所属学
科の専門科目として、また自由科目としても認定され、同一科目の単位をダブルに利
用できるのです。
4.全学年、全学科の学生が履修可能
ジェンダー研究プログラムの科目はどの学科に所属していても履修することができま
す。また当然の事ですが、ジェンダー研究は、全ての学生に開かれた学問です。
5.ジェンダー研究プログラム主催講演会
様々な分野で活躍されている方を外部から講師として招き、大学内で定期的に講演会
を開催しています。講演会への参加は無料で、毎回異なるテーマでの講演会を実施し
ていますので、是非参加してみましょう。
6.男女共同参画社会にむけた修了証
プログラム必要単位修得者には、修了証が与えられます。教員、公務員を目指す人だ
けでなく、企業、自治体などへの就職、また日本や海外の大学院進学にも有利に働く
でしょう。
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ジェンダー研究科目と履修の方法
ジェンダー研究プログラムは、⑴基礎科目、⑵基幹科目、⑶関連科目から構成されていま
す。合計 16 単位を履修すれば修了が認められます。プログラムを修了するためには、基
礎科目からは必修の「ジェンダー研究入門」(2 単位)を含め、最低 3 科目 6 単位を履修し
なければなりません。残りの 10 単位は、基礎科目、基幹科目、関連科目から履修します。
また、プログラムを修了すると修了証を取得することができます。
興味があれば、さらに他の科目を履修し、ジェンダー研究への理解を深めてください。
なお、学生便覧のジェンダー研究プログラムの説明もあわせて読んで下さい。
⑴基礎科目基礎科目とは、共通教育科目の中に開講される以下の二つの科目を指します。
「ジェンダー研究入門」
「ジェンダー研究 Ⅰ~Ⅳ」
これらはジェンダーについて学ぶ入門的な科目です。教育や文化、社会、歴史、思想、
経済、開発、法律、政治など幅広い領域とジェンダーの関連について学びます。1、2
年生のうちに受講しておくことが望ましいでしょう。なお、基礎科目は共通教育科目と
しても認定されます。
⑵基幹科目基幹科目とは、各学科の専門科目で、ジェンダーの主要な問題を扱っている科目です。
これらは、基礎科目で得た知識をより広め、深めるための科目です。基幹科目は、各学
科の専門科目の単位としても認定されます。
⑶関連科目関連科目とは、学科専門科目の中に開講されるジェンダー研究科目です。関連科目は I
群と Ⅱ群に分かれています。
①関連科目 Ⅰ群・・・・ジェンダーに関連する内容が授業全体の 50%程度の科目
を指します。
②関連科目 Ⅱ群・・・・ジェンダーに関わる内容が授業全体の 30%程度の科目を
指します。
*関連科目 Ⅱ群は、ジェンダー研究プログラムの修了証を得る単位としては1科目2
単位までしか認定されないので注意してください。関連科目は各学科の専門科目の
単位としても認定されます。
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要件区分について◎ :必 修 科 目○ :選択必修科目 4 科目中、2 科目必修となります。
△,▲:選 択 科 目 選択科目群の中から、10 単位以上修得必須となります。ただし、▲の科目群については 2 単位までしか加算されません。また、選択必修科目(○)の修得単位のうち、必修分を除いた単位数も選択科目の必要単位数として加算されます。
区 分
基 礎 科 目
基 礎 科 目
関連科目 Ⅰ群
関連科目 Ⅱ群
要件区分※
◎
○
△
△
▲
科 目 例
ジェンダー研究入門
ジェンダー研究 Ⅰ
ジェンダーセクシュアリティ Ⅰ
児童文学 Ⅰ
自然と生命 Ⅷ
科目数
1 科目
4 科目
11 科目
9 科目
10 科目
開 講 科 目
ジェンダー研究プログラム科目概要
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授業風景 ジェンダー研究プログラム
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ジェンダー研究Q&A
今回は、「ジェンダー研究入門」をご担当されている社会学科の野畑眞理子先生に答えて頂きました!
質 問ジェンダー研究プログラムの意義をどのようにお考えですか?
回 答日本では、憲法で両性の平等を規定し、男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法も制定されていますが、ジェンダー平等はあまり進んでいません。そのため、日本は、先進国の中だけでなく、世界の中でも非常に女性差別の根強い国として知られています。ところが、当の私たち日本人はそれをあまり意識していないのが現状です。このような世界と日本の認識のギャップを埋めるためには、日本でジェンダーについての学習を促進する必要があります。その意味でも、2005 年という日本の大学では早い段階で開始された本学のジェンダー・プログラムの意義は大きいと思います。ジェンダーの問題は、学校、家庭、職場、地域社会など生活のあらゆる領域に存在します。日常生活では、自明のこととして見過ごしていたそれらの問題について、何が何故問題なのかをジェンダー科目で学んでください。「もっと早くこういう授業を受けたかった」「目から鱗」などという学生の声を聞くたびに、ジェンダー研究プログラムのさらなる充実が期待されているのを感じます。
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質 問先生は、これから社会人となる学生に、どのような点からジェンダーを学んでほしいとお考えですか?
回 答私の専門は社会学ですが、日本の企業経営・労働をめぐる諸問題をジェンダーの視点から研究しています。戦後の高度成長の下では、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業と、夫の職位や賃金が勤続とともに上がり、定年まで一つの会社で働き続けることができるという慣行によって、家族を含めた長期の生活が保証されていました。ところが、周知の通り、1991年のバブル経済の崩壊によってそれらの前提が変り始めました。そして、2008 年秋のリーマン・ショック以降、雇用環境は非常に厳しくなっています。正社員になったとしても、以前のように雇用や賃金が生涯保証されるとは限りませんし、大企業でも倒産することがありえます。さらに、長時間労働による過労うつ・過労死、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントなどの問題の増加も指摘されています。このような現状を踏まえると、性別役割分業ではなく、女性も男性も「仕事も家庭も」協力して担っていくことが重要ですし、それが結果としてジェンダー平等社会に近づくことでもある、ということを考えてみてほしいと思います。
野畑先生ありがとうございました!
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ジェンダー研究プログラム運営スタッフ紹介
初等教育学科★藤本 恵(Megumi Fujimoto)初等教育学科 本部棟 408 研究室
専 門:日本の近現代文学、特に児童文学担当科目:「児童文学 Ⅰ・Ⅱ」「日本語・日本文学概論」ひとこと:児童文学も、その読者である子どもも、ジェンダーから自由ではありません。問題意識をもっ
て作品を読み、多くの人と話し合うことで、児童文学と子どもについて理解を深めましょう。
国文学科★牛山 恵(Megumi Ushiyama)国文学科 本部棟 503 研究室
専 門:国語教育とジェンダーひとこと:授業の開講はありませんが、私のゼミでは国語教育におけるジェンダーの問題を日常的に取り
上げています。冊子もありますので、興味のある人はぜひ研究室を訪ねてください!
★古川 裕佳(Yuka Furukawa)国文学科 本部棟 526 研究室
専 門:日本近代文学担当科目:「近代文学テーマ研究 Ⅲ」ひとこと:日本近代文学における「家庭」の表象や男性作家とヒロインの関係性に興味を持って研究して
います。小説に出てくるダメ男の主人公が女性読者にとっても魅力的であるのは一体なぜなのでしょう?
英文学科★大平 栄子(Eiko Ohira)英文学科 本部棟 505 研究室
専 門:イギリス小説、インド英語文学・文化担当科目:「インド英語文学」、「ジェンダー・セクシュアリティ」、「マイノリティ文学・文化」ひとこと:インドとパキスタンがイギリスから分離独立したときの動乱時に見られた女性に対する暴力の
実態、その背景にあるものについて研究しています。授業では女性の身体が歴史的にどう見られてきたかを検討しながら、男の欲望・暴力の被害者としての女性の現実を踏まえた上で、女性の能動的セクシュアリテイを表象する女性の身体が文化テクストにどう描かれているかを探っていきたいと思います。
★中地 幸(Sachi Nakachi)英文学科 本部棟 508 研究室
専 門:アメリカ文学、ジャポニスム文学担当科目:「アフリカ系アメリカ文学・文化 I」、「19 世紀アメリカ小説 Ⅱ」、「英米映画論」、「アメリカ文化
と歴史 Ⅰ」ひとこと:アメリカ文学を人種、エスニ
シティ、ジェンダー、セクシュアリティの問題に焦点をおき、考えていきます。授業では、アフリカ系アメリカ文学のほか、アジア系アメリカ文学、またアメリカ女性文学を取り扱い、皆で議論していきます。
ジェンダー研究プログラム運営スタッフ
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社会学科★田中 夏子(Natsuko Tanaka)社会学科 2号館 609 研究室
専 門:地域社会学、ワーカーズ・コレクティヴ論
ひとこと:授業科目の開講はありませんが、農村における女性たちの生産・加工活動や、農家経営・地域運営における女性の現状なども勉強しています。興味にある方は研究室をお訪ねください。オフィス・アワーは、火曜と水曜の朝8時30分~9時10分です。
★中益 陽子(Yoko Nakamasu)社会学科 2号館 602 研究室
専 門:社会保障法、労働法ひとこと:ジェンダー問題ということですと、最近は、社会保障法や労働法における男性の処遇に興味を
持っています。ある意味、「男はつらいよ」の世界です。
★野畑 眞理子(Mariko Nohata)社会学科 2号館 605 研究室
専 門:企業経営の特質および変容とジェンダー担当科目:「ジェンダー研究入門」「企業経営・労働とジェンダー」Ⅰ・Ⅱひとこと:職場でのジェンダー平等をどう実現するかといった課題は、卒業後、人生の様々な局面で経験
する切実な事柄です。国際社会の動向をふまえ、各国や日本のジェンダー平等への取り組みを学びながら、改善の方策を考えていきましょう。
★村上 研一(Kenichi Murakami)社会学科 2号館 607 研究室
専 門:日本経済論ひとこと:戦後日本の経済成長や製造業の競争力は、職場内・家庭内での男女役割分担を前提とした日本
的雇用慣行によって可能になったと言われています。日本経済・日本企業が大きな転換点にある今日、ジェンダーの視点も踏まえて今後の経済社会のあり方を展望していきたいと考えています。
比較文化学科★大辻 千恵子(Chieko Otsuji)比較文化学科 3号館 503 研究室
専 門:アメリカ史、ジェンダー研究担当科目:「ジェンダーと現代世界(ジェンダー論)」ひとこと:貧困や「排除社会」の拡大という現況に対し、ひとが互いの生に関心をもち配慮するような社
会/個人の潜在能力が開花できるような社会をどのようにつくりあげていくのか、これが最近の専らの関心事です。
★分田 順子(Junko Bunda)比較文化学科 3号館 504 研究室
専 門:エスニシティ論、紛争/平和構築論 ひとこと:人は一人ひとり違うのに、仲間内で違いを主張するには相当の覚悟を必要とします。紛争下の
社会で、女性が安全と自立を天秤にかけ沈黙へと追い込まれるのは、ー見平穏なこの社会でも同じです。違うのは自分に沈黙を強いるものの正体を見据える気概と知性の有無でしょうか。
★山本 芳美(Yoshimi Yamamoto)比較文化学科 3号館 403 研究室
専 門:文化人類学、化粧文化研究ひとこと:プログラムとしての開講科目はありませんが、授業やゼミでジェンダーにかかわる議論やテキ
ストを取り上げています。特に化粧や装いに興味をもって、いろいろな本や資料を集めているので研究室に立ち寄ってみてください。
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ジェンダー研究プログラムを履修して
毎年多くの学生が卒業時にジェンダー研究プログラム修了証を獲得しています。プログラムを履修した皆さんはどのような感想を持ったのでしょうか・・・・?
◆GP と卒論を通して「わたし」を見つめることで、私は、ひとつの「自由」を手にしたように思う。まず、ジェンダーの視点を持つことで、社会や歴史によって形成されたイメージに絡めとられていた「わたし」に、気づくことができた。そして既存のアイデンティティ形成に閉じこもることなく、他の誰でもない「わたし」を〈想像/創造〉していくことの喜びを知った。穏やかに「わたし」を主張するたくましさ。この力を磨く機会を与えてくれた本プログラムに感謝している。 (初等教育学科学生)
◆私自身、ジェンダー研究プログラムを受講するまでは、少なからず、男はこうあるべき、女はこうあるべきという、ジェンダーバイアスを持っていました。しかし、それらの考えも様々な講義で学ぶうちに自然に解消されて行きました。現在、日本社会でごく普通に割り当てられている、性別的な分業も、それはただ単に、長い歴史の中で形成されてきたものであり、特に性別によって難を極めるものではないという風に理解することができました。卑近な例を挙げれば、男性が家事や育児に従事することも、女性が家庭の中心となり、生活を築くということもごく当たり前に認められるということです。一人の人間として尊重されること、性別によってでなく、個人として生きることが保証される社会を実現することこそ肝要であることを学びました。教員を目指す私にとっても大変有意義なことであったと感じています。今後の社会生活の一助としていきたいと思います。 (国文学科学生)
◆前々からジェンダーに興味のあった私は、プログラム修了を目指してカリキュラム内の様々な科目を履修しました。ジェンダーを勉強する中で文学だけでなく、ジェンダーの視点から見た教育、歴史、法律や政治などを学ぶことが出来たことは私にとってとても有意義であり、貴重な機会でした。また、ジェンダー研究プログラムのために取得した単位が共通教育科目や自分の学科の専門科目の単位としてもダブルで認定されたことで、プログラムの科目履修が大変し易かったということも挙げておきたいと思います。 (英文学科学生)
◆ジェンダーってなんだろう。そんな感じで何もわからないまま私はジェンダー関連の講義をとりました。一年間通して受講してきた結果、ジェンダーにかかわる問題は社会の中のいろいろな場面において存在していて、この学習が社会と密接に関係している奥深いものなんだと感じました。また、ただ机上で理論や歴史などを学ぶだけではなく、自分たちが今後 ぶつかる就職活動についてジェンダーの視点から学んだり、実際に就職活動で使うエントリーシートを書いて添削してもらうなどの「役に立つ」講義でもあったと思います。「男女平等」という言葉はよく耳にしますが、まだまだ社会の中には不平等がたくさん存在しているようで、自分の知らなかった世界を知ることができてよかったと感じています。資格ではありませんが、実践的なスキルが身につくと思うので、みなさんにお薦めしたい授業です。 (社会学科学生)
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◆2年次のときからジェンダー研究プログラムの授業を取り始め、ジェンダーに関するさまざまなことを学んできました。最初は難しく感じることもあったけれど、研究入門から受講することでジェンダーの基礎からわかりやすく教えてもらえる点がよかったのだと思います。講義ごとに歴史、文化、法律や文学などさまざまな点からジェンダーについて学ぶことができ、私たちの身近に潜む問題から、外国の事例まで知ることができました。また、普段あまり考えない
「性」や「いのち」というものについて深く考えるきっかけにもなり、これは大学生として大切な機会になりました。学科の専門科目の単位にも認定される講義もあるので、多くの学生にプログラムを履修してもらいたいと思います。 (比較文化学科学生)
◆「女性は子どもを生んで成長する」、「男性は妻と子どもを食べさせるために働く」というような、私たちが考える「女性(男性)なのだから~する」という決めつけは、自分らしい生き方ができないことにつながってしまいます。また、自分や大切な人の夢を、夢で終わらせてしまうという危険も多く孕んでいると思います。「女性」、「男性」と自分の考えで区分することで、様々な弊害を生じさせ多くの人を傷つけるということを、身をもって学べることができて本当によかったです。 (比較文化学科学生)
ジェンダー研究プログラムの情報は以下のウェブページでも見ることができます。
http://www.tsuru.ac.jp/jender/index.html
平成 19 年度講演会 小谷真理氏(SF・ファンタジー評論家)「物語とジェンダー」についてお話いただきました。講演後質問者が後をたたない状況でした。
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