見守りカメラシステム導入に伴う介護行動の変容 -グループ...

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見守りカメラシステム導入に伴う介護行動の変容 -グループホームにおけるケーススタディ- 杉原 太郎 *1 中川 健一 *2 劉義 *1 藤波 *1 An Analysis on Caregivers' Behavior Modification with a Camera System: A Case Study in a Group Home Taro Sugihara *1 , Kenichi Nakagawa *2 , Xi Liu *1 and Tsutomu Fujinami *1 Abstract – We aim to clarify the requirements for the mimamori-care system in the group home to support caregivers who take care of persons with dementia (PWD). We investigated the effects of the prototype, which consists of several cameras and monitors, by interviewing five caregivers and video observation. We found that the prototype system supports to make leeway for caregivers. In addition, the prototype not only helps the caregivers to watch out the people with dementia but also removes some stress caused by taking excessive precaution to residents’ behaviors. Keywords: Mimamori-care work, group home, persons with dementia and contextualized system. 1. はじめに 総務省統計局の人口推計月報[1]によると, 2008 1 時点で,わが国の総人口の 21.6%2760 8000 人)を 65 歳以上の高齢者が占め,世界に先駆けていわゆる超高 齢社会に達したと推定されている.このような状況に伴 い,認知症を患う高齢者も,4 月時点での介護サービス 受給者数 292 2000 [2]6 割近くに上るのではないか と推定されている.認知症高齢者介護の切り札と目され ている介護サービスに,地域密着型サービス[3]と位置付 けられた認知症高齢者グループホーム(以下,GH)があ る. GH は,介護保険制度の発足とともに急激に成長した 新しいサービスで,2000 3 月末には 266 事業所しかな かったものが,2008 5 月末には 9,613 事業所[4]と,実 36 倍以上にも増加している.このような GH 事業所数 の急激な増加に,体制の整備が追いつかない現状にあり, この現状を打開するために,情報的,あるいは機械的な 仕組みによるサポートをはじめとするあらゆる分野から のサポートが試みられている. ヒューマンインタフェース分野全般で,古くから人間 中心設計[5] やユーザ中心設計[6],参加型デザイン[7]どにより,ユーザニーズを反映した開発や,ユーザビリ ティの改善をする動きが推進されてきた.ところが,認 知症介護の分野では,研究として新規性や有用性が高い ものは数多くあっても,介護者や入居者にとって容易に 運用でき,また介護活動を確実に支援できるシステムは いまだ少ないのが実情である.介護は,人,作業,機器, 状況という要因が適切に調和した環境で行われるもので あるうえに,被介護者(GH の入居者・利用者)が起こす 突発的な行動にも臨機応変に対応しなくてはならない作 業である.このような介護の現場で利用されるシステム を構築するためには,介護の本質を技術者が理解するこ とが重要である.Davenport は「(実際に使ってもらえる ように運用するためには,)ナレッジマネジメントを専門 家が行う仕事の中に埋め込む必要がある」 [8]と述べたが, 介護支援に対しても同様のことが言えるのである.ここ では,介護活動の文脈に埋め込まれたインタフェース, つまり実社会志向型のインタフェースが求められている. 言い換えると導入される新しい技術は介護の理念に添 ったものでなければならない.介護福祉において重要な 理念とは:①自立生活の支援,②ノーマライゼーション の実現,③尊厳及び基本的人権の尊重,④自己実現への 援助である[9].新しい技術が社会理念に反するようにみ えるのは,技術を取り巻く環境が未成熟だからである. 新しい技術が社会に受け入れられるためには,利用の仕 方について何らかの合意が形成されなければならない. 介護活動を支援する一手段として,監視カメラの有効 性が認められている.その屋内外での利用は,事故防止 や失せ物探しに寄与するとして肯定する意見がある一方, プライバシーの侵害だとして否定する意見もある.監視 カメラに限らずセンサーネットワークが普及すれば,セ キュリティとプライバシーに関する同様の議論が起こる ことは必定である.そこで総務省は監視カメラ設置とプ ライバシー問題の議論のポイントや課題解決の方向性に ついて整理し,システム導入にあたっての留意点を示唆 した[10].実社会志向インタフェースを介護の現場で構築 *1: 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 *1: School of Knowledge Science, Japan Advanced Institute of Science and Technology *2: フリーランスプログラマ *2: freelance programmer

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見守りカメラシステム導入に伴う介護行動の変容

-グループホームにおけるケーススタディ- 杉原 太郎*1 中川 健一*2 劉義*1 藤波 努*1

An Analysis on Caregivers' Behavior Modification with a Camera System: A Case Study in a Group Home

Taro Sugihara*1, Kenichi Nakagawa*2, Xi Liu*1 and Tsutomu Fujinami*1

Abstract – We aim to clarify the requirements for the mimamori-care system in the group home to support caregivers who take care of persons with dementia (PWD). We investigated the effects of the prototype, which consists of several cameras and monitors, by interviewing five caregivers and video observation. We found that the prototype system supports to make leeway for caregivers. In addition, the prototype not only helps the caregivers to watch out the people with dementia but also removes some stress caused by taking excessive precaution to residents’ behaviors.

Keywords: Mimamori-care work, group home, persons with dementia and contextualized system.

1. はじめに

総務省統計局の人口推計月報[1]によると,2008 年 1 月

時点で,わが国の総人口の 21.6%(2760 万 8000 人)を

65 歳以上の高齢者が占め,世界に先駆けていわゆる超高

齢社会に達したと推定されている.このような状況に伴

い,認知症を患う高齢者も,4 月時点での介護サービス

受給者数 292万 2000人[2]の 6割近くに上るのではないか

と推定されている.認知症高齢者介護の切り札と目され

ている介護サービスに,地域密着型サービス[3]と位置付

けられた認知症高齢者グループホーム(以下,GH)があ

る.GH は,介護保険制度の発足とともに急激に成長した

新しいサービスで,2000 年 3 月末には 266 事業所しかな

かったものが,2008 年 5 月末には 9,613 事業所[4]と,実

に 36 倍以上にも増加している.このような GH 事業所数

の急激な増加に,体制の整備が追いつかない現状にあり,

この現状を打開するために,情報的,あるいは機械的な

仕組みによるサポートをはじめとするあらゆる分野から

のサポートが試みられている. ヒューマンインタフェース分野全般で,古くから人間

中心設計[5] やユーザ中心設計[6],参加型デザイン[7]などにより,ユーザニーズを反映した開発や,ユーザビリ

ティの改善をする動きが推進されてきた.ところが,認

知症介護の分野では,研究として新規性や有用性が高い

ものは数多くあっても,介護者や入居者にとって容易に

運用でき,また介護活動を確実に支援できるシステムは

いまだ少ないのが実情である.介護は,人,作業,機器,

状況という要因が適切に調和した環境で行われるもので

あるうえに,被介護者(GH の入居者・利用者)が起こす

突発的な行動にも臨機応変に対応しなくてはならない作

業である.このような介護の現場で利用されるシステム

を構築するためには,介護の本質を技術者が理解するこ

とが重要である.Davenport は「(実際に使ってもらえる

ように運用するためには,)ナレッジマネジメントを専門

家が行う仕事の中に埋め込む必要がある」[8]と述べたが,

介護支援に対しても同様のことが言えるのである.ここ

では,介護活動の文脈に埋め込まれたインタフェース,

つまり実社会志向型のインタフェースが求められている. 言い換えると導入される新しい技術は介護の理念に添

ったものでなければならない.介護福祉において重要な

理念とは:①自立生活の支援,②ノーマライゼーション

の実現,③尊厳及び基本的人権の尊重,④自己実現への

援助である[9].新しい技術が社会理念に反するようにみ

えるのは,技術を取り巻く環境が未成熟だからである.

新しい技術が社会に受け入れられるためには,利用の仕

方について何らかの合意が形成されなければならない. 介護活動を支援する一手段として,監視カメラの有効

性が認められている.その屋内外での利用は,事故防止

や失せ物探しに寄与するとして肯定する意見がある一方,

プライバシーの侵害だとして否定する意見もある.監視

カメラに限らずセンサーネットワークが普及すれば,セ

キュリティとプライバシーに関する同様の議論が起こる

ことは必定である.そこで総務省は監視カメラ設置とプ

ライバシー問題の議論のポイントや課題解決の方向性に

ついて整理し,システム導入にあたっての留意点を示唆

した[10].実社会志向インタフェースを介護の現場で構築

*1: 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 *1: School of Knowledge Science, Japan Advanced Institute of

Science and Technology *2: フリーランスプログラマ *2: freelance programmer

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図 1 GH の見取り図およびカメラの配置

Fig. 1. The Arrangement of Cameras in the Group Home

する場合でも,現場に入り介護者の活動を調べるととも

に,実際に機器を導入し,機器導入前後での活動の変化

を捉えた上で,機器のコンセプトを明確にする必要があ

る. これまでに,著者らのグループでは見守り介護支援シ

ステムの構成や導入の様子について報告してきた[11-14].急激な高齢化社会に直面していることから GH のための

システム開発は急務であるにも関わらず,GH は制度自体

が新しいことも手伝って,システム開発のためのデータ

や知見があまり存在しなかった.そこで,本稿では,「見

守り介護支援システム」のコンセプトを提案するための

基礎データとして,カメラとモニタをグループホームに

導入し,その前後の介護者の行動変容について録画映像

からの分析および聞き取りにより調査することを目的と

した.

2. グループホームおよび見守り介護支援システム

2.1 グループホーム GH とは,介護保険法[3]および老人福祉法[15]により規

定された,「認知症対応型共同生活介護」施設の一般名称

である.現在の日本においては,認知症の高齢者とその

介護者が共同生活を営む住居として設置された建築物を

指し,配置する人員の基準や事業内容などは,当該法に

関する厚生労働省令とその解釈通知である「指定地域密

着型サービスの事業の人員,設備及び運営に関する基準」

[16]などに定められている.各住居の定員は 5~9 人であ

り,介護職員については,1 名以上が常勤であることが

規定されている. 認知症は徐々に進行していく病であることが知られて

いるが,GH では,その進行を緩やかにすることを目指し

ている.それは,各法や省令に「自立」の言葉がちりば

められていることからも読み取れる.これは GH のみな

らず,認知症介護・介護予防全般に言えることであるし,

条文もそのように記載されている.そのような意味にお

いても,著者らのグループは,介護には単なる機械的,

情報工学的なサポートを用意すればよいのではなく,あ

くまでも人間を中心に据えることが重要であると考えて

いる[14].「指定地域密着型サービス事業者は,利用者の

意思及び人格を尊重して,常に利用者の立場に立ったサ

ービスの提供に努めなければならない」(第三条)[16]のであるし,「家庭的な環境と地域住民との交流の下で入

浴,排せつ,食事等の介護その他の日常生活上の世話及

び機能訓練を行うことにより,利用者がその有する能力

に応じ自立した日常生活を営むことができるようにする

ものでなければならない」(第八十九条)[16]のである. それを果たすためには,介護職員は何から何まで手を

貸すのではなく,入居者ができることは自分でさせ,危

険な予兆があれば適宜声かけや手助けをするといった支

援,すなわち「見守り介護支援」が求められる. 2.2 見守り介護支援システムとGHへの設置 介護における「見守り介護」とは,かまいすぎないこ

とで,入居者の自立を促す効果を期待するものである.

可能な限りその人らしく日々の生活を送ってもらう考え

方もあり,認知症介護活動にとっては重要な視点といえ

る.この見守り介護を実施するにはベテラン介護者のよ

うに常にグループホーム全体に対して五感を働かせる必

要があり,特に入居者や介護者の様子を「見守り」する

「目」が必要となる. 著者らは,これまでの調査結果から入居者の生活の質

を向上させるには,介護者の時間的・精神的余裕を作る

必要性があると考えている.介護者に余裕が無い場合に

はその様子が入居者に伝播することや,目前の作業に集

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中できないことが分かっており[12][14],この問題の改善

を図ることで落ち着いた雰囲気作りが可能になると考え

られる.目の前の作業に集中できる環境を作り出すこと

ができれば,現状よりも早く作業を終了でき,時間的余

裕ができるようになる.その余裕を作ることができれば,

介護者はコミュニケーションを通じた入居者の世界観を

理解するための時間や,他の介護活動のための時間に充

てることができるようになる.したがって,入居者にと

っては介護活動の質の改善を通じた QoL(Quality of Life)の向上が期待できる.この期待は,2007 年に石川県で行

われた GH 介護者に対する調査(N=218)[19]の,仕事に

「やりがい」を感じている(84%),責任の重さも感じて

いる(81%),仕事の継続意識も高い(71%),入居者に対

しても人生の先輩として敬愛している(94%)という仕

事や入居者に対する意識の高さに基づいている. 今回調査に赴いた GH には,この「見守り」する「目」

を補うべく,図 1 で示すようにシステムを導入した.こ

のシステムは,モニタとカメラおよび PC で構成されて

いる.入居者のプライバシーを侵害しないように,カメ

ラは廊下や玄関など半公共的に使用される空間に対して

設置するに止め,部屋の中には用意していない.カメラ

配置については,導入前に経営者を交えて,インタビュ

ーやデジタルカメラ写真を用いての画面の見え方チェッ

クなどを通して実地でのニーズ抽出を行い,図 1 のよう

な配置および個数となった.カメラは,工事を避けるた

めに無線のネットワークカメラを使用することにした.

も強い要望があったのは,廊下を見るためのカメラ位

置(Z1)である.夜間,這いながら出てくる入居者の様

子を確認したり,夜間トイレ使用の様子を確認したりす

るために使用したいとの意見であった.そこで,両者が

画角内に納まるように設置した.次に多かったのは,玄

関のカメラ(Z3)である.これは徘徊予防や,入居者が

外出する際の確認,外からの訪問者の確認のために使用

したいとのことであったため,玄関に出入りする様子が

分かるような場所に設置した.勝手口(Z4)に対しても

徘徊時の外出検知への要求があった.また,このカメラ

は,入居者が洗面所を使用している際にも使いたいとの

ことであった.一方で,この部屋は脱衣所も兼ねている

ため,入居者の入浴時には,カメラの電源を抜いたり,

カメラにタオルをかぶせたりしてプライバシーを侵害し

ないように配慮した運用がなされることがこの段階で確

認された.残りは,部屋そのものの利用頻度が高いリビ

ングダイニングに設置することにした(Z2).モニタに対

しても同様のことを行い,持ち運びができるロケーショ

ンフリーモニタを採用した.カメラで撮影した映像は,

PC で処理され,このモニタに 1 画面を 4 つに等分割する

形式で表示した.図 2 に示したのが,その外観である.

設置場所は,キッチンのシンクで,料理している介護者

が見える向きに置いた.これは,日中の作業パターンで

は,料理を作る介護者はキッチンからあまり動かないこ

と,キッチンから見ると廊下(V1 より左側)が死角にな

ること,料理を作っていない介護者は家内の様々な場所

を移動しながら作業しているためにモニタを見る余裕は

無さそうなことを加味して決定した.

表 1 調査に入った GH の概要 Table 1 Overview of group homes.

データ入居者数 9介護者総数 8インタビューイー 5日中の介護者数 3(まれに2)夜間の介護者数 1居住区域 1階のみシステム稼動時期 2008 Marchインタビュー時期 2008 May録画機能 なし

表 2 インタビューイーの概要

Table 2 Profile of interviewees.

図 2 モニタおよび画面構成

Fig.2. Face of a display.

回答者 性別 介護経験 看護師 職歴c1 女性 多 ○ 認知症病棟看護師c2 女性 中 認知症介護施設c3 女性 多 ○ 認知症病棟看護師c4 女性 中 主婦c5 女性 中 他のGH

GH にカメラを適用する際には,入居者や介護者に対

するプライバシーの配慮が不可欠であるが,本稿では紙

幅の都合で割愛する.プライバシーの問題は確かに重要

ではあるものの,介護の質を高めるためには乗り越えな

くてはならない事柄でもある.もちろん,経営的視点を

優先するあまり,入居者や介護者の人権を著しく侵害す

ることはあってはならない.見守り介護支援システムと

監視カメラの相違点については,著者らの一連の研究で

行っているように,半公共的空間のみで使用するように

運用したり,使用者が近づくまで画面表示を消しておい

たり[11]するなどの対策が必要である.著者らのグループ

でも一部報告しているもの[20]の,争点を決着できる結論

は出ていない.重要な論点であるので,稿を改めて継続

的に議論する.

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3. 調査概要

3.1 GHの概要 本調査で対象とした GH の概要を表 1 に示す.この GH

は,GH 用に設計施工された建築物であり,廊下の先まで

見通せるよう視野が確保されている点(図 1)や,段差

が少ないなど,入居する高齢者や介護者に配慮された作

りになっている. インタビューイーのプロフィールをまとめたものが表

2 である.今回の参加者は,いずれも夜勤経験者である.

介護経験については,3 年未満を少に,3 年から 10 年未

満を中とした.ここでの分類は,システム導入前に行っ

たインタビュー時のものである. GH が有する大きな特徴として,看護や介護に長く携

わってきたスキルの高い介護者と,そのような経験をほ

とんど有さずに介護を始める初心者とが協働しなくては

ならず,しかもごく少数(日勤:1 ユニットあたり 2~3名,夜勤:同 1 名,ただしオンコールシステムの導入に

よりすぐに別の介護者が駆けつけられるようになってい

る)の介護者たちで 大 9 人のお年寄りの生活を支えな

ければならない点がある.調査に入った後で判明したこ

とであるが,この GH は認知症看護病棟での勤務経験を

有する介護師を 2 名(経営者を含めると 3 名)配置して

いた.このように質の高い介護師を確保できている GHはそれほど多くないと考えられ,その意味で特殊と言え

よう. GH 内の介護者たちは,日中は炊事を担当する者(1~

2 名)と洗濯や掃除,入居者の介護などを中心に担当す

る,いわば遊軍(1 名~2 名)に分かれている.夜間は,

夕食をさせ,その後の歯磨きや食器の片づけを終え,入

居者が就寝している間に報告書を書いたり,掃除をした

り,見回りをしたりしている.夜間は,基本的に一所に

とどまっている時間が長いようである. 3.2 インタビュー概要 本調査では,システム導入を行う前と後でインタビュ

ーを行った.導入後のインタビューは,介護者がシステ

ムに慣れるための期間を考慮し,1 ヶ月間使用させた後

に行った.半構造化面接法を採用し,システム導入前と

後を比較させるように質問をした.導入前,回答者には

「個人プロフィール」と「介護作業の流れ」「介護作業で

重要なこと」を尋ね,流れに沿って議題を深く掘り下げ

ていった.導入後のインタビューでは,「見守り支援シス

テム(カメラとモニタ)の使い方」,「前回のインタビュ

ー時からの入居者の変化」,「精神的および肉体的負担感

の変化」の 3 点に分けて質問し,回答に応じて内容を深

めるように問うた. 3.3 ビデオ観察の概要および分析 本調査では,GH 経営者および介護者の許可を得て,

ビデオ録画を用いた行動記録の分析を行った.ビデオカ

メラは,図 1 の V1,V2 の 2 箇所に設置した.V1 に据え

たビデオカメラは,廊下の明り取り窓部分を利用し,上

から覗き込むようなアングルで記録した.導入前におよ

そ 21 時間(14 時~翌 11 時),導入後に約 18 時間(14 時

半~翌 8 時)連続で記録した.ビデオ記録は,インタビ

ューを受けた結果が行動に影響するのを避けるため,い

ずれもインタビューを全員に対して実施し,すべて採り

終えた後に,同一の介護者(c1 氏)が夜間勤務する日に

採録した. 持ち帰ったビデオは,目視による分析を行い,記録さ

れている行動の生起回数をカウントするとともに,その

内容を記述した.行動している人物が特定可能な場合は,

名前を記述し,不明の場合は単に「入居者」「介護者」の

表記に止めた.表 3 は,分析の一例である. その後,介護者と入居者別に行動記録を分け,計数し

た後にグラフに描いた.

4. 結果および考察

4.1 GH内の業務の流れ 導入前のインタビューから,この GH における業務の

流れは,おおよそ以下の通りであることが分かった. 朝は朝食作り,着替えの手伝い,歯磨き・洗顔補助,

トイレ介助,食事,食事の後片付け,昼食作りなどがあ

り,昼間は,洗濯(物干し・取り入れ・たたみ),掃除,

散歩,入浴介助(1 人当たり週 2 回程度),トイレ介助,

食事,食事の後片付け,夕食作り,日用品や食品の買出

表 3 ビデオ観察データの分析例 Table 3 An example of video analysis.

1 介護者:トイレに入る2 入居者:トイレに入る3 c0:入居者1の部屋へオムツを取りに行ってくる4 入居者:リビング→部屋5 c0:トイレ介助が終わって入居者1を連れて部屋へ6 c0:入居者2の部屋何かを持ってトイレへ7 c0:トイレ→入居者2の部屋8 c0:またトイレへ9 介護者:入居者2の部屋を見て→トイレ

10 c0:トイレ介助が終わって入居者2を連れて入居者1の部屋へ11 c0:入居者3の部屋へ12 c0:リビングから入居者3を連れて入居者1の部屋へ13 入居者:自分の部屋→入居者1の部屋14 c0:入居者1の部屋→リビング15 入居者4:リビング→入居者1の部屋16 入居者5:リビング→部屋17 介護者:奥のドアへ18 介護者:外から大きなものを持って入居者の部屋へ19 介護者:その大きな者を入居者の部屋においてリビングに戻った20 入居者6:リビング→部屋21 入居者6:自分の部屋から出てきてまた戻った22 入居者3:入居者1を連れてリビングへ23 入居者:入居者1の部屋→リビング24 介護者:入居者2を連れてリビングへ25 入居者4:入居者1の部屋→リビング26 介護者:入居者1の部屋27 入居者:リビング→部屋28 入居者7:部屋→リビング29 入居者6:部屋→リビング30 入居者5:部屋→リビング31 入居者6:すぐリビング→部屋32 入居者6:また部屋→リビング33 入居者:部屋→リビング34 入居者:トイレ→リビング35 入居者8:部屋→リビング

M2U00197 16:08~17:46

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図 3 システム導入に伴う入居者の行動変容 図 4 システム導入に伴う介護者の行動変容 Fig.3. Transformation of behavior patterns with residents. Fig.4. Transformation of behavior patterns with caregivers.

精神面が強調されているのは,夜間勤務について言及

される場合が多かった.「夜中になんかびくびくっとしと

ったもんが取れて,『ああ何やおらんのや』みたいな思っ

て(笑い)(c3 氏)」といったコメントにもあるように,

漫然とした不安感を一部拭うことができた点や,「ずって

(這って出て)くる人なんかを,あんなの今までやった

ら分からないもん,そこまで.それかしょっちゅう見と

るかっていう感じ.でもここにおって書き物しながらで

も,わたし常にそばに置いてはしてるもんで,見ながら

『ああ,出てきた』っちゅう,すぐ対応できる(c1 氏)」

の発言に代表されるように,従来では発見が遅れ気味で

あった現象にも前もって心の準備をしておける点がその

大きな要因であると推察される.

しなどをしている間に過ぎ,夕刻以降は,食事,歯磨き・

洗顔補助,着替えの手伝い,掃除,食事の後片付け,夜

の見回り,トイレ等で起きてきたお年よりに対する対応,

朝食作りなどを行っていると夜が明ける.彼ら・彼女ら

の仕事はこれだけにとどまらない.お年寄りがその日の

間にどれだけトイレに行ったか,食事は何をどれだけ食

べたか,何か特記すること(転倒・徘徊など)がなかっ

たか,誰がいつ外出したか,誰が尋ねてきたかといった

行動記録を書かなければならないし,介護者同士で申し

送りもしなければならないし,帰宅要求や思い違いから

発生する入居者同士の口論,介護者への愁訴といった認

知症ならではの症状にも応じなくてはならない.これら

の記録については,定期的に起こるものではなく,突発

的に立ち現れるものが多いため,記録することに不慣れ

な介護者にとっては負担が大きい.また,定期的に医者

が訪問を受け,健康状態のチェックは行われているとの

ことであった.

著者らにとって意外でもあったのは,介護者が思いの

ほか肉体面の負担感低減を口にしたことであった.これ

については,ビデオ観察から得たデータが参考になった.

図 3,図 4 は,入居者と介護者のそれぞれの行動変容の

様子をグラフ化したものである.図 3 を見ると,システ

ムを導入前後では,15 時と 6 時前後のデータを除いてそ

れほど大きな差は見受けられない.15 時になぜアレほど

大きな差が生まれたのかは,今回獲得したデータからは

はっきりとしたことは分からない.6 時前後に入居者の

行動回数が増えているのは,時期が影響していると考え

られる.導入前のインタビューは,大半を 11 月末から

12 月にかけて実施し,導入後は 5 月下旬がインタビュー

時期であった.日の出の時間は後者のほうが早くなって

いるため,入居者の起床時間が早めにずれ込んだものと

考えられる.

全体としては,日常的なルーティンワークの中に,い

くつかの突発的な事態が織り込まれながら一日の作業が

進んでいくようである. 4.2 介護行動の変容 導入後のインタビューにおいて,システムがもたらし

た精神的負担感および肉体的負担感については,「精神面

では(20%~)40%(楽になった)かな.精神面はやっぱ

高いな.肉体面、20%ほどかな(c1 氏)」,「心が 35%,

身体は 20%(c2 氏)」,「昔は(安心感が)20,30 やった

わ.心配性の方が多かったわ.だけど今は 80 パーセント

か 90 パーセントぐらい,楽やわ.精神的にこれあると楽

やわ(c3 氏)」「肉体も,昔(の安心感)が 20 から 30 で。

今が 80 から 90(同)」,「(精神面は)10 パーセントやね・・・

安心っちゅうは安心やさかいに半分ほど安心(笑い)(c4氏)」,「肉体は 10 パーセントぐらい(同)」,「(負担感減

は,精神面も肉体面も)30%かな(c5 氏)」と,いずれの

介護者も,負担感が減ったと感じていた.

一方,介護者のデータからは,システム導入後の方が,

はるかに行動が少なくなっていることが分かる.表 4 に

システム導入前の行動データを,表 5 に導入後の行動デ

ータを分類した結果を示す.両方の表から,導入後のデ

ータでは介護者のトイレ介助に対する行動が大幅に減っ

ていることが読み取れる.これについては,インタビュ

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表 4 システム導入前の行動データ Table 4 Data of behavior patterns before system operation..

入居者 入居者 介護者 トイレ介助のための 入居者の部屋へ 例外部屋⇔リビング部屋⇔トイレ 廊下(単純) 道具等の獲得 入居者へ

13:58~15:35 8 21 29 6 5 3 2 23 医者の行動15:36~17:14 13 35 48 3 2 2 8 317:15~17:32 1 2 3 2 2 217:35~19:13 4 8 12 6 1 1119:13~20:51 3 3 4 1 2 4 5

夜20:51~22:24 4 4 7 1 2 1522:25~23:56 2 2 4 1 523:57~1:30 2 1 3 91:31~3:02 5 5 1 83:03~4:33 4 4 1 2 34:34~6:09 14 8 22 3 3 2 2 4

6:10~6:50 8 13 21 2 1 2 16 4

時間 入居者 車椅子介助 トイレ介助

表 5 システム導入後の行動データ Table 5. Data of behavior patterns after system operation..

入居者 入居者 介護者 トイレ介助のための 入居者の部屋へ 例外部屋⇔トイレ部屋⇔リビング 廊下(単純) 道具等の獲得 入居者へ

14:30~16:08 8 12 20 4 1 7 大きなバ16:08~17:4

ケツ6 1 21 22 2 4 2 5 3 1

17:46~19:24 11 10 21 3 1 2 8 619:24~20:55 3 3 1

夜20:55~22:25 2 2 622:25~23:57 8 8 1 223:57~1:24 2 2 31:24~2:54 7 72:54~4:34 5 54:34~6:21 記録データ欠如

6:21~7:59 8 23 31 3 2 2 8 27:59~9:37 14 16 30 3 3 2 1 2 掃除

時間 入居者 車椅子介助 トイレ介助

ーでも言及されていた.例えば,以下のようなやり取り

がある. c5:(システムが無いときは)ここのつくりはトイ

レに来られたときは台所にいるとトイレの

明かりが見えるんです.そんなふうに作って

あるんです.だからすぐ駆けつけて,誰が今

利用してるかっていうのは分かりますし. 質問者(以下 Q):それは何のためにって言うと変

ですけど,駆けつけて行かれるんでしょう.

手伝いに行くんですか. c5:そうです,確認ですかね.排便とか.

このように,介助が必要な人がトイレに向かったかど

うかを判断するために,移動をしていた.これには他の

理由もある.上記の発言を受け,対話は以下のように進

んだ. Q:確認っていうのは誰が入ったかっていうのを

確認なさるんですか,それともちゃんとでき

てるかなっていうのを確認なさる・・・. c5:ちゃんとできない方は車いすの方なんです.

それ以外の方ではここでは,どこ(のGH)

でもそうやけど,排尿とか排泄の記録みんな

取ってますでしょ.そのためですね. Q:じゃあ誰がっていうのを主に確認しに行くっ

ていうのが第一義的にあってっていうこと

なんですかね.それで例えば車いすの方だと

そのまま. c5:介助. (中略,介助の話が続く) c5:そうです.こうやって歩いてこられる方が自

立してらっしゃる方だって分かれば,その時

間だけその場で記録して,いちいち確認には

行かなくなりました.あくまでも自立してら

っしゃる方の場合.トイレの明かりだけ見て

たときはどなたかっていうのが全く分から

ないから. このように,トイレの使用者を記録するためにこのシ

ステムが利用されていた.他の介護者も,同様にこの現

象についてコメントしていた.例えば,c4 氏は c4:あそこにおった場合は,「まあ電気ついとるわ,

ああ,誰か入ったわ」と,ほんでここまで来

ました. Q:歩いてね. c4:うん.歩いて.うん.「誰入っとるんやろ」っ

て. Q:メモ取ってまた戻って作業する. c4:ええ,そうです.

と述べていた.他の介護者も同様である. システム導入前は,誰がいつトイレに行ったかを記録

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するために,進行中の作業を中断し,トイレまで移動し

て記録を採り,必要であれば介助をし,その後もとの作

業に戻る,というのが一連の流れであった.導入後では,

それが記録そのものは作業を一部中断して行う必要があ

るが,直接トイレまで行って視認する必要性が無くなり,

移動回数が減ったために図 4 や表 4,表 5 のような結果

になったものと考えられる. さらに,入居者が寝静まった後に開始される各々の入

居者の行動記録を行う際にも,机(図 1 のリビングにあ

るもの.通常は部屋の中央に置かれている)を,廊下側

に移動させて作業を行う場合もあった旨の発言があった.

このような肉体労働をしなくて良くなったことも,肉体

的負担感を下げる一因になったと考えられる. 昼間の介護についても,変化があったとの発言を聞く

こともできた. Q:以前のモニタがないときの疲れ具合が 100%だ

ったとしたときに,今は増えましたか,減り

ましたか. c5:減りましたね.精神的に.はい.何かあれば

今では自然とモニタの方に目がゆくように

なりましたし.慣れるまではなかなか行かな

かったんですが. Q:何かあるとモニタに目が行くと.例えばその

何かっていうのは何ですか. c5:何かっていうよりも無意識に.モニタを通し

て目線が動くっていう感じ.はい. Q:無意識に. c5:その目線の動きの中にモニタが入ってるんで

すね. 2.2 で先述したように,この GH では日中は,炊事を行

うものが見やすいようにモニタを配置した.したがって,

介護者の間では,以下に示すように暗黙的に炊事担当者

が日中のモニタをチェックする役割に決定されたようで

あった.この介護者が言及したシーンも同様である. c1:夜勤って案外1人やから責任感あるさかいに

ものすごく見るわね.もうしょっちゅうもう

手元において,もうしょっちゅう見る.けど

も日勤帯ってみんないると,(いろいろなと

ころを動き回りながら家事や介護をしてい

るので)ほとんど見ない. Q:モニターをってことですか. c1:うん,モニターを.だからあそこの台所のお

仕事してる人は,あそこにあるんやからどれ

だけ見てくれとるかやわね. 以上見てきたように,カメラとモニタから構成された見

守り介護支援システムのプロトタイプシステムは,介護

行動を変容させたことが明らかとなった.そして,その

変容は,介護者の精神的・肉体的負担感の低減に繋がっ

たことも分かった.

介護者たちが,このシステムに追加して欲しい機能に

ついて語り始めているインタビューデータも獲得してお

り,そのことからも彼女たちがこのシステムと行動変容,

負担感がカットされている状況を受け入れ始めているこ

とが伺える. 本システムが 終的に目指すものは,人にしかできな

い介護(ex. 対話を通じたその人らしい介護)を提供す

るための支援である.そのためには,精神的・時間的に

ゆとりが無くてはならない.今回獲得した結果は,その

一部に貢献できる可能性を示唆したものと考えられる.

しかしながら,空いた時間がどのように使われているか

については,まだ調査を行っていない.これは今後の課

題として積み残された.

5. おわりに

本研究では,カメラとモニタから成る見守り介護支援

システムのプロトタイプを作成し,フィールドでの実証

実験および調査を行った.ビデオ観察とインタビューに

よりデータを取得し,分析を行った結果,介護者の負担

感を肉体的にも精神的にも低減できたことが明らかとな

った. しかし,GH のための見守り介護支援システムを完成さ

せ,実際の現場での使用に耐えうるレベルに引き揚げる

にはまだまだ課題が多い.本研究で対象にしたのは,あ

くまでカメラとモニタのみであるため,認知症の入居者

のためのシステムとしては,機能的にまだ貧弱なもので

ある.今後は,電波や音波のセンサと組み合わせて低廉

かつ機能的なシステム実現に向けた取り組みが求められ

る.また,今回の結果は,あくまでインタビューとビデ

オで記録された結果から言えることに留まっている.今

後も継続的にデータを獲得し,行動データに大きな偏差

が生じないか,インタビューでの発言にぶれが発生しな

いか,などを通じて結果の妥当性・信頼性を向上させて

いかなくてはならない. また,プライバシーと介護の質の関係について,さら

なる議論が必須である.2.2 でも触れたとおり,プライバ

シーの問題は確かに重要ではあるものの,介護の質を高

める観点からは機械で代替できる作業については少しず

つ置き換えて,介護者に時間的・精神的な余裕を作る必

要がある.そして,その空いた時間を,人間でなくては

行えない行為,例えば入居者との対話や遊戯や自立的な

活動支援を実行することに用いればよいと考える.これ

らのことを通じて,介護者は入居者の世界観に対する理

解を深めることができ,それによりその人らしい生活を

送ってもらうための介護が可能となるからである.経営

的視点を優先するあまり,入居者や介護者の人権を著し

く侵害することはあってはならないのは当然である.こ

の問題については,様々な角度から議論をしなくてはな

らない.

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謝辞

本論文を執筆するにあたり,北陸先端科学技術大学院

大学知識科学研究科の國藤進先生および博士後期課程の

高塚亮三氏,GH の経営者の方には機会を提供していただ

き,また貴重な議論をいただきました.ここに記し,深

謝いたします.同じく博士前期課程の大川拓氏には分析

ツールの開発に携わってくださいましたことに対し,こ

こに感謝の意を表します.さらにお仕事中の貴重な時間

を割いてインタビューにお答えくださった介護職員の皆

様に深く感謝いたします.本研究は一部,文部科学省・

知的クラスター創成事業「石川ハイテク・センシング・

クラスター」の支援を受けて行われました.

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価基準の考え方と評価のポイント,評価の着眼点

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