余暇時間の増大とその有効活用 - sumi-ken ·...

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0 公共選択学会 第15回学生の集い 2012/11/2425 地域活性化に向けて ~余暇と消費の増大~ 高崎経済大学 地域政策学部 中村ゼミ 2年 日経パート 井手綾美 高橋耕平 前原和史 山崎浩輝

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公共選択学会 第15回学生の集い 2012/11/24・25

地域活性化に向けて

~余暇と消費の増大~

高崎経済大学 地域政策学部 中村ゼミ 2年 日経パート

井手綾美 高橋耕平 前原和史 山崎浩輝

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目次

フローチャート

序章 1 論題解釈

2 問題意識

3 研究仮説 5

第1章 日本における成熟経済と人口減尐

第1節 成熟経済

1-1-1 成熟経済に至った理由

1-1-2 現在の日本の経済状況

1-1-3 成熟経済の与える影響 10

第2節 人口減尐

1-2-1 人口減尐に至った理由

1-2-2 人口減尐の現状

1-2-3 人口減尐の影響

第2章 日本の労働環境の現状・問題点 15

2-1 日本の労働問題

2-2 年次有給休暇について

第3章 余暇政策理論

3-1 余暇とは何か

3-2 余暇の増大と地域活性化 20

3-3 余暇の現状と問題点

第 4 章 実証分析

4-1 余暇時間と消費支出の関係

4-2 余暇時間と県内総生産の関係

4-3 余暇時間と所得の関係 25

第5章 政策提言

終章 結論・残された課題

参考文献・URL

30

35

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フローチャート

・地域とは?

・地域活性化とは? 5

・成熟経済・人口減尐という現状

→どのように捉えるか?何に目を向けて地域を活性化するか?

地域活性化するにあたって問題となっているものは何か? 10

→消費を増やすためには時間(余暇)が必要

→余暇の増大には労働時間とのバランスが関係

余暇時間を有効に消費の増大に結びつければ地域社会・経済を活性化できるのでは? 15

成熟経済と人口減尐の現状・原因・影響

余暇の増大に必要な労働問題の現状・原因

20

・余暇とは何か?

・余暇の増大がどう消費の増大に結び付くか?

・余暇の現状・問題点

25

余暇が多いと消費が多いのか?

→回帰分析

30

労働と余暇の問題を踏まえた、地域活性化に向けた具体的な政策の提言

・本文の結論、残された課題について

・参考文献・URL 35

論題解釈

問題意識

研究仮説

現状把握

余暇政策理論

政策提言

結論

実証分析

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序章 1論題解釈

「成熟経済・人口減尐の時代にあって、地域社会・経済をいかに活性化すべきか。」

これが今回与えられた論題である。

初めに成熟経済について、経済が成長する過程においては、さまざまな産業が発展する

ことによって、商品やサービスの生産が増加して経済が成長し、人々の生活が豊かになる5

という変化が生じる。しかし、そうした変化が進むにつれて、経済が成長するペースは次

第に鈍化していく。我々は、この経済の成長ペースの低下を成熟経済とよぶこととする。

そして、人口減尐については、2005 年ごろからの日本のような人口が継続的に減尐して

いく状態のこととする。この現状のなかで、いかにして地域を発展させていくか、それを

考えた時にこれらの状態にある日本では、何か新しいもの・ことを作り出して飛躍的な発10

展を望むことは難しい。したがって、現在問題となっている社会のシステム・制度を尐し

変えることで活性化を促すことがより現実的であるといえる。

そもそも地域とは何か。各々その解釈は違うと思われるが、テーマが「地域活性化」で

あるので、ここでは市町村と考える。地域の活性化とは何か。活性化には二つの側面があ

る。一つは経済面、つまり GDP の増加をもたらす要因である消費の増加。もう一つは社会15

面、つまり地域の人々の生活満足度が上がること、人それぞれ違うが例えば所得が増えた

り、健康になったり、コミュニティが活性化することなどである。この二つの要素が現在

よりも高い水準に推移することである。我々は今回地域の活性化を消費の増大、つまり経

済の活性化に重点を置く。

地域経済を活性化するには、人々がその地域でお金を使い、それをきっかけとして滞っ20

ている消費のサイクルを動かす必要がある。地域社会を活性化するには、上記でも述べた

とおり地域の人々を健康・安全・活発にさせる必要がある。

我々はこの二つを満たす地域活性化の糸口として有給休暇の健全な取得により生まれる余

暇に着目した。なぜ余暇が増えると地域が活性化するのか。余暇が増えれば、今まで時間

がなくてできなかった活動をすることができる可能性が生まれる。その時間を人々が観光25

やコミュニティの振興などに費やすようになれば経済活動は増加し、地域の会合、お祭り、

ボランティアに関心が高まり、結果地域全体が活性化するのではないかと考えたのである。

また、余暇増大の為の手段を有給休暇の取得という点に限定した理由については、現在の

日本の労働環境における問題点として有給休暇取得率の低さがあげられるため、この問題

についても今回の政策提言の過程によって解決することが出来るのではないかと考えたか30

らである。

2 問題意識

余暇の増大には現在の日本の労働問題を改善しなければならない。実際、労働者の多く

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が時間に制約されている。内閣府の国民生活選好度調査(2011年度 対象は全国に居

住する 15 歳以上 80 歳未満の男女 4,000 人)の中で、「社会的なサービスを提供する活動

への参加を円滑にするためには、どのような環境整備が必要だと思いますか」という問い

に対し「ボランティア休暇や有給休暇を取りやすくする」に41.9%もの回答が集まっ

た。また別のところで、「社会的なサービスの提供や利用等に関し、あなたはどのように参5

加したいか」という問いに対して約半数(50.3%)の人々が「これまで参加していなか

ったが、今後は自ら参加したい・これまでも参加していたが、今後をもっと活動を増やし

たい」と社会活動に積極的になっていることがわかる。

このことから、社会参加したいけれども自由な時間が欲しいと思っている人が尐なから

ずいるのではないだろうか。 10

また、上記で地域経済が活性化するには、地域でお金をおとすことが必要だと述べたが、

地域でお金を使う例として観光がある。その観光業も観光する人の数が減っており、地域

に来る人の数も、その消費も減ってしまっている。理由と挙げられるのは、観光に使える

まとまった資金がないこと、そして連続して休みがないこと、そもそも休みが尐ないなど

時間的余裕がないことである。 15

3 研究仮説

以上のことから我々は、労働時間に縛られる現代人は消費活動や、社会活動をする時間

が足りないのではないかと考えた。地域活性化のためには、時間的余裕すなわち余暇が必

要で、有給休暇の取得によって余暇時間を増やせば、余暇時間は消費増大に有効に作用す

るはずである。 20

つまり、余暇を有効に消費に結びつけることによって人口減尐・成熟経済の中でも地域

は活性化するのではないか、と我々は考えたのである。

25

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第1章 日本における成熟経済と人口減尐

第1節 成熟経済

先の論題解釈の場では、成熟経済を経済の成長速度の鈍化と捉えるとした。では何故、

日本の経済成長は鈍くなってしまったのだろうか。また、現在の日本経済は具体的にどの5

ような状況にあるのか、また成熟経済が及ぼす社会への影響とはどのようなものなのだろ

うか。ここではそれらの疑問点について考え、述べていくこととする。

1-1-1 成熟経済に至った理由

経済成長の鈍化の理由としては、需要と供給の二つの面が関係していると考えられる。 10

まず供給面について、論題の一部ともなっている人口減尐に関連して述べる。人口の減尐

は単に総人口が減ってしまうというだけでなく、経済的にも大きな影響を及ぼす。という

のも、人口減尐は同時に、生産活動の中心である生産年齢人口の減尐を引き起こすからだ。

このことは、経済成長の一つの要因である労働力供給の縮小につながる。

経済成長の要因には他にも設備投資や技術革新などによる生産性の向上等あるが、これ15

らの上向きの効果を、労働力供給の縮小という下向きの効果が弱めているのである。

対する需要面に関しても人口減尐の影響を受けている。人口減尐は消費量の抑制に直結

するからである。

そして、需要面において、人口減尐以上の要因と考えられるのがニーズの縮小である。

高度経済成長期までの、かつて人々が貧しかった状況においては存在していた「衣・食・20

住」を代表とする、生活に必要不可欠なモノに対する需要が、現在のように豊かな生活を

獲得した段階で減尐したため、企業側が、人々が欲しがる新しい商品やサービスを開拓・

開発しようという努力を続けたとしても、実を結ばなくなっていくことが挙げられる。

以上に挙げた、様々な要因が重なることで、経済全体の成長ペースが低下していくが明

らかになった。 25

しかし、後半の需要の縮小による成長の鈍化は、言わば国民の生活が物質的に豊かにな

ったということでもある。

物質的豊かさを享受しつつ、低成長という決して好ましいとは言えない状況にどのよう

に対応していくべきなのか、成熟経済社会を過ごしていく我々に与えられた課題と言える

であろう。 30

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1-1-2 現在の日本の経済状況

図1 実質 GDP の推移

図2 実質経済成長率の推移 5

参考:「世」日本の GDP の推移

このグラフは日本の過去 30 年間の GDP 費の推移と、高度経済成長期から現在までの実

質経済成長率(実質 GDP の対前年度増減率)を表したグラフである。

まず GDP の推移をみると、それまで順調だった GDP 費の上昇が 1990 年代に入ると急10

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

550000

1980年

19

81年

19

82年

19

83年

19

84年

19

85年

19

86年

19

87年

19

88年

19

89年

19

90年

19

91年

19

92年

19

93年

19

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19

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19

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19

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19

99年

20

00年

20

01年

20

02年

20

03年

20

04年

20

05年

20

06年

20

07年

20

08年

20

09年

20

10年

20

11年

実質GDPの推移

GDP(10億円)

-10

-5

0

5

10

15

20

1954

1956

1958

1960

1962

1964

1966

1968

1970

1972

1974

1976

1978

1980

1982

1984

1986

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

2008

2010

成長率

(%)

実質経済成長率の推移

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速に減速していることが目に留まる。

このことの一番の原因は、1986 年後半からの通称バブル景気が 90 年代初めに崩壊し、

日本経済の安定成長期が終わりを迎えたことにある。この頃からの 2000 年代初頭までの景

気後退は、「失われた 10 年」と呼ばれ、またアメリカにおけるサブプライムローン問題を

発端とする、世界的な金融危機によって引き起こされた現在までの不況を「失われた 20年」5

と呼ぶこともある。

しかし、グラフに表される GDP 費上昇の停滞には景気の後退だけではなく、ここまで述

べてきた経済の成熟も関連していると思われる。GDP とは、国の豊かさを示す一つの重要

な指標であるが、そこに至るまでには様々な経済的要素が含まれていることがわかる。

次に二つ目のグラフ、経済成長率の推移のグラフを見ると、高度経済成長期の最中には10

その成長率は 15%に近づくこともあったことがわかる。

しかし、高い水準にあった成長率は、その成長期の終息と共に徐々に下がり続けている。

そして、1990 年代に入ってからは、多尐の増減はあるものの常に低い割合をとっている。

経済成長率とは、ある一国の経済規模の伸び率を表すものであることからも、日本の経済

が成熟期にあると言える。 15

戦後の貧しい状況から、驚異的なスピードで回復・成長した日本経済であるが、現在で

は人口減尐、生活の豊かさからくる需要の縮小によりその勢いは衰えた。長い目で見れば、

小さな幅で上昇を続けてはいるものの、普段の生活の中で実際に我々がその成長を感じる

ことはほぼ無いと言っても良い。現に、大手電機製品メーカーの経営の悪化による大規模

のリストラの話題などは耳に新しい。 20

GDP 費で世界第三位につける経済大国日本であるが、その状況は苦しい位置にある。

1-1-3 成熟経済の与える影響

成熟経済が与える影響としては挙げられるものはいくつかある。ここでは、その例を企25

業と一般市民の関係性と、メリット、デメリットに分けて分析する。

<メリット>

市民:成熟経済の中で、物的欲求がみたされた状態のため、物的な豊かさではなく、精神

的な豊かさを求めるようになる。 例)旅行、レジャー。 30

企業:単に商品、サービスを提供するのでは無く、精神的欲求を持つ消費者のニーズに見

合った新しい商品づくりによる消費の獲得。

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新たな需要が創出されることによる経済成長

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<デメリット>

企業:日本国内では、今以上の消費の増大が見込めない状況にある。

そこで、今後も成長を続け安定的な需要の獲得が予想される、中国などの海外市場

において事業を展開、部品調達等のコスト削減の為、製品の現地での生産を行う。(産5

業の空洞化)

市民:産業の空洞化が進むことにより、以前働いていた職場を失う場合や、就職先の採用

がなくなるので新卒も就職先が無くなる場合などの現象を引き起こし、労働環境の

悪化につながる。これにより、より消費は落ちこみ、国内景気までもが悪化する。 10

国内の産業空洞化が労働環境の悪化、それによる消費の縮小につながり、

成熟経済の下での負の連鎖を誘引

15

20

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第2節 人口減尐

日本は2005年を境に人口減尐時代に入ったといわれている。厚生労働省が人口動態

統計を取り始めてから初めて出生数と死亡数の差である自然増加数がマイナスなったので

ある。ここではその人口減尐の実態、それに至った原因、人口減尐が及ぼす影響について

述べていきたい。 5

1-2-1 人口減尐に至った理由

人口が減尐する原因としては一人の女性が生涯に産む子供の数、すなわち合計特殊出生

率が低下していることにある。人口が保たれるためにはこの合計特殊出生率が2.07以上

なければならないとされているが、2011年での日本の合計特殊出生率は1.39であり、10

ここ近年でかすかに上がってはいるが人口を維持するためにはまだ遠い数値である。

経済成長率の低迷、若者の失業や就職の不安定化、教育費などの子育て費用の高騰、働

く女性の増加など、女性が子供を産みにくい社会であることが挙げられる。

図3 主要先進国の合計特殊出生率 15

*国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集2012年度版」を基に作成

このグラフは主要国の合計特殊出生率を表したものであるが、 日本の場合、戦前から多

産から尐産の動きははじまっていたが、戦後のベビーブームの終息という状況も加わって、

1950 年代に合計特殊出生率は大きく低下した。 20

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

4

1950

1955

1960

1965

1970

1975

1980

1985

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1992

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1995

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2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

年度

主要先進国の合計特殊出生率

アメリカ イタリア

スウェーデン イギリス

フランス 日本

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日本の2.09 という値は1975年ごろから下回り始め、2001年からは 1.33、1.32、

1.29、1.29、1.26、1.32、1.34、1.37、1.37、1.39、1.39 と 1.3 代を推移している。子ども

手当や、産前・産後休暇、育児休暇など子供を育てやすい環境を整えつつあるが、諸外国

と比べるとまだまだ低い数値である。

そんな中でも、出生率の高いフランスとスウェーデンは、出生率の回復に向けた対策を5

行った例がある。

毎日新聞(04 年 6 月 11 日)によれば、「フランスでは 3 人の子どもを 9 年間養育した男

女に年金額を 10%加算するなどし、出生率を 94年の 1.65から 02年に 1.88に回復させた。

スウェーデンは、子どもが 4 歳になる間に所得が減っても、年金計算は(1)子どもが生まれ

る前年の所得(2)年金加入期間の平均所得の 75%(3)現行所得に基礎額(約 50 万円)を上乗10

せした金額-の 3 通りから最も有利なものを充てるなどの対策で、01 年に 1.57 だった出生

率は 02 年に 1.65 に伸びた。」とある。確かにこの二国は徐々に数値を伸ばしており、2.07

に近い数値になってきているのがわかる。

図4 こどもについての国際意識調査 15

*内閣府「尐子化社会に関する国際意識調査」を基に作成

(注)調査対象は各国20~49歳男女かつ、まだ希望する子供の数に達していない人約

1000人

このグラフは、希望する子供の数(調査によると平均2.4人)に達していない人が、こ20

れから子供を増やそうと思っているかについて内閣府が各国にアンケートを出した結果で

ある。これを見ると日本がこどもを増やしたいと思っている割合が諸外国に比べかなり尐

ないことがわかる。主な理由としては不景気だから、子供にかかる養育費にお金をかけら

れないことが挙げられており、経済の低迷が人口を減尐させている要因になっている。

25

48.8

51.4

79.5

79.7

86.3

47.5

43.9

17.7

17.7

7.4

3.8

4.7

7

2.6

6.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

日本(318人)

韓国(214人)

アメリカ(185

人)

フランス(231

人)

スウェーデン(1

76人)

子供についての国際意識調査 子供を増や

したい

子供を増や

したくない

その他・わ

からない

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11

1-2-2 人口減尐の現状

次に、人口減尐の現状について述べる。

図5 日本の総人口の推移

5

図6日本の労働力人口

*総務省統計局「人口推移と将来人口」より作成

一つ目のグラフは日本の総人口の推移を表したグラフである。二つ目のグラフは労働力

人口の推移を表したグラフである。 10

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000(千人)

(年度)

日本の総人口の推移 65歳以上(老年人口)

15~64歳(生産年齢人

口) 0~14歳(年少人口)

50,000

55,000

60,000

65,000

70,000

75,000

80,000

85,000

90,000

1980

年/Year

1990 2000 2005 2010 2025 2050

千人 日本の労働力人口

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12

グラフを見ていただくと分かるとおり、すでに総人口、労働力は減尐しており上のよう

な影響を日本に与え始めている。そしてその人口減尐・労働力人口の減尐は加速しながら

進んでいくことが予測される。また年尐人口・労働力人口の割合がだんだんと減っていく

のに反比例して、老年人口の割合が増えている。今後はただ減っていくのではなく高齢化

しながら減尐していくことが予想される。 5

人口が減尐すると労働者(生産年齢人口)が減尐し、労働力人口の減尐は経済成長に悪

影響を及ぼす。労働者数の増加率と、労働生産性の上昇率によって決まる経済成長率を低

下させる原因となる。一人あたりの労働生産性が現状のまま推移するならば、GDP(国内

総生産)は確実に減尐することになる。

10

1-2-3 人口減尐の影響

人口減尐の影響として、過疎化・過密化が進んでいる。次の表を見てみると人口が増加

している都道府県は9つであり、東京、神奈川、千葉、愛媛、埼玉、大阪、福岡など都市

部に流れ込み都市部集中の傾向が顕著にみられる。公共交通が発達しており、各企業の本

社、営業所があり、そこに行けば何でもあるといった利便性の高さから、都市部へ移り住15

む人が多いことが考えられる。

そして、過半数の都道府県が人口減尐に陥っている。

地方、特に東北地方の秋田、青森、岩手、中国・四国地方の高知、島根、鳥取などで人

口減尐が進んでいる。魅力あるまちづくりに行政・NPO 団体・地域住民が精力的に参加し

活動しているが、人が都市部に流れてしまっている現状はグラフを見れば一目瞭然である。 20

-6

-4

-2

0

2

4

6

東京

神奈川

千葉

沖縄

愛知

滋賀

埼玉

大阪

福岡

兵庫

茨城

栃木

京都

石川

熊本

宮城

岡山

広島

静岡

三重

群馬

大分

岐阜

奈良

宮崎

香川

富山

福井

佐賀

長野

北海道

新潟

山梨

愛媛

鹿児島

山口

鳥取

福島

徳島

島根

和歌山

長崎

山形

岩手

高知

青森

秋田

% 都道府県別人口増加率

平成12年~17年 平成17年~22年

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13

平成17年~平成22年

の人口増減

平成12年~平成17年

の人口増減との比較

都道府県名(数)

人口が増加 増加が加速 埼玉県 千葉県 東京都 大阪

府(4)

増加が緩和 神奈川県 愛知県 滋賀県 福

岡県 沖縄県(5)

人口が減尐 増加から減尐に転換 栃木県 静岡県 三重県 京都

府 兵庫県 岡山県(6)

減尐が緩和 茨城県 石川県 奈良県(3)

減尐が加速 その他の都道府県(29)

図7・8 都道府県別人口増加率

*総務省統計局「人口等基本集計結果」を基に作成

5

10

15

20

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14

第2章 日本の労働環境の現状・問題点

我々は地域活性化のためには余暇が必要だと最初に述べたが、余暇の増やすためには

労働時間との関係をとらなければならない。そもそも労働時間と余暇時間のバランスは

保たれているのだろうか。これらの問題について述べていきたい。

5

2-1日本の労働問題

図9 長時間労働者の割合

参考:独立行政法人労働対策研究・研修機構「長時間労働者の割合」

10

1987 年の労働基準法改正により、法定労働時間週48時間だったものが、1日8時間、

週40時間となった。しかし、上記のグラフから分かる通り日本の長時間労働者の割合は

依然として高いままである。労働基準法により、使用者は労働時間を適切に管理する義務

を有しているが、自己申告制(労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより労

働時間を把握するもの)の不適正な運用に伴い、割増賃金の未払いや過重な長時間労働と15

いった問題が生じているなど、使用者が労働者の労働時間を適切に管理していない現状が

ある。

労働基準法に違反した場合には、一部の条文には刑事罰が書かれているため、刑罰法規

としての側面を持つことになっているが、上記のようなブラック企業と呼ばれる労働時間

などの規定を守らない企業が無数に存在している事からもわかるように実際は法としてま20

0

5

10

15

20

25

30

35

40

就業者 1995

就業者 2000

就業者 2004-2005

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15

ったく機能していない。

図10 有給休暇調査

参考:Expedia「有給休暇実態調査 2010」 5

また、グラフからわかるように日本は年次有給休暇の取得率も悪い。年次有給休暇の低

い取得率の理由としては、「経営効率化や人材育成の面で無駄が多い」として導入に反対し

ている経営者が多いこと、労働者の側にも年次有給休暇の取得をためらわせる様々な事情

が絡んでいることなどがある。労働面において、日本は最低賃金の低さ、労働時間の長さ、10

年次有給休暇・休日の日数のどれをとっても先進国中、最低の部類である。労働水準に関

しては未だ発展途上であるのだ。

消費には時間が必要であると序章で述べたが、上記の通り日本人は労働時間に制約され

ている。そのため、この年次有給休暇取得率が改善されれば、余暇に費やすことのできる

時間ができるのではないだろうか。 15

2-2 年次有給休暇について

日本の労働者の権利として、年次有給休暇の取得は労働基準法(第39条)で定められ

ている年次有給休暇は、労働者が自由な目的で使うことができる休暇である。心身の休養

37.4

31.9

29.2

32.3

27.7 27.9 27.6 27.4

19.7 20

16.9 16.6

34.7

28.6 26.9 26.5

25.6 25.5 25.5 24.2

17.5 16.5

14

9.3

93 90 92

82

92 91 92 88 89

83 83

56

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

0

5

10

15

20

25

30

35

40

平均給付日数

平均取得日数

消化率

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16

のためだけでなく、スポーツや趣味、旅行などのために使うこともできるし、地域活動や

ボランティア活動に参加したり、自己啓発や勉強をしたりするために使うこともできる。

また、年次有給休暇を活用して、子どもの学校の行事に参加したり、家事や子育ての時間

を増やしたりすることも可能である。このように、年次有給休暇の取得は、労働者の健康

の維持だけでなく、仕事と生活の両方を充実させる「ワーク・ライフ・バランス」の実現5

にもつながるものであるのだ。

企業にとっても、労働者の年次有給休暇の取得を進めることで、さまざまなメリットが

ある。労働者の健康維持が図られるだけでなく、労働者がリフレッシュすることで、労働

意欲の向上にもつながり、企業の活力や競争力の源である人材が、その能力を十分に発揮

することを通じて生産性が向上するとされている。また、年次有給休暇が取得しやすく、10

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現できる職場環境は、人材の確保に

もつながる。さらに、年次有給休暇の取得率の向上は、余暇活動への支出が増え、経済活

性化や新たな雇用の創出など、経済・雇用面にも良い効果をもたらすと期待されているの

だ。

日本で年次有給休暇が導入されたのは、戦後の 1947 年に定められた労働基準法による。15

なお、制定当初は当時の ILO52 号条約の定められた最低日数の 6 日を最低日数としていた

が、国際条約等での日数引き上げに対応して 1988 年に最低 10 日に引き上げられた。

また、世界各国の年次有給休暇の取得率と比較して日本の年次有給休暇の取得率は並外れ

て低いことが問題視されており、こうしたことが、長時間労働や働きすぎを招き、精神病

にかかるといった、労災の原因となっている。 20

・年次有給休暇の条件

年次有給休暇が付与されるためには、勤務開始日から6か月間継続して勤務すること(6

か月途切れることなく在籍することであって、出勤を続けることではない)と、全労働日

の8割以上出勤すること(業務上の負傷、疾病の療養のために休業した期間、育児休業、

介護休業した期間、産前産後の休業した期間は出勤したとみなされる)が必要である。パ25

ートタイマー労働者に対しても同様である。

年次休暇の付与日数は下記のように勤続年数によって、最低付与日数が決まる。

使用者は、継続、または分割した下記の票に従った有給休暇を与えなければならない。(労

働基準法第39条第1項)

継続勤務年数 0.5 年 1.5 年 2.5 年 3.5 年 4.5 年 5.5 年 6.5 年以

法定最低付与

日数 10 日 11日 12日 14 日 16日 18 日 20 日

・有給休暇の賃金算定 30

(1)平均賃金を支払う方法

その労働者の過去3か月分の賃金を平均して算定される賃金を支払うこと。

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17

(2)所定の労働時間労働したときと同じ額(通常賃金)を支払う方法

臨時に支払われた賃金や時間外手当等は除かれる。

(1)、(2)はどちらも就業規則等に定めておくことが必要である。

(3)標準報酬日額(健康保険法3条)に相当する金額を支払う方法

労使協定が必要になるが、行政官庁に対する届け出は必要ない。 5

・年次有給休暇の有効期限(時効)

年次有給休暇を取る権利は、権利が発生した日から2年間有効である。つまり、権利が

発生した日から2年以内に使わないと時効により消滅してしまうということになる。有給

休暇の権利は順次時効により消滅してしまうので、前年度からの繰り越しを持つ社員から

出された年次有給休暇の申請については、本人からの明確な申し出がなくとも、前年度分10

の休暇使用として取り扱うのがベストである。

2-3 年次有給休暇の取得率の現状

図11 労働者一人平均年次有給休暇の付与日数、取得日数、取得率 15

参考:厚生労働省「平成21年就労条件総合調査の概況」

0

10

20

30

40

50

60

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20取得率(%) 日数

付与日数

取得日数

取得率

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18

厚生労働省の「平成21年就労条件総合調査の概況」によれば、1 年間に企業が付与した

年次有給休暇日数(繰越日数を除いたもの)は、労働者 1 人当たり平均 18.0 日であるが、

そのうち実際に労働者が取得した数はその半分にも満たない 8.5 日であった。取得率は

47.4%と半数以下となっている。業種によっても取得率に差があり、電気・ガス・熱供給・

水道業では 76%と高いものの、飲食店・宿泊業では 30%と低くなっている。また、従業員5

1000 人以上の企業は 53%であるが、30~99 人の企業 42%とばらついている。

年次有給休暇は、労働者の心身の疲労回復や健康の維持・増進、その他労働者の福祉向

上を図ることを目的として、労働基準法で設けられている制度であるにもかかわらず、取

得率が悪い。事業主は、所定休日以外に 1 年ごとに有給休暇を付与することや、労働者が

希望する時季に有給休暇を取得させることなどが義務づけられている。 10

図12 年次有給休暇の取得へのためらい(%)

15

20

22

42.1

25.6

9.8

0.5

ためらいを感じる

ややためらいを感じる

あまりためらいを感じ

ない

全くためらいを感じな

無回答

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19

図13 ためらいを感じない理由(複数回答)(%)

図14 ためらいを感じる理由(複数回答)(%)

参考:厚生労働省「労働時間等の設定の改善の促進を通じた仕事と生活の調和に関する意5

識調査」

厚生労働省が平成 21 年度に行った「労働時間等の設定の改善の促進を通じた仕事と生活

の調和に関する意識調査」によれば、労働者の約 3 分の 2 が年次有給休暇の取得にためら

いを感じている。それは、職場の雰囲気や事業主・経営者など使用者側の意向などにより、10

労働者の権利として法的に認められているはずの年次有給休暇の取得をためらわせる労働

環境の存在が原因であると考えられる。ためらいを感じる理由としては、「みんなに迷惑が

46.9

40.3

24.1

23

10.4

4.1

5.9

0 10 20 30 40 50

職場の雰囲気で取得しやすい

当然の権利だから

効率的に仕事ができる環境

仕事に影響を生じないから

会社から休むように言われる

その他

無回答

67.3

41.3

34.4

17.2

10.2

5.5

0.4

0 10 20 30 40 50 60 70 80

皆に迷惑がかかるから

後で多忙になるから

職場の雰囲気で取得しづらい

上司がいい顔をしない

昇格や査定に悪影響がある

その他

無回答

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20

かかるから」「後で多忙になるから」「職場の雰囲気で取得しづらい」という理由を挙げる

人が多くなっている。年次有給休暇をきちんと取得できるようにするためには、こうした

ためらいをなくしていくことも必要であるのだ。

もし労働者が有給休暇を申請したときに、有給休暇を取得できる状況であるにもかかわ

らず使用者側が有給休暇の取得を認めない場合は、使用者側の労働基準法違反として労働5

基準監督署へ相談、申告や告訴するといった手段もある。

厚生労働省は日本の労働者における有給休暇の取得率の低さを問題視し、うつ病や過労

死、過労自殺に繋がる大きな要因であると危惧しており、労働時間の短縮や有給休暇の取

得を事業主に促進する取り組みを定めている「労働時間等の見直しガイドライン」の改正

を公示し、2010 年 4 月 1 日から適用された。 10

主な改正ポイントは、

① 使で年次有給休暇の取得状況を確認する制度を導入するとともに、取得率向上への具体

策を検討しましょう。

②取得率の目標設定を検討しましょう。

③計画的付与制度の活用を図る際、連続した休暇の取得促進に配慮しましょう。 15

④2週間程度の連続した休暇の取得促進を図る際、全労働者が取得できるような制度の導

入に向けて検討しましょう。

である。ただしこれは努力義務のみ定めたもので強制力はないため、なかなか改善が進ん

でいないのが現状である。

・計画的付与制度 20

年次有給休暇の取得は、原則として、個々の労働者が、時季を指定して請求することに

なっている。ただし、労働基準法では、年次有給休暇の取得を増やすため、年次有給休暇

のうち、5 日を超える分については、労使協定に基づいて、事業主が計画的に休暇取得日を

割り振ることができる制度が設けられている。これを「計画的付与制度」という。計画的

付与制度では、企業や事業所の実態に応じて、事業所全体で一斉に付与したり、グループ25

別での交代制で付与したり、個人ごとに付与したりすることが可能である。また、年次有

給休暇を、夏季休暇や年末年始などの時期に計画的に付与して大型連休にするほか、土日

や飛び石連休の間に計画的に付与して 3 連休、4 連休にするなど、労働者が連続した休暇を

取りやすくするメリットがある。

また、計画的に休暇の取得日が割り振られるので、労働者がためらいを感じずに休暇を30

取得できるというメリットもある。計画的付与制度を導入している企業は、企業規模にか

かわらず、導入していない企業よりも年次有給休暇の平均取得率が高くなっていることか

らも効果がうかがえる。

年次有給休暇は、労働者が自由な目的で使うことができる休暇である。心身の休養のた

めだけでなく、スポーツや趣味、旅行などのために使うこともできるし、地域活動やボラ35

ンティア活動に参加したり、自己啓発や勉強をしたりするために使うこともできる。また、

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21

年次有給休暇を活用して、子どもの学校の行事に参加したり、家事や子育ての時間を増や

したりすることも可能である。このように、年次有給休暇の取得は、労働者の健康の維持

だけでなく、仕事と生活の両方を充実させる「ワーク・ライフ・バランス」の実現にもつ

ながるものであるのだ。

企業にとっても、労働者の年次有給休暇の取得を進めることで、さまざまなメリットが5

ある。労働者の健康維持が図られるだけでなく、労働者がリフレッシュすることで、労働

意欲の向上にもつながり、企業の活力や競争力の源である人材が、その能力を十分に発揮

することを通じて生産性が向上するとされている。また、年次有給休暇が取得しやすく、

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現できる職場環境は、人材の確保に

もつながる。 10

さらに、年次有給休暇の取得率の向上は、余暇活動への支出が増え、経済活性化や新た

な雇用の創出など、経済・雇用面にも良い効果をもたらすと期待されているのだ。

15

20

25

30

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22

3 余暇政策理論

3―1 余暇とは何か

余暇とは自身が自由に使える時間であると私達は考えた。その余暇の時間を通して人は

消費活動であったり、文化活動であったり、地域の活動に参加したりと様々な活動をする。

論題解釈でふれたように、成熟経済・人口減尐社会において地域を発展させるためには、5

日本の労働環境の問題点を改善し、余暇の時間を増やし、滞っている経済・人の流れを円

滑に動かすことがもっとも効果的かつ現実的であると考えた。

3-2 余暇の増加と地域活性化

では、余暇の増加がどのようにして消費の増加に繋がるのか。我々が考えた理論は、私10

たちは時間を労働時間と余暇時間に分けている。余暇は労働時間以外の時間なので、余暇

時間は消費時間と同意義である。つまり余暇時間が多いほど消費活動の時間も多くなり所

費が増え、企業の利益も増えて労働者の雇用や所得が増えて地域が活性化するのではない

か、というものである。

しかし、この理論には問題がある。労働力低下により企業は損失(生産量・競争力)を15

受けるのではないかという懸念である。確かに考えてみると、余暇が増えることは労働時

間が減ることなので、企業の利益・生産性が落ちることは予想される。これは実証分析で

検証する。また、余暇時間が増えすぎても問題である。労働時間が尐なすぎてしまうと、

労働者の所得も減ってしまい逆に経済は落ち込む危険もある。

労働時間と余暇時間の最適なバランスをとることが重要であるといえる。 20

3-3 余暇の現状と問題点

労働時間短縮が進まない主な理由の一つとして考えられるのはやはり、余暇に対する考

え方や国民の意識の問題があげられるだろう。日本人は勤勉を美徳とし、休むことに尐し

抵抗をもっているように思われる。そもそも余暇の捉え方が「次の労働に向けたエネルギ25

ーの回復、蓄積のための時間」というような消極的な捉え方をされることが尐なくなく、

時には勤勉を否定するような意味あいで捉えられることさえある。このため「まわりが気

になって休みが取れない」、「休むとうしろめたさを感じる」などの状況を生んでいる。個

人が積極的に余暇を楽しむことができるような雰囲気を醸成し、また、余暇や個人の生活

を重視しようとする人が摩擦なくそれを実行できるような環境づくりが必要である。 30

日本と比べ他の先進国では余暇にかんするしくみがしっかりと構築されている。欧米で

は、世界余暇憲章会議(国際連合、ユネスコ等後援、フランス、アメリカ、カナダ等 25 ヶ

国参加)において 1976 年「余暇憲章」が採択されており、余暇政策に大きな影響を及ぼし

た例がある。フランスでは、余暇活動を支援するものとしてアソシエーションという団体

が普及しており、多くの国民が何らかの形で地域のそういった団体に所属し、余暇活動を35

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23

行っている。また、そこではアニメーターという余暇活動の指導員が養成されている。

日本でもしくみ作りの一環として「労働時間等の見直しガイドライン」の改正を公示し、

2010 年 4 月 1 日から適用された。ただしこれは努力義務のみ定めたもので強制力はないた

め、未だに改善されていないところが多くあるのが現状である。このしくみを改善し法的

に強制力をもたせていくことができれば労働環境を取り巻く問題点を改善し、余暇時間の5

増大をはかることができるだろう。

日本の労働環境の問題として、有給休暇の取得率の低さ、長時間労働者の割合が他の先

進諸国と比べて高い水準にあるということの二つが代表的なものとして挙げられる。近年、

日本の総実労働時間は減尐しておりそのデータだけを見れば日本人はかつての「働きすぎ」

という印象を払拭しつつあるように思われる。しかし、実際のところはそう上手くいって10

はいない。有給休暇は取得率に対して付与率が5割程度であるし、事実「働きすぎ」の状

況は昔から変わっていないようだ。

15

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24

第 4 章 実証分析

ここでは、我々の研究仮説である、余暇の増大が消費の増大に結びつくのか。また、余

暇の増大によって懸念される生産性の低下と、所得の低下は本当に起こるのか。この二つ

の点について都道府県別に回帰分析を用いて検証する。

5

4-1 余暇時間と消費支出の関係

総務省統計局より都道府県別に説明変数を余暇時間(単位:時間/月)、被説明変数を消

費支出(単位:千円/月)として回帰分析(単回帰)を行った。

ここで余暇時間と消費支出について説明を加える。説明変数の余暇時間とは 3 次活動と

同意義で、移動(通勤・通学は除く)、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、休養・くつろぎ、学10

習・研究(学業を除く)、趣味・娯楽、スポーツ、ボランティア活動・社会参加活動、交際・

付き合い、受信・療養、その他が含まれる。消費支出とはいわゆる生活費のことで、食料・

衣料・電気・ガスなど日常の生活を営むにあたり必要な商品やサービスを購入して実際に

支払った額をいう。具体的には食料、住居、光熱・水道、家事・家事用品、被服及び履物、

保健医療、交通・通信、教養娯楽、その他の消費支出である。 15

図 15 余暇時間と消費支出の関係 総務省統計局より作成

このグラフを見ると、余暇時間の増大が必ずしも消費の増大に結びついていないことがわ

かる。結果として、我々が立てた仮説は間違っていたこととなってしまった。 20

4-2 余暇時間と県内総生産

次に都道府県別に説明変数に余暇時間、被説明変数に県内総生産(単位:千円/月)とし

て回帰分析を行った結果が下のグラフである。

y = -0.4482x + 382.34 R² = 0.0065

0.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

300.0

350.0

400.0

190.0 195.0 200.0 205.0 210.0 215.0 220.0

千円/月

時間/月

余暇時間と消費支出の関係 n=47

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25

図16 余暇時間と県内総生産の関係 総務省統計局より作成

これからわかるのは、余暇時間が増減しても、県内総生産には影響を及ぼさない、つま

り余暇時間が増えると労働時間が減って付加価値を生み出せなくなるといった懸念はない5

ということがわかる。

4-3 余暇時間と所得の関係

次に、都道府県別に説明変数に余暇時間、被説明変数に県民所得(単位:千円/月)として

回帰分析を行った。10

図17 余暇時間と所得の関係 総務省統計局より作成

この2つの関係は正の相関にあるわけでもなく、負の相関にあるわけでもない。

y = 459.96x - 83344 R² = 0.0267

0

20000

40000

60000

80000

190.0 195.0 200.0 205.0 210.0 215.0 220.0

億円/月

時間/月

余暇時間と県内総生産の関係

n=47

y = 1.4416x - 76.141 R² = 0.0485

0.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

300.0

350.0

190.0 195.0 200.0 205.0 210.0 215.0 220.0

千円/月

時間/月

余暇時間と所得の関係 n=47

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26

つまり、データ分析上においては、余暇時間が増える(=労働時間が減る)ことは、実際

には所得の増減には関係していないと言える。

以上の分析結果から、今回のこの論文における「地域活性化のためには、時間的余裕す

なわち余暇が必要で、有給休暇の取得によって余暇時間を増やせば、余暇時間は消費増大

に有効に作用するはずである。」との研究仮説は実際には地域経済・社会の発展には機能し5

ないのではないかと言わざるを得ない。しかし、ここで1つの疑問点が浮かび上がってく

る。余暇時間の増加が消費につながらないのは、その2つに関係性が無いからでは無く、

人々の意識や、余暇を消費する「場」の整備が現在の日本において進んでいないからなの

ではないだろうか。その疑問に対して、以下のようなグラフがある。

10

図 18 労働者 1人年間実労働時間と意識の上での余暇時間の推移

1700

1750

1800

1850

1900

1950

2000

0

5

10

15

20

25

30

35

平成

4年

平成

5年

平成

6年

平成

7年

平成

8年

平成

9年

平成

10年

平成

11年

平成

12年

平成

13年

平成

14年

平成

15年

平成

16年

平成

17年

平成

18年

平成

19年

平成

20年

労働者1人年間総実労働時間と

意識の上での余暇時間の推移

時間

増えた

減った

(%) (時間)

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図 19 労働者一人年間総労働時間と意識の上での余暇支出の推移

参考:公益財団法人 日本生産性本部 レジャー白書 2010

上のグラフは労働時間の推移と、意識の上での余暇時間の推移を表したものである。こ5

のグラフから平成 4年から平成 20年の間に、実際には労働時間が減っているのにも関わら

ず、人々は余暇時間が減っていると感じていることがわかる。そして、下のグラフは労働

時間の推移と、意識の上での余暇支出の推移である。ここでも、人々は、労働時間の減尐

に対して、支出が減っていると感じているのである。この結果からも、やはり余暇時間の

増大と消費の拡大が無関係であると安易に結論付けるのは出来ないと考える。では、人々10

が消費に目を向けるにはどうしたらよいのか。先の問題意識で述べたように、人々は、休

暇を取得しやすくすることが社会的サービスへの参加に対して必要であると感じており、

また、それらのサービスを利用することにも積極的な意識をもっている。では人々は具体

的にはどういったことを余暇活動にもとめているのか。

15

20

1700

1750

1800

1850

1900

1950

2000

0

5

10

15

20

25

30

35

平成

4年

平成

5年

平成

6年

平成

7年

平成

8年

平成

9年

平成

10年

平成

11年

平成

12年

平成

13年

平成

14年

平成

15年

平成

16年

平成

17年

平成

18年

平成

19年

平成

20年

労働者1人年間総実労働時間と

意識の上での余暇支出の推移

時間

増えた

減った

(%) (時間)

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28

余暇に求める楽しみ・目的

現在 平成 9年~

平成 22年 差 平成 9年 平成 22年

心の安らぎを得ること 59.1 66.9 7.8

身体を休めること 48.5 52.3 3.8

家族との交流を楽しむこと 42.8 45.2 2.4

健康や体力の向上を目指すこと 40.2 48.7 8.5

日常生活の解放感を味わうこと 35.7 38.9 3.2

自然にふれること 35.4 35.9 0.5

知識や教養を深めること 25.2 36.7 11.5

自分で作れる喜びを満たすこと 19.8 24.9 5.1

芸術や美的な関心を満たすこと 16.5 24.5 8

好奇心を満たすこと 11.3 27.6 16.3

社会や人のために役立つこと 9.9 11.9 2

贅沢な気分にひたること 9.1 21.4 12.3

仕事や学習への新しい意欲を得ること 9 14.2 5.2

技術や腕前の向上を目指すこと 8.9 14.2 5.3

仕事や学習に役立つこと 8.7 18.9 10.2

創造力を発揮すること 6 12.4 6.4

実益(収入)に結びつくこと 6 15.1 9.1

賭けや偶然を楽しむこと 5.6 7.4 1.8

腕を競い競争すること 4.2 3.6 -0.6

推理、想像を楽しむこと 3.8 8.3 4.5

スリルを味わうこと 3.7 4.6 0.9

図 20 余暇にかかわる価値観の変化

参考:公共財団法人 生産性本部 レジャー白書

この表から、人々の余暇に対する価値観は近年になって大きく変化している。注目すべ

きなのは、従来の「余暇活動=娯楽・気晴らし」といった傾向が「余暇=自分への投資・5

自分磨き」といった方向に移っていることにある。このことから、このような新しいニー

ズに対応したビジネスに対しては需要が見込めるであろうことが考えられる。そこで、以

下でそれらの新しいビジネス体系によって人々からの支持を得ている事例を幾つか挙げて

みる。

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①ゴルフ場などでの歩数計貸出サービス。

近年では、高齢者に限らず様々な年齢層の人々が健康に気を使う状況が普段から感じる

ことが出来る。そこで、JGA(日本ゴルフ協会)は「チャリティギャラリーウォーキング」

との名称で歩く機会が多いことが予想されるゴルフ客に対して歩数計の貸し出しサービス

を実施した。このサービスでは、一定の歩数を歩くとゴルフボールのプレゼントがあるな5

ど従来からの余暇活動の代表的存在でもあるゴルフに新たな楽しみを付加することに成功

している。健康とゴルフの楽しみを両立させ、また健康機器メーカーの売り上げに寄与す

ることが想像できる様々な面で効果を生み出せる取組みのひとつである。

②丸の内朝大学 10

サラリーマンや OLをターゲットとし、出勤前の時間を使って幅広い種類の学習ができる

講座をおこなう。テーマは、美容や経営学に始まり、漁業入門といったものまで様々であ

る。このサービスは、仕事前の空き時間を有効活用し自分の知識を深めることの出来る自

分磨きの場として人気を博している。また、この場で交友関係の拡大が望める点なども、

余暇活動へのニーズに見合ったものであると言える。このサービスで注目すべきなのは、15

教育(学習)というものと楽しみ、というものが一体となっていることにある。今までは、

学習というのはどちらかというと苦痛や忍耐を伴うものである、との考え方が一般的であ

っただろう。しかし、この丸の内朝大学に代表されるような余暇と教育を結びつけるよう

なサービスの存在は、今後の余暇消費の場の一つとして期待される。

20

このように近年の余暇活動のニーズの高まりに応えたサービスの提供が首都圏等の限ら

れた範囲だけで無く、日本全体で一般的な存在になれば人々の意識が消費に向かうのでは

ないだろうか。つまり、余暇への需要構造が変化し、既存の余暇市場の発展に希望が持て

ない現在においては、新たな顧客の創造・リピータの確保、そして、需要に見合った独自

のサービスの開発・提供が余暇消費の拡大に必要不可欠なのである。 25

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第5章 政策提言

これまでで、日本の成熟経済、人口減尐の現状について述べてきた。ここでは、その過

程で浮かび上がってきた問題を踏まえ、地域社会・経済の活性化につながる簡潔かつ効果

的であると考えられる政策を、2つ提案する。その後、その政策によってもたらされる結

果についても並べて述べることとする。 5

・提言①

労働時間見直し等ガイドラインでは、10 年後には年次有給休暇の完全取得を目指すとな

っているが、あくまで努力義務として言及するにとどまっている。しかし、努力義務を課

しても現状の改善にはつながらないと思われることから、有給の完全取得を企業の義務と10

して設定すべきであり、その義務を守らない企業には罰則を与えるなど強制力をもった法

律を定めるべきである。また、有給を取得する際の取得の仕方によっても、消費行動が左

右されることが予想される。つまり、週の内の1日だけよりも何日間かまとめて取得した

ほうが旅行などに挙げられる余暇活動の選択の幅が広がるであろう。フランスなどの欧州

の国家においては、夏季に休暇を何日もまとめて取得しバカンスに出かけるという形態が、15

ごく一般的なものであるとのことである。そこで有給休暇取得義務化の際には、これらの

例に倣い、何日分かをまとめてとることを推奨すべきである。

以上を我々の第1の政策提言とする。

・もたらされる結果 20

企業は社会的評価を非常に気にする存在であるから、罰則を受けるリスクを気にせず有

給休暇の確保を妨げることはないであろう。また、法整備が進むことにより、今まで有給

休暇の取得を敬遠してきた人々の意識が改められ、その結果、労働者は今以上の余暇を得

ることとなる。加えて中長期の余暇を過ごすことによって、従来からの余暇の増大を実感

すると考えられる。加えて、オンとオフのメリハリがしっかりすることにより、労働者の25

個々人のモチベージョンの向上が期待され、生産性が上がる可能性も指摘できるのではな

いだろうか。

提言②

余暇を単純に増やしたからと言って、人々が余暇活動を消費に回すことが過去に比べて30

減尐している現状では地域経済・社会の発展が実現することは困難である。その過程では、

まず人々の目を消費に向けることが重要である。現代人は余暇に対してただ単に楽しみだ

けを求めている訳では無く、経済状況が不安定である昨今の社会状況を踏まえてからか、

健康や自分の知識・実力を向上させることも大事な要素であると考えている。そのような

時代に合って、消費を拡大させるためには、それらの需要に適応した新しい独自の手法を35

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用いた財・サービスを編み出していくべきである。

以上を我々の第2の政策提言とする。

・もたらされる結果

ニーズに応じた財・サービスの提供により、多くの余暇活動の選択肢を得た人々は、増5

えた余暇時間を消費に使うことが考えられる。消費が増えたことにより、地域経済は活発

化すると思われる。また魅力ある産業の存在は、人々をその地域に呼び込み、地域自体の

価値の向上にもつながる。すなわち、それは地域社会の発展とも呼べるのではないだろう

か。

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終章 結論・残された課題

本文ではまず、成熟経済・人口減尐の時代である現在の日本における、地域活性化のた

めには、今まで以上の余暇時間の確保が必要であると考えた。そこで、日本の労働環境の

現状が、日本人の余暇が尐ない原因であると考えた。そして、余暇を増やすことで消費を

増やし、その結果、今回の論題である地域社会・経済の発展を果たそうと考えた。そこで、5

日本における労働問題の1つである有給休暇の取得率低さを改めるため、その取得の義務

化を政策提言としようと考えた。しかし、それが実際に消費の拡大に寄与するのかの実証

分析において、余暇の増大と消費の増大には関係性が乏しいことが明らかとなってしまっ

た。しかし、余暇の増大によって消費は増大するのではないかという思いを払拭すること

が出来ず、考えた結果、消費者自身が余暇の増大を実感出来ておらず、それが消費支出の10

伸び悩みにつながっているとの結論を得た。そこで我々は、有給の取得による余暇時間が

増えることだけが、消費増大を促すとは言えないが、今後地域経済・社会の発展を目指す

うえで必要な政策の1つではあると考え、そこで、消費者に余暇の増大を実感させ、また

消費を促すような政策を提案することを今回の「成熟経済・人口減尐の時代にあって、地

域社会・経済をいかに活性化すべきか。」への解答とする。 15

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参考文献・URL

・公益財団法人 日本生産性本部 レジャー白書 2010

・経済企画庁経済研究所 経済分析 第 47号

・総務省統計局 5

http://www.stat.go.jp/

・厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/index.shtml

・総務省

http://www.soumu.go.jp/ 10

・国立社会保障・人口問題研究所

http://www.ipss.go.jp/

・日本国および諸外国の労働時間

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/s0520-7c.html

・年次有給休暇を取り残す理由 15

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2012/12-108.html

・「世」日本の GDP の推移

http://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html

・Expedia「有給休暇実態調査 2010」

http://www.expedia.co.jp/ 20