情報伝達訓練の実施結果 - mlit.go.jp ·...

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1 情報伝達訓練の実施結果 1.情報伝達訓練の実施概要 ()目的 今回の情報伝達訓練は、複数輸送モードによる緊急物資輸送をテーマとした初めての 情報伝達訓練である。応援自治体から被災自治体の民間物資集積拠点での搬入・仕分け までの訓練対象とするため関係者数も多い。 こうした点を踏まえ、本訓練の目的は以下の通りとした。 図表 0-1 訓練の目的 1)今後も継続して訓練を実施するために、より効果的な訓練が実施できるシナリ オと訓練内容とする。 2)情報の受発信者、情報の内容について、自治体が関与する部分(特に被災地側 の結節点である港湾での連携)の検証に力点を置いた検証訓練とする。 3)必要となる意思決定(利用する輸送手段・船舶の選択、協力依頼先民間事業者 (団体)の決定、利用する物資拠点・配送ルートの決定等)を模擬的に実施す る。 4)上記の訓練内容全ての事項において、確認事項(チェックポイント)、問題点 を抽出する。 ()実施概要 実施概要 情報伝達訓練では、シナリオに基づき予め課題抽出シートを作成しておき、訓練を通 じて感じた点や明らかになった点を事後に検証することとした。 今回の訓練には関係する7団体が参加した。情報伝達を進めていく際に、参加者以外 の役割は事務局が代行した。 訓練の概要は図表 5-3 の通り。 図表 0-2 訓練における検証事項 【検証事項】 1)業務プロセス(フロー)の適切性 2)情報伝達ルート(情報の受発信者)の適切性 3)情報伝達内容の適切性(過不足がないか) 4)情報発信者における判断の可否(実際にそのような判断・決定が可能か) 5)必要な資源(人・施設・設備・燃料・通信手段等)の確保可能性 6)事前に共有しておくべき情報・了解事項・ノウハウ等 資料1

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情報伝達訓練の実施結果

1.情報伝達訓練の実施概要

(1)目的

今回の情報伝達訓練は、複数輸送モードによる緊急物資輸送をテーマとした初めての

情報伝達訓練である。応援自治体から被災自治体の民間物資集積拠点での搬入・仕分け

までの訓練対象とするため関係者数も多い。

こうした点を踏まえ、本訓練の目的は以下の通りとした。

図表 0-1 訓練の目的

1)今後も継続して訓練を実施するために、より効果的な訓練が実施できるシナリ

オと訓練内容とする。

2)情報の受発信者、情報の内容について、自治体が関与する部分(特に被災地側

の結節点である港湾での連携)の検証に力点を置いた検証訓練とする。

3)必要となる意思決定(利用する輸送手段・船舶の選択、協力依頼先民間事業者

(団体)の決定、利用する物資拠点・配送ルートの決定等)を模擬的に実施す

る。

4)上記の訓練内容全ての事項において、確認事項(チェックポイント)、問題点

を抽出する。

(2)実施概要

①実施概要

情報伝達訓練では、シナリオに基づき予め課題抽出シートを作成しておき、訓練を通

じて感じた点や明らかになった点を事後に検証することとした。

今回の訓練には関係する7団体が参加した。情報伝達を進めていく際に、参加者以外

の役割は事務局が代行した。

訓練の概要は図表 5-3の通り。

図表 0-2 訓練における検証事項

【検証事項】

1)業務プロセス(フロー)の適切性

2)情報伝達ルート(情報の受発信者)の適切性

3)情報伝達内容の適切性(過不足がないか)

4)情報発信者における判断の可否(実際にそのような判断・決定が可能か)

5)必要な資源(人・施設・設備・燃料・通信手段等)の確保可能性

6)事前に共有しておくべき情報・了解事項・ノウハウ等

資料1

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図表 0-3 実施概要

概 要

テーマ 内航船による関東圏内の緊急物資輸送

日時・場所

平成 27年 2月 20日(金)14:00~

横浜第2合同庁舎 16階会議室

訓練の概要 ・シナリオに基づく情報伝達訓練

・予め、課題抽出シートと検証事項を作成しておき、訓練後に関係者

で検証する

当日の進行

○訓練の進め方及び前提条件の説明・確認

-情報伝達訓練の概要、進め方に関する説明

-前提条件等に関する説明・確認

○情報伝達訓練の実施

-被災自治体からの要請に基づき、支援(応援側)自治体から海上

輸送を活用して支援物資を輸送する場合を想定した情報伝達訓

練を実施

-各参加者は、コントローラから付与される状況に基づき、支援物

資を確実かつ円滑に輸送するために必要な情報を、適切な伝達先

に伝達するとともに、その際に認識された問題点、課題等の気づ

きを記録

○総括・討議

-情報伝達訓練を振り返り、明らかになった問題点、課題等につい

て討議

実施体制

①被災自治体:神奈川県

②支援(応援側)自治体:茨城県

③港湾管理者:横浜市港湾局

④港運事業者:横浜港運協会

⑤トラック事業者:(一社)神奈川県トラック協会

⑥倉庫事業者:神奈川倉庫協会

⑦関係行政機関:関東運輸局交通環境部

実施体制

①被災自治体:神奈川県

②支援(応援側)自治体:茨城県

③港湾管理者:横浜市港湾局

④港運事業者:横浜港運協会

⑤トラック事業者:(一社)神奈川県トラック協会

⑥倉庫事業者:神奈川倉庫協会

⑦関係行政機関:関東運輸局交通環境部

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②訓練の対象範囲

緊急物資輸送全行程の中でも、船舶を活用した輸送工程の部分を訓練対象とした。

具体的には、支援自治体から被災自治体までの海上輸送に関する部分と被災地側の港

湾から各物資拠点へ搬出するまでの工程を情報伝達訓練の対象とした。

図表 0-4 訓練の対象範囲

③当日の進め方と作業内容

1)関係者間における仮想的な情報の伝達

訓練ではコントローラから与えられた状況に対し、シナリオに基づき、どのような対

応をすべきかを検討し、関係者間で仮想的な情報伝達を行う。(参加者以外は事務局に

て代行)

発信者から受信者に伝達された情報の内容(日時、品目、数量等)は、事務局が「情

報保有状況一覧表」に記載して参加者で共有し、各関係者が保有する情報を明示する。

(実際の情報伝達は電話及びFAXによる伝達を想定)

情報の受信者が次の情報伝達に進むにあたって、コントローラや発信者から得られた

情報では十分でなく、自らが情報を収集する必要を認識した場合は、適宜コントローラ

または関係機関に照会する。

二次物資集積拠点(A市物資拠点)

避難所

避難所

避難所

二次物資集積拠点(B市物資拠点)

二次物資集積拠点(C町物資拠点)

物資調達先

海上輸送(貨物船)

市町村内輸送《支援物資の流れ》

都県災害対策本部 市町村災害対策本部

《情報伝達訓練対象》

支援自治体、国等

支援地結節点

(港湾)

被災地結節点

(港湾)

広域物資拠点

《要請》

トラックトラック

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図表 0-5 当日の進め方

2)問題点、課題の抽出

訓練を通じて気がついた問題点や課題は、該当するシナリオの番号とともに、「課題

抽出シート」に書き留めることとした。

図表 0-6 実験に用いた記録シート

コントローラ

情報を自ら収集する必要がある場面も必要に応じて設定

質問・回答

時間軸に沿って災害及び社会の状況に関する情報を付与

【支援自治体】

・・・etc

その他関係機関

【主要関係事業者】(事務局にて代行)

支援自治体及び関係者

災害想定・社会状況

【被災自治体】 【主要関係事業者】(一部事務局にて代行)

被災自治体及び関係者

災害時の円滑な支援物資輸送のため、業務フローに沿って関係者間の情報連絡を仮想的に実践・検証

*発信者から受信者に伝達した情報内容(日時、品目、数量等)は一覧表に記載して参加者で共有し、各関係者が保有する情報を見える化*不足が判明した情報を記述しておき、事後確認

課題抽出シート

シナリオ番号

記入者

業務プロセスの適切性

情報伝達ルートの適切性

情報伝達内容の適切性

情報発信者における判断の可否

必要な資源の確保可能性

事前に共有しておくべき事項

情報保有状況一覧表

主体A 主体B 主体C ・・

項目a

項目b

項目c

項目d

項目e

項目f

・・

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2.情報伝達訓練のシナリオ

(1)ケース設定

今回の訓練では、国が調達・輸送する支援物資ではなく、被災自治体から支援(応援)

自治体への要請に基づき支援(応援)自治体が調達し、被災自治体に向けて輸送される

支援物資を対象とした。また、今回の訓練では、トラック輸送の手配が困難な状況を想

定し、内航船によって海上輸送を行うケースを対象とした。

大規模災害時の支援物資は、被災地以外の全国各地から輸送されることが想定しうる

が、今回は、関東運輸局管内において海上輸送が行われることとし、茨城県(鹿島港)

→神奈川県(横浜港)間の物資輸送を対象とした。

図表 0-7 ケース設定

~内航船による関東圏内の緊急物資輸送~

ルート:鹿島港→横浜港(みなとみらい1・2号)

荷 姿:パレット(段ボール、袋詰め等をパレタイズ)

輸送量:499トン級内航貨物船(積載量パレット 200枚)、1日1便

(2)前提条件

訓練の場面設定や前提条件については以下の通りとした。

図表 0-8 訓練の前提条件等

■被害想定

・首都直下地震(東京湾北部地震)を想定する。

避難者数(1日後):約 300万人、同(2週間後):約 720万人

■場面設定

・発災から概ね1週間後において、各種インフラが応急復旧し、支援物資輸送が

プッシュ型からプル型に移行しつつある段階。

・ただし、東京都区部の道路網は多数寸断され、交通規制が継続するとともに、

支援物資需要が膨大であることから、幹線輸送を担う大型トラックの手配が制

約される状況。

・航路、港湾、港湾アクセス道路はすでに啓開され、海上輸送の活用に関する安

全性は確保されている。

・電力、通信手段(固定電話、携帯電話、FAX、電子メール)も復旧済みで利

用可能な状況。

■訓練対象

・輸送品目は、飲料水、インスタントラーメン、缶詰等のアイテム数の限られた

基礎的物資とする。

・被災側、支援側双方の自治体にリエゾンにより専門家が派遣され、自治体(災

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害対策本部)内部において物流に関する専門的知見が得られる状況を想定す

る。

・広域輸送ルート(海上輸送)は国において構築されるものとして訓練シナリオ

からは省略し、支援自治体が広域輸送ルートとして海上輸送を選択する段階以

降を対象とする。

・支援自治体における内航事業者との情報伝達は、関東運輸局を通じて行うこと

とし、訓練に参加しない関係者の役割は、事務局が代行する。

図表 0-9 首都直下地震(東京湾北部地震)【参考】

資料)内閣府中央防災会議ウェブサイト

(3)訓練のシナリオ

①訓練シナリオの構成

海上輸送により緊急物資輸送の業務プロセスは概ね図表 5-11のようになる。

この全体像を念頭に、訓練シナリオの作成にあたっては、手配段階と実施段階の2つ

のフェーズを設け、また、活動の場面を支援地側と被災地側とで分けることで5つの場

面のシナリオを作成することとした。

図表 0-10 訓練シナリオの構成

フェーズ1:手配段階

Ⅰ 物資応援要請

Ⅱ 支援地輸送手段の確保

Ⅲ 被災地輸送手段の確保

フェーズ2:実施段階

Ⅳ 支援地結節点

Ⅴ 被災地結節点

・想定規模;M7.8(フィリピン海プレートと北米プレート境界地震)・発生確率:「ある程度の切迫性」有り。・震度6弱以上の地域が都県を越えて広域に拡大することが想定。(想定されるこの規模の地震が起こった場合)神奈川県横浜市西区:最大震度6弱~6強

浸水深0.3m津波到達時間20分

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図表 0-11 海上輸送による緊急物資輸送の流れ

支援地結節点(港湾)

被災地結節点(港湾)

広域物資拠点

搬入

上屋・野積場で一時保管

積込み(港運)

船舶の離岸・出港

船舶の入港・接岸

荷卸し(港運)

上屋・野積場で一時保管

引取り・搬出

引き渡し・荷卸し・搬入

船舶の出港

応援要請(物資) 応援要請(物資)

支援物資の調達・輸送手段の確保・受入施設の選定

発送・積込み・搬出

広域輸送ルート確立

応援要請(広域輸送)

輸送ルート設計・関係者調整

広域輸送ルートの確立

広域輸送の実施

地域内輸送の実施

地域内輸送の実施

船舶の入港

茨城県

神奈川県

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②訓練シナリオ

1)フェーズ1:手配段階

a)物資応援要請

物資応援要請段階のシナリオは以下の通りとした。

物資応援要請段階では、「支援物資の要請」、「支援物資の調達」、「支援物資の調達・確認」といった業務プロセスが生じる。訓練では、被災地からの要請を受け、支援地側で物資を調達する際のプロセスと情報伝

達内容を確認した。

図表 0-12 訓練シナリオ(物資応援要請)

被災地側(神奈川県) 支援地側(茨城県)

状況の付与

被災自治体

港湾管理者

港運協会

トラッ

ク協会

倉庫協会

その他

支援自治体

港湾管理者

協定先流通業等

港運協会

トラッ

ク協会

その他

発信内容 回答内容 備考

1 支援物資の要請

現在は、東京湾北部を震源とする首都直下地震の発災から約1週間後です。各種インフラが応急復旧し、支援物資輸送がプッシュ型からプル型に移行してきました。こうした状況の中、知事会の合意に基づき、被災地である神奈川県から茨城県に支援物資を要請することとなりました。神奈川県庁から茨城県庁へ支援物資の輸送を要請してください。

発 着

茨城県防災・危機管理課●●様へこちら神奈川県災害対策課●●です。当県への支援物資の提供を要請します。品目及び数量は飲料水、食料(主食)各7万人(1万人×7日)分、時期は1週間後までにお願いします。

こちら茨城県●●です。要請を承りました。調達でき次第、ご連絡します。

2 支援物資の調達 発 着

協定先流通業者●●様へこちら茨城県災害対策課●●です。○○協定に基づき、支援物資の提供をお願いします。品目及び数量は飲料水、食料(主食)各7万人(1万人×7日)分、時期は1週間後までにお願いします。

こちら流通業者●●です。要請を承りました。調達でき次第、ご連絡します。

支援地側関係機関は事務局が代行(協定有無・内容の確認)

3 支援物資の調達・確認 着 発茨城県災害対策課●●様へこちら協定先流通業者●●です。支援物資の調達が完了しました。物資の荷姿・量はT11型パレット200枚、重量は1枚あたり600㎏となります。

承知しました。 支援地側関係機関は事務局が代行

内航事業者

運輸局情報伝達内容

事務にて役割を代行

事務局にて代行

凡例: 発 発信者 着 受信者 被災地側 支援地側

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b)支援地輸送手段の確保

支援地側での輸送手段の確保段階のシナリオは以下の通りとした。

支援地で輸送手段を確保する段階では、「物流手配の支援要請」、「物流手配の支援体制構築」、「輸送手段選択・海上輸送の要請」、「海上輸送ルート情報の提供」、「海上輸送手配(船舶のブッキング)」、「船舶ブッ

キングの確認・情報還元」、「港湾利用に関する応援要請」、「港湾荷役の応援要請」、「トラック輸送手配」、「支援地側手配の完了報告」といったプロセスを経る。

シナリオでは船舶の調達や利用する港湾の選定などは国が行うこととした。海上輸送の実施に係る国と支援自治体との情報連絡、支援地側における自治体とトラック業界・港湾関係者との情報連絡を確認した。

図表 0-13 訓練シナリオ(支援地輸送手段確保)

被災地側(神奈川県) 支援地側(茨城県)

場面 状況の付与

被災自治体

港湾管理者

港運協会

トラッ

ク協会

倉庫協会

その他

支援自治体

港湾管理者

協定先流通業等

港運協会

トラッ

ク協会

その他

発信内容 回答内容 備考

Ⅱ 支援地輸送手段 4 物流手配の支援要請

物資の調達、輸送手配を行うにあたっての状況をお伝えします。東京都区部の道路網は多くの箇所で寸断され、幹線輸送を担う大型トラックの手配が制約される状況です。一方、航路、港湾、港湾アクセス道路はすでに啓開され、海上輸送の活用に関する安全性は確保されています。また、電力や、固定電話、携帯電話、FAX、電子メール等の通信手段も復旧済みで利用可能な状況にあります。

発 着関東運輸局●●様へこちら茨城県災害対策課●●です。多様な輸送手段を用いた支援物資輸送の手配を行う体制を構築するため、専門家の派遣を要請します。

こちら関東運輸局●●です。承知しました。当方にて確認・調整の上、回答します。

  の確保 5 物流手配の支援体制構築 着 発こちら関東運輸局●●です。被災地側の支援物資輸送と同様に、リエゾン派遣を行う準備が整いましたので、ご連絡します。

承知しました。派遣をお願いします。

6 輸送手段選択・海上輸送の要請(適宜照会に応じて、支援地側のインフラ復旧状況等を情報提供)

発 着派遣された専門家も交え協議の結果、海上輸送ルートを活用したいと考えていますが、輸送ルートの構築について状況を教えてください。また、海上輸送ルートが利用可能な場合、利用の調整をお願いします。

承知しました。確認・調整の上、回答します。ルート構築時に支援地・被災地のバース調整も実施済みとする。

7 海上輸送ルート情報の提供 着 発海上輸送ルートとして、茨城県鹿島港から神奈川県横浜港みなとみらい地区への内航船による輸送体制が構築できました。貴県の利用意向があることについても、事業者に連絡し、調整可能な状況です。

承知しました。庁内にて協議の上、回答します。 国・内航事業者間で調整済みとする

8 海上輸送手配(船舶のブッキング) 発 着 着

庁内にて協議の結果、ご提示のあった内航船による海上輸送ルートの利用を決定しました。輸送の手配(ブッキング)をお願いしたいと思います。品目は及び数量は飲料水、食料(主食)各7万人(1万人×7日)分、荷姿・量はT11型パレット200枚、重量は1枚あたり600㎏、時期は1週間後までにお願いします。

承知しました。内航事業者に連絡し、ブッキングします。 内航事業者窓口は運輸局が代行(以下同じ)

9 船舶ブッキングの確認・情報還元 着 発 発船舶のブッキングが完了しました。担当する内航事業者は●●、船舶は内航船▲▲丸、鹿島港の発着バースは○○、出港日時は△月△日、貨物の搬入は同日××時までにお願いします。

承知しました。物資の出庫、輸送を手配します。 内航事業者窓口は運輸局が代行

10 港湾利用に関する応援要請 発 着茨城県港湾課様へ防災・危機管理課●●です。神奈川県への支援物資輸送にあたり鹿島港を利用したいので、応援を要請します。船舶ブッキング情報は××です。

承知しました。鹿島港の利用手続、及び港湾荷役等の手配を行います。

港湾管理者は事務局が代行

11 港湾荷役の応援要請 発 着 (鹿島港の港湾荷役の実施を要請、船舶ブッキング情報を伝達) (今回は省略)支援地側関係機関・管理者は事務局が代行(協定有無・内容の確認)

12 トラック輸送手配 発 着

茨城県トラック協会様へ茨城県防災・危機管理課●●です。協定に基づき、支援物資の輸送を要請します。集荷の場所・時間は●●、配達先の場所・時間は▲▲、品目は○○、荷姿・数量・重量は△△です。

こちら茨城県トラック協会です。承知しました。(協会から手配の上)全部で大型車××台が必要と想定されますので確保しました。輸送を担当する事業者は○○、車両番号は△△、集荷先到着時間は●●、配送(港湾搬入)時間は▲▲を予定しています。

支援地側事業者は事務局が代行(協定有無・内容の確認)

13 支援地側手配の完了報告 着 発

神奈川県災害対策課●●様へこちら茨城県防災・危機管理課●●です。物資の調達、輸送の手配が完了しましたので、内容を伝達します。トラック輸送が手配できないため、内航船により鹿島港から横浜港みなとみらい地区まで輸送することとしました。ついては、横浜港の利用手配及び港湾からのトラック輸送の手配をお願いします。内航船の事業者は・・(以下、必要な情報を伝達)です。

承知しました。横浜港の利用手配及びトラック輸送の手配を行います。

内航事業者

運輸局情報伝達内容

事務局にて役割を代行

事務局にて代行

凡例: 発 発信者 着 受信者 被災地側 支援地側

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c)被災地輸送手段の確保

被災地側での輸送手段の確保段階のシナリオは以下の通りとした。

被災地で輸送手段を確保する段階では、「港湾利用に関する応援要請」、「港湾荷役の応援要請」、「船便の確認」、「港湾荷役の手配完了報告」、「港湾利用に関する手配完了報告」、「物資拠点・荷役体制確保要請」、

「トラック輸送手配」、「被災地側手配の完了報告」、「貨物の搬入・引き取り情報」といったプロセスを経る。

訓練では、海上輸送の実施に係る自治体と港湾管理者、トラック業界、倉庫業界、港湾関係者との情報連絡を確認した。

図表 0-14 訓練シナリオ(被災地輸送手段確保)

被災地側(神奈川県) 支援地側(茨城県)

場面 状況の付与

被災自治体

港湾管理者

港運協会

トラッ

ク協会

倉庫協会

その他

支援自治体

港湾管理者

協定先流通業等

港運協会

トラッ

ク協会

その他

発信内容 回答内容 備考

Ⅲ 被災地輸送手段 14 港湾利用に関する応援要請(適宜照会に応じて、被災地側のインフラ復旧状況等を情報提供)

発 着

横浜市港湾局●●様へこちら神奈川県災害対策課●●です。茨城県からの支援物資が、内航船により鹿島港から横浜港みなとみらい地区まで輸送されることとなりました。ついては、横浜港の利用手配及び港湾荷役の手配をお願いします。内航船の事業者は・・(以下、必要な情報を伝達)です。

こちら横浜市港湾局●●です。(庁内調整の結果)承知しました。横浜港の利用手配及び港湾荷役の手配を行います。

庁内調整は省略

  の確保 15 港湾荷役の応援要請 発 着

横浜港運協会●●様へこちら横浜市港湾局●●です。茨城県からの支援物資が、内航船により鹿島港から横浜港みなとみらい地区まで輸送されることとなりました。ついては、協定に基づき、港湾荷役の手配をお願いします。内航船の事業者は・・(以下、必要な情報を伝達)です。

こちら横浜港運協会●●です。(協会から手配の上)港湾運送を担当する事業者は○○を予定しています。

協定有無・内容の確認

16 船便の確認 発 着 着

内航事業者●●様へ鹿島港運協会●●様へこちら横浜港運協会●●です。▲▲丸にて鹿島港から横浜港みなとみらい地区まで輸送される支援物資の横浜港における港湾荷役を担当します。積荷情報等を確認させてください。(以下、必要な情報を確認)

(必要な情報を確認) 内航事業者、支援地側事業者は事務局が代行

17 港湾荷役の手配完了報告 着 発横浜市港湾局●●様へこちら横浜港運協会●●です。港湾荷役の手配が完了しました。貨物の搬出が可能となる日時は△△の見込みです。

こちら横浜市港湾局●●です。承知しました。

18 港湾利用に関する手配完了報告 着 発神奈川県災害対策課●●様へこちら横浜市港湾局●●です。横浜港の利用手配及び港湾荷役の手配が完了しました。港湾荷役を担当する事業者は○○、貨物の搬出が可能となる日時は△△の見込みです。

こちら神奈川県災害対策課●●です。承知しました。

19 物資拠点・荷役体制確保要請 発 着

神奈川倉庫協会●●様へ神奈川県災害対策課●●です。茨城県からの支援物資が届けられることとなりましたので、協定に基づき、物資拠点の確保及び受け入れ体制の構築を要請します。品目は○○、荷姿・数量・重量は△△です。支援物資は、内航船により鹿島港から横浜港みなとみらい地区まで輸送され、そこから物資拠点への輸送は神奈川県トラック協会様を手配します。内航船の到着日時は●●、搬出可能となる日時は△△を予定しています。物資拠点への配送日時については、神奈川県トラック協会様と調整してください。

こちら神奈川倉庫協会●●です。承知しました。(協会から手配の上)受入先となる物資拠点は○○、オペレーションを行う倉庫業者は△△を予定しています。

協定有無・内容の確認

20 トラック輸送手配 発 着

神奈川県トラック協会●●様へ神奈川県災害対策課●●です。協定に基づき、支援物資の輸送を要請します。茨城県からの支援物資が、内航船により鹿島港から横浜港みなとみらい地区まで輸送されることとなりましたので、集荷場所は横浜港みなとみらい地区となります。集荷時間(搬出可能となる時間)は△△、配達先の場所・時間は▲▲、品目は○○、荷姿・数量・重量は△△です。港湾への乗り入れにあたって、具体的な引取場所、走行経路、乗り入れ可能な車両の大きさ・重量等は、横浜港運協会●●様に照会してください。配送先となる物資拠点の情報は神奈川倉庫協会●●様に照会してください。

こちら神奈川県トラック協会●●です。承知しました。(協会から手配の上)全部で大型車××台が必要と想定されますので確保しました。輸送を担当する事業者は○○、車両番号は△△、集荷先到着時間は●●、配送(港湾搬入)時間は▲▲を予定しています。

協定有無・内容の確認

21 被災地側手配の完了報告 発 着茨城県防災・危機管理課●●様へ神奈川県災害対策課●●です。横浜港の利用及び港湾からのトラック輸送の手配、受入先となる物資拠点の確保が完了しました。物資の輸送をお願いします。

こちら茨城県防災・危機管理課●●です。承知しました。

22 貨物の搬入・引き取り情報 発 着 着関東運輸局●●様へこちら茨城県災害対策課●●です。支援地側・被災地側において港湾荷役、トラック輸送等の手配が完了しました。(以下、各種情報を伝達)

こちら関東運輸局●●です。承知しました。内航事業者に伝達します。

内航事業者窓口は運輸局が代行

内航事業者

運輸局情報伝達内容

事務局にて役割を代行

事務局にて代行

凡例: 発 発信者 着 受信者 被災地側 支援地側

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2)フェーズ2:実施段階

支援地側および被災地側の港湾でのオペレーション段階のシナリオは以下の通りとした。

支援地側では、「支援物資の出庫指示」、「トラック輸送の指示」、「貨物の搬入情報・船積み指示」、「貨物の搬入確認」、「貨物の搬入・船積みの完了報告」、「船舶離岸・出港」といったプロセスを経る。

また、被災地側では、「船舶入港・接岸」、「貨物の荷卸し指示・引き取り情報」、「トラック輸送の指示」、「貨物の引き取り確認」、「貨物の荷卸し・引き取り完了報告」、「船舶出港」、「物資拠点での貨物の搬入確認」、

「物資拠点での貨物の搬入報告」、「支援物資の受領報告」というプロセスを経る。

ここでは、主に支援地側・被災地側ともに内航事業者と港湾関係者、自治体と港湾管理者、自治体とトラック業界、倉庫業界、港湾関係者などの間で行われる情報連絡の確認を行った。

図表 0-15 訓練シナリオ(支援地結節点および被災地結節点)

被災地側(神奈川県) 支援地側(茨城県)

場面 状況の付与

被災自治体

港湾管理者

港運協会

トラッ

ク協会

倉庫協会

その他

支援自治体

港湾管理者

協定先流通業等

港運協会

トラッ

ク協会

その他

発信内容 回答内容 備考

Ⅳ 支援地結節点 23 支援物資の出庫指示 発 着協定先流通業者●●様へこちら茨城県災害対策課●●です。準備が完了したので、お願いしていた支援物資のトラック輸送をお願いします。

承知しました。 支援地側事業者は事務局が代行

24 トラック輸送の指示 発 着

茨城県トラック協会様へ茨城県防災・危機管理課●●です。協定に基づき、支援物資の輸送を要請します。集荷の場所・時間は●●、配達先の場所・時間は▲▲、品目は○○、量は△△です。支援物資の輸送指示、配送(港湾搬入)時間は▲▲です。

承知しました。 支援地側事業者は事務局が代行

25 貨物の搬入情報・船積み指示 着 発 (貨物の搬入情報を伝達し、荷受け及び船積みの作業を指示) (今回は省略) 内航事業者、支援地側事業者は事務局が代行

26 貨物の搬入確認 着 発 (支援物資(品目○○、荷姿・数量・重量△△)を搬入し、受取を確認) (今回は省略) 支援地側事業者は事務局が代行

27 貨物の搬入・船積みの完了報告 発 着 (支援物資の搬入・船積みの完了を報告) (今回は省略) 内航事業者、支援地側事業者は事務局が代行

28 船舶離岸・出港 着 着 発 (△△丸の離岸・出港に係る手続き・船舶代理店へ作業手配を依頼) (今回は省略)支援地側関係機関・事業者(港長、船舶代理店)は事務局が代行

Ⅴ 被災地結節点 29 船舶入港・接岸 着 着 発 (△△丸の入港・接岸に係る手続き・船舶代理店へ作業手配を依頼) (今回は省略)内航事業者、被災地側関係機関・事業者(港長、船舶代理店)は事務局が代行

30 貨物の荷卸し指示・引き取り情報 着 発

横浜港運協会●●様こちら内航事業者○○です。茨城県の支援物資について予定の日時に横浜港みなとみらい地区へ入港しますので、貨物の荷卸しをお願いします。貨物の引取を行うトラック事業者は○○、車両番号は△△です。

承知しました。 内航事業者は事務局が代行、物資はエプロンに仮置き

31 トラック輸送の指示 発 着神奈川県トラック協会●●様へ神奈川県災害対策課●●です。茨城県からの支援物資が予定どおり横浜港みなとみらい地区まで輸送されますので、物資拠点○○までの輸送をお願いします。

承知しました。

32 貨物の引き取り確認 発 着神奈川県トラック協会●●様横浜港運協会●●です。茨城県からの支援物資を引き渡しましたのでご確認ください。

確かに引き取りました。

33 貨物の荷卸し・引き取り完了報告 発 着内航事業者○○様横浜港運協会●●です。茨城県からの支援物資について荷卸し・引き渡しを完了しました。

了解しました。 内航事業者は事務局が代行

34 船舶出港 着 着 発 (△△丸の離岸・出港に係る手続き・船舶代理店へ作業手配を依頼) (今回は省略)内航事業者、関係機関・事業者(港長、船舶代理店)は事務局が代行

35 物資拠点での貨物の搬入確認 発 着神奈川倉庫協会●●様神奈川県トラック協会●●です。茨城県からの支援物資を搬入しましたのでご確認ください。

確かに搬入されたことを確認しました。

36 物資拠点での貨物の搬入報告 着 発神奈川災害対策課●●様神奈川倉庫協会●●です。茨城県からの支援物資を搬入しましたのでご確認ください。

確かに搬入されたことを確認しました。

37 支援物資の受領報告 発 着茨城県防災・危機管理課●●様神奈川県災害対策課●●です。お願いしていた支援物資を確かに受領しましたので報告します。ありがとうございました。

了解しました。

内航事業者

運輸局情報伝達内容

事務局にて役割を代行

事務局にて代行

凡例: 発 発信者 着 受信者 被災地側 支援地側

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(4)情報連絡体制

訓練の情報連絡体制の概略は以下の通り。

図表 0-16 情報連絡体制

図表 0-17 情報伝達訓練の様子

神奈川倉庫協会神奈川県トラック協会その他港湾関係者(行政、事業者)

支援地側 被災地側

横浜港運協会県内各関係者

(トラック、倉庫等)

内航事業者

茨城県

関東運輸局

横浜市(港湾管理者)

神奈川県

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3.情報伝達訓練で得られた意見と課題

(1)業務プロセス(フロー)の適切性

訓練シナリオにおける業務プロセスは概ね妥当であったものの、被災地側で荷揚げさ

れた後、トラック事業者へ引き渡すまでの一時保管をどのように行うのかといった点に

ついては、様々な対応が考えられることもあり今後の課題であると認識された。

また、業界団体と実際にオペレーションを行う個別事業者との間の情報連絡や、実際

の被災事情等による遅延状況等を想定した時間軸の加味といった点は今回の実験では

対象となっていないため、検証の際に今後の課題として指摘された。

「業務プロセス(フロー)の適切性」の観点から得られた主な意見は以下の通り。

図表 0-18 「業務プロセスの適切性」に関する意見

・協会は実際に活動する個々の事業者の動きを把握しておく必要がある

・トラック協会は配送要請と搬入完了の2度の報告を受ける形になる

・行政との窓口はとりまとめを行う協会の役割である

・車両の手配、搬入確認など、出動台数が多い場合は実際には報告までに時間を

要するケースがあり得ることを念頭におく必要がある

・東日本大震災のケースでは大幅な遅延が発生しており、行動の時間軸を念頭に

置く必要がある。

・荷揚げした後の一時保管をどのように行うのか具体的な検討が必要

(2)情報伝達ルート(情報の受発信者)の適切性

訓練シナリオにおける情報伝達ルートは概ね適切であったものの、複数の業界団体と

の間で体制構築を図る行政では、業界団体に対する協力要請等に必要となる基本的な情

報が必要となるのに対し、実際のオペレーション実務を担当する個別事業者では、トラ

ックのサイズと拠点規模との関係等、物流実務についての詳細な情報が必要となるなど、

主体によって必要となる情報レベルが異なり、関係者全体での情報連携をどのように進

めるのかという点が課題として認識された。訓練では多くの関係者が円滑に連動するに

は、関係者全体の情報連絡網が必要であり、状況によってはオペレーションの担当者レ

ベルで情報連絡を行う仕組みが必要であるといった指摘があった。

「情報伝達ルート(情報の受発信者)の適切性」の観点から得られた主な意見は以下

の通り。

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図表 0-19 「情報伝達ルートの適切性」に関する意見

・トラック協会、倉庫協会、港運協会の間に行政が入っているため、協会間で相

互に情報連絡するルートが確立されていない。このため、例えば、搬入トラッ

クのサイズと拠点規模との関係など、細かい情報伝達に不安がある。

・緊急時に関係者全体(行政、協会、個別事業者)の連絡網が必要。

(3)情報伝達内容の適切性(過不足がないか)

訓練シナリオに記載された内容よりも詳細な情報提供を求める箇所が散見された。

「情報伝達内容の適切性(過不足がないか)」の観点から得られた主な意見は以下の

通り。

図表 0-20 「情報伝達内容の適切性」に関する意見

該当箇所 追加すべき内容・必要な情報

情報伝達 3

支援物資の調達・確認

・物資を取りに行く場所と連絡先・担当者

・物資を取りに行くことが可能な時間

情報伝達 9:

船舶ブッキングの確認・情報

還元

・船の大きさと種類(船舶喫水、船長など船に関す

る情報)

・船への搬入可能時間

・横浜港への到着予定時間

情報伝達 12:

トラック輸送手配

・配送先の連絡先・担当者

・待機場所など

情報伝達 17:

港湾荷役の手配完了報告

・入港予定

情報伝達 20:

トラック輸送手配

・茨城県側で手配したトラックの台数等の情報が明

らかになっていれば、その情報も伝達頂けるとス

ムーズ

情報伝達 23:

支援物資の出庫指示

・出庫時刻

(4)情報発信者における判断の可否(実際にそのような判断・決定が可能か)

「情報発信者における判断の可否(実際にそのような判断・決定が可能か)」といっ

た観点では特に指摘はなく、訓練シナリオは概ね妥当であると判断された。

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(5)必要な資源(人・施設・設備・物資・通信手段等)の確保可能性

今回の訓練シナリオでは、実際に活動に必要となる人・施設・設備・物資・通信手段

等の確保が可能であるか、という点については情報連絡の口述に記載される内容を対象

に確認するに留まった。通信手段を事前に確保しておくこと、港湾での一時保管の際に

は実際には養生などの業務も発生するため準備が必要であることが指摘された。

図表 0-21 「必要な資源の確保可能性」に関する意見

・野積みであっても養生が必要

・通信手段を事前に決めておく必要がある

(6)事前に共有しておくべき情報・了解事項・ノウハウ等

多くの関係者が関わる情報伝達訓練を通じ、事前に共有しておくべき事項として関係

者の役割の明確化、費用負担の仕組みなどが重要であることが指摘された。

また、緊急物資の追跡システムや伝票フォーマットなども事前に検討しておく必要が

あると指摘された。

「事前に共有しておくべき情報・了解事項・ノウハウ等」の観点から得られた主な意

見は以下の通り。

図表 0-22 「事前に共有しておくべき情報・了解事項・ノウハウ等」に関する意見

・事業者が担う部分と協会が担う部分の整理

・費用負担(契約関係)

・協定締結状況と情報共有・役割分担の状況を事前に確認しておく必要がある

・緊急物資を追跡できる仕組み

・伝票フォーマット

・伝達手段(紙ベースか電子データ)