働き方改革を推進するための関係法律の整備に関す …...7...

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安衛法=労働安全衛生法、安衛則=労働安全衛生規則 *1 労働基準法第36条第11項に規定する業務、 *2 労働基準法第41条の2第1項第1号の業務、 *3 休憩時間を除き1週当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその時間が1月当たり80時間、 *4 タイムカードによる記録・パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による 労働安全衛生法及びじん肺法改正の概要 面接指導等 【安衛法第66条の8の2関係】 研究開発業務 *1 に従事する労働者及び高度プロフェッショナル制度 *2 の対象労働者が、 長時間労働(安衛則により1月当たり100時間超)を行った場合、申出なしで医師による 面接指導の実施を事業者に義務付け(罰則付き。労働者にも受診義務あり。)。 【安衛則第52条の2第1項関係】 一般労働者に対する面接指導の対象を、現行の「1月当たり100時間超」から「1月当たり 80時間超 *3 」へ見直し。 【安衛法第66条の8の3,安衛則第52条の7の3関係】 客観的な方法 *4 その他適切な方法により労働時間の状況を把握することを事業者に義務 付け。把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存。 【安衛則第52条の2第3項関係】 長時間労働者(1月当たり80時間超)に対し、労働時間の状況に関する情報を通知するこ とを事業者に義務付け。 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布され、産業医・産 業保健機能の強化のため、労働安全衛生法令及びじん肺法法令関係が改正されました。 長時間労働やメンタルヘルス不調などにより、健康リスクが高い状況にある労働者を見 逃さないため、産業医による面接指導や健康相談等が確実に実施されるようにし、産業保 健機能を強化するとともに、産業医の独立性や中立性を高めるなどにより、産業医等が産 業医学の専門的立場から労働者一人ひとりの健康確保のためにより一層効果的な活動を行 いやすい環境を整備するため、産業医の在り方の見直しを行いました。主な改正事項は次 のとおりです。 この改正は、平成31年4月1日から施行されます。 また、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が実施すべき 措置に関する指針」(平成30年9月7日公示第1号)が公示されました。 改正の趣旨 横浜南労働基準監督署

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Page 1: 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関す …...7 産業医等に直接健康相談ができる環境整備 【安衛法第104条第1項・じん肺法第35条の3第1項関係】

安衛法=労働安全衛生法、安衛則=労働安全衛生規則 *1労働基準法第36条第11項に規定する業務、*2労働基準法第41条の2第1項第1号の業務、*3 休憩時間を除き1週当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその時間が1月当たり80時間、*4タイムカードによる記録・パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による

労働安全衛生法及びじん肺法改正の概要

1 面接指導等

【安衛法第66条の8の2関係】

研究開発業務*1に従事する労働者及び高度プロフェッショナル制度*2の対象労働者が、

長時間労働(安衛則により1月当たり100時間超)を行った場合、申出なしで医師による

面接指導の実施を事業者に義務付け(罰則付き。労働者にも受診義務あり。)。

【安衛則第52条の2第1項関係】

一般労働者に対する面接指導の対象を、現行の「1月当たり100時間超」から「1月当たり

80時間超*3」へ見直し。

【安衛法第66条の8の3,安衛則第52条の7の3関係】

客観的な方法*4その他適切な方法により労働時間の状況を把握することを事業者に義務

付け。把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存。

【安衛則第52条の2第3項関係】

長時間労働者(1月当たり80時間超)に対し、労働時間の状況に関する情報を通知するこ

とを事業者に義務付け。

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布され、産業医・産業保健機能の強化のため、労働安全衛生法令及びじん肺法法令関係が改正されました。 長時間労働やメンタルヘルス不調などにより、健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないため、産業医による面接指導や健康相談等が確実に実施されるようにし、産業保健機能を強化するとともに、産業医の独立性や中立性を高めるなどにより、産業医等が産業医学の専門的立場から労働者一人ひとりの健康確保のためにより一層効果的な活動を行いやすい環境を整備するため、産業医の在り方の見直しを行いました。主な改正事項は次のとおりです。 この改正は、平成31年4月1日から施行されます。 また、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が実施すべき措置に関する指針」(平成30年9月7日公示第1号)が公示されました。

改正の趣旨

横浜南労働基準監督署

Page 2: 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関す …...7 産業医等に直接健康相談ができる環境整備 【安衛法第104条第1項・じん肺法第35条の3第1項関係】

【安衛則第14条の4,安衛則第23条第5項関係】

事業者が与えなければならない産業医の具体的な権限を例示。

・事業者又は総括安全衛生管理者に対して意見を述べること。

・労働者の健康管理等を実施するため必要な情報を労働者から収集すること。

・労働者の健康を確保するため緊急時に、労働者に対して必要な措置を指示すること。

・衛生委員会又は安全衛生委員会に対して調査審議を求めること。

4 産業医の権限の明確化

【安衛法第13条第6項関係】

産業医の勧告について、衛生委員会又は安全衛生委員会への報告を事業者に義務付け。

【安衛則第14条の3関係】

産業医が勧告をしようとするときは、あらかじめ事業者の意見を求めるものとする。

【安衛則第23条第4項関係】

衛生委員会又は安全衛生委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容等の記

録・保存を事業者に義務付け。作成した記録は、3年間保存。

5 産業医の勧告の実効性の確保

【安衛法第13条第4項関係】

産業医への健康管理等に必要な情報提供を事業者に義務付け。

【安衛則第14条の2関係】

提供を義務付ける情報は以下のとおり。

・健康診断、面接指導(長時間労働及びストレスチェック)を実施後の就業上の措置の

内容等

・長時間労働者(80時間超の時間外・休日労働)の氏名、超過時間等

・労働者の業務に関する情報(産業医等が健康管理等を行うために必要と認めるもの)

3 産業医に対する情報提供等

【安衛法第13条第3項関係】

産業医は、必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならな

いものとする(理念規定の創設)。

【安衛則第14条第7項関係】

産業医に労働者の健康管理等に必要な医学に関する知識及び能力の維持向上の努力義務。

【安衛則第13条第4項関係】

産業医の辞任・解任時に衛生委員会又は安全衛生委員会への報告を事業者に義務付け。

2 産業医の独立性・中立性の強化

Page 3: 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関す …...7 産業医等に直接健康相談ができる環境整備 【安衛法第104条第1項・じん肺法第35条の3第1項関係】

【安衛法第13条の3関係】

産業医等が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等を、

事業者の努力義務として規定。

【安衛法第101条第2項関係】

産業医の業務に関する事項等を、労働者に周知することを事業者に義務付け。

【安衛則第98条の2第2項関係】

周知を義務付ける事項は以下のとおり。

・産業医の業務の具体的な内容

・産業医に対する健康相談の申出方法

・健康情報の取扱方法

7 産業医等に直接健康相談ができる環境整備

【安衛法第104条第1項・じん肺法第35条の3第1項関係】

事業者は、労働者の健康情報を取り扱うに当たっては、労働者の健康の確保に必要な範

囲内で取り扱う(本人の同意がある場合等を除く。)。

【安衛法第104条第2項・じん肺法第35条の3第2項関係】

労働者の健康情報を適正に管理するために必要な措置を事業者に義務付け。

【安衛法第104条第3,4項・じん肺法第35条の3第3,4項関係)

厚生労働大臣は、事業者による健康情報の取扱いの適切かつ有効な実施を図るため必要

な指針を公表する(必要に応じて指導等ができる。)。

6 健康情報の取扱ルールの明確化・適正化

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御不明な点は、当署安全衛生課までお問い合わせください。☎045-211-7375