レスピーギ、交響詩「ローマの松」 -音と活字- · 2 days ago ·...

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ISSN 1348-6977 福山大学図書館報 6 - 1 - Library Announcement Fukuyama University 6 2008.9 <目次> レスピーギ、交響詩「ローマの松」-音と活字- 片岡俊郎・・・・・・ 1 SFを読んでみませんか-私のSF事始め- 地主弘幸・・・・・・ 2 本の中には何がある? 三川 敦 ・・・・・・ 3 教員著作寄贈図書 ・・・・・・ 4 図書館体験 ・・・・・・ 5 まず CiNii からはじめよう電子ジャーナルと文献・情報探索 井上達雄・・・・・・ 6 生命栄養科学科の雑誌・図書の紹介 岩本博行・・・・・・ 7 「本」との出会い 宇野勝次・・・・・・ 8 レスピーギ、交響詩「ローマの松」 -音と活字- 福山大学附属図書館長 経済学部経済学科教授 片岡俊郎 イタリアの作曲家、オットリーノ・レスピー ギ( 1879 1936 年)には、交響詩「ローマの噴 水」( 1916 年)、「ローマの松」( 1924 年)、「ロ ーマの祭り」( 1928 年)の「ローマ 3 部作」が あ る 。と り わ け「 ロ ー マ の 松 」は 、有 名 で あ る 。 「ローマの松」は、「ボルゲーゼ荘の松」、 「力タコンベ付近の松」、「ジャニコロの松」、 「アッピァ街道の松」の4曲から構成されてい る。 45 回レコード・アカデミー賞を管弦楽曲 部門で受賞した、アン卜ニオ・パッパーノ指揮、 ローマ・サンタチェチーリア国立アカデミー管 弦楽団「レスピーギ、ローマ 3 部作」での佐伯 茂樹氏の解説によりながら「ローマの松」を紹 介すれば、次の通りである。 1 曲「ボルゲーゼ荘の松」では、有名な公 園ボルゲーゼ荘の松の下で遊 ぶ子供たちが描かれ、第 2 「力タコンベ付近の松」では、 カタコンベ(地下の墓場)の 入口に立つ松が、第 3 曲「ジ ャニコロの松」では、ローマ の街並が一望できるジャ二コロの丘の松、第 4 曲「アッピァ街道の松」では、古代ローマで、 ローマと各地を結びつける主要道であったアッ ピァ街道の松が猫かれている。 NHK-FM 放送で実祝中継された「第 1630 N 響定期演奏会( 2008 10 29 日)」でジャナ ンドレア・ノセダ指揮 NHK 交響楽団が演奏した ラフマニノフ作曲、レスピーギ 編曲「 5 つの練習曲、音の絵」 は、「海とかもめ」、「市場の風 景」、「葬送行進曲」、「赤ずきん と狼」、「行進曲」から構成され ている。 レスピーギは、「ローマの松」で真昼のロー マ、夕闇のローマ、真夜中のローマ、夜明けの ローマを、子供たち、死者たち、寝静まった街 並み、軍隊の行進と結びつけて、松を描いてい る 。一 方 、ラ フ マ ニ ノ フ「 音 の 絵 」の 編 曲 で は 、 レスピーギは、静かな海上で自由に飛び交うか もめ、市場の喧噪で掻き消されるかもめの鳴き 声、かもめの死、そして、狼に追われる赤ずき んちゃん、狼から逃げおおせ、自分のリズムを 取り戻した赤ずきんちゃんを描いていると言え る。かもめと人間赤ずきんちゃんを対比するこ とによって、レスピーギの本来の世界が、ラフ マニノフに追いかけられ、自分の世界を見失い かけるものの、編曲を完成し、自由を取り戻し、 安堵したレスピーギ自身を描いているとも言え る。 音の世界を活字の世界に置き変えることに よって、一つの世界が見えてきたような気がす る。

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ISSN 1348-6977

福 山大学 図書館 報 第 6 号

- 1 -

福 山 大 学

図 書 館 報

L i b r a r y A n n o u n c e m e n t

F u k u y a m a U n i v e r s i t y

第 6 号

2 0 0 8 . 9

< 目 次 >

レ ス ピ ー ギ 、 交 響 詩 「 ロ ー マ の 松 」 - 音 と 活 字 -

片 岡 俊 郎 ・・ ・ ・ ・ ・ 1

S F を 読 ん で み ま せ ん か - 私 の S F 事 始 め - 地 主 弘 幸 ・・ ・ ・ ・ ・ 2

本 の 中 に は 何 が あ る ? 三 川 敦 ・・ ・ ・ ・ ・ 3

教 員 著 作 寄 贈 図 書 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4

図 書 館 体 験 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5

ま ず C i N i i か ら は じ め よ う 電 子 ジ ャ ー ナ ル と 文 献 ・ 情 報 探 索

井 上 達 雄 ・・ ・ ・ ・ ・ 6

生 命 栄 養 科 学 科 の 雑 誌 ・ 図 書 の 紹 介 岩 本 博 行 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7

「 本 」 と の 出 会 い 宇 野 勝 次 ・・ ・ ・ ・ ・ 8

レ ス ピ ー ギ 、 交 響 詩 「 ロ ー マ の 松 」

- 音 と 活 字 -

福 山 大 学 附 属 図 書 館 長

経 済 学 部 経 済 学 科 教 授 片 岡 俊 郎

イ タ リ ア の 作 曲 家 、 オ ッ ト リ ー ノ ・ レ ス ピ ー

ギ ( 1 8 7 9~ 1 9 3 6 年 ) に は 、 交 響 詩 「 ロ ー マ の 噴

水 」( 1 9 1 6 年 )、「 ロ ー マ の 松 」( 1 9 2 4 年 )、「 ロ

ー マ の 祭 り 」( 1 9 2 8 年 ) の 「 ロ ー マ 3 部 作 」 が

あ る 。と り わ け「 ロ ー マ の 松 」は 、有 名 で あ る 。

「 ロ ー マ の 松 」 は 、「 ボ ル ゲ ー ゼ 荘 の 松 」、

「 力 タ コ ン ベ 付 近 の 松 」、「 ジ ャ ニ コ ロ の 松 」、

「 ア ッ ピ ァ 街 道 の 松 」 の 4 曲 か ら 構 成 さ れ て い

る 。

第 4 5 回 レ コ ー ド ・ ア カ デ ミ ー 賞 を 管 弦 楽 曲

部 門 で 受 賞 し た 、ア ン 卜 ニ オ・パ ッ パ ー ノ 指 揮 、

ロ ー マ ・ サ ン タ チ ェ チ ー リ ア 国 立 ア カ デ ミ ー 管

弦 楽 団 「 レ ス ピ ー ギ 、 ロ ー マ 3 部 作 」 で の 佐 伯

茂 樹 氏 の 解 説 に よ り な が ら 「 ロ ー マ の 松 」 を 紹

介 す れ ば 、 次 の 通 り で あ る 。

第 1 曲 「 ボ ル ゲ ー ゼ 荘 の 松 」 で は 、 有 名 な 公

園 ボ ル ゲ ー ゼ 荘 の 松 の 下 で 遊

ぶ 子 供 た ち が 描 か れ 、 第 2 曲

「 力 タ コ ン ベ 付 近 の 松 」で は 、

カ タ コ ン ベ ( 地 下 の 墓 場 ) の

入 口 に 立 つ 松 が 、 第 3 曲 「 ジ

ャ ニ コ ロ の 松 」 で は 、 ロ ー マ

の 街 並 が 一 望 で き る ジ ャ 二 コ ロ の 丘 の 松 、 第 4

曲 「 ア ッ ピ ァ 街 道 の 松 」 で は 、 古 代 ロ ー マ で 、

ロ ー マ と 各 地 を 結 び つ け る 主 要 道 で あ っ た ア ッ

ピ ァ 街 道 の 松 が 猫 か れ て い る 。

N H K - F M 放 送 で 実 祝 中 継 さ れ た 「 第 1 6 3 0 回 N

響 定 期 演 奏 会 ( 2 0 0 8 年 1 0 月 2 9 日 )」 で ジ ャ ナ

ン ド レ ア ・ ノ セ ダ 指 揮 N H K 交 響 楽 団 が 演 奏 し た

ラ フ マ ニ ノ フ 作 曲 、 レ ス ピ ー ギ

編 曲 「 5 つ の 練 習 曲 、 音 の 絵 」

は 、「 海 と か も め 」、「 市 場 の 風

景 」、「 葬 送 行 進 曲 」、「 赤 ず き ん

と 狼 」、「 行 進 曲 」 か ら 構 成 さ れ

て い る 。

レ ス ピ ー ギ は 、「 ロ ー マ の 松 」 で 真 昼 の ロ ー

マ 、 夕 闇 の ロ ー マ 、 真 夜 中 の ロ ー マ 、 夜 明 け の

ロ ー マ を 、 子 供 た ち 、 死 者 た ち 、 寝 静 ま っ た 街

並 み 、 軍 隊 の 行 進 と 結 び つ け て 、 松 を 描 い て い

る 。一 方 、ラ フ マ ニ ノ フ「 音 の 絵 」の 編 曲 で は 、

レ ス ピ ー ギ は 、 静 か な 海 上 で 自 由 に 飛 び 交 う か

も め 、 市 場 の 喧 噪 で 掻 き 消 さ れ る か も め の 鳴 き

声 、 か も め の 死 、 そ し て 、 狼 に 追 わ れ る 赤 ず き

ん ち ゃ ん 、 狼 か ら 逃 げ お お せ 、 自 分 の リ ズ ム を

取 り 戻 し た 赤 ず き ん ち ゃ ん を 描 い て い る と 言 え

る 。 か も め と 人 間 赤 ず き ん ち ゃ ん を 対 比 す る こ

と に よ っ て 、 レ ス ピ ー ギ の 本 来 の 世 界 が 、 ラ フ

マ ニ ノ フ に 追 い か け ら れ 、 自 分 の 世 界 を 見 失 い

か け る も の の 、編 曲 を 完 成 し 、自 由 を 取 り 戻 し 、

安 堵 し た レ ス ピ ー ギ 自 身 を 描 い て い る と も 言 え

る 。

音 の 世 界 を 活 字 の 世 界 に 置 き 変 え る こ と に

よ っ て 、 一 つ の 世 界 が 見 え て き た よ う な 気 が す

る 。

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第 6 号 福 山大 学図書 館報

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S F を 読 ん で み ま せ ん か - 私 の S F 事 始 め -

人 間 文 化 学 部 環 境 情 報 学 科 地 主 弘 幸

S F と い う 卖 語 を 試 し に 広 辞 苑 第 6 版 で 調 べ る

と 、「 ( S c i e n c e F i c t i o n の 略 )科 学 の 発 想 を も と

に し 、 未 来 社 会 の 人 間 を 描 く 空 想 的 小 説 。 ヴ ェ

ル ヌ の 『 海 底 二 万 里 』 や H . G .ウ ェ ル ズ の 『 タ イ

ム マ シ ン 』『 宇 宙 戦 争 』な ど に 始 ま る 。空 想 科 学

小 説 。科 学 小 説 。」と 説 明 さ れ て い ま す 。し か し 、

今 と な っ て は 尐 々 古 く さ い 定 義 の よ う に 思 え ま

す 。 1 9 6 0 年 代 に 英 国 で 始 ま っ た S F の ニ ュ ー ・

ウ ェ ー ブ 運 動 以 降 、「 S F は S c i e n c e F i c t i o n (サ

イ エ ン ス ・ フ ィ ク シ ョ ン ) の 略 で は な く 、

S p e c u l a t i v e F i c t i o n (ス ペ キ ュ レ イ テ ィ ブ ・ フ

ィ ク シ ョ ン ,思 索 的 小 説 )の 略 だ 」と い う 主 張 が

一 般 化 し て い ま す 。 S c i e n c e F a n t a s y と い う 言

葉 も あ り 、広 義 で は フ ァ ン タ ジ ー も S F に 含 め て

考 え る 場 合 が あ り ま す 。 思 い 出 し た よ う に ぽ つ

り ぽ つ り と し か S F を 読 ま な い 自 称 も の ぐ さ S F

フ ァ ン が 大 き な こ と は 言 え ま せ ん が 、 多 様 化 し

た 現 在 の S F を 一 つ の 定 義 で く く ろ う と す る こ

と 自 体 、 も は や ナ ン セ ン ス か も し れ ま せ ん 。

私 が S F と い う ジ ャ ン ル に 興 味 を 持 ち 始 め た

の は 、 中 学 生 の 頃 で す 。 あ る 雑 誌 で 紹 介 さ れ て

い た E・ R・ バ ロ ー ズ (タ ー ザ ン ・ シ リ ー ズ の 原

作 者 )著 の S F 小 説 『 火 星 の プ リ ン セ ス 』 (創 元

S F 文 庫 )を 手 に 取 っ た の が き っ か け で す 。 現 実

の 火 星 が そ ん な 空 想 を 許 す よ う な 世 界 で は な い

こ と は 既 に 認 識 し て い ま し た が 、

あ ま り の 面 白 さ に 一 気 に 読 み 切 っ

て し ま い ま し た 。 こ の 小 説 が 世 に

出 た の は 1 9 1 2 年 の こ と で あ り 、今 と な っ て は い

さ さ か 古 風 な 部 分 も あ り ま す が 、 現 在 で も 十 二

分 に 楽 し め る 作 品 で あ る こ と は 保 証 し ま す 。 ス

ペ ー ス ・ オ ペ ラ - 『 銀 河 英 雄 伝 説 』 (創 元 S F 文

庫 )を 思 い 浮 か べ れ ば よ い - と し て 分 類 さ れ る

こ と が 多 い こ の 作 品 で す が 、 ヒ ロ イ ッ ク ・ フ ァ

ン タ ジ ー (異 世 界 の 英 雄 冒 険 譚 )と し て 読 ん で

み て く だ さ い 。 ヒ ロ イ ッ ク ・ フ ァ ン タ ジ ー と い

え ば 、そ の 原 点 と も い え る ロ バ ー ト ・ E・ ハ ワ ー

ド の コ ナ ン・シ リ ー ズ が『 新 訂 版 コ ナ ン 全 集 』(全

6 巻 )と し て 創 元 社 推 理 文 庫 よ り 刊 行 中 、こ ち ら

も お 勧 め で す 。

S F と い う 観 点 か ら 見 る と 、 N H K と い う 放 送 局

は あ な ど れ ま せ ん 。1 9 7 2 年 に N H K 尐 年 ド ラ マ シ

リ ー ズ 第 一 作 と し て 筒 井 康 隆 原 作 の 『 時 を か け

る 尐 女 』 (角 川 文 庫 )を ド ラ マ 化 し た 『 タ イ ム ト

ラ ベ ラ ー 』 が 好 評 を は く し 、 以 降 、 光 瀬 龍 、 星

新 一 、眉 村 卓 、小 松 左 京 と い っ た S F 作 家 の 作 品

を ド ラ マ 化 し て い ま す 。ま た 、 1 9 7 8 年 に ア レ グ

サ ン ダ ー ・ ケ イ 原 作 の『 未 来 尐 年 コ ナ ン 』、次 い

で ス ペ ー ス ・ オ ペ ラ の 古 典 と も い え る エ ド モ ン

ド ・ ハ ミ ル ト ン 原 作 の 『 キ ャ プ テ ン ・ フ ュ ー チ

ャ ー 』(創 元 S F 文 庫 )を ア ニ メ 化 し て 以 降 、現 在

に 至 る ま で 様 々 な S F・フ ァ ン タ ジ ー の 映 像 化 作

品 を 世 に 送 り 出 し て い ま す 。 最 近 の 作 品 で は 、

『 精 霊 の 守 り 人 』 が 特 に 気 に 入 っ て い ま す 。 原

作 は 同 名 の フ ァ ン タ ジ ー 小 説 、 上 橋 菜 穂 子 著 、

守 人 シ リ ー ズ の 第 1 作『 精 霊 の 守 り 人 』(偕 成 社

卖 行 本 、新 潮 文 庫 )で す 。物 語 の 主 人 公 は 、凄 腕

の 女 用 心 棒 バ ル サ と 新 ヨ ゴ

皇 国 の 第 二 皇 子 チ ャ グ ム 。

チ ャ グ ム は 、 あ る 理 由 か ら

実 の 父 で あ る 帝 に 疎 ま れ 、 刺 客 を 差 し 向 け ら

れ る は め に 陥 り ま す 。 ひ ょ ん な こ と か ら 二 人 は

出 会 い 、 バ ル サ は 幼 い チ ャ グ ム を 命 が け で 守 り

な が ら 、 逃 避 行 を 始 め る こ と に な り ・ ・ ・ 。 原

作 者 は 文 化 人 類 学 者 で も あ り 、 緻 密 な 世 界 観 に

基 づ く 物 語 作 り は 見 事 で す 。 ま だ 読 ん で い な い

方 は 、 ぜ ひ 原 作 を 手 に 取 っ て み て く だ さ い 。 見

る だ け で 済 ま せ る に は も っ た い な い 作 品 で す 。

S F の 世 界 は 多 彩 で す 。紙 面 の 都 合 上 、あ ま り

多 く の 作 品 に 触 れ る こ と は で き ま せ ん で し た が 、

手 頃 な S F 入 門 書・読 書 案 内 と し て 、早 川 書 房 編

集 部 編 『 新 ・ S F ハ ン ド ブ ッ ク 』 (ハ ヤ カ ワ 文 庫 )

と 伊 藤 典 夫 著 『 S F ベ ス ト 2 0 1』 (新 書 館 )の 2 冊

を 上 げ て お き た い と 思 い ま す 。 詩 情 豊 か で フ ァ

ン タ ス テ ィ ッ ク な 作 品 か ら 科 学 好 き の あ な た も

唸 ら せ る ハ ー ド S F ま で 、必 ず あ な た を 満 足 さ せ

る 一 冊 が あ る は ず で す 。あ な た も S F を 読 ん で み

ま せ ん か 。

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福 山大学 図書館 報 第 6 号

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補 注:文 中 で は 書 名 ま た は シ リ ー ズ 名 を『 』で 囲 み 、現 在 で も 新 刊 で 入 手 で き る も の に つ い て は 、

続 く ( )内 に 出 版 元 を 略 記 し て い ま す 。

図 書 館 所 蔵 情 報

上 橋 菜 穂 子 『 精 霊 の 守 り 人 』 (偕 成 社 、 2 0 0 6 年 )

【 9 1 3 . 6 / U】

ア レ グ サ ン ダ ー ・ ケ イ 『 残 さ れ た 人 び と 』 (若 宮 藍

『 未 来 尐 年 コ ナ ン ( 1 ~ 4 ) 』 竹 書 房 、 2 0 0 5 年 )

【 S 0 8 / 1 9 7~ 2 0 0】

上 橋 菜 穂 子 『 精 霊 の 守 り 人 』 (新 潮 社 、 2 0 0 7 年 )

【 S 0 8 / 1 9 4】

ジ ュ ー ル ・ ベ ル ヌ 『 海 底 二 万 マ イ ル 』 (单 本 史 訳 、

ポ プ ラ 社 、 2 0 0 5 年 )【 S 0 8 / 2 0 3】

筒 井 康 隆 『 時 を か け る 尐 女 (新 装 版 )』 (角 川 書 店 、

2 0 0 6 年 )【 S 0 8 / 1 7 8】

H ・ G ・ ウ ェ ル ズ 『 宇 宙 戦 争 』 (小 田 麻 紀 訳 、角 川

書 店 、 2 0 0 5 年 )【 S 0 8 / 2 0 2】

が あ り ま す 。

本 の 中 に は 何 が あ る ?

経 済 学 部 経 済 学 科 准 教 授 三 川 敦

映 画 「 シ ザ ー ハ ン ズ 」 や 「 パ イ レ ー ツ ・ オ

ブ ・ カ リ ビ ア ン 」 の 主 役 を 務 め た ジ ョ ニ ー ・

デ ッ プ が 主 役 の 「 ナ イ ン ス ゲ ー ト 」 と い う 映

画 を ご 存 知 だ ろ う か 。 監 督 は ロ マ ン ・ ポ ラ ン

ス キ ー(「 戦 場 の ピ ア ニ ス ト 」で ア カ デ ミ ー 監

督 賞 を 受 賞 ) で 、 8 年 前 の

2 0 世 紀 最 後 の 年 に 公 開 さ

れ た 映 画 で あ る 。 残 念 な が

ら 私 は 劇 場 で は な く 、 D V D

で 数 年 前 に 見 た 。 先 日 、 そ

の 中 古 が 売 り に 出 て い た の

で 購 入 し 、 見 直 し て み た 。 こ の 映 画 は 、 本 の

ト レ ジ ャ ー ハ ン タ ー ま た は 本 の 探 偵 の よ う な

こ と を 生 業 と し て い る 主 人 公 コ ル ソ ( ジ ョ ニ

ー ・ デ ッ プ ) が 、 世 界 に 3 冊 し か 現 存 し な い

と 云 わ れ る 祈 祷 書 『 影 の 王 国 へ の 九 つ の 扉 』

の 調 査 を 依 頼 さ れ 、 殺 人 事 件 な ど に 巻 き 込 ま

れ な が ら 本 の 秘 密 を 解 い て い く と い う も の だ 。

当 然 、 本 が 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る 。 尐 し

古 く な る が 2 0 年 以 上 前 に 、「 ネ バ ー エ ン デ ィ

ン グ・ス ト ー リ ー 」と い う 映 画 が ヒ ッ ト し た 。

こ れ は 、 本 好 き の 男 の 子 が 、 偶 然 手 に し た 本

を 開 く こ と に よ り 、 本 の 中 の 物 語 へ 入 っ て い

く と い う ス ト ー リ ー で 、 こ れ も ま た 本 が 重 要

な 位 置 を し め て い る 。

こ の 2 つ の 例 か ら も 分 か る よ う に 、 紙 と イ

ン ク か ら 出 来 て い る 卖 な る 物 質 で あ る は ず の

本 が 、 書 い て あ る 内 容 以 上 の も の を 含 ん で い

る と 多 く の 人 が 感 じ て い る

と い う こ と だ 。 そ れ は 何 だ

ろ う か 。 ラ ジ オ 劇 の 生 放 送

で お こ る 色 々 な ハ プ ニ ン グ を

扱 っ た 「 ラ ヂ オ の 時 間 」 と い

う 映 画 の 三 谷 幸 喜 監 督 が 、

「 ど う し て ラ ジ オ 劇 が 題 材 な の

で す か 」と い う 質 問 に 、「 ラ ジ オ の 場 合 は『・・・

で す 』 と 言 え ば 済 む 。 テ レ ビ ・ 映 画 の 場 合 は

実 際 に そ れ を セ ッ ト な ど で 作 る 必 要 が あ る か

ら 。」と い う よ う な こ と を 話 さ れ て い た と 思 う 。

本 も こ れ と 同 じ 面 が あ る 。 た だ 気 を つ け な け

れ ば な ら な い の は 、「 ・・・ が 爆 発 し ま し た 。」

と い う 文 章 の 場 合 、 人 に よ っ て イ メ ー ジ を す

る 爆 発 の 規 模 が 違 う と い う こ と だ 。 よ っ て 、

書 類 や 手 紙 等 の 文 章 を 読 ん だ と き に 、 他 の 人

と の 間 に 誤 解 が 生 ま れ て 来 る 原 因 の 1 つ と な

る 。 し か し 、 こ れ が 物 語 な ら ば 読 む 人 次 第 で

い く ら で も イ メ ー ジ が 広 げ ら れ る の で 、 面 白

い 本 で あ れ ば 2 倍 に も 3 倍 に も 面 白 さ が 拡 大

す る こ と に な る 。 こ れ が 本 の す ば ら し さ の 1

つ で は な い だ ろ う か 。 ま る で ス ポ ン ジ ケ ー キ

の た ね の よ う な も の で 、 始 め は 小 さ く て も 加

熱 を す る と ど ん ど ん 膨 ら ん で く る よ う に 、 本

を 開 き 、 読 ん で い く 内 に 自 分 の 中 で 何 か が ど

ん ど ん ど ん ど ん 広 が っ て い く よ う な 気 持 ち に

な る 。 私 は 、 図 書 館 や 本 屋 さ ん へ 行 き 、 並 ん

だ 本 を 見 た だ け で 、 中 に 何 が 隠 れ て い る の だ

ろ う と ワ ク ワ ク し て く る 。 実 際 に 手 に と り 、

ペ ー ジ を め く る と 美 味 し い 料 理 の 香 り を か ぐ

よ う な 気 持 ち に な る 。 と は 言 っ て も 、 い つ も

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第 6 号 福 山大 学図書 館報

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美 味 し い 料 理 ば か り で は な い が 。何 れ に し ろ 、

色 々 な 本 に 興 味 を 持 つ の は 良 い こ と だ と は 思

う が 、 衝 動 買 い を す る こ と も 多 く 、 結 局 読 ま

な い 本 も 山 の よ う に あ る 。良 く「 積 ん 読 だ ね 」

と 言 わ れ た も の で あ る 。 大 学 生 の 頃 ま で は そ

れ を と て も 気 に 病 ん で い た が 、 あ る と き 森 毅

京 都 大 学 名 誉 教 授 (当 時 は ま だ 教 養 部 教 授 )が

「 本 は す べ て 読 ま ん で も え え 、1 0 冊 買 っ た ら

全 部 読 む の は 3 冊 ぐ ら い で 良 い 。」( 残 念 な が

ら 正 確 な 冊 数 は 忘 れ て し ま っ た が ) の よ う な

こ と を 話 さ れ て い る の を お 聞 き し 、「 そ う な

ん だ 」 と 妙 に 納 得 し 、 そ れ 以 来 買 う 本 が 増 え

て し ま っ た 。 特 に 最 近 は 大 型 古 書 店 が 増 え 、

値 段 も 手 頃 な の で 買 う 冊 数 に 拍 車 が か か っ て

い る 。 新 書 版 の 本 が 多 い の が せ め て も の 救 い

で は あ る が 、 私 の 研 究 室 は ま る で 棚 卸 し の 古

本 屋 さ ん 状 態 に な っ て い る 。 若 者 の 活 字 離 れ

が 問 題 に さ れ る よ う に な っ て 久 し い が 、 そ れ

に よ る 大 き な 問 題 の 1 つ は 想 像 力 が 養 わ れ な

い こ と で は な い だ ろ う か 。 上 に も 書 い た よ う

に 、文 章 を 読 む と 想 像 力 を 掻 き 立 て ら れ る し 、

逆 に 想 像 力 が な い と 楽 し く 読 め な い 。 是 非 学

生 諸 君 に は 本 学 の 図 書 館 に 出 向 き 、 本 の 中 に

隠 れ て い る も の を 発 見 し て 貰 い た い 。 ま た 、

知 ら な い 学 生 が 多 い よ う だ が 、 こ の 図 書 館 に

無 い 本 は 、 図 書 館 に 本 の 購 入 依 頼 ( 希 望 ) を

出 す こ と が 出 来 る し 、 他 の 大 学 か ら 借 り た り

す る 事 も で き る 。 で は 、 次 の 有 名 な 言 葉 で 締

め く く ろ う 。「 本 を 開 け た 、そ の 瞬 間 が ネ バ ー

エ ン デ ィ ン グ・ス ト ー リ ー( 果 て し な い 物 語 )

の 始 ま り だ 。」

教 員 著 作 寄 贈 図 書 ( 2 0 0 7 年 度 )

【 生 命 工 学 部 】

○ 藤 田 泰 太 郎 教 授

G l o b a l R e g u l a t o r y N e t w o r k s i n B a c i l l u s S u b t i l i s

( T r a n s w o r l d R e s e a r c h N e t w o r k、 2 0 0 7 年 、『 枯

草 菌 の グ ロ ー バ ル な 遺 伝 子 発 現 制 御 ネ ッ ト ワ

ー ク 』 ) 【 4 6 5 . 8 / F】

○ 大 川 秀 郎 教 授

P e s t i c i d e C h e m i s t r y:C r o p P r o t e c t i o n , P u b l i c H e a t h , E n v i r o n m e n t a l S a f e t y

( W e i n h e i m W I L E Y - V C H、 2 0 0 7 年 、 『 農 薬 化 学

-作 物 保 護 、公 衆 衛 生 、環 境 安 全 -』) 【 6 1 5 . 8 7 / O】

ご 恵 贈 い た だ き あ り が と う ご ざ い ま し た 。こ の 場 を 借 り て お 礼 申 し 上 げ ま す 。

図 書 館 で は 、 本 学 教 員 著 作 図 書 を 収 集 し て お り ま す 。 図 書 を 出 版 さ れ た 際 は

是 非 ご 協 力 く だ さ い 。 よ ろ し く お 願 い い た し ま す 。

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福 山大学 図書館 報 第 6 号

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図 書 館 体 験

本 年 も 職 場 体 験 学 習 「 チ ャ レ ン ジ ・ ウ ィ ー ク ふ く や ま 」 が 行 わ れ 、 福 山 大 学 に は 大 成 館 中 学 校

か ら 4 人 の 中 学 生 が 訪 れ ま し た 。初 日 の 8 月 1 8 日 に 附 属 図 書 館 で の 職 場 体 験 を し て も ら い ま し た 。

午 前 中 は そ れ ぞ れ の 部 署 で 作 業 を 体 験 し て も ら い ま し た

午 後 か ら は 蔵 書 点 検 を 体 験 し て も ら い ま し た

職 場 体 験 が 終 わ っ て ( 皆 さ ん お 疲 れ 様 で し た )

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第 6 号 福 山大 学図書 館報

- 6 -

ま ず C i N i i か ら は じ め よ う

電 子 ジ ャ ー ナ ル と 文 献 ・ 情 報 探 索

工 学 部 機 械 シ ス テ ム 工 学 科 教 授 井 上 達 雄

1 . C i N i i( サ イ ニ ィ ) に ア ク セ ス し よ う

先 日 同 僚 が 、 学 術 雑 誌 の 論 文 の コ ピ ー を し て

い た 。 ち ょ っ と 待 っ た 、 そ ん な の は イ ン タ ー ネ

ッ ト で C i N i i に ア ク セ ス す る と 直 ぐ 見 ら れ る 、

と い う と 驚 い た 顔 。 最 も 簡 卖 で 、 お 金 の か か ら

な い C i N i i で も ご 存 じ な い 方 は か な り お ら れ る

こ と を 知 っ て 、 と り あ え ず こ れ を ト ラ イ さ れ る

こ と を お 勧 め し た い 。

図 書 館 の 関 係 各 位 の 懸 命 の ご 尽 力 に も 関 わ

ら ず 、 福 山 大 学 で 探 索 で き る 和 文 ( な い し は 国

内 で 出 版 さ れ る 学 術 誌 ) の 情 報 探 索 デ ー タ ベ ー

ス を ご 存 じ な い 教 員 、 学 生 が か な り お ら れ る の

は 驚 き で あ る 。 自 分 の 研 究 を 進 め て い く と 、 当

然 多 く の 論 文 や 資 料 、 デ ー タ な ど を 調 査 す る 必

要 が あ る 。 昔 は 、 図 書 館 に 行 っ て 、 雑 誌 を 借 り

て き て 、 目 的 と す る 論 文 な ど を 写 真 に と っ て 、

自 分 で 焼 き 付 け て 読 ん だ も の だ が 、 そ の 後 複 写

機 の 進 歩 で コ ピ ー は 楽 に な っ た 。 し か し 、 目 的

と す る 分 野 で ど ん な 論 文 が あ る か 、 ま た 見 付 け

た 論 文 を 入 手 す る 手 間 は 、 冊 子 を め く っ て い て

は 大 変 で あ る 。

後 述 す る よ う に 、 ま だ 多 く の 問 題 は あ る も の

の 、 ま だ ご 存 知 で な い 方 に は と り あ え ず C i N i i

で 探 索 す る こ と か ら 、 情 報 検 索 を ス タ ー ト す る

こ と を 薦 め た い 。 C i N i i と は 、 日 本 の 学 術 論 文

を 中 心 と し た 論 文 情 報 を 収 録 ・ 提 供 す る デ ー タ

ベ ー ス ・ サ ー ビ ス で あ り 、 学 内 の パ ソ コ ン で な

ら 多 く の 文 献 が 無 料 で 閲 覧 、 探 索 、 複 写 が 出 来

る 。サ イ ト ラ イ セ ン ス 個 人 I D を 取 得 す れ ば 自 宅

な ど 大 学 以 外 で も 探 索 す る こ と が で き る 。

具 体 的 に は 、「 附 属 図 書 館 」 か ら 「 C i N i i」 を

ク リ ッ ク す る と 、 下 図 の 画 面 が で る 。

こ れ に 、著 者 名 、論 文 名 を 入 れ て 探 索 す る( 筆

者 の よ う に あ り き た り の 名 前 で は 、 同 姓 同 名 の

方 が お ら れ る か ら 、「 詳 細 探 索 」で 条 件 を つ け た

ほ う が 良 い )。 ち な み に 筆 者 の 名 前 を 入 れ る と 、

雑 誌 に 掲 載 さ れ た 論 文 の ほ か に 、予 稿 集 、著 書 、

随 想 な ど に 至 る ま で 、 た く さ ん 出 て く る 。 か な

り の も の が 、P D F に な っ て 収 め ら れ て い る か ら 、

直 ち に ダ ウ ン ロ ー ド で き て 便 利 で あ る 。

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福 山大学 図書館 報 第 6 号

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2 . 英 文 論 文 な ど

前 述 の C i N i i は 、 日 本 の 各 学 協 会 、 大 学 な ど

の 研 究 機 関 の 紀 要 な ど が 収 め ら れ て い る ( 先 日

の 図 書 委 員 会 で 、 福 山 大 学 の 紀 要 を こ れ に 登 録

す る か ど う か の 議 論 が あ っ た 由 で あ る が 、 ほ と

ん ど の 大 学 が す で に 入 っ て い る 現 在 、 何 を い ま

さ ら と い う の が 筆 者 の 実 感 で あ る )。

し か し 、 英 文 な ど 外 国 語 の 論 文 、 資 料 な ど は

残 念 な が ら 、 無 料 で 入 手 で き る も の は ほ と ん ど

な い 。 C i N i i に は 、 S i e n c e D i r e c t な ど に 入 る

こ と が 出 来 る が 、 か な り の も の は 出 版 社 経 由 に

な っ て い る か ら 、 有 料 で あ る 。 し か し 、 こ れ も

登 録 を し て お く と 、 ク レ ジ ッ ト カ ー ド で 支 払 え

ば 、 5- 6 ペ ー ジ の 論 文 が 3 0 ド ル 前 後 で 直 ち に

入 手 で き る 便 利 さ は あ る 。( 後 日 個 人 研 究 費 で

清 算 で き る 。 ま た 、 無 料 の サ イ ト h t t p : / / w w w .

d a b . h i - h o . n e . j p / c i r r u s / S i t e s / E J o u r n a l s /

F r e e . h t m で 探 索 し て 、見 つ か っ た ら め っ け も の

で あ る 。)急 が な い

と き は 、 図 書 館 経

由 で 文 献 複 写 の 依

頼 が 可 能 で あ る が 、

資 料 は 直 ぐ に 見 た

い の が 普 通 だ か ら

あ り が た い 。

3 . 電 子 ジ ャ ー ナ ル

以 上 の 外 国 語 の 論 文 な ど は 、 ほ と ん ど が 電 子

ジ ャ ー ナ ル に な っ て い る か ら 検 索 が 出 来 る わ け

で あ る が 、 現

在 福 山 大 学 の

図 書 館 で は 、

出 版 社 な ど か

ら 期 限 を 限 っ

た ト ラ イ ア ル

ユ ー ス の お た

め し 版 が い く

つ か 入 っ て い た 。 し か し 、 世 界 に 学 術 雑 誌 が 数

多 く あ り 、 こ れ だ け 専 門 分 化 さ れ て い る 現 在 、

筆 者 が ほ し い デ ー タ は 見 つ か ら な い た め 、 結 局

使 用 で き な い の が 現 実 で あ る 。

某 巨 大 大 学 の 図 書 館 に は 、お よ そ 1 2 , 0 0 0 タ イ

ト ル の 電 子 ジ ャ ー ナ ル が 完 備 さ れ て い る が 、 そ

の た め に は 莫 大 な 経 費( 1 0 億 円 と も い う )を 必

要 と す る 。 一 挙 に そ こ ま で 福 山 大 学 で 整 備 し て

ほ し い と い う の は 無 理 と し て も 、 た と え ば 、 県

内 の 大 学 と 連 携 し て 、 ネ ッ ト ワ ー ク を 構 成 す る

な ど の 方 法 は 取 れ な い も の だ ろ う か 。

福 山 大 学 に お け る 研 究 環 境 の 整 備 の ひ と つ

と し て 、 図 書 館 関 係 各 位 の 一 層 の ご 尽 力 と 、 大

学 当 局 の ご 理 解 を 期 待 し た い 。

生 命 栄 養 科 学 科 の 雑 誌 ・ 図 書 の 紹 介

生 命 工 学 部 生 命 栄 養 科 学 科 岩 本 博 行

み な さ ま ご 承 知 の よ う に 、 生 命 工 学 部 忚 用

生 物 科 学 科 は 平 成 2 0 年 4 月 よ り 新 た に 生 命 栄

養 科 学 科 と し て 再 出 発 し ま し た 。 本 学 科 は 栄

養 士 法( 昭 和 2 2 年 法 律 第 2 4 5 号 )第 5 条 の 3

第 4 号 の 規 程 に よ り 、 文 部 科 学 省 お よ び 厚 生

労 働 省 か ら 指 定 を 受 け た 広 島 県 東 部 で 唯 一 の

管 理 栄 養 士 養 成 施 設 で す 。 ま た 管 理 栄 養 士 養

成 施 設 が 生 命 工 学 部 に 設 置 さ れ た の は 日 本 初

と な り ま す 。 今 回 本 学 科 が 管 理 栄 養 士 養 成 施

設 と し て 指 定 を 受 け る に あ た り 、 実 地 検 査 に

必 要 な 学 術 雑 誌 や 関 連 図 書 を ま と め て 購 入 し

ま し た の で 、 こ れ ら に つ い て 紹 介 し た い と 思

い ま す 。

ま ず 管 理 栄 養 士 養 成 施 設 の 指 定 基 準 に つ い

て 簡 卖 に 説 明 し ま す 。 図 書 ・ 雑 誌 と し て は 、

「 図 書 室 を 有 す る と と も に 、 教 育 内 容 ( 基 礎

教 育 科 目 を 除 く ) に 関 す る 5 千 冊 以 上 の 図 書

及 び 2 0 種 類 以 上 の 学 術 雑 誌 が 備 え ら れ て い

る こ と 」 と さ れ て い ま す 。 当 初 、 本 学 図 書 館

の 規 模 か ら 考 え て 簡 卖 に ク リ ア で き る と 考 え

て お り ま し た が 、「 教 育 内 容( 基 礎 教 育 科 目 を

除 く ) に 関 す る 」 と い う 部 分 を ど う 解 釈 す る

か で 、 ハ ー ド ル は 高 く な り ま す 。 管 理 栄 養 士

養 成 施 設 に お け る 教 育 内 容 は 厚 生 労 働 省 が 定

め る ガ イ ド ラ イ ン に 詳 細 に 定 め ら れ て お り 、

専 門 基 礎 分 野 と し て は 、「 社 会・環 境 と 健 康 」、

「 人 体 の 構 造 と 機 能 、 疾 病 の 成 り 立 ち 」、「 食

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第 6 号 福 山大 学図書 館報

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べ 物 と 健 康 」か ら 成 り ま す 。一 方 専 門 分 野 は 、

「 基 礎 栄 養 学 」、「 忚 用 栄 養 学 」、「 栄 養 教 育

論 」、「 臨 床 栄 養 学 」、「 公 衆 栄 養 学 」、「 給 食 経

営 管 理 論 」 と い う 構 成 に な っ て い ま す 。 こ れ

ら す べ て の 分 野 に わ た っ て バ ラ ン ス よ く 図 書

と 雑 誌 が 備 え ら れ て い る

こ と が 望 ま し い と い え ま

す 。 本 学 に は 薬 学 部 や 生

命 工 学 部 が 設 置 さ れ て い

ま す の で 、「 人 体 の 構 造 と 機 能 」、「 疾 病 の 成

り 立 ち 」、「 社 会 ・ 環 境 と 健 康 」 分 野 の 図 書 や

学 術 雑 誌 は よ く 揃 っ て い る の に 対 し て 、「 忚

用 栄 養 学 」、「 栄 養 教 育 論 」、「 臨 床 栄 養 学 」、

「 公 衆 栄 養 学 」、「 給 食 経 営 管 理 論 」 分 野 は 手

薄 で し た 。 そ こ で こ れ ら の 分 野 の 図 書 と 学 術

雑 誌 の 整 備 を は か る 事 に し ま し た 。

で は 雑 誌 の 紹 介 か ら 始 め ま す 。ま ず「 社 会 ・

環 境 と 健 康 」 分 野 に つ い て は 、 こ れ に 該 当 す

る 雑 誌 が す で に 図 書 館 で 何 誌 か 購 読 さ れ て い

ま す 。 次 の 「 人 体 の 構 造 と 機 能 」 は 、 薬 学 部

と 生 命 工 学 部 を 抱 え て い ま す の で 、 す で に 該

当 す る 多 く の 専 門 雑 誌 が 購 読 さ れ て い ま す 。

気 軽 に 読 め る 雑 誌 と し て 『 か ら だ の 科 学 』 を

加 え ま し た 。『 食 べ 物 と 健 康 』は 、工 学 部 食 品

工 学 科 時 代 に 購 読 し て い て 、 諸 事 情 で 購 読 中

止 に な っ た い く つ か の 雑 誌 を 復 活 さ せ ま し た 。

例 え ば 、 ” C e r e a l C h e m i s t r y ”、 ” S t a r c h ”、

” J o u r n a l o f S c i e n c e o f F o o d a n d

A g r i c u l t u r e ” 、 ” J o u r n a l o f F o o d S c i e n c e ”

な ど で す 。

専 門 分 野 に 入 っ て 「 基 礎 栄 養 学 」 で

は ” B r i t i s h J o u r n a l o f N u t r i t i o n ”

や ” J o u r n a l o f N u t r i t i o n a l S c i e n c e a n d

V i t a m i n o l o g y ”な ど を 新 た に 加 え ま し た 。次 の

「 忚 用 栄 養 学 」 と は 、 妊 娠 や 成 長 、 発 達 、 加

齢 な ど に 伴 う 栄 養 状 態 等 の 変 化 、 栄 養 ア セ ス

メ ン ト 、 ラ イ フ ス テ ー ジ 別 病 態 ・ 疾 病 、 栄 養

ケ ア 計 画 、 生 活 活 動 強 度 別 栄 養 状 態 の 評 価 ・

判 定 、ス ト レ ス 、

生 体 リ ズ ム 、 特

殊 環 境 下 に お け

る 身 体 状 況 な ど

を カ バ ー す る 分

野 で す 。 雑 誌 と

し て は ” I n t e r n a t i o n a l J o u r n a l o f S p o r t

N u t r i t i o n a n d E x e r c i s e M e t a b o l i s m ”( ス ポ

ー ツ 栄 養 ) や 『 栄 養 評 価 と 治 療 』 ほ か の 雑

誌 が あ り ま す 。「 栄 養 教 育 論 」は 現 在 注 目 度 が

高 い 「 食 育 」 を 含 む 分 野 で す 。 雑 誌 と し て は

「 食 育 活 動 」 や ” J o u r n a l o f N u t r i t i o n a l

E d u c a t i o n a n d B e h a v i o r ” な ど が あ り ま す 。

「 臨 床 栄 養 学 」 と し て は 、 ” C l i n i c a l

N u t r i t i o n ”や「 臨 床 栄 養 」な ど で す 。次 に「 公

衆 栄 養 学 」と は 、集 団 の 健 康 を 維 持・増 進 し 、

疾 病 予 防 を 図 る 「 公 衆 衛 生 学 」 の う ち 、 栄 養

が 関 わ る 分 野 を 担 当 し ま す ( 例 え ば 生 活 習 慣

を 改 善 し 、 生 活 習 慣 病 発 症 を 誘 発 す る リ ス ク

フ ァ ク タ ー の 発 生 を 抑 え る な ど )。 雑 誌 と し

て は ” A m e r i c a n J o u r n a l o f E p i d e m i o l o g y ”

や ” E p i d e m i o l o g i c R e v i e w ”な ど 疫 学 系 の 雑 誌

が 該 当 し ま す 。「 給 食 経 営 管 理 論 」は 学 術 雑 誌

が 尐 な く 、『 学 校 給 食 』な ど の 雑 誌 が あ り ま す 。

ど う や ら 図 書 に つ い て 紹 介 す る 前 に 紙 面 が

尽 き て し ま い ま し た 。

図 書 に つ い て は 直 接 図

書 館 に お こ し に な り 、

ご 自 分 の 目 で お 確 か め

下 さ い 。 身 近 な 本 が た

く さ ん 揃 っ て い ま す 。

「 本 」 と の 出 会 い 薬 学 部 教 授 宇 野 勝 次

私 の 読 書 は 、 理 系 で よ く 見 ら れ る タ イ プ で 、

多 読 型 で は な く 熟 読 型 で あ る た め 、 今 迄 に 読 ん

だ 本 は そ れ 程 多 く は な い が 、 高 校 時 代 以 降 読 ん

だ 本 は 何 か し ら の 記 憶 は 残 っ て い る 。 学 校 の 授

業 関 係 や 仕 事 関 係 の 専 門 書 の よ う な 、 あ る 意 味

義 務 的 な 読 書 は 別 と し て 、 読 む 本 の 選 択 は 各 個

人 の そ の 時 々 の 心 的 欲 求 や 知 的 欲 求 に よ っ て 導

か れ て い る よ う で あ る 。 私 は 高 校 3 年 の 夏 、 受

験 勉 強 の 最 中 に 長 編 小 説 の サ マ セ ッ ト ・ モ ー ム

の 『 人 間 の 絆 』 に 吸 い 込 ま れ る よ う に 読 み ふ け

っ た 思 い 出 が あ る 。 こ の 本 の 原 題 は “ O f H u m a n

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福 山大学 図書館 報 第 6 号

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B o n d a g e” で 、 b o n d a g e を 直 訳 す る と 「 奴 隷 の 身

分 、 囚 わ れ の 身 、 束 縛 、 屈 従 」 と 言 っ た ネ ガ テ

ィ ブ な 意 味 で あ る 。 し か し 、 こ の 本 を 読 め ば 、

題 名 を 『 人 間 の 絆 』 と 付 け た 訳 者 が こ の 本 の 深

い テ ー マ を 適 切 に 表 現 し て い る こ と に 気 付 く だ

ろ う 。 歴 史 小 説 は 別 と し て 、 日 本 に は こ の よ う

な 人 間 の 半 生 を 描 い た 長 編 小 説 は ほ と ん ど な い

が 、 日 本 人 は 論 理 的 で な い た め 長 編 小 説 は 書 け

な い と 言 わ れ て い る 。 い ず れ に し て 、 私 は こ の

本 と 出 合 う こ と で 「 愛 」 と か 「 人 生 」 と か 「 ヒ

ュ ー マ ニ ズ ム 」 と 言 う も の を 考 え る よ う に な っ

た と 思 う 。

大 学 生 に な っ て 、 当 時 の 学 生 の 類 に 漏 れ な く

私 も 学 生 運 動 に 入 り 込 ん で 行 っ た が 、 当 時 バ イ

ブ ル 的 作 家 だ っ た 高 橋 和 己 や ベ ス ト セ ラ ー 作 家

だ っ た 安 部 公 房 や 大 江 健 三 郎 の 本 は よ く 読 ん だ 。

特 に 、 大 江 健 三 郎 の 当 時 出 版 さ れ た 本 は ほ と ん

ど 読 ん だ と 思 う 。 大 江 健 三 郎 の 本 の 中 で 最 も 私

が 感 動 し た の は 、『 万 延 元 年 の フ ッ ト ボ ー ル 』で

あ る 。 大 江 健 三 郎 の 本 は 全 般 的 に 冒 頭 が 観 念 的

で 状 況 が 進 展 し な い の で 読 み づ ら い が 、 物 語 の

骨 子 が 定 ま っ て 来 る と 、 ぐ い ぐ い と 読 者 を 引 き

ず り 込 ん で 行 く 力 が あ る 。 丁 度 、 ス ト レ ス で 押

さ え 付 け ら れ て い た 脳 が 解 放 さ れ る か の よ う に 、

知 的 欲 求 を 満 た し て く れ る 。大 江 健 三 郎 は 、「 青

年 」、「 政 治 」、「 戦 争 」、「 歴 史 」、「 生 命 の 価 値 」、

「 救 済 」、「 家 族 」 な ど 多 く の テ ー マ を 投 げ か け

て く れ た 。 一 方 、 こ の 頃 に 私 は 評 論 も よ く 読 ん

だ 。 当 時 、 評 論 家 と し て 吉 本 隆 明 と 江 藤 淳 が 人

気 作 家 だ っ た と 思 う が 、 私 は 文 芸 評 論 家 の 江 藤

淳 の 方 が 好 き だ っ た 。江 藤 淳 の 評 論 書 の 中 で も 、

『 成 熟 と 喪 失 ― “ 母 ” の 崩 壊 ― 』 と 『 崩 壊 か

ら の 創 造 』 は 特 に 私 の 脳 を 刺 激 し た 。 江 藤 淳 の

鋭 い ナ イ フ で 切 っ た よ う な 評 論 を 読 む こ と で 、

「 母 」、「 父 」、「 成 熟 」、「 喪 失 」、「 無 常 」、「 崩

壊 」、「 創 造 」、「 危 機 」、「 自 己 発 見 」 な ど 、 や は

り 多 く の こ と を 認 識 す る こ と が で き た 。

社 会 人 に な っ て 中 年 な る と 、 私 小 説 が 読 め な

く な っ た 。 そ の 代 わ り 、 歴 史 小 説 を 読 む よ う に

な っ た 。 歴 史 小 説 の 中 で 、 最 も 夢 中 に な っ た の

は 多 く の 人 々 に 読 ま れ て い た 吉 川 英 治 の 『 三 国

志 』 で あ る 。 こ れ も 長 編 小 説 で あ る が 、 非 常 に

読 み や す く 、 ま る で ド ラ マ を 見 て い る よ う に 小

説 の 中 に 入 っ て 行 き 、 私 と し て は 短 期 間 で 読 ん

だ と 思 う 。 こ の 本 自 体 は 史 実 と 大 分 違 う ら し い

が 、 何 よ り も 小 説 の ス ケ ー ル の 大 き さ に 感 動 し

た 。史 実 に 基 づ い た 歴 史 小 説 で 面 白 か っ た の は 、

司 馬 遼 太 郎 の 『 項 羽 と 劉 邦 』 で あ る 。 し か し 、

諸 葛 亮 孔 明 に し て も 項 羽 に し て も 歴 史 上 の 英 雄

は 、 最 期 が 悲 し く 、 儚 い 。 ま た 、 一 方 で ノ ス タ

ル ジ ア も 感 じ る 。 歴 史 小 説 は 、 人 生 の 半 ば を 過

ぎ て 、階 段 を 下 り 始 め て い る 自 分 を 悟 る た め に 、

あ る い は 慰 め る た め に 必 要 な 本 で あ っ た の か も

知 れ な い 。

最 近 で は 、わ ず か な が ら 評 論 は 読 ん で い る が 、

も っ ぱ ら 専 門 書 や 文 献 と 言 っ た 、 い わ ゆ る 義 務

的 な 読 書 し か し て い な い 。 忙 し さ も 理 由 の 一 つ

に 挙 げ ら れ る が 、 高 校 3 年 の 夏 の よ う な 激 し い

心 的 欲 求 が 無 く な っ て い る こ と も 事 実 で あ る 。

加 齢 と 伴 に 体 力 だ け で な く 、 知 的 欲 求 も 減 尐 し

て い る の か も 知 れ な い 。 し か し 、 人 生 の 時 々 に

一 冊 の 本 と の 出 会 い は 、 自 分 を 見 つ め 、 新 し い

自 分 を 見 出 す こ と が で き る 大 切

な 瞬 間 で あ る 。 そ の 意 味 で 、 本

は 貴 重 で あ り 、 読 書 の 終 わ り は

人 生 の「 知 」の 終 焉 を 意 味 す る 。

古 代 メ ソ ポ タ ミ ア で 文 字 が 発 明

さ れ た の は 周 知 の 通 り で あ る が 、 図 書 館 の 歴 史

は 文 字 の 歴 史 と 重 な る と 言 わ れ て お り 、 文 字 を

用 い る 人 類 と っ て 図 書 館 は 必 要 不 可 欠 な も の で

あ っ た と 言 え る 。 近 年 、 イ ン タ ー ネ ッ ト の 普 及

に よ り 、 電 子 資 料 や 電 子 出 版 物 が 見 ら れ る よ う

に な り 、 図 書 館 も 紙 媒 体 か ら 電 子 媒 体 に 様 変 わ

り し 始 め て い る 。 し か し 、 い つ の 時 代 で も 図 書

館 は 「 知 」 の 集 積 場 所 で あ る こ と に は 変 わ り が

な い 。 私 自 身 、 何 と か 知 的 欲 求 を 鼓 舞 し て 、 今

後 も 図 書 館 を 利 用 し て 「 知 」 の 継 続 を 図 っ て 行

き た い と 思 う 。

図 書 館 所 蔵 情 報

W . S o m e r s e t M a u g h a m, O f H u m a n B o n d a g e ( M a n d a r i n 、 1 9 9 0 年 )【 9 3 3 . 7 / M】

サ マ セ ッ ト ・モ ー ム 『 人 間 の 絆 (上 ・下 )』 (中 野 好 夫

訳 、新 潮 社 、 2 0 0 7 年 )【 S 0 8 / 1 9 5~ 1 9 6】

が あ り ま す 。

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第 6 号 福 山大 学図書 館報

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千 体 地 蔵 は 、 説 明 板 に 次 の よ う に 紹 介 さ れ

て い ま す 。「 千 体 地 蔵 は 、流 紋 岩 の 柱 状 節 理 が

異 常 に 発 達 し 、 そ の 先 端 が 長 年 の 風 化 に よ っ

て 地 蔵 さ ま の 頭 の よ う に な り そ こ に 板 状 の 粘

質 層 が 何 枚 も は さ ま り 、 あ た か も 帽 子 や よ だ

れ か け 、 台 座 の ご と き 形 状 に み え ま す 。 全 国

で も 例 の な い 自 然 が 造 っ た 芸 術 ・ 奇 跡 の 地 蔵

群 で す 。」

千 体 地 蔵 の 前 の 2 本 の 松 は 、 土 地 の 人 達 が

塩 焼 き 用 の 薪 を 取 り に 山 へ 入 り 、 薪 を 背 に し

て 地 蔵 さ ま を 拝 ん で 下 山 す る 様 を 見 て い た は

ず で す 。 し か も 、 2 本 の 松 は 、 千 体 地 蔵 を 守

り 、 自 然 と 人 間 が 一 体 と な ら な け れ ば 、 人 間

は 生 活 で き な い こ と を 、 地 蔵 と 一 体 と な っ て

わ れ わ れ に 語 っ て く れ て い る よ う な 気 が し ま

す 。

( K)

平 成 2 1 年 1 月 3 0 日 発 行

編 集 ・ 発 行 福 山 大 学 附 属 図 書 館

〒 7 2 9 - 0 2 9 2 広 島 県 福 山 市 学 園 町 1 番 地 三 蔵

h t t p : / / l i b a x p . f u l i b . f u k u y a m a - u . a c . j p /

印 刷

能 登 輪 島 、 曽 々 木 の 千 体 地 蔵