ビヨンド。 beyond blockchain one (bbc-1) · ⇒...
TRANSCRIPT
ビヨンド。
Beyond Blockchain One (BBc-1)An Architecture for Promise Fixation Device in the Air
ビヨンドブロックチェーン株式会社CEO /慶應義塾大学 SFC研究所上席所員斉藤賢爾
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.1/27
簡単な自己紹介斉藤賢爾 (さいとうけんじ)
慶應義塾大学 SFC研究所上席所員 (村井純研究室)
株式会社ブロックチェーンハブ CSO (Chief Science Officer)
ビヨンドブロックチェーン株式会社 CEO
一般社団法人アカデミーキャンプ代表理事
経歴1993年、コーネル大学より M.Eng取得 (コンピュータサイエンス)
2006年、慶應義塾大学よりデジタル通貨研究で博士号取得 (政策・メディア)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科や SFC研究所にて 16年以上にわたりP2Pおよびデジタル通貨等の研究に従事2011年夏より福島のこどもたちのための「アカデミーキャンプ」を実施
→ 私の頭の中ではつながっています (これからの社会のデザインは?)
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.2/27
サイエンスフィクション・プロトタイピング『WIRED vol.25 The Power of Blockchain
ブロックチェーンは世界を変える』(2016)
『ああ、素晴らしき分散 :
ブロックチェーンな近未来 5つの遠景』編集部がインタビューの内容をもとに構成
その中に出てくる「Family」の話結婚したい。その気持ちに気づいたあなたはパートナーといっしょに空中に誓いの言葉(コントラクト)を刻む「もしぼくと一緒にいたくなくなったら、このコントラクトは壊してくれても構わない。あなたにしか使えない鍵をつかって」
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.3/27
SFCの学生のコメント鍵をなくしたので一生結婚し続けるしかないという結末になっても面白そう
⇒それマジでヤバイ!
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.4/27
いろいろヤバイ現在のブロックチェーン技術
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.5/27
ブロックチェーン/DLT(Distributed Ledger Technology) を理解する
ブロックチェーン《の・ようなもの》は、インターネットの End-to-Endの哲学を、アセット (資産)の制御において現実化する (ことを試みる)「空中約束固定装置」
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.6/27
正当性の保証過去のトランザクションに照らして矛盾がなく、正当なユーザによりコミットされていることを保証する
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.7/27
再掲鍵をなくしたので一生結婚し続けるしかないという結末になっても面白そう
⇒それマジでヤバイ!鍵ペアのリプレース機能は、やっぱり必須あとプライベートな約束がみんなから見られても嫌だよね
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.8/27
存在の証明過去のトランザクションの証拠を消せず、過去になかったトランザクションの証拠を捏造できない
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.9/27
ハッシュレートの推移 (2014.2-2016.1)
「急にハッシュレートが 2 倍」はある意味危険のサインなのに指数関数的上昇なんてヤバイそうせざるを得ないのも分かるから、なおさらヤバイ
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.10/27
唯一性の合意矛盾するふたつのトランザクションがコミットされない
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.11/27
現実 vs. ブロックチェーン思考実験ビットコインで支払うと、上空を飛ぶドローンが運んできた缶ジュースを落としてくれるというサービスを作るとする
ドローンはいつ缶ジュースを落とせばよいのか?
実時間で進行する現実と、ブロックチェーンの動作はかけ離れているしかし、リスクをとれる主体はビジネス上の判断として支払いを検出した瞬間に缶ジュースを落とせる
⇒ 缶ジュース 1本売るのにリスクを覚悟なんてヤバイ
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.12/27
ガバナンス適切にスケールする新しい技術を試験してアップデートできる不当な理由で運用が停止しない、等々
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.13/27
ワンネスの罠
⇒ スケールアウトできないのもヤバイし、更には SegWitみたいなハックさえなかなかデプロイできないなんて超ヤバイ
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.14/27
ありがちなパターン (不幸)
耐障害性 (by 冗長化) のための技術 (since 1984) (権限の分散は関係ない) (スケールしない)
同じイベント列を受け取る状態マシンは同じ状態になるという前提 (決定的)
イベントの順序に合意する必要がある . . .デジャヴ? (いわゆる「商用ブロックチェーン」の構成に酷似)
⇒ 昭和からある枯れた技術をさも新しいものかのように言うのがヤバイ Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.15/27
本来、狙うべきパターン (破壊)
エンド (端っこ)が制御 (コントロール)をもつための技術 (権限の分散) (スケールしうる)
制御されるものが一貫性をもって存在するというイリュージョンを維持そのために耐障害性 (by 冗長化) が必要になる
⇒ なかなか伝わらなくてヤバイ Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.16/27
インセンティブ不整合性イーサリアムは、通貨としての Etherが暴落・衰退するとアプリケーション基盤として存続できない
Etherを得るというマイナーたちのモチベーションにより支えられているEtherの価値が損なわれるとマイナーたちが撤退する
素のビットコインの設計は目的整合的だが、. . .
すなわち「BTCが衰退するとビットコインが存続できない」ならよいが、Everledger, Factomなどの証明応用や、OAPなどでその他の応用が進むと同様な問題が顕在化
⇒ アプリと関係ないところから強制ディスコンなんて激ヤバイ
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.17/27
ビヨンドブロックチェーン現状のブロックチェーン技術がいろいろヤバすぎる、とお嘆きのあなたに
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.18/27
プラットフォームに対する現状の認識オープンパブリック・ブロックチェーンの課題ネイティブ通貨の死とともに死ぬまともなアプリケーション基盤ではない通貨システムだったり実験システムだったり
イーサリアムのエンタープライズ化に向けた懸念維持コスト非効率性↔トラストの軽視スマートコントラクトのライフサイクル問題
⇒ 解決されると、新たに学ばなければならない別システムになる恐れハイパーレッジャーの各プロジェクトについても同上
プラットフォーム設計・開発に労力を振り向ける余地は未だかなりある必要だし無駄にならない
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.19/27
必要とされる開発項目デジタル通貨基盤時間等の外部変数の関数による増減価機構を備える
デジタルアセット基盤任意の記録を存在証明し更新する機構を備える
分散レッジャー &分散ストレージ基盤パブリックかつオープン乗り換え可能なモジュールとしての抽象化
いずれもオープンソースで開発する必要性十分なトラストが得られなければ使われない継続性の担保
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.20/27
開発会社の設立ビヨンドブロックチェーン株式会社 (略称 : BBc)
代表取締役 CEO :斉藤賢爾2017年 2月 1日設立ベネフィットコーポレーション指向個別開発案件もできるだけ ↓の公益基盤を開発・応用する方向に振り向けていく
ビヨンドブロックチェーン・コンソーシアムオープンソースでの開発プロジェクトを推進する会員企業や個人による開発リソースの提供・協働知見の早期共有と応用のインキュベーション
ビヨンドブロックチェーン株式会社が事務局まもなく会員企業や個人会員を募集開始
SFC研究所のコンソーシアム (社会課題解決)とも連携
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.21/27
開発の概要
BBc-1 → 2017 年 10 月頃オープンソース化を目標これはマーケティング的な説明で、実際には最初から BBc-2相当をヤル気満満
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.22/27
Architectural Suggestions
Uniqueness
Debt-based management that avoids the Tragedy of of the Commons(e.g. i-WAT)
Proof of Existence
Signature graph of transactions (possibly with trusted timestamp providers)
(e.g. Tangle / proposal by Prof. Iwamura)
Validity
UTXO with separation of identities and public keys(e.g. My proposal at the 1st FinTech Forum of Bank of Japan)
Over distributed KVS, to make a public infrastructure
Possibly with locality-based location and routing
Possibly with tit-for-tat, without native tokens / currencies
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.23/27
鍵ペアの更新を可能にし、かつ自律的な識別子生成
宛てられた人は対応づけを更新する TXを投入できるPKIは要らない代わりに何が必要でしょうか
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.24/27
クロス署名と時刻の扱い
ハッシュチェーンではなく TXが他の TXに署名する Signature DAGで存在証明を行うTangle(IOTA)でも採られている手法だが、ヒステリシス署名や履歴交差に源流がある
タイムスタンプサービスは周期的に Timer TXを投入するユーザは、サービスに自身の TXへの署名を要求できる
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.25/27
レッジャーサブシステム分散KVS
トランザクション検索で返りうるデータトランザクション本体署名セクション本トランザクションにクロス署名しているトランザクション群必要なレベルの存在証明が得られるまで iterativeに適用
本トランザクションを含むマークル部分木とブロックチェーンロケータ
トランザクション候補に対し必要な署名を返しうる識別子へのメッセージングアセット =誰かの負債と考え、二重消費を避けたい動機をもつ債務者とのマルチシグでアセットを移転する
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.26/27
まとめ現状のブロックチェーン技術には多くの課題がありますハイパーレッジャー等にも課題があり、決め手は未だありません
⇒ プラットフォーム設計・開発に労力を振り向ける余地は未だかなりあります
オープンソース開発で BBc-1を始動します複数の実証実験システムと同時進行でプレオープン開発中アプリケーションからの要求を吸収しています
興味のある人はぜひ一緒に!
Beyond Blockchain One (BBc-1) — 2017-06-10 – p.27/27