モルモット肺静脈心筋細胞の形態およびca transient...ca2+ spark は...

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Ca 2+ spark 細胞全体で発生した Ca 2+ spark の急激な増加から Ca 2+ transient が起きた 心室筋細胞は細胞全体で 蛍光強度が同時に上昇 背景 心筋細胞膜の活動電位が引き金となっ て筋収縮に至る過程には、細胞外から細 胞膜を通って流入するカルシウムイオン (Ca 2+ )や、筋小胞体(SR)から放出される Ca 2+ が重要な役割を果たしている。 しかしCa 2+ 濃度の上昇と活動電位発生の 関係性は未知な点も残されている。 高速かつ高解像度の共焦点レーザー顕 微鏡はCa 2+ 濃度の上昇と活動電位発生 の前後関係などを詳細に追うことが出来 る。そこで、T管構造を有している心室筋 細胞、T管構造を有していない心房筋細胞 、不整脈との関係が注目されている肺静 脈心筋細胞のCa 2+ 動態を観察した。 薬物学教室 大森瑶乃 モルモット肺静脈心筋細胞の形態およびCa + transientの観察: 心房および心室筋細胞との比較 目的 高速スキャン型共焦点レーザー顕微鏡を用いてCa 2+ transient Ca 2+ spark の時空間パターンを分析し、肺静脈心筋のCa 2+ transient 発生における細胞内Ca 2+ の役割を検討する。 結果:定頻度刺激によるCa 2+ transient の誘発 総括 〈心筋細胞の単離〉ランゲンドルフ灌流心を作成し、冠動脈よりcollagenaseおよびproteaseを灌流し、単離心筋細胞を調整した。 Ca 2+ 蛍光イメージング〉単離心筋細胞にfluo-4(5 μM)を導入し、共焦点レーザー顕微鏡(A1R)を用いて画像を取得した。 ・T管を有する心室筋細胞において、Ca 2+ transient は細胞質全体で蛍 光強度が同時に上昇した ・T管を欠く心房筋細胞や肺静脈心筋細胞において、Ca 2+ transient 細胞膜直下から中心部へ向かってwave状の伝播が見られた ・肺静脈心筋細胞の自発的Ca 2+ transient Ca 2+ sparkの発火頻度増 加を伴ったことから、Ca 2+ spark は肺静脈心筋細胞の自発的 Ca 2+ transient の発生に原因的に関与していると考えられる 実験方法 矢印はスパーク を示す 心房筋細胞・肺静脈心筋細胞は 細胞膜からの距離に応じて蛍光強度が遅れて上昇 細胞膜 1:膜直下 2:その中間 3:中心 参考 Ventricle Ca 2+ transient 活動電位発生時の細胞質全体での Ca 2+ 濃度上昇 Ca 2+ spark 細胞質内の局所的なCa 2+ 濃度上昇 Ca 2+ wave 細胞質内を局所的なCa 2+ 濃度上昇が伝播 Pulmonary Vein 矢印はspark を示す Ca 2+ transient の間にCa 2+ spark が観察された sarcolemma 細胞膜 細胞膜 DIC DIC DIC SR SR SR ○:1△:2✕:3□:4◇:5同じ場所で何回sparkが起こったか SR SR SR 閾値に達すると 活動電位が発生 緩徐脱分極 Na + /Ca 2+ 交換機構 NCXSR Ca 2+ Ca 2+ 放出チャネル 3Na + 肺静脈心筋細胞 結果:肺静脈心筋細胞での自発的oscillation

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Page 1: モルモット肺静脈心筋細胞の形態およびCa transient...Ca2+ spark は 細胞全体で発生した Ca 2+ spark の急激な増加から Ca 2+ transient が起きた 心室筋細胞は細胞全体で

Ca2+ spark は細胞全体で発生した

Ca2+ spark の急激な増加からCa2+ transient が起きた

心室筋細胞は細胞全体で蛍光強度が同時に上昇

背景

心筋細胞膜の活動電位が引き金となっ

て筋収縮に至る過程には、細胞外から細

胞膜を通って流入するカルシウムイオン

(Ca2+)や、筋小胞体(SR)から放出される

Ca2+が重要な役割を果たしている。

しかしCa2+濃度の上昇と活動電位発生の

関係性は未知な点も残されている。

高速かつ高解像度の共焦点レーザー顕

微鏡はCa2+濃度の上昇と活動電位発生

の前後関係などを詳細に追うことが出来

る。そこで、T管構造を有している心室筋

細胞、T管構造を有していない心房筋細胞

、不整脈との関係が注目されている肺静

脈心筋細胞のCa2+動態を観察した。

薬物学教室 大森瑶乃

モルモット肺静脈心筋細胞の形態およびCa2+ transientの観察:

心房および心室筋細胞との比較

目的

高速スキャン型共焦点レーザー顕微鏡を用いてCa2+ transient やCa2+ spark の時空間パターンを分析し、肺静脈心筋のCa2+ transient 発生における細胞内Ca2+の役割を検討する。

結果:定頻度刺激によるCa2+ transient の誘発

総括

〈心筋細胞の単離〉ランゲンドルフ灌流心を作成し、冠動脈よりcollagenaseおよびproteaseを灌流し、単離心筋細胞を調整した。〈Ca2+ 蛍光イメージング〉単離心筋細胞にfluo-4(5 μM)を導入し、共焦点レーザー顕微鏡(A1R)を用いて画像を取得した。

・T管を有する心室筋細胞において、Ca2+ transient は細胞質全体で蛍光強度が同時に上昇した

・T管を欠く心房筋細胞や肺静脈心筋細胞において、Ca2+ transient は細胞膜直下から中心部へ向かってwave状の伝播が見られた

・肺静脈心筋細胞の自発的Ca2+ transient はCa2+ sparkの発火頻度増加を伴ったことから、Ca2+ spark は肺静脈心筋細胞の自発的Ca2+ transient の発生に原因的に関与していると考えられる

実験方法

※矢印はスパークを示す

心房筋細胞・肺静脈心筋細胞は細胞膜からの距離に応じて蛍光強度が遅れて上昇

細胞膜

1:膜直下2:その中間3:中心

参考Ventricle

Ca2+ transient活動電位発生時の細胞質全体でのCa2+濃度上昇

Ca2+ spark細胞質内の局所的なCa2+濃度上昇

Ca2+ wave細胞質内を局所的なCa2+濃度上昇が伝播

Pulmonary Vein

※矢印はspark を示す

Ca2+ transient の間にCa2+ spark が観察された

sarcolemma

細胞膜

細胞膜

DIC

DIC

DIC

SR

SR

SR

○:1回△:2回✕:3回□:4回◇:5回

※同じ場所で何回sparkが起こったか

SR SR

SR

閾値に達すると活動電位が発生

緩徐脱分極

Na+/Ca2+交換機構(NCX)

SRCa2+

Ca2+放出チャネル

3Na+

肺静脈心筋細胞

結果:肺静脈心筋細胞での自発的oscillation