ビジネス価値を最大化する enterprise data...

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ビジネス価値を最大化する Enterprise Data Warehouse 経営管理の視点と情報統合 昨今の外部環境の急速な変化に対応す るため、企業経営にはさらなるスピード と柔軟性が求められています(図1)。経 営目標を達成するための IT 投資も、従 来のコスト削減を目的とした「守りの投 資」から、収益拡大やROIの向上を目的 とした「攻めの投資」へと大きくシフトし つつあります。 企業の持続的成長を支援する経営管理 を実現するには、短期的かつ中長期的 視点でビジネスのロードマップを展望し、 戦略と戦術に合致するPDCA サイクル を回します。その際、全社の業務活動 で生まれる情報をもとに業績指標と活 動結果を関連付けてモニタリングし、目 標達成の度合いに応じた適切な意思決 定と迅速なアクションを実施することが 重要です。 また、発見された問題点を分析し解決 策を立案するには、仮説検証を支援す る高度で詳細なデータ分析が不可欠で す。意思決定に有効な情報は、一貫性 があり、詳細な粒度を持ち、最適なタイ ミングで提供されなければなりません。 さらに、経営管理においては企業の経 営戦略や事業計画の変更に伴い、組織 や業務プロセス、製品カテゴリーなどが 変更されます。このような変更があって も、詳 細な明 細データを基 礎とした経 営情報を提供できれば、無駄な投資や オペレーションの変更をせずに済みます。 逆に、サマリーデータを用いた経営情報 では、これらの変更に対応するのは困 難です。新たな体系に合わせた指標デー タの収集と再集計が必要になり、前年 対比や原因分析に膨大な手間と時間を 要してしまいます。 業務改革の視点と情報統合 企業の活動を支える業務プロセスでは、 次のような対応を念頭に置く必要があ ります。 まず、各業務プロセスで必要な情報を統 合し、可視化することが必要です。これは、 需要を予測しながら各工程のリードタイ ムを最適化するような、全プロセスに渡る 計画的なオペレーションを行うためです。 異常値や問題点をすみやかに把握する 仕組みを構築しておけば、損失ロスを最 小限に抑えながら、計画に沿ったオペ レーションを遂行できます。 さらに、プロセス全 体を通じた顧 客 価 値創造の取り組みが求められます。具 体的には、製品・サービスの企画からサ ポートに至るすべての業務プロセスを顧 客視点に立った活動に変えていきます。 顧客の行動や嗜好の変化に対応するた めに、すべての業務プロセスに渡って一 元化された顧客情報を整備していきます。 企業戦略を遂行するための鍵は情報活用にあります。外部環境の変化に迅速に対応し、企業内部の経営管理 や業務改革を適切に進めるためには、一貫性、迅速な提供、明細管理、変化・成長への対応の4点を踏まえた 情報の有効活用が必要になります。Enterprise Data Warehouse(EDW)がこれに応えます。 EDWを活用して適切な意思決定を迅速に下し、競争優位を確立する 図1. 経営戦略遂行のために要求される「統合情報」の位置付け

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Page 1: ビジネス価値を最大化する Enterprise Data …jpn.teradata.jp/.../TDMK-3061_EnterpriseDataWarehouse.pdfビジネス価値を最大化する Enterprise Data Warehouse 経営管理の視点と情報統合

ビジネス価値を最大化する Enterprise Data Warehouse

経営管理の視点と情報統合 昨今の外部環境の急速な変化に対応す

るため、企業経営にはさらなるスピード

と柔軟性が求められています(図1)。経

営目標を達成するためのIT投資も、従

来のコスト削減を目的とした「守りの投

資」から、収益拡大やROIの向上を目的

とした「攻めの投資」へと大きくシフトし

つつあります。

企業の持続的成長を支援する経営管理

を実現するには、短期的かつ中長期的

視点でビジネスのロードマップを展望し、

戦略と戦術に合致するPDCAサイクル

を回します。その際、全社の業務活動

で生まれる情報をもとに業績指標と活

動結果を関連付けてモニタリングし、目

標達成の度合いに応じた適切な意思決

定と迅速なアクションを実施することが

重要です。

また、発見された問題点を分析し解決

策を立案するには、仮説検証を支援す

る高度で詳細なデータ分析が不可欠で

す。意思決定に有効な情報は、一貫性

があり、詳細な粒度を持ち、最適なタイ

ミングで提供されなければなりません。

さらに、経営管理においては企業の経

営戦略や事業計画の変更に伴い、組織

や業務プロセス、製品カテゴリーなどが

変更されます。このような変更があって

も、詳細な明細データを基礎とした経

営情報を提供できれば、無駄な投資や

オペレーションの変更をせずに済みます。

逆に、サマリーデータを用いた経営情報

では、これらの変更に対応するのは困

難です。新たな体系に合わせた指標デー

タの収集と再集計が必要になり、前年

対比や原因分析に膨大な手間と時間を

要してしまいます。

業務改革の視点と情報統合 企業の活動を支える業務プロセスでは、

次のような対応を念頭に置く必要があ

ります。

まず、各業務プロセスで必要な情報を統

合し、可視化することが必要です。これは、

需要を予測しながら各工程のリードタイ

ムを最適化するような、全プロセスに渡る

計画的なオペレーションを行うためです。

異常値や問題点をすみやかに把握する

仕組みを構築しておけば、損失ロスを最

小限に抑えながら、計画に沿ったオペ

レーションを遂行できます。

さらに、プロセス全体を通じた顧客価

値創造の取り組みが求められます。具

体的には、製品・サービスの企画からサ

ポートに至るすべての業務プロセスを顧

客視点に立った活動に変えていきます。

顧客の行動や嗜好の変化に対応するた

めに、すべての業務プロセスに渡って一

元化された顧客情報を整備していきます。

企業戦略を遂行するための鍵は情報活用にあります。外部環境の変化に迅速に対応し、企業内部の経営管理

や業務改革を適切に進めるためには、一貫性、迅速な提供、明細管理、変化・成長への対応の4点を踏まえた

情報の有効活用が必要になります。Enterprise Data Warehouse(EDW)がこれに応えます。

EDWを活用して適切な意思決定を迅速に下し、競争優位を確立する

図1. 経営戦略遂行のために要求される「統合情報」の位置付け

Page 2: ビジネス価値を最大化する Enterprise Data …jpn.teradata.jp/.../TDMK-3061_EnterpriseDataWarehouse.pdfビジネス価値を最大化する Enterprise Data Warehouse 経営管理の視点と情報統合

外部環境要因と情報戦略 ビジネスを取り巻く外部環境の変化に

適応するには、適切な情報戦略を策定

し、実践する必要があります。

1. リアルタイム性とデータ統合: 「迅速」な情報提供 ビジネスに関わる意思決定のスピード

アップが要求されています。企業内に散

在するデータを統合することにより、意

思決定を行う経営者層から現場担当者

までのすべての階層に対して、必要な情

報を市場や経営、個々の業務に合わせ

てリアルタイムに提供していくことが求

められています。

2. 顧客価値とデータ統合:「明細デー タ」による「顧客分析」の実施 外部環境、特に顧客の行動や嗜好は多

様化し、かつ変化し続けています。こ

のような状況では、自社の収益源の実

態把握や、顧客に関する高度で柔軟な

データ分析が、ビジネスの方向性を決め

る上で不可欠です。そのためには、明細

レベルでの履歴データが必要となります。

3. 企業ガバナンスとデータ統合: 「情報ガバナンス」の強化 金融商品取引法や国際会計基準対応

に代表される、企業ガバナンスを強化す

る目的で経営管理の強化が社会的に要

請されています。しかし、情報が分散あ

るいは重複し、別々に指標を管理する複

雑な経営情報環境では、監査要求や経

営判断に迅速に対応するのは困難です。

情報の品質を維持しながら管理効率を

上げるための情報ガバナンスを構築す

ることが望まれています。

4. 増加するデータとデータ統合:「使い やすさ」と「スケーラビリティ」の保証 全社的な情報の共通利用を前提に膨大

なデータを取り込み活用するための鍵

は、利用環境や運用環境の使いやすさ

にあります。また、生産・在庫管理シス

テムの進化、インターネットやRFIDの

普及など、新技術の発展に伴いデータ量

も増加し続けています。これらを有効

活用するためには、情報基盤システムの

スケーラビリティが重要です。

長期的展望に立つEDWアプローチ EDWは、全社で使用する目的で統合化お

よび一元化されたデータウェアハウスです。

EDW化のアプローチは、ビジネスのさまざ

まな場面を通じて発生するデータを収集・

統合し、経営者層から現場担当者まで必

要な人に必要な情報を提供する取り組み

です(図2)。このアプローチは、業務プロ

セスの効率化の名のもとに個別の業務を

支援してきた、これまでの場当たり的な情

報化アプローチとは根本的に異なります。

業務プロセスのいたる所で発生するデー

タは独立したものではなく、ビジネスプ

ロセスを通じて有機的に関連しています。

目指すべき情報基盤は、関係者共通のビ

ジネス言語として利用可能なもので、そ

の要件は次のように表すことができます。

・個別の業務やシステムから発生した

データをダイナミックなビジネス価値

の創造に利用可能なこと

・中長期的なビジネス環境の変化に迅

速に対応可能なこと

・当初の計画段階から多くの関係者の

共通利用を志向したシステム投資が

考えられていること

ビジネス価値を最大化するEnterprise Data Warehouse

図2. EDWの活用イメージ

経営者層から現場担当者まで一貫 した視点でビジネスを捉えること が可能となる

ビジネスの一貫した視点

業務上必要な情報に迅速にアクセ ス可能となる

ダイナミックな情報活用

個別業務システム、ERPやSCMな どの各システム上に発生したデー タを統合する情報基盤となる

データの統合

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データ統合が生む効果 EDW化のアプローチによってデータ統

合環境を展開すると、次のような効果が

もたらされます(図3)。

1. ビジネスの可視化を推進 ビジネスの可視化により、ビジネスユー

ザー部門は大きなメリットを享受できます。

・使いやすさの向上:欲しいデータをわ

かりやすい手法で入手できる

・データ正確性の保証:矛盾のない正し

いデータをそのまま利用できる

・テータ提供の適宜性改善:必要な時

にデータを入手できる

2. 組織間の情報共有と標準化の促進 ユーザーは所属組織での活動を発展さ

せて、組織横断的な情報共有ができるよ

うになります。これは全社的な情報活用

環境の標準化へと進展していきます。

・データ再利用性の拡大:EDWに取り

込んだデータはさまざまな要求に応

えることができる

・利用者の拡大 :さまざまな分野で活

動する多くのユーザーに利用される

・全社共通情報の確立:組織横断的・

縦断的なビジネス分野を表現する共

通の言葉として利用される

3. 新たな情報価値の創造 EDW化のアプローチにより、可視化や

標準化にとどまらない新たな情報価値

の創造が可能になります。

・情報リテラシーの向上:データの見方、

使い方、アクションおよびその実施結

果などを部門内外の共通知識として

展開できる

・横断的な情報の発見と促進:複数の

部門から情報が集まり、その相互作

用によって、さらなる価値ある情報が

生まれる

・ルールやイベントを利用した業務系シ

ステムとの連携:取得した情報をビジ

ネスルールとして知識化し、コールセ

ンターなどの迅速な意思決定が必要

な業務系システムを直接支援できる

EDWが満たす情報統合の要件 以上のように、外部環境の変化に迅速

に対応し、企業内部の経営管理や業務

改革を適切に遂行するためには「情報

活用」の施策が重要です。これを成功

させる要件は、次の4つに総括できます。

(1)全社で一貫したデータ[Single View]

経営者層から現場担当者まで利用でき

る、データの整合性がとれた全社的な

統合情報基盤

(2)迅速な情報提供[Faster Decision]

外部環境の変化に合わせて適切な意思

決定をタイムリーに行える情報提供基盤

(3)明細レベルでの履歴情報[Detail Data]

顧客分析やSCMの最適化など、あらゆ

る用途に活用できる明細レベルの履歴

データ保有基盤

(4)変化・成長への対応[Business Growth]

企業の成長や戦略変更に合わせた調整

や拡張に柔軟に対応できるシステム基盤

ビジネス価値を最大化する Enterprise Data Warehouse

個別に構築・運営される 業務系システム群

サブジェクト指向により整理され、 一元的で、統合されたビジネス情報

ユーザーの立場に応じ、各観点で 業務横断的な情報活用が可能となる

図3. データ統合が生み出す価値

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ビジネス価値を最大化する Enterprise Data Warehouse

EDWの経済価値 EDWの経済価値についても注目すべき

です。具体的には、ビジネス領域を広げ

つつ、課題を解決するために実装するア

プリケーションを増やしていく過程で、価

値がどのように推移するかを見極めます。

ポイントになるのは、明細データを保

有・運用するためのシステム投資額

(EDW投資)と、そこから得られる効果

(ビジネス価値)です。EDW化のアプ

ローチを採用すれば、飛躍的に価値を

生み出すことが可能です(図4)。その

理由は次のとおりです。

・異なるビジネス領域の情報を横断的

に再利用できる

・一カ所にデータを集めることで重複し

たデータを保持する必要がなくなる

特に前者はビジネス領域を拡大させる

ほど顕著な効果をもたらします。

一方、個別部門で使われるデータマー

トのアプローチを採用すると、使い勝手

を良くするために他部門のデータを取り

込む必要があり、結果としてシステムコ

ストを増大させ、データの整合性確保を

困難にします。

その結果、意思決定を遅延させ、ひい

てはビジネス価値の向上機会が損なわ

れることになります。この問題は、データ

マートの数やアプリケーションの数を多

くするほど顕著に現れます。

これに対して、一元化した形でビジネスに

関わる各種情報領域をEDWに整理し

て持つことで、さまざまな情報活用アプリ

ケーションでのEDWを基盤とした効率

的な展開利用が可能となります。このよう

にして、情報統合の成功要件を満足す

る全社情報提供手段を確立することが

できます(図5)。

ビジネス価値を最大化するEDW EDW化のアプローチを採用すること

で、多くの企業がデータ統合と情報活

用を成功させています。外部環境の変

化に迅速に対応し、企業内部の経営管

理や業務改革を適切に進めるためには、

EDWが最も有効です。

・このカタログの記載情報は、2012年5月現在のものです。

TDMK-3061(1205)

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図4. EDWが価値を生む仕組み

図5. EDWによる全社情報統合基盤の確立