東広島方式「主治医の意見書のための予診票」について -...

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広島県医師会速報(第⚒⚐⚔⚔号) (⚔⚓)⚒⚐⚐⚙年(平成⚒⚑年)⚔月⚑⚕日 昭和⚒⚖年⚘月⚒⚗日 第⚓種郵便物承認 東広島方式「主治医の意見書のための予診票」について 東広島地区医師会   理事 楠 部   滋 「半年以上あるいは何年も来院していない患者の主治医の意見書を、突然、自治体から依頼されて 困惑した」という経験を、皆さまはお持ちではありませんか?そんな患者さんに限って、受診を求め ても来院してくれず、情報が得られないことが多いのではないでしょうか。認知症高齢者が増加する 中で、このような事例はますます増えて行くことが予想されます。 介護保険制度が実質的にスタートしてから今年の秋で⚑⚐年になります。今春の改定によって主治医の 意見書の重要性は更に高まり、要介護認定に役立つ情報がこれまで以上に求められるようになりました。 それにもかかわらず、要介護認定審査に役立たない意見書がしばしば見られるのは残念なことです。 東広島市では、主治医の意見書の提出期限が依頼日から⚑週間と短く、この間に必要な情報を効率 よく収集する必要がありました。そのためには、情報収集のシステムを作り何とか早く主治医への受 診を促す必要があるものと考えられました。たまたま当地区では介護保険実施を目前にして、平成⚑⚑ 年⚙月に広島市医師会介護保険担当の長崎孝太郎理事に「主治医意見書の書き方」についてご講演を いただきました。その時の資料(「主治医意見書記入の手引き」平成⚑⚑年⚘月広島市医師会発行)の 中に予診票があり、広島市医師会の了承を得てこれを用いるようになり、更に平成⚑⚓年と平成⚑⚘年の 二度改訂して今日に至っています(資料⚑) この予診票は、要介護認定の新規申請あるいは更新申請をしようとする人に事前に配布して、本人、 家族あるいは身近な介護スタッフに記入してもらいます。そして、なるべく自治体から意見書作成依 頼を受けた直後に、作成医師の手元に届けてもらうものです。内容は、主治医の意見書の必要項目を 一般の人に分りやすく、回答しやすく表現したもので、平成⚑⚑年秋頃から実施しています。 当初は、この予診票の意義についてそれほど理解が得られず、面倒な書類がひとつ増えたと、当惑 の声がありました。このシステムが少しずつ受け入れられた最大の要因は、介護認定審査会の会長が 地区医師会の副会長であり、行政の理解を得ることができ、行政と医師会の協力事業として推進でき たことです。 今日では、要介護認定の新規申請者には、東広島市福祉部介護保険課から予診票用紙が配布され、 同時に「用紙に記入した上で、主治医に受診して意見書を書いてもらって下さい」という内容の地区 医師会が作成した説明文が届く仕組みになっています(資料⚒) 更新申請の場合には、介護保険証の有効期限切れ前月の更新月の直前に、介護保険課からの更新の お知らせに予診票が同封され、申請者に届くようになっています。この際にも更新予定者に、記入し た用紙を持参して受診するよう勧める文書が同封されます。何れの場合にも、予診票についての問い 合わせは、すべて東広島地区医師会に寄せられることになっています。 もちろん予診票の内容が正確に申請者の実情を反映しているとは限りません。できるだけ主治医が 実際に診察して確認する必要がありますが、少なくともこの予診票システムによって得られる情報は、 意見書の効率的な作成には役立っており、東広島地区医師会員には概ね好評を得ています。認知症を 有する高齢者世帯などの場合には、予診票の回収も受診も困難ですが、最近では、担当ケアマネー ジャーや担当ヘルパー、ケアハウス職員などが家族に代わって記入して提出してくれる事例も見られ るようになり、その意義が広く認識されてきた印象があります。 介護保険制度が始まってから、医師は健康保険のレセプト業務以外に、多様な書類の作成に追われる ようになり、ケアマネージャーの主催するケアカンファレンスへの参加も求められるようになりました。 主治医の意見書は、医師の作成する書類のうちで最も大切なものです。期限内に要介護認定に役立つ良 い意見書を作成するためには、医師に対して良い意見書作成のための研修会を繰り返し行うことがまず 必要ですが、最近ではあまり実施されなくなっているのが現実です。全国の医師会は、今こそ主治医の 意見書をより良いものにするためのシステム作りについて、アイデアを出し合うべき時ではないでしょ うか。そのことが、医療と介護の連携の基礎作りに欠かせないステップであると考えます。

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Page 1: 東広島方式「主治医の意見書のための予診票」について - Med年月に広島市医師会介護保険担当の長崎孝太郎理事に「主治医意見書の書き方」についてご講演を

広島県医師会速報(第 号)( ) 年(平成 年) 月 日 昭和 年 月 日 第 種郵便物承認

東広島方式「主治医の意見書のための予診票」について

東広島地区医師会  理事 楠 部   滋

 「半年以上あるいは何年も来院していない患者の主治医の意見書を、突然、自治体から依頼されて困惑した」という経験を、皆さまはお持ちではありませんか?そんな患者さんに限って、受診を求めても来院してくれず、情報が得られないことが多いのではないでしょうか。認知症高齢者が増加する中で、このような事例はますます増えて行くことが予想されます。 介護保険制度が実質的にスタートしてから今年の秋で 年になります。今春の改定によって主治医の意見書の重要性は更に高まり、要介護認定に役立つ情報がこれまで以上に求められるようになりました。それにもかかわらず、要介護認定審査に役立たない意見書がしばしば見られるのは残念なことです。 東広島市では、主治医の意見書の提出期限が依頼日から 週間と短く、この間に必要な情報を効率よく収集する必要がありました。そのためには、情報収集のシステムを作り何とか早く主治医への受診を促す必要があるものと考えられました。たまたま当地区では介護保険実施を目前にして、平成年 月に広島市医師会介護保険担当の長崎孝太郎理事に「主治医意見書の書き方」についてご講演をいただきました。その時の資料(「主治医意見書記入の手引き」平成 年 月広島市医師会発行)の中に予診票があり、広島市医師会の了承を得てこれを用いるようになり、更に平成 年と平成 年の二度改訂して今日に至っています(資料 )。 この予診票は、要介護認定の新規申請あるいは更新申請をしようとする人に事前に配布して、本人、家族あるいは身近な介護スタッフに記入してもらいます。そして、なるべく自治体から意見書作成依頼を受けた直後に、作成医師の手元に届けてもらうものです。内容は、主治医の意見書の必要項目を一般の人に分りやすく、回答しやすく表現したもので、平成 年秋頃から実施しています。 当初は、この予診票の意義についてそれほど理解が得られず、面倒な書類がひとつ増えたと、当惑の声がありました。このシステムが少しずつ受け入れられた最大の要因は、介護認定審査会の会長が地区医師会の副会長であり、行政の理解を得ることができ、行政と医師会の協力事業として推進できたことです。 今日では、要介護認定の新規申請者には、東広島市福祉部介護保険課から予診票用紙が配布され、同時に「用紙に記入した上で、主治医に受診して意見書を書いてもらって下さい」という内容の地区医師会が作成した説明文が届く仕組みになっています(資料 )。 更新申請の場合には、介護保険証の有効期限切れ前月の更新月の直前に、介護保険課からの更新のお知らせに予診票が同封され、申請者に届くようになっています。この際にも更新予定者に、記入した用紙を持参して受診するよう勧める文書が同封されます。何れの場合にも、予診票についての問い合わせは、すべて東広島地区医師会に寄せられることになっています。 もちろん予診票の内容が正確に申請者の実情を反映しているとは限りません。できるだけ主治医が実際に診察して確認する必要がありますが、少なくともこの予診票システムによって得られる情報は、意見書の効率的な作成には役立っており、東広島地区医師会員には概ね好評を得ています。認知症を有する高齢者世帯などの場合には、予診票の回収も受診も困難ですが、最近では、担当ケアマネージャーや担当ヘルパー、ケアハウス職員などが家族に代わって記入して提出してくれる事例も見られるようになり、その意義が広く認識されてきた印象があります。 介護保険制度が始まってから、医師は健康保険のレセプト業務以外に、多様な書類の作成に追われるようになり、ケアマネージャーの主催するケアカンファレンスへの参加も求められるようになりました。主治医の意見書は、医師の作成する書類のうちで最も大切なものです。期限内に要介護認定に役立つ良い意見書を作成するためには、医師に対して良い意見書作成のための研修会を繰り返し行うことがまず必要ですが、最近ではあまり実施されなくなっているのが現実です。全国の医師会は、今こそ主治医の意見書をより良いものにするためのシステム作りについて、アイデアを出し合うべき時ではないでしょうか。そのことが、医療と介護の連携の基礎作りに欠かせないステップであると考えます。

Page 2: 東広島方式「主治医の意見書のための予診票」について - Med年月に広島市医師会介護保険担当の長崎孝太郎理事に「主治医意見書の書き方」についてご講演を

広島県医師会速報(第 号)昭和 年 月 日 第 種郵便物承認 年(平成 年) 月 日( )

資料

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広島県医師会速報(第 号)( ) 年(平成 年) 月 日 昭和 年 月 日 第 種郵便物承認

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広島県医師会速報(第 号)昭和 年 月 日 第 種郵便物承認 年(平成 年) 月 日( )

資料

介護保険要介護認定の申請をされる皆様へ

東広島地区医師会

 介護保険の要介護認定申請をされた皆様に対して、主治医は意見書を作成いたします。この意見書は、介護の必要性について、医学的な立場からの意見を述べるもので、要介護認定のための重要な資料です。 正確な意見書を作成するために、別紙の「主治医意見書作成のための予診票」にご記入の上、主治医に受診していただき、その際予診票をお渡しくださいますようお願いいたします。釈 若錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫 なお、「主治医意見書作成のための予診票」に関するお問い合わせは、主治医もしくは東広島釈 若錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫錫地区医師会までお願いいたします。釈 若錫錫錫錫

【東広島地区医師会】  〒 ‐東広島市西条町土与丸 番地電 話  ‐ ‐  FAX  ‐ ‐

「訪問看護指示書」等作成ソフトウェア『医見書』の改正対応について(ご案内)(総研- )

平成 年 月 日日本医師会総合政策研究機構所長 竹 嶋 康 弘

 日医総研では、「主治医意見書」「医師意見書」及び、訪問看護の際に必要な「訪問看護指示書」の作成を可能とする『医見書』ソフトを開発し、平成 年より多くの会員の先生方に利用されております。 この度の介護報酬改定に伴い、「訪問看護指示書」様式に変更が生じることとなりました。介護保険の「主治医意見書」における改正に伴う『医見書』ソフトの対応につきましては、平成 年 月日付通知(総研発 号)にてご連絡をいたしました通りですが、「主治医意見書」とともに「訪問看護指示書」の変更にも対応いたします事をご連絡いたします。対応時期は主治医意見書と同時期の平成 年 月 日に提供予定としております。 改訂版への対応方法等につきまして、「主治医意見書」同様、「医見書」ソフトをお持ちの医療機関の場合には、付属の「オンラインアップデート」ツール及びORCAプロジェクト医見書サイトよりのダウンロード等で可能となっております(無償)。新規でご検討いただく場合には、下記の問い合わせ先までご連絡いただきますよう、宜しくお願い申し上げます。

問合せ先  日医総研 医見書係 TEL ‐ ‐ /FAX ‐ ‐ ORCAサポートセンタ(ご購入について) TEL ‐ ‐  メールアドレス:[email protected]  医見書公式サイト:http://www.orca.med.or.jp/ikensyo

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広島県医師会速報(第 号)( ) 年(平成 年) 月 日 昭和 年 月 日 第 種郵便物承認

平成 年度介護報酬改定における訪問看護の特別管理加算改定に伴う訪問看護指示書等の一部改正に関する通知について

(保 )(介 )平成 年 月 日

日本医師会社会保険担当理事 藤 原   淳日本医師会介護保険担当理事 三 上 裕 司

 平成 年度介護報酬改定において、訪問看護の特別管理加算の対象者に重度褥瘡の者が追加されたことに伴い、訪問看護指示書(在宅患者訪問点滴注射指示書)の様式が改正されることとなり、厚生労働省より、下記のとおり通知が発出されましたのでご連絡申し上げます。 本改正により、平成 年 月以降の診療分より新様式を使用することとなりますが、改正前の様式につきましては、当分の問、取り繕って使用できることとされております。 また、重度褥瘡以外の者に対して、訪問看護指示書を発行する場合や、在宅患者訪問点滴注射指示書を発行する場合につきましては、改正前の様式を特段取り繕うことなく使用できることを確認しております。つきましては、貴会会員への周知方ご高配賜りますようお願い申し上げます。 なお、当該通知等につきましては本会ホームページ(メンバーズルーム「医療保険・介護保険」)に掲載しておりますことを申し添えます。

「介護老人保健施設からの退所時における老人訪問看護指示加算に係る訪問看護指示書の様式について」の一部改正について

老老発第 号平成 年 月 日

厚生労働省老健局老人保健課長

 介護老人保健施設からの退所時における老人訪問看護指示加算に係る訪問看護指示書の様式については、「介護老人保健施設からの退所時における老人訪問看護指示加算に係る訪問看護指示書の様式について(平成 年 月 日付老健第 号)」の別紙においてお示ししているところであるが、平成年度介護報酬改定において訪問看護の特別管理加算の対象者に重度褥瘡の者が追加されたことに伴い、別紙のとおり改正することとしたので、御了知の上、その取扱いに遺憾のないよう関係者等に対し、周知徹底を図られたい。 なお、この通知による改正前の様式については、当分の間、これを取り繕って使用することができる。

予予告告 第第4400回回広広島島県県会会医医師師ソソフフトトボボーールル大大会会開開催催日日決決定定!!(経理課)

と  き 平成 年 月 日掌 ※雨天の場合は 月 日(火・祝)を予定と こ ろ  呉市市民広場(入船山運動公園)  ※詳細につきましては、平成 年 月頃に広島県医師会速報に  掲載します。問い合せ先 広島県医師会 経理課       (TEL: ‐ ‐   FAX: ‐ ‐ )

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広島県医師会速報(第 号)( ) 年(平成 年) 月 日 昭和 年 月 日 第 種郵便物承認

「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について

保医発第 号平成 年 月 日

厚生労働省保険局医療課長

 「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」(平成 年 月 日保医発第号)の一部を改正することとしたので、その取扱いに遺漏のないよう貴管下の保険医療機関、

審査支払機関等に対し、周知徹底を図られたい。

 改正の内容 従来、介護保険の訪問看護における特別管理加算は、その対象者を訪問看護指示書によって把握してきたが、平成 年度の介護報酬改定において、特別管理加算の対象者に、現在の訪問看護指示書の様式によっては把握できないNPUAP分類Ⅲ度・iv 度又はDESIGN分類D ~D に該当する重度の褥瘡の利用者が追加されることとなった。このため、訪問看護指示書によって利用者の褥瘡の程度も把握できるよう、その様式について所要の改正を行うものである。 なお、改正により、在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定する際に使用する、在宅患者訪問点滴注射指示書の様式も変更となるので留意すること。

 「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」(平成 年 月 日保医発第 号)の一部改正について

 「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」の別添 の の別紙様式 を別紙のように改正し、平成 年 月 日から適用する。 なお、この通知による改正前の別紙様式 による用紙については、当分の間、これを取り繕って使用することができる。

第第 回回広広島島県県医医師師会会勤勤務務医医ゴゴルルフフ大大会会ににつついいてて

 広島県医師会勤務医部会結成を記念して、昭和 年に第 回勤務医ゴルフ大会を開催以来、今日まで毎年名門広島カントリークラブ八本松コースや賀茂カントリークラブ等で開催してきました。 第 回は本年 月 日掌に賀茂カントリークラブで開催を予定しています。詳細を募集コーナへ掲載しておりますので、ゴルフを愛してやまない先生方の参加をお待ちします。

 予告 

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