hea、ppa hypercel...図5.hea hypercel とppa hypercel...
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HEA、PPA HyperCelタンパク質分離用ミックスモードクロマトグラフィー
はじめに
HEA、PPA HyperCel は、バイオ医薬品製造
環境でのタンパク質の回収と不純物除去を目
的に設計された、工業規模にスケールアップ
可能な新しいクロマトグラフィー吸着剤です。
「ミックスモード」メカニズムでは、クロマト
グラフィー分離はタンパク質とリガンドの電
気特性と疎水特性の組み合わせにより行なわ
れます。
HEA、PPA HyperCel は、それぞれ従来の
イオン交換やHICでは得られないユニークで
異なる選択性を示し、これらをスクリーニン
グすることでプロセス開発に利用することが
できます。
たとえば、ミックスモード相互作用のメカニ
ズムを利用すると、等電点が似通った、ある
いは、きわめて近いタンパク質を区別し、イ
オン交換クロマトグラフィーのような方法で
は不可能だった分離を行うことができます。
• 低イオン強度でもタンパク質を疎水性相互作用により直接捕捉• 各種プロセスの分離工程において従来にない選択性を発揮• 塩類の廃棄・リサイクルが不要で環境にやさしい• イオン交換など他のクロマトグラフィーと相補的に作用
図1. HEA、PPA HyperCel のリガンドの構造
CH2 CH2 CH2
CH2 2(CH )4 CH3
• PPA HyperCel
• HEA HyperCel
フェニルプロピル置換基
n-ヘキシル置換基
■リガンド密度 > 50μmol/mL■リガンドのpKa値 = 8
主要特性粒子径 80~100 μm(平均)
基材 多孔質架橋結合セルロース
BSAに対するダイナミック結合容量(10%漏出)*1 40~60 mg/mL
リガンド: ・脂肪族(HEA) ヘキシルアミン・芳香族(PPA) フェニルプロピルアミン
BSA回収率 90 %
吸着pH 7.0~9.0
溶出pH グラジエントまたはステップ溶出、例: pH 7.0~2.6
洗浄pH 1~14
圧力耐性 < 0.3 MPa
通常操作時の圧力 < 0.1 MPa
*1 流速100 cm/hのPBS中の5 mg/mL BSAで測定。
JUSD 2443
リガンドについて
HEA、PPA HyperCel は、ポールのクロマトグラフィー
製品ラインアップに新たに加わった吸着剤で、MEP
HyperCel(疎水性電荷誘導クロマトグラフィー)吸着剤の
はたらきを補完します。
HEA、PPA HyperCel は、化学合成されたミックス
モード用リガンドを機械的に安定なベースマトリックスで
あるHyperCel 吸着剤に固定しています。現在では同じ
HyperCel 吸着剤を使ったMEP HyperCel により、後期臨
床試験用の医薬製造がすでに行なわれています。
このリガンドには、脂肪族(HEA―ヘキシルアミン)と芳
香族(PPA―フェニルプロピルアミン)があり、それぞれ
異なる選択性と疎水性を示します(図1参照)。
図2. 圧力―流量曲線
PPA HyperCel
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
150 300 450 600 750 900 1050
圧力
HEA HyperCel
流量 (cm/h)
MPa
カラム: 内径16 mm×高さ20 cmHEA、PPA HyperCel は比例直線形の圧力-流量特性を示し、低圧カラムでのプロセススケールの操作に適した特性を持っています。
作用原理とおもな目安
(カラムパッキング、緩衝液、推奨条件については、製品添
付文書を参照してください。)
● タンパク質結合は中性pH域(例:PBS、pH 7.4)でお
もに疎水性相互作用によって起こります。強塩基性タンパ
クを結合させるためには、pHを(9.0程度まで)上げる必
要があります。
結合時の推奨塩濃度においては、顕著なイオン交換結合は
起こりません。従来のHICとは異なり、結合は「生理学的」
条件において低イオン強度で起こります。リオトロピック
塩などの塩類添加の必要がなく、タンパク質の凝集・変性
の危険性を減らすことができます。
PPA HyperCel 吸着剤は芳香族リガンドを持ち、HEA
HyperCel 吸着剤より強い疎水性を示します。吸着容量はタ
ンパク質により異なり、BSAのような標準タンパク質では、
通常は40~60 mg/mLになります(pH 7.4、0.14 M塩
化ナトリウムPBS緩衝液、流速100 cm/hの場合)。吸着
容量に影響する因子には、温度、滞留時間、カラムのパッ
キング状態などがあります。
● タンパク質の溶出は、pHがタンパク質の等電点(pI)を
下回り、リガンドのpKa値より低くなったときに静電気的
反発力によって起こります。このため溶出は通常ステップ
溶出によってpHを5~3程度まで減少させて行います。こ
の原理は疎水性度の異なる不純物からの目的タンパク質の
分離にも利用できます。塩基性タンパクはpH変化またはス
テップ溶出の早い段階で溶出し、酸性タンパクはその後に
溶出します。
従来のHICとは異なり、目的タンパク質は希釈された緩衝液
中で回収されるため、膜分離による脱塩を行う必要性は低
下します。
図3. タンパク質結合容量への温度の影響
0
20
40
60
80
0 10 20 30 40
温度 (˚C)
結合容量
(m
g/m
L)
BSA / HEA HyperCel
BSA / PPA HyperCel
モデルタンパク質: pH 7.4のPBS(7 mLカラム、100 cm/h)中でHEA、PPAHyperCelに結合するBSA(5 mg/mL)。この実験はHEA、PPA HyperCel とタンパク質との結合が主に疎水性相互作用によることを実証するために行われました。HICによるタンパク質結合はエントロピーに比例し、BSAに対する結合容量が増加していることでもわかるとおり、相互作用は温度の上昇とともに増加します。実際には、安定した結合容量の最適なプロセスを見極めるため、特に注意して緩衝液と実験室内の温度を一定に保つ必要があります。
図4. HEA、PPA HyperCel とMEP HyperCel、および従来のHIC吸着剤、陰イオン交換吸着剤との比較
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20(mg)
HEAHyperCel
PPAHyperCel
MEPHyperCel
フェニル吸着剤
ヘキシル吸着剤
DEAE吸着剤
添加 結合 溶出
HEA、PPA HyperCel の選択性の違いをMEP HyperCel(HCIC[疎水性荷電誘導クロマトグラフィー]吸着剤)、従来のHIC吸着剤(フェニル、およびヘキシルリガンド)、陰イオン交換吸着剤(DEAE)と比較して証明するため、数種の標準的タンパク質を用いて一連の実験を行いました。図4はpH 7.4のPBS中でのウシ血清アルブミン(BSA)の吸着/溶出を示しています。BSAはHEA HyperCel にもPPAHyperCel にも効率よく保持されましたが、MEP HyperCel には(リガンドに抗体選択性があっても)満足に保持されませんでした。PBSでは、リオトロピック塩を添加しないと、フェニル、ヘキシルのどちらのHIC吸着剤にもBSAはあまり結合しませんでした。陰イオン交換(DEAE)吸着剤にも、このような非最適条件では(pH 7.4で塩濃度が高すぎるため)、BSAは結合しませんでした。
図5. HEA HyperCel とPPA HyperCel 吸着剤の選択性の違い。α-キモトリプシノーゲンAの吸着/溶出
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
HEA HyperCel PPA HyperCel
(mg)
添加 結合 溶出
HEAとPPAのリガンドは性質が異なり(脂肪族と芳香族)、これが各種タンパク質に対する選択性の違いに表れます。図5はα-キモトリプシノーゲンAに対する結合・溶出特性を示しています(濃度2 mg/mLでpH 7.4、0.14 M塩化ナトリウムを含むPBS中で結合、pH 5.0、4.0、または3.0の0.02 M 酢酸ナトリウムで溶出)。PPAHyperCel の方がこのモデルタンパク質と強く結合し、回収率も良いことがわかります(pH 4.0での溶出が最も効率的)。
図6. 1.7 M 硫酸アンモニウムの存在下でのHEA、PPAHyperCel 吸着剤のBSA結合容量
10
20
30
40
50
HEA HyperCel
BS
A 結合容量
(m
g/m
L)
PPA HyperCel0
フェニル吸着剤
HEA、PPA HyperCel は、必要に応じて、高濃度(1~2 M)硫酸アンモニウムのようなリオトロピック塩が存在するような、従来の疎水性相互作用条件下でも使用できます。データでは、このような条件下でのBSA結合容量が従来のHIC吸着剤(フェニル基)の結合容量に近いことがわかります。
アプリケーション例
例1. HEA、PPA HyperCel 吸着剤による標準タンパク質混合物からの分離
0
0.05
0.10
0.15
0.20
0
5
10
15
20
25リゾチーム
α-キモトリプシノーゲンA
オボアルブミン
BSA
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200min
A.U. mS/cm
結合緩衝液: 150 mM塩化ナトリウムを含む炭酸塩-重炭酸塩緩衝液 (pH 10)
HEA HyperCel
00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200
min
0.05
0.10
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
A.U. mS/cm
BSA
リゾチーム
α-キモトリプシノーゲンA
結合緩衝液: PBS (pH 7.4)
オボアルブミン
PPA HyperCel
サンプル量: 1 mL; カラム容量: 7 mL; タンパク質: BSA、オボアルブミン、リゾチーム、α-キモトリプシノーゲンA(濃度各2 mg/mL)
HEA HyperCelとPPA HyperCel 吸着剤では、リガンドの
違いにより、タンパク質に対する捕捉性や選択性も異なり
ますので、プロセス開発時にはスクリーニングが必要にな
ります。
上の例は、標品タンパク質混合物を内径1.1cm、長さ7cm
のカラムに添加した際のクロマトグラムです。ステップ溶出
に続いてpH 5.4から2.6へのグラジエント溶出を、すべて
リン酸ナトリウム/クエン酸緩衝液を用いて行いました。強
塩基性タンパク質リゾチームは、pH 7.4ではPPA
HyperCel 吸着剤に結合せず、素通り画分中に残ります。一
方、静電気的反発力を弱めて結合pHを10.0まで上げると、
リゾチームはHEA HyperCel 吸着剤に保持することができ
ました。
実際には、等電点(pI)と疎水性が未知のタンパク質につ
いては、2つのリガンドに対して異なるpHと塩濃度でスク
リーニングすることをお勧めします。
00/03/06増刷10V
18/04/07初版05B
UV 280 nmpH
添加
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
AU
0 10 20 30 40 50 60 70容量(mL)
IgG
IgG
E1
E2
E3
E4E5
HSA
ヘモペキシン
カラム: 内径0.66 cm×高さ7 cm; カラム容量: 2.4 mL、流量100 cm/h; pH 7.4のPBSで平衡化; 部分精製されたヒトポリクローナルIgG(純度60%)5 mLを3.8 mg/mL、pH 8.4、8.3 mS/cmで添加; 5 CVのPBSで洗浄; pH 7.0(E1)、pH 5.4(E2)、pH4.4(E3)、pH 3.4(E4)、pH 2.6(E5)で0.2 Mリン酸ナトリウム/100 mMクエン酸で溶出; 1 M水酸化ナトリウムで再生
この実験は、サンプル原料中に存在する夾雑物質から目的
IgGを分離することを目的としました。HEA、PPA、およ
びMEP HyperCel の3種類のミックスモード吸着剤をテス
トし、図では最もよい結果が得られたHEA HyperCel 吸
着剤のクロマトグラムだけを示しています。IgG(おもに
E2で溶出)はHSA(E3で溶出)と明確に分離されま
した。また、SELDI(Ciphergen Biosystems社の
ProteinChip*システム)を用いた質量分析でも(データ
は掲載していません)、目的IgGよりも分子量の小さい夾雑
物との分離ができたことや、部分的にIgAがHSAと共に溶
出されて分離されたことなどがわかりました。*ProteinChipはCiphergen Biosystems社の登録商標です。
製品情報サイズ HEA HyperCel PPA HyperCel
カタログ番号 カタログ番号
5 mL 20250-012 20260-015
25 mL 20250-026 20260-025
100 mL 20250-033 20260-030
1 L 20250-041 20260-040
5 L 20250-042 20260-045
10 L 20250-056 20260-052
HEA、PPA HyperCel 吸着剤はISO 9001:2000規格に準拠して製造されています。
〒141-0031 東京都品川区西五反田 1-5-1 TEL.03(3495)8340
TEL.06(6397)3724
TEL.092(481)1061
大阪営業所 〒532-0003 大阪市淀川区宮原 3-5-36
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ポール ライフサイエンス カンパニー製薬フィルター事業部
本カタログに記載されているデータは特定条件下で得られた代表値です。本カタログに記載された情報により得られる結果並びに本製品の安全性に付いては保証するものではありません。本製品をご使用になる前に、本製品が使用目的に対して適正かつ安全であることをご確認ください。なお、本カタログに記載されている内容は予告無しに変更される場合がございます。
例2.HEA HyperCel 吸着剤でのクロマトグラフィー: 部分精製された血漿由来ポリクローナルIgG画分からの不純物の分離