医療ict news file 20170110 vol.029

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診療報酬・薬価から臨床・創薬まで 高度情報化医療の明日を伝える 株式会社じほう 〒101- 8421 東京都千代田区猿楽町1- 5- 15 猿楽町SSビル TEL 03-3233-6351 禁無断複写 No. 029 2017 .1.10 2 同時改定 極めて重要報酬は アウトカムベース塩崎厚労相 3 医療への ICT 利活用に 257 億円 厚労省・17年度予算案 10 合併で相乗効果 データ駆使し「次世代型 CRO」へ クインタイルズ IMS の湊日本代表 SERVICE INFRASTRUCTURE 医療情報の「匿名加工・提供機関」創設へ  政府、17年に法案提出 支払基金支部の集約化は各論併記に  厚労省・データヘルス検討会 医療情報安全管理システムGLの最新版案で議論  厚労省・検討会 専務理事にアイ・エム・エスの三好氏、厚労省出身者以外で初  支払基金 イノベ推進で財源確保、医療経済の視点も  AMED が対応方針  民間保険と対話も検討 MID-NET の試行 5 テーマを公表  PMDA 業務委  コデインやデノスマブなど 広域の医療情報連携普及へ、EHR 高度化事業の提案公募  総務省 医療分基金は前年同額、新規事業で在宅看取り整備  医政局 17 年度予算案 最適使用推進 GL に 2 億 3000 万円計上   17 年度の医薬・生活衛生局予算 MID-NET の料金、「利活用を期待する立場で設定」 厚労省・佐藤課長 NDB 薬剤データ、「院外 or 院内処方考えるきっかけに」  国がん・石川室長 NDB オープンデータの使い方  東京都をモデルに試算してみると 動画配信ネットワーク、全国 672 カ所に拡大  アイセイ薬局 3 4 4 5 5 6 7 7 8 9 11 12 13 医療ICT最前線 連載 の本号の掲載はお休みしました

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Page 1: 医療ICT NEWS FILE 20170110 vol.029

診療報酬・薬価から臨床・創薬まで 高度情報化医療の明日を伝える

株式会社じほう 〒101-8421 東京都千代田区猿楽町1-5-15 猿楽町SSビル TEL 03-3233-6351 禁無断複写

No.

0292017.1.10

2 同時改定「極めて重要」 報酬は「アウトカムベース」に塩崎厚労相

3 医療へのICT利活用に257億円厚労省・17年度予算案

10 合併で相乗効果データ駆使し「次世代型CRO」へクインタイルズIMSの湊日本代表

SERVICE

INFRASTRUCTURE医療情報の「匿名加工・提供機関」創設へ  政府、17年に法案提出

支払基金支部の集約化は各論併記に  厚労省・データヘルス検討会

医療情報安全管理システムGLの最新版案で議論  厚労省・検討会

専務理事にアイ・エム・エスの三好氏、厚労省出身者以外で初  支払基金

イノベ推進で財源確保、医療経済の視点も  AMEDが対応方針  民間保険と対話も検討

MID-NETの試行5テーマを公表  PMDA業務委  コデインやデノスマブなど

広域の医療情報連携普及へ、EHR高度化事業の提案公募  総務省

医療分基金は前年同額、新規事業で在宅看取り整備  医政局17年度予算案

最適使用推進GLに2億3000万円計上  17年度の医薬・生活衛生局予算

MID-NETの料金、「利活用を期待する立場で設定」 厚労省・佐藤課長

NDB薬剤データ、「院外or院内処方考えるきっかけに」  国がん・石川室長

NDBオープンデータの使い方  東京都をモデルに試算してみると

動画配信ネットワーク、全国672カ所に拡大  アイセイ薬局

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医療ICT最前線連載 の本号の掲載はお休みしました

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<<< INFRASTRUCTURE

 塩崎恭久厚生労働相は2017年を迎えるに当たって本紙の取材に応じ、地域包括ケアシステムの構築に向けて18年度診療報酬・介護報酬同時改定は「極めて重要」と述べ、報酬の在り方について、患者にとっての価値を重視する「アウトカムベース」の考え方を取り入れていくべきとの認識を示した。

 地域包括ケアについては「医療・介護が必要な状態になっても、できるだけ長く住み慣れた地域で暮らせるようにしようという考え方」と説明。その構築に向け、同時改定では▽医療・介護の役割分担、連携の一層の強化▽質が高くて効率的な在宅医療▽自助・互助による高齢者の自立支援―の達成を図っていくことが大事だとした。 報酬の在り方については、出来高払いに象徴される「インプット中心」の考え方から脱却し、患者の症状の変化などに視点を置いたアウトカムベースの考え方を大事にしていくパラダイムシフトが必要だと指摘した。 塩崎厚労相は昨年 11 月の未来投資会議で、20年度以降は医療・介護分野でICTを本格稼働させる方針を示しており、取材では特に介護分野でICTの整備が遅れているとの問題意識を表明。エビデンスに基づいた医療・介護につなげていくため、データプラットフォームの構築に意欲を見せた。 同時改定の財源については、「必要な財源は確保するということで鋭意努力していきたい」と述べるにとどめた。

  17 年 度 予 算 案 の 社 会 保 障 関 係 費 は 32 兆4735億円で、「骨太の方針2015」の目安に沿って前年度比4997億円増となった。概算要求時点では約6400億円増だったが、経済・財政再生計画改革工程表に基づいた対応などによって約1400億円を圧縮した。 塩崎厚労相は、今回の予算編成について「(改革で)負担増となる方への影響は十分見極めながら、約5000億円の伸びの目安を達成した」と振り返った。 また、昨年12月の経済財政諮問会議で改定版の改革工程表が決まったことを受け、「医療・介護制度改革は一体的、継続的にやっていかなければならない」と説明。団塊の世代全員が後期高齢者になる2025年問題にも触れながら、皆保険堅持のための改革の必要性に言及した上で、「その際に大事なのは、国民に必要な医療・介護を質が高いものとして効率的に提供していくこと」と話した。

2017年1月5日 【MEDIFAX】 規制・GL

同時改定「極めて重要」報酬は「アウトカムベース」に塩崎厚労相

医療・介護改革は「一体的、継続的に」

インタビューに応じる塩崎厚労相

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医療へのICT利活用に257億円厚労省・17年度予算案

 政府の健康・医療戦略推進本部の次世代医療ICT基盤協議会は、診療行為の実施結果(アウトカム)のデータ利活用によって治療法・医薬品開発などを進めるため、患者のカルテ情報や検査結果を匿名加工して研究機関や製薬企業、行政機関に提供する「医療情報匿名加工・提供機関(仮称)」の創設を提言した取りまとめを作成した。政府は取りまとめを12月27日に一般公表し、パブリックコメントを1カ月間募集する。集まった意見も踏まえ、匿名加工・提供機関の制度化に向けて、17年の通常国会に関連法案を提出したい構えだ。 匿名加工・提供機関は、政府が「日本再興戦略

2016」で制度化を目指していた「代理機関」に当たる。取りまとめは、次世代医療ICT基盤協議会の医療情報取扱制度調整ワーキンググループが、16年春から非公開で進めてきた議論を反映して作成した。背景には、国内でアウトカムに関するデータ収集や各データベース間の連携が十分に進んでいないとの問題意識がある。 17年5月施行の改正個人情報保護法により、患者の病歴などは「要配慮個人情報」と位置付けられ、従来よりも取り扱いが厳しくなる。しかし改正法施行後も、医療機関が患者のカルテ情報や検査情報について適切に匿名加工処理をすれば、患者の同意がな

 医療保険のオンライン資格確認システムの導入について、厚労省は18年度から段階的運用開始、20年から本格運用を目指している。201億円の大部分は、このシステムの開発に必要な経費が占めるとみられる。レセプト情報の利活用促進のための「NDBオープンデータ」の公表も行う。 医療保険のオンライン資格確認の基盤を活用した

「医療等分野におけるIDの導入」には42億円を計上。18年度からの段階的運用開始を目指し、システムを開発する。 このほか▽DPCデータの活用の促進等(1.8 億円)▽医療情報データベースを活用した医薬品等安

全対策の推進(6.3億円)▽医療データの利用拡大のための基盤整備(4.7億円)―などがある。 「地域医療確保対策の推進」の枠組みでは、都道府県が医師確保対策を行うための医師の研修先や勤務先、診療科などを一元的に管理するための「医師の地域的な適正配置のためのデータベース構築」に900万円を計上した。 介護分野では、小規模事業所で介護記録などのICT化を試行実施し、成果の横展開を図る、新規事業の「介護分野のICTの活用等による生産性の向上」に2.3億円を計上した。

 厚生労働省が発表した2017年度の予算案によると、「医療等分野におけるICTの利活用の促進等」に257億円を計上した。そのうち「NDBデータの利活用及び医療保険分野における番号制度の利活用推進」が201億円と、大半を占めている。

2016 年12月22日 【MEDIFAX】 事 業

医療情報の「匿名加工・提供機関」創設へ政府、17年に法案提出� �2016 年12月27日 【MEDIFAX】 規制・GL

<<< INFRASTRUCTURE

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くとも研究機関など第三者への提供は可能だ。 ただ、医療分野の研究開発で情報を利活用するためには匿名加工に一定レベル以上の技術が必要となるほか、個々の医療機関単位ではデータ量が限られるという問題がある。このため、取りまとめでは、さまざまな医療機関から情報提供を受けることができ、一定規模以上の情報を匿名加工した上で第三者に渡すことができる匿名加工・提供機関の創設を提言した。 匿名加工・提供機関は国が認定する仕組みとし、要件として▽高い情報セキュリティー▽十分な匿名加工技術▽安定的な事業運営▽データの品質確保▽患者個人向け健康情報管理(PHR)など直接的サービス提供への努力―などを示した。医療関連の研究機

関や団体が手挙げすることが予想されるが、機関が複数あると情報が分散されるため、各機関の情報の保有状況を把握し、必要に応じて情報統合を支援する中立的な「支援機関」も1つ設ける方針だ。

患者の意思で情報提供「拒否」は可能

 医療機関が匿名加工・提供機関に情報提供する場合、患者の同意は必要ない。ただし情報提供については患者に通知し、患者の判断で情報提供を拒否できる仕組み(オプトアウト方式)にする方向性を打ち出している。匿名加工・提供機関からデータを受け取った研究機関などに対しては、患者を特定するような行為を禁止する方針だ。

 厚生労働省の「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」(座長=西村周三・医療経済研究機構所長)は12月26日、報告書案について議論した。社会保険診療報酬支払基金支部の集約化と審査の一元化は各論を併記する形とした。軽微な修文にとどまらない本質的な議論もあったが、今回出た意見を加えて修正し、座長と副座長が最終的に確認することで取りまとめた。 報告書案は基本的に前回示された整理案を踏襲した。前回意見が対立した支払基金の組織・体制の在り方は各論を併記した。「組織・体制の在り方を抜本的に見直すべき」、「支部を各都道府県に残すべき」、

「支部に必要な機能がどういったものであるかを明らかにした上で、方向性を決めていくべき」との3つ

の意見を併記した。さらに「支払基金で業務改革が進まない場合には、支払基金以外の民間事業者の活用も含めて、ゼロベースで検討すべき」との考え方も盛り込んだ。 林いづみ構成員(桜坂法律事務所弁護士)は、組織・体制の在り方を抜本的に見直すことを強く打ち出すため、項目の表題や表現を修正するよう求めた。一方、松原謙二構成員(日本医師会副会長)は、医療現場の意見を聞いて改革を進めなければ混乱すると主張し、報告書案のままでよいとした。この他にも、報告書に記載された「工程表」がどの工程表を指すのか分かりづらいとの意見や、施策の主体が分かりづらいなどの意見もあった。

 厚生労働省の医療情報ネットワーク基盤検討会(座長=大山永昭・東京工業大教授)は12月21日、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(GL)の最新版の案を議論した。最新版ではネットワークの

堅牢性を技術的に確立するための方策など、医療機関や薬局、介護事業者らが講じるべきICT関連のセキュリティー対策の記載を充実させる。構成員の意見調整を経た後、パブリックコメントを募集する方向だ。

医療情報安全管理システムGLの最新版案で議論厚労省・検討会� �2016 年12月21日 【MEDIFAX】 規制・GL

支払基金支部の集約化は各論併記に厚労省・データヘルス検討会� �2016 年12月26日 【MEDIFAX】 規制・GL

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4医療 ICT NEWS FILE 2017.1.10

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 社会保険診療報酬支払基金は5日までに、専務理事に前アイ・エム・エス・ジャパン取締役バイスプレジデントの三好昌武氏が就任したと発表した。これまで専務理事のポストは厚生労働省の出身者が務めており、厚労省以外からの登用は初めて。12月27日付で理事に委嘱され、同日に専務理事に指名され

た。任期は同日から2年間。石井信芳専務理事は顧問に就いた。  12 月 17 日には伊藤文郎理事長が理事に再任され、19日付で理事長に選任された。任期は17日から2年間。木内充監事も10日付で再任された。

専務理事にアイ・エム・エスの三好氏、厚労省出身者以外で初支払基金� �2017年1月5日 【MEDIFAX】 事 業

 サイバー攻撃手法の多様化、地域医療連携や医療・介護連携の推進、IoT技術の発展など、医療情報システムを取り巻く昨今の環境の変化に対応するための改定で、最新版は4.4版となる。今後、個人情報保護法の改正に伴う変更もあり得るため、同法に正式対応したバージョンも作成される見込みだ。 4.4版では、TLS1.2によるオープンネットワーク接続に関する記載を充実させたほか、個人端末の業務利用(BYOD)の原則回避を現行版より明示的に求めている。▽必ず端末をロックする▽アプリケーション自体にパスワードを設定する▽随時バックアップを取る―などのモバイル機器の利用上の注意も盛り込んだ。 石川広己委員(日本医師会常任理事)は、GL最新版(案)について「素晴らしいものができた」と評価した一方で、現場での運用を念頭に、本文の記載に

不明瞭な書きぶりが散見されるとも指摘。その上で「パブコメは尚早ではないか」と述べた。こうした意見を受け、同日は案の了承までは至らず、委員から修正点を募った上で修正後、パブコメを実施する見通しになった。

 日本医療研究開発機構(AMED)は12月26日、今後の研究開発支援に関する方針をまとめた。医療イノベーションのさらなる推進へ、必要な財源確保を要請していくとの方針を強調。医療経済的な視点を積極的に導入することや、公的保険に加えて民間保険を活用する可能性も含めて、保険会社との対話や情報共有を検討していく考えを示した。 今回まとめた方針についてAMEDの大谷泰夫理事が日刊薬業の取材に応じ、「『オプジーボ』などの例で、研究開発サイドの空気が冷めてきていると感

じる」と危機感を示し、研究開発への財政支援の拡充も含めた対応が急務との認識を示した。その上で

「医療分野における開発の芽をつぶすことなく、今後も正当な評価を得ていくための支援にAMEDが一生懸命取り組むという意思表明だ」と強調した。 内部的な検討の場として設けた「医療研究開発推進に関する医療経済的な視点も踏まえた今後の在り方検討委員会」での意見を踏まえてまとめた。大谷氏を委員長とする内部委員会は、有識者から意見聴取しながら非公開で意見交換を続けてきた。

イノベ推進で財源確保、医療経済の視点もAMEDが対応方針  民間保険と対話も検討� 2016 年12月27日 【日刊薬業】 事 業

検討会は「医療情報システムの安全管理GL」の最新版を議論した=厚労省、12月21日

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 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は12月26日の審査・安全業務委員会で、医療情報データベース

(MID-NET)の本格運用に向け、2017年度に試行検証する5テーマを公表した。検証するのは▽コデイン含有製剤▽デノスマブとその対照薬▽非定型と定型の抗精神病薬▽DPP-4阻害剤と各クラスの糖尿病治療薬▽注目する新薬とその対照薬。

 MID-NETは18年度から本格運用を開始する予定。製薬企業が実施する製造販売後調査の代替機能として期待されている。その本格運用開始に向け、いわばテストケースとして5テーマを試行運用する。16年1月20日に開催した「医療情報データベースの運営等に関する検討会」の初会合では、17年度に試行するテーマとして14候補を挙げていたが、それを5テーマに絞り込んだ格好だ。 各テーマでは▽調査対象品目と調査目的▽検証する副作用や異常値▽その副作用をデータベースから抽出するための検索条件案―などを定めている。検証する副作用は全て既知のもの。対照薬と比較するケースも多い。 コデイン含有製剤では処方実態調査を行う。またデータベース上で、呼吸抑制に付けられる「傷病名」や「治療に使われる医薬品」「診療行為名」などに注目し、呼吸抑制の副作用が発生する割合を推定する。 デノスマブでは、重篤な低カルシウム血症に関する

 AMEDの今回の方針は〈1〉医療保険を巡る状況などを踏まえた医療イノベーションのさらなる推進

〈2〉研究開発支援における医療経済的視点の積極的導入の検討〈3〉医療保険を巡る動向などを踏まえた財政的対応に関する官民連携の推進―の3本柱で構成した。 イノベーションの推進については、医療の効率化に向けて、すでに取り組んでいる臨床ゲノム情報統合データベースの構築や創薬支援ネットワークでの取り組み、クリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)の構築など基盤整備事業の推進を掲げたほか、医療イノベの推進に必要な財源と施策を要請していくとした。 大谷氏は、財政支援を拡充する必要性に関連して、内部委員会の報告書に「例えば、医療費削減につながる新技術の開発や薬価の引き下げ等による効率化分は研究開発予算に還元すべき、という予算編成上の視点がある」と記された点に言及。「政府にそういう検討を強く期待したい」と述べた。

 医療経済的視点の具体例としては▽支援が十分ではない領域を抽出して効果的な資金配分につなげる▽開発段階から医療経済的観点も含めて実用化の可能性を評価する▽成功しなかった研究開発の情報もインフラとして共有し、同様な不成功を招かないようにするか、別の方法での活用を模索するなどの取り組みにつなげる―などを挙げた。 民間保険との関係では「非常に高額な医薬品、医療機器による医療サービスを公的医療保険の給付対象外とするかどうかも含めさまざまな議論がある」と前置きした上で、民間保険による支援の際の収支設計に必要な高額薬剤開発の将来見込みや患者数などの基礎的統計データについて、保険会社との対話や情報共有を検討するとした。 その上で、民間保険の活用の可能性も含めた官民連携の在り方について検討を喚起する考えも示した。 今回の方針は26日、AMEDのホームページで公表した。内部委員会での意見を網羅する形でまとめた報告書も併せて公表した。

MID-NETの試行5テーマを公表PMDA業務委  コデインやデノスマブなど� �2016 年12月26日 【日刊薬業】 事 業

審査・安全業務委員会に臨む近藤達也理事長(左から2人目)ら幹部(12月26日、PMDA内)

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6医療 ICT NEWS FILE 2017.1.10

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安全対策措置の影響を検証する。補正血清カルシウム値が8.5mg/dL未満の症例で副作用を抽出する。 抗精神病薬は、非定型と定型のクラスを比較しながら、高血糖または糖尿病の副作用との関連性を評価する。血糖値などの異常値や、糖尿病治療薬の処方歴、糖代謝異常の病名などから副作用との関連性を調べる。 糖尿病治療薬では、DPP-4阻害薬とその他の糖尿病薬を比較して急性心筋梗塞の発生との関連性を調べる。データベース上で、急性心筋梗塞に対して付けられる「傷病名」や治療に使われた「医薬品」「手術」、また検査値CKなどの異常値を評価する。 また一部の新薬に対しては、処方後に肝機能と腎機能の検査値に異常が出ていないかどうかを定常的

にチェックし、新たな監視手法として試行運用する。新薬は「注目する医薬品」を選び出し、対照薬と比較する予定だ。

欧米規制当局の情報交換にも参加

 PMDAは 16 年 9 月から「国際ファーマコビジランスクラスター」にオブザーバーとして正式参加していることも説明した。欧州医薬品庁(EMA)と米食品医薬品局(FDA)を中心とした取り組みで、各局が実施する予定の規制措置や公表済み情報などを共有するためのもの。月1回ペースで電話会議を開催し、守秘義務を課した上で、相手方に聞きたいことをリスト化して議題に挙げ、情報交換する。

 総務省は、クラウド技術を活用した医療情報連携基盤(EHR)高度化事業の提案を公募する。医療機関や薬局、介護施設などの双方向の情報連携や、異なる地域の医療情報ネットワーク間の連携、蓄積された診療情報の二次利用ができる基盤整備事業に対し補助を行い、効果的な地域包括ケアや地域を越えた広域の医療情報連携の全国への普及につなげるのが狙い。 提案に当たっては、補助事業終了時に、公的資金

に過度に依存せず、支出の過半を参加施設からの利用料などによって賄い、継続的・自立的に運営可能な収支計画などが求められる。補助事業を実施する体制では、病院や診療所だけでなく、歯科診療所、薬局、介護施設などが含まれ、多職種連携を実現することなどが必須要件になっている。 2017年1月31日まで公募し、外部有識者による評価会などを行った上で、補助金交付先を決定する。

 厚生労働省医政局は2017年度予算案で、16年度予算より約343億円増の2178億9500万円を計上した。地域医療介護総合確保基金の医療分は、16年度予算と同額の 903 億 7000 万円(国 602 億 4000万円、地方301億2000万円)を確保。このほか、質が高く効率的な医療提供体制の確保のために297億1000万円を盛った。新規事業には、医師による死亡診断に必要な情報を報告する看護師を対象に、法医学研修の実施を支援する「在宅看取りにおける体制の整備」で計上した2200万円などがある。

 総合確保基金の予算は、地域医療構想の実現に向けた病床機能の分化・連携に関する事業や、地域包括ケアシステムを構築するための連携体制確保を支援したり、在宅医療の体制整備に関する事業が助成対象になる。 総合確保基金以外でも、地域医療確保対策や医療安全の推進、小児・周産期医療などの体制整備などで予算を計上した。新規事業として、都道府県が医師確保対策をするのに必要となる医師情報を一元管理するデータベース構築のための900万円を盛り

広域の医療情報連携普及へ、EHR高度化事業の提案公募総務省� 2016 年12月26日 【PHARMACY NEWSBREAK】 事 業

医療分基金は前年同額、新規事業で在宅看取り整備医政局17年度予算案� 2016 年12月22日 【MEDIFAX】 事 業

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7医療 ICT NEWS FILE 2017.1.10

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込んだ。 小児・周産期医療体制の充実では2億6300万円を計上。その中には、相談件数が年々増加している小児救急電話相談事業(♯8000)について、相談内容の情報を収集・解析して事業の質向上を図る新規

事業がある。 ネットパトロールで医療機関のウェブサイトの監視体制を強化し、医業に関する情報提供の適正化を図る「医療広告等の監視強化事業」は、新規で4200万円を充てた。

 厚生労働省医薬・生活衛生局の2017年度予算案は87億6500万円(前年度比3.2%減)となった。概算 要 求 額 は 102 億 4600 万 円 だ っ た た め、14 億8100万円の減額査定。 主な予算事業では、最適使用推進ガイドライン

(GL)の策定費として 2 億 3000 万円を予算計上した。17年度からの新規事業。承認審査から上市までの間に、どのような患者への使用が必須か、もしくは最適なのかを、医薬品医療機器総合機構(PMDA)や医学会の協力を得てGLにする。概算要求段階では3億2200万円を要求していたが、減額査定されたため、PMDAの体制整備費と学会への委託費を減少して対応する。

PMDAの体制強化へ1億9100万円

 新規項目のPMDAの体制強化予算は1億9100万円を獲得した。満額回答。薬事戦略相談の拡充や、医療機器、再生医療等製品の安全対策の充実などに取り組む。 中小企業やベンチャーが革新的な医療機器を開発する際、PMDAの相談手数料や承認申請手数料を国が5割補助する仕組みがあったが、17年度からは再生医療製品も補助事業の対象に加える。予算は1500万円で前年度から増減なし。 PMDAの「アジア医薬品・医療機器トレーニングセンター」による専門人材の派遣費用は1億2200万円で増減なし。国際協力への積極参加費用は、17年秋に日本を議長国とした「薬事規制当局サミット」を開催することから予算が2700万円増額となり、1億2000万円を計上した。

MID-NET関係は6億3400万円

 安全対策では、医療情報データベースシステム(MID-NET)を18年度に本格運用するための整備費として6億3400万円を計上した。前年度からは3億 6900 万円の増額となったが、概算要求からは8900万円の減額査定。PMDAや協力医療機関以外の場所でもセキュリティーを保ちながらMID-NETのデータ解析を行える「オンサイトセンター」の整備や、システムの機能強化費用に充てる。 妊婦・小児向け安全対策の強化費用は3100万円となり、前年度から2400万円増加した。概算要求からは1500万円の減額査定。国立成育医療研究センター内「妊娠と薬情報センター」には、添付文書への追記が可能な医薬品の選定や添付文書の改訂案を検討するワーキンググループがあるが、その開催頻度を増やして検討対象品目を拡大する。また小児の用法・用量が設定されていない医薬品が多く存在する中で、使用頻度が高い医薬品を対象に、国立成育医療研究センターの「小児と薬」情報ネットワーク事業データベースなどを活用して、用法・用量や副作用などの情報を評価し、ホームページを通じて情報提供する。エビデンスレベルが高い時には、企業に伝達して添付文書の改訂や、一部変更承認申請につなげる。

血漿分画製剤などの抜き打ち検査に1億9400万円

 医薬品の信頼性を確保するための方策として、血漿分画製剤とワクチン企業に対する抜き打ち(無通告)の立ち入り検査費用1億9400万円を計上した。

最適使用推進GLに2億3000万円計上17年度の医薬・生活衛生局予算� 2016 年12月22日 【日刊薬業】 事 業

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8医療 ICT NEWS FILE 2017.1.10

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 厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課の佐藤大作課長は12月21日、日刊薬業の取材に応じ、2018年度に本格運用を始める「医療情報データベースシステム」(MID-NET)の利用料について、「製薬企業の製造販売後調査(市販後調査)の代替手段の一つとして利活用を期待する立場で、利用料の設定に向け最終調整する」と述べた。現在の方法で市販後調査をした場合に比べ、相対的にMID-NETの利用料を安く定めるとみられる。市販後調査では、規模に応じて数千万円~数億円の経費がかかっているとの試算がある。厚労省はMID-NETの利用料をまだ公表していない。 厚労省は同日、「医療情報データベース運営の経費等に関するワーキンググループ(WG)」を開き、MID-NETの利用料を3種類に分けると決めた。同WGでの検討内容を報告書にまとめ、親会議の「医療情報データベースの運営等に関する検討会」に提出する。利用料の金額は17年明けに開く同検討会で、厚労省が公表する予定。非公開の会合後に厚労省医薬・生活衛生局安全対策課が説明した。 3種類の利用料は、▽製薬企業が市販後調査で利活用する場合▽大学研究者や製薬企業がMID-NET事務局にデータの「集計表」抽出を依頼する場合▽研究者や企業が「患者単位の匿名化データ(個票)」

の抽出を依頼する場合―に分ける。

市販後調査への利用料「投与患者数」では変えず

 市販後調査に利活用する場合の利用料は、投与患者数の規模にかかわらず品目ごとに同じ金額を徴収する。集計表や個票の抽出を依頼する場合は、研究者の利用も想定されるが、利用主体の違いで料金に差はつけず、データ抽出の際に一定の条件を設定する1調査当たりの単価を設定する。 集計表や個票を抽出する場合の利用料について佐藤課長は、「企業の市販後調査で活用する半分程度の作業工程で試算した」とし、「金額も作業工程に応じた規模になる」との見通しを示した。 MID-NETの利用は、データを解析・閲覧する場所として国が医薬品医療機器総合機構などに整備する

「オンサイトセンター」に出向いて作業する形を原則に運用を始める。ただ将来的には、製薬企業などが自らの施設内にオンサイトセンターと同様の作業ができる設備を造ってMID-NETを利用する形も認める方針。WGでは、企業が造った設備が情報の漏えいなどを防ぐのに十分な安全管理体制を整えているかを確認する実地調査の費用も設定すると決めた。

化学及血清療法研究所の不正製造を発端とするもので、17年度からの新規項目。概算要求からは2億4300万円の減額査定。 後発医薬品の品質確保対策として「ブルーブック」の作成費用3億900万円も計上した。前年度か

らは300万円の減少。品質に懸念が示された後発品や、市場流通品の品質確認検査の実施方針決定、検査結果等の学術的評価を一元的に実施し、有効成分ごとに品質情報を体系的にまとめる。また国立機関や都道府県の品質確認検査も推進する。

MID-NETの料金、「利活用を期待する立場で設定」厚労省・佐藤課長� 2016 年12月21日 【日刊薬業】 事 業

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合併で相乗効果、データ駆使し「次世代型CRO」へクインタイルズIMSの湊日本代表

 クインタイルズIMSホールディングス(HD)の湊方彦ジャパンプレジデントは日刊薬業の単独取材に応じ、米クインタイルズ・トランスナショナルHDと米IMSヘルスHDが合併したことで、臨床試験の効率化と、臨床試験から市販後の情報提供までの一気通貫の受託事業、リアルワールドデータの活用の3つの機能で相乗効果が期待できるとした。

2017年1月4日 【日刊薬業】 薬局・医薬品

 米クインタイルズと米IMSは昨年10月に合併。湊氏は世界6地域のうちの一つである日本地域の代表を務める。両社の日本法人は統合されていないため、湊氏はクインタイルズとIMSジャパンの両社を束ねる立場にいる。 2015年のグローバルの売り上げは米クインタイルズが5088億円、米IMSは3435億円。従業員数は米クインタイルズ3万5000人、米IMS1万5000人の規模。両社合わせて100カ国以上で事業展開している。湊氏は「両社の合併は対等合併で人材登用は適材適所で配置される」と説明した。

IMSデータで差別化

 合併の相乗効果として湊氏が挙げた1つ目が臨床試験の効率化だ。クインタイルズが持つ製薬企業から臨床試験を受託するCRO事業に、IMSの持つ製品情報、疫学情報を加えて試験を効率的に運用する

「次世代型CRO」を目指すとした。 IMSがグローバルで持つ電子カルテ情報やレセプト情報、公の疫学情報を解析し、CRO事業に生かす。各国各地域でどのくらいの患者数がいるかや、その領域を得意とする医療機関などの情報を製薬企業の治験実施計画に反映させ試験を実施する。 またIMSが持つ医薬品の販売データを駆使し、どの適応で開発すると競合他社との差別化が図られるか、IMSの持つ各国の償還制度の情報に照らし合わせ規制当局の償還を受けるにはどういった試験設計がふさわしいかなどの情報も試験に反映させる。

 湊氏は「新薬をなるべく早く一番効果のある患者に届けるために臨床試験の各過程をいかにうまく回していくかが重要で、IMSの持っている知恵を使うことの期待値は高い」と述べ、連携によるサービス提供の準備を急いでいるとした。

一気通貫の受託「成功例いつ出ても」

 相乗効果が期待できる領域の2つ目としては、臨床試験から市販後の情報提供まで一気通貫で製薬企業から受託を受ける事業を挙げた。クインタイルズの持つCRO事業とコントラクトMRを使った医薬品の情報提供を行うCSO事業、IMSの持つ市場情報を融合させた事業だ。 湊氏は「昔は製薬企業に社員が500人いないと薬が出せないという雰囲気があったが、今は外部委託が可能な領域が広がっている」と述べ、バイオベンチャーなどが各国で事業展開する際にクインタイルズIMSがサービスを提供できると指摘。「われわれが良いポジションにいるのは間違いない。成功例はいつ出てもいい。そういうつもりで営業は動いている」と述べ、早期の受託に期待感を示した。

クインタイルズIMSホールディングスの湊方彦ジャパンプレジデント

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NDB薬剤データ、「院外or院内処方考えるきっかけに」国がん・石川室長� 2016 年12月26日 【MEDIFAX】 医療・介護

日本法人の再編「決まっていない」

 クインタイルズIMSの日本法人の再編の可能性について湊氏は「両社合わせて世界中に200社以上あり、何とか、HDでまとめてグローバルの連結決算ができる形に今している。連結決算を矛盾なく続

けながら、各国の法人をどうするか決めていくことになる」と述べ、日本法人の扱いは何も決まっていないとした。 クインタイルズIMSの日本地域の売り上げ目標については「機関投資家の売り上げ予想より上を目指していく。個別事業でも各業界の平均の成長率を上回る成果を出していきたい」と述べた。

 2016年10月に公開されたNDBオープンデータ(薬剤データ)の活用法について、国立がん研究センターの「社会と健康研究センター」臨床経済研究室・石川ベンジャミン光一室長が、本紙の取材に応じた。院内・院外処方の薬効分類別処方数が公開されているため、「例えば内用の抗がん剤について、医療機関が院内あるいは院外処方する理由や合理性を考えるきっかけになるのではないか」と指摘した。 NDBオープンデータでは、内服、外用、注射それぞれについて、院内、院外、入院ごとに14年度上位30品目の薬効分類別処方数量が開示されている。このため、院内・院外で同一品目がランクインしていれば、その品目が全国的に(あるいは都道府県別に)院内処方されるケースが多いのか、院外が多いのかが明らかになる。 例えば、抗がん剤「グリベック錠100mg」(一般名=イマチニブメシル酸塩)は全国で、院内が約315万錠、院外が835万錠と、院外処方が多い。「ゼローダ錠300 300mg」(カペシタビン)では、院内は822万錠、院外が2345万錠と同様の傾向だ。医療機関が院外処方・院内処方を選択する理由について、石川氏は「病院経営や薬剤管理など、それなりの理由がある」とし、▽患者の利便性▽薬価▽在庫管理▽服薬管理―などを挙げた。 また、抗ウイルス注射薬など品目数が多くない薬

効分類では、先発医薬品と後発品の各規格の処方数が品目ごとに分かるため、「自施設が先発品を使っているのがどの程度まれなケースなのか、データと比較すれば分かる」と説明した。 「院内処方か院外処方か」「先発品か後発品か」「どの後発品メーカーか」「どの規格か」―。NDBオープンデータから全国的なトレンドが明らかになり、自施設の状況を客観的に把握できるようになるため、石川氏は「自施設の薬剤の処方や採用の状況の合理性を検証するきっかけになるのではないか」と指摘した。

「30品目」の制約、分析には注意も

 一方で、「品目数の多い薬効分類については、分析に限界がある」と注意点も挙げた。今回は薬効分類ごとの処方数「上位30品目」までが公開されているため、30よりも品目数が多くなればなるほど、集計表から漏れる薬剤が増える。データの欠落(非公開)により、分析結果の正確性が失われたり、分析が行き詰まったりする可能性があるという。 石川氏は「品目数が多いということは、必要性の高いカテゴリーである可能性も高い。必ずしも『上位30品目』が全ての薬効分類について妥当とは言えない」と指摘。より多くの品目のデータを開示することが望ましいとした。

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 NDBオープンデータの医療機関向けの活用法について、国立がん研究センターの「社会と健康研究センター」臨床経済研究室・石川ベンジャミン光一室長に取材し、2016年11月10日付の本紙で報じた。以下は紙面の都合上、掲載できなかった具体的な計算で、石川氏の説明を基に記者が東京都をモデルに試算した例だ。 今回のオープンデータでは、14 年度診療分の各医科診療行為の算定回数が示された。その一つが

「款別性年齢別算定回数」あるいは「款別都道府県別算定回数」で、例えば「胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は 1 肺葉を超える)」の集計表だ。それによると 70 ~ 74 歳の男性では同手術は 3326 回算定された。 政府統計によると、14年の70~74歳の男性の人口は全国約368.9万人。従って、70~74歳男性について、同手術がどの程度の確率で発生したか(=レセプト出現率)が以下のように割り出せる。

3326(全国の70~74歳男性で同手術が算定された数)÷3689000(全国の 70 ~ 74 歳男性の人口)≒ 0.0009(レセプト出現率=約

0.09%)

 次に、東京都に 70 ~ 74 歳男性は約 34.2 万人いるので、34.2 万人に 0.09%(レセプト出現率)を掛けた数字が、同手術の東京都での期待値(回数)となる。

342000(東京都の70~74歳男性の人口)×0.0009(レセプト出

現率)≒308(東京都での期待値)

 「胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える)」について、70~74歳男性では東京都の人口比から言えば約300回(308回)算定されているはずだ。しかし、オープンデータによれば実際に算定された数は「2845回」で、期待値より多い。 推測できるのは、東京都では▽周辺県からの患者

の流入が多い▽全国と比較し、何らかの理由で患者の発生率が高い▽同手術の供給が大幅に過剰である―などの要因だ。 仮に実際の算定回数が200回だった場合、▽流出が多い▽患者発生率が低い▽供給が過小―など、逆の可能性が考えられる。医療機関からすると、特定の医療行為の期待値との差は、標榜科新設や医師など雇用の是非など、医療経営上重要な判断材料となるはずだ。

シェア算出も容易

 今回発表されたデータを使えば、自施設のシェアを診療行為別に算出することも容易だ。ある病院Aでは、「胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える)」について、14年度は28回算定したと仮定する。東京都の同手術の算定回数は 2845 回だったので、A病院の同手術のシェアは約1%だ。

28(A病院の同手術の算定回数)÷2845(東京都の算定回数)≒0.01(A病院の同手術のシェア=1%)

 ただ、1%というシェアが多いか少ないか、そもそも多くすべきかどうかという判断は、自施設の経営状況や規模、医療圏内での立場、所在地などによって変わり得る。実際の経営に生かすには、各医療機関が自らの施設情報を基に詳細に分析することが必要になるだろう。 以上、具体的な試算例を紹介してみた。これまでも

「患者調査」などで診療行為の総量や患者の流出・流入量の大枠は示されてきたが、石川氏の指摘するように「診療報酬体系の点数表のような細かさでどれだけの診療行為があるのかを示す詳細な資料(の開示)がなかった」。各病院やクリニックが、特定の医療行為別の自施設のシェアを比較的手軽に算出できる点がオープンデータ公開の画期性と言えるだろう。 (吉野 健)

NDBオープンデータの使い方東京都をモデルに試算してみると� 2016 年12月22日 【MEDIFAX】 医療・介護

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 アイセイ薬局は5日までに、医療広告事業などを手掛けるメディアコンテンツファクトリー(福岡市)と広告メディアサービスに関する業務提携を行い、同社が運営する動画配信ネットワーク「ヘルス・ディスプレイネットワーク」を全国672カ所に拡大すると発表した。 アイセイ薬局は2015年11月から、メディアコンテンツファクトリーと提携し、デジタルサイネージを活用した健康情報拠点事業「ヘルス・ディスプレ

イネットワーク」を全国の直営薬局316店舗で運営し、健康増進などの健康情報を動画で配信してきた。メディアコンテンツファクトリーの調剤薬局向けサイネージネットワークの拡大に伴い、両社のサイネージネットワークを広告メディアサービスとして統合し、2月から672カ所へ拡大する。 関東・中部・近畿エリアではそれぞれ100店舗を超える展開になるほか、新潟県(6カ所)と和歌山県

(1カ所)で新たに展開する。

動画配信ネットワーク、全国672カ所に拡大アイセイ薬局� 2017年1月5日 【PHARMACY NEWSBREAK】 薬局・医薬品

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TEL:03-3233-6333 FAX:0120-657-769TEL:06-6231-7061 FAX:0120-189-015

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