it機器を用いた小児救急医療支援システムの 実用性の検討 ·...

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第64巻 第2号,2005(211~216) 211 シンポジウム 動きだした小児救急 IT機器を用いた小児救急医療支援システムの 実用性の検討 至康(六甲アイランド病院小児科) 光太郎(北九州市立八幡病院小児救急センター) 哲郎(国立保健医療科学院生涯保健部) 1.はじめに 小児の救急医療をめぐる問題が各地で表面化 しマスコミに取り上げられている。厚生労働白 書の中に医療提供体制の改革スケジュールとし て救急医療の充実・確保にも「小児救急医療体 制の整備」1)と明記されていることからも小児 の救急問題が社会問題化していることが窺え る。一方,小児科学会も市民からの救急医療へ のニーズの高まりと質の高い小児医療の確保の ために「小児医療の提供体制の改革案」に取り かかった。病院小児科の集約化にともない入口 過疎の地方において小児医療が手薄になること は避けられない。このような地域格差を是正す るためにIT機器を用い小児科以外の医師に対 し診療のサポート等を行う小児救急医療支援シ ステムを考案し,その実用性を検討した。 皿.目 レット配信機能,入院が必要なとき二次病院の 紹介を行う機能からなる。このシステムの具体 的な流れを図2に示す。地域の非小児科医から 情報を受けた支援センターの小児科医はITを 活用したトリアージを小児科以外の医師に送 る。入院が必要ない場合には患者指導用のリブ 第一段階 トリアージ機能 面二段階 入院必要なし 入院必要あり 患者指導リブレット配信 受診先二次病院紹介 保護者の小児科医への救急ニーズが高まる中 で,人口過疎の地域における小児科医以外の医 師が小児救急患者を診療する際にITを用いた 支援システムが有用であることを検討すること を目的とした。 皿.方法・対象 今回検討した救急支援システムは図1に示す ように小児科以外の医師が診断に迷うときに基 幹病院の支援センターに診断を仰ぐトリアージ 機能と帰宅可能な場合に渡す患者指導用リブ 病気の説明,家庭での観 察や手当ての七三をリア ルタイムに提供し保護者 の不安や不満を軽減する。 各都道府県の救急医療 情報システムと連携し, 依頼側の近隣の受診先 二次病院を紹介する。 図1 1Tを利用した救急支援システム 診療所・病院 小児救急遮隔支援センター 小児科専門医 ①システム接続 ②團螢送億 _濾塾 ②画像撮影 P④トリアージ ③画 等に @ よる 断一壺脹 ⑤懲者指導リーフレット配 ⑨受け入れ病院紹介 非小児科専門医 ⑥搬送先匪磨機謎・ 空きベッドの顛会 n域中核病院 …\ /躯一 ③受け入れ漬諾 〔⑪概鵯. 1 小児科専門医 図2 1Tを利用した救急支援システム *山田至康 六甲アイランド病院小児科 〒658-0032兵庫県神戸市東灘区向洋町中2-11 Tel:078m858-1111 Fax:078-858-lllO Presented by Medical*Online Presented by Medical*Online

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Page 1: IT機器を用いた小児救急医療支援システムの 実用性の検討 · レット配信機能,入院が必要なとき二次病院の 紹介を行う機能からなる。このシステムの具体

第64巻 第2号,2005(211~216) 211

シンポジウム 動きだした小児救急

IT機器を用いた小児救急医療支援システムの

実用性の検討

山市田

田川中

至康(六甲アイランド病院小児科)

光太郎(北九州市立八幡病院小児救急センター)

哲郎(国立保健医療科学院生涯保健部)

1.はじめに

 小児の救急医療をめぐる問題が各地で表面化

しマスコミに取り上げられている。厚生労働白

書の中に医療提供体制の改革スケジュールとし

て救急医療の充実・確保にも「小児救急医療体

制の整備」1)と明記されていることからも小児

の救急問題が社会問題化していることが窺え

る。一方,小児科学会も市民からの救急医療へ

のニーズの高まりと質の高い小児医療の確保の

ために「小児医療の提供体制の改革案」に取り

かかった。病院小児科の集約化にともない入口

過疎の地方において小児医療が手薄になること

は避けられない。このような地域格差を是正す

るためにIT機器を用い小児科以外の医師に対

し診療のサポート等を行う小児救急医療支援シ

ステムを考案し,その実用性を検討した。

皿.目 的

レット配信機能,入院が必要なとき二次病院の

紹介を行う機能からなる。このシステムの具体

的な流れを図2に示す。地域の非小児科医から

情報を受けた支援センターの小児科医はITを

活用したトリアージを小児科以外の医師に送

る。入院が必要ない場合には患者指導用のリブ

第一段階

トリアージ機能

面二段階

入院必要なし 入院必要あり

患者指導リブレット配信 受診先二次病院紹介

 保護者の小児科医への救急ニーズが高まる中

で,人口過疎の地域における小児科医以外の医

師が小児救急患者を診療する際にITを用いた

支援システムが有用であることを検討すること

を目的とした。

皿.方法・対象

 今回検討した救急支援システムは図1に示す

ように小児科以外の医師が診断に迷うときに基

幹病院の支援センターに診断を仰ぐトリアージ

機能と帰宅可能な場合に渡す患者指導用リブ

病気の説明,家庭での観察や手当ての七三をリア

ルタイムに提供し保護者の不安や不満を軽減する。

各都道府県の救急医療情報システムと連携し,

依頼側の近隣の受診先

二次病院を紹介する。

図1 1Tを利用した救急支援システム

診療所・病院 小児救急遮隔支援センター

小児科専門医

①システム接続

②團螢送億

_濾塾  ②画像撮影

ロ  、P

④トリアージ

   ③画 等に@  よる 断一壺脹

⑤懲者指導リーフレット配 陞-

⑨受け入れ病院紹介■

非小児科専門医 \

万  ⑥搬送先匪磨機謎・  空きベッドの顛会

       「

n域中核病院

…\ /躯一

③受け入れ漬諾

蔽イ

〔⑪概鵯.

1 小児科専門医

図2 1Tを利用した救急支援システム

*山田至康 六甲アイランド病院小児科 〒658-0032兵庫県神戸市東灘区向洋町中2-11

Tel:078m858-1111 Fax:078-858-lllO

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212 小児保健研究

レットを配信する。入院の必要な場合は地域の

救急医療システムとリンクし空床を確認後,そ

の情報を小児科以外の医師に伝える。

 平成15年4月から8月,12月から翌年1月に

軽装備のIP-TV電話と中装備のノートパソコ

ンを用い神戸市と北九州市で使用実験を行っ

た。神戸市では西宮応急診療所と六甲アイラン

ド病院との間で模擬症例を用いて行った。北九

州市では開業内科医と北九州市立八幡病院との

間で日常診療の中で使用した。

 軽装備型と中装備型システムの概要および長

所,短所を図3に示す。軽装備型は上段のよう

にTV電話に外部カメラを追加したもので,内

部カメラで対話する医師の顔を流しながら外部

カメラで患者の状態や画像を写す。立ち上げ時

間が短く操作が簡単な反面,画質が低く指導用

リブレットが送れない,救急医療情報とリンク

できない等の難点がある。一方,下殺に示す中

装備型はパソコンにテレビ会議ソフトを組み込

んだものと2台の外部カメラからなり,医師の

[=====璽=====コ   [====璽====コ

       ↓内部カメラ{医師の顔)

1唖卜騰通信機器1

中装備型

ヘッドセット

ノートJtソコン

 十テレビ舎塾

ソフト

  内部カメラ(医節の顧)

    t

通信機器

外部カメラ 通信榛器

§ 通継

ヘッドセット

ノートltソコ.

 十テレビ会t

ソフト

外薗カメラ

図3 軽装備型と中装備感

心と患者の所見を同時に送る点は軽装備型と同

様であるが,画質が良い,リブレットが送れる,

救急医療情報とリンクできる等の長所の反面,

立ち上げに時間がかかる,操作が複雑,音声が

不自然等の短所がある。両システムの評価項目

と手順を依頼側と支援側に分けて図4に示す。

軽装山型では画像を内部カメラ,外部カメラご

とに画面の大きさ,画質,動きの項目で評価し,

操作性については2台のカメラのフォーカス,

映像切り替え等のほか本体の立ち上げ操作,会

話,モード切り替え等について調べた。中装備

型では調査項目はほぼ同一であるが,操作性に

ついて重点を置いた。総合評価にはスコアー化

(良い10点,普通5点,悪い0点)を用い各項

目ごとに行ったものを集計した。

】v、結 果

 六甲アイランド病院と西宮応急診療所の間で

行った軽装備の模擬症例による実験を図5に示

す。手前の外部カメラとテレビ電話の画面上部

の内部カメラで通信を行う方式である。過去の

仮性クループの症例と腸重積症の症例を受診例

に見立てた実験を行った。画面が小さく画像が

不鮮明等の難点があるものの操作性は通常の電

話と同じで簡単に操作できるため好評であっ

た。北九州市立八幡病院と診療所との間で日常

診療に使用した経験を診療所側と病院側から集

計したものを図6,7に示す。診療所からの評

価において機器操作に関しては「使いやすい」,

「まあまあ」が80%で,画像に関してもすべて「鮮

明で良好」,「おおかた判る」であり良好な評価

がほとんどであった。保護者のこのシステムに

1)軽装備型

画像(画面の大きさ,画質,動き)

内部カメラ(動画)

外部カメラ(動画,静止画)

操作性

本体(立ち上げ,会話,映像切替)

内部カメラ(フォーカス)

外部カメラ(映像切替,静止画)

2)中装備型

画像(画面の大きさ,画質,動き)

外部カメラ1・2(動画,静止画)

操作性

本体(立ち上げ,ペン操作,会話)

外部カメラ1(パソコンとの着脱)

外部カメラ2

  〈評価の手順〉

[璽コ[垂下コ

(基本操作,画像コピー)

  図4 評価項目

旧 1

1麗蹴(送信1 システム稠

遺腋擾   【

1       ↓1 通醐断   1

齢評鰍臥   i1    一転11

評価シート記入  1

評価実験のまとめ  1

神戸地区(西宮応急診療所と六甲アイランド病院)

冨   

図5 実験1

  実験

軽装備品(TV電話)模擬症例による

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第64巻 第2号,2005 213

機器操作に関して

田使い勝手が悪い

■忙しいときには無理

国まあまあ

[硬いやすい

ロその他

蚕1

@ 1

@  2

  翻         ト  一{.

C一 韓㎏P・・

_」2 1o 5 件数  10 15

保護者の反応

ロ安心し十分納得している

■特に変わらない

■却って不安がっている

I  I し現詩∵_聖         一ア『7

_曲 i}

ヨ1・

■1

O

O 5 10 15    件敷

画像に関して

ロ見えにくい

ロおおかた判る

国鮮明で良好

ロその他

0

     「滋、.二庸蹴1『ll一呪

0

e 5

件数

ID 15

本システムの有用性

ロ大いにあった

■まあまあ

●あんまりなかった

圏ほとんどなかった

l   l   l1・6

魏・

O國・

0 5 議 15 2。

図6 実験1 TV電話を用いた日常診療(診療所からの評価)

鴫器し

機器操作

I     l

6121

o

2 講数 6

麗11こちらの見せたい部分

が見にくい■2)相手任せのため、診断

などの相鼓に応じにくい

ロ3)その他

      o

8

一一

p一腿…一…O

2

1 “J“ 2 件数

3

ロ送信医での治療の衷ま

●紹介になった

ロ入院した

患者動向の結果

I  l6

■¶

@  1

o2 扇敗 e 8

ロ見やすく問題ない

■見づらく問題がある

画像判断

3

4

o 2 件数

4

11)1者の熱

●2}直緬見

0 3) 膿フf’レム

04〕全身撒   O  t  2  3  4  5  6  7

.5疑醜       轍

0

■■ 61

6

本システムの有用性

5不安が強く残     o日不安が少し残

0ほとんど不安 く対応可能

ロ十分対応可能

ieeww’‘’

1

3

4

O   l   2    3    4    5

     件数

図7 実験:2 TV電話を用いた日常診療(病院からの評価)

対する反応は診療の質の確保や他施設への紹介

においても「安心・納得」が90%を超えた。以

上より本システムの有用性に関しては1例を除

いて95%が肯定的な評価であった。一方,病院

側からの評価は診療所側からとは異なり,「操

作がしにくい」が25%で,診断における「画像

の見ずらさ」が40%を超え,本システムの有用

性について半数が不安を感じていた。このよう

に受け手(診療所)と送り手(病院)の評価に

差がでたことは受け手の診療の質を確保するに

はTV電話の画像伝送が不完全であることを意

味している。また,本システムの利用は診断に

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214

おけるトリアージ機能が75%で,紹介や入院に

なった場合は少なかった。

 中装備型の実験風景を図8に示す。画像は良

好であるが,本体の立ち上げ,カメラ操作,キー

ボード,マウス等の操作が複雑であるため応急

診療所に出臥した医師が習熟なしで扱うには難

点があった。また,音声が画像よりもワンテン

ポ遅れる,動画と静止画の切替がワンタッチで

はない,双方向のポインタ操作がない等の改善

点が明らかになった。さらに,中装備型では既

存の情報データベースとリンクが可能であるた

め,自治体の救急医療情報とのリンクが可能で

神戸地区(西宮応急診療所と六甲アイランド病院)

   症例:仮性クループ1歳3か月男児

 、麟

・「

G図8 実験1 中装備型(ノートパソコン)模擬症

 例による実験

表1 評価のスコアー化における比較

軽装備型  中装備型

画像

 内部カメラ

外部カメラ

外部カメラ

    19(動画)

(動画) 12.3

    16.3(静止画〉

操作性

 内部カメラ

    (フォーカス等)

 外部カメラ

    (モード切替等)

 本体

 (立ち上げ,ポインタ等)

総合評価(平均)

20

19

19.3

17.7

 8(カメラ1)

 ll.7

(カメラ2)

 15(カメラ1)

 20(カメラ2)

5

11.9

評価点数 良い10点,普通5点,悪い0点 各項目20

    点満点

小児保健研究

あるかについて調査を行った2)。回答のあった

41自治体中34自治体で救急医療情…報システムが

あったが,この中で中装備型のシステムとリン

ク可能であるのは兵庫,滋賀,徳島,広島,神

奈川のわずか6自治体(14.6%)に過ぎず,災

害の多発する昨今,地域における医療情報の整

備が急務である。

 これら二つのIT機器を画像と操作性に分け

スコア評価したものを表1に示す。画像は内部

カメラ(動画)と外部カメラ(動画,静止画)

にわけ,操作性は内部カメラ(フォーカス等),

外部カメラ(モード切り替え等),本体(立ち

上げ,ポインタ等)に分け検討し,各項目に数

項目の小項目を設定しその平均を大項目の評価

とした。軽装備型が画像の各項目,操作性だけ

でなく,総合評価においても中装備型を上回っ

た。

V.考 察

 以上の実験結果を表2に示す。軽装備型にお

いて操作性は良好であるものの画像が不良であ

るため画像モニター機能の改善とインターネッ

ト機能の付加が必要である。中装備型では画質

は良好なものの本体だけでなくカメラにおいて

も煩雑でありハード,ソフト両面での見直しが

必要である。なお,別途,中装備型で試用した

スキャナにおいても同様のことがいえた。IT

を用いた救急医療支援という視点から遠隔医療

として総合的にみた結論を示す。①タイプ別で

は軽装備型はトリアージ機能を果たせるが,配

信機能,救急情報システムとのリンクを実施で

きない。中装備型は画像以外のハード,ソフト

に課題がある。②被写体別では皮膚,口腔内の

画像は見にくいが,カルテ,エコー,レントゲ

ンフィルムは判別良好であった。③画像別では

動画は全体を見るのに適し,静止画は局所を見

るのに適している。両者のワンタッチ切り替え

が必要である。④その他カメラの三脚,カルテ

固定台,照明,送信側・受信側の双方間のポイ

ンタ操作,音声の遅れ等の改善が必要である。

小児救急医療を支援していくために必要と考え

られるシステムへの展望を図9に示す。2台の

カメラと本体をブロードバンドでつなぐシステ

ムにおいて外部機器では接写機能の改善,ワイ

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第64巻 第2号,2005 215

表22機種間の比較と結論

機器 画像 操作性

テレビ電話 相手医師の表情がわかる

ウ者状態は診断に耐えない

簡単で問題ない

t晶画面が小さい軽装備型外部カメラ テレビ電話の解像度は診断に耐えない リアルタイムの動画伝送が必要

閧ヤれ防止のため三脚が必要

パソコン 画質は良好 操作が極めて煩雑

ョ画はポインタが共有できない

中装備型

外部カメラ 静止画は診断に十分耐えうる

ョ画は診断に耐えない

ファイル保存作業が煩雑

閧ヤれ防止のため三脚が必要

スキャナ 診断に十分耐えうる スキャン条件設定作業が煩雑

tァイル保存作業が煩雑

@器が大きすぎる

1)軽装備型はトリアージ機能は果たせるが配信機能,救急情報システムとのリンクができない。中装備型は画

  像以外のソフトに課題がある。

2)動画は全体を見るのに適し,静止画は局所を見るのに適する。両者のワンタッチ切替が必要である。

3)皮膚,口腔内の画像が見にくいが,カルテ,エコー,レントゲンフィルムは判別良好で実用に耐えうる。

6 「  支援機器1   支援側、∠依頼側

繍鴬〕 一

國航.タ轟國  新醐    1

粥樗〕内郎

Jメラ ヘッドセット

Y糾國タッチバネ」

pソコン 図

② 轟㊨

阯支援機器2

ヘッドセット

團    パソコン國

 大型^ッチバネルーイスプレイ

へ ノ

k ヘッドセット     ノ

外部機器

システム

・3cm以内の接写,接写・遠景モードワンタッチ切替

・本体とのワイアレス化

・シャーカステン,照明雪三脚

・立ち上げの簡略化

・動画・静止画のワンタッチ切替

・テレビ会譲ソフトの開発

・エコーキャンセル機能

      図9 実用化へ向けての展望

・指導用リフレット配信機能

・救急情報とのリンク

ヤレス化,周辺機器の開発があり,システムで

は立ち上げの簡略化,ワンタッチ切り替え,会

議ソフトの開発,エコーキャンセル機能等の改

善が必要である。また,指導用のリフレット配

信機能,救急情報とのリンクも必要となる。つ

まり,現在のTV電話では不十分でありノート

パソコンではソフト,ハードで多くの改善が必

要であるが,技術的には可能である。一番大き

な問題点はこのような遠隔医療を用いた救急医

療支援システムの必要性に対する社会的なニー

ズが形成されていないことにある。この実験は

NTTデータ通信との共同研究によるものであ

るが,費用概算はハードの機器が送り手100万

円程度,受け手300万円程度であるが,ソフト

の開発には数千万の費用がかかるため実現に当

たっては全国的な多数の施設参加と厚生労働省

に支援が必要である。

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216 小児保健研究

vl.結 語

 ①TV電話による遠隔医療は実用性には向い

ているが,空床情報や指導用リブレットの配信

がともなわぬため有用とはいえない。②ノート

パソコンによるものは専用ソフトの開発により

小児科以外の医師の診療に貢献するものとなり

うる。③IT機器を用いたトリアージ機能,指

導リブレット配信,救急情報の伝達は小児救急

体制の改善に繋がる。④このような支援ソフト

が厚生労働省の理解のもとに開発され3次医療

圏ごとに普及することが望まれる。

        文   献

1>厚生労働白書・平成14年度版:第2部;主な厚

 生労働行政の動き,第2章国民が安心できる医

 療の確保,第2節医療の質の向上を目指した医

 療提供体制の充実

2)田中哲郎,市川光太郎,山田至康:IT技術を用

 いた小児救急医療支援システム,「自治体におけ

 る小児救:急医療支援システムの現況調査」

 pp127-133,㈱まほろば,2004.

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