有名人の起用期間による広告効果 -...

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17 17 有名人の起用期間による広告効果 有名人の起用期間による広告効果 短期起用 CM と長期起用 CM の比較1. はじめに 日本では有名人(celebrity)を起用した広告が多い。異文化間の広告研究に おいて、有名人広告は特に日本や韓国で普及しており、有名人はブランドの 「顔」だと指摘されている(Douglas and Craig 2007)。マーケティング・コミュ ニケーションや広告のテキストでも、Rossiter and Bellman(2005)では日本 の広告のうち 70%が、Belch and Belch(2012)では約 85%が有名人広告だと 述べられている。プラート(2000)によるテレビ CM(以下、CM と表記)の 6 ヶ国間比較によると、有名人広告の割合は日本が 47. 62%と他の国に比べ最 も多い (注 1) 。近年のデータでは、2007 年 4 月から 2012 年 5 月の間に新たに放 映された CM67, 231 件のうち、有名人を起用した CM は 36%だという(田窪ら 2012)。 有名人起用の広告効果に関する研究は、海外では多く行われている。しかし、 近年、日本においても増えてきたとはいえ、朴(2009a)が指摘するように蓄 積が多いとは言えないだろう。一方、実務においては、有名人起用の効果をよ り詳細に明らかにすることが求められている。有名人の起用コストは高く、近 年は ROI への意識も高まっているためである。しかし、実務上の課題に先行 研究がこたえきれているとはいえない。例えば、ビデオリサーチ(2009)は、

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( )17 17有名人の起用期間による広告効果

<論 説>

有名人の起用期間による広告効果―短期起用 CM と長期起用 CM の比較―

中 野 香 織

1. はじめに

 日本では有名人(celebrity)を起用した広告が多い。異文化間の広告研究に

おいて、有名人広告は特に日本や韓国で普及しており、有名人はブランドの

「顔」だと指摘されている(Douglas and Craig 2007)。マーケティング・コミュ

ニケーションや広告のテキストでも、Rossiter and Bellman(2005)では日本

の広告のうち 70%が、Belch and Belch(2012)では約 85%が有名人広告だと

述べられている。プラート(2000)によるテレビ CM(以下、CM と表記)の

6 ヶ国間比較によると、有名人広告の割合は日本が 47.62%と他の国に比べ最

も多い(注 1)。近年のデータでは、2007 年 4 月から 2012 年 5 月の間に新たに放

映された CM67,231 件のうち、有名人を起用した CM は 36%だという(田窪ら

2012)。

 有名人起用の広告効果に関する研究は、海外では多く行われている。しかし、

近年、日本においても増えてきたとはいえ、朴(2009a)が指摘するように蓄

積が多いとは言えないだろう。一方、実務においては、有名人起用の効果をよ

り詳細に明らかにすることが求められている。有名人の起用コストは高く、近

年は ROI への意識も高まっているためである。しかし、実務上の課題に先行

研究がこたえきれているとはいえない。例えば、ビデオリサーチ(2009)は、

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CM 領域において見直すべき実務課題の一つに「タレント効果」を挙げている。

 起用された有名人は、数ヶ月から1年単位で変わる場合もあれば、数年間変

わらない場合もあり、起用期間はブランドごとに異なっている。しかし、有名

人広告の先行研究においては、起用期間を扱った研究はほとんど見当たらない。

起用期間の違いによって広告効果はどのように異なるのだろうか。

 そこで、本研究では有名人の「起用期間」に着目する。本研究の目的は、有

名人を起用した広告について、起用期間による効果の違いを明らかにすること

である。まず、先行研究から起用期間に関する知見を抽出する。続いて、CM

のデータベースを使用し、有名人の起用が 2 年以内の短期起用 CM と 2 年 1 ヶ

月以上の長期起用 CM の比較を行い、起用期間と広告効果との関係を分析する。

本研究で用いるデータは CM 総合研究所から提供されたものである。1985 年

から東京キー 5 局で放映された CM が全て録画され、広告表現内容も記録され

ている。さらに、広告好意度などの調査もなされている貴重なデータベースで

ある。

2. 有名人広告に関する先行研究

2-1 有名人の定義

 最初に、広告に起用する「有名人」の定義を確認したい。先行研究では、広

告に出演する人は推奨者(endorser)もしくはプレゼンター(presenter)と表現

されており、その種類の一つが有名人である。小泉(1999)とプラート(2000)は、

先行研究における有名人の定義が不明確な点を問題だと指摘している。そのう

えで、小泉(1999)は、広告のプレゼンターを有名人、非有名人の専門家、有

名人の物まね、会社の社長・重役、一般消費者、一般モデル、と分類し、それ

ぞれについて定義している(表 1)。また、プラート(2000)によれば、アメリ

カの有名人研究においては、「アメリカというコンテキストに基づいて『有名人』

という用語を限定的に定義している」という。そのため、日本の「タレント」や「ア

イドル」といった有名人のサブカテゴリーは考慮されていないと指摘している。

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( )19 19有名人の起用期間による広告効果

 Tellis(2004)は、広告における推奨者(endorser)を、専門家(expert)、有名人、

一般人(lay endorser)に分類し、それぞれの効果を説明する理論を示している。

専門家とは、特定領域で特別な知識を持っていると知覚される個人または組織

のことである。有名人とは、エンターテインメント業界やスポーツ業界などで、

世間によく知られている人のことである。一般人とは、広告のスポークスパー

ソンとして用いられる、最初は無名の人もしくは架空の人物のことである。起

用の仕方によっては、その後有名人になることもある。

 本研究では、小泉(1999)と Tellis(2004)の分類において、すでによく知

られている「有名人」を対象とし、専門家や一般消費者などは対象外とする。

なお、日本の先行研究では「タレント」という用語も用いられるが、前述した

有名人と同じ意味で扱われている。

 さらに、有名人を起用した広告にはさまざまな推奨形式がある。McCracken

(1989)は、明示的な形式(私はこの製品を推奨する)、暗黙的な形式(私は

この製品を使っている)、威圧的な形式(あなたはこの製品を使うべきだ)、一

緒に出演する形式(広告において、単に製品と一緒に出演している)に分類し

ているが、本稿では推奨の形式については問わないこととする。

表 1 広告におけるプレゼンターの分類

プレゼンター 定義

有名人当該広告の露出以前に他の媒体において、消費者が認知している人々で、かつその広告の出演のために多額の金額的報酬を受領する人々

非有名人の専門家当該カテゴリーの専門性を知覚させるタイトル等を有するが、それまで他の媒体で個人的な認識がなされていない人々

有名人の物まね 有名人の偽者と分かる人々

会社の社長・重役 当該製品を製造または販売をしている企業の社員

一般消費者 当該製品の愛用者または体験者

一般モデル 当該広告の他での認知がない人々

(出所)小泉(1999)

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2-2 有名人による広告効果

 有名人広告の効果に関する先行研究では、Kaikati(1987)、Erdogan(1999)、

朴(2009a)が文献レビューを行っている。その他、有名人広告について記述

の多い専門書やテキストの Tellis(2004)や Belch and Belch(2012)も含めると、

有名人広告の効果を、情報源信憑性モデル、情報源魅力モデル、意味移転モデ

ル、マッチアップ仮説の4つに分類した説明が多い。この分類に沿い、簡単に

先行研究を概観する。

(1)情報源信憑性モデル(the source credibility model)

 情報源信憑性モデルとは、メッセージの有効性は情報源の信憑性に依存する

というものであり、社会心理学者の Hovland らによって提唱された(Hovland

and Weiss 1951-1952; Hovland et al. 1953)。Hovland et al.(1953)によれば、

情報源の信憑性(credibility)は、専門性(expertness)と信頼性(trustworthiness)

から構成されるという。専門性とは、伝え手が妥当性のある主張の源泉だと知

覚される程度のことであり、信頼性とは、最も妥当性のある主張を伝えたいと

いう、伝え手の意思に対する信頼の程度のことである。すなわち、情報源に知

識とそれを伝えたい動機があるかどうかによって、情報源の信憑性を判断す

ることができる(McGuire 1985; 深田 2001)。情報源信憑性モデルは、Ohanian

(1991)などによって実証されている。

 さらに、Hovland and Weiss(1951-1952)は、時間経過による信憑性の効果

を実証している。信憑性の高い情報源は、情報の提示直後は説得効果が高いも

のの、時間が経つと説得効果が減少する。一方、信憑性の低い情報源から得た

情報は、直後は説得効果が低いものの、時間が経つと説得効果が高まる。これ

は、スリーパー効果(Sleeper effect)といわれている。

 なお、Tellis(2004)によれば、情報源信憑性モデルは「専門家」の効果を

説明するのに最も適しているという。専門性と信頼性がモデルの重要な概念で

あり、専門家の特性と合うためである。

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( )21 21有名人の起用期間による広告効果

(2)情報源魅力モデル(the source attractiveness model)

 情報源魅力モデルとは、メッセージの有効性は情報源の魅力に依存すること

を意味しており、これも社会心理学から生じた概念である。McGuire(1985)

によれば、情報源の魅力の典型的な手がかりは、熟知性(familiarity)、好ま

しさ(likability)、類似性(similarity)の 3 つである。熟知性とは露出を通じ

て情報源をよく知ることであり、好ましさとは情報源の身体的魅力や行動に

よって生じる感情のことであり、類似性とは情報源とメッセージの受け手と

の間の類似のことである(McCracken 1989)。情報源魅力モデルは、Baker and

Churchill(1977)らによって実証されている。なお、情報源魅力モデルは、「一

般人」の効果を説明するのに最も適しているという(Tellis 2004)。

(3)意味移転モデル(meaning transfer model)

 こうした 2 つの情報源モデルについて、McCracken(1989)は有名人の信憑

性と魅力の程度しかわからないと批判している。情報源モデルの欠点は、①有

名人の魅力の内容を知ることはできず、どの製品にマッチするのかはわからな

いこと、②信憑性と魅力の程度以外の点で、有名人がどのように異なるかを理

解することができないこと、だという。

 そこで、McCracken(1989)は意味移転モデルを提唱した。モデルは 3 つの

ステージで構成される。ステージ 1 では、ドラマや映画において有名人が演じ

る役割によって、年代、ステータス、パーソナリティ、ライフスタイルといっ

た文化的な意味を持つようになる。ステージ 2 では、有名人が広告に出演する

と、有名人の持つそれらの意味が製品に移転する。ステージ 3 で、製品から消

費者へ意味が移転する。

 なお、意味移転モデルは、「有名人」の効果を説明するのに、最も適してい

るという(Tellis 2004)。このモデルでは推奨者の持つ文化的意味が重要にな

るため、それを持たない専門家や一般人には適用しにくいと考えられる。

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(4)マッチアップ仮説(the product match-up hypothesis)

 マッチアップ仮説とは、有名人のイメージによって伝わるメッセージと製品

メッセージが一致すると、効果的だという考え方である。マッチアップ仮説と

して提唱される以前から、推奨者のイメージと製品の調和が必要だということ

は、先行研究で示されてきた(例えば Friedman and Friedman 1979)。

 match-up の用語は 1980 年頃に使われ始めており、Forkan(1980)は

Advertising Age において製品とのマッチアップがプレゼンターの効果的活用に

は重要だと述べており、Hawkins et al.(1983)は消費者行動のテキストにおいて、

有名人のイメージと、製品イメージおよびオーディエンスの特性を合致させる

べきだとしている。その後、Kahle and Homer(1985)、Kamins(1990)、朴(2009b)、

坂本(2009)、勝又ら(2014)によって実証されている。

2-3 有名人の起用方法

 有名人をどのように起用すべきかについて、先行研究で指針が示されている。

以下では、コミュニケーション目的、起用上のリスク、起用期間、の 3 つの視

点で整理する。

(1)コミュニケーション目的

 Rossiter and Percy(1997) は、情報源信憑性モデルと情報源魅力モデルをも

とに、広告におけるプレゼンターの選択方法を「VisCAP モデル」としてまと

めている(表 2)。プレゼンターを選択する際には、コミュニケーション目的

に合わせ、プレゼンターの特性を考慮すべきだという。ブランドの認知向上が

目的の場合は、プレゼンターがどれだけ知られていて識別されやすいかを表す

「視認性」(visibility)を重視すべきであり、ブランド態度を変容させる場合は、

プレゼンターの「信憑性」(credibility)と「魅力」(attraction)を重視すべき

である。「信憑性」は、製品カテゴリーに対する知識がどれだけ豊富かという

「専門性」(expertise)と、プレゼンターの正直さや誠実さに関する評判を表す

「客観性」(objectivity)から構成され、「魅力」は、魅力的な容姿とパーソナリ

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( )23 23有名人の起用期間による広告効果

ティを表す「好ましさ」(likability)と、プレゼンターとオーディエンスとの「類

似性」(similarity)から構成される。購買意図を向上させる場合は、プレゼンター

の権威のある職業やパーソナリティを表す「権威」(power)を重視した起用

をすべきだという。

 Rossiter はその後、「CESLIP プレゼンター・モデル」として再度整理を

行っている(Rossiter and Bellman 2005)。プレゼンターの特性には、有名人

(celebrity)、専門性(expert)、誠実さ(sincere)、好ましさ(likeable)、理想

的な類似性(ideal-similar)、権威(powerful)があり、特性ごとに該当するプ

レゼンターの種類が異なっている。そこで、Rossiter and Bellman(2005)を

プレゼンターの種類別に分け、特性の説明を修正して表 3 に示した。

(2)起用上のリスク

 Keller(2008)は有名人の起用にあたり、以下の 5 点を問題点として挙げてい

る。①多くのブランドで起用される有名人は連想やイメージの点で効果的でない、

②有名人と製品の組み合わせが妥当なものでなければならない、③有名人にネガ

ティブなイメージが生じるとブランド価値が下がることがある、④有名人は推奨

ブランドを必ずしも良いと思っていないとオーディエンスに知覚されている、⑤

表 2 VisCAP モデル

プレゼンターの特性 コミュニケーション目的

1. 視認性(どれだけ知名度があるか) ブランド認知

2. 信憑性

 a. 専門性(製品カテゴリーに対する知識の豊富さ) 情報型ブランド態度戦略:低関与と高関与

 b. 客観性(正直さや誠実さに関する評判) 情報型ブランド態度戦略:高関与

3. 魅力

 a. 好ましさ(魅力的な容姿とパーソナリティ) 変換型ブランド態度戦略:低関与

 b. 類似性(ターゲット・ユーザーとの類似性) 変換型ブランド態度戦略:高関与

4. 権威(権威のある職業やパーソナリティ) 購買意図

(出所)Rossiter and Percy (1997)

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広告で有名人のみ記憶され、ブランドが想起されにくいことがあるのである。

 これらの問題をふまえた戦略的な起用方法として、①ブランドと関連する連

想を有し、その連想が移転しやすく、高い知名度がある有名人を起用する、②

ブランドと有名人との間に論理的な適合性がある、③有名人と関連する連想を

強調し、その連想を移転させやすいマーケティング・コミュニケーション戦略

を行う、を挙げている。

(3)起用期間

 先行研究では起用期間に関する言及がみられなかったが、『宣伝会議』2008 年

8 月 1 日号では、有名人の長期起用と短期起用の広告事例から、起用期間と契約

形態に対する参考指標を提示している。①認知度や好感度の高さ、②有名人(タ

レント)と商品コンセプトやブランドとの相関性、③異色の有名人同士のコラボ

レーション、④ユニークな起用理由や背景、の4点を組み合わせて有名人を起用

すると、パブリシティの増加、クチコミの醸成、ブランド力向上に寄与し、広告

効果を高められる可能性があるという。さらに、起用期間別の戦略としては、企

業広告やロングセラー・ブランドの場合は長期起用が、一気に認知を向上させる

表 3 CESLIP プレゼンター・モデル

プレゼンターの特性

プレゼンターの種類概要

有名人 専門家 一般人

有名人 ○ ブランド再生を大幅に向上したい場合、有名人を起用する

専門性 ○ ○ ○製品やサービスに関する技術的専門性か、ユーザーとしての専門性を有することが必要

誠実さ ○一般人の場合、正直そうに見え、メッセージの伝達を誠実にできることが必要

好ましさ ○専門家の場合、好ましく見えることは専門性に対する知覚を強める

理想的な類似性 ○専門家の場合、理想的だが達成できそうだとターゲットが思うプレゼンターを選択する

権威 ○ ○ 恐怖訴求の場合、プレゼンターには威厳が必要

(出所)Rossiter and Bellman (2005)を修正

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( )25 25有名人の起用期間による広告効果

場合は、時代に合った有名人の短期起用が適しているという。

2-4 有名人によるブランド構築

 岸(2000b)によれば、ブランドをロングセラーにするためには、ブランド・

アイデンティティを構成する表現要素について、長期的に一貫性を維持するこ

とが重要だという。青木(1998)も、ロングセラー・ブランドに見る共通項の

一つとして、「アイデンティファイアーの一貫性」を述べている。ブランドが

リニューアルを行っても、一目でそのブランドだとわかるよう、主要部分はほ

とんど変えず、一貫性を保っているという。アイデンティファイアーとは、ブ

ランド識別子のことで、ブランド名、ロゴ、パッケージなど、消費者がブラン

ドを識別する際の手がかりを指している。

 松本(2011)は、青木(1998)の議論をふまえた事例研究から、ブランド

を長期的に維持するためには、広告表現要素においてアイデンティファイアー

として確立したものは安易に変えるべきではなく、例えば登場人物も長期で固

定すべきだと主張している。

2-5 有名人広告に関する先行研究からの知見 

 ここまで、有名人広告に関する先行研究を簡単に概観してきた。Rossiter

and Percy(1997)は、先行研究は情報源信憑性モデルと情報源魅力モデルに

関する研究に偏っていると批判している。改めて見ても、「起用期間」に言及

されたものはほとんどみあたらない。

 先行研究では、有名人、専門家、一般人が混在して議論されていた。そこで、

以下では本研究の対象である「有名人」、および「起用期間」や「時間」に関

する知見を主に整理したい。

 有名人広告の効果を説明するモデルについては、「有名人」の起用には意味

移転モデルが最も適しているという(Tellis 2004)。時間の観点では、情報源

信憑性モデルにおいて、時間が経過すると効果が弱まることがわかっている

(Hovland and Weiss 1951-1952)。

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 コミュニケーション目的別にみると(Rossiter and Percy 1997; Rossiter and

Bellman 2005)、ブランド認知を大きく向上させるためには特に有名人起用が

有効であり、有名人の視認性(知名度)が重要となる。さらに、ブランド態度

を変容させるためには信憑性(専門性と客観性)と魅力(好ましさと類似性)が、

購買意図を向上させるためには権威が有効である。

 起用条件については、起用する有名人とブランドの間の適合度が高く、移転

しやすい連想があることが必要である(Keller 2008)。この考え方の背後には、

意味移転モデルとマッチアップ仮説があるだろう。ただし、起用上の問題点の

一つに、有名人にネガティブイメージが生じた場合が挙げられる。

 有名人の起用期間については(『宣伝会議』2008 年 8 月 1 日号)、長期起用

に向いているのは企業広告やロングセラー・ブランドの場合だという。ロング

セラー・ブランドにおいては、アイデンティファイアーもしくはブランド要素

の一貫性が重要であり、有名人もアイデンティファイアーの一部として捉えら

れる(岸 2000b; 青木 1998; 松本 2011)。一方、短期起用に向いているのは、大

幅な認知向上の場合であり、時代に合った有名人を起用すべきだという。

 以上の議論をまとめたい。有名人の長期起用に適しているのは、企業広告や

ロングセラー・ブランドなど、長期的なブランド構築を目的とした場合である。

ブランド構築には、オーディエンスのブランド態度変容も含めて考えられるた

め、信憑性(専門性と客観性)と魅力(好ましさと類似性)を重視した有名人

を起用するとよいであろう。長期起用のデメリットとしては、①情報源の信憑

性効果は期待しにくい可能性、②有名人のイメージが下がるリスクの可能性、

が挙げられる。

 一方、短期起用に適しているのは、認知向上を目的とした場合である。この

場合、視認性と鮮度を重視した有名人を起用するとよいであろう。

 長期、短期の両方に共通して有名人起用時に考慮すべき点は、意味移転モデ

ルとマッチアップ仮説の考え方をベースにした、連想の移転とブランドとの適

合性である。

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( )27 27有名人の起用期間による広告効果

3. 広告と記憶

 本節では、有名人の長期起用に関連して、広告の長期的効果にはどのような

効果があるのか、および広告表現要素と記憶との関係について説明する。

3-1 広告の長期的効果

 広告の長期的な効果に関しては、広告投下量と売上や販売量との関係につい

て、計量経済学やオペレーションズ・リサーチの方法論によって多くの研究が

行われてきた(木戸 1997; 竹内 2010b; 勝又ら 2014)。

 ブランド構築の視点から見た、広告の長期的効果の測定アプローチは、以下

の 3 パターンに分類されるという(前田・高木 2010)。①過去に放映された広

告の、現在の認知度や理解度、すなわち超長期記憶の測定、②広告の繰り返し

効果、すなわち同一広告の複数回提示による広告理解度や飽きの程度などの測

定、③あるブランドに関する複数の広告の累積効果、すなわち当該ブランドに

対する評価の測定、の 3 つである。

 ①について、岸(2000a)は超長期記憶を「10 年またはそれ以上保持される

記憶」と定義し、その特徴の一つとして、ロングセラー・ブランドの広告のよ

うに、長期間反復的に接触すると過剰に学習されることを挙げている。②につ

いて、竹内(2010b)はどんな広告イメージにも累積効果があると結論づけて

いる。特に、「面白さ&親しみ」、「親しみ」、「インパクト&説得力」というイメー

ジの CM が、累積効果を発揮することによって購買意図が高まるという。③に

ついて、木戸(1997)は広告の長期的効果は「個別の広告キャンペーンや企業

広告の効果の一部が消費者の心の中で蓄積していく過程で生起する質的な変化

の結果」だと定義し、心の中のストックだと捉えている。

 以上の議論から、広告の長期的な効果について、広告は反復接触により長期

間記憶されやすいこと、および広告が長期間出稿されると、広告表現が同じ場

合でも異なる場合でも、広告効果は累積されること、が言えるだろう。

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28 駒大経営研究第46巻第 1・2号 ( )28

3-2 広告表現要素と記憶

 続いて、具体的に広告表現のどの要素が記憶に結びつきやすいのかを見てみ

たい。岸(1994; 1997)は、広告接触時の記憶符号化についてまとめており、

形態や文字といった「感覚的分析」から、文意理解や態度形成などの「意味的

分析」へ移行すると情報処理の水準が高くなるため、記憶を保持しやすいとい

う。つまり、広告接触時の認知的反応では「概念表象」よりも「意味解釈」の

方が、感覚的反応では「表現要素への自動的反応」よりも「解釈された意味へ

の感情的反応」の方が、処理水準が高くなり、記憶されやすい。

 さらに、「映像」によるコミュニケーションは、「言語」よりも瞬時に大量の情

報処理が行われ、記憶されやすいという。その他、タレントの顔、スローガン、

サウンドロゴは情報処理の水準が低いという。長期で記憶されるためには、深い

情報処理が必要であるため、広告は何度も繰り返し行う必要があるとしている。

 以上の議論から、広告表現要素の記憶に対する効果をまとめると、出演者、

音楽、コピー、映像、ストーリーといった表現要素のうち、意味解釈を伴う「ス

トーリー」および「映像」は、他の要素に比べて記憶に残りやすく、タレント

などの「出演者」、言語要素である「コピー」(スローガンも含む)、サウンド

ロゴを含む「音楽」は記憶に残りにくいと言えるだろう。

4.仮説の導出 

 以上の議論から、有名人の起用期間に関して仮説を導出したい。まず、ブラ

ンドの視点で考えると、ブランドを構築するためにはアイデンティファイアー

の一貫性が重要であるため、有名人を短期で起用するよりも、長期で起用した

方が効果的であることがわかった。

 記憶の視点で考えると、長期で起用する広告では、有名人が継続して出演す

る広告に、消費者が繰り返し接触することで記憶されやすくなると考えられる。

広告の累積効果の点からも、短期間に異なる広告表現で展開する広告より、長

期間で表現トーンを維持する広告の方が、消費者の心に蓄積されやすいと考え

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( )29 29有名人の起用期間による広告効果

られる。そこで、以下の仮説を設定する。

仮説 1 有名人を長期で起用した広告の方が、短期で起用した広告よりも、広

告が想起されやすい

 仮説 1 では、起用期間の違いのみを見ており、出稿量は考慮されていない。

そこで、広告投下量の影響力を排除して考えてみると、出稿量が同じ場合であっ

ても有名人を長期で起用した広告は累積効果が得られるため、短期起用の広告

よりも想起されやすいのではないだろうか。つまり広告効率が良くなると考え

られる。そこで、以下の仮説を設定する。

仮説 2 出稿量が同じ場合、有名人を長期で起用した広告の方が、短期で起用

した広告よりも、広告が想起されやすい(広告効率が高い)

 続いて、どの広告表現要素が記憶への効果が高いのかを考えたい。先行研究

から、ストーリーと映像が記憶に残りやすいことがわかった。そこで有名人起

用期間との関係を考えると、上記の表現要素は記憶に長く保持されるため、有

名人を短期で起用する広告よりも長期で起用する広告において、広告想起に対

する影響力が強くなると考えられる。

仮説 3a ストーリーに関する広告表現要素は、有名人の短期起用広告よりも

長期起用広告において、広告想起に対する影響力が強い

仮説 3b 映像に関する広告表現要素は、有名人の短期起用広告よりも長期起

用広告において、広告想起に対する影響力が強い

 一方、コピーと音楽は記憶に残りにくいことがわかった。そこで、有名人を

長期で起用する広告よりも、短期で起用する広告において、各要素の広告想起

に対する影響力が高まると考えられる。

仮説 3c コピーに関する広告表現要素は、有名人の長期起用広告よりも短期

起用広告において、広告想起に対する影響力が強い

仮説 3d 音楽に関する広告表現要素は、有名人の長期起用広告よりも短期起

用広告において、広告想起に対する影響力が強い

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30 駒大経営研究第46巻第 1・2号 ( )30

5. 分析

5-1 データの説明

(1)使用するデータソース

 本研究では、CM 総合研究所による「CM 好感度調査」のデータを使用した。

東京キー 5 局からオンエアされた全ての CM 映像が 1985 年から収集され、約

70 万点の CM(2014 年 4 月時点)が保存されている。さらに、広告への評価

も調査しており、関東 1 都 6 県在住のモニター 3,000 名を対象に月に 2 回調査

を行っている(注 2)。

(2)分析データの概要

 分析対象期間は 2001 年 1 月から 2010 年 2 月(10 年 1 ヶ月間)であり、月

ごとにデータ集計したものである。分析対象の製品カテゴリーは、缶コーヒー

飲料とお茶飲料を選択した。選択理由は、製品機能が複雑でなく、低関与製品

はイメージによる差別化戦略が効果的で、広告および有名人の役割が大きいと

考えられるためである。野澤(2000)によれば、商品の購買動機別に有名人の

起用効果をみると、感性的動機で購入する商品のタイプ(菓子、飲料など)で

最も効果があることが明らかになっている。

 対象ブランドは、各飲料カテゴリーから 5 ブランドずつ、計 10 ブランドで

ある。販売が長期間行われていること、および CM 出稿が継続的に実施されて

いることを条件に選択した。

(3)使用した変数

 仮説 1 から仮説 4 の「広告想起」を測定するため、本研究では CM 総合研究

所による指標「CM 好感度‰」(広告想起)(注 3)を用いた。CM 好感度‰とは、

好きな CM もしくは印象に残った CM の 1,000 人あたりの票数である。調査対

象者に好きな CM、および印象に残った CM を 5 つまで純粋想起させ、作品ご

とに「CM 好感度の票数」を集計している。調査サンプル数による影響を排除

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( )31 31有名人の起用期間による広告効果

するため、CM 好感度‰= CM 好感度の票数/調査サンプル数× 1,000、の式

によって‰を算出している。印象に残った CM の純粋想起という意味で、本研

究では広告想起を測定する尺度として用いている。

 仮説 2 の「広告が想起される効率」を測定するため、「CM 効率」を算出した。

CM 効率とは、放送回数あたりの CM 好感度である。CM 好感度‰を放送回数

で割り、100を掛けて算出した。CM の投下量による影響を排除し、CM 自体の「効

率の良さ」を意味している。なお、放送回数とは CM 作品ごとの放送回数である。

 仮説 3、仮説 4 の広告表現要素を測定するため、まず CM 総合研究所による

指標「CM 好感要因」(注 4)を用いた。CM 好感要因とは、CM 好感度で挙げられ

た CM に対して好感を抱いた理由、もしくは印象に残った理由である。15 項

目から複数選択させている。本研究では、広告表現要素に関する 5 項目「出演

者・キャラクター」「宣伝文句が印象的」「音楽・サウンドが印象的」「ストーリー

展開が面白い」「映像・画像がよい」を使用した。

 続いて、この CM 好感要因を用いて、広告想起に対する各表現要因の影響力

を測定するため、「好感度票数あたりの好感要因」(広告表現要素の影響力)を

算出した。各好感要因を CM 好感度の票数で割った、CM 好感度に占める各好

感要因の割合である。

 全ての仮説に共通して用いる指標として、「有名人月齢」がある。有名人月

齢とは、出演した有名人の継続起用期間である。本データベース 1,182 件にお

ける出演者名コードから、有名人の起用期間や CM 内容を確認し、著者がコー

ド化した後、別の研究者1名が確認した。なお、本データベースは 2001 年 1

月以降のデータであるが、それ以前から継続して起用されている有名人の広告

もある。それらの広告については、2000 年 12 月以前のデータを確認し、最初

に起用された月を 1 として、有名人月齢をコード化した。

 この有名人月齢を用いて、全 CM を「短期起用 CM」「長期起用 CM」に分け

た。有名人月齢の平均値が 22.59 ヶ月であるため、起用期間を 2 年(有名人月

齢 24)で分け、短期起用 CM は有名人の起用が 2 年以内の CM、長期起用 CM

は 2 年 1 ヶ月以上の CM とした。

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32 駒大経営研究第46巻第 1・2号 ( )32

(4)データ概要(10 ブランド)

 1,182 件のデータベースから、①有名人を使用していない、② CM 効率が

200 以上、③放送回数が 1 回以下、のデータを除外し、978 件を使用した。②

のCM効率の平均値は8.06であり、値が200以上のCMは1本しかなかったため、

外れ値とみなした。③の放送回数は、1 回では広告を想起するのに少なすぎる

と判断した。

 その結果、CM シリーズ数は 96 シリーズ、CM 作品数は 978 件(短期起用

CM550 件、長期起用 CM428 件)である。使用データの記述統計は表 4 のとお

りである。

5-2 仮説の検証

 広告想起に関する仮説 1、仮説 2 を検証するため、CM 好感度、CM 効率、放

送回数について、有名人の短期起用 CM と長期起用 CM で比較し、それぞれ t

検定を行った(表 5)。CM 好感度については、短期起用 CM の値は 13.44、長

期起用 CM の値は 13.53 であり(t(976.00)=-0.06, n.s.)、有意な差はなかった。

そのため、仮説 1 は棄却された。

 CM 効率については、短期起用 CM の値は 6.56、長期起用 CM の値は 10.00

であり(t(809.50)=-4.95, p<.001)、0.1% 水準で有意であった。そのため、仮説

2 は支持された。参考として、放送回数についても差があるかを見てみたとこ

ろ、短期起用 CM の値は 210.03、長期起用 CM の値は 153.77(t(967.82)=5.88,

p<.001)であり、0.1% 水準で有意であった。

 結果をまとめると、広告の想起されやすさについては、短期起用 CM と長期

表 4 使用データ 記述統計表

平均値 標準偏差 最小値 最大値

CM 好感度‰ 13.48 22.20 0 204.67

CM 効率(放送回数あたり CM 好感度) 8.06 10.62 0 116.67

放送回数 185.41 153.78 2 873

有名人月齢 22.59 28.54 1 173

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( )33 33有名人の起用期間による広告効果

起用 CM では差がみられなかった。広告が想起される効率については、短期起

用 CM より長期起用 CM の方が、放送回数が少なくても効率が高いことが明ら

かになった。

 続いて、広告表現要素に関する仮説 3 を検証する。好感度に占める好感要因

(ストーリー展開、映像・画像、宣伝文句、音楽・サウンド、出演者・キャラ

クター)について、短期起用 CM と長期起用 CM で比較し、それぞれ t 検定を

行った(表 6)。ストーリーに関する仮説 3a については、短期起用 CM の値は

0.26、長期起用 CM の値は 0.25 であり(t(832.45)=0.70, n.s.)、有意差はなく、

仮説 3a は棄却された。映像に関する仮説 3b については、短期起用 CM の値は

0.23、長期起用 CM の値は 0.28 であり(t(840.83)=-3.57, p<.001)、0.1% 水準で

有意であった。そのため、仮説 3b は支持された。

 コピーに関する仮説 3c については、「宣伝文句」で測定した。短期起用 CM

の値は 0.15、長期起用 CM の値は 0.19 であり(t(772.16)=-3.05, p<.001)、0.1%

水準で有意であったが仮説とは逆の結果であるため、仮説 3c は棄却された。

音楽に関する仮説 3d については、「音楽・サウンド」で測定した。短期起用

CM の値は 0.28、長期起用 CM の値は 0.18 であり(t(886.17)=7.07, p<.001)、0.1%

水準で有意であったため、仮説 3d は支持された。なお、出演者についても参

考として、短期起用 CM と長期起用 CM のどちらにおいて、より影響力を発揮

するのかを見てみた。その結果、短期起用 CM の値は 0.70、長期起用 CM の値

は 0.67 であり(t(919.00)=1.51, n.s.)、有意差はなかった。

表 5 短期起用 CMと長期起用 CMの比較(CM好感度、CM効率、放送回数)

n 平均 標準偏差 t 値 自由度 p 値 仮説

CM好感度‰短期起用 CM 550 13.44 23.23

-0.06 976.00 0.95 n.s. 仮説 1棄却長期起用 CM 428 13.53 20.83

CM効率短期起用 CM 550 6.56 9.46

-4.95 809.50 0.00 *** 仮説 2支持長期起用 CM 428 10.00 11.69

放送回数短期起用 CM 550 210.03 161.22

5.88 967.82 0.00 ***長期起用 CM 428 153.77 137.49

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 結果をまとめると、広告表現要素のうち、映像とコピー(宣伝文句)は、長

期起用 CM において影響力が強く、音楽は短期起用 CM において影響力が強い

ことが明らかとなった。なお、出演者は、短期起用・長期起用のどちらの CM

においても影響力が強い。

5-3 結論

 本研究では、有名人広告における起用期間に焦点をあて、短期で起用される

場合と長期で起用される場合で、広告効果がどのように異なるかを明らかにし

てきた。広告の想起されやすさについては、短期起用 CM と長期起用 CM では

差がなかった。これは、放送回数の違いが影響している可能性がある。放送回

数の平均は、短期起用 CM の方が長期起用 CM よりも多い。通常、新しい広告

の出稿当初は放送回数が多いため、短期間に多く放映された CM が想起されや

すいのは当然かもしれない。一方、長期起用 CM については、先行研究の結果

から、同じ有名人が継続して出演する CM の反復接触により、想起されやすい

ことを予想していた。これらのことから、効果が相殺されて短期起用 CM と長

期起用 CM では広告想起に関して違いがみられなかった可能性がある。

 続いて、広告想起の効率については、仮説通り、長期起用 CM の方が短期起

表 6 短期起用 CMと長期起用 CMの比較(広告表現要素)

n 平均 標準偏差 t 値 自由度 p 値 仮説

ストーリー展開 短期起用 CM 511 0.26 0.23

0.70 832.45 0.48 n.s. 仮説 3a棄却長期起用 CM 410 0.25 0.26

映像・画像がよい

短期起用 CM 511 0.23 0.22-3.57 840.83 0.00 *** 仮説 3b

支持長期起用 CM 410 0.28 0.24

宣伝文句が印象的

短期起用 CM 511 0.15 0.15-3.05 772.16 0.00 *** 仮説 3c

棄却長期起用 CM 410 0.19 0.19

音楽・サウンドが印象的

短期起用 CM 511 0.28 0.277.07 886.17 0.00 *** 仮説 3d

支持長期起用 CM 410 0.18 0.17

出演者・キャラクター

短期起用 CM 511 0.70 0.251.51 919.00 0.13 n.s.

長期起用 CM 410 0.67 0.24

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( )35 35有名人の起用期間による広告効果

用 CM よりも効率が高いことがわかった。これは、同じ出稿量の場合、長期起

用 CM の方が想起されやすいことを示しており、広告の累積効果が影響してい

ると考えられる。

 広告表現要素については、短期、長期起用 CM ともに、広告想起に最も影響

が大きい要素は出演者であった。その他、長期起用 CM の広告想起に影響が大

きかったのは映像とコピー(宣伝文句)であり、短期起用 CM の広告想起に影

響が大きかったのは音楽であった。

 結果のうち、仮説が支持されたのは長期起用 CM における映像と、短期起用

CM における音楽である。映像は先行研究で指摘されているとおり、大量の情報

処理が行われて記憶されやすいため、長期起用 CM の想起に力を発揮したと考

えられる。コピー(宣伝文句)は仮説と逆の結果となったが、繰り返し訴求さ

れることでコピーの認知が高まり、長期起用 CM において影響力が高まった可

能性がある。一方、音楽は先行研究で指摘されたとおり、情報処理の水準が低い。

さらに、音楽はオーディエンスの注意喚起もしやすいため、短期起用 CM にお

いて影響力が強いと考えられる。ストーリーについては、意味の解釈を伴うた

め、情報処理の水準が高く、記憶されやすいことを予想していたが、短期起用

CM と長期起用 CM で差がみられなかった。CM の 15 秒という短い時間では、深

い意味の解釈まで至らず、記憶されやすいわけではないかもしれない。

6.おわりに 

 本研究の目的は、有名人を起用した広告について起用期間に焦点をあて、期

間による効果の違いを明らかにすることであった。まず、先行研究から起用期

間に関する知見を抽出し、次に CM 総合研究所による CM のデータベースを使

用して短期起用 CM と長期起用 CM の比較を行い、起用期間と広告効果との関

係を分析した。

 先行研究の知見からは、長期でブランドを構築するためには、アイデンティ

ファイアーの一貫性を保つため、有名人も長期で継続起用した方がよいことが

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36 駒大経営研究第46巻第 1・2号 ( )36

示されていた。その際、有名人の信憑性(専門性と客観性)と魅力(好ましさ

と類似性)を重視して起用することが重要である。長期間起用する際のデメリッ

トは、情報源の信憑性効果は弱まる可能性がある点、および有名人のイメージ

低下というリスク発生の可能性がある点、である。

 一方、大幅に認知を向上させるためには、短期間の有名人起用が適している。

その際、知名度があり、話題になりやすい有名人を起用するのがよい。さらに、

起用期間に関係なく、有名人を起用する上で考慮すべき点として、①有名人の

イメージとブランドイメージとの間の適合度が高いこと、②ブランドと関連の

ある連想を持つ有名人を起用すること、③その連想が有名人からブランドへ移

転しやすいようなコミュニケーションを行うこと、が指摘されている。

 有名人の起用期間と広告効果との関係の分析からは、以下のことがわかった。

広告の想起されやすさについては短期起用 CM と長期起用 CM で差がなかった

ものの、広告想起の効率については、短期起用 CM よりも長期起用 CM の方が、

効率が良いことが明らかとなった。広告表現要素については、長期起用 CM に

おいて特に映像とコピー(宣伝文句)の影響が大きく、短期起用 CM において

は音楽の影響が大きいことが明らかとなった。

 以上の結果から、ビジネス上のインプリケーションを提示したい。企業は、

話題性を喚起するため、飽きさせないためなどの理由で、広告に起用する有名

人を短期間に変えることも多い。しかし、ブランド構築を目的とするならば、

起用した有名人を安易に変更せず、長期の継続起用も積極的に検討すべきであ

ろう。長期で起用すれば、ブランド構築に役立つだけでなく、広告が思い出さ

れやすくなる。つまり、出稿量に対する広告想起の効率も高まる。長期起用の

広告表現においては、特に映像とコピーに工夫をし、それらが印象に残るよう

な広告制作をすると良いだろう。また、長期で同じ有名人を起用し続けない場

合でも、同じようなイメージを持つ有名人を起用することで、類似したイメー

ジを醸成することができ、累積効果によって広告が想起されやすくなる可能性

もある。

 ただし、同じ有名人を使い続けることによるリスクも存在する。長期間にわ

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( )37 37有名人の起用期間による広告効果

たる契約期間中に有名人にネガティブなイメージが生じた場合、当該ブランド

のイメージも低下してしまう。

 他方、認知を一気に高めたい場合は、短期で起用すると良いだろう。広告表

現においては、特に音楽が印象に残るような広告制作が効果的である。

 本研究の意義は、一点目に、有名人広告の起用期間に焦点をあてたことであ

る。実務においては検討すべきテーマの一つであるものの、先行研究において

はほとんど扱われてこなかった。そこで、先行研究から、起用期間に有用な知

見をまとめたこと、および長期起用 CM と短期起用 CM の比較から、広告想起

に対する効果の違いがわかったことは、研究と実務の両方において重要だと考

える。二点目に、約 10 年間という長い期間を対象に CM の分析を行ったこと

である。前述したとおり、本研究で用いたデータベースは、1985 年から全て

の CM が記録された貴重なものである。このように長期間にわたり、広告を用

いた時系列の分析ができるデータベースはほとんど存在しない。

 本研究における課題は、測定変数とデータベースに関してそれぞれ二点ずつ

挙げられる。測定変数については、一点目に、ブランドに関連した変数を測定

できていない点である。本来であれば、長期で有名人を起用することでブラン

ド構築に貢献すると考えられるため、ブランド態度などの変数を測定すべきで

ある。しかし、今回はデータ上の限界から、広告想起率の変数のみを用いてい

る。二点目に、本研究では広告想起を測定するために使用した変数「CM 好感

度‰」が、広告想起と好感度の両方を含んでいる点である。「CM 好感度‰」は、

好きな CM および印象に残った CM を純粋想起させている。そのため、この変

数は広告想起のみを測定できていない。

 使用したデータベースについては、一点目に、製品カテゴリーが限定されて

いる点である。今回は、缶コーヒーとお茶飲料の計 10 ブランドのデータを用

いているものの、別の製品カテゴリーでは異なる傾向が出る可能性がある。今

後は製品カテゴリーを拡大し、さらなる研究を行いたい。二点目に、長期起用

CM は広告表現のシリーズ数が限られていることである。つまり、同じ有名人

を継続して起用する場合、キャラクター設定や表現のトーン&マナーを変えず、

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38 駒大経営研究第46巻第 1・2号 ( )38

同じシリーズで広告を展開することが多い。そのため、個別の広告表現による

影響が、より強くなっている可能性がある。

 今後の研究課題として、三点が挙げられる。一点目に、有名人の起用が効果

的でない場合を考慮し、起用を前提に考えるべきではないことである。ブラン

ドを構築するためには、有名人やキャラクターに依存しない広告表現の方がよ

いという指摘もある(鈴木・木戸 2006)。鈴木らは、お茶飲料を対象に広告想起、

ブランド連想、購入量の関係を分析している。起用した有名人やキャラクター

に関する正の連想が強いブランドは、広告想起率が高いものの、ブランド連想

の内容に有名人やキャラクターが多い場合、購入に結びつきにくいという。さ

らに、ブランドを構築するためには、有名人による成果は短絡的なものだと指

摘している。本研究では、有名人が起用された広告を対象としているが、有名

人の起用を手放しで推奨するものではない。有名人の起用効果は十分、吟味す

るべきである。

 二点目に、ブランド力を考慮することである。竹内(2010a)は、ブランド

力の大きさによって、継続的な広告想起率が異なることを明らかにしている。

ブランド力が大きい場合、継続的な広告想起率の残存効果が大きく、ブランド

力が小さい場合は当該期間の広告投下量による影響が大きいという。本研究で

は有名人の起用期間のみに着目し、広告想起率の違いをみてきたが、今後は、

ブランド力という変数も取り入れることによって、より詳細な効果を明らかに

することができるだろう。

 三点目に、推奨形式を考慮することである。文化的背景の違いから、海外と

日本では広告表現の傾向も異なる。例えば、小泉(1999)は有名人広告におけ

る伝達方法に言及している。先行研究では「有名人が推奨する」形式が多く扱

われてきたが、小泉が調べた日本のCM 281本のうち、推奨形式は非常に少なく、

CM 内で単にその商品を使用する形式が多かったという。このように、海外と

日本では文化や推奨形式が異なるため、今後はそれらも細かく考慮しなくては

いけないだろう。

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( )39 39有名人の起用期間による広告効果

謝辞

・ 貴重なデータを提供してくださった CM 総合研究所の関係者の皆様に心より感謝い

たします。本研究のために何度もデータを作成してくださり、記して感謝いたします。

・本稿は、2011 年 11 月 13 日に日本広告学会第 42 回全国大会で報告した、中野香織、

松本大吾、大瀬良伸、仁科貞文、亀井昭宏(2011)「テレビ CM における有名人起用

と広告効果 ―CM 好感度調査を中心として」を元にまとめ直し、筆者が論文執筆し

たものである。研究グループのメンバーである早稲田大学 亀井昭宏先生、青山学院

大学 仁科貞文先生、東洋大学 大瀬良伸先生、千葉商科大学 松本大吾先生に、貴重

な助言を頂きました。記して感謝いたします。

(注 1)主役が登場する広告における有名人広告の割合を調査している。他の国は、

アメリカ 20.69%、フランス 15.57%、ドイツ 9.64%、スペイン 6.90%、オラン

ダ 3.92%である。

(注 2)CM 好感度のモニター数は、1987 年当初は 500 名を対象に、月に 1 回調査を

実施していたが、1991 年 7 月には対象者を 1,000 名に、2000 年 1 月には対象者

を 1,500 名へと拡大した。2004 年 4月以降は、月に 2回、各回 1,500 名を対象に(合

計 3,000 名)調査を実施している。

(注 3)「CM 好感度」は、CM 総合研究所が作成した変数である。

(注 4)「CM 好感要因」は、CM 総合研究所が作成した変数である。

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