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2011-AFC 3 平成 23 年度 日本食品マーケティング調査 (フランス) 2012 3 日本貿易振興機構(ジェトロ) 農林水産・食品部 パリ事務所

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2011-AFC

3

平成 23 年度

日本食品マーケティング調査

(フランス)

2012年 3月

日本貿易振興機構(ジェトロ)

農林水産・食品部

パリ事務所

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【免責事項】

ジェトロは、本報告書の記載内容に関して生じた直接的、間接的、派生的、特別の、付随的、ある

いは懲罰的損害及び利益の喪失については、それが契約、不法行為、無過失責任、あるいはその他の

原因に基づき生じたか否かにかかわらず、一切の責任を負いません。これは、たとえ、ジェトロがか

かる損害の可能性を知らされていても同様とします。

本報告書は信頼できると思われる各種情報に基づいて作成しておりますが、その正確性、完全性を

保証するものではありません。ジェトロは、本報告書の論旨と一致しない他の資料を発行している、

または今後発行する可能性があります。

本報告書には、ジェトロの公式見解ではなく外部委託先の論考、意見が含まれます。これらについ

てジェトロは一切の責任を負うものではありません。

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目次

1.フランスの農林水産業および食品産業 ............................................ 1

1-1.フランスの農林水産業および食品産業の概要 .................................. 1

1-2.フランスの食品流通 ........................................................ 2

1-2-1.フランスの食品小売市場 ............................................... 2

1-2-2.フランスの食品流通組織 ............................................... 5

1-2-3.大手流通グループの PB商品 ............................................ 6

1-2-4.大手流通グループの最近の動向 ......................................... 7

2.貿易 ......................................................................... 9

2-1フランスの農産品貿易 .................................................... 9

2-2日本との貿易 ........................................................... 10

3.フランスの日本食市場 ....................................................... 11

3-1.日本食ブーム .......................................................... 11

3-2.日本食品の取り扱い .................................................... 13

3-3.日本産食品の流通経路 ..................................................... 16

3-4.フランスでみられる主な日本食品 ........................................... 19

3-4-1.しょうゆ ............................................................ 19

3-4-2.食酢 ................................................................ 19

3-4-3.のり ................................................................ 20

3-4-4.日本酒・ビール ...................................................... 20

3-4-5.みそ、インスタントみそ汁 ............................................ 21

3-4-6.各社の日本食シリーズ ................................................ 21

3-5.日本産食品の競合商品 ..................................................... 23

3-5-1.緑茶 ................................................................ 25

3-5-2.米、米菓 ............................................................ 26

3-5-3.のり ................................................................ 26

3-5-4.ソース類 ............................................................ 26

3-5-5.インスタントめん、乾めん、生めん .................................... 26

3-6.日本産の強みと他国産の強み ............................................... 27

3-7.日本産食品の課題 ......................................................... 30

4. 原発事故以降の日本食を取り巻く環境 ...................................... 31

4-1. 原発事故後の日本産食品の輸入への影響 .................................... 31

4-2. 原発事故の日本食産業への影響 ............................................ 32

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4-3. 市場の信頼維持・回復のための取り組み .................................... 33

5.日本産食品の市場の回復に向けた今後の対策 ..................................... 36

6.消費者アンケート ............................................................. 38

参考:大規模小売店舗における日本食品の小売価格例 ............................... 49

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1.フランスの農林水産業および食品産業

1-1. フランスの農林水産業および食品産業の概要

フランスの面積は 55万 1695km2と日本の 1.5倍で、農用地面積は国土の半分を占め、EU農

用地面積全体の 16%と EU最大である。農業生産高も EU全体の 19%を占め、EU最大の農業

国となっている。特に穀物、牛肉は EU最大の生産量で、この他に小麦、てんさい、とうもろ

こしなどの穀物、ぶどうや牛乳、ワインなどの生産量が多い。

また、人口は約 6,487万人と日本の半分であるが、フランスの出生率は 2.02%とヨーロッ

パでは最も高く、老齢人口の割合が横ばいであることと高齢化がきわめて穏やかであること

で、食料消費市場の堅調な伸展が見込まれている。

2008年のフランスの国内総生産(GDP)1に占める農林水産業は 1.8%(350億ユーロ)、ま

た食品産業は 1.7%(327億ユーロ)となっており、これら二つを合わせた食品・農林水産物

部門の GDPに占める比率は、1980年の同 6.8%と比較してほぼ半減している。2008年の同部

門の雇用者数は合計 140万人で、全雇用者数の 6%に相当する。1980年の同 12%と比較する

と半減しているが、これは農業人口が大きく減ったことによる。

食品産業の規模

フランスの食品産業は約 55万人を雇用し、フランス産業全体の付加価値の 13%を占める。

食品産業全体の企業 6万社のうち、従業員 20名以上あるいは年間売上 500万ユーロ以上の企

業数は 3000社を数え、フランスの食品産業売上全体の 95%を占める。これら企業のうち、

食肉加工品、乳製品、パン、菓子類、飲料水の 5部門だけで食品産業の付加価値の 60%を占

める。なかでも最も大きいのは食肉加工品部門で、企業数の 1/4近くを占め、食品産業の付

加価値の 18.5%を占めている。

フランス食品産業の概況(2008年)

売上高

(千ユーロ)

付加価値

(千ユーロ)

企業数

食肉加工品、食肉調理品 31,457 4,901 811

水産加工品 2,945 547 106

野菜・果実加工品 7,794 1,440 185

植物・動物油脂 3,528 349 30

乳製品 25,668 3,343 305

1 IMF統計に基づくと、2010年のフランスの国内総生産は 2兆 5550万ドルで、国民1人あたり 34092ドルであっ

た。

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穀物・アミラーゼ 6,443 1,190 109

パン・菓子類 10,174 2,326 358

その他の食品 25,548 5,471 483

動物用飼料 11,530 1,402 215

飲料水 22,362 5,460 474

合計 147,450 26,430 3,076

(出所:仏農業省 Enjeux des industries agroalimentaires 2010)

1-2.フランスの食品流通

1-2-1.フランスの食品小売市場

フランスの小売市場は、ハイパーマーケット、スーパーマーケット、ハードディスカウン

トストアなどの大規模流通が 7割近くのシェアを占めている。この大型マーケット市場の内

訳をみると、大手流通グループ 6社による市場占有率が 78.3%、さらに上位 10位で同 88.4%

と寡占化が進んでいる。フランスで展開している主要流通業者 10社のうち、卸専門のキャッ

シュ&キャリーの「メトロフランス」を除く 9社が小売業を行っている。

食品小売市場における販売業態別市場シェア(2010年)

(単位:%)

業態別 2008年 2009年* 2010年**

専門食品店 17.5 17.5 17.5

うち、パン屋・菓子屋 6.8 6.9 6.8

肉屋 4.6 4.6 4.5

その他の専門食品店 6.8 6.9 6.8

小規模小売食品店および冷凍食品専門店 5.6 5.5 5.6

大規模食品店 66.9 67.2 66.6

うち、ハイパーマーケット 29.9 30.2 29.7

スーパーマーケット 35.7 35.8 35.6

デパート、その他の非食品専門店 1.6 1.5 1.6

店舗以外での販売業態(市場、通販など) 4.2 4.1 4.2

その他の業態による販売(生産者直販など) 4.2 4.2 4.5

合計 100.0 100.0 100.0

*暫定値 **予想値

(出所:INSEE)

フランスの食品小売業は、売場面積と食品部門売上げ比率に応じて、以下のように分類さ

れる。

①ハイパーマーケット

売場面積は 2500m2以上。うち、食品部門の売上げが全体の 1/3以上を占める(平均売場面

積は約 5,600 m2)。郊外立地型で、通常大きな駐車場を完備している。

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②スーパーマーケット

売場面積は 400m2以上 2,500m2未満。うち、食品部門の売上げが全体の 1/3以上を占める(平

均売場面積は約 1250 m2)。

③ミニスーパー

売場面積は 400m2 未満。

食品小売店舗数でみると、ハイパーマーケットがフランス全国で約 1,100店(3.3%)、ス

ーパーマーケットが約 8,100店(24.4%)、ミニスーパー以下の食料品店は約 24,000店

(72.3%)である。スーパーにおいては、食品のほか、一般生活用品雑貨が販売されるが、

ハイパーマーケットでは、そのほか家電・衣類・靴・書籍・園芸・スポーツ用品など、生活

をとりまくあらゆる商品が取り扱われている。

これ以外に、販売商品の価格帯を基準にした以下の販売業態の分類がある。

④ハードディスカウントストア(平均売場面積は 600m2)

アイテム数を絞り込み、商品のほとんどがプライベート・ブランド(以下PB)商品により

構成されている。商品陳列も最低限の作業量ですむようパレット・ボックスのままである。

ハードディスカウントストアを展開しているのは、ハードディスカウントストアの専門グル

ープである独系の「リドル」、「アルディ」と、大手流通グループが傘下で展開するハードデ

ィスカウント店舗(カルフールの「Ed」、カジノの「Leader Price」など)がある。

⑤総合食料品店

「フォション」、「エディアール」など高級食料品が中心となっている。大手食品流通グルー

プでは、全業態(GMS、SM、HD、CVS)を網羅しているが、売上額の中心はハイパーマーケッ

トである。その一方で、都市や顧客層に応じて、小型店戦略、あるいはディスカウント専門

店などと小売販売業態を市場傾向に応じて展開している。

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フランス国内流通グループ上位 10社

企業名

2008年

売上高

(ユーロ)

市場シェア 食品比率 非食品比率 展開店舗名

カルフール

Carrefour 479.30億 21.10% 79% 21%

Carrefour

Carrefour Market

Carrefour City

Shopi, 8 à huit, Ed

ルクレール

E.Leclerc 323.00億 14.20% 69% 31%

Leclerc

Leclerc Express

アンテルマルシェ

ITM Intermarché 290.25億 12.70% 82% 18%

Intermarché

Intermarché

Express

Ecomarché

Natto

カジノ

Casino 274.91億 12.10% 72% 28%

Géant, Casino

Monoprix,

Monop ‘,

Franprix,

Leader Price

オーシャン

Auchan 237.56億 10.40% 67% 33%

Auchan,

Simply Market

A2 Pas

システムユー

Systeme U 178.52億 7.80% 85% 15%

Super U

Hyper U

U Express

コラ

Cora 83.15億 3.70% 66% 34%

Cora, Match

Truffaut

Animalis

リドルフランス

Lidl France 66.83億 2.90% 89% 11% Lidl

メトロフランス

Metro France 50.60億 2.20% 57% 43%

Metro

Planete Saturn

アルディマルシェ

Aldi Marche 28.70億 1.30% 89% 11% Aldi

(出所:M&M Planet Retail 2009)

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1-2-2.フランスの食品流通組織

食品流通企業の流通ロジスティックのほとんどが、購買センター(部門)を要として商品

の調達を行っている。購買センターが各企業内に全品目を統括したかたちで存在している場

合と、外部の専門企業に委託している場合があり、また、それぞれが全国レベルで統括して

いる場合と地方ごとに分割されている場合とに分けられる。たとえば、カジノ、カルフール

の購買センターは全国レベルで統括されているが、アンテルマルシェ、ルクレールは全体の

仕入ロジスティックにおいて、地方購買センターの比重が大きく、ルクレールの場合は地方

購買センター経由が 40%を占める。システムユーでは、仕入れのうち、50%が全国レベルの

購買センターを通じて購入され、30%が地方レベルの購買センター、また 20%が各店舗責任

者により直接購入されている。

フランス国内の食品市場の 90%は 5つの購買センター(全国に約 400カ所)を通じて流通・

販売されているといわれている。規模的に最も大きいのが、カルフールグループ傘下の購買

センターで全体の 26.2%、次いで Lucie社(ルクレールとシステムユーの共同購買センター)

が 23.8%、Opéra 社(カジノ、コラ、フランプリ、リーダーズ・プライス、モノプリの共同

購買センター)が 15.7%、アンテルマルシェが 14.4%、オーシャンが 12.9%というシェア

になっている。

フランスの食品流通の主な流れ

納入業者

調達

流通業者

顧客

食品製造業者 非食品製造業者

購買センター 地方レベル/全国レベル/国際レベル

大型食品店舗 専門店 独立系、フランチャイズ系小売店

卸・小売 小売・通販 小売

業者 個人

通販

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1-2-3.大手流通グループの PB 商品

大手流通グループにおいて、消費者獲得のための戦略として大きく成功しているのが PB商

品の展開である。PB商品は、流通グループ側が開発し、独自の製造仕様書をもとに下請けの

製造業者に大量製造させることで均一な品質かつ低価格が実現したものである。PB 商品は、

もともと全国ブランド商品よりも安い商品を提供するための戦略であったが、価格の安さ(一

般商品よりも 10~30%安い)に加え、品質のトレーサビリティーも含め、製造段階から品質・

安全性が流通グループにより確保されているという安心感も後押しして、2002年以降、毎年

3ポイントの成長を続けている。大規模店舗では PB商品が販売数量の 4割、売上高の 3割近

くを占めており、その重要度は高まる傾向にある。

主要流通グループの売上げに占める PB 商品のシェア(2009 年)

カルフール(Carrefour) 28%

ルクレール(Leclerc) 27.6%

カジノ(Casino) 30.3%

アンテルマルシェ(Intermarché) 33.8%

オーシャン(Auchan) 25.6%

合計 32.3%

(出所:Secodip 2010)

PB商品の戦略について、カルフールを例にあげてみる。カルフールは 1976年に初めて PB

商品として作られた「Produits Libres」から始まり、85年にはカルフールマークをつけた

PB商品を発売した。05年には、プロモデス(Promdès)2グループの買収により 20近くに増

えた PB商品をカルフール内で再編した結果、既存の PB商品も含む 6種類3のカルフール PB

商品を打ち出し、さらに、09年には低価格帯製品への消費者の志向のシフトを受けて、既存

のカルフール PB商品に加えて、新たな PB商品のラインナップ「カルフール・ディスカウン

ト」を発表した。現在、その品目数は 400点を数える。

カルフールの例にみるように、他の大手流通グループにおいても、展開する PB商品は、顧

客呼び込みのための「導入 PB商品」(最安値)、「メイン PB商品」、「プレミアム PB商品」と

いうように、はっきりと区別され、差別化が明確になされている。

オーシャン、カルフールでは品目数はごく尐ないものの、エスニック食品コーナーに日本

食品の PB商品を展開している。

2 Champion、Dia、Shopi、Huit 8などのスーパーマーケット、ミニスーパーがカルフールに統合された。 3 Carrefourマークのみの他に N°1(食品、非食品)、Tex(衣類)、Agir Carrefour(持続的発展価値のシンボル

として)、Sélection Carrefour(やや高級食品)、Reflets de France(地方物産色の強い食品)

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大手流通グループの PB 商品位置づけ

導入 PB商品 メイン PB商品 プレミアム PB商品

カルフール

Carrefour Discount

N°1

BlueSky

Carrefour Carrefour Sélection

Reflets de France

ルクレール ECO+ Marques repères

Nos régions ont du talent

オーシャン Produit pouce Auchan

システム U Bien Vu Produits U U Sélection

アンテルマルシェ Top Budget

St.Eloi

Capitaine Cook

Pâturage

カジノ Prix Gagnant

Premier Prix Casino Casino

Casino Délice

Casino Désir

Casino Palmaères

1-2-4.大手流通グループの最近の動向

60年代に登場したハイパーマーケットは、大規模面積の売場で一度にすべての買物ができ

るというコンセプトで一世を風靡した。特に 90年代以降は、毎年 30以上のハイパーマーケ

ットが新設オープンされ、現在ではフランス全国で 1300店を数える。しかし、ここ数年、広

すぎる店舗と多すぎる商品数、レジの行列、プロモーション(セール)と称しても実は安く

なっていない商品など、消費者のハイパーマーケットに対する満足度は下がっている。この

ハイパーマーケット離れにブレーキをかけるべく、大手流通グループでは、「ディスカウント

商品」「PB商品」といった価格の差別化の明確化(例:オーシャン)、新しいコンセプトの導

入(例:カルフールの「Carrefour Planet」)などを試みている。

●ドライブ

「ドライブ」とは、インターネットで商品の注文を行い、受取指定場所(店舗併設が多い)

のドライブインコーナーで注文商品を車に積み込んでもらうというシステムで、従来の店舗

訪問型ショッピングとオンラインショッピングの中間に位置する。マクドナルドの「ドライ

ブスルー」からインスピレーションを受けたものといわれる。2006年にオーシャンが最初に

試験的に導入した「ドライブ」システムは、その後、ルクレール、システムユー、カジノに

おいても次々に取り入れられている。

一般店舗の増設には商業都市計画認可の手続きが必要だが、「ドライブ」システムは倉庫

の設置(1000~1200m2)だけですみ、投資コストを低く抑えられることなど、消費者にとっ

て利便性が高いだけではなく、企業側としても経営上メリットがあることから、大手流通グ

ループは特に地方において今後、さらなる展開を図ろうしている。

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主な大手流通業者のドライブ導入状況(2011年 3月現在)

ドライブ数 売上げ

オーシャン 59カ所 未公表

システムユー 230カ所 1億ユーロ

ルクレール 65カ所 1億 7900万ユーロ

● 都市型コンビニエンスストア

ハイパーマーケットの減退に対し、都心のミニスーパー型店舗の展開が、近年、加速して

いる。2005年にモノプリが始めたミニスーパー型の「Monop'」を皮切りに、ほかの流通グル

ープも追随すべく、同タイプ店舗を展開している。カルフールは「Carrefour City」や

「Carrefour Express」、システムユーは「U Express」、アンテルマルシェは「Intermarché

Contact」や「Intermarché Express」、オーシャングループも2011年1月から「A2 Pas」をオ

ープンしている。これらのフランス版コンビニエンスストアともいうべきミニスーパーは、

エコロジー精神とモダンな雰囲気を全面に出した店舗構えで、特にパリ首都圏を中心に展開

されている。モダンな軽食用のサンドイッチやスナック、ドリンク、果物などを中心にした

商品揃え、イートインコーナーの併設、早朝から深夜までの営業と都会人の生活様式に対応

したものになっている。

パリ市に限定してみると、2000~10年の 10年間にハイパーマーケットの数は 3店舗と変

わりはなく、スーパーマーケットも 247店舗から 251店舗とほぼ横ばいである。一方で、ミ

ニスーパーが 77%増の 364店舗となり、特に 2007年以降、急増している。

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2.貿易

2-1.フランスの農産物貿易

フランスは農産物の輸出大国で、農産物輸出額は米国、オランダ、ドイツに次いで世界第

4位である。農産物の貿易収支は軒並み輸出超過となっており、2010年の農産物の輸出額は

365億 6500万ユーロ、輸入額は 312億 9300万ユーロで、貿易黒字額は 52億 7200万ユーロ

であった。輸出額のシェアが最も大きいものはワイン(15.1%)、次いで小麦(8.5%)、蒸留

酒(5.8%)、チーズ(5.7%)、とうもろこし(3.5%)となっている。一方、輸入品目は分散

しており、調理済み食品(3.6%)、大豆かす(3.6%)、菓子類(3.4%)、チョコレート(3.3%)、

たばこ(3.2%)となっている4。

フランスの農産物の輸出入額の変遷

237

266.7 266.7 265.9279.8 282.1

291.6 291.3 293.9 300.2

325.4

347.0362.3

330.5

365.7

176187.8

198.5 197.6209.5

222.5 228.1 226.8 234.7 242.1258.3

281.1

311.0296.7

312.9

0

50

100

150

200

250

300

350

400

1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

億ユ

ーロ

輸出

輸入

(出所:INSEE)

4 FAO統計より。林業・水産物除く。

億ユーロ

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2-2.日本との貿易

日本との貿易はフランスの輸出超過で、フランスからは主にアルコール飲料(ワインなど)、

原動機、香水・化粧品などが日本に輸出されている。フランスから日本への輸出額のうち、

食品・農産物は全体の 16.5%と大きなシェアを占めており、なかでもワインのシェアが食品・

農産物輸出額のほぼ半分に達している。一方、日本からの主要輸入品は自動車、原動機、二

輪自動車などで、食品・農産物の割合は 1%に満たない。

日仏貿易統計(2011年)

(金額単位:千円)

輸入(日→仏) 輸出(仏→日) 仏の対日貿易収支

総額 647,660,188

936,636,199

288,976,011

うち食品・農産物 3,506,931

142,143,650

138,636,719

食品・農産物の割合(%) 0.5 15.2

(出所:日本財務省貿易統計)

日本財務省貿易統計によると、日本から輸入されている主な農産物のうち、輸入額シェア

が最も大きいのはアルコール飲料(10.9%)で、次いで緑茶(6.8%)、ほたて貝(6.6%)、

しょうゆ(5.7%)などとなっている5。

5 www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_gaikyo/fra.html

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3.フランスの日本食市場

3-1.日本食ブーム

1958年、パリにフランス初の日本食レストランがオープンして以来、日本食レストランの

数は徐々に増加し、80年代には 50軒を数えるほどになった。その後、特に 90年代以降、マ

ンガや日本映画などを通じて日本文化への関心が高まったこと、また、世界的な健康志向ブ

ームが追い風となり、「日本食=すし=健康食」というイメージが定着したことから、日本食

レストランの数は爆発的に増加した。2005年から年 20~25%増の勢いで増加してきた日本食

レストランの数は、過去 5年で倍となり、現在、パリ市内に 550軒、パリ首都圏(イルドフ

ランス地域圏)まで含めると約 1,146軒、フランス全国での合計数は 2,458軒6にのぼる。こ

の数はフランス国内のマクドナルドの店舗数 1,300軒を凌駕している。

全国の日本食レストランのうち、日本人経営あるいは日本人がシェフとして携わっている

レストランは全体の 1割弱といわれ、残りはアジア系、ユダヤ系経営の日本食レストランで

ある。これら日本食レストランのほとんどが「すし屋」、あるいは「すし・焼き鳥レストラン」

で、どこも画一的なメニュー構成である。90年代後半からはテイクアウト・宅配専門のすし

チェーン店、2004~05年には、中華レストランの日本食レストランへの転業が多くみられ、

「すしブーム」に大きく貢献した。また、地方で展開する日本食レストランの大部分は、「Sushi

Shop」「Planet Sushi」「Sushi West」などの大手すし専門チェーン店によるものである。「日

本食レストラン=すし」というイメージにやや偏りがあるものの、このすしブームにより、

日本食(すし)はフランス人の食生活に確実に浸透しつつある。

フランス外食産業市場調査機関、GIRAによると、2009年のフランスでの外食産業市場の売

上は 725億ユーロで、そのうち 300億ユーロが軽食(Restaurant rapide)7による売上であ

る。フランス全国の日本食レストラン市場は約 8億 6400万ユーロ(GIRA調べ)と見込まれ、

規模的にはまだ小さい。

日本食レストランの大半が軽食のカテゴリーに入るものだが、一般の軽食での1人あたり

の支出額が 8ユーロであるのに対し、日本食レストランの「すしメニュー」は平均 13ユーロ

と、軽食のなかでも「高級」の位置づけとなっている。日本食レストランで食事をするフラ

ンス人のプロフィールは主に「都会に住む、活動的な 30代の管理職」であり、また一般の簡

易食堂の平均価格よりも高いのは、生鮮魚を使う料理の「品質の保証」という見方がされて

6 2011年 12月イエローページ調べ。 7ファーストフード、テイクアウトや宅配、パン・サンドイッチ屋、総菜屋、スーパー内のイートインやカフェテ

リアなど

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テイクアウト専門のすしチェーン店の展開

1998年に創設された Sushi Shopは、現在パリを中心にフランス国内で 50店舗(う

ち、60%がフランチャイズ店舗)を構え、売上は 2006年から 10年までの 4年間で

450万ユーロから 7,000万ユーロと飛躍的に伸びた。売上の 80%はテイクアウト・

宅配販売となっており、パリや地方大都市ではレストラン展開も行っている。

人気の若手フランス料理シェフ、シリル・リニャック氏をコンサルタントとして

起用し、魚以外の食材も駆使した創作すしの展開で人気となった。11~12年には星

付きレストランシェフのジャン=フランソワ・ピエージュ氏をコンサルタントに迎

え、新しいレシピ開発を行う。

また、テイクアウトボックスのパッケージングもモダンなイメージを全面的に出

したものになり、11年には日本人デザイナー、高田賢三氏とのコラボレーションで

「レッドボックス」を展開した。レッドボックスは高級志向を狙ったデザインで、

36カン入り 50ユーロで販売される。

いる。

●すしの中食化

すしは、外食から中食へと拡大しており、すし専門テイクアウト店や中華総菜店のほかに

ハイパーマーケットやスーパーマーケット、ミニスーパーの総菜コーナーではパック詰めさ

れたすし(以下、「すしパック」)が一般的に販売されるようになってきている。宅配すしサ

ービスでは大手すし宅配専門チェーン店(Sushi Shop、Planet Sushi、Sushi Westなど)の

ほかに、宅配専門店(Allo Sushi、Go Sushi、Generation Sushiなど)が増え、その数はピ

ザの宅配サービス並みに普及している。

また、すしパックの製造元としては、欧州最大のメーカーのマルコ・ポーロ・フーズ社(Marco

Polo Foods)がある。1999年に設立された同社は「Yedo」ブランド名でチルドすし・冷凍す

しの生産を行っている。フランスのロワール・エ・シェール県の工場で製造される同社のす

しパックは、フランス市場の 85%と独占的な地位を占めており、2010年の売上は 3,000万ユ

ーロであった。同社のすしパックはフランス資本系のハイパーマーケット、スーパーマーケ

ットの魚介総菜コーナーで販売されているほか、社員食堂系の Avenance、Eurest、Score

Serviceやテイクアウト店でも取り扱われている。製造は有機すしも含む 55種類の品にわた

り、1日に 50万食を製造販売している。

その他、パリ市内を中心とする「まつり」(Matsuri、回転すしチェーンレストラン)や、

水産食品加工業のヴィヴィエ・ド・フランス社(Viviers de France)が「コテ・ファール」

(Coté Phare)のブランド名ですしパックを 2007年から販売した。これらに追随するように、

2008年にログロワ社(Logloys)が「モン・スシ」(Mon Sushi)のブランド名で、2009年に

はオセアン・デリス社(Océan Délices)がそれぞれすしパック製造を開始している。また、

最近では、スモークサーモンやフォアグラを製造するラベリ社(Labeyrie)が一部のモノプ

リですしパックの試験販売を開始した。

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3-2.日本食品の取り扱い

フランスにおける日本食品の市場規模は、日本食料品店の小売販売や日本食レストラン向

けの卸販売を合計して、約 3,500万ユーロと推計される。日本食品は、パリ市内では日本食

料品店やアジア系スーパーマーケットのほかに、フランス資本のハイパーマーケット、スー

パーマーケット、デパートなどでも取り扱われている。

●日本食料品店

パリ市内では、日系で最も古い「京子食品」のほかに、「十時や」、「七菜や」、「WORKSHOP ISSE」、

韓国系の「K-マート」、ベトナム系の「かなえ食品」がある。日系の 4店舗 3社はそれぞれ日

本食材を専門にした輸入業務を行っており、小売のほかに卸売業務も行っている。

●中華系スーパーマーケット

パリ市内の中華街(パリ 11区のベルヴィル地区と 13区)に集中する中華系スーパーマー

ケットでは、低価格帯の商品を中心に、日本食材の品揃えが豊富にある。日本食材は中華系

輸入業者のタンフレール社(Tang Frères)、パリストア社(Paris Store)のほか、アジア系

のタンビンジョン社(Thanh Binh Jeune)、タンソンイメックス社(Thanh Son Imex)、また

日系輸入業者では JFCや Foodexから仕入れている。

●韓国系スーパーマーケット

パリ市内での店舗数は尐ないものの、食材に共通点が多いことから日本食品も多く取り扱

っている。また、近年、調味料や乾めん、スナック菓子などでは韓国食品の割合が急増して

いる。

●フランス資本系のハイパーマーケット、スーパーマーケット

店舗面積が大きいところほど、「エスニック食品」のコーナーが大きく設けられている。日

本食品では、しょうゆ、酢、のり、わさび、ガリなどすし関連の食品は一通り揃えられ、こ

のほか、米菓、インスタント食品(ラーメン、みそ汁)など、調理をあまりせずに食べられ

るものが中心となっている。また、ブランド化された商品群(例:「Sushi Chef」、「Tanoshi」

ブランドなど)がみられるのも特徴である。これには、日本食商品のラインナップがブラン

ドで統一されているほうが、客も日本食品として見分けやすいということと、店舗バイヤー

にとってはメーカー個別に取引するよりも手間が省けるというメリットがある。商品の大半

は日本以外のアジア諸国産で、フランス人消費者が購入しやすい価格になっている。

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●デパートの高級食品コーナー

高級食材を揃えていることで定評のある、ギャラリーラファイエットデパートのグルメ館

「ラファイエット・グルメ」と、ボンマルシェデパートの食品館の「グランド・エピスリー」

(ともにパリ市内)にそれぞれ「日本食コーナー」が設けられている。「ラファイエット・グ

ルメ」の日本食品コーナーは「日本・タイ食品コーナー」となっており、日本食品が中華系

食品(中華系しょうゆなど)と混じらないように配慮されている。取扱品目数は「グランド・

エピスリー」のほうが多く、日本産の高級食品も取り扱われている。

●冷凍食品専門チェーン店

フランス最大の冷凍食品専門チェーン店「ピカール」において、レトルト食品の「異国料

理シリーズ」に、中華、タイ、インドネシアと並んで日本料理がある。10年以上前に「冷凍

すし」が発売され、現在では、ラーメン、焼き鳥、鮭ちらしずし、鮭照り焼き弁当など 10種

類の商品が販売されている。価格は、すし 10カンで 8.4ユーロ、焼き鳥 12本セットで 6.5

ユーロなど、ほかの商品価格とほぼ同じ価格帯である。

●有機食品専門店

フランスでは有機食品に対する関心の高まりから、近年、ハイパーマーケットやスーパー

マーケットにおける有機食品商品の種類は PB商品も含め格段に増えている。また、有機食品

専門店8も増加しており、全国の有機食品専門店は 2010年には 2,254店を数え、2006年の 1,676

店から 30%以上の増加となっている。

もともと、有機食品専門店では日本食品というよりも、むしろマクロビオティックの観点

から健康食品というアプローチで商品を展開している。日本食品では、しょうゆ、みそ、イ

ンスタントみそ汁、緑茶などがあり、豆腐などの日配食品はほとんどがフランス国内で製造

されたものである。有機食品専門店で最も多くみられる日本食品(しょうゆなど)のブラン

ドとしては、「Lima」があげられる。

8 ビオ・セボン(Bio c'bon)、ビオコープ(Biocoop)、ナチュラリア(Naturalia)、ラ・ヴィ・クレール(La Vie Claire)、

ビオ・ジェネラシオン(Bio Génération)、レ・ヌーボーロバンソン(Les Nouveaux Robinson)といったチェーン店のほか、パ

リ市内では、エラン・ナチュール(l'Elan nature)、ビオ・モワ(Bio-moi)、ラ・ナチュール・ア・パリ(La nature à Paris)、

ビオ・サンジェルマン(Bio Saint-Germain)、ビオデッサ(Biodessa)、ナチュール・デュヴェルネ(Nature Duvernet)、パリ・

ビオ(Paris Bio)などの独立系も多い。

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日本食品を取り扱い企業・店舗

社名 住所 電話、FAX URL

日系食品卸・小売

JFC France(卸のみ) 101 avenue Louis Roche,

92230 Gennevilliers (T) 01 40 86 42 00

Foodex(卸のみ) 4 impasse des Carrières,

75016 Paris (T)01 46 47 44 39

(F) 01 46 47 44 74

Kioko 46 rue des Petis-Champs,

75002 Paris (T) 01 42 61 33 65 www.kioko.fr

(F) 01 40 15 91 00

Otodoke Sarl(Jujiya) 46 rue Sainte Anne,

75002 Paris (T) 01 42 86 02 22 www.otodoke.fr

(F) 01 40 20 05 67

Workshop Issé 11 rue Saint Augustin,

75002 Paris (T) 01 42 96 26 74 www.workshop-isse.fr

Kanae 118 rue Lecourbe,

75015 Paris (T) 01 40 59 98 03 www.kanae-paris.com

(F) 01 40 59 85 63

Nishiki Dori Market

www.nishikidori-market.com

(オンラインショップのみ)

アジア系食品卸・小売

Thanh Binh Jeune 20 avenue de Verdun,

94200 Ivry sur Seine (T) 01 46 70 89 99 www.thanh-binh.com

(F) 01 46 70 89 91

Tang Frères 48 avenue d’Ivry,

75013 Paris (T) 01 45 70 80 00 www.tang-freres.com

(F) 01 53 61 16 03

Paris Store 44 avenue d’ivry ,

75013 Paris (T) 01 44 06 88 18

韓国系食品卸・小売

K-Mart 8 rue Sainte Anne,

75001 Paris (T) 01 58 62 48 74

Ace Mart 63 rue Sainte Anne (T) 01 44 97 56 80

Hi Mart (Ace Mart 系列) 71 bis rue Saint Charles,

75015 Paris (T) 01 45 75 37 44

Euro Mart 17 avenue Emile Zola,

75015 Paris (T) 01 45 77 42 77

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3-3.日本産商品の流通経路

流通については、日本から直接フランスに輸入される場合がほとんどだが、商品や業者に

よっては、フランス以外の EU加盟国へ輸入されてから、フランスに移送されるものもある。

特に多いのが、オランダ経由でフランスに輸入されるケースである。ある輸入業者から、ス

イスと比較してフランスでの通関は時間がかかり、特に原発事故後、フランス輸入時の通関

がさらに遅くなった(震災後は 15日から 3週間以上にも及ぶことあった)という話も聞かれ

た。

次に日本産食品、東南アジアでの日系メーカーによる現地生産食品、韓国産食品について

それぞれ、事例を挙げてフランスの消費者までの流れを概括する。

フランスでは、日本のような「商社」「卸」「小売」の棲み分けは特になく、フランスの小

売業者が直接輸入業務も行い、同時にレストランや流通小売店に卸すこともある。同様に日

系輸入業者にも小売店を兼ねているところや、フランス現地流通小売店やレストランに卸し

ているところもある。

日本産食品でも、商品によってフランス(海運は基本的にル・アーヴル港がコンテナ輸入

港)に直接入る場合と、他の EU域内国(オランダのロッテルダム港、ドイツのハンブルグ港

など)を経由してフランスに入る場合がある。例としてカレールーをあげると、あるアジア

系輸入業者は、ベルギーの輸入業者を通じてオランダのロッテルダム港から商品を輸入し、

フランスまで陸路輸送している。一方、別の輸入業者では日本から直接フランスにコンテナ

輸入(海運)している。オランダに比べてフランスは、一昔前までは通関時の問題が発生す

るリスクが高いという話があったが、最近ではその差はほとんどなくなってきたという。し

かし、輸入業者によっては、商品によってフランスへの直接輸入とオランダ(あるいはドイ

ツ)経由とに振り分けているところがある。

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日本食品の一般的な輸入・流通経路

日系メーカーの国外産商品事例:A社のタイ産「冷凍餃子」

日本

オランダ

海運

フランス輸入業者

店舗 レストラン アジア系小売店

消費者

ドイツ

海運

EU域内

タイ

フランス輸入業者

海運

日本食品店 レストラン アジア系食品店

消費者

現地生産

日本

本社

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日本国外生産の日本食品事例:「Tanoshi」ブランド

日本食ブランドは日本も含む海外での OEM 生産が中心であり、フランス側であらかじめコンセプト設計をした仕様書に基づいた

生産が行われ、生産国からフランスに輸入される。

本社 Distriborg France社

日本

フランス

海運

フランス流通グループ 中央購買センター

消費者

輸入・リパック等

フランス

タイ

韓国

中国

原料調達・OEM生産

スーパー・ハイパー

仏小売店 仏通販業者

ネット販売

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3-4.フランスでみられる主な日本食品

3-4-1.しょうゆ

フランス市場ではどの流通経路においてもオランダ産のキッコーマンのしょうゆが最も多

く普及している。日本人以外が経営している日本食レストランでテーブルに常備されている

卓上しょうゆがキッコーマン製品であることもあり、「しょうゆ」と「キッコーマン」が同義

語になっているほど同社の浸透率は高い。欧州域内で製造されていることもあり、価格的に

も手頃である(150ml入りで 2.8ユーロから)。

また、同社では「甘いしょうゆ」を製造・販売している。これは、非日系日本食レストラ

ンで出される「照り焼きソース」がフランス人に受け入れられていることから考案された。

日本食レストランでは、残ったご飯に甘いしょうゆをかけて食べるフランス人の姿がみられ

る。

スーパーマーケットなどで販売され、最も汎用されているキッコーマンしょうゆ(150ml)

は 3.1ユーロから 3.9ユーロの間である。その他の日本産メーカーでは、ヤマサ(150ml入

りで 4.4ユーロ)、ヤマト(300mlで 8.2ユーロ)、サンビシなどがみられたが、いずれも欧

州産キッコーマンよりはやや高めの価格帯になっており、取扱店はかなり限られる。しょう

ゆは日系メーカー以外に、「Tanoshi」「Oishiya」などのブランドが出している OEM商品や大

手流通グループの PB商品、有機食品ブランドの商品、他のアジアのメーカー(Suzi Wanや

Amoyなど)の商品も多く販売されている。そのほとんどは中国産で、価格はキッコーマンし

ょうゆよりも安い。ラベル上は「Sauce Soja」(仏語で「しょうゆ」の意)と書かれているだ

けで、一般フランス人消費者には区別はつかない。

3-4-2.食酢

アジア食料品店や日本食料品店では、すし酢を中心に日本メーカーの食酢が取り揃えられ

ている。酢全般(穀物酢、米酢、すし酢など)ではミツカンが主力メーカーで、日本産、米

国産、英国産の同社商品が取り扱われている。すし酢ではミツカンのほかにキッコーマン(日

本産)の商品(日本産、英国産)もあり、あるアジア食料品店では、日本産(360ml)が 4.78

ユーロ、英国産(250ml)が 2.80ユーロと、1リットルあたり 18%ほど日本産のほうが高い。

また、アジア食品店ではミツカンのドレッシングも多く販売されているが、ほとんどが米

国産である。韓国食料品店や日本食料品店では、日本産と米国産のミツカン商品がみられ、

日本産の米酢(500ml)5.6ユーロ、米国産の米酢(355ml)2.9ユーロと、1リットル当たり

にして日本産のほうが 35%以上高い。

一方、現地小売店では食酢の取り扱いは尐なく、非日系メーカーの日本食品ブランド

(「Tanoshi」、「Saitaku」など)が一商品としてすし酢を販売している程度である。すし酢は、

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すし飯の材料としてフランス人にも使われているが、米酢などの商品はフランス人の食生活

には浸透していないことが背景にある。

3-4-3.のり

材料さえ揃えれば比較的簡単に調理できることから、巻きすしを家庭で作るフランス人が

増えている。地元小売店では日本食ブランドの商品群の一つとして、焼きのりが棚に並んで

いるが、日本産はごくわずかで(クリアスプリングの商品のみ)、中国産、韓国産、米国産が

ほとんどを占める。価格は 7〜10枚入りが約 10ユーロで、割高感がある。一方、アジア食料

品店で販売されている焼きのり、味付けのりには韓国産が多く、日本食料品店でも日本産の

ほかに中国産・韓国産が取り扱われている。価格は地元小売店での日本食ブランドののりが

20gで 8〜10ユーロするのに対し、アジア食料品店の韓国産の焼きのり(52g)は 2.85ユー

ロ、日本食料品店でも日本産のり(25g)が 2.4ユーロと、流通チャネルによりかなりの価格

差がみられた。

3-4-4.日本酒・ビール

フランスにおける日本酒の取り扱い状況をみると、1991年に日本酒専門店「カーブ・フジ」

がパリ市内に出店し、「日本名門酒会」9の銘柄を中心に最大で 150銘柄の日本酒を取り扱っ

ていた。しかし、2003年末に閉店し、その後、同店で取り扱われていた日本名門酒会の日本

酒は、日本食料品店の「京子食品」に移管され、小売販売が継続されている。現在は 40銘柄

程度に絞られているが、フランスでは最も取り扱い種類の多い店の一つである。

そのほか、日本食料品店の「十時や」、「Workshop Issé」などでも日本酒が販売されている。

地元小売店ではほとんど日本酒の販売はみられず、基本的には、一部のアジア食料品店を除

き、日本食料品店が中心である。百貨店では、ボンマルシェの食品館「グランド・エピスリ

ー」とギャラリーラファイエットデパートのグルメ館「ラファイエット・グルメ」で、それ

ぞれ日本酒が取り扱われている。

アジア食料品店では、タンフレール(Tang Frères)やパリストア(Paris Store)のよう

な大手では日本酒の扱いはみられず、一部のアジア専門スーパーマーケット、ビッグストア

(Big Store)やエグゾチックストア(Exotique Store)などで JFC社から仕入れた日本酒が

販売されている。なかでもビッグストアは日本酒の品揃えが多い。ただし、大吟醸クラスで

は、ほかのアルコールと比較して 2倍以上の高価格となっている。

ビールでは、「アサヒ」、「キリン」、「サッポロ」がレストランでの取り扱いもみられ、一般

的なフランス人の間での知名度も高い。また、地元小売店で日本のビールを取り扱っている

9 日本酒の卸問屋「岡永」が全国の蔵元、酒販店に呼びかけ発足させた。「良い酒を佳い人に」をスローガンに、

品質の良い日本酒を消費者に届けること、新たな日本酒の価値と市場を創造することを目的としている。

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ところもある。

アジア食料品店では、欧州産のアサヒビール(流通している銘柄はチェコ産「スーパード

ライ」)、キリンビール(ドイツ産「一番絞り」)が手に入りやすく、これらの日本ビールは、

アジア産ビール、フランス産ビールと並んで販売されている。価格はアジア産ビール(中国、

シンガポールなど)が最も安いが、日本のビールとフランス産ビールは横並びで、手頃な価

格となっている。

3-4-5.みそ、インスタントみそ汁

フランス人には「みぞ」(Misoのフランス式発音)スープとして浸透している。しかし、

実際にフランス人が家庭でだしからみそ汁を作ることは難しく、また、「みそ」そのものを扱

っている店は、ボンマルシェやラファイエットグルメなどの百貨店、有機食品店、アジア食

料品店に限られている。地元小売店では、みそ汁を簡単に作れる「インスタントみそ汁」が

販売されていることが圧倒的に多い。

アジア食料品店で販売されている「みそ」はマルコメ、ハナマルキ、蔵の香、まついなど

の日系メーカーのみである。米国産のマルコメ以外はほとんどが日本産である。また、有機

専門店では、リマ(Lima)ブランドのみそが販売されている。

一方、インスタントみそ汁は、クリアスプリング、Tanoshi、Sushi Chefのほかに日本の

メーカーであるひかりみそ、ヤマトなどの製品も市場に出ている。インスタントみそ汁は

「Sushi Chef」ブランド商品を除いてすべて日本産である。

また、有機ブランドの「ジャルダン・ビオ」(Jardin Bio)10のインスタントスープシリー

ズで「みそスープ」が登場したほか、有機専門店においても有機インスタントみそ汁(ダニ

ヴァル〈Danival〉、セルナ〈Celnat〉、リマなど)が販売されている。

また、原料に保存料や着色料などの添加物を使用しない「100%天然素材」をセールスポイ

ントとするアリアケ(Ariake)ブランドが、みそ汁シリーズを展開し、フランス国内で製造・

販売している。同シリーズを 2011年 9月から販売しているモノプリでは、日本食ブームのフ

ランスでみそ汁をより浸透させるべく、同商品をエスニック食品コーナーではなく、一般の

スープコーナーに並べている。

3-4-6.各社の日本食シリーズ

日本食ブームといっても、すしや焼き鳥といったフランスの日本食レストランでみられる

限られたメニューにしか触れたことのないフランス人には、日本食の作り方や食材の使い方

はよく知られていないのが現状である。たとえば、日本食レストランで食べた「すし」や「み

10 レア・ナチュール社製造

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そ汁」を家庭で再現しようと材料を購入しに来た客に対して、どの食材が必要なのかを一目

でわかりやすく提示するために、一つのブランドで主要食材が網羅されていることが重要に

なるという。

地元小売店でみられる主な日本食材シリーズのブランドとして、「楽」(Tanoshi)、「クリア

スプリング」(Clearspring)、「すしシェフ」(Sushi Chef)、「まつり」(Matsuri)、「ドラゴン

ブルー」(Dragon Bleu)などがあげられるが、これらのブランドの共通点は、基本的に家庭

ですし作りをするために必要な材料がセットになっていることで、そのブランドのものも品

目はほぼ同じである。また、クリアスプリングを除き、ほとんどが中国など日本国外で生産

された OEM商品である。

●Tanoshi

有機食品やエスニック食品メーカーのディストリボール社(Distriborg)11が 2008年から

展開した「楽」(たのし- Tanoshi、www.tanoshi.fr))ブランドは、当初、インスタントラー

メン、米菓、インスタントみそ汁など「すぐに家庭で食べられる」、あるいは「簡単な調理で

すむ」10品目から始まり、現在ではすし作りに必要な材料をそろえた商品(すしキットのほ

か、すし用の米、すし酢、焼きのり、しょうゆ、ガリ、わさび、白ごま)などを含む 25品目

に拡大している。ラーメン(韓国)、インスタントみそ汁(日本)、わさび味豆(中国)、ガリ

(タイ)などと生産国は商品ごとに異なり、各国で OEM生産しフランスへ輸入しているもの

とみられる。カルフールやオーシャンなどの大手スーパーマーケット、ハイパーマーケット

で比較的手頃な価格で販売されている。

●クリアスプリング

有機食品を専門とするイギリスのクリアスプリング社は、80年代から日本食品の輸入・販

売を行い、日本産の有機日本食材ブランドとして商品を展開している。取扱商品は店によっ

て異なるが、しょうゆ(たまり)、みそ(麦みそ、白みそなど)などの調味料、インスタント

みそ汁、茶、米菓などが中心となっている。フランスでは、モノプリやボンマルシェの日本

食コーナーで取り扱われ、価格帯は他ブランドと比べると倍近い値段となっている。

●Sushi Chef

「Sushi Chef」は 80年代にアメリカで起きた「すしブーム」のなかで、1982年にヘレン・

タンドラー氏により設立されたベイクリフ社(Baycliff Company)により展開された日本食

材シリーズである。「Sushi Chef」は、米、しょうゆ、すし酢、ガリ、わさび、焼きのりなど、

11 親会社はオランダ資本で有機食品の大手、Wessanen社 www.wessanen.com

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すしの材料となる食材や道具を揃えた調理用キットで、基本的に米国産である。当時のアメ

リカは、今のフランスに似た状況で、すしを中心とした日本食ブームであったにもかかわら

ず、すしの作り方や技術についてはほとんど知られていなかった。そこで、「家庭でもすしが

作れるように」と「すしキット」が考案された。

●Saitaku

スイスの食品輸入商社、Ethnic Distribution GmbH社が欧州の地元小売店向けに展開する

日本食材ブランド(www.saitaku-food.com)で、2009年に市場投入された。フランスではモ

ノプリで販売されているほか、他の欧州諸国でも販売されている。

ブランドのラインアップは、すし作り用の材料を構成する食品が中心で、ほとんどが中国

産である。

●Oishiya

アジア食品専門輸入商社の T&T Foodsがフランスの小売店での販売向けに日本食材ブラン

ドとして立ち上げたもので、「Oishiya」のロゴでブランドシリーズ化されている。しょうゆ、

照り焼きソース、みりん、ガリ、米菓、乾めん(そば、そうめん)、天ぷら粉などの商品があ

り、これらはほとんど中国産の OEM商品(米菓のみタイ産)である。商品のパッケージには、

フランス人や中華系の人が「日本風」と感じるデザインや書体が使われているが、フランス

人でも日本に精通している人が見ると日本製ブランドではないことはすぐにわかる。

3-5.日本産食品の競合商品

●地元小売店

地元の小売店でみられる日本食品は、前述のようにブランドとしてまとめられた商品が多

く、原産国は、日本産中心のもの(クリアスプリングブランド)、日本産と中国産が半々のも

の(「Tanoshi」ブランド)、あるいは完全に日本国外産のもの(「Sushi Chef」や「Saitaku」)

などブランドによって異なる。大手流通グループの PB商品では、ほとんどがタイや中国など

日本以外の国で生産されたものである。地元の小売店のなかで日本産食材に競合する主な商

品を以下にあげる。

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〈しょうゆ〉

日系企業のキッコーマンは、ほぼすべてオランダ産のものである。また、アジア全般の調

味料を製造・販売している「Suzi Wan」ブランド(オランダ産)、「de SiamThai」ブランド(タ

イ産)、Ayamブランド(マレーシア産)などの商品がみられる。

〈インスタント食品〉

インスタントラーメンの取り扱いが増え、とりわけカップラーメンの種類が多い。なかで

も日清食品のカップラーメン(ハンガリー産)、「Tanoshi」ブランドのカップラーメン(中

国産)などが目立つ。

●アジア系スーパーマーケット

〈しょうゆ、ソース、食酢〉

しょうゆはオランダ産のキッコーマンや日本産のヤマサが中心だが、韓国産商品の取り扱

いも増えている。ウスターソース類、焼肉のたれなどでは、料理自体に共通性があるためか、

韓国産の商品もみられる。食酢はミツカンブランドが中心である。

〈めん類〉

乾めんのなかでもそうめん類は中国産が中心だが、そばやうどんの乾めんでは日本産と韓

国産が多い。また、生めんタイプのうどんは、ほとんどが韓国産となっている。

〈インスタント食品〉

インスタントラーメンの種類が増えている。一昔前までは日清食品の「出前一丁」が独占

的であったが、今では韓国産や中国産のインスタントラーメンが 8割以上を占めている。日

系企業メーカーでは、日清食品のほかに味の素(ポーランド産)、東洋水産(米国産)なども

みられる。

また、レトルトのカレーやカレールーはこれまで日本産のみであったのが、中国・台湾産

も増えている。商品に日本語の表示がされているため、日本産と錯覚しかねないパッケージ

になっている。

〈米菓類〉

米菓類は、ほとんどが中国産か、原料はアジアからバルクで輸入して、加工・梱包を行っ

たオランダ産の製品である。ただし、これも日本語の表示がされているため、あたかも日本

産であるかのような錯覚を起こすことは否めない。

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〈香辛料〉

わさびでは、S&Bわさび、金印わさび以外に、中国産の「生わさび」(チューブ入り)が同

じようなパッケージで並んでいる。価格は S&Bわさびが 1.85ユーロに対し、中国産は 1.12

ユーロとやや安い。

〈焼きのり〉

日本産焼きのりはほとんどなく、販売されているのは中国産か韓国産ののりである。韓国

産のものはハングルで表示されているが、中国産のものは「江戸前のり」や「業務用の焼き

のり」などといった日本語の表示がされている。また、山本山のように日系メーカーの韓国

産焼きのりもみられた。

〈梅酒〉

日本産では梅酒(大関)が取り扱われているが、ほとんどが中国産のリキュールである。

●日本食料品店(京子食品)

パリの老舗日本食料品店「京子食品」は、横浜の食料品専門の輸出商社、吉川商事が本社

で、店内で販売されている商品の大部分が日本産である。

2011年 3月の震災以降、日本からの食材確保が難しくなったことから、海外生産している

日本のメーカーの商品への切り替えを行ったこともあり、特にしょうゆ(ヤマサ)、酢やソー

ス類(ミツカン)、みそ(マルコメ)、つけもの、インスタントラーメン(味の素)など一部

日系メーカーによる国外産の商品がみられた。

通常時の取扱商品のなかで、日本産以外の商品がみられるのは、米(スペイン産、米国産)、

ガリ(中国産)などである。

3-5-1.緑茶

緑茶自体はフランス市場でも受け入れられているが、日本産の緑茶は一部の高級食材店を

除き、一般の地元小売店ではほとんど販売されていない。日本産の緑茶は、茶専門店(マリ

アージュフレール、パレ・デ・テなど)、あるいは有機食品専門店に限定されている。フラン

スでの緑茶はほとんどがティーバッグでレモンやミントなどで風味付けされたものであった

が、最近、風味付けされていない緑茶も定着しつつある。

日系以外のアジア食品店を見る限り、米国産の山本山の茶(緑茶、ほうじ茶、玄米茶)、伊

藤園の緑茶など日系企業による国外生産の茶はあるが、日本産の茶は販売されていない。

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3-5-2.米、米菓

日本米、あるいは「すし用」としてフランスの市場で販売されている米のほとんどがイタ

リア産、スペイン産、米国産である。アジア食品店で出回っている「日の出」(イタリア産)

は、アジア系日本食レストランでよく使われている。韓国専門食料品店で販売されている韓

国銘柄の米についても、イタリア米がほとんどである。

日本産米がみられたのは、京子食品などの日本食料品店とボンマルシェの食品館グラン

ド・エピスリー、ラファイエットグルメのみであった。

一方、米菓については、最近、フランス国内で、「おかき」や「わさび風味の豆」が、アペ

リティフに登場することが多く、米菓の消費量が増えている。地元小売店で販売されている

ものは、中国産、オランダ産のものが多い。アジア食料品店で販売されている米菓には、パ

ッケージに日本語表記、あるいは「日本風米菓」に相当する表記のあるものが出回っている

が、その多くは中国産あるいは台湾産である。

3-5-3.のり

地元小売店では、クリアスプリングなどの日本食品シリーズを展開するブランドの一商品

として販売されていることが多く、取り扱いアイテムは尐ない。のりはアジア食料品店に豊

富に並んでいるが、焼きのり、味のり(韓国産の岩のり)のほとんどが韓国製か中国製であ

る。

3-5-4.ソース類

焼肉ソース、照り焼きソースなど、簡単に「日本風」味付けのできるソース類が多く、こ

れらはフランス人にとって、主にアジア系日本食レストランを通して食べ慣れた日本の味で

ある。

地元小売店では、キッコーマンブランドの商品が中心だが、Ayamブランド(マレーシア)

や Tanoshiブランド(タイ産)のソースなども見かける。アジア食料品店では Sukina社(韓

国)や、KM社(台湾)など国外メーカーの和風ソースがみられ、キッコーマンブランドの同

商品とほぼ同じ価格で提供されている。

3-5-5.インスタントめん、乾めん、生めん

インスタントめんは、「即席ラーメン」の元祖である日清食品「出前一丁」、「カップヌード

ル」、「日清やきそば」(いずれもハンガリー産)が中心であったが、近年、日系企業以外のア

ジアメーカーによるインスタントめんが急成長している。特にアジア食品店では取扱商品の

8割近くが中国産、韓国産のインスタントめんである。インスタントめんはアジア市場でも

拡大しており、中国、タイ、インドネシア、韓国などアジア諸国で作られた安価で種類の豊

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富なインスタントめんがフランス市場にも登場している。

地元小売店では、欧州系メーカーのマギー(Maggi)やクノール(Knorr)が製造したイン

スタントめんも販売されているが、味付けがあまり好まれず、伸び悩んでいる。地元小売店

ではアジア風に味付けをしたインスタントめんの取り扱いが拡大しており、日清食品のカッ

プラーメン(ハンガリー産)を中心に品揃えは豊富である。しかし、日本産のインスタント

めんは日本食材店以外ではみられない。

乾めん(そば、うどん、そうめん)は、高級食材店を除き、現地流通小売店では「Tanoshi」、

「Saitaku」などの日本食品シリーズのもので、中国産、韓国産が中心となっている。また、

「はくばく」ブランドなどオーストラリア産乾めんの展開もみられる。

アジア食品店では、韓国産の乾めんが多く、そうめんの一部(「揖保の糸」など)を除き、

日本産のものはほとんどみられない。近年、アジア食品店で目につくのが、韓国産の「生う

どん」である。韓国産の生うどんは日本産のほぼ半額近い価格で販売され、パッケージも日

本産のものとほとんど変わりがない。あるアジア食料品店の話では、一般消費者には見た目

では韓国産と日本産の区別がつかず、価格を見て安い韓国産を買って行く場合が多いという。

また、地元小売店で取り扱われている「Tanoshi」ブランドの生めんも韓国産である。

3-6.日本産の強みと他国産の強み

フランスでは 1970年代以降、東南アジア系(中国、ベトナム、カンボジア、タイなど)の

移民の増加に伴い、アジア食品市場が形成されてきた。日本からの食品輸入が始まったのも

同時期であるが、当時は細々と輸入される程度であった。日本食材が脚光を浴びたのは、こ

こ十数年のことであり、現在はアジア食品市場の一つとして地位を築き始めている。

日本食材の代表的な調味料であるしょうゆは、現在では完全にフランス料理文化のなかで

市民権を得ている。また、大手の日系食品メーカーがアジア、米国、欧州内での現地生産体

制を整備したことから、比較的手頃な価格の商品がフランス市場にも入るようになった。そ

のなかで観察されることは、日本の伝統的な製法に基づく品質の高い食材と、低価格で手に

入る一般向けの日本食材という二極化である。

●日本産

フランス一般市場のなかで優位な日本産食品は、茶、ゆず関連商品(ゆず果汁、ゆずパウ

ダーなど)、みそ、インスタントみそ汁である。これらは日本特有の伝統食品で、国外での生

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産が尐ないもの、あるいは原料調達や技術面から国外生産が難しいものである。

また、日本産の食材は、日本の伝統的製法に基づく食品の品質の高さと味の良さがフラン

ス料理界で評価され、フランス料理あるいはフュージョン料理の食材として注目を浴びてい

る。「Nishikidori-Market」(www.nishikidori-market.com)のオンラインショップでみられ

る商品がその例で、食酢、しょうゆ、みりんといった基本調味料のほか、だし、白みそ、ゆ

ずみそ、また、山椒、七味などの日本独特の香辛料が並んでいる。これらはまだフランスの

一般家庭に浸透するには時間のかかりそうな品目ではあるが、「本物志向」のフランス人には

知られつつある。

●日系メーカーによる他国産の日本食材

日本の大手食品メーカーのなかには、生産コストの抑制と輸出上の欧州規制への対策とし

て、アジアなど国外での現地生産を行っている企業がある。日系メーカーにより製造される

日本食材は、原料調達や現地規制対応などの制約の下、国外生産でも日本の味にできる限り

近づけるよう工夫されており、価格面でも競争力がある。原発事故以降、フランスでも、日

本市場向けに中国で生産した商品輸入したケースがみられた12。また、アジア産だけでなく欧

州に製造拠点をもつ大手日系メーカーの日本食材も、フランス日本食品市場で大きなシェア

を占めている。

●非日系食品メーカーによる日本食材

非日系食品メーカーが中国、韓国、タイ、マレーシアなどで製造した日本食材が増えてい

る。多くの場合、フランスの輸入商社向けのブランドライン用、あるいは流通グループの PB

商品用の OEM生産である。特に、焼きのり(韓国産、中国産が多い)、米菓(中国産、タイ産)、

干ししいたけ(中国産)、ガリ(中国産)にそのような商品が多く、あたかも日本産のような

パッケージに包装されている。

また、すし米などの米については、ほとんどがイタリア、スペイン、米国産である。これ

ら欧米産のジャポニカ米は、精米技術の向上と価格面でのメリットが相まって日本食レスト

ランで多用されている。圧倒的に価格の高い日本産米は、価格差を克服できるだけの味や品

質の違いをどうアピールするかが今後の鍵となる。

12原発事故以降、欠品となる日本産商品の代替品として、日系企業の米国産商品などが輸入されるのも見受けられ

た。

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欧州内に製造拠点を置く主な大手日系企業の日本食材

酢・ポン酢

(ミツカン)

味の素

(味の素)

しょうゆ・ソース

(キッコーマン)

ラーメン (味の素)

ビール

(キリン)

ビール (アサヒ)

ラーメン

(日清)

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3-7.日本産食品の課題

フランスの一般市場に流通する「日本食品」のほとんどが、日本の大手食品メーカーの第

三国および現地生産商品、あるいは非日系メーカーによる商品である。その増加理由として

多くの輸入・卸業者が指摘することは、日本産の「価格」と「賞味期限」の問題である。

輸入業者の多くは、日本産の品質の良さは理解しているものの、第三国で生産されたもの、

特に非日系メーカーの安価な商品と比べ、日本産の価格が高いことが問題となっている。ま

た、日本産の商品は、賞味期限が相対的に短く、アジア産などの同品目と比較しても短く設

定されていることが多い。船便で輸入される商品については、フランスに到着した時点です

でに残りの賞味期間が短いことから小売店では販売が難しい。フランスで市場投入される段

階で賞味期限の残りが 2カ月を切る商品は、小売店から卸取引を拒否される場合もある。

ある輸入業者は「日本産の商品はプレゼンテーションの仕方、パッケージ、価格がフラン

スの市場に合っていない。パリの日本食品店に行ってみると、売れそうな潜在力のある商品

はあるものの、今のままでは売れないと思う」とコメントしている。また、商品の使い方や

レシピの例など商品に関する情報の尐なさも指摘されている。日本のパッケージやデザイン

が日本らしいことは「日本産」をアピールできる強みでもあるが、フランス市場に適応する

デザインの研究、あるいは小売店が望むパッケージングへの対応など、商品のマーケティン

グをより強化することも今後の課題である。

日本食は徐々に普及しているものの、調理の知識を含めてフランスの一般家庭に浸透する

までには、まだ時間がかかるものとみられる。当面は、手軽に使用できる調味料(しょうゆ、

ぽん酢)や米菓、インスタントみそ汁などのようなインスタント食品、あるいは調理済みの

食品による普及が期待される。

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4.原発事故以降の日本食を取り巻く環境

4-1.原発事故後の日本産食品の輸入への影響

2010年 1月から 2011年 12月までの 2年間に日本から輸入された主な食品の輸入品目をみ

ると、品目によって輸入の変動にばらつきがあり、対ユーロ円相場の動きとの関連はみえに

くい。また、2011年 3月の東日本大震災直後には、EU食品輸入検査規則が制定されたことで、

それに基づく手続きや通関の様子をみるために、日本からの輸入を一時的に停止した輸入業

者もみられた。しかし、11年 5月以降は輸入が再開され、前年同期比で増加するなど、順調

な推移をみせている。

日本からの主要輸入品目の輸入額推移

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

2010

年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10

月11

月12

2011

年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10

月11

千ユーロ

ほたて貝

緑茶

うどん、そうめん、そば

日本酒

醤油

ソース混合調味料、味噌ウイスキー

焼酎・リキュール

(出所:フランス税関輸入データから作成)

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4-2.原発事故の地元日本食産業への影響

●日本食レストラン

2011年 3月の原発事故直後、メディアが放射能汚染について取り上げた際には、一時売上

が落ちた店もあり、5月頃までは客足がやや遠のいたという店が多い。夏のバカンス明け以

降、ほとんどの日本食レストランで震災前の売上に戻っている。売上の下落はバカンスシー

ズンに移行する時期的なものなのか、いわゆる風評被害によるものなのかははっきりしない。

すしをメインとする日本食レストランが多いパリでは、原発事故後「すしや刺身に使う魚

は大丈夫なのか」あるいは「魚の産地はどこか」、あるいは巻きすしののりやわかめに至るま

で日本原産かどうかという問い合わせがあったという。日本食レストランのなかには使用し

ている魚介類の産地を示す張り紙を出したところもみられた(ただし、そのなかには日本産

の取り扱いはない)。

●フランス料理店

近年、フランス料理でも日本食材を使ってフュージョンの色を全面に出すレストランが増

え、人気を集めているが、このような店では、震災後の客足への影響はほとんどみられなか

った。

仕入れにおいては、原発事故直後、輸入業者が輸入を見合わせたことや、通関に時間がか

かるなどの問題により、一部の日本食品(梅干しや吉野葛、ゆず果汁、わかめなど)が手に

入らなくなった。しかし、フランス料理店では、使用する日本食品の量も尐ないことから、

メニューの変更といった対応が可能であり、供給問題による影響はほぼみられなかった。

一方、震災からの復興支援として積極的に日本食材を使うレストランや義援金募金活動の

ためのチャリティイベントを行う店もみられた。

●日本食料品店

ある日本食料品店では、原発事故直後に、「販売されている商品は安全か」という問い合わ

せを受ける程度で、店頭に並ぶ商品が原発事故前に入荷された商品であることを説明するこ

とで対応していたという。問題は風評被害よりも、EUによる食品輸入規制の影響のほうが大

きく、具体的には、EU食品輸入検査規則に定められた輸出証明書を「取得しない」もしくは

「取得できない」生産者および製造者のために、一部の商品が輸入できなくなった13。また、

通関手続きに時間を要し、商品が品薄になることも、客足が遠のき、売上が下がる要因とし

て深刻であった。このため、代替品を日本国外で探すべく、日系食品メーカーの国外生産が

13 例えば時期によって日本国内の原料調達先を変えている商品(粉類)については、輸出証明書の取得が困難な

ことから、輸入が難しくなった。

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行われている米国やシンガポールなどで、仕入先探しを行った輸入小売業者もあった。

ある輸入小売業者は、震災前は 1000品目ほどの商品を日本からコンテナ輸入していたが、

震災後は、輸入時の検査費用がかかること、また、輸入可能な食品が限られていることから、

200品目ほどに減らし、一品目あたりの注文数を多くせざるを得なくなったという。店頭に

並ぶ商品の種類が減り、商品の回転率も悪くなるため、輸入頻度が尐なくなるという問題が

発生しているという。

2011年秋以降、この状況は尐しずつ改善されてきてはいる。ただし、通関の遅れについて

は現在もまれにみられ、日本からの輸入コンテナがフランスでの通関のために 2カ月近く待

機させられた例もあった。

4-3. 市場の信頼維持・回復のための取り組み

●輸入卸業者

原発事故以降、通関手続きが安定するまでの間、日本からの輸入を一時的に停止した輸入

卸業者もみられた。また、日系輸入業者のなかには、米国や英国、アジアなど日本国外から

代替品を輸入することで、商品の供給でつないだところが多い。

ある輸入業者では、震災以降、当時供給する日本産食品は震災前の輸入品であること、ま

た、日本産食品の輸入を一時的に停止する旨の書面を顧客に送付した。放射能の影響を心配

する顧客には、ル・アーヴル港の通関当局の書類コピーや放射性物質検査の結果を見せるな

ど措置をとった(同社は日本からの輸入を 2011年 7月から再開している)。また、同社では、

指定 12都県(12年 1月以降は 11都県)以外で生産される日本食品についても、すべて原産

地証明書を取得することで、安全性を訴えている。

●卸売

ランジス市場のレイノー社は、フランスで日本人が経営する日本食レストランの多くに鮮

魚を卸している。同社ではレストラン配達時に添付される納品書上に「弊社の魚は日本産で

はありません」という内容を盛り込むなど、顧客の不安を払拭するための対策を行っている。

同社はアジアからはオーストラリア産のヒラマサを輸入しているが、引き合いの多いハマチ

については、震災直前まで宮崎産のブリミー社から輸入が予定されていた。しかし震災後は

日本からのハマチの輸入予定は無期延期となっている。

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● レストラン

「Matsuri」(まつり)はパリで初の回転すしレストランを 1986年にオープンした。レスト

ラン業に加えて、すしの仕出し業務を行い、すしの中食業態としては草分け的な存在である。

現在、「Matsuri」レストランはフランス国内に 14店舗あり、フランス人のなかでもすしレ

ストランとしての知名度は高い。

フランス人客が多い同店では、原発事故直後から客足が遠のき、事故後約 3カ月は前年の

売上に対しマイナスとなり、最低月には 20%減にまで落ち込んだという。しかし、バカンス

シーズン以降、売上はほぼ前年レベルにまで回復した。

原発事故後、食材の原産地に関する問い合わせが多くあったことから、同店では、食材の

原産地を記した張り紙をした。また、Matsuriの商品カタログにある「まつりのポリシー」

とした同店の紹介記事では、震災後の輸入食材に対する放射性物質検査、原産国など商品の

安全性に関する記述がなされている。

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顧客の信頼維持に取り組む現地日系企業

●マリアージュ・フレール

1854 年にマリアージュ兄弟により設立された「マリアージュ・フレール」は世界 35カ国 600

種類もの茶を輸入し、同社が経営する紅茶専門店で販売している。アジアから輸入される茶の種

類も多く、20 年以上前から日本の茶も取り扱われている。現在、宇治茶、茎茶、玄米茶、玉露、

抹茶など 30種類以上の日本のお茶が販売されている。日本茶はすべて同社と長年の取引のある

日本の提携生産者から輸入している。

原発事故以降、客からの安全性に関する問い合わせが増えたこと、また確実に安全な商品であ

ることを確認するために、日本側の生産者に放射性物質検査証明書を必ず提出してもらうと同時

に、輸入前に生産者から茶のサンプルを送付してもらい、フランス側でも同様の放射性物質検査

を行っている。同社によると、日本側とフランス側の検査結果は必ずしも同様でなく、フランス

側での検査のほうが概して高い数値が出やすいとのことである。

これら自社検査の結果、EU基準値はクリアしていても高めの数値が出た場合は輸入をとり止め

るが、そのような商品については、他国産の代替製品を使うつもりはなく、欠品としているとい

う。一方、ミックスフレーバーティーのなかで原料の茶の一部として日本産の緑茶を使う製品に

ついては、似たような香り・味の中国産の緑茶に代替させている。ミックスフレーバーティーに

は原産国は記載されないが、「日本茶が入っているのでは」という客からの問い合わせに対して

は、他国産の緑茶に切り替えたことを説明している。

●みどりのしま

2005 年からコルシカ島を拠点に日本酒の輸入を行っているみどりのしま社は、原発事故以降、

通関代行業者と相談して、生産者(蔵元)に対し原料の原産地証明書の取得と添付を要請してい

る。EU 規定では酒類に関しては原料の原産地証明書の提出義務はないが、これは顧客から提示を

求められた場合に備えて、またフランス側での通関事務処理を尐しでも円滑化するための安心材

料として、出荷前にできる限りのことをしようという判断で全銘柄(ロット)に対して取得して

いる。しかし、実際は、顧客などから原産地証明書を見せてほしいという要請を受けたことはな

く、また、原料原産地証明書の取得により通関がよりスムーズになったということは特にないと

のことである。

放射性物質検査に関しては、生産者の負担も大きいことから、指定12都県(12年1月以降は11

都県)で生産された商品に限っている。ただ、日本酒についてはこれまでは2010年秋収穫の米を

原料として使っていたので問題はないが、今後、米の放射能汚染が危惧されることから、一部の

蔵元が自主的に放射線検査あるいは、原料の米の生産者に放射性物質検査結果を添付するよう依

頼する可能性があるため、同社でも、蔵元が生産者から検査結果を受領した場合、同結果を送付

してもらう予定である。

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5.日本産食品の市場の回復に向けた今後の対策

日本食品が在仏日本人のためにだけあった時代から比べると、近年、日本食品はフランス

人の食生活に大きく浸透しはじめている。そのなかで気づいたことは、日本食が日本国内で

消費されるのと同じ形でフランスに浸透していくわけではないということである。たとえば、

甘いしょうゆの人気にみられるような味の嗜好やフランス人に好まれる日本風のパッケージ

など、日本食品はフランス人社会のなかで、彼らのセンスや食文化に合わせてアレンジされ、

変化している。

フランスでの日本食品の人気は、まだ始まったばかりであるが、大手スーパーマーケット

の PB商品にも日本食品が現れるなど、今後、日本食品を取り巻く競争は過熱化することが予

想される。そのなかで日本からの輸出を進出させていくためには、「価格」、「フランス語によ

る表示」、「賞味期限」の 3つが課題となるだろう。

① 価格

市場として拡大していくうえで、一般消費者に浸透するための条件としてあげられるのが、

「手頃な価格」である。日本産食品は競合商品であるアジア諸国産に比べて価格が高く、輸

入業者からは、「価格が市場投入のネックになる」と指摘されている。アジア諸国産や日本

のメーカーの欧州産日本食品が増えていることから、日本産にとっては厳しい価格競争が予

想される。

その一方で、日本産は価格が高いが高品質とも認識されている。その点では安価な商品の

存在は比較対象として重要となる。また、消費者が手ごろな価格の他国産日本食品で日本

食・日本食品に慣れ親しむことで、日本食・日本食品の消費者層が広がり、高品質の日本産

を求める消費者が出ることも期待できる。実際にパリ市内の小売店でも、手ごろな価格の商

品を取り揃えるハイパーマーケットやスーパーマーケットと、価格は高いが高品質な商品を

置く高級デパートの食品館というように、日本食品の「棲み分け」がみられつつあり、今後

は「価格×品質」で差別化できるかがポイントとなるだろう。

② フランス語による表示

日本から食品を輸出する際、フランス語でラベルに表示しなければならない義務記載事項

が法律で規定されている。加えて、日本食品の場合、フランス人にとって食べ慣れないもの

も多いことから、商品そのものや使い方、レシピなどのコミュニケーションを商品上ででき

る限り展開することが重要である。フランス輸入業者が日本食ブランドとしてパッケージを

統一するという目的は、日本食品群であるということをわかりやすくすることのほか、フラ

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ンス人消費者を念頭においたフランス語による説明を記載するためでもある。

③ 賞味期限

輸入・卸業者にとって日本産食品の賞味期限が短いことは悩みの種となっている。小売業

者によっては、商取引の際に商品の最低賞味期間が指定される場合もあり、輸入・卸業者は

賞味期限の短い日本産食品よりも賞味期限の長いアジア産日本食品を選択せざるを得ないこ

ともある。商品の品質・安全性上、問題がないことを確認したうえで海外向けの商品には、

賞味期限の前倒しを行わないといった措置をとるなど、海外輸出向けに柔軟な対応をとるこ

とで、輸出機会をより拡大することも可能ではなかろうか。

以上は一般フランス人消費者をターゲットにした小売市場におけるマーケティング観点か

らの考察であるが、このほかにもフランス料理店をターゲットとした外食市場も忘れてはな

らない。日本料理や日本の食材は、近年フランス人シェフの関心を集め、フランス料理のな

かに徐々に浸透している。フランスの星付きレストランには日本人シェフがいないところは

ないといわれているほど、日仏の交流はフランス料理文化のなかに広がっている。日本産食

品の品質の高さをアピールしやすい環境にあることを、日本産食品の拡大の一助とすること

も検討に値する。

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6.消費者アンケート

フランスの消費者の嗜好を探るため、18歳以上のフランス人 1,004名を対象に、フランス

の人口構成を反映させてサンプルを抽出し、ウェブインタビューにより日本料理に関する消

費者調査を行った(実施期間 2011年 11月 22日~24日)。これによると、64%(「好き」40%、

「とても好き」24%の合計)が日本料理を好きと回答し、特に日本料理への評価は若い世代

を中心に高くなっている。職業でみると上級管理職層、地域的にみるとパリのある首都圏(イ

ル・ド・フランス県)で日本食が人気となっている。また、日本料理のイメージにあてはま

るものとしては、「トレンディ」「ヘルシー」「バランスが良い」「洗練されている」と続いて

おり、上級管理職層などが好む嗜好が見てとれる。他方、65%が日本料理に対して価格が高

いとのイメージを抱いている。

一方、「安全」というイメージに関しては、53%が日本料理のイメージにあてはまらないと

回答しているものの、その内訳をみると、1カ月に1回以上日本料理を購入するという回答

者についてはその 74%が「安全」というイメージを抱いており、総じて日本料理ファンの間

では、日本料理が「安全」であるというイメージに揺るぎがないといえよう。

このように一定の日本料理ファンが存在するものの、自宅で日本料理を作る習慣はごくわ

ずかであり、74%が「自宅で日本料理を作らない」と回答した。自宅で日本料理を作る人が

最も多く作るのは、「カレーライス」「すし」であり、これに「みそ汁」「刺身」が続く。すし

はパーティーなどでもしばしば出されるメニューであり、フランス人にはなじみ深い。これ

を反映するように、日本食材を購入する場所は「スーパー・ハイパーマーケット」が 37%と

最も多く、現地スーパー・ハイパーマーケットでは、すしキットやすし関連商品が棚に並ん

でおり、売れるから売る、売っているから買うという流れがすしについてはできているとい

えよう。逆に、インド料理の影響も大きいカレーライスと、地位を確立しているすし以外は、

ほとんど家庭に浸透していないといえる。

一方、日本食品の購入にあたって問題となる点としては、「価格が高い」「内容物(内容や

成分)がわからない」「使い方・調理の仕方がわからない」「表示ラベルが読みづらい」など

の点が多く指摘された。価格以外の点は、いずれもフランスの消費者とのコミュニケーショ

ン・情報提供に関する問題であり、たとえばラベルに使い方やレシピを掲載するなど、最終

ターゲットを念頭に置いた工夫が必要といえる。

日本食品のイメージに関して、福島第一原発被災以降、イメージが悪くなったと回答した

者は 20%にとどまり、79%は日本食に対するイメージに変化はないと回答した。これは、ア

ジアの一部諸国でみられたような風評被害は、フランスでは表面化していないと言っても過

言ではなかろう。

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参考:大規模小売店舗における日本食品の小売価格例

品目 商品名 ブランド名 容量 価格(ユーロ) 原産国

店舗名:モノプリ

インスタント味噌汁 Miso Soupe 野菜/豆

腐 Ariake 36g 3.99 フランス

インスタントラーメン ラーメンヌードル Clearspring 170g 3.51

インスタントラーメン ラーメン照り焼き味 Tanoshi 280g 3.99 記載なし

インスタントラーメン ラーメン味噌味 Tanoshi 250g 3.57 記載なし

インスタント味噌汁 みそ汁 SAITAKU 4 パック入り 3.1 日本

インスタント味噌汁 赤みそ汁 Clearspring 40g 11.03 日本

インスタント味噌汁 有機みそ汁 Clearspring 40g 11.03 日本

インスタント味噌汁 白みそ汁 Clearspring 40g 11.03 日本

インスタント味噌汁 豆腐味噌汁 Tanoshi 60.9g 2.34 日本

インスタント味噌汁 豆腐味噌汁 Kikkoman 30g 4.09 日本

インスタント味噌汁 味噌キューブ Jardin Bio 96g 3.34 フランス

インスタント味噌汁 味噌スープ Jardin Bio 40g 1.94 フランス

インスタント味噌汁 豆腐味噌汁 Tanoshi 60.9g 2.31 日本

インスタント味噌汁 野菜みそ汁 Tanoshi 60.9g 2.31 日本

インスタント味噌汁 味噌スープ Jardin Bio 40g

記載なし

カップラーメン 日本麺ビーフ味 Tanoshi 65g 1.47 中国

カップラーメン 日本麺ポーク味 Tanoshi 65g 1.45 中国

カップラーメン 日本麺鶏味 Tanoshi 65g 1.45 中国

カップラーメン 日本ヌードル 日清 67g 1.69 ハンガリー

ガリ 寿司ジンジャー SAITAKU 190g 3.75 中国

ガリ 寿司がり Clearspring 100g 7.88

ごま 合わせごま Tanoshi 60g 3.19 記載なし

米 寿司米

1kg 2.89 イタリア

ソース 照り焼きソース SAITAKU 190g 2.99 中国

ソース 照り焼きソース Clearspring 150ml 16.27 イギリス

ソース 照り焼きソース Tanoshi 190ml 3.49 タイ

ソース 照り焼きソース Ayam 210ml 2.73 マレーシア

ソース 日本味ミックス Jardin Bio 20g 1.87 記載なし

ソース 照り焼きソース Kikkoman 250ml 4.92 オランダ

ソース わさびソース S&B 170g 4.54 日本

米菓 日本クラッカー Tanoshi 125g 2.09 記載なし

米菓 わさび味豆 Tanoshi 100g 1.94 中国

米菓 わさび味 Mitsuba 150g 2.23 オランダ

米菓 寿司味 Mitsuba 150g 2.23 オランダ

米菓 わさび味 Mitsuba 150g 2.2 オランダ

米菓 寿司味 Mitsuba 150g 2.2 オランダ

わさび わさびペースト SAITAKU 43g 3.25 中国

わさび わさび Clearspring 25g 2.35 日本

わさび わさび Tanoshi 43g 3.22 記載なし

わさび わさびチューブ Carrefour 43g 2.6 記載なし

海苔 寿司のり Clearspring 7 枚入り 11.03 日本

海苔 焼き海苔 Tanoshi 7 枚入り 2.34 日本

寿司 寿司キット Tanoshi 289g 8.73 タイ

醤油 オーガニック醤油 Clearspring 150ml 7.99 日本

醤油 醤油 Tanoshi 200ml 2.96 日本

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醤油 醤油 Yasmasa 150ml 4.4 日本

醤油 醤油 Kikkoman 150ml 3.09 オランダ

醤油 醤油 Ayam 210ml 2.4 マレーシア

醤油 醤油 Suzi Wan 125ml

オランダ

醤油 醤油 Amoy 150ml 2.81 香港

醤油 醤油 Carrefour 125ml 1.19 タイ

醤油 醤油 Kikkoman 150ml 3.5 オランダ

醤油 寿司醤油 Kikkoman 250ml 4.28 オランダ

醤油 甘醤油 Kikkoman 250ml

オランダ

醤油 醤油 Suzi Wan 125ml 3.23 オランダ

醤油 醤油 Mont Asie 150ml

中国

醤油 醤油 Jardin Bio 125ml 2.65 フランス

食酢 ライスビネガー SAITAKU 150ml

中国

食酢 米酢 Tanoshi 150ml 2.88 日本

食酢 米酢 Kikkoman 300ml 5.94 日本

食酢 米酢 Tanoshi 150ml 3.12 日本

緑茶 有機煎茶 Clearspring 50g 11.03 日本

緑茶 有機煎茶 Naturela 100g

中国

豆腐 有機にがり豆腐 Clearspring 300g 9.76 日本

豆腐 有機豆腐 Clearspring 300g 4.66 日本

豆腐 豆腐 Tanoshi 297g 3.71 日本

豆腐 TOFOU NATURE C_r_al Bio 250g 2.78 記載なし

豆腐 豆腐 Tanoshi 297g 3.53 日本

米 寿司ライス SAITAKU 500g 3.18 イタリア

米 有機すし米 Clearspring 500g 7.34 イタリア

味噌 有機白みそ Clearspring 250g 12.9 日本

麺 うどん SAITAKU 300g 3.45 中国

麺 そば SAITAKU 300g 3.45 中国

麺 有機うどん Clearspring 250g 3.68 日本

麺 ラーメン Tanoshi 360g 2.99 記載なし

麺 海老ラーメン Tanoshi 360g 2.9 記載なし

麺 うどん Tanoshi 200g 1.49 日本

麺 そば Jardin Bio 250g 2.49 記載なし

麺 乾うどん Jardin Bio 250g 3.22 記載なし

麺 海老ラーメン Tanoshi 360g 2.23 韓国

麺 カラメルラーメン Tanoshi 360g 3.04 韓国

麺 そば Jardin Bio 250g 2.49 記載なし

麺 中華麺 Jardin Bio

2.14 記載なし

食用油 いりごま油 Clearspring 150ml 11.03 日本

店舗名:オーシャン

インスタント味噌汁 豆腐味噌汁 Tanoshi 60.9g 2.36 日本

インスタント味噌汁 野菜みそ汁 Tanoshi 60.9g 2.36 日本

カップラーメン 日本ヌードル 日清

1.5 ハンガリー

がり がり Tanoshi 200g 3.6 タイ

がり がり Matsuri 50g 3.3 中国

ガリ 寿司ガリ Saitaku 190g 3.79 中国

ごま 合わせごま Tanoshi 60g 2.75 不明

ごま 白ごま Matsuri 40g 1.9 不明

しいたけ 干しいたけ Matsuri 50g 4.5 中国

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醤油 醤油 Oisiya 150ml 1.9 中国

米菓 わさび味豆 Tanoshi 100g 1.99 中国

米菓 ライスクラッカー Matsuri 100g 3.7 中国

米菓 わさび味 Mitsuba 150g 2.19 オランダ

米菓 寿司味 Mitsuba 150g 2.2 オランダ

米菓 吉野味 Mitsuba 150g 2.25 オランダ

米菓 わさび味豆 Savour 100g 1.3 中国

わかめ 乾燥わかめ Matsuri 15g 3.03 日本

わさび 粉わさび Matsuri 40g 3.9 記載なし

わさび ねりわさび Kingzest 43g 3.61 中国

菓子 和風もち Royal Family 皇族 210g 2.5 台湾

菓子 和風持ちごま味 Royal Family 皇族 210g 2.5 台湾

海苔 海苔 Matsuri 22g 8.47 中国

寿司 寿司キット Tanoshi 289g 8.2 タイ

醤油 醤油 Matsuri 150ml 2.88 記載なし

醤油 醤油 Kikkoman 150ml 3.25 オランダ

醤油 醤油 Kikkoman 150ml 3.95 オランダ

醤油 減塩醤油 Kikkoman 150ml 2.97 オランダ

醤油 醤油 Auchan PB 125ml 1 タイ

食酢 米酢 Tanoshi 150ml 2.6 日本

食酢 米酢 Matsuri 150ml 2.69 イギリス

食酢 米酢 Kikkoman 300ml 5.7 日本

食酢 米酢 Saitaku 150ml 2.79 中国

食酢 白米酢 Chain Kwo Brand 150ml 3.48 中国

豆腐 豆腐 Tanoshi 297g 3.53 日本

米 寿司用米 Matsuri 500g 4.55 記載なし

麺 ラーメン Tanoshi 360g 2.95 記載なし

麺 海老ラーメン Tanoshi 360g 2.69 記載なし

麺 Hakubaku Hakubaku 270g 2.68 オーストラリア

麺 有機乾ラーメン Hakubaku 270g 2.66 オーストラリア

店舗名:ボンマルシェ

インスタントラーメン 有機ラーメンヌードル Clearspring 170g 5.85 不明

インスタント味噌汁 赤みそ汁 Clearspring 40g 11 日本

インスタント味噌汁 有機みそ汁 Clearspring 40g 11 日本

インスタント味噌汁 白みそ汁 Clearspring 40g 11 日本

インスタント味噌汁 みそ汁・ほうれん草・

のり ヤマト 10g

日本

インスタント味噌汁 白味噌汁/赤味噌汁 Sushi Chef 15g 2.05 米国

インスタント味噌汁 わかめ汁 Hikari 17.1g 4.6 日本

インスタント味噌汁 赤みそ Hikari 15.6g 4.6 日本

菓子 茶の菓 日本 235g 19.5 日本

菓子 Soy Bar 大塚製薬 35g 1.85 日本

ガリ 寿司がり Clearspring 100g 8 日本

がり がり Matsuri 50g 4.2 中国

ガリ ガリ Sushi Chef 177ml 8.35 米国

ごま 白ごま Matsuri 40g 2.75 フランス

ごま 白ごま Sushi Chef 107g 5.5 米国

米 富山こしひかり

1kg 9 日本

米 Sun Clad

1kg 2.72 イタリア

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しいたけ 干しいたけ Matsuri 50g 5.7 中国

醤油 アイスにかける醤油

150ml 9.5 日本

醤油 ひしお ヤマト 300ml 8.2 日本

醤油 醤油 Kikkoman 150ml 4.23 オランダ

醤油 醤油 Kikkoman 150ml 5.88 オランダ

醤油 寿司刺身用醤油 Kikkoman 250ml 7.26 オランダ

醤油 照り焼きソース Kikkoman 250ml 7.26 オランダ

醤油 すきやきソース Kikkoman 250ml 7.26 オランダ

醤油 甘醤油 ヤマト 200ml 5.35 不明

醤油 甘醤油 Kikkoman 250ml 6.56 オランダ

醤油 甘醤油 Kikkoman 250ml 7.26 オランダ

醤油 減塩醤油 Kikkoman 250ml 7.26 オランダ

食酢 ゆず酢 ヤマト 300ml 23 日本

食酢 寿司酢 ヤマト 300ml 10.2 日本

食酢 ポン酢 ヤマト 300ml 8.2 日本

ソース わさびオリーブ醤油 ヤマト 200ml 12.3 日本

ソース サラダドレッシング Sushi Chef 296ml 8.95 米国

ソース 照り焼きソース Sushi Chef 296ml 8.55 米国

その他 桜の葉(塩漬け)

10 枚 7.5 日本

緑茶 有機緑茶

37.5g 13.5 日本

海苔 うたげ

30g 10 日本

海苔 味付け海苔(岩海苔)

18g 2.1 韓国

パン粉 パン粉 Sushi Chef 227g 7.8 米国

ビール アサヒビール Asashi 330ml 1.45 チェコ

米菓 ライスクラッカー Sushi Chef 140g 9.6 日本

米菓 ライスクラッカー Clearspring 150g 7.5 日本

米菓 わさび味 Mitsuba 150g 3.05 オランダ

米菓 寿司味 Mitsuba 150g 3.05 オランダ

米菓 げいしゃ味 Mitsuba 150g 3.05 オランダ

米菓 よしの味 Mitsuba 150g 3.05 オランダ

米菓 ライスクラッカー Matsuri 100g 4.55 中国

味噌 かなえ有機味噌 ヤマト 500g 14.75 日本

みりん みりん Sushi Chef 290g 13 米国

麺 藩州うどん

300g 5.95 日本

麺 素麺 揖保の糸 300g 9.9 日本

麺 内麦素麺

300g 5.95 日本

ゆず ゆず果汁 徳島 60ml 25.95 日本

ゆず 和歌山のゆず果汁 和歌山 100ml 10.35 日本

柚 柚・伊予柑・レモンピール 150g 6.8 日本

わかめ 寒天海草サラダ

10g 7.5 日本

わさび わさび ヤマト 50g 11.4 日本

わさび 粉わさび Matsuri 40g 4.95 中国

わさび わさび S&B 43g 3.16 日本

わさび わさび S&B 90g 5.36 日本

わさび おろししょうが S&B 40g 3.05 日本

わさび 粉わさび Sushi Chef 28g 6.8 米国

海苔 焼き海苔 Sushi Chef 14g 15.6 米国

寿司キット 寿司キット Matsuri

30.5 タイ

寿司キット 寿司キット Wooke

日本

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寿司キット 寿司キット Sushi Chef

73.5 米国

醤油 有機醤油 Clearspring 150ml 8.8 不明

醤油 たまり醤油 Clearspring 150ml 11 日本

醤油 醤油 Sushi Chef 296ml 7.7 米国

食酢 米酢 Matsuri 150ml 3.4 イギリス

緑茶 有機煎茶 Clearspring 50g 11 日本

豆腐 有機にがり豆腐 Clearspring 300g 4.95 日本

米 有機すし米 Clearspring 500g 7.5 イタリア

米 米 Sushi Chef 568g 6.35 米国

味噌 有機白みそ・田舎味

噌 Clearspring 300g 16 日本

食用油 ごま油 Sushi Chef 250ml 5.75 日本

店舗名:ギャラリーラファイ

エット

インスタント味噌汁 インスタントみそ汁 Kikkoman 30g 4.2 日本

ガリ ガリ Sushi Chef 177g 5.51 米国

ガリ ガリ Dragon Blue 22g 4.19 タイ

サラダドレッシング

Sushi Chef 296ml 7.18 米国

ソース 照り焼きソース Sushi Chef 296ml 6.86 米国

ソース すき焼きソース Kikkoman 250ml 4.69 オランダ

ソース 照り焼きソース Kikkoman 250ml 4.69 オランダ

パン粉 パン粉 Sushi Chef 227g 6.3 米国

みりん みりん Sushi Chef 296ml 8.66 米国

わさび わさび Sushi Chef 25g 6.46 米国

海苔 焼き海苔 Sushi Chef

8.8 米国

海苔 海苔 Dragon Blue

4.06 中国

寿司キット 寿司キット Sushi Chef

65 米国

醤油 醤油 Sushi Chef 296ml 6.21 米国

醤油 Light Soy Souce deSIAM THAI 200ml 2.7 タイ

醤油 米酢 deSIAM THAI 200ml 2.7 タイ

醤油 醤油 Dragon Blue 150ml 4.89 日本

醤油 甘醤油 Kikkoman 250ml 4.81 オランダ

醤油 醤油 Pearl River Bridge 珠

江橋牌 150ml 1.05 中国

醤油 醤油 Suzi Wan 125ml 1.71 オランダ

食酢 米酢 Sushi Chef 296ml 7.2 米国

食酢 すし酢 Sushi Chef 296ml 5.75 米国

食酢 米酢 Dragon Blue 150ml 3.99 米国

食酢 寿司酢 Kikkoman 300ml

日本

日本酒 松竹梅白壁蔵 宝酒造 640ml 31.6 日本

日本酒 松竹梅特別純米 福光屋 720ml 22.5 日本

日本酒 Dominique Bouchet 福光屋 370ml 52.5 日本

米 米 Sushi Chef 568g 5.1 米国

米 米 Dragon Blue

4.89 米国

麺 うどん 播磨 200g 5.1 日本

麺 素麺 揖保の糸 200g 7.1 日本

食用油 ごま油 Sushi Chef 148ml 5.38 日本

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平成 23年度

日本食品マーケティング調査(フランス)

発行 2012年 3月

発行所 日本貿易振興機構(ジェトロ)

農林水産・食品部 農林水産・食品調査課

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