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特集 4 年生に聞く就活体験談 02 OB インタビュー 北洋銀行 清水健太さん 04 CONTENTS 大学院 info 05 ゼミ紹介 日本文化学科 田中 綾 3 年ゼミ(1 部) 英米文化学科 大森一輝 3 年ゼミ(1 部) 06 人文学会レポート 07 人文学部 TOPICS 裏表紙 裏表紙 2014.12 Vol.04 北海学園大学 人文学部 大学院生だより 修士課程 1 年 大木七帆さん 05

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特集4 年生に聞く就活体験談

02

OBインタビュー北洋銀行 清水健太さん

04

C O N T E N T S

大学院 info05

ゼミ紹介日本文化学科 田中 綾 3 年ゼミ(1部)英米文化学科 大森一輝 3 年ゼミ(1部)

06

人文学会レポート07

人文学部 TOPICS裏表紙裏表紙

2014.12 Vol.04

北海学園大学 人文学部

大学院生だより修士課程 1年 大木七帆さん

05

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佐野 友里恵  日本文化学科 1 部

● 内定先:国立大学法人北海道大学● 試験:国立大学法人等職員採用試験(事務)

 私は3年の春から公務員系の仕事を志望していたため、就職活動のほとんどの時間を筆記試験対策に費やしていました。そのため面接対策を始めたのは面接本番の1か月前ほどで、今思えば明らかに練習不足だったと思います。毎回必ず緊張してしまい言葉に詰まることも度々ありましたが、今振り返って感じるのは「決して上手に話す必要はない」ということです。話す内容を暗記するのではなく、自分の正直な思いや考えを事前に整理し、その気持ちを自然に引き出せるようにすることが大事だと感じます。企業や仕事の内容を調べる中で、魅力的に感じる部分を進んで見つけていくことで、面接などでも素直にいきいきと思いを伝えることができると思います。

4年生に聞く就活体験談

五十嵐 優希  日本文化学科 1 部

●内定先:株式会社プリンスホテル

 私は人より遅く就職活動を始めました。何も決まってないまま将来働く場所を決めるなら、少し遅くてもじっくりと考えてから動きたいと思ったからです。 ESや自己アピールの作成は今までを振り返り、これから何をしたいのか考えるために役に立ちましたし、サービス業を希望していた私にとって、実際に店に足を運んで見ることは本当に働きたい場所を選ぶために大切なことでした。 内定を頂いて就活に必要だと感じたことは、「その会社に入って何をしたいか、どうなりたいかという強い意志を持ち、それを伝えること」「自分が納得して選択すること」でした。資格等が少なくても、実際に面接担当の方と会った時にどれだけお話ができるかが大切だと思います。 就活は不安で大変だと思いますが、何か一つでも自分の目標をもって、それを掴むために頑張ってください。

小玉 恵理  日本文化学科 1 部

●内定先:北門信用金庫

 私が就活で一番重視していたことは「将来自分はこの会社で頑張っていけるのか」ということです。仕事の中身にこだわることなく、辛くても続けていくことが出来る会社に入りたいと考えていました。金融機関には元々興味はなかったのですが、あらゆる信用金庫の説明会に参加してみて地域に密着した企業形態に惹かれ、私の地元である芦別市や近隣の地域の発展に貢献している北門信用金庫で働きたいと思うようになりました。 来年就活を始める学生の皆さん、もし、「自分はどこに就職したいのか?」となった時はとにかく企業の説明会に出席してみて下さい。その中で気になった企業を見ていけば企業選考で自分が重視している部分が見えてくるはずです。休息を取りつつ体を壊さずに励んでいってほしいです!

特集

書類選考↓

一次選考:小論文、面接↓

二次選考:グループディスカッション、面接

↓三次選考:最終面接

2 ヒューマン Vol.04

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要田 真美  英米文化学科 1 部

● 内定先:株式会社ゆうちょ銀行

 就活中はとにかく説明会に足を運び、社員の方の話を聞くことを大事にしました。HPだけではわからないことも沢山あるので、色々な企業の説明会に参加し実際に話を聞きました。志望動機を考えるときや面接でも、説明会で得た情報が役に立つことが多くありました。また、忙しくなってくると、説明会や選考、エントリーシートなどいくつものことを並行して行うことも多かったので、スケジュール管理や体調管理も大切だと感じました。3年生のみなさん、精神的にも体力的にもつらくなることもあると思いますが、体調に気をつけて自分のペースで就職活動頑張ってください。

池田 友里亜  英米文化学科 1 部

● 内定先:生活協同組合コープさっぽろ

第 1 次選考:筆記試験第 2 次選考:グループ

ディスカッション第 3 次選考:人事面接第 4 次選考:役員面接

 就職活動をするにあたって、私はキャリア支援センター主催の各種セミナーに出席しました。特に自己分析に力を入れ、自分が本当にしたいことを考えました。それが決まってからは、合説や、学内説明会に参加し、自分が興味を持った企業にはエントリーしていきました。私は同時に多くの企業の選考があると頭の中で混ざってしまうため、少ない数の選考を受けていました。その方が、企業の情報をより細かく覚え、アピールすることができました。第 1志望の企業の最終選考まで残ることができなかったことが悔しく、それをバネにして他の企業の選考に進むことができました。前向きに考えていくことが、就職活動では大切になってくると思います。

田中 久寛  英米文化学科 1 部

● 内定先:東海東京証券株式会社(春採用)

 就職活動は自分の人生を振り返り、自分の将来を選択する重要な機会です。就活が解禁されると、学校やバイトに加えて、説明会、ES提出、選考会、Web テストなど目の前のことに追われてしまいます。なので、就活解禁前の準備も非常に重要です。筆記試験テスト対策、自己分析、学内外のセミナー参加は今から行ってください。筆記試験が出来ないと面接で会ってもくれないし、面接では自己分析が出来ていないと相手に自分のことをアピールできません。僕も自己分析が出来ておらず、面接で失敗してしまったことがたくさんあります。そして、セミナーの参加は就活の情報獲得と人脈形成が出来るので大事です。大変なことが多いですが、準備して積極的にチャレンジしてください。

村上 春香  日本文化学科 1 部

● 内定先:日本郵便株式会社

 私は就職活動を通じて、第三者に意見を求めることの大切さを改めて感じました。 就活を始めた最初のうちは、なかなか面接を突破することができず、何がいけなかったのかを一人で考え込む日々が続きました。これではらちが明かないと思い、就職活動に関する個別相談所に通い始めました。そこでは、相談のみならず、自己分析の手助けもしてくれます。1対 1の会話によって、自分では気づけなかった長所や短所を新たに知ることができましたし、面接に対する不安も解消することができました。 北海学園大学でもキャリア支援センターで個別の相談が可能なので、ぜひ利用してみてください。行動した分だけ自信につながります。不安や疑問は溜め込まず、積極的に他人に聞いて解決することが大事です。

3ヒューマン Vol.04

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TOEIC 910 点、英語を武器にし、就活に活かす。──北海学園大学の英米文化学科に進んだのは? 小学2年生から野球でピッチャー一筋。札幌拓北高校(統合で現在は

札幌英藍高校)では硬式野球に打ち込み、大学進学は考えていなかった

のですが、英語で赤点を取って、監督から試合に出さないぞと怒られ、

一生懸命勉強したことで成績も上がってきたんです。それで、先生から

推薦で北海学園大学への進学を勧められ、せっかく成績が上がってきた

英語をもう少しがんばってみようと、学園大へ進むことを決めました。

 大学で入った準硬式野球部は、1部リーグで常に北海道大学と優勝を

争うチームでしたが、上位2チームが進む全国大会ではほぼ1回戦負け

でした。甲子園に行った人や全道クラスの人もいて、ピッチャーとして

は 3番手くらい。本番に弱いタイプでしたが(笑)、のびのび野球で楽

しくプレーできました。2年のときは野球づけの毎日で単位取得が危な

くなり、3年では練習参加を控え、勉強に専念して盛り返しました(笑)。

 英語は、4年間、頑張りましたね。TOEIC に向けた実践的な授業も

あって、TOEIC は 1年生のときに 710点、2年では 840点、3年で

910点を取って、やったぞって(笑)。英検も準1級を取って、それで

英語を武器にして、就活に活かしたいと思うようになりました。

 また、言語学やメディア論にも興味が出てきて、柴田崇先生のゼミで

は数多くの本を読んで、科学技術や医療技術の進歩などについて議論を

し、見識を深めました。卒論は『高校野球とストレス』について取り上

げ、最大のストレスである体罰についても考察しました。

 学生時代は、北海道新聞社での編集補助を中心に、いろいろなアルバ

イトもしました。社会人としての接し方やマナーを学ぶことができ、責

任ある仕事にやりがいを感じることができて、とてもよい経験でした。

──学園大はどんな大学でしたか? 人文学部は勉強する環境がしっかり整っていて、自由に自分の学びた

いことを選択でき、自分の興味のままに深い知識を身につけることがで

きます。目的意識を持って勉強をがんばろうという人が多く、英米文化

では外国人講師もいらっしゃって、意欲ある人には親身になって教えて

くれます。本当に、自分のやりたいこと、好きなことに思いきりチャレ

北洋銀行 倶知安支店 営業課

清水 健太さん2014年 3月 人文学部英米文化学科卒業

勉強、部活、アルバイトと、バランスのとれた学生生活を送り、英語を武器にして就活も乗り切った。そしていま、持ち前の英語力を発揮して、希望する仕事に就き、やりがいを感じる毎日につなげたパワーの秘訣に迫る。

OBインタビューO B i n t e r v i e w

目的意識を持ち、自分のやりたいこと、好きなことに思いきりチャレンジ!

ンジできる大学だと思います。僕は、勉強、部活、バイトなどを通じて、

人とのかかわり方を学び、自分というものを持つことの大事さを実感で

きて、バランスのとれた大学生活を送れたのではないかなと思います。

外国為替の仕事は達成感、充実感にあふれている。──どんな仕事をされているのですか? 銀行の仕事は幅広いので、自分の得意分野である英語を軸にしていろ

いろな仕事ができたらと思い、エントリーシートにも外国為替の仕事を

してみたいと書きました。倶知安支店は、オーストラリアをはじめとし

て外国人がものすごく多い町なので、英語ができるということで配属に

なったのかなと思っています。入行して最初の半年間は、預金後方といっ

て、通帳の繰り越しとか定期預金の解約、小切手や手形などの仕事をし

ていたのですが、分からないことだらけでひたすら勉強の日々でした。

 この10月からは、希望していた外国為替の担当になりました。外国

為替業務には、仕向(海外送金)と被仕向(海外送金の受け取り)があ

り、被仕向を主に扱っています。外国の銀行から倶知安支店に口座をお

持ちのお客様に送金されてくるときに、FAXを受けて送金先のお客様に

電話をし、お受け取りになる理由をお尋ねして、確認の上伝票を起こし

て実際に入金するという業務です。お受け取り理由の確認は、外為法に

基づいてマネーロンダリング対策などとして行われるものです。外国人

のお客様の店舗での接客も行いますが、外国為替の仕事は最初から最後

まで自分一人の力で、そして自分の英語力を駆使して完結させる仕事な

ので、達成感ややりがいを感じています。銀行の草野球チームでも、い

ちばん若手のエースとして(笑)、今季のチーム新人王をいただくなど、

公私にわたって充実した毎日を、とても楽しく送っています。

──仕事での夢や希望はありますか? これからはアジアの時代。北海道の魅力をアジアに伝え、北海道のビ

ジネスとアジアのビジネスをつなげるような仕事をしてみたい、という

夢は持っています。そのためには、融資とか銀行の基本的な仕事をしっ

かり覚え、それにプラスして英語を駆使して、国際部だとか、海外に羽

ばたいていけたらと思っています。

4 ヒューマン Vol.04

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 本文学研究科は、自分自身の研究テーマとじっくり向き合うこと

のできるような環境が整っています。学生の研究テーマは様々で、私

は英米文化専攻で「日本人英語学習者の語用論的気づき」を研究テー

マとしています。「誰に何をいつどのように伝える」かを判断するた

めの語用論的気づきは外国語学習者にとって大きな課題と言えま

す。私は学部生時代の交換留学先のカナダで英語学習者として様々

な課題に直面し、自分のような学習者の役に立てるようになりたい

と強く思うようになり、そのことが大学院進学、研究活動へのモチ

ベーションとなりました。現在は、第二言語習得にかかわる理論、論

文の文献調査、自分自身の修士論文の執筆に向けた調査や今後の調

査計画に取り組んでいます。研究の活動自体は根気のいる作業が多

いです。しかし、実際に調査したことを学会で発表し、色々な先生

方とお話しさせていただく機会を得ることができ、新しい刺激を毎

日たくさん受けています。今後は修士論文に向けて更に頑張ってい

きたいと思います。興味のある方はいざ文学研究科へ!

大学院生だより

大木 七帆大学院文学研究科英米文化専攻修士課程1年

 文学研究科は、日本文化専攻修士課程が設置された1999年

4月に発足し、2001年に日本文化専攻博士(後期)課程、2003

年に英米文化専攻修士課程、2005年に英米文化専攻博士(後

期)課程が増設されて、今日に至っています。

 「北緯40度圏という北の大地から『新しい人文学』を創成す

る」─これが、開設以来の文学研究科の理念・目的です。「新し

い人文学」あるいは「新人文主義」とは、伝統的な「人文主義」

が、人間解放の名の下に自然を征服し、人間至上が「近代」の

価値であるとして世界を支配することに道を開いた隘路を凝視

し、人間が人間であるとは何かを問い質そうとするものです。

日本文化専攻は「日本文学」と「歴史・文化」の2分野を柱と

し、北海道という地域的特性を生かしながら日本文化の遺産を

自分自身の目でみつめ問い質す営みをとおして、その創造的発

展を目指しています。英米文化専攻は「社会文化」と「思想文

化」の2分野を柱とし、文学や語学だけでなく歴史・社会・思

想・宗教など多角的な視野で英米を初めとする世界の文化を研

究することを目指しています。

 文学研究科は、日本文化専攻修士課程が設置された1999

大学院info 文学研究科・日本文化専攻・英米文化専攻G r a d u a t e S c h o o l o f L i t e r a t u r e

出願期間 試験日

文学研究科●日本文化専攻●英米文化専攻

修士課程第Ⅰ期 2014 年 9月5日(金)~16日(火)第Ⅱ期 2015 年1月8日(木)~19日(月)

第Ⅰ期 2014 年10月18日(土)第Ⅱ期 2015 年 2 月20日(金)・21日(土)

博士(後期)課程 2015 年1月8日(木)~19日(月) 2015 年 2 月20日(金)・21日(土)

※詳しい情報はホームページや大学院要覧をご覧ください。

■ 2015(平成 27)年度 入学試験

5ヒューマン Vol.04

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日本文化学科

田 中   綾3 年 ゼ ミ( 1 部 )

S e m i n a r N o . 0 3

英米文化学科

大 森 一 輝3 年 ゼ ミ( 1 部 )

S e m i n a r N o . 0 4

 ゼミの主な活動は、次の2点です。①は、芥川龍之介、梶井基次郎ら、近代の短編小説を丁寧に分析すること。②は、①での分析結果を参考に、1,000 字程度の小説を創作し、ゼミ生同士で合評すること。①②の成果として、3 年生後期にゼミ文芸誌「A207」(2部は「道憬」)を刊行します。 今年度は〈異界〉をテーマとした小説を構造分析しましたが、ゲームの RPGに親しんでいる学生だけに、「作中主体(主人公)の異界侵入→妨害や抵抗→ある機会に

現実へ帰還→成長」の流れを綿密に分析できていました。 現在(10 月)は、ゼミ誌作品の校正の真っ最中。ゼミ長と編集長を中心に、デザイン、印刷所との交渉、補助金申請と会計、広報や郵送など、全員が何らかの役割を担います。ゼミ誌は、公共図書館や北海道立文学館などで公開されており、昨年度の優秀作は『北海道同人雑誌作品選集第 5集』(中西出版、本体 1,500 円)に収められ、全国書店で発売中。感想、ぜひお寄せ下さい。

 アメリカ史/アメリカ研究のゼミです。前

期は標準的なアメリカ史の教科書を全員で

読んで、基礎知識を固めました。後期は、各

人が興味のある本を取り上げ、その内容を紹

介、質疑応答を通して知識の幅を広げなが

ら、それぞれのテーマについて研究を発展さ

せる可能性を議論します。内容は、アメリカ

国民の形成、初期アメリカ生活史、ユートピ

ア小説、ギャング譚、人種意識、黒人史、黒

人指導者、禁酒法、映画、現代都市空間、「ア

メリカ」とは何か、アメリカ帝国論、史料論

など(担当教員がアフリカ系アメリカ人史を

専門としているため、多少の偏りはあります

が)多様です。アメリカの経験を素材に、近

代社会を見直す、さらに現代日本を問い直す

ことを目指しています。

6 ヒューマン Vol.04

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北海学園大学人文学会第二回総会・大会

「人文学の新しい可能性」❷─安酸敏眞『人文学概論』を読む─

主催:北海学園大学人文学会共催:北海学園大学人文学部・北海学園大学大学院文学研究科

 11月 22日(土)、豊平校舎AV4教室にて、人文学会総会に引き続き、「人文学の新しい可能性」と題するシンポジウムを開催しました。 人文学会とは、本学部教員を主要な構成メンバーにした学術交流の場です。昨年来、本学部の理念である「新人文学」について議論し、理解を深めてきました。今年度は、今年8月に公刊された安酸敏眞先生の『人文学概論─新しい人文学の地平を求めて』(知泉書館)の問題提起を受け、各専門分野の4人のパネリストが人文学の課題と展望を語りました。

 中国文学が専門の大谷先生からは、漢語における「人文学」

に対応する語の紹介と意味の変遷の紹介を通じて、古代漢語の

「文学」が、孔門の四科「徳行・言語・政事・文学」の一つに

数えられる士大夫の素養であったとの指摘がありました。

 メディア論と生態心理学が専門の柴田先生からは、『人文学

概論』におけるE・サイードへの言及を受け、「良き文献学」と

「悪しき文献学」の対照、及びテクスト概念の転回から、サイー

ドが提唱した「文献学」の可能性についてアイディアが出まし

た。

 フランス近世・近代史を専門とする仲松先生は、L・フォン・

ランケの実証主義歴史学をめぐる論争を起点に、フランス史に

おける近年の議論を丹念に追う作業を通じて、人文学の大きな

柱の一つである歴史学の現在と展望について提言されました。

 人類学の手塚先生は、やはり E・サイードへの言及を受け、

オリエントが表象されることに潜む権力関係への注目を評価

しつつ、ヨーロッパの形成に多大な貢献をしたイスラム文明へ

の記述が『人文学概論』に僅少である点を指摘され、人文学の

閉塞状況を打開するアイディアが、イスラム文明を含む異文化

へのまなざしから得られるとの展望を示されました。

 広大な「人文学」を概説する「人文学概論」は、現在、『人

文学概論』以外に存在しません。専門が分化し、各分野におけ

る学問的成熟がすすんだ今日、一冊の本で人文学を総覧するこ

とは原理的に不可能と言ってもよいでしょう。にもかかわら

ず、人文学部に所属し、人文学の一翼を担う以上、われわれ教

員は、同書にあるように、自らの専門の殻を打破し、各専門の

基礎となる一般的な知への志向性を失ってはなりません。今回

のシンポジウムにおける各専門からの提言や批判は、いずれも

「人文学」への志向性を保持していた点で極めて建設的であり、

その意味で、『人文学概論』の補遺になったものと思われます。

 本城先生の手際よい進行に会場からの核心を突く質問も加

わり、今回のシンポジウムは、単なる合評会の水準を超えた、

実り多い議論の場になりました。

大谷通順(日本文化学科教授)柴田 崇(英米文化学科教授)仲松優子(英米文化学科准教授)手塚 薫(日本文化学科教授)

パネリスト(発表順)

本城誠二(英米文化学科教授)

司会

北海学園大学人文学会第二回総会・大会人文学会レポート

7ヒューマン Vol.04

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編集・発行:北海学園大学人文学部 〒062-8605 札幌市豊平区旭町4丁目1-40 http://human.hgu.jp/ TEL.011-841-1161(代表) FAX.011-824-7729

表紙キャッチコピー:文化についての深い理解を涵養することが異文化社会に生きる人々と真のコミュニケーションを結ぶ力になる、という人文学教育の理念をあらわしたものです。

制作・印刷:㈱アイワードPD:馬場康広[㈱アイワード 2000年人文学部日本文化学科卒]

ヒューマン 2014.12 Vol.04

人文学の挑戦

第1回 7月27日(日)『アフリカ系アメリカ人という困難』をめぐって講師  大森一輝 人文学部教授聞き手 木下なつき     北海道武蔵女子短期大学講師

第2回 11月8日(土)新しい人文学の地平を求めて講師  安酸敏眞 人文学部教授聞き手 田中綾 人文学部教授

第3回 12月7日(日)道元の「思想」講師  船岡誠 人文学部教授聞き手 大石和久 人文学部教授

第4回 12月23日(火・祝)文学と芸術から見たクリスマス講師 佐藤貴史 人文学部准教授講師 島田桂子 人文学部非常勤講師

 人文学部は、「人文学の挑戦」と題するイベントを始めました。開催場所を学外に求め、本学部教員の研究成果を広く社会に還元し、地域社会との連携を図る企画です。 社会にとって大学は、開かれているようで閉じた機関です。生涯教育が提唱されて久しいにもかかわらず、大学は未だ万人の

学びの場になっていません。さらに、「実学志向」が強い風潮にあって、文系学部のなかでもとりわけ人文学は、社会との接点が乏しい分野と見做されています。「人文学の挑戦」は、こうしたイメージを修正し、人文学における「知」の広さと深さを紹介しながら、問題を根本的に考えるための手がかりを提示します。 2014 年度は、記念すべきシリーズ第 1 回目の講演を皮切りに、計 4 回のイベントを企画、実施しました。

地域社会の活性化のため、今後も、人文学の「知」を背景にした

挑戦を続けて参ります。

人文学部では、学習支援の一環として、2013年度から「卒業研究コン

テスト」を実施しています。今年度は下記の要領で行います。大学 4

年間の集大成として、ふるって応募してください。

1 応募要領・応募資格:人文学部1部・2部生で所定の卒業研究を提出した者

・応募方法:自薦 応募用紙(G-PLUS! 配信および人文学部事務室配

布)に記入のうえ、卒業研究のコピーとともに人文学部

事務室に提出

※発表要旨(2,400字程度、A4判)も、同時に提出

・応募締切:2015年 1月19日(月)19:30

※日本文化学科1部は2015年 1月14日(水)16:00

2 審査要領・審査結果発表:1月30日(金)(人文学部掲示板・G-PLUS!)

・最優秀者1名(賞状、賞金2万円)、優秀者3名(賞状、賞金5千円)

他の応募者には敢闘賞(賞状)

3 表彰式・発表会・日 時:2月5日(木)10:10~ 12:00

・発表者:最優秀賞受賞者、優秀賞受賞者 計4名

※詳細は、人文学部掲示板をご覧ください。

─ 大 学 4 年 間 の 集 大 成 を 発 表 し ま せ ん か ─卒業研究コンテスト卒業研究コンテスト

2014年度2014年度