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立教大学 ロイドホール [18号館] RIKKYO UNIVERSITY LLOYD HALL

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立教大学 ロイドホール [18号館]

RIKKYO UNIVERSITY LLOYD HALL

ロイドホールは緑豊かな立教大学池袋キャンパスに建つ、収蔵冊数200万冊、閲覧席数1520席の大学中央図書館を内包する建物である。図書館の基準階は約50m×55mの

正形とし、四つ角にコアを配置、耐震壁、機械室、水廻りを集約し、構造的制約のない閲覧空間とした。フレキシビリティの高い大空間を実現するため、最大スパン14.6mのプレキャストコンクリート床板(以下PC床板)により構成し、このPCの形状を構造的合理性のある凸型とすることで、これにより生じた端部の谷形状のスペースを床下ダクトスペースとして利用、全館床吹き空調とした。限られた階高で豊かな空間を創る

ため、天井は船底型のPCを表した意匠とした。PC床板のピッチは1650

㎜とし、書架の配置と合わせることで、荷重点にPCリブを配置した合理

的な計画とした。意匠・構造・設備をかみ合せた三位一体の建築計画により生まれた、快適な図書館空間は、日々熱心に学ぶ多くの学生たちで賑わっている。

意匠・構造・設備の三位一体で実現する快適な図書空間

フレキシビリティの高い大空間を実現するため、最大スパン14.6mの曲面形状プレキャストコンクリート床板(以下PC床板)により構成した。建物の四つ角にコアを配置し、耐震壁、機械室、水廻り、階段室を集約し、中央部を大スパンPC床板で構成することにより、構造的制約のない約50m×40mの大空間を実現した。

一般的なPC床板は、スパン中央部を最下点とし、下に凸の形状である。これは、力学的にスパン中央部で応力が最大となるため、梁せいを最大とする必要があるためである。本計画では、この力学的合理性に従いながら、上下を逆に、上に凸な形状とした。これにより、端部に生じる谷状のスペースに空調のメインダクトを通し、最小のスペースで床吹空調を可能とした。

意匠、構造、設備が三位一体となって合理性を追求した空間は、大学の知の中心にふさわしい緊張感を生み出している。

意匠・構造・設備の三位一体で実現する快適な図書空間

PC床板のピッチは1,650㎜に設定し、書架の配置もこれに合わせることで、PC床板のリブ上に書架の荷重点を配置した合理的な計画とした。また、日影による高さ制限のある中、限られた階高で豊かな空間を創るため、天井は船底型のPCを表した意匠とし、開放感のある図書館フロアを実現した。

PC床板に取り付けた吊照明は、上下配光により船底型の曲面を照らし上げ、明るさを感じさせるとともに、曲面PCの特徴的な意匠を演出している。照明は全て明

るさセンサーと人感センサーにより制御し、省エネルギーに配慮した計画とした。この吊照明は、スプリンクラーやセンサー、スピーカーなど、天井に取り付く設備を内包する設備システムとしても機能する。

意匠・構造・設備の三位一体で実現する快適な図書空間

図書館4層を繋ぐ吹抜

シースルーエレベーター地下1階から見上げる

吹抜階段

曲面PC床板表しの図書館閲覧室

北側外観南側外観

グループ学習室内外装に連続するタイル

地下1階 閲覧室

地下1階 パノラマ

エントランスホール ハイサイドライトから導かれた光がr型PCを照らす

図書館エントランス 中央のギリシャ語は「汝 自身を知れ」

研究室フロア 光庭研究室フロア 廊下

ラーニング・スクウェア 夕景(左:既存12号館、右:ロイドホール)既存建物と一体のスカイラインを形成(手前:既存12号館、億:ロイドホール)

エントランス 夕景西側外観

立教通りから見る夕景