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ROAD TEST No.4952 テスト車輌概要 MODEL TESTED ●モデル名:AUDI R8 Spyder 5.2 V10 FSI quattro●車輌本体価格:2194万円 ●日本発売時期:2010年10月●最高出力:525ps/8000rpm ●最大トルク:54.0kgm/6500rpm●0-100km/h加速:4.1秒●113-0km/h制動距離:42.9m ●最大求心加速度:1.0G●テスト平均燃費:5.9km/ℓ●CO₂排出量:252g/km オートカーの結論 ★★★★★★★★☆☆ 1 4 3 2 AUDI R8 Spyder アウディR8スパイダー “ブレード”のようなデザインエレメントはスパイダーに は受け継がれなかった。このスパイダーはそれがない ために少々インパクトが薄いように思える。 リアウィンドウはソフトトップの開閉状態とは関係なく 独立して上下できる。プラスティック製のウィンドディフ レクターも追加されている。 スパイダーはクーペと同じサイズとデザインのホイー ルを装備する。ブレーキはスティールが標準で、セラ ミックディスクはオプションだ。 フロントグリルはV10のクーペと同様、クローム仕上 げである(V8クーペはブラック)。一目で2気筒分の格 の違いを識別できる。 THE ‘BLADE’ ブレード THE REAR WINDOW リアウィンドウ WHEEL ホイール FRONT GRILLE フロントグリル 1 2 3 4 088 AUTOCAR 2/2011

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Page 1: ROAD TEST No.4952 - AUTOCAR JAPAN · モデル名:AUDI R8 Spyder 5.2 V10 FSI quattro 車輌本体価格:2194万円 日本発売時期:2010年10月 最高出力:525ps/8000rpm

ROAD TEST No.4952

テスト車輌概要 MODEL TESTED●モデル名:AUDI R8 Spyder 5.2 V10 FSI quattro●車輌本体価格:2194万円●日本発売時期:2010年10月●最高出力:525ps/8000rpm●最大トルク:54.0kgm/6500rpm●0-100km/h加速:4.1秒●113-0km/h制動距離:42.9m●最大求心加速度:1.0G●テスト平均燃費:5.9km/ℓ●CO₂排出量:252g/km

オートカーの結論

★★★★★★★★☆☆

1

43

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AUDI R8 SpyderアウディR8スパイダー

“ブレード”のようなデザインエレメントはスパイダーには受け継がれなかった。このスパイダーはそれがないために少々インパクトが薄いように思える。

リアウィンドウはソフトトップの開閉状態とは関係なく独立して上下できる。プラスティック製のウィンドディフレクターも追加されている。

スパイダーはクーペと同じサイズとデザインのホイールを装備する。ブレーキはスティールが標準で、セラミックディスクはオプションだ。

フロントグリルはV10のクーペと同様、クローム仕上げである(V8クーペはブラック)。一目で2気筒分の格の違いを識別できる。

THE ‘BLADE’ブレード

THE REAR WINDOWリアウィンドウ

WHEELホイール

FRONT GRILLEフロントグリル1 2 3 4

088 AUTOCAR 2/2011

Page 2: ROAD TEST No.4952 - AUTOCAR JAPAN · モデル名:AUDI R8 Spyder 5.2 V10 FSI quattro 車輌本体価格:2194万円 日本発売時期:2010年10月 最高出力:525ps/8000rpm

AUDI R8 Spyder ROAD TEST

WE LIKEThrilling engine and performance , Brilliant hood , R8 handling intactスリリングなエンジンとパフォーマンス、素晴らしいソフトトップ、R8のハンドリングが失われていない点

クーペの開発当初より噂されていたR8スパイダーが、アウディのラインナップに加わった。まずはV10のみを搭載しての登場であったが、いずれV8版も登場するようだ。われわれは、まずV10版を由緒ある弊誌ロードテストにかけ、クーペと比べて劣っている点、アドバンテージがある点を探ってみることにした。

765

8

アウディはルーフがないことでスパイダーであることが一目瞭然であり、モデル名を示すバッジは必要ないと考えたようだ。

100km/hで展開するリアスポイラーは、クーペとは異なる断面形状をしている。格納された状態では、エグゾーストの熱がそこから逃げるようになっている。

クーペモデルでは、リアウィンドウガラスの両脇に冷却ベントが付いているが、スパイダーではリアデッキに設けられている。

リアデッキにある奇妙なシルバーのメタルパーツは、ソフトトップが載る部分である。なにかのボタンではない。

WE DON'T LIKEStarting to look expensive , Ordinary interior , Very limited luggage space高すぎるように感じられてきたプライス、月並みな室内、限られたラゲッジスペース

 R8の誕生のルーツは1991年のクワトロ・スパイダーにまで遡ることができる。それが1990年代後半のアヴス・クワトロ、さらに2000年のローズマイヤー・コンセプトへと繋がった。2003年のル・マン・クワトロ・コンセプトがR8のスタイリングの前触れで、2006年にそれがV8のR8として量産化された。V10モデルは昨年から導入された。将来的には2年以内にV8のスパイダーが登場するはずである。

ル・マン・クワトロコンセプトが初お披露目されたのは、2003年のフランクフルト・ショーだった。

量産化までの長い道のりHISTORY

BADGESバッジ

REAR SPOILEリアスポイラー

COOLING VENTS冷却ベント

METAL SPOTSメタルスポット5 6 7 8

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R8スパイダーの販売の半分は、マニュアルギアボックスを装備することになるだろう。

停車状態では、ソフトトップを操作するにはボタンを押し続ける必要がある。走行中はボタンを押してすぐ離すだけ。

リアバルクヘッドには小物入れがふたつあるだけだ。ひとつには補助サウンドデバイスの接続口が設けられている。

クーペではシート後方にシェルフがあり、そこに柔らかいバッグや、工夫すればゴルフクラブのセットさえ収納できた。スパイダーではそれがなくなってしまった。

ドライビングインターフェースに変更はない。計器類はアウディ車らしく見やすくシンプル。

MANUAL GEARBOXマニュアルギアボックス

THE ROOF BUTTONルーフ開閉ボタン

CUBBIES小物入れ

SHELFシェルフ

THE DIALSメーターパネル1

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2

090 AUTOCAR 2/2011

アウディの第1世代のスーパーカーがデビューして約3年半。7年のモデルサイクルのおよそ半分が経

過したことになるが、その開発がスローダウンした兆候はまだない。当初V8クーペのみでスタートしたR8だったが、その後V10バージョンが追加され、今回、理に適った発展のプロセスとしてソフトトップモデルの導入に至った。搭載されるエンジンは今のところクーペと同じ(および多少の違いはあるがランボルギーニ・ガヤルドとも同じ)V10ユニットのみとなるが、後日V8も追加される可能性が高い。また、その威光を輝かせ続けるために、アウディが今後も1年か2年ごとにR8の別な派生モデルを追加することも期待される。 だが、言うまでもなく、クーペのルーフをすっぱりと切り落とすことは単純なプロセスではない。金属の屋根によって得られていた捻れ剛性を別な形で補うためには重量増が避けられない。そしてこのR8スパイダーの場合、代わりとなる可動トップにも金属は使われない。メルセデス・ベンツは(最近はフェラーリも)メタルルーフを好むが、アウディはクロス製のソフトトップを選んだ。われわれが今回テストするのは事実上の標準モデルとなるであろうスペックのスパイダーで、マニュアルギアボックスを装備したノーオプションの車輌だ。 

DESIGN & ENGINEERING●意匠と技術★★★★★★★★☆☆ アウディはR8の開発スタート当初からコンバーティブルバージョンの追加を完全に考慮していた。R8スパイダーのスタイリングに強い意志を感じる人がいたら、われわれもその意見に概ね賛成である。 だがエンジニアリング的な観点から見ると、一般的に言って、クーペから屋根を取り去るプロセスには何らかの妥協は避けられない。それは当然、このクルマにもあてはまる。R8スパイダーはそのベースとなったクーペモデルよりも重く、また捻れ剛性の点でも劣る。 このスパイダーのアルミ製スペースフレームはルーフがないことによる剛性低下を補うために補強されている。補強による重量増はルーフ部分がなくなったことで一部相殺され、フレーム単体での重量増は6kgに留まっている。 さらなる重量増加を最小限にするために、ドア外皮の材質はアルミからカーボンファイバーに変更されている。エンジンカバーも同様だ。またこのエンジンカバーはストレスメンバーの役割を果たす部分ゆえ、材質の変更は剛性の向上にも寄与している。 ほかにも追加がある。まず、ソフトトップと開閉機構の重さが42kgもある。そしてR8の前後サブフレームの下にはプレートがあるが、クーペではそれがプラスティック製で単に空力補助装置としての役目しか果たしていないのに対し、スパイダーではそれがプラスティックよりも重いアルミ製となり、剛性アップの役割も果たす。こうしてクーペとの比較でトータルの重量増はちょうど100kgに達し、ボディ剛性は20%低下した。 それを別にすれば、R8スパイダーはわれわれが知るR8クーペとほとんど変わらない。素晴らしいと感じるポイントもほぼ同じだ。当初、R8スパイダーのエンジンはV10のみで(V10の納車待ちリストが短くなる頃にはV8も導入されるだろう)、クーペ同様、ギアボックスは6段M/Tまたは2ペダルM/TのRトロニックが用意される。後者は実質的にランボルギーニのe-ギアと同じシステムである。われわれのテスト車輌はマニュアルギアボックス仕様である。英国で販売されるR8スパイダーの半分はM/Tとなるはずだ。

INTERIOR●室内★★★★★★★☆☆☆ 頭上にあったものがないという当然の違いを別にすれば、R8スパイダーのキャビンは全体的にはクーペのそれと大きく変わることはない。室内のアーキテクチャーはトランスミッショントンネル上のふたつのボタン以外は同じである。そのボタンとは、ひとつは遮音性に優れたファブリック製のトップを開閉し(車速48km/h以下で動作す

る)、もうひとつはリアバルクヘッドとキャビンとの間を垂直に仕切るガラス板を展開/収納する(ソフトトップの開閉とは別に操作できる)。 アウディの作るクルマがどれもそうであるように、このR8のキャビンもわかりやすく合理的にレイアウトされている。各部が革張りのパッケージ(クーペではオプション)が標準である。だが、使われている皮革の量が増えてはいるものの、クーペ同様、キャビンに乗り込んだと

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AUDI R8 Spyder ROAD TEST

新車から間もないと、このV10は驚異的なエンジンである。

電動シートは見た目も感触も素晴らしいが、サポート性にやや不満を感じる。

HOW BIG IS IT?Cd=0.37

VISIBILITY TEST 視認性テストスーパーカーとしてはかなり良好。リアビューモニターはあれば便利だが、必須ではない。

奥行き:390mm

高さ:500mm

「クーペに対するスパイダーのアドバンテージは、 オープンにして走らせたときにV10の排気音をより満喫できることにある」

フロントのトランクは狭く、一泊旅行用のバッグがひとつ入る程度だ。

 アウディはソフトトップ車にリトラクタブル・メタルルーフを装着したい気持ちに抗っている異色のメーカーである。ほかのメーカーは耐久性とフォールディングハードトップのスタイリングの両方の理由から、その逆の流れを進んでいる。 アウディがR8に装着したソフトトップは特に素晴らしい出来映えである。重量は42kgで、閉めたときは完璧なまでにタイトに感じられる。ファブリックの下にマグネシウムとアルミを使ったフレームがあり、エンジンカバーの上にまで広がるフィンがファブリックをタイトに引っ張ている。ちなみにソフトトップの開閉を行う油圧ポンプは、車の重心位置を下げるためにアンダーボディに取り付けられている。 R8スパイダーのエンジンカバーは強固で、ほかのクルマのように後方にヒンジが付いていないため、ソフトトップは低速で走行中でも開閉機構が風で煽られる心配なく開くことができる。所要時間は19秒である。

OPEN AND SHUT CASEそれでもソフトにこだわる

アウディはファブリック製トップにこだわりを持っている。R8スパイダーを見ればそれがわかる。

幅:610-830mm

091www.autocar-mag.com

きに最初に感じるのはそれがアウディ車という感覚であり、スーパーカーだという印象はその後からやってくるということだ。この点はR8クーペのV8モデルではさほど気にならなかったが、V10モデルで価格が2000万円を超えたことで、われわれも徐々に厳しい目を向けざるを得なくなった。そして今回、R8スパイダーはさらに高額なプライスタグを掲げている。 ドライビングポジションに関しては大きな不満はないが、できれば、ハードドライビング時の横方向のサポート性がもっと欲しいところだ。今回のテスト車輌はコンバーティブルだが、1.0Gを超えるコーナリングGを発生させることも可能なクルマだという点も考慮すべきだろう。 ルーフを取り去ったことによる妥協はまだある。シート後方にあった便利な荷物収納シェルフがなくなってしまったことだ。代わりにバルクヘッドが前方寄りに移動し、そこに2個の小さな収納スペースが設けられた。 

PERFORMANCE●動力性能★★★★★★★★★☆ R8スパイダーは当然、クーペモデルよりも少々遅いと想像されるが、525psものパワーを持つマシンであり、

そのパフォーマンスに不足を感じることはない。車重は1785kgに達するが(燃料満タン状態)、ミドエンジンのこの手のスーパーカーで一番重いクルマというわけではない。 われわれが記録した0-97km/hの加速タイムは4.1秒で、アウディの公称タイムと同じだった。このR8スパイダーがもう少し違うマシーンだったら(例えば、ローンチコントロールや1速で97km/hに達するギアが与えられていたら)、そのパワーとパワーデリバリー特性は間違いなく0-161km/hのタイムでポルシェ911ターボに匹敵する記録を打ち立てることを可能にしていたはずだ。 このV10はあり余るほどのパワーをフラットかつリニアに発生させる。32km/h以下でギアを5速に入れ、スロットルを床まで踏みつけると、30秒もかからずに1マイル(約1.6km)先に到達し、速度は240km/hに達する。これは32km/h増速するのにおよそ4秒かかる計算だが、4速ではそれが3秒になる。3速では2秒ちょっと、2速では2秒を切る。 スピードを上げてもソフトトップは優れた遮音能力を発揮する。これなら公称トップスピードの314km/hにも耐えられそうである。トップの後部にかけて発生する乱流

を別にすれば、クーペモデルよりもうるさく感じることはほとんどない。 クーペに対するスパイダーのアドバンテージは、もちろんオープンにして走らせたときにV10の排気音をより満喫できることにある。回転数やスロットル開度によって複雑なキャラクターが変化する類のエンジンではないが、10気筒と大型のエグゾースト、そして8000rpm以上回る能力を備えているのだから、そのサウンドが魅力に乏しいはずがない。そしてオープンエアの環境でそれを愉しめることが、R8スパイダーを特別なクルマにしている。 われわれの経験では、新車時このV10エンジンはレスポンスに優れており、加速時には非常にその威力を発揮する。その一方でシフトダウンの際は回転を合わせるのが難しいことがある。しかしこれも走行距離が伸びるにつれて、もう少し操りやすく変化し、現行市販車のなかで最も魅力的なレスポンスを示すユニットのひとつとなる。 そんなエンジンに比べるとやや不満をおぼえるのがR8のブレーキである。公道ではハイスピードからの急減速を繰り返しても不安を感じることはほとんどないが、サーキットでは何周も走らないうちにフェードし始める。

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79km/h8500rpm

175km/h8500rpm

277km/h8500rpm

127km/h8500rpm

229km/h8500rpm

332km/h*8500rpm

各ギア最高速度

Start/finishT1

T2

T3

T4

T5T6

T7

48km/h-0

48km/h-0

80km/h-0

80km/h-0 113km/h-0

113km/h-0

48 64 80 113 129 145 177km/h 193km/h 209km/h 225km/h 241km/h 257km/h97 161

48km/h 64 80 113 129 145 177km/h 193km/h 209km/h 225km/h 241km/h 257km/h97 161

計測テストデータ

■ドライサーキット ラップタイム:1分13秒9

(フェラーリ・カリフォルニア 参考タイム:1分13秒2)重量増とボディロールのせいで、R8スパイダーはR8 V10クーペ

(1分13.0秒)よりも少し遅かった。けれどもクーペ同様に運転が愉しいクルマで、良好なグリップを発生させる。だがブレーキはフェードしやすい。

TRACK NOTES 「マグネティックダンパーはノーマルに切り替えると素晴らしい仕事をする」

最速コーナーのT4を抜けるときにアンダーステアが顕著だった。

ヘアピン手前のカーブでのブレーキングでは、オーバーステアが起きにくかった。

■発進加速テストトラック条件:天候晴れ、乾燥路面、気温摂氏10.0度0-402m発進加速:12.7秒(到達速度:197km/h)0-1000m発進加速:22.9秒(到達速度:247km/h)

乾燥路面

湿潤路面

■ウェットサーキット ラップタイム:1分9秒4

(フェラーリ・カリフォルニア 参考タイム:1分9秒6)ウェットではR8スパイダーの重量増とロール増は少しも悪影響をもたらさなかった。クーペよりも0.4秒速いタイムでラップできた。剛性の低下も、タイヤの食い付きを多少助けている。

■制動距離

AUDI R8 SPYDER

FERRARI CALIFORNIA

直線での加速とブレーキングはとても安定していた。

ヘアピンの立ち上がりでのトラクションは、525psで後輪の駆動比率が高いクルマとしては素晴らしい。

0

161

203

304

406

507

608

0

41.5

55.3

13.8

27.7

69.1

83.0

96.8

Powe

r out

put (

ps) Torque (kgm

)

Engine (rpm)

54.0kgm at4000-6000rpm

520ps at8250rpm

エンジン形式:V型10気筒,5204cc最高出力:525ps/8000rpm最大トルク:54.0kgm/6500rpm許容回転数:8500rpm比出力:101ps/ℓ馬力荷重比:305ps/t駆動方式:リアミド縦置き4WDブロック:アルミ軽合金/ヘッド:アルミ軽合金ボア×ストローク:84.5×92.8mmバルブ配置:4バルブDOHC圧縮比:12.5:1

シャシー/ボディ車輌重量:1720kg/1785kg(テスト実測値)抗力係数:0.37ホイール:(前)8.5J╳19、(後)11.0J╳19タイヤ:(前)235/35R19、(後)295/35019

変速機6段M/Tギア比/1000rpm時車速<km/h>①4.37/7.0②2.71/15.0③1.95/20.1④1.5/27.0⑤12.4/32.7⑥1.03/39.1

最終減速比:3.077

燃料消費率メーカー公表値:市街地/郊外/混合モード9.6/14.9/12.4km/ℓオートカー実測値総平均/動力性能計測時/ツーリング5.9/2.9/8.8km/ℓ燃料タンク容量:80ℓ現実的な航続距離:470km二酸化炭素排出量:252g/km

サスペンション前:ダブルウィッシュボーン式/コイル後:ダブルウィッシュボーン式/コイル

ステアリング形式:油圧アシストラック&ピニオンロック・トゥ・ロック:3.2最小回転半径:5.9m

ブレーキ前:φ365mm通気冷却式ディスク後:φ356mm通気冷却式ディスク

静粛性アイドリング:54dB3速最高回転時:84dB3速48km/h走行時:65dB3速80km/h走行時:70dB3速113km/h走行時:73dB

安全装備ABS/EBD/ASR/EDL/ESPEuro NCAP/na

エンジン性能曲線

発進加速乾燥路面 実測車速mph(km/h)   秒

0-30(48) 1.90-40(64) 2.50-50(80) 3.30-60(97) 4.10-70(113) 5.10-80(129) 6.50-90(145) 7.60-100(161) 8.90-110(177) 10.70-120(193) 12.50-130(209) 14.50-140(225) 17.50-150(241) 20.60-160(257) 24.60-170(274) ー

中間加速〈秒〉湿潤路面 mph(km/h) 2速 3速 4速 5速 6速20-40(32-64) 1.9 2.8 3.5 4.5 ー30-50(40-80) 1.7 2.7 3.5 4.3 5.440-60(64-97) 1.7 2.5 3.4 4.3 5.350-70(80-113) 1.7 2.4 3.2 4.2 5.560-80(97-129) ー 2.4 3.2 4.1 5.670-90(113-145) ー 2.4 3.1 4.1 5.480-100(129-161) ー 2.6 3.1 4.1 5.490-110(145-177) ー ー 3.2 4.2 5.6100-120(161-193) ー ー 3.4 4.3 5.9110-130(177-209) ー ー 3.9 4.4 6.2120-140(193-225) ー ー ー 4.8 6.7130-150(209-241) ー ー ー 5.8 ー140-160(193-257) ー ー ー ー ー

AUDI R8 Spyder DATA

092 AUTOCAR 2/2011

気温が10℃以下であってもだ。サーキット走行会で走らせることを考えているなら、オプションのセラミックブレーキを選んだ方がいい。

RIDE & HANDLING●乗り心地と操縦安定性★★★★★★★★☆☆ クーペでは、V8の代わりに5.2ℓV10を搭載した悪影響がこの領域において現われた。スパイダーの場合、当然ながら、さらなる妥協を強いられる。なぜならエンジンの重量が増えただけでなく、ボディも重くなり、また捻れ剛性が20%低下しているからだ。 気になるのは、その剛性の低下が体感できるレベルなのかどうかだ。確かにそれは感じとれてしまったが、ほんのかすかに、であった。R8クーペはスーパーカーの基準で見れば乗り心地に優れているが、このスパイダーではスプリングとダンパーが若干ソフトに設定されており、同様な評価が当てはまる。 メルセデス・ベンツSL63 AMGから乗り換えたなら、このアウディが持つバンプや不整路面の高い処理能力に失望はしない。全般的に見て、R8スパイダーに金属製の屋根がないことを感じるのはバンプが連続した場合のみである。一部のロードスターに見られるような、ルームミラーが振動するようなことはほとんどない。 R8スパイダーはマグネティックダンパーを標準で備える。ソフトなモードは公道走行向けにちょうどいいセッティングになっている。それよりも硬いモードがふたつあるが、欧州大陸の完全にフラットな道路か、路面がス

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AUDI R8 Spyder ROAD TEST

われわれはこう考える

結論

車輌価格最高出力最大トルク

0-100km/h加速最高速度

燃料消費率(欧州/混合)車輌重量(公称値)二酸化炭素排出量

2194万円 2273万円 2360万円 1939万円 1714.44万円525ps/8000rpm 500ps/6000rpm 460ps/7750rpm 525ps/6800rpm 426ps/7000rpm54.0kgm/6500rpm 66.3kgm/1950-5000rpm 49.5kgm/5000rpm 64.0kgm/5200rpm 47.9kgm/5750rpm4.1秒(0-100km/h) 3.7秒(0-100km/h) 4.0秒(0-100km/h) 4.6秒(0-100km/h) 4.9秒314km/h 312km/h 311km/h 250km/h 280km/h12.4km/ℓ 8.5km/ℓ 7.6km/ℓ 7.2km/ℓ 7.2km/ℓ1720kg 1645kg 1735kg 1970kg 1710kg356g/km 275g/km 305g/km 330g/km 328g/km

AUDI R8 Spyder 5.2 V10 FSIアウディR8スパイダー 5.2 V10 FSI

PORSCHE 911 Turbo Cabrioletポルシェ911ターボ・カブリオレ

FERRARI California フェラーリ・カリフォルニア

MERCEDES-BENZ SL63 AMG メルセデス・ベンツSL63 AMG

ASTON MARTIN V8 Vantage Roadsterアストン・マーティンV8ヴァンテージ・ロードスター

洗練度とドライビングプレジャーを同量ずつブレンドすることに成功した。

★★★★★★★★☆☆

そのステータスに値するクルマ。荒 し々いパフォーマンスを持ちながら、日常ユースにも使える。

★★★★★★★★☆☆

フェラーリのDNAを維持しながら、コンバーティブルの快適性を見事にブレンド。

★★★★★★★★☆☆

フレキシブルなエンジンを持つパワフルなクルーザーだが、ダイナミクス能力に不満がある。

★★★★★★★☆☆☆

豪華なキャビンと刺激的なスペシャル感を備えている。この5台のなかではパワーが見劣りする。

★★★★★★★☆☆☆

AUDI R8 SpyderAUTOCAR VERDICT ★★★★★★★★☆☆

ンションセッティングの見直しによって、クーペのドライビング特性の大部分が失われなかったことである。 だがR8スパイダーはクーペとの比較だけで語られるべきクルマではない。ダイナミクス能力の点において、メルセデス・ベンツSL63 AMGあるいはフェラーリ・カリフォルニアはほとんど敵ではない。このひと言がこのクルマに関して知っておくべきことの大部分を表わしている。R8スパイダーはアウディによる素晴らしい成果である。

 クーペに比べて、機敏さと優れたバランスがある程度失われたのは否定できない。それゆえにアウディはその魅力を維持するために何か別なものを追加しなければならなかった。このR8スパイダーが屋根の付いたモデルと同じようなドライバーズマシーンではないのは事実だが、それは当然のことであり少しも驚きではない。ソフトトップとその開閉機構は良く出来ており、そこそこセンセーショナルなエンジンとの対話をより愉しいものにしてくれる。 素晴らしいのは捻れ剛性の低下が最小限に留められ、サスペ

TESTERS' NOTES テスターのひと言コメント●マグネティックダンパーが標準だが、アウディは従来のダンパーも用意してくれる(少々硬いが)。 マット・プライアー

●トップ開閉機構のボタンが追加された結果、灰皿はカップ型のものに代わった。 ジェイミー・コースターフィン

●V8/V10のクーペと同様、ステアリングをフルロックで取り回すと、ドライブトレインがギシギシいう。 ヴィッキー・パロット

JOBS FOR THE FACELIFT マイナーチェンジ時に望むこと●キャビンの雰囲気をもっと高めて欲しい。●新車時からスロットルレスポンスをスムーズにして欲しい。●標準ブレーキの冷却性を向上させて欲しい。

ROAD TEST No.4952

TOP FIVES ハイパフォーマンスオープン対決

「得たものと失ったものがあるが、トータルでは素晴らしく魅力的なクルマである」

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ムーズなサーキット以外ではそれを選ぼうとは思わないだろう。 だが、重量増と剛性低下というマイナス要素は抱えているものの、R8スパイダーが敏捷性とバランスに富んだクルマであることを忘れてはいけない。クーペに比べればシャープさは削がれているが、依然として機敏な走りをするクルマだ。SL63やフェラーリ・カリフォルニアよりも機敏である。 当然、R8スパイダーはR8クーペよりもロール量は大きい(もっともロールの速度は抑えられ、またそれほど過大ではない)。フロントが流れ始めるのもクーペモデルよりも早い。したがって、リアよりもさらに早い。オーバーステアへの移行はV10クーペよりも早い。そのV10はV8よりも早い。 つまり、R8としては依然としてV8クーペが最も優れたハンドリングを持っていることになる。だがこれは必然的な結果である。 

BUYING & OWING●購入と維持★★★★★★★★☆☆ 価格が高くなればなるほど、アウディのバッジを付け、アウディ車としては比較的月並みな室内を持つクルマに対する評価は厳しくなっていく。 だが装備レベルは高く、購入後もほかのライバルと同等の価値を維持すると予想される(英国での今年の販売は200台のみであることから、リセールバリューは短期的にはきわめて高い)。 2座でラゲッジルームがきわめて狭いロードスターに2000万円以上ものお金を費やし、さらにガソリン代の心配をしなければならないのは大変である。だがツーリングルートで記録した8.8km/ℓという数字はこの種のクルマとしてはリーズナブルであり、総合平均の5.9km/ℓは一般的な乗り方をした場合の数字として現実的なものである。

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