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14
autumn vol Soft Drinks Review 創立50周年記念号� 飲料文化の創造と社会貢献への道すじ� 特 集�

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 男の子と女の子の可愛い貯金箱。スチール缶に工作用の色紙を巻き付け、目や鼻、服などのパーツを工作用ボンドで貼り、コインの大きさに合わせて飲み口を広げたシンプルな細工。子供の工作にもピッタリだが、出来上がりを想像しながら各パーツの型紙を作るところに、感性と精度が要求される。�(多摩市・田上良蔵さん製作)�

(社)全国清涼飲料工業会�〒103‐0022 東京都中央区日本橋室町3‐3‐3(CMビル3階)�

TEL.03‐3270‐7300(代)�http://www.j-sda.or.jp

清・飲・彩 vol.3 autumn 2005 発行日/2005年10月15日 発行/(社)全国清涼飲料工業会�

autumn 2005vol.3

S o f t D r i n k s R e v i e w 創立50周年記念号�

飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�特 集�

2  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  1

CO

NT

EN

TS

PHOTOGRAPH …………………………………………………�1

清涼飲料のある暮らし(公募写真)�

INNOVATION …………………………………………………�15

高効率ガス・コジェネレーション・システム探訪�キリンビバレッジ(株) 湘南工場�

DATA FILES …………………………………………………�21

自販機の普及台数と自販金額(自販機による販売金額)の推移�2004年自販機普及台数と年間自販金額(自販機による販売金額)の構成比�自販機で主に買う飲料品目と自販機をよく利用するシーン�米国の機種別普及台数と中身商品別年間自販金額�(自販機による販売金額)の構成比(2003年)�

清・飲・彩��

vol.3�autumn

 香川県三豊郡 石角 尚義さん 「祭りの日」�それにしても壮観ですね。祭りの休息時間らしい、�

やすらぎ感とはなやかさにあふれています。�

「待ち時間」�香川県三豊郡  田 文子さん�ローカル線らしい、いい雰囲気が出ています。�霧に包まれて…「一編の詩」になっていますね。�

「出番に備えて」�東京都江戸川区�

野中 正信さん�江戸っ子の祭りらしく、�“カッコ”が�決まっていますね。�水分補給をして、�さあ出番です。�

「ひと休み」�兵庫県川西市 太田 美香さん�たぶん姉妹なんでしょう、ほっと一休み。�飲みっぷりもそっくりです。�

自然の中での生活風景---�「飲料のある暮らし」を作者の優しい目が包んでいます。�

秀作揃いの投稿作品です。�

清涼飲料のある暮らし�

写真募集の�お知らせ�

みなさまの投稿写真を募集しています。�

家族、友だち、街の風景…どしどし応募してください。�

〒103-0022 東京都中央区日本橋室町3-3-3 CMビル3階�(社)全国清涼飲料工業会�

「清・飲・彩」編集室 投稿写真 係�お問い合わせ先 TEL.03-3270-7300

※掲載された方には、�図書券(5,000円分)を�差し上げます。�

テーマは「清涼飲料のある暮らし」�

本誌は再生紙を使用しています。�

スチール缶の貯金箱�製作:多摩市・田上良蔵さん�

INTERVIEW …………………………………………………�13

芥川賞受賞作家 中村 文則 さん�ブラック缶コーヒーが生んだ芥川賞受賞作「土の中の子供」�清・飲・人�

NEWS&INFORMATION …………………………………………………�19

「自販機犯罪通報システム」愛知県でも導入開始/10月は自販機月間/「果実飲料並びに炭酸飲料の日本農林規格・品質表示基準」の改正および「JAS法の一部を改正する法律」に係る説明会を開催/自販機耐震化技術研究会 新業界標準の策定に向け始動/2004年度PETボトル回収率62.3%を達成/インフォメーション�

清飲FILES 飲み終わったら、どうするの?�PETボトルは以下の出し方を守って、ごみの減量化と資源化に�ご協力ください。�①識別マークを確認してください(PETボトルの識別マークのないプラスチックボトルは、PETボトルと一緒には出せません)�②キャップをはずして、PETボトルと分別してください。�③軽く中をすすいで、水切りをしてください。�④PETボトルを倒してつぶしてから、ラベルをはずしてください。ラベルは分別してください。�⑤市町村のPETボトル収集日に出してください。�シャツやネクタイ、卵パックなどに生まれ変わります。�

PETボトルの�出し方�

創立50周年記念号�

SD SPECIAL

…………………� 3創立50周年の節目の年を迎えて�50周年特集 飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�

全国清涼飲料3団体創立50周年記念式典開催�

………………………………………� 5清涼飲料50年の足跡�飲料文化の変遷と清涼飲料市場の拡大�

…………………………� 7公共の利益との調和の歩み�清涼飲料業の健全な発展に向けた全清飲の取り組み�

社会インフラとしての価値の向上こそ自動販売機の今後の大きな命題� 日本自動販売機工業会専務理事 黒崎 貴�回収率80%以上の目標とリデュース推進で循環型社会の構築に向けた貢献� PETボトルリサイクル推進協議会会長 和田 國男�「アダプト・プログラム」と「環境学習支援」身近な活動で地域社会の再興にも寄与� 社団法人 食品容器環境美化協会専務理事 川上 博志�

【特別寄稿】 全清飲創立50周年に寄せて�……………………�10

①�

②�③�

④�

2  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  1

CO

NT

EN

TS

PHOTOGRAPH …………………………………………………�1

清涼飲料のある暮らし(公募写真)�

INNOVATION …………………………………………………�15

高効率ガス・コジェネレーション・システム探訪�キリンビバレッジ(株) 湘南工場�

DATA FILES …………………………………………………�21

自販機の普及台数と自販金額(自販機による販売金額)の推移�2004年自販機普及台数と年間自販金額(自販機による販売金額)の構成比�自販機で主に買う飲料品目と自販機をよく利用するシーン�米国の機種別普及台数と中身商品別年間自販金額�(自販機による販売金額)の構成比(2003年)�

清・飲・彩��

vol.3�autumn

 香川県三豊郡 石角 尚義さん 「祭りの日」�それにしても壮観ですね。祭りの休息時間らしい、�

やすらぎ感とはなやかさにあふれています。�

「待ち時間」�香川県三豊郡  田 文子さん�ローカル線らしい、いい雰囲気が出ています。�霧に包まれて…「一編の詩」になっていますね。�

「出番に備えて」�東京都江戸川区�

野中 正信さん�江戸っ子の祭りらしく、�“カッコ”が�決まっていますね。�水分補給をして、�さあ出番です。�

「ひと休み」�兵庫県川西市 太田 美香さん�たぶん姉妹なんでしょう、ほっと一休み。�飲みっぷりもそっくりです。�

自然の中での生活風景---�「飲料のある暮らし」を作者の優しい目が包んでいます。�

秀作揃いの投稿作品です。�

清涼飲料のある暮らし�

写真募集の�お知らせ�

みなさまの投稿写真を募集しています。�

家族、友だち、街の風景…どしどし応募してください。�

〒103-0022 東京都中央区日本橋室町3-3-3 CMビル3階�(社)全国清涼飲料工業会�

「清・飲・彩」編集室 投稿写真 係�お問い合わせ先 TEL.03-3270-7300

※掲載された方には、�図書券(5,000円分)を�差し上げます。�

テーマは「清涼飲料のある暮らし」�

本誌は再生紙を使用しています。�

スチール缶の貯金箱�製作:多摩市・田上良蔵さん�

INTERVIEW …………………………………………………�13

芥川賞受賞作家 中村 文則 さん�ブラック缶コーヒーが生んだ芥川賞受賞作「土の中の子供」�清・飲・人�

NEWS&INFORMATION …………………………………………………�19

「自販機犯罪通報システム」愛知県でも導入開始/10月は自販機月間/「果実飲料並びに炭酸飲料の日本農林規格・品質表示基準」の改正および「JAS法の一部を改正する法律」に係る説明会を開催/自販機耐震化技術研究会 新業界標準の策定に向け始動/2004年度PETボトル回収率62.3%を達成/インフォメーション�

清飲FILES 飲み終わったら、どうするの?�PETボトルは以下の出し方を守って、ごみの減量化と資源化に�ご協力ください。�①識別マークを確認してください(PETボトルの識別マークのないプラスチックボトルは、PETボトルと一緒には出せません)�②キャップをはずして、PETボトルと分別してください。�③軽く中をすすいで、水切りをしてください。�④PETボトルを倒してつぶしてから、ラベルをはずしてください。ラベルは分別してください。�⑤市町村のPETボトル収集日に出してください。�シャツやネクタイ、卵パックなどに生まれ変わります。�

PETボトルの�出し方�

創立50周年記念号�

SD SPECIAL

…………………� 3創立50周年の節目の年を迎えて�50周年特集 飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�

全国清涼飲料3団体創立50周年記念式典開催�

………………………………………� 5清涼飲料50年の足跡�飲料文化の変遷と清涼飲料市場の拡大�

…………………………� 7公共の利益との調和の歩み�清涼飲料業の健全な発展に向けた全清飲の取り組み�

社会インフラとしての価値の向上こそ自動販売機の今後の大きな命題� 日本自動販売機工業会専務理事 黒崎 貴�回収率80%以上の目標とリデュース推進で循環型社会の構築に向けた貢献� PETボトルリサイクル推進協議会会長 和田 國男�「アダプト・プログラム」と「環境学習支援」身近な活動で地域社会の再興にも寄与� 社団法人 食品容器環境美化協会専務理事 川上 博志�

【特別寄稿】 全清飲創立50周年に寄せて�……………………�10

①�

②�③�

④�

4  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  3

SD SPECIALSD SPECIAL

2005年、社団法人全国清涼飲料工業会(全清飲)は創立50周年を迎えた。わが国の経済発展に伴い、消費者のニーズ

の変化に応じながら目覚しく成長してきた清涼飲料業界にあって、全清飲では、業界全体の健全な発展に寄与すべく、

行政との密接な連携のもとで環境対応や社会貢献など多様な取り組みを展開してきた。7月には創立50周年記念式典

を開催し、今後の活動への意気込みを新たにした。�

現役大臣の臨席も賜った�

創立50周年記念式典�

消費者、自治体、関係省庁や�

関連団体との連携が不可欠�

記念式典では、公務でご多忙中にもかかわらず、来賓として島村宜伸�農林水産大臣(当時)のご臨席を賜り、全清飲の今後の活動に期待す�る旨の祝辞をいただいた。�

公共の利益と調和のとれた�清涼飲料業の�健全な発展を期して�(社)全国清涼飲料工業会会長 平本 忠晴�

 2005年、社団法人全国清涼飲料工業

会は、お陰さまで創立50周年を迎えました。

これはひとえに今日までご尽力いただいた

先人の方々、行政各位のお陰と、深く感

謝しております。�

 また、7月に開催しました「全国清涼飲

料3団体創立50周年記念式典」におき

ましては、大変ご多忙の中、多数の方々

にご出席いただき、誠にありがとうござい

ました。改めて御礼申し上げます。�

 全清飲は、清涼飲料メーカーと関連企

業で構成し、公益法人として認可を受け

た団体で、公共の利益と調和のとれた清

涼飲料業の発展、品質の向上と安全の

確保および正しい知識の普及を目的とし

て、さまざまな活動をしてまいりました。�

 しかし、清涼飲料業をめぐる環境は決し

て平坦ではありませんでした。オイルショ

ックやバブル崩壊をどうにか乗り切り、今

も平成不況の厳しい経営環境を耐え抜

き、やっと回復の基調にあります。�

 清涼飲料は、喉の渇きを癒すだけでな

く、人の心に潤いをもたらすものであり、そ

の未来は明るいと考えております。�

 現在、全清飲では業界として社会の要

請に応えるべく、環境問題、自販機問題、

飲料の安全・安心な提供など、さまざまな

課題に取り組んでおります。�

 今後も、消費者、関連団体、自治体、

関係省庁の皆様方のご理解お力添えを

いただきながら、公共の利益と調和のと

れた清涼飲料業の健全な発展のために、

精一杯努めてまいりたいと思います。�

【50周年記念特集】飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�【50周年記念特集】飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�

創立創立50周年周年の節目節目の年を年を迎え迎えて�

―全国清涼飲料3団体創立50周年記念式典開催�

創立創立50周年周年の節目節目の年を年を迎え迎えて�

―全国清涼飲料3団体創立50周年記念式典開催�

 2005年7月25日、全清飲は創立50

周年を記念し、同じく創立50周年を迎え

た全国清涼飲料協同組合連合会、全国清

涼飲料工業組合連合会との共同主催に

よる「全国清涼飲料3団体創立50周年

記念式典」を開催した。�

 農林水産省、厚生労働省、経済産業省

のほか、関連諸団体からも多数の来賓を

迎え、まず記念式典に先立って、「今日的

『経営課題』―顧客(得意先)の創造、CS

R(企業の社会的責任)―」と題し、今ま

さに清涼飲料業界が直面している課題に

ついて、四日市大学・谷口優教授による記

念講演が行われた。�

 記念式典では、長年清涼飲料業界の発

展に尽力された方々に、その功績を称え

る表彰が行われた。来賓の島村宜伸農林

水産大臣(当時)からは、祝辞として、「業

界の今後のさらなる発展のためには、消費

者ニーズへの的確な対応、一層の品質・技術

の向上が肝要。資源循環型社会形成に向

けて業界の役割の重要性も高まっており、

飲料業界のさらなる発展を期して、直面

する数多くの課題の解決に向け、一層の活

躍を期待する」旨のスピーチをいただいた。�

 近年は特に、健康志向やライフスタイル

の変化に伴う消費者の食生活の変化が、

食環境における安全・安心の確保や品質

管理の高度化に関するニーズの高まりを

加速させている。�

 そのため業界としても、安全の確保や

品質の向上は、清涼飲料に対する社会か

らの信頼性を高めていくうえで極めて重

要な命題となっている。�

����

 1955年(昭和30年)の創立以来、全

清飲は、公共の利益と調和のとれた清涼

飲料業界の健全な発展のために、消費者、

関連諸団体・グループなどの意見を汲みつ

つ、関係省庁や自治体の指導や力添えを

得ながら、業界と行政の調整役を務めて

きた。�

 清涼飲料業界が直面するさまざまな

課題を解決していくためには、他の業界団

体との相互連携も不可欠の要素であった。

例えば、省エネ、転倒防止、防犯対策など

の自販機問題への対応や使用済み容器の

散乱防止とまち美化運動、PETボトルの

回収率向上と3R(「リデュース」「リユー

ス」「リサイクル」)の推進という全清飲の

活動でも、他業界団体との相互連携なく

しては、とうてい実現しなかった。�

 創立50周年という節目を迎えた全清飲

では、今後も消費者、自治体、関係省庁、

関連団体との連携に努めながら、公共の

利益と調和のとれた清涼飲料業界の健全

な発展のために、積極的に自らの使命と

役割を果たしていく。�

記念式典に先立って、四日市大学谷口優教授による記念講演が行われた。�

6  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  5

SD SPECIALSD SPECIAL

わが国の清涼飲料は、全清飲が発足した

1955年(昭和30年)から今日に至るまで、

消費者のライフスタイルの変遷に伴う食生活

の変化を追い風にして、急激に成長した。生

産量の拡大と共に、品目の多様化も進展。全

清飲50年の歴史を彩ってきた清涼飲料の成

長の足跡を、清涼飲料品目別生産量の推移

に基づいて「清涼飲料市場の拡大と飲料文化

の変遷」という観点から、振り返ってみる。�

 清涼飲料のこの50年間の成長過程をグ

ラフ化すると下図のようになり、この成長

過程には、大きく分けて次の6つの節目が

ある。�

①炭酸飲料台頭期�

 全清飲創立当時は、サイダー、ラムネ、

果実飲料が中心だったが、1961年(昭

和36年)に外資系ブランドの販売制限が撤

廃され、コーラが完全自由化。高度経済成

長期に入り、経済復興の象徴ともいえる

東京オリンピックの年(1964年・昭和

39年)、炭酸飲料が全国消費量のトップに

躍り出た。�

②第一次成長期�

 1969年(昭和44年)に嗜好飲料の

幕開けであるコーヒー飲料が登場。自販

機の普及と共に缶コーヒーが急成長し、コ

ーヒー飲料を非炭酸系最大のカテゴリー

に押し上げた。果汁の輸入枠拡大で果実

飲料も生産量拡大に寄与し、1977年

(昭和52年)には清涼飲料総生産量が

500万キロリットルを突破、市場は「第

一次成長期」を迎えた。�

③新分野飲料台頭期�

 1980年代に入り、新分野飲料と呼

ばれる機能性飲料、スポーツドリンク、ウー

ロン茶などが相次いで発売され、飲料市場

の多様化が進んだ。�

④市場の構造変革期�

 1982年(昭和57年)PETボトルが認

可されたことによる家庭内需要の喚起、1

984年(昭和59年)の自販機稼働台数2

00万台突破、新分野飲料の影響力の増

大などが要因となり、市場の構造的な変

化が加速する。�

⑤第二次成長期�

 1990年代に入ると、コンビニエンス弁

当の普及による緑茶飲料の急成長に牽引

され、市場は「第二次成長期」に入る。19

96年(平成8年)には小型PETボトルの

導入。利便性の向上が消費者に支持され、

PETボトル飲料の生産が急拡大した。�

⑥新しい飲料文化の芽生え�

 1990年代後半のスポーツ飲料の急成

長に加え、2000年(平成12年)以降は緑

茶飲料やミネラルウォーターが爆発的な伸

びを示した。健康志向の高まりもあり、今

まで買って飲む習慣のなかったそのような

無糖系飲料が「生活水」として定着し、新

しい飲料文化を形成しつつある。�

 � 以上のような清涼飲料の成長を総生

産量で見ると、全清飲創立当時の34万キ

ロリットルから、2004年(平成16年)の

1720万9千キロリットルへと、実に50

倍もの成長を遂げていることになるので

ある。�

①炭酸飲料台頭期� ⑤第二次成長期� ⑥新しい飲料文化の芽生え�④市場の構造変革期�③新分野飲料台頭期�②第一次成長期�

清涼飲料50年の足跡�清涼飲料50年の足跡�

―飲料文化の変遷と清涼飲料市場の拡大�

1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 20040

50万�

100万�

150万�

200万�

0

500万�

1千万�

千500万�

2千万�kl kl

250万�

300万�

350万�

炭酸飲料�

果実飲料�

ブレンド茶飲料�

コーヒー飲料�

ミネラルウォーター�

スポーツドリンク�

ウーロン茶飲料�

緑茶飲料�

紅茶飲料�

その他�(機能性飲料等)�

合 計�

【清涼飲料品目別生産量の推移と飲料文化の変遷】�1957年3月�「コカ・コーラ」�(東京飲料㈱)�発売�

1962年12月�「コカ・コーラ�ボトラー、自販機�の設置開始�

1995年1月�阪神淡路大震災�

1999年12月�2000年対応�(Y2K)で�ミネラルウォター�などに特需�

1972年2月�札幌オリンピック�

1974年�オイルショックによる�経済混乱で�清涼飲料にも影響�東京豊洲に�セブンイレブン�第一号店オープン�

1973年10月�オイルショック�11月 ポッカと�自販機メーカーが、�ホット&コールド�切り替え式�自販機を共同開発�

1983年4月�東京ディズニーランド�開業�

1965年2月�栄養ドリンク�「オロナミンC」�(大塚製薬㈱)�発売� 1985年2月�

缶入り�緑茶飲料�(㈱伊藤園)�発売�

1992年4月�オレンジ果汁、�輸入完全自由化�

1980年4月�スポーツドリンク�「ポカリスエット」�(大塚製薬㈱)�発売�

1981年2月�ウーロン茶飲料�(㈱伊藤園)発売�

1984年�清涼飲料の自販機、�200万台超える�

1977年10月�ホット&コールド�併売式自販機�開発�

1990年�猛暑で、�清涼飲料続伸、�1,000万キロリットル�の大台に�(第二次成長期)�

2000年�緑茶飲料�52.8%増�

2004年�記録的な猛暑で、�7月は前年同月比�20%を超える増加、�過去最高の出荷量�緑茶飲料2億箱、�200万kl台へ�

2001年�清涼飲料に占める�PETボトル飲料、�容量ベースで�全体の5割を超える�

2002年�機能性飲料、�スポーツドリンク伸張�PETボトルサイズの�多様化進む�

2003年�アミノ酸飲料市場が�爆発的に伸びる�特定保健用食品の�緑茶飲料がヒット、�ミネラルウォーター�輸入25.6%増、�国産は大型PET伸びる�

1987年4月�国鉄民営化、�JR発足�

1979年�清涼飲料総生産量、�500万キロリットル�突破�(第一次成長期)�

1978年5月�成田空港開港�

1969年4月�缶入りコーヒー飲料�(UCC上島珈琲㈱)�発売�

1964年10月�東京オリンピック�

4月�電電公社民営化、�NTT発足�

10月�缶入り炭酸飲料�(コカコーラ社)�発売�

1970年3月�大阪万博大阪万博�1970年3月�大阪万博�

1996年4月�小型PETボトルの�導入�

1998年2月�長野オリンピック�「ニアウォーター」�ブームに�

合計� 品目別�

【50周年記念特集】飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�【50周年記念特集】飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�

1992年頃�バブル景気の終焉�

8  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  7

SD SPECIALSD SPECIAL

公共の利益との調和の歩み�公共の利益との調和の歩み�

―清涼飲料業の健全な発展に向けた全清飲の取り組み�

全清飲50年の歴史は、公共の利益と調和のとれた清涼飲料業の健全な発展に貢献すべく、さまざまな課題に対する取り組みの

歩みである。ことに創立40周年を迎えた1995年(平成7年)以降の10年間は、バブル崩壊後の景気の低迷が長期にわたる中、

消費者の関心が高まってきた省エネ、リサイクル、食の安全・安心などの課題に対し、社会の要請に応える形での活動が中心となっ

てきた。この10年間の活動を紹介する。�

����

 わが国における清涼飲料の成長

過程は、一方では、空き容器の散乱対

策や環境問題への取り組み、自販機

の省エネ・転倒防止・防犯といった自

販機問題への対応など、清涼飲料と

社会の共生を目指した取り組みの

歴史でもある。�

 特に、全清飲創立40周年の

1995年(平成7年)に容器包

装リサイクル法(容リ法)が公布さ

れたことは、この10年間の全清飲の

活動の根幹にかかわる象徴的な出

来事といえる。�

 例えば、容器包装のごみ減量化

とリサイクルの促進は、1972年

(昭和47年)頃に議論が始まった空

き缶などによる散乱問題に端を発

しているが、全清飲では早くから環

境美化に寄与すべく、使用済み容

器の散乱防止などに努めてきた。

その一例が(社)食品容器環境美化

協会(食環協)と共に取り組んでき

た、新しいまち美化運動「アダプト・

プログラム」の展開である。�

 リサイクルに関しても、1996

年(平成8年)に消費者の需要に

応えてPETボトル入り飲料の

生産量が急激に拡大すると、全清

飲は、PETボトルリサイクル推

進協議会(推進協議会)との連携

のもとで、PETボトルの「リデュ

ース(排出抑制)」「リユース(再使

用)」「リサイクル(再利用)」の3R

の推進を柱とする活動を展開した。�

 こうして、容リ法のもとで市町

村分別収集が推進力となり、飲料

容器の回収も順調に進展。特に

PETボトルでは、欧米諸国が20

〜30%(推定)であるのに対し、実

に62・3%(2004年度)という

世界最高水準の回収率をキープし

ている。�

��

容器包装リサイクル法と�

3Rによる環境対応�

【社会・行政の動き】� 年 月�

1995 6 容器包装リサイクル法公布�

1996 4 小型PETボトルの導入�

7 自動販売機据付基準の改正�

1997 4 消費税5%に引き上げ�

6 ナチュラルミネラルウォーターの国際規格(Codex)、� ヨーロッパ案(無殺菌・無除菌かつバルク輸送禁止)で決まる�

6 環境アセスメント法�

12 地球温暖化防止で京都議定書採択�

1999 7 清涼飲料がHACCP承認制度の対象品目となる�

自販機犯罪増加、特に外国変造硬貨の不正使用が急増�

2000 4 容器包装リサイクル法完全施行�

6 循環型社会形成推進基本法公布、環境関連5法など、� 個別リサイクル法の制定� 11 加工食品・果実飲料・炭酸飲料等品質表示基準の改正�

2001 3 栄養改善法による保健機能食品制度の創設、栄養機能食品が新規に加わる �

5 PETボトルのリサイクル手法にポリエステル原料化が認められ、ボトルtoボトルが可能に �

6 フロン回収破壊法公布、自販機のフロン回収義務化へ�

2002 6 エネルギー政策基本法 �

12 自販機が、省エネ法による特定機器に指定される�

2003 5 食品安全基本法公布、関連食品衛生法及び健康増進法の改正法も公布�

7 期限表示を「賞味期限」に統一することが告示�

2004�

2005 2 京都議定書発効�

6 景観法施行�

【全清飲・清涼飲料業界の活動】� 年 月�

1996 国際清涼飲料協議会(ISDC、現ICBA)設立、全清飲加入、NGOとしてCodexにも参加�

1997 4 容器包装リサイクル法によるPETボトル、ガラス容器の再商品化開始�

エコベンダー設置広がる、同年度新規設置自販機は約70%がエコベンダー�

1998 7 自販機の適正廃棄マニュアル完成�

1999 1 自販機自主管理基準(ガイドライン)実施�

12 食品容器環境美化協会による「アダプト・プログラム」の提案開始�

2000 12 全清飲、2001年4月施行の容器包装識別マーク表示に対応する� 清涼飲料用ガイドライン策定�

2001 4 「指定PETボトル自主ガイドライン」を改訂・施行、着色ボトルの完全廃止へ�

10 全清飲、「製品事故防止ガイドブック」発刊、東京・大阪・福岡でセミナーを開催し、� 事故防止の啓発に努める�

2002 HACCP承認工場が続々と登場�

2003 2 自販機自主管理基準、大幅改正�

9 指定外添加物をめぐる問題について、業界32団体名で要望書提出�

11 山梨県のミネラルウォーター税課税提案に業界が反論、継続審議に�

2004 6 全清飲主催、中小企業初の新製品合同発表会開催�

8 自販機関連業界で「自動販売機据付判定マニュアル」、�

「同 改善の手引き」策定、全国で説明会を実施�

10 自動販売機の所在地表示開始。福岡、大阪から全国へ�

12 警視庁と連携し、「自販機犯罪通報システム」を都内で実施�

スチール製広口ボトル缶が続々登場�

内容量比率で、PETボトル飲料が60%を超える�

PETボトル回収率が60%を超える�

2005 1 自販機の所在地表示、全国展開へ�

6 自販機耐震化技術研究会発足�

容器包装リサイクル法の見直しに関する要望書を提出�

10 自販機の景観に対する自主基準策定�

【50周年記念特集】飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�【50周年記念特集】飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�

自販機据付の業界基準となる�「自動販売機据付マニュアル」発行�

10  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  9

SD SPECIALSD SPECIAL

清涼飲料業のさらなる発展の礎�

「安全・安心な清涼飲料の提供」�

����

 自販機をめぐるさまざまな問題への対

応も、全清飲にとって重要な課題であり、

1998年(平成10年)には「清涼飲料自

動販売機自主管理基準(自販機自主ガイ

ドライン)」を制定。業界として自販機問

題の具体的な解決に向けて本格的な取り

組みを開始した。�

 自販機の省エネ対策も、1997年(平

成9年)に地球温暖化防止に向けて京都議

定書が採択される以前から、全清飲をはじ

めとする業界全体で、ほかの業界に比べても

先鋭的といえる取り組みを推進してきた。�

 例えば、自主計画として実施した消費電

力削減計画では、1991年(平成3年)か

ら2001年(平成13年)までの10年間で

33%の電力低減を実現。2002年(平成

14年)には自販機が省エネ法の「特定機器」

に追加指定され、2005年(平成17年)に

2000年比30%のさらなる低減が義務

付けられたが、現時点(2005年9月現

在)で既に目標値は達成しており、これによ

り自販機1台あたり15年間で50%以上の

消費電力低減を実現できているのである。�

 また、昨今の治安の悪化から対応が急務

の自販機の防犯対策では、日本自動販売

機工業会ならびに警視庁と連携して「自

販機犯罪通報システム」を開発し、

2004年(平成16年)から東京都内でテ

スト導入を開始している。�

 さらに、警察・消防への緊急通報に貢献

する「自販機の住居表示ステッカー貼付」

は、自販機の重要な社会的・公共的役割と

して注目され、高い評価も得ている。全清

飲が自販機工業会ならびに日本自動販売

協会と連携して、2004年(平成16年)

10月に大阪で開始、2005年(平成17年)

早々に全国展開となった。�

����

 安全で安心して飲用できる清涼飲料を消

費者に提供することは、業界にとって最も基

本的な使命である。�

 全清飲では、食品衛生法にHACCPシ

ステムを中心とする総合衛生管理製造過程

承認制度が規定され、清涼飲料水が対象と

なったことを機に、HACCP講習会を

2000年(平成12年)より開催している。

また、2001年(平成13年)より、清涼飲

料水関連中小企業に対する事故防止講習

会を全国各地で開催し、「安全・安心」への取

り組みも強化してきた。�

 安心・安全という点では、添加物や残留農

薬の問題など、世界最大の食糧輸入国であ

るわが国の立場を明確にして、国際基準の確

立に寄与していく必要もある。そのため全清

飲では、Codex(国際食品規格委員会)

やICBA(国際清涼飲料協議会)での情報

交換に努め、ことにICBAでは、2001

年(平成13年)から2年間事務局を務め、運

営面においても中心的な役割を果たした。�

 2002年(平成14年)に食品衛生法や

健康増進法の改正法、2003年(平成15

年)に、食品安全基本法が公布され、健康や

食の安全・安心に関する消費者の意識が一

層高まっている。全清飲では今後も、会員企

業はもとより、消費者、関連団体、自治体、

関係省庁のご協力ご指導を仰ぎながら、業

界全体のさらなる発展に貢献すべく、「安

心・安全な清涼飲料の提供」に向けた施策

も、積極的に展開していく。�

【特別寄稿】全清飲創立50周年に寄せて�

日本自動販売機工業会専務理事 黒崎 貴�

木村修一●きむら・しゅういち�1929年生まれ。1961年東北大学大学院修了。ニューヨーク州立大学医学部に留学。東北大学農学部教授、同農学部長、昭和女子大学大学院教授を経て、現在、昭和女子大学大学院特任教授。東北大学名誉教授。理化学研究所客員主管研究員。農学博士。専攻、栄養学。�

 自販機は、1957年(昭和32年)に登

場して以来、清涼飲料の成長と共に販売

チャネルとして確固たる地位を築き、その

利便性が消費者からも広く支持されてき

ました。2004年(平成16年)には普及

台数が過去最高の223万台を記録し、

今や社会インフラとして不可欠の存在に

なっています。�

 その一方で、自販機の普及過程は、「省エ

ネ」「フロンガス対策」「転倒防止」「防犯」

「景観対応」など、さまざまな課題に対す

る取り組みの過程でもありました。�

 こうした中、日本自動販売機工業会

(JVMA)では、このたび50周年を迎え

られた全清飲との緊密な連携のもと、中

央省庁ならびに地方自治体のご指導ご

協力を仰ぎながら、自販機問題の具体

的な解決に向け、業界を上げて取り組

んでまいりました。ことに省エネ対策や

代替フロン問題では、他業界に先駆けた

先鋭的な取り組みを自主的に実施し、

目覚しい効果も上げています。�

 また、バブル経済崩壊後は、景気の長期

にわたる低迷で社会の治安が悪化してき

たこともあり、単なる販売ツールにとどま

らない自販機の社会インフラとしての役割

が注目されています。�

 警察・消防への緊急通報に貢献する「自

販機の住居表示ステッカー貼付」はその代

表例で、既に社会から高い評価を得ていま

す。街灯の整備が進んでいない地域では、夜

間に自販機が道を明るく照らしていること

が防犯に役立ち、町の安全性の確保に寄与

しているとの声もあります。�

 自販機自体の安全な運用ということも、

私ども業界にとって極めて重要な社会的

責務です。JVMAでは、業界自主基準

「自販機堅牢化基準」を定めると共に、全

清飲と共同で「自販機犯罪通報システム」

を開発し、警視庁ならびに愛知県警の協

力のもと、フィールドテストを行うなど、自

販機犯罪撲滅にも務めています。�

 転倒防止についても同様で、早くから

安全な据付けに関する自主基準を定め

ており、現在では、地震に対する社会不安

の高まりを受け、据付けに関する業界自

主基準をさらに見直すべく、研究会を発

足して新たな基準策定に向けた本格的な

取り組みを開始したところです。�

 今後は、省エネや安全性に関する施策の

継続的な実施はもちろんのこと、景観調和

や美化対策も重要な課題ととらえ、地域

に根差した社会インフラとしていかに価値

を向上させていくかが、自販機の大きな命

題になってくるでしょう。�

 そのためにも、JVMAでは、全清飲を

はじめとする関連業界団体との連携をさ

らに密にし、業界内部での情報共有のみな

らず一般に向けたリアルタイムの情報発信

に一層努力していく考えです。�

日本自動販売機工業会ホームページ�

http://www.jvma.or.jp/

自販機の住所表示ステッカーは、�たいていこの位置に貼り付け�られている。�

自販機の省エネ対策、防犯対策�

社会的価値の向上�

【50周年記念特集】飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�【50周年記念特集】飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�

12  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  11

PETボトルリサイクル推進協議会会長 和田 國男�

 PETボトルは比較的歴史が浅い容器で

すが、「軽くて割れない」「透明で中身が見

える」「再栓性がある」などの利便性が消費

者に支持され、2004年度(平成16年)に

は飲料容器全体の60・2%を占めました。�

 ごみ減量化やリサイクルといった飲料容器

にかかわる環境問題への対応も、1990年

代初頭から業界による本格的な取り組みが

開始され、1993年(平成5年)には、循

環型社会の構築に向けて貢献すべく、私ど

もPETボトルリサイクル推進協議会(推進

協議会)が設立されました。�

 PETボトルリサイクルに関する事業の推

進、啓発ならびに研究・調査などを主な活動

目的とし、全清飲、PETボトル協議会、日本

果汁協会、日本醤油協会、酒類PETボトル

リサイクル連絡会の5団体で構成されてい

ます。設立に際しては、当時の通商産業省、

農林水産省、厚生省および大蔵省(国税庁)

のご支援もいただきました。これは、PETボ

トルが再資源化法に基づく指定表示製品

に指定されたことによります。�

 このような設立の経緯から見ても、公共

の利益と調和のとれた清涼飲料業界のさ

らなる発展のために、推進協議会が担う責

務は重いと認識しております。�

 ことに、全清飲との相互連携は不可欠で、

これまでにもPETボトルの自主設計ガイ

ドラインを共同で作成して、リサイクルし

やすい容器となるよう努めるなど、業界を

あげた取り組みを牽引してきました。「リ

デュース(排出抑制)」「リユース(再使用)」

「リサイクル(再利用)」の3Rの推進におい

ても、リデュースとしてのPETボトル軽量

化に力を注ぎ、未確認量(輸出・埋め立て・

焼却など)の低減に貢献しています。�

 推進協議会のこうした活動のうち、最

大の成果は何といっても、極めて短期間で

欧米を抜き去り世界最高水準に達したP

ETボトルの回収率です。昨年度には、市

町村収集量に事業系回収量を加えて、実

に62・3%。前年度の61・0%から続伸し

ました。�

 もちろん、これは業界の努力もさること

ながら、消費者、市町村、関係省庁のお力

添えとご協力があって初めて達成できた実

績です。1997年(平成9年)4月にP

ETボトルにも適用された現行の容器包

装リサイクル法が非常によく機能し、市

民(分別排出)、市町村(分別収集)、事業

者(再商品化)という3者の役割分担によ

る日本型EPR(拡大生産者責任)が成果

をあげているわけです。�

 推進協議会では昨年、こうした成果に

満足することなく、2014年(平成26

年)度の回収率80%以上という高い目標

を掲げました。リデュースとしての軽量化

もさらに推進しながら、今後も循環型社

会の構築に貢献すべく、多彩な活動を展

開していきます。�

PETボトルリサイクル推進協議会ホー

ムページ�

http://www.petbottle-rec.g

r.jp/

社団法人

食品容器環境美化協会専務理事 川上 博志�

SD SPECIALSD SPECIAL

【特別寄稿】全清飲創立50周年に寄せて�【特別寄稿】全清飲創立50周年に寄せて�

 私ども(社)食品容器環境美化協会(食

環協)は、使用済み容器の散乱対策を目的

とし、1973年(昭和48年)に飲料メーカ

ーの団体が集まって設立されました。以来

30数年、「ポイ捨て防止、まち美化」をキー

ワードに精力的に活動を展開し、現在は全

清飲、全国トマト工業会、日本果汁協会、日

本コーヒー飲料協会、日本コカ・

コーラボトラ

ーズ協会、ビール酒造組合の6団体で構成

される公益法人として、環境美化のための

多様な啓発・支援活動を実施しています。�

 地域に密着した環境美化活動を行うた

めに、全国にある食環協の会員企業の拠点

をつなぐ「地方連絡会議」を設置している

ほか、各自治体に設けられた「ごみ減量化・

環境美化推進協議会」などとの連携も図っ

ています。2005年(平成17年)9月現

在で、東京都と沖縄県を除く45道府県で

42の地方連絡会議が活動しています。�

 食環協の活動の柱は大きく分けて2つあ

り、ひとつは1999年(平成11年)に新し

い「まち美化手法」として提案し、展開し

ているアダプト・プログラムです。「自分たち

のまちを自分たちの手できれいにする」と

いう身近な活動が、まちへの愛着を芽生え

させ、地域社会の再構築にもつながるとい

うことで注目され、本年6月現在、全国約

240の自治体で導入されています。�

 これは、一定区画の公共スペースを養子に

見立て、養子縁組(アダプト)によって里親

となった地元の市民や企業・

団体が清掃美

化を行い、それを行政が支援するというシ

ステムです。食環協は、全国各地の導入の

実態や成果を毎年定期的に調査し、情報

集約して各自治体にフィードバックすると

いう情報センターの役割も担っています。�

 もうひとつの活動の柱は、次代を担う子

供たちへの環境教育支援です。「環境美化

教育優良校の表彰」と「総合学習のための

先生向け・生徒向けの学習ガイドなどの資

料提供」を両輪としており、食環協のホー

ムページで学習サイト「まち美化キッズ」を

立ち上げたのもその一環です。�

 そのほかの活動としては、消費者へのメッ

セージとして食環協で作成した統一美化マ

ーク(マーク自体の認知度の高さに比して、

食環協の存在は意外と知られていません

が)のもと、全国の自治体で実施され、全清

飲にも積極的に協賛・参画していただいて

いる散乱防止啓発キャンペーン(イベント、ポ

スター掲出、電車の中吊り、バス車体ラッピ

ング広告、道路脇の立て看板など)があげ

られます。�

 環境美化という重要な課題は、市民と企

業・団体と行政の一体となった取り組みがな

いとなかなか実効があがりません。食環協で

は、そうした取り組みにおける接点の役割を

担う中立性の高い公益法人として、そして、

飲料業界を代表して散乱問題に取り組む窓

口として、今後も地域に密着した多様な活

動を展開し社会に貢献していく所存です。�

食品容器環境美化協会ホームページ�

http://www.kankyo

bika.o

r.jp/

2005年NEW環境展のようす。こうしたイベントに参加し、�PETボトルのリサイクルの啓発に務めている。�全国で実施されているアダプト・プログラムの清掃活動風景。�

【50周年記念特集】飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�【50周年記念特集】飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�

14  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  13

存在存在が日常化し

日常化しているから�

作中作中にも登場

も登場する缶コーヒー�

存在が日常化しているから�

作中にも登場する缶コーヒー�

東京東京に出たのは、閉じこもって�

書いてみたかったから�

東京に出たのは、閉じこもって�

書いてみたかったから�

機会機会があれば書いてみたい�

コンビニで垣間見

垣間見た人間模様

人間模様�

機会があれば書いてみたい�

コンビニで垣間見た人間模様�

缶コーヒー、煙草、ガムは、小説執筆時に絶対欠かせない必需品。缶コーヒーの銘柄はいつも、こだわりのブラック。締め切

りが迫ってくると、これに栄養ドリンクと乳酸飲料が加わる。大学卒業後、コンビニ店でアルバイトをしながら創作に専

念する日々を送り、本年夏、芥川賞受賞。アルバイト時代は奇しくもソフトドリンクの発注担当。宿命的ともいえる清涼

飲料とのかかわりを語っていただいた。�

ブラック缶コーヒーが生んだ�

芥川賞受賞作「土の中の子供」�

ブラック缶コーヒーが生んだ�

芥川賞受賞作「土の中の子供」�

清・飲・人�清・飲・人�

1977年、愛知県東海市出身。2000年3月、福島大学行政社会学部応用社会学科卒業。就職活動は一切せず、大学卒業後は東京・池袋のコンビニ店でアルバイトをしながら小説の執筆に専念。書き上げた「銃」で、2002年に第34回新潮新人賞受賞、翌03年1月には第128回芥川賞候補に。同年7月2作目の「遮光」が第129回芥川賞候補。05年、3度目の候補作「土の中の子供」で第133回芥川賞受賞。著書に『銃』『遮光』『悪意の手記』(いずれも新潮社)がある。�

中村文則●なかむら・ふみのり�

芥川賞受賞作家�

中村 文則さん�

INTERVIEWINTERVIEW

����

 書いているときには、とにかく缶コーヒーが

手放せません。それと、煙草とガム。この3つ

はもう必需品ですね。�

 飲む缶コーヒーの銘柄は決まっていて、ブラ

ックなんですけど、なかなか自販機で売って

なくて。コンビニまで行って買うこともあり

ます。�

 それが面倒なときは、ほかの銘柄に浮気

するんですが、やっぱり甘くてダメですね、僕

には。昔から飲んでいるいつものでないと満

足できない。ほかのメーカーも、おいしいブラ

ックをどんどん出してくれるとありがたいん

ですけど。�

 もともとコーヒーが好きで、1日1回は必

ず飲みますし、コーヒーのおいしい喫茶店に

出向くこともあります。高校生のころから

散歩が大好きで、大学に入ってからは、缶コ

ーヒーを持って煙草を吸いながら歩くよう

になりました。愛知に戻っている今でもそう

です。�

 僕の作品の中に缶コーヒーと煙草が当然

のように出てくるのも、存在が日常化して

いるからなんですね。だから、新聞の記者さ

んなんかと待ち合わせているときも、駅前と

かで缶コーヒーを持って煙草を吸いながら立

っていると、「そのまんまですね」ってよく言

われます(笑)。�

 ただ、芥川賞をいただいた「土の中の子供」

で、主人公が缶コーヒーをマンションから落下

させる場面があるんですけど、あれは自分の

中の純然たるイメージの世界の話で、実際に

そんな危ないことをやった経験があるわけで

はありませんから、念のため。�

����

 作家になろうと思ったのは大学4年のと

きです。日記のように書きためてあったもの

があり、それを小説の形にまとめたらどう

かなと思って、書き始めたんです。そしたら、

「あ、これだ」という手応えがあって。で、アル

バイトしながら小説書こうと思い、就職活動

は一切しないで、卒業と同時に東京に出て、池

袋近辺を生活

の拠点にしまし

た。部屋代が安

いと聞いたから

です。�

 愛知に戻るん

じゃなくて東京

に出たのは、友

達のいない環境

で、閉じこもって小説を書いてみたかったから

ですね。何か僕の中で、東京で閉じこもって

小説書く、みたいなイメージがあって(笑)。�

 アルバイトはコンビニです。おカネよりも

執筆の時間が大事って感じの生活で、週4

日、朝9時から夕方の5時まで。主にソフト

ドリンクの発注を担当していました。�

 で、思いましたけど、ドリンクの新作って、

CMの有無とパッケージで、売れるかどうか

がほぼ決まるんですね。たくさんの種類か

ら客が品物を選ぶ時間はせいぜい数秒。み

んな、パッと選んで買う。要するに、コンビニで

買うドリンクって、今はもうファッションのよ

うな存在になっているんですね。�

����

 コンビニでは、いろんな人間模様を見てき

ました。僕が書くのは純文学ですけど、機

会があれば、そういった人間模様も書いてみ

たいと思いますね。�

 でも、よくコンビニや自販機について、24時

間稼働していることが若者の非行を助長し

ているという意見を耳にしますけど、これは

変な話だと思いますね。�

 明るいところって結局、夜間の居場所なん

ですよ。いい意味で、明るいから人が寄り集

まってくるんです。仮にコンビニや自販機が

なくなっても、人の流れが別の明るい場所に

移っていくだけで、本質的には何も変わらな

い。真の原因は、もっと内的なものかもしれ

ないんですから。それに、コンビニや自販機は

今や生活に不可欠の存在です。なくしたら

ダメだと思いますね。�

 それにしても、愛知に戻って本腰を入れて

小説を書くようになった当初は、散歩して

いて、よく変な目で見られましたよ。いい若い

もんが平日の真昼間から煙草を吸いながら

缶コーヒー持ってぶらぶら歩いているわけだ

から、どう見ても、不審人物(笑)。�

 こんなふうに多少でも顔が知られるよう

になって、ありがたいです。心置きなく散歩

もできますからね。もちろん、ブラックの缶コ

ーヒーと煙草を持って。�

愛飲の缶コーヒーの銘柄は決まっている。�だがなかなか自販機にないのが難点と笑う中村氏。�

16  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  15

高効率ガス・コジェネレーション・システム探訪�

都市都市ガスのコジェネで省エネを実現実現�

CO2の排出量

排出量で約9%カット�

軽量軽量PETでは環境負荷を

環境負荷を大幅大幅に低減低減�

清涼飲料の生産現場では、先進的な省エネへの取り組み例が多く見られる。その代表的なものが「コジェネ」だ。今回は、他業種でもあまり類を見ないという高効率のガスタービン・コジェネレーション・システムを導入し、二酸化炭素の排出を抑えるとともに、軽量PETボトルの開発・導入でも環境負荷を軽減している生産施設を訪ねた。�

送電損失を減らすとともに�

クリーンなエネルギー源を採用�

高効率ガス・コジェネレーション・システム探訪�

ガスタービン・コジェネレーション・システムは、�消費エネルギー、環境負荷、製造コストの3つすべてを削減するメリットがある�

キリンビバレッジ(株) 湘南工場�

INNOVATIONINNOVATION

 二酸化炭素排出量に換算した清涼飲料業界

のエネルギー消費量は、96・5万トン(2004

年度)と推計されている。これは産業界全体(経

団連に加盟する35業種)の0・8%に過ぎない

が、前号でも紹介したように、全国清涼飲料工

業会では、環境負荷低減という観点から、さら

なる削減を目指している。2010年(平成

22年)までに、二酸化炭素排出原単位を

1990年(平成2年)比で6%削減するの

が目標だ。�

 こうした業界の環境対策および省エネの有

効な手段として脚光を浴びているのが、コジェ

ネレーション・システム。生産施設内で自前の

発電を行えば、送電に伴う電力損失を大幅

に抑えることができる。また、クリーンなエネル

ギー源とされる都市ガスを燃料にすれば、重

油や軽油、灯油を燃やすよりも二酸化炭素の

排出量を減らせるという。�

 さて、今回訪ねたキリンビバレッジ湘南工場

では、都市ガスによる高効率のコジェネレーショ

ン・システムを昨年10月から本格稼

動させ、大幅な省エネとコスト削減

を実現している。�

「電力会社から送電される購入電

力では、結果的に燃料が持っていた20

〜30%程度のポテンシャルしか利用

できません。一方、当社が採用した高

効率ガスタービンによるコジェネでは、

都市ガスエネルギーの75〜80%程度

を引き出せます。結局、優れた設備

を導入できるのなら、自家熱源を持

ったほうが省エネを進めやすいし、現

在のように原油が高騰する局面で

は、コストダウンにもつながります」�

 同工場の中山俊一・環境整備室長兼製造担

当部長は、高効率ガスタービンによるコジェネレ

ーション・システム導入のメリットを、このように

話す。現在、工場内で消費する全エネルギーの

うち、5割弱の電力および約25%の蒸気を同

システムから得ている。�

キリンビバレッジ(株)湘南工場�環境整備室長 兼 製造担当部長 中山俊一氏�

18  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  17

 キリンビバレッジ(株)は、PETボトルの軽量化と自社成型に取り組んできた。「成型済みPETボトルを購入するのは、トラックで空気を運んでいるようなもの」(同社ロジスティック本部技術部長・浜川裕明氏)との考えから、湘南工場において2000年(平成12年)から稼動を開始したPETボトル成型工程を含む製造ラインで、成型前の原型であり、小さくて軽量な「プリファーム」を購入し、成型するようにした。これにより、輸送時の燃料消費および二酸化炭素排出量の大幅な削減を実現した。� さらに「ペコロジーボトル」と名付けた超軽量の2RPETボトルも2003年(平成15年)に開発。従来品に比べてボトル重量を約20g軽量化したこの容器を、2005年(平成17年)から同社主力のお茶飲料に拡大採用している。今後、ほかの飲料でも2RPETボトルにこのボトルをさらに拡大していく予定だ。�

「薄くなった分だけ、それを補う工夫が必要でした。キャップを空けたときに中身が飛び出さないよう、手でつかむ部分の厚みを増したり、商品を重ねる輸送時や陳列時に縦方向の荷重に耐えられるよう、形状の加工にも気をつかいました」� 浜川氏がこう話すように、ペコロジーボトルは従来品より30%も容器全体の厚みが薄い。それが廃棄時のメリットにもなる。潰すのが容易なので、消費者にリサイクルを促す効果も見込める。� 近年の製造業では、原料の採掘から製造、輸送、販売、リサイクル、最終処分までの環境負荷をトータルに評価する「LCA/ライフサイクルアセスメント」という考え方が重視されており、この超軽量ペットボトルでは、それらの各過程で環境負荷のより小さいものとなっている。現在、同社の2RPETボトル1本当りでは、CO2排出量換算で従来品に比べ70gの削減、エネルギー換算では1.1MJ(メガジュール)の削減に至っているという。�

右・ペコロジーボトル(右)とその成型前のプリフォーム�

左・ペコロジーボトルは、薄いので女性や子どもでも簡単につぶせる�

高効率ガス・コジェネレーション・システム探訪�INNOVATIONINNOVATION

二酸化炭素排出原単位で8・7%�

 エネルギー原単位で8%の改善�

 コジェネ導入の結果、同工場ではエネルギー

原単位(原油換算)を年間8%、二酸化炭素

排出原単位を同8・7%改善させたという。�

 ここでいう「原単位」とは、生産のエネルギー

効率を示す指標のようなもの。つまり、同工

場では従来、100リットルの製品を生産す

るのに100という単位の原油を要していた

のが、現在では92単位の原油で製造できるよ

うになったことを意味する。同様に、従来と同

じ量の製品を生産する際に排出される二酸

化炭素の排出(換算)量が、8・7%減っ

たということでもある。�

「8%台という原単位の削減は、そうそ

う簡単に実現できる数値ではありませ

ん」�

 以前から、さまざまな環境対策と省エ

ネに取り組んできた苦労のためだろうか、

そう話す中山氏の言葉には強い実感が

こもっている。確かに10%近くもの効率ア

ップは、現代の製造業では驚異的な数値

と言える。また、キリンビバレッジ湘南工

場は、年間3千万ケース、量にして34万

キロリットルを生産する国内最大級の施

設であるため、同社だけでなく、業界全

体に与える好影響も小さくない。�

 ところで、同社が採用したコジェネレー

ション・システムのもうひとつの特長は「熱電可

変型」というところにある(図参照)。�

「発電時にタービンで発生する排熱を蒸気エ

ネルギーとして取り出すことができ、電力が

足りないときには、その蒸気の一部をガスター

ビン燃焼部に注入することで、さらに電力増

強が可能になるシステムです。つまり、基礎的

なエネルギー効率がよいだけでなく、電力と蒸

気の需要に応じて、供給エネルギーのバランス

をある程度変更できるという点でも効率的な

わけです」�

 中山氏によると、同様のシステムの導入例

は日本でもまだ少なく、他業種でもあまり見

られない高効率なものであるという。約3億

円強の導入費用に対し、約1億円を独立行

政法人・新エネルギー・産業技術総合開発機

構(NEDO)の補助でまかなった。�

「非常に大きな投資額ですが、企業が環境対

策に力を入れて当然の時代。茶かすやコーヒ

ーかすの再資源化など清飲業界はいろんな問

題を克服してきていますが、最後に残るのが

二酸化炭素の排出量だと思います。それを減

らせて、省エネもでき、さらには生産コストの削

減にもつながるのですから、コジェネは一石三鳥

の環境対策と言えるでしょう」�

 こう語る中山氏は、その肩書きにあるよう

に、環境整備と製造管理の現場責任者を兼

任している。環境対策とエネルギー供給、そし

て製造工程を総合的な視点からプランできる

立場にあるので、「その点では導入に取り組み

やすかった」と話す。�

 また、同社が成功した軽量PETボトルの

開発も、工場内に自前の充填ラインに直結し

たPETボトル成型設備を備え、常温充填方

式を採用しているからこそ可能だった側面が

ある。単なる環境対策にとどまらない、こう

した総合的な改善への取り組みが、結果的に

業界の環境負荷軽減を大きく推進させるの

だろう。�

このコジェネレーション設備内で、ジェットエンジンのよ�うなタービンが回っており、そこからの電力と排熱(蒸気)�を生産に利用している。エネルギー効率の高さが、最大�の特長だ�

湘南工場では、2003年からノンフロン型の冷凍機も導入。中山氏によれば「小型�の冷凍機を多列・並列運転したほうが全体のエネルギー効率はよくなる」とのこと�

超軽量PETボトルを開発�生産・輸送・廃棄の全過程で環境負荷が“軽く”なる!�

キリンビバレッジ(株)ロジスティックス本部技術部長 執行役員 浜川裕明氏�

②吸気冷却装置�

①燃料用都市ガス�

燃焼用空気�

電気�

製造工程�に利用�

発電機�

④排熱ボイラー�蒸気�

熱電可変型ガスタービン・コジェネレーション・システムの概要�

気温が上昇すると燃焼用の空気の密度が下がり、タービンの出力を下げるため、冷水を使用して、燃焼用空気を冷却することで、ガスタービンの出力を安定させる装置。�

ガスタービンから排出される熱を、蒸気に変えて取り出し、製造工程に利用する。�

⑤蒸気の一部�排熱ボイラーで作られた蒸気の一部をガスタービン燃焼部に注入することで、電気出力の増強を図ることができる。蒸気を利用しない場合の発電量は2千kW、蒸気を利用することで最高出力は2,500kWになる。ただ、2千kW発電時に比べ、総合的なエネルギー効率は低下するため、通常は2千kWの出力で稼働している。この排熱を利用して、発電量を変えることから「熱電可変型」と呼ばれる。�

③ガスタービン�燃料ガスを燃焼してガスタービンを回転させ、発電機を駆動する。一般的な発電設備では、タービンを回転させたときの熱エネルギーはそのまま排出されていたが、コジェネレーションシステムでは、蒸気の形で取り出してエネルギー効果を高めている。�

ガスタービンを回す燃料源として都市ガスを使用している。都市ガスの原料である天然ガスは、灯油や重油よりもCO2の排出量が少なく、コストも低く抑えられる。�

20  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  19

自販機耐震化技術研究会�

新業界標準の策定に向け始動�

「自販機犯罪�

通報システム」�

愛知県でも導入開始�

「果実飲料並びに炭酸飲料の日本農林規格・品質表示基準」の改正�

および「JAS法の一部を改正する法律」に係る説明会を開催�

 全国清涼飲料工業会と日本自動販

売機工業会は、愛知県警と共同で、自

販機犯罪通報システムの運用を8月1

日から開始した。�

 自販機犯罪通報システムは、自販機

に「こじあけ」などの無理な負荷がかか

ると、瞬時にホストコンピューターに情報

が伝達され、専用回線で即座に最寄り

の警察署に通報される仕組み。すでに、

東京都内では昨年12月から導入されて

いる。�

 愛知県では、「自販機ねらい」の発生

件数がほかの都道府県と比べて突出し

て多く、2004年(平成16年)の発生

件数1万7967件と、ここ数年全国

ワースト記録を続けている。このような

状況から、愛知県警でも「自販機ねらい」

を含む街頭犯罪の抑止をはじめ、増加

する刑事犯罪に歯止めをかけるべく、昨

年から3年計画の治安回復アクション

プランを策定している。�

 こうした県警の意向を背景に、全清

飲、自販機工業会は協力し、同県内で

も新たにシステムの運用を開始し、自販

機犯罪の摘発を図ることとなった。�

10月は自販機月間�

 全国清涼飲料工業会と、日本自動販

売機工業会、日本自動販売協会、日本

自動販売機保安整備協会の自動販売

機業界4団体では、毎年10月を「自販

機月間」と定め、業界内外への情報発

信、業界関係者の啓発活動などを推進

している。�

 今年度の「自販機月間」のテーマには、

従前からの「環境問題への対応」「据付安

全の確保」「防犯対策」「景観調和対策」

に加え、「社会貢献」が掲げられ、ポスター

の作成・配布、セミナーの開催、自販機ロ

ケーション大賞の募集が実施される。�

 セミナーは、自販機業界が直面する課

題を業界関係各社の自販機部門、環境・

広報・営業部門などの方々に再認識して

もらうことを目的とするもので、東京、

大阪、札幌、福岡の4カ所で開催された。�

 自販機の安全性確保のため、全国清

涼飲料工業会、日本自動販売機工業

会、日本自動販売協会、日本自動販売

機保安整備協会により本年6月に発

足した「自販機耐震化技術研究会」に

おいて、研究の目的と優先される項目

がまとめられた。�

■研究目的�

①現行の据付け状況把握と評価�

②既存の据付けに対する理論構築�

③将来的耐震技術基準の研究�

■研究項目�

①自販機特性と耐震理論の確認�

②自販機据付け実態の把握と類型化�

 特定エリアで自販機据付け状況に基

づき、全清飲の「自販機据付マニュアル」の

事例の中から代表的な事例を中心に据

付け状況を類型化する。�

③耐震加振実験�

④既存自販機における転倒防止強化

 策の検討�

 加振などによる実験を踏まえて、据付

け状況別の転倒防止強化策を研究する�

⑤既存自販機における新業界標準の

策定へ向けての研究�

 以上のような研究を通じ、自販機工

業会で作成されている「新自販機据付

基準マニュアル」と全国清涼飲料工業会

のABCD評価を包括した、新業界標

準の策定を目指している。�

●イベント�★日本清涼飲料研究会「第15回総会及び研究発表会」開催� 日本清涼飲料研究会の「第15回総会・研究発表会」が開催される。昨年は清涼飲料に関する研究者、技術者など515名が参加、情報交換や意見交換の場となった。本年は、基調講演に「食品安全のこれから 内閣府食品安全委員会 事務局次長 一色賢司」、「食生活を豊かにする甘味料のいろいろと将来への期待 松谷化学株式会社 顧問 日高秀昌」の2題と、全15題の研究発表を予定している。� 参加申し込みは、全国清涼飲料工業会のホームページ�(http//www.j-sda.or.jp/15taikai/15index.htm)上からも受け付けている。�日 時:2005年10月26日(水)9:50~(受付9:20~)�会場:総会・研究発表会 日本教育曾館一ツ橋ホール�   東京都千代田区一ツ橋2-6-2 TEL 03-3230-2831�

★アジア国際飲料産業展・会議「AsiaBev2005」開催� 11月30~12月2日の3日間、幕張メッセにてアジア国際飲料産業展・会議「AsiaBev2005」が開催される。今回で6回を数えるこのイベントは、昨年は1万3千人を超える入場者となった。また、展示会と同時に飲料技術会議、セミナーなども開催される。�日 時:2005年11月30日(水)~12月2日(金)�会場:幕張メッセ[コンベンションセンター]�   千葉県千葉市美浜区中瀬2-1�主催・運営:(株)ビバレッジ ジャパン社�問い合わせ:03-3989-8707�入場料:1,000円�

2004年度PETボトル回収率�

62・3%を達成�

NEWS & INFORMATIONNEWS & INFORMATION

 2004年(平成16年)度のPETボ

トル回収率は、事業系回収量の精査に

よって、対前年比2万6千トン増の8万

1千トンが確認できたことで、62・3%

となり、回収率は続伸した。�

 なお、市町村回収率は46・4%とな

り、容器包装リサイクル法施行後初め

て前年を下回った。�

 事業系回収量とは、市町村の分別収

集以外に、事業者(スーパー、コンビニ、

鉄道会社、他事業者など)が自主的に

回収し、リサイクルするために再商品化

事業者などに渡したもので、推進協議

会が独自に調査を実施(第三者機関に

数量把握を依託)し、監査法人による監

査を受けたもの。�

●「第3回ラムネ俳句大賞」決定� 全国ラムネ協会主催の「第3回ラムネ俳句大賞」が決定した。昨年を大きく上回る5万6千253句の応募の中から選ばれたのは、佐々木順一郎さんの作品。�『ラムネ飲む特等席はパパの肩』� ほかに、一般の部:優秀賞3名、審査員特別賞10名、学生奨励賞3名、佳作100名、小学生の部:ジュニア大賞1名、優秀賞10名、佳作24名も決まった。�各作品はホームページhttp://www.e-drink.jpにて公開されている。�

●刊行物案内� ソフト・ドリンク技術資料(年3回発刊)� 2005年・第2号(No.146)� 「DHA研究の最新情報と食品・飲料への応用」「ヒトの摂食過程における食品テクスチャーの解析」「EU及び英国の食品表示と改正アレルギー表示」「米国におけるアレルギー表示」「農作物における農薬残留分析の技術的進歩について」「輸入食品の安全性と消費者」「コーデックス食品規格委員会の動き─第28回総会報告─」「日本人の食事摂取基準(2005年版)の概要」を含む全8篇。�体裁:A4判178ページ�価格:会員3,000円 会員外4,500円、年間購読料会員6,000円   会員外9,000円(消費税込み、送料サービス)�購読申し込みは全清飲ホームページ�http://www.j-sda.or.jp「刊行物のご案内」にて受付。�

 全国清涼飲料工業会は、(社)日本果汁

協会、(財)日本炭酸飲料検査協会、(財)

食品環境検査協会と共同で、「果実飲料

並びに炭酸飲料の日本農林規格・品質表

示基準」の改正および「JAS法の一部

を改正する法律」に係る説明会を開催

した。�

 東京会場は7月29日、大阪会場は8

月5日の日程で、両会場合わせて約

240名が参加。農林水産省消費・安

全局表示・規格課の担当官の説明の後、

活発な質疑が行われた。�

 なお、「果実飲料並びに炭酸飲料の

日本農林規格・品質表示基準」の改正

については、8月26日に開催の農林物資

規格調査会総会の審議で、濃縮果汁に

加糖を認めない。にんじんジュースの総

カロテン量の基準を100グラムあた

り4・0ミリグラム以上に引き上げる。

炭酸飲料について、使用可能な食品添

加物の保存料、酸化防止剤および乳化

剤をポジリスト化する。などの改正が

議決され、秋に公示される予定。�

 また、「JAS法の一部を改正する法

律」に関しては、平成18年3月1日に

施行される予定となっている。�

インフォメーション�

22  Soft Drinks Review vol.3 Soft Drinks Review vol.3  21

500

2

3

4

5

6

7

8兆円�

600万台�

'95年�年� '96年� '97年� '98年� '99年� '00年� '01年� '02年� '03年� '04年�

自販機で主に買う飲料品目と自販機をよく利用するシーン�

DATA FILESDATA FILES

自販機の普及台数と自販金額(自販機による販売金額)の推移�

2004年自販機普及台数と年間自販金額(自販機による販売金額)の構成比�米国の機種別普及台数と中身商品別年間自販金額�(自販機による販売金額)の構成比(2003年)�

539万5,660 544万570 547万6,290 550万400 553万7,500 560万7,500 555万6,700 552万4,700 552万600 554万8,100

6兆4,882億9,545万7千 6兆6,125億6,886万 6兆7,439億6,302万 6兆8,969億4,887万 7兆163億9,680万 7兆1,122億9,320万 7兆522億8,360万 6兆9,798億8390万 6兆9,427億4,930万 6兆9,234億143万�

清涼飲料自販機�普及台数(台)�清涼飲料�

自販金額(円)�

自販機普及台数(台)� 清涼飲料自販機普及台数(台)�

清涼飲料自販金額(円)�

自販金額総額(円)�

普及台数�(台)�自販金額�(円)�

196万8,780 201万8,400 206万3,500 209万3,800 215万5,600 217万5,800 215万6,100 214万4,800 218万6,900 223万600

2兆1,070億3,574万4千 2兆1,681億3,970万 2兆2,795億4,288万 2兆3,479億2,900万 2兆4,357億8,870万 2兆2,845億9,310万 2兆2,595億9,280万 2兆2,252億7,290万 2兆2,462億6,300万 2兆2,752億1,200万�

機種別普及台数構成比� 中身商品別自販金額構成比�機種別普及台数構成比� 中身商品別自販金額構成比�

自販機で主に買う飲料品目� 自販機をよく利用するシーン�

2004年1月~12月�2004年12月末現在�

全清飲が2000年に東京、大阪各30km圏の15歳以上60歳未満の男女600人を対象に実施した�「清涼飲料自動販売機についての意識と利用実態調査」より�

総台数�554万8,100台�

総金額�6兆9,234億143万円�

飲料自販機�264万5,200台�47.7%�

ホットドリンク�34万7,000台 4.5%�

飲料自販機�2兆7,401億8,480万円�

39.6%�

食品自販機�915億4,400万円�

1.3%�

たばこ自販機�1兆9,645億6,133万�

28.4%�

券類自販機�1兆6,820億5,000万�

24.3%�

その他自販機�3,476億2,770万円�

5.0%�

自動サービス機�974億3,360万�1.4%�

清涼飲料�40.2%�

清涼飲料�32.9%�

牛乳2.5

コーヒー・ココア�(カップ式)�2.3%�

酒・ビール�1.9%�

牛乳3.2%�

コーヒー・ココア�2.9%�

酒・ビール�1.4%�

食品自販機�11万7,200台�2.1%�

たばこ自販機�62万2,400台�11.2%�券類自販機�

4万1,600台�0.7%�

その他自販機�90万2,000台�16.3%�

自動サービス機�121万9,700台�22.0%�

43.8

68.865.2

45.3

36.2

23.4

18.8

23.320.3

12.6

7.6

21.719.5

0.5

29.1

64.1

43.642.8

25.9

38.6

33.6

23.3

16.0

47.8

20.0

29.1

17.1

54.3

22.2

8.8

4.8

10.07.6

1.4 3.4 0.500

1010

2020

3030

4040

5050

6060

7070%�%�

コーヒー�

紅 茶�

ウーロン茶�

日本茶�

ブレンド茶�

炭酸飲料�

果実飲料�

スポーツドリンク�

栄養飲料�

乳性飲料�

その他�

冬場は買わない�

冬場は買わない�

レジャーや遊びで�

外出した時�

買い物で�

外出した時�

会社や�

学校の帰り�

出勤途中や�

登校時�

散歩の途中�

その他�

冬場�

夏場�

冬場�

夏場�

総台数�769万4,730台�

総金額�421億5,028万8千ドル�

コールドドリンク�(容器入り)�322万9,000台�42.0%�

コールドドリンク�(容器入り)�

208億7,700万ドル�49.5%�

菓子・スナック他�86億9,500万ドル�

20.6%�

バラもの�221万7,480台�28.8%�

菓子・スナック他�125万2,000台�16.3%�

ミルク�8万250台 1.0%�

アイスクリーム�11万6,000台 1.5%�

たばこ�11億6,250万ドル 2.8%�

バラもの�4億531万ドル 1.0%� その他 9億7,700万ドル 2.3%�

食 品�30億5,500万ドル 7.2%�

アイスクリーム�8億6,000万ドル�

2.0%�

食 品�16万2,000台�2.1%�

たばこ�13万8,000台 1.8%�

コールドドリンク�(カップ)�15億5,547万8,000ドル�3.7%�

ミルク�4億9,300万ドル�1.2%�

ホットドリンク�40億7,000万ドル 9.7%�

コールドドリンク(カップ)�15万3,000台 2.0%�

539万5,660

6兆4,882億9,545万�6兆4,882億9,545万� 6兆6,1256,125億6,8866,886万�6兆6,125億6,886万�6兆7,439億6,302万�6兆8,969億4,887万� 7兆163億9,680万�7兆1,122億9,320万� 7兆522億8,360万�6兆9,798億8,390万�6兆9,427億4,930万�6兆9,234億143万�

2兆1,070億3,574万4千�2兆1,681億3,970万�2兆2,795億4,288万�2兆3,479億2,900万�2兆4,357億8,870万�2兆2,845億9,310万�2兆2,595億9,280万�2兆2,252億7,290万�2兆2,462億6,300万�2兆2,752億1,200万�

544万570 547万6,290 550万400 553万7,500560万7,500

555万6,700 552万4,700 552万600 554万8,100

196万8,780196万8,780 201201万8,400201万8,400 206206万3,500206万3,500 209209万3,800209万3,800 215215万5,600215万5,600 217217万5,800217万5,800 215215万6,100215万6,100 214214万4,800214万4,800 218218万6,900218万6,900 223223万600223万600

 男の子と女の子の可愛い貯金箱。スチール缶に工作用の色紙を巻き付け、目や鼻、服などのパーツを工作用ボンドで貼り、コインの大きさに合わせて飲み口を広げたシンプルな細工。子供の工作にもピッタリだが、出来上がりを想像しながら各パーツの型紙を作るところに、感性と精度が要求される。�(多摩市・田上良蔵さん製作)�

(社)全国清涼飲料工業会�〒103‐0022 東京都中央区日本橋室町3‐3‐3(CMビル3階)�

TEL.03‐3270‐7300(代)�http://www.j-sda.or.jp

清・飲・彩 vol.3 autumn 2005 発行日/2005年10月15日 発行/(社)全国清涼飲料工業会�

autumn 2005vol.3

S o f t D r i n k s R e v i e w 創立50周年記念号�

飲料文化の創造と社会貢献への道すじ�特 集�