speech 20131019
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東京工業大学 特任准教授佐々木貴教
天文学ミニ講義~世界観・宇宙観・生命観の大変革~
今日みなさんにお話しすること
✤ 「天文学」の歴史
✤ 「宇宙」とは?
✤ 宇宙の「大きさ」と「歴史」
✤ 太陽系「外」の惑星系の発見
✤ 宇宙は「地球」であふれてる!
「天文学」の歴史
天文学の歴史1:古代人の宇宙観
古代インドの宇宙観 古代エジプトの宇宙観
・神話の主題としての宇宙の起源・神により宇宙や生命の誕生や死が決定されている → 「科学」や「天文学」ではない
天文学の歴史2:天動説
アリストテレスの宇宙体系 地球の周りを惑星や太陽が回る・複雑な円運動の組み合わせにより惑星の動きを説明 → 惑星の逆行運動も説明可、ただし極めて複雑になる “宇宙はもっと単純で美しい体系であるはず(あるべき)”
天文学の歴史3:地動説
ニコラウス・コペルニクス(1473-1543)・地動説(太陽の周りを地球が回っている) を最初に提唱した・地動説の集大成「天球の回転について」・コペルニクス的転回
ヨハネス・ケプラー(1571-1630)・観測データ →「ケプラーの法則」 惑星は太陽を焦点とする楕円運動をとる 惑星は面積速度一定の速度で動く 公転周期の2乗が長半径の3乗に比例
天文学の歴史3:地動説
ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)・自作の望遠鏡による天体の観測 (木星のガリレオ衛星・金星・太陽黒点) → 地動説が正しいことを確信・宗教裁判「それでも地球は動いている」
アイザック・ニュートン(1642-1727)・近代物理学・微積分法の祖・万有引力の法則「プリンキピア」・ケプラーの法則を理論的に説明・地動説が正しいことを決定づけた
天文学の歴史4:銀河宇宙・膨張宇宙
恒星は限られた空間に円盤状に分布:「銀河宇宙」
宇宙は一点から始まり急激に膨張(ビッグバン)
天文学の歴史5:現代の天文学
宇宙図 http://www.nao.ac.jp/study/uchuzu
天文学が扱う「宇宙」
「宇宙」とは?
四方上下謂之宇(四方上下、これを宇と謂う)「宇」=空間の概念
往古来今謂之宙(往古来今、これを宙と謂う)「宙」=時間の概念
宇宙の研究 = 空間や時間の始まりや果てを考える
宇宙の空間的拡がり(宇宙の階層構造)
サイズ小 サイズ大
惑星
恒星(惑星系)
銀河 宇宙の大規模構造
銀河群・銀河団
宇宙の歴史を1年で表すと
137億年前(宇宙誕生)
現在
1/1 12/313月 5月 7月 9月 11月
太陽系が生まれたのは何月何日?地球が形成されたのは何月何日?生命が誕生したのは何月何日?人類が誕生したのは何月何日?
宇宙の歴史を1年で表すと
137億年前(宇宙誕生)
現在
1/1 12/313月 5月 7月 9月 11月
太陽系が生まれたのは8月20日地球が形成されたのは8月31日生命が誕生したのは9月16日人類が誕生したのは12月31日23時52分!明治時代の始まりは12月31日23時59分59.6秒!
太陽系から太陽系外へ
太陽系外惑星
太陽系:太陽を中心とする我々の住む惑星系 (水・金・地・火・木・土・天・海)
太陽系外惑星:太陽以外の恒星の周りを回る惑星系
Mayor & Queloz (スイスの観測チーム)ペガサス座51番星の周りに “Hot Jupiter” が存在!
1995年10月
人類初の太陽系外惑星検出
太陽系外惑星が続々と見つかる
発見年
発見数
太陽系外惑星系
多種多様な太陽系外惑星系が発見されている生命を宿す「第二の地球」は存在するのか?
ケプラー宇宙望遠鏡2009年3月に打ち上げトランジット観測により主に系外地球型惑星を探索
宇宙は地球であふれてる!
地球サイズ
スーパーアースサイズ
海王星サイズ
木星サイズ
それ以上
水が液体で存在できる領域
太陽系外惑星に生命は存在するか?
ハビタブル・プラネット
「第二の地球」の発見へ向けて・1995年 巨大ガス惑星の発見・2002年 惑星大気の観測・2005年 惑星赤外線輻射(惑星の温度)の検出・2007年 Super-Earth系の発見・2008年 惑星の直接撮像・2010年 地球型惑星・Habitable Planet の発見・20xx年 系外惑星リング・衛星の発見・20xx年 地球型惑星の直接検出(測光&分光)・20xx年 地球型惑星の大気・バイオマーカー同定・20xx年 地球外生命の発見!
フェルミのパラドックス
エンリコ・フェルミ(1901-1954)
Where are they?地球に似た惑星は恒星系の中で典型的に形成されうる = 地球外文明はたくさんある?
これまで地球外文明との接触の証拠は皆無である = 地球外文明は存在しない?
天文学・生物学・数学・宇宙生物学等を巻き込む議論
・研究者(大学・天文台・JAXA・NASA)・技術者(工学実験・望遠鏡・探査機)・宇宙飛行士・サイエンスコミュニケーター(科学館・講演会)・マスコミ(テレビ・新聞・出版)・CGクリエーター(科学映像・教科書)・宇宙旅行会社(ベンチャー企業)・政治家(宇宙開発事業の振興)・SETI@home ...etc
いかに「宇宙」を目指すか
僕が惑星科学者になるまで幼少期:保育園を半分以上サボる小学校:ファミコンにはまる(ソフト約350本)中学校:スーファミにはまる(ソフト約150本)高校:数学物理が苦手、国語が超得意浪人:自宅で自由に勉強(研究者と同じ生活?)大学:読書にはまる(小説を中心に約1冊/1日)学科選び:地球のスペシャリストになろう!修士課程:観測・理論・数理生物学!?博士課程:mixiのオフ会にはまる
→ なんだかんだでプロの惑星科学者へ