tokushukai medical group news 救命率向上 …...地域包括ケアで積極開設...

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寿45 10 41 51 43 副機能 付加機能 書類確認 典型的な症例のサマリーやケア手順 のマニュアル、会議議事録など 院内見学 病棟、訓練室 書類確認 活動記録など 病院概要説明 病院の概要や副機能の位置付け・特 徴など 病院概要説明・ 面接調査 回復期リハビリ病棟の運営や中心ス タッフの専門性などの確認 病棟概要確認 病棟やナースステーションのラウンド などを通じて、ケアプロセス調査の 際に参考とする情報(療養環境など) ケアプロセス 調査 外来から退院までの流れに沿って各 職種の専門性やチーム一体となった リハビリ・ケアなどの確認 ケアプロセス 調査 外来から退院までの一連の診療・ケ アの状況を典型的な 1 症例などで 確認 カンファレンス の実施 患者さんの課題に対して多職種が協 議し、その結果、各職種の治療、リ ハビリ・ケア、退院計画がどう見直 され、共有を図っているかの確認 外来訪問 副機能に関する外来診療・ケアなど の実践状況 部署間訪問 各部署の医療安全・感染制御に関す る取り組み、医療機器・介護用具・ 補装具などの適切な使用の確認 一刻一秒を争う救 急医療の現場では、 早期診断・早期治療 が救命率向上の鍵を 握る。こうしたなか、 救急患者さんが病院 に到着する前に、救 急車やドクターカー の車内で測定した12 誘導心電図の情報や、静止画・動画 を医療機関に送ることができる伝送シ ステムの活用が徐々に広がっている。 医師など医療者は、セキュリティ機 能の高いクラウド型のサーバーにアッ プされたデータにアクセス、確認する ことによって、迅速にER(救急外来)で の受け入れ準備を行うことが可能とな り、心筋梗塞などの治療開始までの時間短縮が期待で きる。 沖縄県では南部・中部地区の複数の病院と消防本 部が同システムを運用しており、南部徳洲会病院や中 部徳洲会病院も利用。2015年に運用開始した南部病院 は2台(心電計とデータ送信用のタブレット端末で1セッ ト)を導入し、1台を島尻消防組合消防本部に貸与、も う1台を同院のドクターカーに搭載している。 同院救急診療科の原田宏部長は「治療開始までの時 間を10分でも15分でも短縮することができれば、その 差はとても大きいです。救急患者さんが到着し次第、 治療が開始できるよう対 応可能になり、救命率向 上にも寄与します」と評 価。 地域医療連携室の島 袋宗紀主任は「心電図情 報に加え、画像や動画 も伝送可能なため、患 者さんの到着前に外傷 や受傷現場の様子を確認でき、救急医療にとって有用 なシステムです」と話している。 島尻消防組合消防本部警防課の平田佳成・救急救 命士によると、ほとんどの救急患者さんに関し2誘導の 心電図をとり、波形の異常や患者さんの訴えなどをふ まえ12誘導もとっている。「胸痛の患者さんで2誘導で は大きな変化はありませんでしたが、12誘導で心筋梗 塞を疑うST上昇の波形があり、伝送したことで早期の 治療開始につなげられたケースもあります」。 このほか徳洲会グループでは、山形県の酒田地区 広域行政組合が2月に同システムを導入し、庄内余目 病院が運用している。 12 「今後も良いリハビリを」と南部病院スタッフ(後 列左から 4 人目が松原部長) 「より良い訪看STの運 営と地域貢献を」と遊佐・ 常務理事 「治療開始までの 10 分、15 分の差は 大きい」と原田部長 12 誘導心電図の計測器と通信用の タブレット端末 表 南部病院が受けた審査の主な内容 南部病院がリハビリで認定 徳洲会グループ初 病院機能評価の付加機能 南部病院に届いた付加機能の認定証 社 徳 命だけは平等だ 令和6 10 日 月曜日│No. 1188 610月曜日 発行:一般社団法人徳洲会 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3262-3133 制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:news@tokushukai.jp No. 1188 10/JUN. 2019 TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS ALL LIVING BEINGS ARE CREATED EQUAL

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師長は「審査の

際に、病棟に生

活の質感がない

点を指摘されま

した。今後、患

者さんの自立を

支援する環境を

いかに整えるか

が課題です」と

明かす。

松原部長も課

題に“地域包括

ケア病棟とのす

み分け”を挙げ、

「必要な人に必

要なリハビリを

提供できるよう、

今後はリハビリ

専門医がしっか

り患者さんを見

極めていかねばなりませ

ん。疾患のみならず、患

者さんの人生まで考えて

サポートしていきたいで

す」と語気を強める。

上地副室長は回復期リ

ハビリ病棟の開設が決定

してから、これまで関係

者から多くのサポートを

受けたことに謝意を表明。

「一般社団法人徳洲会の

安富祖久明・副理事長、

皆川顧問、当院の赤崎満

院長、玉那覇栄恵事務長、

友寄・看護師長など、誰

かひとりが欠けても今は

ありません。感謝しなが

ら、まだ見ぬ患者さんの

ためにも今後もレベルア

ップを図っていきます」。

ろん、カンファレンス(会

議)にサーベイヤーが立

ち会うなど運用面まで質

が問われました」(上地

副室長)

グループ内に前例がな

いこともあり、「不安だ

った」(上地副室長)が、

今年に入り認定証を受け

取った。同病棟の友寄寿

美子・看護師長は「全国

の回復期リハビリ病棟の

なかで当院は在宅復帰率

や在院日数、日常生活機

能の改善が平均以上。良

いリハビリを提供してい

る自負はありました」と

安あん

堵ど

の表情。

しかし、課題も残って

いる。リハビリに注力す

る病院のなかには、患者

さんの在宅復帰を想定し、

ベッドのそばに家具や新

聞・雑誌などを、あえて

置くケースがあるが、南

部病院では衛生面などの

観点から、ベッドの周囲

にはベッドサイドテーブ

ルなど最低限の物しか置

いていない。友寄・看護

られたことです。試行錯

誤しながら準備を進めま

したが、ふだんどおりを

意識して審査に臨みまし

た」と振り返る。

審査はそれぞれ1日ず

つ実施。サーベイヤー(審

査員)が病院を訪れてから、

最後に講評・意見交換を

行うまで、審査は副機能

で午前9時から午後4時、

付加機能で午前8時45分

から午後4時半と8〜9

時間に及んだ(表)。

「副機能はリハビリに関

するシステムの有無など、

主にスキームの確認でし

たが、付加機能は、より

専門的な観点でリハビリ

をチェックされるなど、

提供するサービスはもち

り高い水準で評価を行う。

現在、救急医療機能、リ

ハビリ機能(回復期)の

2種類が設けられている。

このうち、リハビリ機能

(回復期)については、

本体審査の主たる機能も

しくは副機能でリハビリ

病院を受審し、かつ回復

期リハビリ病棟入院料の

施設基準を満たしてなけ

れば、受審できない。

南部病院は昨年10月に

リハビリの副機能と付加

機能を受審。松原部長を

中心に、回復期リハビリ

病棟患者さんにかかわる

多職種が対応した。上地

利明リハビリ副室長(理

学療法士)は「きっかけ

は、徳洲会グループリハ

ビリテーション部会顧問

の皆川晃慶先生から勧め

ゴリーを自由に受審する

ことはできず、付加機能

は副機能、副機能は主た

る機能を受審し、「一定

の水準を満たした病院」

として認定されていなけ

ればならない。認定期間

はいずれも約5年。

主たる機能には一般病

院1〜3、リハビリ病院、

慢性期病院、精神科病院、

緩和ケア病院があり、病

院と評価機構の合意の下

で該当する機能を決定、

受審する。副機能は、そ

れら主たる機能以外の重

要な機能を指す。ひとつ

に限らず複数を同時に受

審することが可能だ。

付加機能は、本体審査

とは別に専門領域で、よ

副機能評価、付加機能

評価は日本医療機能評価

機構が行う病院機能評価

の一部。病院機能評価は、

医療の質や組織マネジメ

ントについて第三者が審

査し「病院の質改善活動

を支援するためのツール。

本体審査と付加機能評価

に分けられ、本体審査は、

さらに主たる機能と副機

能に分けられる。各カテ

南部徳洲会病院(沖縄県)はリハビリテーション(回復期)で、病院機能評価の

副機能評価、付加機能評価の認定を受けた。リハビリで認定されたのは徳洲会グ

ループで初。同院はグループ内で早くからリハビリに注力し、2010年には回

復期リハビリ病棟(41床)を開設。同病棟の在院日数や在宅復帰率は全国平均を

上回り、今回、認定されたことで、あらためて同院のリハビリの質の高さが証明

された。リハビリテーション科の松原弘明部長は「疾患の治療だけでなく、患者

さんの人生そのものを考え、今後も精進していきたい」と意欲的だ。

の訪看ST事業所数は現

在51(うち4事業所は定

期巡回・随時対応型訪問

介護看護)に上り、秋ま

でにさらに2事業所の開

設を予定。

同会議の目的は①徳洲

会グループの一員として

意識を高める、②地域ご

との情報交換を行い訪看

ST間の連携と交流を図

る、③各々のSTの今後

の課題を明確にする、④

訪問看護管理者としての

役割を理解する。全国か

ら43人の所長が出席した。

徳洲会は地域包括ケア

システムの一翼を担う訪

問看護事業に力を入れ、

訪看STの開設を推進し

ている。会議では茅ヶ崎

駅前訪看ST(神奈川県)

の鈴木恵子所長が司会を

担当。

一般社団法人徳洲会(社

徳)は6月1日から2日

間、第1回訪問看護ステ

ーション(訪看ST)所

長会議を開いた。徳洲会

(2面に続く)

副機能 付加機能

書類確認 典型的な症例のサマリーやケア手順のマニュアル、会議議事録など

院内見学 病棟、訓練室書類確認 活動記録など

病院概要説明 病院の概要や副機能の位置付け・特徴など

病院概要説明・面接調査

回復期リハビリ病棟の運営や中心スタッフの専門性などの確認

病棟概要確認病棟やナースステーションのラウンドなどを通じて、ケアプロセス調査の際に参考とする情報(療養環境など)

ケアプロセス調査

外来から退院までの流れに沿って各職種の専門性やチーム一体となったリハビリ・ケアなどの確認

ケアプロセス調査

外来から退院までの一連の診療・ケアの状況を典型的な 1症例などで確認

カンファレンスの実施

患者さんの課題に対して多職種が協議し、その結果、各職種の治療、リハビリ・ケア、退院計画がどう見直され、共有を図っているかの確認

外来訪問 副機能に関する外来診療・ケアなどの実践状況 部署間訪問

各部署の医療安全・感染制御に関する取り組み、医療機器・介護用具・補装具などの適切な使用の確認

一刻一秒を争う救急医療の現場では、早期診断・早期治療が救命率向上の鍵を握る。こうしたなか、救急患者さんが病院に到着する前に、救急車やドクターカーの車内で測定した12誘導心電図の情報や、静止画・動画を医療機関に送ることができる伝送システムの活用が徐々に広がっている。医師など医療者は、セキュリティ機

能の高いクラウド型のサーバーにアップされたデータにアクセス、確認することによって、迅速にER(救急外来)での受け入れ準備を行うことが可能となり、心筋梗塞などの治療開始までの時間短縮が期待できる。沖縄県では南部・中部地区の複数の病院と消防本

部が同システムを運用しており、南部徳洲会病院や中部徳洲会病院も利用。2015年に運用開始した南部病院は2台(心電計とデータ送信用のタブレット端末で1セット)を導入し、1台を島尻消防組合消防本部に貸与、もう1台を同院のドクターカーに搭載している。同院救急診療科の原田宏部長は「治療開始までの時

間を10分でも15分でも短縮することができれば、その差はとても大きいです。救急患者さんが到着し次第、

治療が開始できるよう対応可能になり、救命率向上にも寄与します」と評価。地域医療連携室の島

袋宗紀主任は「心電図情報に加え、画像や動画も伝送可能なため、患者さんの到着前に外傷

や受傷現場の様子を確認でき、救急医療にとって有用なシステムです」と話している。島尻消防組合消防本部警防課の平田佳成・救急救命士によると、ほとんどの救急患者さんに関し2誘導の心電図をとり、波形の異常や患者さんの訴えなどをふまえ12誘導もとっている。「胸痛の患者さんで2誘導では大きな変化はありませんでしたが、12誘導で心筋梗塞を疑うST上昇の波形があり、伝送したことで早期の治療開始につなげられたケースもあります」。このほか徳洲会グループでは、山形県の酒田地区広域行政組合が2月に同システムを導入し、庄内余目病院が運用している。

救命率向上に貢献

12誘導心電図伝送システム

「今後も良いリハビリを」と南部病院スタッフ(後列左から4人目が松原部長)

「より良い訪看STの運営と地域貢献を」と遊佐・常務理事

「治療開始までの10分、15分の差は大きい」と原田部長

12誘導心電図の計測器と通信用のタブレット端末

表 南部病院が受けた審査の主な内容

所長会議を初開催

地域包括ケアで積極開設

訪問看護ステーション

「患者さんの人生を考えリハビリ」

南部病院がリハビリで認定徳洲会グループ初

病院機能評価の付加機能

南部病院に届いた付加機能の認定証

社 徳

徳 洲 新 聞徳 洲 新 聞 生い の ち

命だけは平等だ❶ 令和元年 6 月10 日 月曜日 │ No.1188

6月10日 月 曜 日

発行:一般社団法人徳洲会  〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階

TEL:03-3262-3133制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:[email protected]

No.118810/JUN. 2019

TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS

ALL LIVING

BEINGS ARE CREATED EQUAL

社徳の鈴木隆夫理事長

は「訪問看護は地域と病

院をつなぐ“大きなかけ

橋”です。頑張って伸ば

してください」と呼びか

けた。

また、遊佐千鶴・常務

理事は「皆さんは訪看S

Tの経営者、いわば社長

です。その自覚をもち、

課題を乗り越え、より良

いSTの運営と地域貢献

を実践していただきた

い」と激励し、今年は訪

問看護職員の体制強化を

図り人材育成に力を入れ

る方向性を示した。

「直言」朗読・感想に続

き、福島安義・副理事長

が徳洲会グループの概要

を説明したうえで、地域

に入り込み実状に応じた

取り組みを積極的に推進

する重要性を強調。今後、

退院後の受け皿となる高

齢者向け住宅の開設を検

討する意向を明かした。

奈良原啓司・部長代理は

各事業所の訪問件数など

グループの現状を報告。

この後、佐々木和子・

看護部門部長が組織管理

をテーマにレクチャーし、

な避難経路の確保を指摘。

「火災」では①防火区画

の確保、②スプリンクラ

ー設備の散水障害防止、

③電気配線の管理強化、

④天井からの漏水の防止、

⑤引火性の高い危険物の

管理強化――などを改善

するよう求めた。「地震」

徳洲会グループ5月度

医療経営戦略セミナーの

2日目、MS&ADイン

ターリスク総研の朝久野

晃一マネージャーが、2

017、18年度に行った

徳洲会グループ12病院の

防火・防災設備に関する

調査結果を報告。「火災・

地震共通」、「火災」、「地

震」のカテゴリーに分け、

それぞれ実際に現場で撮

影した写真を示しながら、

改善提案事例を

中心に説明した。

「火災・地震共

通」では、安全

加藤俊昭・事務局長が訪

看STの経営状況などを

説明。遊佐・常務理事は

管理者の役割やコンピテ

ンシー(行動特性)を講

義。初日最後のプログラ

ムでは、和泉市立総合医

療センター(大阪府)の

山上美恵子・副院長が目

標管理手法などを解説。

2日目は6班に分かれ、

訪看ST経営についてグ

ループワークを行い、デ

ィスカッションの成果を

発表して閉会した。

参加者からは「参加者

同士で意見交換し、他ブ

では、揺れに弱く倒れや

すい2段積みの棚に転倒

防止措置を図るよう提案。

「東日本大震災以降、ホ

ームセンターなどで便利

な固定用具が購入でき

る」とし、実際に製品を

使用した対策方法を例示

した。

好例も紹介。独自の防

災教育や訓練を行ってい

る山北徳洲会病院(新潟

県)、消火器などの配置

や避難経路図をわかりや

ロックの事業所の様子を

知る機会も得られ、とて

も貴重で充実した2日間

でした。良い刺激を受け、

モチベーションアップに

もつながったと思いま

す」といった感想が挙が

っていた。

すく示した図を各階エレ

ベーター付近に掲示して

いる山川病院(鹿児島県)

の取り組みを解説した。

調査をふまえ、朝久野

マネージャーは今後の課

題として、①個々の病院

での好取り組み事例の水

平展開、②大規模災害発

生時に支援が可能な状態

にあること、③良好な状

態を維持するためのPD

CAサイクルの構築――

を挙げた。

は、患者さん、病院、そして、

患者さんに当たり前の治療を提

供できる喜びを感じる医療者の

私、この三者のw

in-win-win

関係が大切だと実感しました。

治療のために、ご家族と島を

出ることが経済的に困難な方も

います。島外で治療を受けるた

めに土地を売ったという患者さ

んの話も耳にしました。

院長就任前の3月下旬、いく

つかの離島病院を訪問しました。

あくまでも外科の話になります

が、ある病院は鹿児島本土の病

院に患者さんを送らざるを得な

い状況にあり、また、ある病院

は離れた場所にある奄美大島の

名瀬徳洲会病院に基本的に送る

ことになっていました。

離島・へき地での外科手術に

は多くの問題があります。全国

的に外科医が不足している昨今、

当然、離島・へき地も厳しい環

境にあります。誰が手術適応を

診断するのか、麻酔はどうする

か、術後管理は誰がみるのか―

―。手術の集約化という選択肢

も正解かもしれません。しかし、

低・中難易度の予定できる手術

くらいは、どうしても自分の生

活圏内で受けたい、または受け

ざるを得ない患者さんがいて、

そこに徳洲会病院があるのであ

れば、手を差し伸べるのが徳洲

会の姿だと考えます。

「こんな医療が経験できる」

ポジティブキャンペーン展開

以前から私は、離島・へき地

への応援が若い先生方にとって、

やや消極的なものになっている

のではないかと感じています。

研修医時代を含め若い先生方に

4月1日に宇和島徳洲会病院

の院長に就任しました。私は福

岡県久留米市出身で熊本大学を

卒業後、同大学外科の医局に入

局。2009年から約6年間は、

福岡徳洲会病院に勤務し、時々、

宇和島病院に応援で訪れていま

した。いったん、徳洲会を離れ

ましたが、同院の貞さ

だしまひろみち

島博通総長

からの熱心なお誘いを受け、こ

の2年間は毎月、手術応援に来

ていました。そんな折、院長就

任の話をいただきました。

「好きにやったらいいよ」とい

う何とも心の広すぎる“貞島節”

と、「思いっきり先生らしくや

ったらいいよ」という一般社団

法人徳洲会の安あ

そ富祖久明・副理

事長の激励を受け、私なりに頑

張ってみようと決意。さらに年

末の多忙な時期にもかかわらず、

時間をつくっていただいた鈴木

隆夫理事長からも「よろしく頼

むよ」と励ましの言葉をいただ

きました。宇和島での生活も早

2カ月が経過。穏やかで勤勉な

“南な

予よ

気質”の職員の頑張りで、

当院が成り立っていることを心

強く感じつつ、充実した日々を

過ごしています。

徳洲会復帰の理由のひとつ

離島・へき地医療への思い

私が徳洲会に復帰した理由の

ひとつに「また離島・へき地医

療に携われたら」との思いがあ

りました。貞島総長は常々「当

院も人が足りないけど、もっと

困っている所があるから、そこ

を何とかしたいんだ」と話され

ます。福岡病院時代、私は手術

応援で時々、喜界徳洲会病院を

訪れました。離島・へき地医療

離島・へき地へ「行かされる」

と思わせるのではなく、「あそ

こには、こんな美味しいものや

素敵な風景があって、こんな医

療を経験できるよ」といったポ

ジティブキャンペーンを先輩た

ちが積極的に行う。一方、受け

手側である離島・へき地病院の

医師や職員は「またここに応援

に来たい」、さらには「ここに

住みたい」と思えるような環境

を整える努力を地道に行うこと

で、若い先生方の支援がもっと

自主的になると思います。

実際、徳洲会病院が立地する

離島・へき地には観光地が多く

ありませんか。医師に限らず離

島・へき地での経験や出会いは、

きっと職業人としても、人とし

ても大きな成長の糧となり得る

のではないでしょうか。

勝手なことを述べさせていた

だきましたが、ご批判も含め議

論のきっかけになれば幸いです。

何よりも私自身、当院がより

地域に必要とされ、患者さんや

職員が集まる病院になるよう、

微力ながら頑張る所存です。

最後に、宇和島は釣りのメッ

カで、戦国時代後期に名を馳せ

た伊達家ゆかりの地でもあり、

歴史的にも趣のある風ふ

うこうめい

光明媚び

街です。当院のすぐ前には宇う

わ和

海かい

が広がり、病棟からふと視線

を窓の外に向けると、夕陽がキ

ラキラと反射する黄金色の凪な

だ水面に心が癒やされます。「人

良し・食良し・景色良し」の宇

和島を当院のホームページ、ブ

ログで随時紹介しています。き

っと一度は訪れたくなると思い

ます。一度きりの人生、明るく、

皆で頑張りましょう。

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の岩渕省吾・肝胆膵

すい

・消化器病センター長は3月度の徳洲会グループ医療経営戦略セミナーで紹介した「C型肝炎サーベイランス(調査監視)プロジェクト」について経過を報告した。同プロジェクトはグループ内でC型肝炎ウイルス(HCV)の感染者を特定し、受診、治療につなげるというもの。岩渕センター長はパイロットスタートとして、

自院で3月に開始したサーベイランスを紹介。医師を除く多職種のサーベイランスメンバーの設定、院内への周知、関連する職種・部署との連携を円滑にするための記入シートの用意、対象となる患者さんへの案内文書の整備などを説明した。5月20日までの2カ月間で「ほぼ漏れなく感染

者の特定から患者さん、診療科への伝達、受診まで順調に推移していると思われます」とアピール。今後、全国展開していくにはサーベイランスメンバーに相当する「肝炎コーディネーター」の配置・育成が最も重要とし、了解が得られれば7月から状況に応じ、1病院2〜3人の肝炎コーディネーターを配置・育成する意向を明かした。

(1面から続く)

設備について再確認を促す朝久野マネージャー

“経営”をテーマにグループワーク

朝久野MS&ADインター

リスク総研マネージャー

防火・防災設備確認を

徳洲会12病院の調査報告

C型肝炎サーベイランスプロジェクトの経過報告

岩渕・湘南藤沢病院センター長

保ほ

坂さ か

征せ い

司じ

宇和島徳洲会病院院長(愛媛県)

若手医師からもっと自主的支援を得るため努力

離島・へき地医療は患者さん・病院・医療者のwin-win-winの関係が大切

徳 洲 新 聞生い の ち

命だけは平等だ 令和元年 6 月10 日 月曜日 │ No.1188 ❷

一般社団法人徳洲会の

福島安義・副理事長は2

018年度コンプライア

間延べ約140例、肝臓

以外の臓器の治療を年間

延べ約80例行ってきたこ

となどを示し、腫瘍が縮

小するなど患者さんの満

足が得られたエピソード

を披露した。

最後に、グループ内の

他施設と連携している点

をアピール。「“諦めずに、

がんと共存する”ための

治療のひとつとして、カ

テーテル治療を認知して

いただき、一緒にがん患

者さんを救う同志を増や

したい」と結んだ。

同治療法は「化学塞栓

術(TACE)」と呼ばれ、

現在、肝臓がんで標準的

な治療とされているが、

関センター長は「がんカ

テーテル治療」と称し、

入職した2015年から

院内の倫理委員会の承認

を経て、首から下の多様

ながん・臓器に治療を実

施。あくまでも、標準的

な治療で効果が得られな

い進行再発がん患者さん

が対象で、治療目的は「完

治が得られない患者さん

でも、がんと共存できる

こと」と強調した。

実績も紹介。多様なが

ん腫の肝転移の治療を年

吹田徳洲会病院(大阪

府)の関明彦・腫瘍内科

がんカテーテル治療セン

ター長は「がんカテーテ

ル治療〜今、必要とされ

る理由」と題して講演し

た。まず治療法について

紹介。高濃度の抗がん剤

と粒子状の物質(ビーズ)

をカテーテルから腫瘍の

栄養血管にピンポイント

に注入し、腫瘍内の抗が

ん剤濃度を高めることで、

従来の治療法で改善が難

しくなった進行期患者さ

んに「予後因子の制御に

よる延命効果」と「がん

にともなう症状の緩和効

果」が期待されるとした。

井上・副病院長は冒頭、

病院機能別収支状況を提

示し、とくに急性期病院

の経営環境は厳しく、今

後もしばらくは同様の傾

向が続くと指摘した。そ

のうえで入院医療、外来

医療について言及。入院

医療では、回復期リハビ

リテーション病棟や地域

包括ケア病棟

(床)が評価さ

れる傾向を示し、

経営を支援した

病院で病棟の一部を、そ

れらに転換し経営が改善

したケースを紹介した。

急性期一般病棟につい

ては、昨年4月の診療報

酬改定で入院料の施設基

準である「重症度、医療・

看護必要度」が見直され、

より急性期の患者さんに

対応しているケースが評

価された点を指摘。

看護必要度の特徴とし

て、①おおむね入院初期

の患者さんのほうが高い、

②救急(とくに救急車搬

送)患者さんのほうが予

定入院患者さんよりも高

い、③手術(とくに全身

麻酔)患者さんが高い―

―ことを示した。

また7対1看護配置基

準の病院で平均在院日数

を短縮すると入院診療単

価が上昇するデータを示

しながら、「救急搬送と

予定手術のバランスを考

えながら早く帰すことが

重要」と説明した。将来

的に急性期の患者さんの

評価指標が「重症度、医

療・看護必要度」から変

わる可能性も示唆した。

救急患者さんのスムー

ズな受け入れ、平均在院

日数の短縮などを実践す

るために、入退院支援の

重要性も指摘。入院前か

ら退院をイメージして患

者さんをサポートする大

切さを訴えた。また、予

定入院患者さんの円滑な

入院にもつながるとして、

「マンパワーが少ないこ

とから、入院を敬遠しが

ちな週末の病床稼働率の

向上」も期待できる点を

強調した。

このほか、DPC(診

断群分類別包括評価)に

も触れ、「平均在院日数

が長い病院や、医療密度

が低い病院など」は今後、

外される可能性を示した。

外来医療については、

機能分化の一環で診療所

など中小規模の医療機関

が“かかりつけ医”機能

を担うとし、「地域の拠

点となるような病院は縮

小・専門特化していくイ

メージ」と指摘。病院に

とっては「とくに逆紹介

が大事」と訴えた。

講演中、井上・副病院

長は随時、徳洲会グルー

プ病院や今まで経営にか

かわった病院のデータを

提示。「自院の“なりた

い姿”、地域医療のあり

方を考えた“なるべき姿”、

そして現状をふまえた

“なれる姿”を総合的に

判断して“目指すべき姿”

を明確にし、戦略を策定

することが求められま

す」と締めくくった。

セミナ

ー2日目

の早朝に、

病院長ら

幹部が研け

鑽さん

する第

13回モー

ニングレ

クチャー

を開催し

た。最初

です」と助言した。

続いて福岡徳洲会病院

の海江田令次院長が「麻

酔科医の最近の仕事と悩

み」をテーマに講演した。

麻酔科医は手術患者さん

の麻酔管理を行うことが

仕事だが、術前から術後

まで周術期の管理に責任

をもつことが求められ、

患者さんの最終的な治療

アウトカム(成果)の改

善を目標としていると強

調。心臓麻酔、小児麻酔

に関する論文を紹介し、

最近のトピックスとして

腫瘍麻酔科学の必要性に

ついて説明した。

これは、がん患者さん

を手術する際に用いる麻

酔薬や麻酔法により、生

存率・再発率へ影響があ

るか調査するもの。動物

実験での結果を示したが、

臨床での研究は今後の課

題であると解説した。

徳洲会グループの展望

として周術期管理だけで

なく、鎮静、集中治療、

ペインクリニックの分野

でも活躍できる人員確保

が急務と指摘。このため

「麻酔科専門医プログラ

ムの拡充と専攻医の確保

が必要」と提言し、さら

に各院長に「モニタリン

グ機器の充実、自動麻酔

記録装置などの購入にも、

ご協力ください」と依頼

した。

出田副院長はパーキンソン病の診断や治療を解説

講演で麻酔科医への理解を呼びかける海江田院長

神経内科と麻酔科院長ら知識を共有

モーニングレク

一般社団法人徳洲会の鈴木隆夫理事長は徳洲会グループの今後の運営方針について説明した。まず、世界の医療の潮流は、病を治すことから、生きる価値を高める行動に変容してきていると言及。具体例として2013年に米ハーバードビジネススクールのマイケル・ポー

ター教授が中心となり、発足したICHOM(国際医療成果測定協会)を引き合いに出した。同協会は、患者さんからの報告によるアウトカム(成果)と臨床上の成果を、患者さんの負担と診療に費やした費用で割り、Value(価値)を導き出すことを目標に掲げている。患者報告アウトカム(PROMs)には、退院3週間後の

日常生活への支障、退院1週間後の精神状態、公共交通機関の利用に問題はないか、手術1年後のQOL(生活の質)、手術1年後の息苦しさ、手術1カ月後の可動域、手術3カ月後の仕事への影響、手術3年後の痛みのスコア――など患者目線の質問項目が並ぶ。同協会発足の背景には、医療の質の向上と低価格化により、患者さんが真に求める価値を生み出し、患者さんに選ばれる存在になることが、医療界に必要との考え方がある。産業界では製品の品質向上と価格に関して、企業間

で競争原理が働いているが、医療界にもこうした原理を導入し、Payforvalue(価値に対しての支払い)を実現するのが狙いだ。先頃、同協会の国際会議がオランダで開催され、43

カ国から1,200人が参加した。このうちアジア系は20人程度で、日本からは徳洲会職員2人、製薬会社社員1人が参加した。EU(欧州連合)では半数の加盟国がPayforvalueを来年開始する予定だ。徳洲会では世界の医療界の新しい流れに対応するため、同協会の測定方法を用い徳洲会グループ病院のデータを収集、各国医療機関のデータと比較、分析し、グループ病院の改善に役立てていく方針。鈴木理事長は「ベッド数が多い、最新の医療機器が多くそろっている、多くの診療科を擁していることは、患者さんにとって本当に価値のあることでしょうか。医療提供者中心ではなく、患者目線の価値を追求する時代が到来しました」と安心、安全、親切で卓越した医療を提供し、患者体験価値を高めていく重要性を強調した。

千葉徳洲会病院の鶴田好彦院長は「東京大学卒業後、系列病院、海外留学を経て04年に湘南外科グループ(SSA)に入り、徳洲会グループの病院をローテーションし、08年から千葉病院に勤務しています。自院のため、地域のため、徳洲会グループのため、少しでも貢献できるよう精いっぱい頑張ってまいりますので、よろしくお願いします」と抱負を語った。

瀬戸内徳洲会病院(鹿児島県)の高橋和範院長は「福岡大学を卒業し、大学時代は主に脳卒中の診療にあたっていました。その後、一般病院に移り、神経難病を中心に診療に携わり、今年4月から瀬戸内病院に勤

務しています。まったく新しい環境で、わからないこともありますが、皆様のご教授を仰いでいきたいと思っています。よろしくお願いします」と挨拶した。

患者目線の価値向上へ鈴木・徳洲会理事長

「患者さんの体験価値を高めることが重要」と鈴木理事長

徳洲会グループ5月度医療経営戦略セミナーが6月

1日から2日間、千葉県内で開かれ、初日に千葉大

学医学部附属病院の井上貴裕・副病院長兼病院経営

管理学研究センター長が講演した。テーマは「医療

政策の方向性を踏まえた戦略的病院経営」。

井上・千葉大学附属病院副病院長

理想と現実考え戦略

病院経営をテーマに講演

井上・副病院長はわかりやすく解説

SNSへの投稿など注意

福島・徳洲会副理事長が

ホットライン通報数報告

に岸和田徳洲会病院(大

阪府)の出田淳副院長(神

経内科)が「総合医のパ

ーキンソン病・診断と治

療」をテーマに講演。パ

ーキンソン病の主要徴候

には筋固縮(強剛)、振戦、

無動・寡動、姿勢反射障

害があるが、これら運動

症状以外にも睡眠障害や

精神認知行動障害、自律

神経障害などがあること

も説明した。

診断は特有の神経徴候

を確認するほか、二次性

パーキソニズムの鑑別と

して、①画像診断で異常

がない、②パーキンソン

症状を起こす薬物への暴

露がない――を挙げ、さ

らに抗パーキンソン病薬

で症状改善を認めること

を提示した。治療として、

昨年度に改訂された診療

ガイドラインに基づく薬

物治療のポイントなど示

し、「改善がなければ他

の神経症状を疑うため、

神経内科での診察が必要

ンス(法令順守)・ホッ

トラインへの通報につい

て報告した。18年度は開

設した17年度より増えた

が、職員に認知されてき

た可能性も指摘した。

具体的な通報内容も紹

介し、とくに注意を促し

たのがSNS(ソーシャ

ル・ネットワーキング・

サービス)への投稿。「匿

名だから、特定の仲間内

だけだからと、安易な投

稿は控えてください。不

適切動画などが社会問題

となっていますが、決し

て他人事ではありません」

と強い口調で呼びかけた。

このほか労務管理に関す

る通報内容に触れ、あら

ためて「コミュニケーシ

ョン不足」を指摘した。

新院長 紹介(4月1日付)

関・吹田病院センター長

がんカテの必要性

講  演

徳 洲 新 聞 生い の ち

命だけは平等だ❸ 令和元年 6 月10 日 月曜日 │ No.1188

合同オリエンテーションに参加した新入研修医は6月1日、徳洲会グループ5月度医療経営戦略セミナーの懇親会に出席した。一般社団法人徳洲会の幹部やグループ病院の四役らが見守るなか、病院ごとに院長と研修医が登壇。歌やダンスでアピールし

たり、コントや寸劇で笑いを誘ったりと、趣向を凝らした自己紹介と決意表明を行い、会場は笑顔と拍手に包まれた。最後に、社徳の福島安義・副理事長が「毎年、5月度セ

ミナーの懇親会には全国から研修医が集まり、元気をもらうことができます。今年は若い先生方が159人も入職しましたが、これは過去最多人数です」と喜びの表情。さらに「これから研修医の皆さんに頑張って育っていただくのは、同時に私たちが頑張って育てていかなくてはいけないことと同じ意味です。グループ全員の力を結集していただき、明日から頑張ってほしいと思います」と激励した。

うことです。今はまだ何

もできないかもしれませ

んが、一緒に成長してい

きましょう」と期待を寄

せた。

続いて社徳の篠崎伸明・

専務理事(医療法人沖縄

徳洲会副理事長)が辞令

交付。「今年は医科15

0人、歯科9人という過

去最多の入職となりまし

た。皆さんの未来に期待

しています」とエールを

送った後、各病院の代表

者に辞令を手渡した。

次に田村委員長が「2

年間の臨床研修修了まで

に必要な事項」と題し講

義した。臨床研修制度の

理念には「人格のかん養」

を含んでいることを強調、

修了基準や評価方法など

説明し、「電子カルテや

アプリケーションなど便

利なツールを活用しなが

ら、自分が受ける研修の

背景を考えることを忘れ

ず、充実した2年間を過

ごしてください」と締め

くくった。

初日は総合司会を務め

た徳洲会グループ研修委

員会委員長の田村幸大・

大隅鹿屋病院(鹿児島県)

副院長の挨拶からスター

ト。「研修を充実させる

にはフィードバックを受

けることが重要。日々の

業務では1日の終わりに

症例の振り返りを行って

いると思いますが、この

2日間は日々の業務から

離れ、同じ研修を行って

いる同期と交流し、じっ

くり考える時間にしてく

ださい」と合同オリエン

テーションの意図を説明

した。

研修医を20グループに

分け、そのなかで、さら

にペアをつくり、目標や

趣味などについて互いに

インタビューし合った後、

グループメンバーに、そ

の内容を披露する“他己

紹介”を実施。研修医同

士の距離が縮まり、全員

がリラックスした様子だ

った。

一般社団法人徳洲会

(社徳)の鈴木隆夫理事

長も会場に駆け付け、徳

洲会の歴史や草創

期のエピソードを

披露。さらに「若

いということは、

とてつもない可能

性を秘めています。

徳洲会では臨床や

技術を学ぶだけで

は納まりません。

皆さんに知っても

らいたいのは、弱

い人に対する思い

やりや、一人ひと

りの力は小さくて

も、皆が集まれば

何でもできるとい

休憩をはさみ「CVラ

イン挿入ハンズオンセミ

ナー」を実施した。ハン

ズオン(体験学習)の目

的は、CVC(中心静脈

カテーテル)挿入時の重

篤な合併症リスクや、患

者さんの安全を確保する

ための指針を学び、エコ

ーガイド下CVC挿入手

順の基礎を習得すること

だ。研修医は7グループ

に分かれ、シミュレータ

ーを使い、教え合いなが

ら実践した。

続いて、徳洲会グルー

プ医療安全管理部会担当

役員の福島安義・社徳副

理事長が「医師に大切な

こととして、ヒポクラテ

スは『害を与えるな』と

言っています。私たちの

業務には、患者さんの命

にかかわるような危険な

側面が多く存在すること

を、心にとめてください」

と挨拶。その後、徳洲会

医療安全管理部会長の大

坪まゆ美・成田富里徳洲

会病院(千葉県)副看護

部長が「多職種チームの

視点からの医療安全」と

題し講演した。

医療事故の報告義務は、

あくまで「再発防止」が

目的であると強調、事例

を提示し再発防止のポイ

ントなど示した。さらに、

グループに分かれ「人生

の綱」の演習を実施。こ

れはグループメンバーが

それぞれ院内の多職種を

演じ、症例をもとにコミ

ュニケーションを図りな

がら綱を渡していくもの

で、綱の量や絡み具合で

多職種連携を「見える化」

している。大坪部会長は

「職種によって患者さん

の情報は異なります。連

携の大切さを考えていた

だければと思います」と

語りかけた。

千葉西総合病院の三角

和雄院長は「徳洲会にお

ける救急の考え方、カル

テ記載およびプレゼンテ

ーションのコツ」をテー

マに講演。救急の考え方

として、症例を提示しな

がら「100分の1でも

見逃してはいけない、救

急搬送された場合、安全

のために入院して経過観

察するべき」とアドバイ

スした。

また「痛みPQRST」

を提示した。これはP(部

位)、Q(性質)、R(再

現性・放散痛)、S(重

症度)、T(発症時期・

持続)をもとに診断する

という方法。胸痛の症例

を提示したうえで、「も

し胸痛が一時期消失して

も、急変する場合がある」

と解説し、慎重な対応を

心がけるよう訴えた。さ

らに、カルテの重要性に

も言及した。最後に「や

らなければいけないこと、

やってはいけないことを

明確にし、その原則を守

る。当たり前のことを、

普通にやる」という言葉

を贈った。

2日目は東大阪徳洲会

病院の橋爪慶人院長が

「研修医として習得すべ

き虐待の知識」と題し講

演。グループごとに症例

が提示され、虐待かどう

か、子ども家庭センター

に通告するかなどディス

カッションした。虐待を

発見・疑った時には「自

分のところだけで解決し

ようとしない」などポイ

ントを示した。

続いて、日野病院(神

奈川県)の馬場淳臣院長

が「研修医のストレス・

マネジメント」をテーマ

に講義。強いストレスか

ら適応障害になる可能性

を示したうえで、自分ひ

とりで抱え込まないこと、

元気な挨拶をして良好な

人間関係を保つことなど

助言した。

次に野口幸洋TMAT

事務局員(社徳係長)が、

当院は研修医が2人と少ないのですが、大規模病院の研修医と交流するなかで、うらやましさを感じる一方、当院の魅力も再認識できました。懇親会では離島病院の院長とも話ができ、離島の現状や抱える問題などを教えていただき勉強になりました。2年間の研修で、大規模病院の研修医に負けないよう上を目指して精進します。

4月から2カ月間ずっと病院にいたので、久しぶりに病院から離れ、この2カ月間を振り返りつつ、グループ病院の研修医の皆と交流ができたのは貴重な経験でした。自分に足りない部分や当院の強みなど、いろいろなことに気付くことができました。今は外科に興味があるので、この2日間で学んだことを生かし、明日からも頑張ります。

150人以上が一堂に会し交流でき、価値ある時間を過ごせました。患者さんを第一に考える医療の提供のために何が大切か、総合的に学ぶことができました。とくに印象に残ったのは虐待をテーマにした講義で、患者さんへの接し方など考えるところが多かったです。歯科口

こうくう

腔外科はグループで9人の同期がいるので、切

せっ

磋さ

琢たく

磨ま

し合っていきたいと思います。

TMAT(徳洲会医療救

援隊)について説明した。

TMATは徳洲会職員が

隊員として多数登録、国

内外の被災地で活動する

災害医療支援団体で、設

立経緯や活動状況など報

告した。さらに隊員であ

る札幌東徳洲会病院の合

田祥悟・救急センター後

期研修医が、トリアージ

(緊急度・重症度選別)

をテーマに講義。実際に

トリアージ・タグを使い、

トリアージの方法やタグ

の書き方など実践した。

最後に集合写真を撮影

し、2日にわたる合同オ

リエンテーションが幕を

閉じた。

徳 洲 会グループ

徳洲会グループは6月1日から2日間、千葉県内で2019年度新入研修医合同オ

リエンテーションを開催した。今年度は過去最多となる医科150人、歯科9人の

計159人が入職。全国のグループ病院から研修医が一堂に会し、医師としての基

本や心構えを学ぶと同時に積極的に交流した。初日は歯科専用プログラムも設けた。

過去最多159人の研修医

新入合同オリエンテーション開催

上を目指して2年間精進

皆との交流は貴重な経験

懇親会で研修医が決意表明 グループの同期全員で切磋琢磨

全国の徳洲会病院から研修医159人が集まり交流

「皆さんは大きな可能性を秘めています」と鈴木理事長

「同期との交流をとおし、この2カ月を振り返ってください」と田村委員長

篠崎・副理事長が各病院の代表者一人ひとりに辞令交付

医療安全に関する講義では「人生の綱」の演習を実施

歯科は医科とは違うプログラムを別室で実施

「当たり前のことを、普通にやってほしい」と三角院長

研修医が自己紹介と決意表明。写真は宇治徳洲会病院(京都府)

「若い力に元気をもらえます」と福島・副理事長

横山弘典医師大隅鹿屋病院(鹿児島県)

百木菜摘医師湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)

北原諄子・歯科医師東京西徳洲会病院

徳 洲 新 聞生い の ち

命だけは平等だ 令和元年 6 月10 日 月曜日 │ No.1188 ❹