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TPM(Total Productive Maintenance)

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TPMとは

TPM(全員参加の生産保全)

T ・・・・ Total

P ・・・・ Productive Production

M ・・・・ Maintenance Management

1.TPMとは、“全員参加のPM”(トータル・プロダクティブ・メインテナンス)の英語の

頭文字を取ったもので、“トータルPM”を略したものです。

2.TPMのおいたち

TPMは、米国より導入したPM(予防保全・生産保全)の考え方を発展させ、日本独自のシステムにしたものである。

1971年デンソーが日本ではじめてTPMを実施し、すばらしい成果をあげて以来、

トヨタ系を中心にTPMが普及しました。

3

TPMの基本理念

1.儲ける企業体質づくり

経済性の追求、災害ゼロ、不良ゼロ、故障ゼロ

2.予防哲学(未然防止)

MP PM CM(保全予防) (予防保全) (改良保全)

3.全員参加(参加経営、人間尊重)

重複小集団組織、オペレータの自主保全

4.現場現物主義

設備・仕事を“あるべき姿”に、目で見る管理、

クリーンな職場づくり

5.常識の新陳代謝

モノの見方・考え方の連続性の進化・成長

企業体質づくりの質とは、仕事の仕方の『質』を意味する

ロスを切り口として、『真の儲ける行為』を意味する

真の儲ける仕事の仕方とは、予防哲学が根源にある

ロスゼロを実現するため、減らす活動と防ぐ活動

重複小集団組織により、全員参加で活動

オペレータの自主保全が特徴

設備、仕事のあるべき姿を追求

状態が常に把握できる目で見る管理を目指す

マンネリ体質の予防を意味する。

連続性の進化・成長を意味する重複小集団:職制活動として各階層で小集団活動

4

TPM展開の8本柱

TPMでは、生産活動における効率化(16大ロスの排除)のために、次の8つの活動を行う。

1.個別改善:生産システムの効率化の個別改善

2.自主保全:オペレータの自主保全体制づくり

3.計画保全:保全部門の計画保全体制づくり

4.製品開発管理:製品・設備開発管理体制づくり

5.品質保全:品質保証体制づくり

6.教育訓練:教育・訓練体制づくり

7.管理間接:管理・間接部門の効率化体制づくり

8.安全衛生環境:安全・衛生と環境の体制づくり

製品・開発管理

計画保全

品質保全

管理・間接

安全・衛生・環境

TPM

教育・訓練

個別改善

自主保全

TPM

TPMは生産部門だけの活動だけでなく、生産の計画部門や保全部門など、関係する全ての人が小集団で活動するのが基本ですが、この柱の中の数点を選んで活動している企業もあります。

本稿では、個別改善・自主保全・教育訓練について記載します。

5

TPMの儲ける方程式

TPMはロスのゼロ化を目指して活動します。・個別改善でロスを減らして生産性の向上

・自主保全でロスを防いで設備の信頼性の向上

・教育で個別改善・保全スキルを身に付ける訓練を行います

TPM儲けのイメージ

ロスを減らす ロスを防ぐ

(真の利益追求) (維持管理・未然防止)

儲け(利益)= (生産性向上 + 信頼性向上)×全員参加

(マネージメント) (メインテナンス)

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生産活動におけるロスの構造(16大ロス)TPMで定義されているロスを理解しよう

1.設備の効率化を阻害する8大ロス

2.人の効率化を阻害する5大ロス

3.原単位の効率化を阻害する3大ロス

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設備の効率化を阻害する8大ロス

ロスの名称 定 義 単位

1.故障ロス 故障とは、設備の機能停止及び機能低下をいう

突発的・慢性的な故障発生によるロスで、時間的なロスと物量ロス(不良・手直し品増加)を伴う

時間(分)

2.段取調整ロス 現在の生産ロット終了後、次の製品の良品が出るまでの時間的ロス(出来高減少)とその間の試し加工による物量ロス

時間(分)

3.刃具交換ロス 砥石・カッター・バイト等の寿命又は破損による交換のために停止するロス 時間(分)

4.立上がりロス 生産開始時の設備の起動・ならし運転・加工条件が安定するまでに発生するロス

時間(分)

5.チョコ停・

空転ロス

故障と異なり、一般的なトラブルのために設備が停止したり、空転するロス 時間(分)、回

6.速度低下ロス 設備の設計スピードに対して、実際に動いているスピード差のロス スピード、レシオ

7.不良・手直し

ロス

不良・手直しによる物量ロス(不良・手直し品増加)と、手直し可能な不良品を修正して良品とするためのロス

出来高、時間(分)金額

8.SD(シャット

ダウン)ロス

計画的に保全を行うためにライン・設備停止する時間的ロス(出来高減少)と、その立上がりのために発生する物量ロス(不良・手直し品)

時間(時)

数量

8

設備総合効率を阻害する7大ロスと時間稼働率の関係

設備

負 荷 時 間

稼 働 時 間

正 味稼働時間

価 値稼動時間

不良ロス

停止ロス

①故障

②段取・調整

③刃具交換

④立上り

⑤チョコ停・空転

⑥速度低下

⑦不良・手直し

7大ロス 設備総合効率の計算

負荷時間-停止時間時間稼働率= ×100

負荷時間

例)

1日の負荷時間460分故障停止 20分段取り 20分調整 20分 の場合

460-60分時間稼働率= ×100=87%

460分

性能ロス

9

設備総合効率を阻害する7大ロスと性能稼働率の関係

基準サイクルタイム×加工数量性能稼働率= ×100

稼動時間

基準サイクルタイム速度稼働率=

実際サイクルタイム

加工数量×実際サイクルタイム正味稼働率=

負荷時間-停止時間

性能稼働率=速度稼働率×正味稼働率

設備

負 荷 時 間

稼 働 時 間

正 味稼働時間

価 値稼動時間

不良ロス

停止ロス

①故障

②段取・調整

③刃具交換

④立上り

⑤チョコ停・空転

⑥速度低下

⑦不良・手直し

7大ロス

性能ロス

設備総合効率の計算

例) 基準サイクルタイム 0.5分

実際サイクルタイム 0.8分

加工数量×実際サイクルタイム 400個×0.8負荷時間-停止時間 400分

性能稼働率=0.625×0.8=50%

×100=62.5%

×100=80%

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設備総合効率を阻害する7大ロスと良品率の関係

設備

負 荷 時 間

稼 働 時 間

正 味稼働時間

価 値稼動時間

不良ロス

停止ロス

①故障

②段取・調整

③刃具交換

④立上り

⑤チョコ停・空転

⑥速度低下

⑦不良・手直し

7大ロス 設備総合効率の計算

性能ロス

加工数量-不良数量良品率= ×100

加工数量

例)

加工数量-不良数量 400-8個

加工数量 400個×100=98%

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設備総合効率を阻害する7大ロスと設備総合効率の関係

負荷時間-停止時間時間稼働率= ×100

負荷時間

基準サイクルタイム×加工数量性能稼働率= ×100

稼動時間

加工数量-不良数量良品率= ×100

加工数量

設備総合効率=時間稼働率×性能稼働率×良品率

設備

負 荷 時 間

稼 働 時 間

正 味稼働時間

価 値稼動時間

不良ロス

停止ロス

①故障

②段取・調整

③刃具交換

④立上り

⑤チョコ停・空転

⑥速度低下

⑦不良・手直し

7大ロス

性能ロス

設備総合効率の計算

例) 0.87×0.50×0.98=42.6%

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人の効率化を阻害する5大ロス

就業工数

負荷工数

正味作業工数

有効工数

価値工数(出来高工数)

除外工数

(多部門応援)

作業ロス工数

編成ロス工数

不良ロス

⑨管理ロス

⑩動作ロス

⑪編成ロス

⑫自動化置換ロス

⑬測定調整ロス

指示待ちロス

材料待ちロス

設備停止ロス

設備性能ロス

方法手順ロス

スキルモラールロス

人の効率化阻害の5大ロス

工数 <人>

このロスは、人のスキル差作業方法、レイアウトさらに管理レベルにより左右される

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原単位の効率化を阻害する3大ロス

投入材料(個数・重量)

良品個数

良品重量

投入エネルギー

有効エネルギー 不良ロス

仕上がりロス

カットロス

目減りロス

余肉ロス

⑭歩留ロス

⑮エネルギロス

仕上がりロス

過負荷ロス

放熱ロス⑯型・治工具ロス

(原単位の効率化) ・・・・・ 原単位の効率化阻害の3大ロス

投入工数当りの良品出来高

(エネルギー)

経過時間当りの良品出来高

(材料)

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改善・解析技術

生産効率化をすすめるには、あらゆるロスを未然防止するシステムの構築が必要である。

現状分析し、問題点を見出し、原因を究明して対策を講じる必要がある。

TPM活動でよく使われている解析法を紹介します。

1.なぜなぜ分析:現象を発生させている要因を思いつきで考えるのではなく、規則的に、

順序良く、漏れなく出し切る分析方法です。

2.IE手法:製造システムを構築する人・材料・設備の全てにわたり、科学的な判断基準を

用いることにより、最適な解を見出す技術。(生産性を向上するための工学)

3.QC七つ道具:改善活動で、取ったデータを分析・解決するツール

4.FTA(故障の木の解析):設計開発段階で発生経路・発生原因・発生確率を予測・解析

する手法。特性要因図(結果の分析)と良く似ている。

5.PM分析:現象を物理的に解析し、メカニズムを解析

6.FMEA(故障モードの解析):システムや設備の潜在的な故障モードを洗い出し、故障を

未然防止する。

7.VA、VE:資材の機能を研究し最小価格で得るための活動。VAは生産開始後、VEは生産開始前に行う。

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故障とは

故障とは・・・設備が次のいずれかの状態になる変化

1)規定の機能を失う

2)規定の性能を満たさなくなる

3)設備による産出物や作用が規定の品質レベルに達しなくなる

故障の語源 ・・・・人間が故意に

障害を起こす

こわれたのか? こわしたのか?

大きな違いです。!

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故障ゼロのための原則

故障

・ゴミ、汚れ、原材料付着・磨耗、ガタ、ゆるみ、漏れ・腐食、変形、きず、クラック・温度、振動、音などの異常・操作ミス ・保全ミス・軟構造  ・弱熱性

『故障』は氷山の一角

潜在欠陥

潜在欠陥を顕在化し、故障を未然防止すること!!

物理的潜在欠陥

心理的潜在欠陥

物理的に目にふれないために放置されている欠陥

・分解しないと見えない欠陥

・取付位置が悪くて見えない欠陥

・ゴミ・ヨゴレで見えない欠陥

オペレータや保全マンの意識や技術の不足から発見できないで放置されている欠陥

・無関心

・欠陥がわからない

・これくらいならよいと無視する

・設備は人間が故障させている

・人間の考え方行動が変われば、

設備は故障ゼロにすることができる

・“設備は故障するもの”という考え方から

“設備を故障させない”

“故障はゼロにできる”

という考え方に改めること

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自主保全とは

自主保全は、オペレータ(機械操作者)が実施する保全です。

※保全マンは、計画保全を実施します。

現有設備の効率的活用するため

1.自分の設備は自分で守る

設備の日常点検、給油、異常の早期発見

(日常点検の中で発見していきます)

2.設備に強いオペレータ

異常を発見能力、処置回復能力、条件設定能力

(正常か異常かが判定できる。簡単な修理が出来る)

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自主保全展開のステップ

一度の多くのことをやろうとしても、なかなかできないものです。自主保全はまず一つのことを徹底的にやり、あるレベルに達した時点で、次のステップに進むといやり方を取っています。まず第3ステップまでを目標に活動しましょう。

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第一ステップ(初期清掃)

初期清掃のねらい

設備:ごみ・汚れによる強制劣化防止

潜在欠陥の顕在化

人 :設備に手を触れ愛着心を持つ

設備の不具合を見る目を養う

設備の機能・構造・弱点を知る

不具合箇所にはエフ(絵符)付け、改善します。完了したらエフを外します

清掃は、きれいにするのが目的ではありません。清掃を通して異常が発見しやすい設備にします。

清掃は点検なり

点検は不具合の発見なり

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見える化

異常が発見しやすくするために、目で見る管理(見える化)が出来るようにします。

圧力計:正常範囲はグリーン表示、

異常範囲は赤表示

オイルゲージ:正常範囲の表示

上限

下限

冷却ファン

テープが横になっていれば回転している

制御盤の冷却ファンの回転チェック

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第二ステップ(発生源・困難箇所対策)

発生源・困難箇所対策

第一ステップの合格レベルを維持する

1)ゴミ・汚れ異物の弊害と発生源対策

2)困難箇所対策

清掃・給油・点検に時間のかかる箇所

発生源対策の出来ない箇所

短時間で出来るように改善

第一ステップで発見した、不具合の発生源対策と清掃・給油が困難箇所の改善を行います。

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第三ステップ(仮基準書作成)

仮基準書作成:

第一、二ステップを維持するためのルール決め

1)設備

基本3要素(清掃・給油・増し締め)維持

強制劣化をなくし自然劣化にもって行く

保全性の良い機械

2)人

自ら決めてしっかり守る

役割・必要性を理解

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自主保全活動の3種の神器

1.活動板

自主管理活動と現場管理のPDCAがわかる可視化ツール

1.活動経過と効果・成果を見てわかるように示す

2.P・Q・C・D・S・Mが判るよう絵・グラで表示

3.サークルメンバーが活動内容を理解できるよう掲示

TPM自主保全活動活性化のためのツールとして次の3つがあります。

1.活動板 :方針管理、目標管理

2.ミーティング :情報の共有化、レベル合わせ

3.ワンポイントレッスン :伝達教育教材

管理者が部下指導の進捗状況、問題点の把握

他サークルへの水平展開の参考資料

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自主保全活動の3種の神器

2.ミーティング

やる気・やる場・やる腕の条件整備で自主保全活動を定着させるために欠くことのできない活動

1.活動内容の勉強、やるべきことの確認と共有

2.ワンポイントレッスンによる伝達教育の場

3.リーダがチームワークをつくり出す

3.ワンポイントレッスン

一度に教育を受けても日常の繰り返しの復習がないと身につかない。朝礼のちょっとした時間活用

『学ぶだけでなく、学んだことを実践体得する』

1.基礎知識

2.改善事例

3.トラブル事例