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1 2017.3.23 ジャパンドローン2017 出展者ワークショップ 特定非営利法人 ふじのくにSKYイノベーション 法人会員 日本DMC株式会社 UAS研究開発事業部 リーダー 安田 憲太 VTOL無人航空機開発について 目次 自己紹介 1. VTOL型航空機とは? 2. VTOL型無人航空機に対する環境の変化 3. VTOL型航空機の特性と注意点 4. 開発中機体の紹介 VTOL無人航空機開発について

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2017.3.23 ジャパンドローン2017  出展者ワークショップ

特定非営利法人 ふじのくにSKYイノベーション 法人会員日本DMC株式会社 UAS研究開発事業部 リーダー

安田 憲太

VTOL型 無人航空機開発について

目次

自己紹介

1. VTOL型航空機とは?

2. VTOL型無人航空機に対する環境の変化

3. VTOL型航空機の特性と注意点

4. 開発中機体の紹介

VTOL型 無人航空機開発について

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自己紹介

日本DMC株式会社 UAS研究開発事業部 リーダー兼 JUIDA認定スクール講師

安田 憲太(やすだ けんた)

静岡県出身 県立藤枝東高校卒業千葉大学工学部 電子機械工学科卒業千葉大学大学院 自然科学研究科流体数理工学教育研究分野修了

無人航空機の開発実績2005年~2016年の間に 断続的に9年間関わるティルトウイング型、テールシッター型など機体の構造、空力、制御、の設計と試験

新型無人航空機の設計と飛行試験の経験から無人航空機の特性、メカニズム、環境からの影響、に関する知見と、そのリスク要因の洗い出し、対策を実施

雑誌 航空情報より

20kg級マルチローター機(構造のみ)

5kg級テールシッター 現在開発中

静岡県産業振興財団 助成事業

25kg級 ティルトウイング機

株式会社GHcraft在籍時開発機種過去開発機

パラレルハイブリットマルチローター機

特許出願済

1. VTOL型 航空機 とは?

XFY-1 US NAVY 1954

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VTOL(Vertical Take Off and Landing)

AHS international  V/STOL Wheel

VTOL(垂直離着陸)・シングルローターヘリコプター・マルチコプター・複合(compound)ヘリコプター・固定翼VTOL・・・・

STOL(短距離離着陸)CTOL(滑走離着陸)STOVL(短距離離陸・垂直着陸)

有人かつ試作された方式だけでも、50種類近くの方式がある。

設計自由度の高い無人航空機は更に。

固定翼VTOL機の歴史

航空機(有人)に関しては、大型機 + 長大な滑走路(政治力)により解決(防衛用など1部特殊用途を除く)

地勢、植生、土地利用の形態から、日本における無人航空機では必須の能力

XC‐142(米) X‐22

STOL飛鳥(日)

画像利用 wikipediaより

航空輸送能力の逼迫を見越し1950年~70年頃軍民様々なタイプが試作された。

XV‐3 XV‐15 V‐22

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固定翼VTOL機の位置づけ

2008年~2011年

株式会社GHcraft開発

動画使用許諾済

2005年~2008年

JAXA調布 突風風洞様

JAXA三鷹 大型低速風洞様

空力特性共同研究

2006年~2008年

千葉大学工学部 野波研究室様

制御共同研究

固定翼VTOL(TiltWing)の例

垂直離着陸能力 と固定翼を使用した効率的な巡航能力の両立

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2. VTOL型無人航空機に対する環境の変化

XV-5 NASA 1960’

2008年~2017年現在の環境の変化

2008年頃 現在

構造 CF/ハニカム/CF → CF/ハニカム/CF

パワープラント コバルト酸化物系リチウム

希土類モーター

半導体インバーター

→ コバルト酸化物系リチウム

希土類モーター

半導体インバーター

制御装置 500g 100g 冗長化可能

Vision制御

無線 2.4GHz(10mW/MHz)

429MHz(10mw)

→ 920MHz(20mW)

2.4GHz(1W)

169MHz(10mW)

LTEネットワーク無線(実験)

法規 なし → 2016/12/10 航空法改正

UAV運航管制 なし → 検討開始(JUTM等)

社会的理解 なし → 官民協議会ロードマップ 2018

長距離飛行の環境は

整いつつある

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3. VTOL型航空機の特性と注意点

NASA 2015

注意① 円盤荷重

ホバリングが多いミッションでは、円盤荷重が低いマルチローター機が有利

高速性を狙った固定翼VTOL機は円盤荷重が更に高い

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注意② 空気力学

http://www.mhi.co.jp/cats/airplane/story/design/chapter6.html

揚力係数CL  抵抗係数CD は 低レイノルズ数領域で大きく変化する(性能低下)Lift    = 1/2*ρ*V*V*CL*A       Drag =1/2*ρ*V*V*CD*A   ρ:空気密度 V:速度 A:面積

航空機 Re 10^6以上 鳥 Re 10^5 紙飛行機 Re 10^4

極小型の機体では「固定翼」によるメリットが出にくい可能性がある低レイノズル数での翼形データなどは少ない

Re = V( 速度)×L(サイズ)/ν(動粘性係数)

注意③ モーターのマッチング

変速機レスのモーターの場合、複数条件で最高効率は出せない効率低下、廃熱の限界 に注意が必要

効率=Pout/Pin=(T*(V‐Rm*T/Kt‐Rm*Io)/Ke)/(((T/Kt)+Io)*V)

出力=T*(V‐Rm*T/Kt‐Rm*Io)/Ke

最大出力点

消費電流I  →

最大効率点(90%)

電磁気ではなく、熱が作動限界大きな負荷→大きな出力→高温→消磁 しやすい

効率約50%

https://www.hacker‐motor‐shop.com/

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注意④ プロペラのマッチング

固定ピッチプロペラの場合、ホバリングと巡航の両方に最適化できず

(可変ピッチ、可変ねじれ、可変回転数、可変直径などが必要となる)

ホバリング用と推進用を分けた方が、重量の不利があっても、効率良い場合も

ローター VTOL プロペラ

大 直径 小

小 ピッチ角 大

なし ねじれ あり

小 回転速度 大

4. 開発中の機体の紹介

XV-15 BELL 1981

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電動VTOL型無人航空機(TAIL SITTER)

・垂直離着陸と巡航性能の両立・簡素で信頼性の高い構造・冗長性の確保できるパワープラント配置・任意の速度域にて定常飛行が可能・外乱(風)に対する高い対応力・リスクを限定できる小型機(4kg以下)

主構造 CFRPモノコック

寸法 1440mm

離陸重量 4.0kg

搭載量 1.0kg

飛行速度 28m/s

飛行時間 90min

VT01 主要スペック

垂直離着陸

巡航飛行

遷移

機体形式の選定

・メカ、構造がシンプルで軽量化可能

・パワープラントの冗長設計が可能

・アンテナとペイロードを水平安定化

巡航性能、ホバリング性能

構造重量、冗長性、

離着陸のしやすさ、

メンテナンスのしやすさ、

外乱に対する対抗性

変則型のテールシッター

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翼配置の検討 推力系の検討

巡航効率(L/D)ホバリング出力失速特性構造有利さテーパー比アスペクト比プロペラ特性モーター特性静安定

遷移中の失速特性や、外乱に対する耐性の検討は、実験や経験によるところが大きい。

翼配置の検討 推力系の検討

① 3D CAD設計② 3D CAM型切削③ CFRP型成形④ ワンピース一体構造⑤ 荷重試験

製造品質管理、精度、の両面から、型成形が必要

生産数が少ない場合は、金型不要のCFRPがコスト面でも有利

面内応力が低いため金属構造は難しい

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制御部品の選定と試作基板作成

試作機の製造と実験ふじのくにSKYイノベーション D-35ブース内に展示

2軸 水平安定化機首

(GPS/通信/ペイロード)

ペイロード(1kg以内)

APS‐Cミラーレス一眼

1.2GHz画像伝送 など全幅プロペラ後流効果

全幅スロッテッドエレボン

1ピース 1次構造

バッテリ 1.6kg

CF板バネ降着装置(開発中)

垂直安定板

アウトリガー

冗長化

パワープラント

機体制御用地上局

ペイロード制御用地上局

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NDMC UAS研究開発事業部

商品化・実証試験共同開発 募集中!

・無人航空機の機体 委託開発 共同開発

・無人航空機の搭載品 委託開発 共同開発

・カーボンコンボジット部品の設計、生産

・無人航空機の飛行実験

・開発経験を生かした事故調査(FTA)

・試験飛行経験を生かした安全運航講座

・飛行マニュアルの作成

NDMC  で検索 ふじのくにSKYイノベーション D35ブース 出展中

ご清聴ありがとう御座いました。