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家 兎Vx2移 植 腫 瘍 に お よ ぼ す

Differential Hypothermiaの 影 響

第2編

Differential Hypothermia下 にお け る抗 癌剤 の腫 瘍組 織 内 活 性 につ いて

岡山大学脳神経外科教室(指 導:西 本詮教授)

山 田 修

(昭和52年8月25日 受稿)

目 次

Ⅰ. 緒 言

Ⅱ. 実 験 材 料 お よ び方 法

1. 実 験 動 物

2. 腫 瘍 移 植 の方 法

3. 実 験 方 法

4. Bioassay法 に よ る抗 癌 剤 の定 量

Ⅲ. 実 験 結 果

1. Differential Hypothermia下 におけ るVx2

皮 下 腫 瘍 の抗 癌 剤 組 織 内 活 性 濃度 につ い て

2. 正常体温時お よび低体温時 の抗癌剤 の血 中

活性 濃度 について

3. Differential Hypothermia下 におけるVx2

脳 内移植腫瘍の抗癌剤組織内活性 濃度 について

Ⅳ. 考 按

Ⅴ. 結 論

参 考 文 献

英 文 抄 録

Ⅰ. 緒 言

著 者 は,家 兎 耳 介 部 皮 下 のVx2移 植 腫 瘍 に対 し

てDifferential Hypothermia (以 下D. H.と 略 す)

処 置 を行 な い, D. H.処 置 の 家兎Vx2皮 下移 植 腫 瘍

に対 す る腫 瘍 抑 制 効 果 を 確 認 し,さ らに抗 癌 剤5-

fluorouracil (以 下5-FUと 略 す)を 併 用 す る こ と に

よ り,こ の効 果 が増 強 され る こと を第1編 で述 べ た-

臓 器 内 あ る い は培 養 細 胞 内 へ の 薬剤 の取 込 み にお

よぼ す 温 度 の影 響 につ いて は,す でにWoodhall,1,2)

Mahaley,3,4) Shingleton,5~7) Rocklin,8) Sutton9)ら の

多 くの 報 告 が あ り, D. H.処 置 時 の抗 癌 剤 の腫 瘍 内

取込 み の 変 化 につ いて は, Masironi,10) Popovic11)ら

の 報 告 が あ る.し か し脳 血 液 関 門 の存 在 と い う特 殊

な状 況 下 にあ る脳 組 織 に対 してD. H.処 置 を行 な い

薬剤 の 取込 み をみ た 研 究 は教室 の菅 に よ る イ ヌ脳 の

cold induced edemaを 用 いた 報 告12)を み る にす ぎ

ず,脳 内の腫瘍に対 してD. H.処 置 を行 ない抗癌剤

その ものの取込 みをみ た報告 はない.

著者は本編においてD. H.処 置後 の腫瘍抑制効果

がすで に明 らかな第1編 の実験 と同 じ条件 によ り家

兎Vx2皮 下移植 腫 瘍 にD. H.処 置 を行 ない,静 脈

内 に投与 した抗 癌剤5-FUの 腫瘍 内および各臓 器内

の活性 濃度 をBioassay法 を用いて検索 した.次 い

で脳内移植 腫瘍 を作成 し, D. H.処 置 を同様の条件

下 で行な い,抗 癌剤 の腫瘍組織 お よび血中の活性濃

度 を検索 し,ヒ ト脳腫 瘍例 への臨床応用の可能性 に

つ いて検討 を加 えた.

Ⅱ. 実験材料 および方 法

1. 実 験 動 物

岡山県内の動物商 よ り供 給 され た家 兎(日 本 白色

在来種)を 当教室 にて飼育 し,外 見上何 ら疾 患 を有

しないと思 われる体 重1.8~2.2kgの 成 熟雌 雄57羽

47

48  山 田 修

を用 いた.実 験 動物 は固型飼 料(オ リエンタル, RC-

4)お よび水道 水を適宜 に与 え飼育 した.

2. 腫瘍移植 の方法

本編の実験 には家兎Vx2耳 介部 皮下 およ び脳内

移植腫瘍 を用い たが,皮 下移植腫瘍の作成 な らびに

継代維持 の方法 については第1編 後記 した.

Vx2腫 瘍 脳 内移 植 家兎 の作 成 は5% Nembutal

(pentobarbital sodium)15mg/kg筋 肉 内注 射によ

る麻酔下で,右 前頭頭頂部 に約9×7mmの 開頭 を

行な い,硬 膜 に約2mmの 小切 開を加 え,大 腿部 に

て継代移植 し維持 して きた腫瘍 を無菌 的に摘 出 し)

肉眼的に壊死 ・結合織の混入の少 ない部を選 び小塊

(0.8×0.8×0.8mm, 1~2×106 viable cells)と

し,こ れ を先端の鋭利な ピンセ ットを用 いて大脳皮

質 を穿刺 し)皮 質下 約1mmに 挿入 して同種移植 し

た.硬 膜縫 合)開 頭 部の骨形成 は特に行 なわなかっ

たが,切 開部 の皮膚 は密 に縫合 した.移 植後7日 目,

腫瘍 径が約5mmと なった時点で実験に用いた(Fig.

1).

なお,移 植腫瘍 の約25%は 硬膜 に付着 した腫瘍 と

なるが,実 験時 には脳内腫瘍 との区別 が不可能 であ

り,実 験後 にこれ らの発育形式 と判明 した ものはす

べて実験結果 よ り除外 した.

Fig. 1 Coronary section of rabbit brain, showing Vx2 tumor transplanted in

the right cerebral hemisphere.

3. 実 験 方 法

実験:第1編 の実験方法で述べ た如 く, Vx2腫 瘍

耳介 部皮 下 移植家兎 を用 い, Nembutal麻 酔下 に氷

にて直腸温23~24℃ の全身低体温 とし,一 側(右)の

耳介部の みを温水中 に入れて腫瘍部分 を37℃ に保 っ

た.冷 却開始約2時 間後の温 度が安定 した時点 で抗

癌剤5-FU 10mg/kgを 静 脈 内 投与 し)さ らに45分

間のD. H.処 置 を続 け, 5-FU投 与45分 後 に家兎 を

屠殺 し,両 側耳介部皮 下腫 瘍並 び後正常 腎 ・肺 ・肝

・脳組織 と血液をす みやかに採取 した.腫 瘍および

各 臓器よ り採取 した組織 は表 面の血液 の付着 を除去

す るため後,た だち後0.01 M phosphate buffered

saline(pH 7.2以 下PBSと 略す)に て洗滌 し, Bio

assay法 によ る活性濃度 の検定試 料 とした.一 方,

D. H.処 置 を行 なわず,正 常 体 温 の まま5-FU 10

mg/kgを 静脈 内投与 し,45分 後 に組 織 ・血液 を採取

し活性濃度 を検定 して対照実験 とした.

実験2:非 担癌家兎 後対 して氷 にて直腸 温23~24℃

の全 身低 体 温 と し,こ れに5-FU 10mg/kgを 静脈

内投与 し,あ らか じめ留置 した静脈 内 カテーテルよ

り経時 的(30分 後, 1時 間後, 2時 間後, 3時 間後,

4時 間後)に 血 液を採取 して, 5-FUの 血中の活性

濃度 の推移 をBioassay法 によ り検定 し,正 常体温

家 兎Vx2移 植 腫 瘍 に お よ ぼすDifferential Hypothermiaの 影 響  49

時の5-FUの 血 中濃度 と比較 した.

1. Alminium foil

2. Scalp

3. Skull

4. Dura mater

5. Cortex

6. Cotton pledget

7. Thermistor

8. Microwave antenna

Fig. 2 Schema of microwave irradiation

実験3: Vx2腫 瘍脳 内移 植 家兎 後対 して, Nembutal

麻 酔 下 に全 身 を氷 にて 冷 却 し,直 腸温23~24℃ の 低

体 温 と し,一 方 腫 瘍 を2.45 GHzのmicrowave(MI

CRO THERMY ME-20, O. G. GIKEN Co., Ltd.)

を用 い てFig. 2の 如 き方 法 に よ り正 常 体 温(37℃)

に維 持 した.す な わ ち,頭 皮 を切 開 し,す で に骨 弁

の 除 去 され て い る部 を開 き,硬 膜 に小 切 開 を加 え て,

まず移 植 腫 瘍 を 確認 した の ち,硬 膜 下 に 直 径1mm

の針 状 サ ー ミス タ ー プ ロ ーベ(SHIBAURA ELEC

D. H.処 置開始 時 に抗 癌剤5-FU 10 mg/kgを 静

脈内に投与 し, 45分 間のD. H.処 置後 ただ ちに開頭

し,正 常脳組織(脳 内移植腫瘍 と反対側 の大脳半球

の皮質 ・皮質下)・ 腫瘍組織 および血 液を採取 し,

組 織 片 はPBSに て洗滌 して血 液の付着 を除いたの

ち, Bioassay法 によ り5-FUの 活性 濃 度 を検定 し

た.

また,対 照実験 として,正 常 体温下 で担 癌家兎に

5-FUを 投 与 し, 45分 後 の脳 内 移植Vx2腫 瘍組織

内の活性濃度 を検定 し比較 した.

Table 1 Method of Bioassay

Staphyloccus aureus, 209 P

Thin Plate-Cup method (agar pH 7.3-7.4)

Homogenates and dilution of material,

in 0.01 M phosphate buffered saline (pH 7.2)

Pre-incubation, for 24 hours at 5•Ž

Incubation, for 18 hours at 37•Ž

Minimum inhibitory concentration, 0.05ƒÊg/ml

TRONICS Co., Ltd.)を 挿 入 した.硬 膜 ・頭皮 の

乾燥 を防 ぐために,生 理 的食塩水 を浸 した薄い綿布

を置 き,さ らにその上 か ら中央 に径約1cmの 小 孔

をあけた市販 のアル ミ〓 を被せて,不 要部分へ の照

射 によ る加温 を防 いだ. microwaveの アンテナ(直

径7cm,パ ラボラ)と脳 表 との距離 は2~3cmと

し,サー ミスターの示す温度 を指標 としてmicrowave

の出力 を調節 して,常 に脳表の温度が37℃ とな るよ

うにした.処置 中は低体温家兎 の呼吸状態 に注意 し,

また動物の体動 後よる照射軸 ・距離のずれは,そ の

都度補正 した.

4. Bioassay法 に よ る抗 癌 剤 の定 量

抗 癌剤5-FUの 定 量 は,こ の 薬剤 の もつ 強 い抗 菌

性 を利 用 したBioassay法(生 物 学 的 検 定 法)を 用 い

た. Bioassay法 に は稀 釈 法,拡 散 法,混 濁 法 そ の 他

が あ るが13, 14, 15),一本 実 験 で は測 定 感 度 の 高 い宮 村 らの

考 案 した薄 層 カ ッ プ法(Thin Plate-Cup Method)16)

に よった.試 験 菌 は黄 色 ブ ドウ球 菌Staphylcoccus

aureus 209 P株,培 地 は感 性 デ ィス ク用 培地(ニ ッ

ス イ),カ ップは外 径8.0±0.1mm ,内 径6.0±0.1mm,

高 さ10.0±0.1mmの ス テ ン レス 製(永 井 商 会)を 用

い た.試 料 は血 液 の場 合, 3000r. p. m .で10分 間 遠

50  山 田 修

心分 離(遠 心 機K80型,久 保 田 製作 所)し,そ の 上 澄

液 を,ま た組 織 の 場 合,重 量(wet tissue)を 正 確 に

量 り,そ の1gに 対 し0.01 M PBS(pH 7.2)5mlを

加 えて ホモ ジ ナ イズ(西 ドイツPOLYTRON社 製,

Potter-Elvehjem型 を 使 用)し,そ の ホ モ ジネ ー ト

を100℃, 5分 間 加 温 処 理 し,冷 却 後3000r. p. m.で

10分 間 遠 心 分 離 を行 な い上 澄 液 を試 料 液 と した.試

料 お よ び標 準 薬 剤 溶 液 を前 記 ス テ ン レス カ ッ プ後 注

入 し, 5℃ に24時 間静 置 後, 37℃ に18時 間incubate

し,発 現 し た細 菌 発 育 阻止 円 の直 径 を読 み,標 準 曲

線 よ り5-FUの 濃 度 を も とめ たが,こ の 方 法 で の 最

少 測 定 可 能 濃 度 は0.05μg/mlで あ っ た(Table 1).

ま た全 例 に つ いて5-FU投 与 前 後採 血 を行 な い,投

与 前 の血 液 に対 して5-FUの 活 性 濃 度 を検 し,検 定

以前 の 抗 生 物 質 投 与 な ど131に よ る抗 癌 剤 の 抗 菌 作 用

以 外 のartifactの な き こ とを確 認 した.

Table 2 Tissue Level of 5-Fluorouracil in Rabbit bearing Vx2 Subcutaneous Tumors

D. H. cases

non-D. H. cases (normothermia)

* 1 D . H. -treated tumors* 2 hypothermic tumors

* 3 normothermic tumors

1. Differential Hypothermia ‰º‚É‚¨‚¯‚éVx2

皮下腫瘍の抗癌剤 組織 内活性濃度 につ いて(実 験1

の結果)

家兎の両側の耳介 部 に移 植 したVx2腫 瘍 の うち

1側 のみにD. H.処 置 を行ない, D. H.処 置 開始45

分後 の5-FUの 組織内お よび血中の活 性濃度 と,対

照 とした正常 温時 の5-FU投 与45分 後 の活性 濃度 を

比較 した.そ の結果 はTable2の 如 くで あ り,ま ず

腫瘍 内では どの場 合 も比較 的高 い活性濃度 を呈 し,

なかで もD. H.処 置下 の正常体 温処置側 の腫 瘍で は

22.1μg/gと 最 も高値 とな り,単 な る低 体 温 の まま

とな ってい る反対 側 の腫瘍11.4μg/gの 約2倍,正

常 体温時の腫瘍6.8μg/gの 約3倍 となって いた.臓

器別 にみ ると,腎 ・肺 ・肝 ・脳 の順 に5-FUの 濃度

は低値 となるが,こ れ ら臓器 にあ っては低体温時 と

正常体温時 の活性濃度 の間 に有 意差 はみ られず,血

中の5-FU活 性濃度 は正常体温 時 に比 し,低 体 温時

で きわめて高値 であ った.

2. 正常 体温 時および低 体温時の抗 癌剤 の血 中活

性 濃度について(実 験2の 結果)

Ⅲ. 実 験 結 果

家 兎Vx 2移 植 腫 瘍 にお よ ぼ すDifferential Hypothermiaの 影 響  51

Table 3 Blood Level of 5-Fluorouracil in Rabbit

Hypothermia (ƒÊg/ml)

Normothermia (ƒÊg/ml)

Table 4 Tissue Level of 5-Fluorouracil in Rabbit bearing Vx2 Tumor transplanted into

the Brain

D. H. cases

non-D. H. cases

低 体 温時 お よび正 常体 温時 に5-FU10mg/kgを

静脈内投与 し,投 与後30分, 1時 間, 2時 間, 3時

間, 4時 間 に採血 し, Bioassay法 後よ り血 中活性濃

度 の 検 定 を行 な った.結 果 はTable 3の 如 くで あ り,

全 身23~24℃ の 低 体 温 下 で は, 30分 値15.05μg/ml,

1時 間 値10.40μg/ml, 2時 間 値4.16μg/mlと 比 較

52  山 田 修

的高 活性値 が持続 するに反 し,正 常体温時 では投与

後30分 値 ですでに5.58μg/mlと 低値 とな り, 1時 間

値0.52μg/ml, 2時 間値0.20μg/mlで あ り,低 体温

時 にあっては, 5-FU投 与 後比較的長時間)血 中活

性 濃度 は高値 である との結果 を えた.

3. Differential Hypothermia下 におけるVx2

脳 内移植腫瘍 の抗癌剤 組織内活 性濃度 について(実

験3の 結果)

Vx2脳 内移植腫 瘍 に対 してmicrowaveを 用いて

D. H.処 置 を行 った場合,脳 内移植 腫瘍 内には19.64

μg/gと 高 活 性 濃度が え られた(Table4).正 常体

温の場合で も脳 内移 植腫 瘍 の活性濃度 は6.37μg/g

と比較的高値で あったが,正 常 の脳組織 は皮下移植

腫瘍の実験にみ られた と同様に,正 常体温時,低 体

温 時 と も低活性値を示 し,ま た低体温時 の血 中濃度

が比 較的高値 を示す ことも実験1, 2と 同 じ結果で

ある.Ⅳ

. 考 按

抗 癌剤5-FUは1957年, Duschinsky17)ら によ り

antipyrimidine剤 と して合成 され, Heidelberger18-21)らによ

って抗腫瘍効果 を有す ることが報告 され

た薬剤で,そ の作用機序 はformate-14Cお よびura

cil-2-14cのDNAの チ ミジン リン酸 へ の取 込 みを

阻害す ることか ら,DNAの 生 合 成 を阻 害す るため

と広 く考 えられてい る22-25).

家兎Vx2移 植腫 瘍 に対 し, 5-FUが ある程 度有

効 な抗腫 瘍作用 を有す ることは第1編 の実験 後て,

5-FUを 静脈 内投 与 した群 で, D. H.処 置側のみな

らず,反 対側 の腫瘍 に も腫瘍の縮少 ・消失がみ られ

たこ とによ り,す でに確 認 され た.本 編ではD. H.

処 置 に抗 癌剤 を併 用す る利点 を検討す るた め後,

5-FUの 濃度 を示 標 に してD. H.処 置下 に お ける

5-FUの 腫 瘍 内活性濃度 を定量 的後測定 し,正 常体

温時 との比較 を行な った.

これまでに,腫 瘍局所 の加温 によ り抗癌剤の腫瘍

組織 内への取込 みが増加す るこ とは広 く知 られてお

り, Shingleton7)は,筋 肉内 に移植 したVx2腫 瘍 に

対 して14C-nitrogenmustardを 全 身投与 し,腫 瘍

局所の加温 ・冷却 を行ない, 41~43℃ の局所加温の

場合,腫 瘍組織内の放射 活性濃度 は周囲組織 の40~

50倍 で あ り, 30~32℃ の局 所冷却 の場合 は2~4倍

と低値 であ った と報告 し,岡田26)・鈴木znは ラッ トの

吉田肉腫の皮下移植 腫瘍に抗 癌 剤triethylene thio

phosphoramideお よびnitrogen mustardを 全 身

投与 し,腫 瘍局所 を加温 ・冷却 してゆ けば,正 常温

よ り温度上昇 とと もに腫瘍へ の抗 癌剤 の取込 みは増

加 し, 42℃ で最 も上昇す るが,さ らにそれ以上 の温

度上昇 では取込み は減少 し,ま た冷却 の場合 も減少

を きたす と述 ベ て い る. invitroで も,家 兎Vx2

腫 瘍や ラッ トWalker carcinosarcoma 256に 種々

の抗癌剤 を加 えて,温 度 を上 昇 させ てい くと20~40

℃間では,温 度上昇 に比例 して抗癌剤 の取込 みが増

加 し再 移 植 能が低 下す るとのMahaley3, 4)の 報告 が

あ る.

著者 の家兎Vx2皮 下 移植 腫瘍 を用 いた実験結果

(Table2)で も,正 常体温時 の5-FU腫 瘍内活性濃

度 が6.8μg/gで あ るに比 し,全 身低体 温下に局所の

み加温 されているD. H.処 置側の腫瘍 の活性 濃度は

22.1μg/gと きわめて高値 を示 してい る.こ の場合

腫瘍の温度 はnormothermia in generalized hypo

thermiaで あってhyperthermiaと は な っていない

点に興味が もたれ る.

ここで問 題 とな るのは, Bioassay法 とい う定量

法を用いて活性濃度 を測定 してい ること,お よび,

試料の組 織に対 して血 液のcontaminationを さけ ら

れなか った ことの2点 であろ う.

まず抗癌剤 の微量定量法 後は,著 者 はBioasay法

を用いたが,他 に放射性 同位元素 でlabelし た抗癌

剤 を用 いそのradioactivityに よる方 法25)も広 く行

なわれて いる. 5-FUの 如 く,強 い抗 菌 性 をもっ薬

剤 の場合 にはこのBioassay法(生 物 学 的検定 法)は

比較的鋭敏で,生 体 内の各種の成分 によ る妨害 を受

けない ことや同位 元素 を用い たごと く,異 化お よび

同化産物が陽性 にで ることはないなどの利点13, 14)を

有 して いる.

Bioassay法 によ る組織 中 お よび血 中の抗癌剤 濃

度 の測 定値 とradioactivityに よ る方法 の測定 値は

大 い後異な ることが広 く知 られてい る.藤 田 ら川は

ratに3H-5-FUを 静脈 内 に投与 し,1時 間後 の 脳

組 織中の5-FU濃 度 を同時にBioassay法 とradio

activityに よ る方法で検 してい るが ,こ の場合,活

性 のか た ちで 取込 まれた5-FUは わずか に5 .83%

で,残 りはradioactivityを 有 す るが,抗 菌 作 用 も

抗腫瘍作用 も有 さない5-FUの 不 活性 の異化 産物で

あった と報告 してお り,神 野 ら29)もDDN系 マ ウス

のmethylcho1anthrene誘 発脳腫瘍 を用いて3H -Bl-

eomycinの 濃度 を同時に2つ の方法 で測 定 し,脳 腫

瘍 は肝 ・脾 に比 して不活性化 されに くい としなが ら

も,なおradioactivityに よ る方 法 では15.3μg/gで

家 兎Vx2移 植 腫 瘍 にお よ ぼ すDifferential Hypothermiaの 影 響  53

あ るに比 し, Bioassay法 では7.24μg/gで あった と

報告 してい る.

つ いで,血 液のcontaminationの 問 題 で あるが,

採取 した臓器 ・腫瘍 の組織 中よ り血液 を排除 して,

よ り正確 に組織“ 内"の 薬剤の濃度 を測定す るため

に,試 料採取 時の脱血15, 30)・灌流12, 28)などが行 なわ

れてい る.著 者の実験 は藤 田 ら13)の方法 によ ってお

り,脱 血 ・灌流を行 な って いないが, PBSに て組

織片を洗滌 し組織 表面の血 液の付着を極力除去す る

よ うに した.こ れ は5-FUの よ うに水 溶性の薬剤の

場合は脱血 ・灌流によ る組織か ら血管内への薬剤の

流出が考 えられ,ま た,薬 剤投与後試料 採取 までの

時間が短 か く,こ れ ら処理 後要す る時間 も無視 でき

ぬか らであ る.こ の場合,血 液 を混 じた組織 内濃度

は真の組織内濃度 と血中濃度 との総和であ るか ら,

測定 された組織内濃度が血 中濃度 よ り高い時,真 の

細胞内に取込 まれた濃度 は測定値 よ り高 く,血 中濃

度よ り低い時,真 の濃度 は測定値 よ りさらに低 いこ

とがい える.ま た真の濃度 と測定値の差 は血 液の混

入の程度に よ り大 とな るが,重 量(wet tissue)に て

50%を 越 えぬか ぎ り測定値 と血中濃度 との差以上 に

はな らない.

この点を考慮すれば,家 兎Vx2皮 下移 植 腫瘍 を

用いた実験結果はD. H.処 置の なされた腫瘍 におい

て,正 常体温時や低体温 時に比較 して,実 際には さ

ら後高濃度 とな ってい ると考 え られ る.

また,腎 ・肺 ・肝 ・脳 の各臓器 の活性濃度 には正

常体 温時,低 体 温時の間に有意 の差 はな く,ラ ッ ト

を用いて, 5-FUの 活 性 濃度 を検 した石 山 ら30)の報

告 で も,組 織内移 行は臓 器によ って差異はあ るもの

の, 5~10分 で上 昇 し, 30分 後 までは比較的急速 後

低下す るが,そ の後,減 少の速度 は緩徐 とな ってい

る.

これに対 して,血 中活性濃度 の方 は5-FU静 脈内

投与 後急速 に低下 して,正 常体温時では1時 間後 に

はす でに0.52μg/mlと 低値であるに対 し,低 体温時

では4時 間後 もなお1.23μg/mlと 比較的高濃度 を保

ってい る.石 山 ら30)は尿 中の活性濃度が30分 後まで

は上昇 してゆ き, 30分 頃にて最高 に達 したの ち,減

少 してゆ くが6時 間後で も,低 濃度 なが ら検定可能

であ り,血 中活性の消失 が必ず しも尿中への排泄 を

意 味 しない ことを述べ てい る.

Popovic11), Masironi10)ら は, D. H.処 置 による抗

癌剤 の腫 瘍 内 およ び血 中の活性濃度 を14Cでlabe1

した5-FUを 用 いて検索 し,処 置側の正常体温腫瘍

は,反 対側 非処置 の低体温腫 瘍 に比 して高濃度 を呈

し,そ の後低下 して くるが,復 温時 後は再度 上昇す

ると報告 してお り,ま た血 中濃度に関 して も,正 常

体温投与時 の7~8倍 と高濃度 であ った と報告 して

い る.

全身 低体 温 下 の抗癌剤 投与 に関 して, Woodhall

ら1,2)は,低体温時 の抗癌剤投与の場合,低 体温によ

る代謝の減退 と循環血 液量の低下 に ともな う主要臓

器,こ とに骨髄細胞へ の薬剤の漏出の減少が み られ,

副 作用を軽減 させ る利点があ ると述べ てい る.

さて,脳 組織の場合,投 与 された薬剤 の分布 には,

脳血液関門 として知 られ る他 の組織 と異った問題点

が あ り,脳 腫瘍 の治療 としてD. H.処 置 を考 える場

合 には,皮 下腫瘍での実験結果 をその まま当てはめ

て考 えるわけにはいかない またD. H.処 置 の方 法

も耳介部皮下腫瘍の時のよ うに温水 を用いた り,温

水 を灌流する方法31卿341では,脳 のよ う後非常 に循環

血液量の多い組織 においては,表 面 よ り深部 への熱

伝達中に冷却 されて しまい,深 部 にまで充分 な加温

効果 を あげ ることがで きない95~37).一方microwave

(極超短波)で は照射 されたエネルギーが水分 子を振

動 させ,そ の際 に分子 同志が摩擦 を起 こして熱を発

生す ると考 えられてお り,生 体 の比 較的深部 にまで

加 温効 果が及ぶ98,39).なお,本 実 験 に使 用 した2.45

GHzのmicrowaveで は,熱 以外のエ ネルギ ーには

変 え られない とされてお り40, 41)また家兎正常脳 に対

す る本実験 と同 じ条件下 の照射 では,何 ら神経学的

・形態学的な不可逆性変化 は認 め られていない42)

.菅12)はイ ヌの脳 にcold induced edemaを 作 成

し, RISAお よびsodium fluoresceinを 用 いて,

脳組織への取込みを検索 し,正 常脳 のみな らず,脳

血液関門 の障害 されてい るcold induced edemaの

部 において も, D. H.処 置 によ って血 管 壁 の透過性

が亢進 し,取 込 みの増加がみ られた と報告 し,近 藤

ら43)も,脳 温 と血液温 を25℃ 以上の高温,25℃ 以下

の低温 に各 々変化 させ,そ れ らの組合せ と脳血管 壁

の透過性 につ き検討 してみ る と,脳 高温,血 液低 温

の条件下 で最 も脳血管壁の透過性 が亢進 していた と

報告 してい る.

本実験 においては,先 に述べ た ごと く,真 に腫瘍

細 胞内 とは言 えるか どうか判 らないのだが,脳 内移

植 腫瘍の部 においてD. H.処 置下 で は抗癌剤 の高 い

活性濃度が えられてお り,皮 下移植腫瘍 の場合 と同

様 後D. H.処 置 に抗癌剤 を併 用すれ ばよ り有効 な腫

瘍抑制効果が期待で きる もの と考 え られ る.

54  山 田 修

以上の ことよ り, D. H.処 置 に抗癌 剤 を併用すれ

ば,

① D. H.処 置 によ り抗癌剤の腫瘍内への取込みが

亢 ま り, D. H.処 置 その ものの腫瘍抑制効果 と抗癌

剤 の腫瘍抑制効果 が相乗 的後働 くものと考えられる.

② 薬剤の分解 ・排泄が遅延 きれ るため,持 続的 に

血 中濃度 を亢め ることがで きる.

③ 全身 を低体温下 にお くことによ り,正 常諸臓器

への副作 用の軽減 を図ることがで きる.

な どの利点 があ り,臨 床応用に際 して は抗癌剤 の

種類,加 温方法,温 度条件,時 間,適 応症例 な ど今

後 さらに検討すべ き問題はあ るが,脳 腫瘍の補助療

法 として,抗 癌剤併用 によるD. H.療 法の有効性 が

示唆 され る.

Ⅴ. 結 論

まず家兎Vx2両 側耳介 部皮下移植腫瘍 に対 して,

一側の腫瘍 にD . H.処 置 を行ない,全 身静脈 内投与

した抗癌剤5-FUの 腫瘍 ・血液 ・臓器 内の活性濃度

をBioassay法 に よ り検 定 し,正 常体温下 にお ける

活性 濃度 と比較 した.そ の結果,

① 腫瘍組織内は比較 的活性濃度が高いが,な かで

も, D. H.処 置腫瘍で最 も高 い活性濃度が えられた.

② 臓 器別にみ ると腎 ・肺 ・肝 ・脳の順 に活性濃度

は低下す るが,こ れ らは正常体温時 と低 体温時の間

に差 をみなか った.

③ 正常体温時 に比 し,低 体温時 では血中活性濃度

が きわめて高か った.

次いで,正 常家兎 を用いて,抗 癌剤 投与後 の血中

活性 濃度 の時 間的推移 につ き,低 体温時 と正 常体温

時 を比較 して,

④ 低体温時 では,比 較的高活性 濃度 が持続す る こ

とを認 めた.

さ らに,脳 内移 植腫瘍 を作成 し, microwave加 温

によ るD. H.処 置 を行 ない,同 様 に正常 体温 下の場

合 と比較 した結果,

⑤ 脳内移植腫瘍 後おいて も, D. H.処 置 によ って

高い活性 濃度 がえ られ,脳 腫瘍 治療 に対 する抗 癌剤

とD. H.処 置併用療法の有効性が示 唆 され る との結

論 を えた.

稿を終 るに臨み)御 指導,御 校閲を賜わ りました恩師

西本 詮教授に深甚の謝意を捧げるととも後,本 研究に御

指導)御 助言を頂いた当教室の田渕和雄博士はじめ諸先

輩,終 始御援助を頂いた第2研 究室の諸兄,小 郷 ・脇本

両技術員,移 植腫蕩を提供 くださった愛知県がんセンタ

ー,薬 剤 ・機械の使用に便宜をはかって くださった協和

醸 酵 ・O. G.技 研の方々に感謝の意 を表 します.

本論文 の要旨は,第73回 日本外科学会総会(昭 和48年

・京都)に て発表 した.な お本研究は厚生省癌研究助成

金による.

参 考 文 献

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家 兎Vx2移 植 腫瘍 後 お よ ぼすDifferential Hypothermiaの 影響  55

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家兎Vx2移 植 腫 瘍 にお よ ぼ すDifferential Hypothermiaの 影 響  57

Influence of differential hypothermia on Vx2 tumor

transplanted in rabbit

Part 2. Tissue levels of anti-tumor agent during differential hypothermia

by

Osamu YAMADA

Department of Neurological Surgery, Okayama University Medical School

(Director: Prof. Akira Nishimoto)

The effect of differential hypothermia (D. H.) combined with anti-tumor agent, 5-fluoro

uracil (5-FU), was described in the previous report (Part 1).

In this study, the tissue levels of 5-FU in the tumor and other organs during D. H. treatment

were examined by bioassay method.

At first, using Vx2 tumors transplanted into the bilateral ears of the rabbits, D. H. treatment

was performed with the same procedures as Part 1. The tissue level of 5-FU in the tumors,

detected 45 minutes after administration, was the highest in the D. H.-treated tumors (22.1ƒÊg/g),

as compared with contra-lateral, hypothermic tumors (11.4,ƒÊg/g) and non-treated, normothermic

tumors (6.8ƒÊg/g). The tissue level of 5-FU in other organs such as lung, kidney, skin, liver

and brain was low in both hypothermic and normothermic conditions. But blood level of 5-FU

was kept relatively high during generalized hypothermia (1hr.; 150ƒÊg/ml, 2hrs.; 10.4ƒÊg/ml),

as compared with normothermia (1hr.; 5.5ƒÊg/ml, 2hrs.; 0.5,ug/ml).

The author further investigated that the tissue level of 5-FU in the brain tumors (Vx2 tumors

transplanted into the brain of rabbit) was affected with D. H. treatment. In this experiment,

the tumors were kept normothermic by irradiation of 2.45 GHz microwave under general body

coiling. The D. H. treated brain tumors revealed higher level of 5-FU (19.6ƒÊg/g) than the non

treated brain tumors (6.4ƒÊg/g).