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2学期が始まりました。10月は「国際学校図書館月間」や「新聞週間」、
「文字 活字文化の日」、11月は「文化の日」と「読書週間」・ (文化の日を
中心とする2週間)などがあります。このように、2学期は子どもと本に関
する記念日がたくさんあります。
イギリスの児童文学作家のジョーン エイキンは日本の読者へ次のように・メッセージを送っています。「作品を楽しんでください。それだけ」(『しずくの首飾り』訳者あとがき
より
ジョーン エイキン・ /作、猪熊葉子/訳、岩波書店)シンプルですが核心をつく言葉だと思いました。 学校では、学校図書館担当者が中心となり全教職員でさまざまな機会を活用して、子どもたちが本
や読書を楽しめるように、取り組んでいきたいですね。
学校図書館活用教育の推進にあたり、年間指導計画をもとにしたカリキュラム マネジメントの方法・を探り、2学期以降の取組のヒントを得ることをねらいとし、研修会を開催しました。
この研修は司書教諭(学校図書館担当教員)と学校司書がペアで研修を受け、一層の協働を図るため
に研鑽を積む機会となっています。管理職の参加もあり、計94人による研修会となりました。
研修内容
◍ 講義Ⅰ「学校図書館活用教育の推進」講師:島根県立図書館(兼)島根県教育庁教育指導課 高麗美保指導主事
高麗指導主事から新学習指導要領より学校図書館に関わる事項
について話していただきました。「学校図書館を計画的に利用し、
その機能の活用を図り、児童の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かす」と学習指導要領の総則に示されている
が、実際にどのようなことを意識し、どのように利活用していけ
ばいいのかを、各教科ごとの学習指導要領からピックアップし、
説明していただきました。また、利活用の促進のためには、学校
図書館の館長である校長のリーダシップのもと、組織的に取り組
んでいくことや司書教諭や学校司書の資質能力の向上、学校図書
館資料の充実など、推進体制や環境整備の面で努力していく必要があることも伝えていただきました。
講義の後半は、島根県や松江市の学校図書館に関する実態について、「子ども読書活動推進事業につ
いてのアンケート」や「学力調査」の集計結果より、成果と課題について説明していただきました。
松江市学校図書館支援センターだより 2019.8.30
RAINBOW NO.85
松江市教育委員会学校教育課 松江市学校図書館支援センター TEL:55-5073 FAX:55-5251 http://www1.city.matsue.shimane.jp/k-b-k/gakkou/
令和元年度 学校図書館担当者(司書教諭)研修を行いました 7月31日(水) 9:30~16:00 於:松江市民活動センター
高麗指導主事の講義の様子
1 松江市学校図書館支援センター
自校の状況を分析し、改善に向けてヒントを得ることができたのではないでしょうか。
◍ 講義Ⅱ「資質 能力を育てる学校図書館活用教育のポイント ~「探究」に注目して~」・◍ 演習 「年間計画(単元一覧)を活用したカリキュラム マネジメントの取り組み方」・
講師:帝京大学 教育学部 鎌田和宏教授鎌田教授はこれまで長年にわたり、島根県や松江市の学校図書館活用教育について指導していただいています。松江市においては小中一貫基本カリキュラム「学び方指導体系表」の作成や改訂の際にも指導助言をしていただきました。
鎌田教授からは新学習指導要領が目指す学力に向けて、学校図書館が担う役割について講義をして
いただきました。
昨今、言葉や文書の意味を理解することが苦手な子や、教科
書を読めない子が増えていることを課題にあげ、生き方を育て
る読書につなげていくために、学校図書館担当者ができること
は何か、事例を交えて話していただきました。まず、先生方に
本を紹介したり、読んでもらうように働きかけたりすることや
先生を介して子どもたちに本を手渡すことが有効であるという
ことを教えていただきました。
また、学習の基礎となる言語能力や情報活用能力、問題発見 解決能力を各教科等が連携して横断・的に系統的に育てるために、学校図書館の活用は重要性を増していることを話していただきました。
続いて情報リテラシーを育てるために、教科横断的
視点からのカリキュラム マネジメントについて、演・習を行いました。「小学3年生 年間指導計画(例題
用)」と「自教科から考えるカリキュラム マネジメ・ント構想シート」をもとに、教科間で関連のある単元
同士を線でつないだり、単元名を記入したりしました。
この演習では単元間の関連や発展を想定することがで
き、授業の設計や改善に役立つカリキュラム マネジ・メントの方法を体験することができました。鎌田教授
から、このようにカリキュラム マネジメントを行っ・ていくことで、授業者が指導しやすくなることはもち
ろんだが、子どもたちも学びやすくなるということ
を伝えていただきました。
◍ 情報交換学校図書館の運営や司書教諭と学校司書が協働するための工夫、教職員とコミュニケーションを
とるための工夫について情報交換をしました。4~5校が1グループになり、自校の様子を持参資
料をもとにお互いに説明したり、質問に答えたりしました。
丸一日という長時間の研修でしたが、担当者それぞれの立場でまた司書教諭と学校司書がペアで学
校図書館運営や活用教育についての方向性を考える機会となりました。
◍ 参加者アンケートより・カリキュラム マネジメントについては、一学校図書館担当者だけでは難しいが、「学校図書館がキース・
テーション」と言われて納得した。各教科の横のつながりに少しでも関わっていけるようにしたいと思う。・「自教科から考えるカリキュラム マネジメント構想シート」を各教科の先生方に書いてもらおうと思う・ 。
鎌田和宏教授の講義の様子
演習の様子
2 松江市学校図書館支援センター
・自分の教科の単元と他教科の授業との関連をつかんでおくことで、教科横断的な視点をもつことができたり、生徒に興味関心のある本を紹介したりできる。他教科の教科書をぜひ見ておこうと思った。
小中一貫教育の視点をもって学校図書館活用教育を行うために、中学校区(5~8校)を1ブロックとして、計8ブロックで2種類(①と②)の研修を行っています。 研修①は会場校の図書館見学や学校図書館運営、学習支援、読書支援について、各ブロックで研修内容を決め、関連する資料を持ち寄り意見交換をしています。
ブロック 開催月日 会 場 研 修 内 容
A1 7月 23日 島根中学校・購入図書の紹介(学習に役立った図書 読みもの)・・必読図書の内容やすすめ方について・本の紹介の仕方について(展示やブックトーク等)
A2 7月 25日 恵曇小学校 ・地域資料やパンフレット等の整理保存について・調べ学習で役立った本やパンフレット等についての情報交換
B1 8月 23日 川津小学校 ・川津小学校図書館見学と意見交換・読む力を育てるための読書支援や読書活動について
B2 7月 25日 美保関中学校・授業での学校図書館活用と学校司書の役割について・読書推進活動の方法について・図書館だよりの内容について
C1 7月 29日 忌部小学校・忌部小学校図書館見学と意見交換・学習で活用された図書館資料で役立った資料の紹介・1学期の取組紹介
C2 8月 1日 宍道小学校 ・読書支援について 講義、演習(アニマシオン)、各校の取組紹介、情報交換
D1 7月 22日 八雲中学校 ・八雲中学校図書館見学と意見交換・今年度、力を入れたい取組について
D2 8月 21日 揖屋小学校 ・おすすめの本の紹介(学習用 読みもの)・・図書の展示の工夫について(ポップやコーナー作りなど)
●学校図書館運営組織の設置状況 ●学校図書館運営組織構成員の所属割合
学校図書館に係るブロック別研修①の報告
※ブロック別研修②は授業公開を行っており、各ブロックにおいて9月~1月に実施予定です。
令和元年度 松江市の各校学校図書館運営組織に関する状況
設置していないまたは 管理職が、所属していない
12%
管理職が所属する運営組織を設置して
いる88%
校長主幹教諭研究主任司書教諭学校司書事務職員
外部
0 20 40 60 80 10084
84
22
20
45
4
100
39
100
10
20
29
0
※上記と右記のグラフは、松江市「令和元年度学校図書館活用教育推進に係る実態調査」集計結果より
文部科学省が示している学校図書館ガイドラインには、「学校は必要に応じて学校図書館に関する校内組織等を設けて、学校図書館の円滑な運営を図るように努めることが望ましい。」と記してあります。松江市は校長のリーダーシップのもと運営組織を中心に学校図書館の充実や活用が図られることを望んでいます。
%
研修後に、「学校図書館の担当者としてステップアップする機会となった。」、「他校の取組が参考になった。子どもたちにいろいろな本と出会わせるために、自校でも味見読書をしてみようと司書教諭と相談している。」など、学校司書業務報告書にて報告がありました。
アニマシオンの演習の様子
3 松江市学校図書館支援センター
●学習支援に関すること
・中学2年生の国語「生物が記録する科学バイオロギングの可能性」の学習では、2段階に分けて資料を提供した。まず、個人で調べる時間には関連する多様な資料を提供し、生徒が資料を活用して課題設定から情報収集までを行った。その後、個人で調べたことを集約してグループで調べる時間には、各グループのテーマに合った資料を提供した。授業のめあてに合った資料であったか、授業に合った提供方法であったかを授業を見させてもらい確認することができた。(41)
・中学3年生の国語「月の起源を探る」の学習は科学的な要素もあり、今まで子どもたちが難しく感じていた単元だったようだ。今回は最初の時間に図鑑などから月に関する絵や図を紹介した。授業者から図書資料を活用することで子どもたちは楽しく授業ができ、また、理解が深まったようだと報告があった。(48)
●読書支援に関すること・休み時間に来館する子どもたちとできるだけ会話するように心がけている。
異動して2か月がたち、最近は「なにかおもしろい本はないですか。」と聞いてくる児童が増えてきた。どんな本が読みたいか希望を聞いてその子に合うような本を紹介している。他校の学校司書から「図書の時間に貸出をする際に、何冊か本の紹介をしている。」と聞いた。ブックトークのようにまとまった時間をとるのは調整が難しいが、簡単な紹介なら短時間でもできるので、工夫をしながら、普段手にとらないような本や読んでほしい本の紹介をしていきたい。 (32)
・中学2年生の国語の時間に「味見読書」を行った。0類から9類までの本を4冊ずつ準備し、4人班で全ての類の本を読むようにした。初めは取りかかりにくい生徒もいたが、実際に読み始めると1冊3分の設定時間を過ぎても夢中になって読み続ける生徒もいた。「これおもしろい!」と友だちに教える姿も見られた。普段はなかなか手に取らない本にふれることができる機会となり、読書意欲を高める良い取組となった。 (36)
・学校図書館用貸出資料について消費者教育の一環として『キャリア教育支援ガイド お仕事ナビ』シリーズ(理論社 /出版)や『世界の文化と衣食住』シリーズ(鈴木佑司/監修、小峰書店/出版)等を追加しました。今年度の追加分は、松江市HP上のリストには未掲載ですが、貸出可能ですのでご活用ください。詳細につきましては配本室までご連絡ください。
・セット本について 年鑑や百科事典など、すでに2学期の利用予約を多くの学校から受けています。これから予約される学校は、利用日程の調整が必要
学校司書の活動や気づき 令和元年5月6月の学校司書業務報告書より (各校の活動について、学校間で情報交換ができるように校名を学校(ボックス)番号で文末に表記していま
す。)
※校内その他:情報教育主任、国語科教員司書教諭有資格者、図書館部員学年部代表、人権教育主任
松江市立中央図書館配本室より (配本室には学校図書館支援センタースタッフが常駐し、各校からの資料依頼やレファレンスに対応していま
す。)
4 松江市学校図書館支援センター
になる可能性がありますので、貸出希望の際は一度お問い合わせください。
連絡先:松江市立中央図書館 配本室 ℡ 0852-27-3311 (担当:沼田)
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