week1 旅館経営

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旅館経営教室 -生産性改革で収益力の強化- 内藤 耕 一般社団法人サービス産業革新推進機構 1

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旅館経営教室 -生産性改革で収益力の強化-

内藤 耕 一般社団法人サービス産業革新推進機構

1

Page 2: Week1 旅館経営

第1週 「サービス生産管理」の方法

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1. 旅館・ホテル経営の科学的・工学的アプローチ

2. 生産性とは現場の「稼ぐ力」

3. 生産性とは「働き方」の改革

4. 生産性改革の基本(整理・整頓(5S)、標準化、3定、機械化、IT化)

5. お客様に求められたとき必要なサービスを提供(リードタイム)

6. 無駄や廃棄を削減し、サービス品質を向上(小ロット化)

7. 最小のパワーで最大のパフォーマンス(マルチ・スキル)

8. 低稼働時に最小のパワーで現場を運営(マルチ・プロセス)

9. 稼働変動を抑え、生産性を上げる方法(平準化)

10. 旅館の生産性革新の基本原則(リアルタイム・サービス法)

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第2週 「現場スタッフの労務管理と パフォーマンス評価」の方法

1. 旅館のビジネスモデルの変遷と厳しい経営実態

2. 会社と社員の約束ごとである労働契約(就業規則)

3. 労務管理の基本(現場の実態の合った就業規則の導入)

4. 社員の現場での働き方の基本ルール(服務規律)

5. 会社が守るべき基本ルール(労働時間管理)

6. お客様の動きに合わせた社員の働き方の設計(シフト管理)

7. 管理会計で現場パフォーマンスを評価

8. 社員の稼ぐ力を評価(労働生産性・人時生産性)

9. 施設や設備の稼ぐ力を評価(総資産回転率)

10. 旅館の生産性改革の現場実務

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第1週・第1回 旅館・ホテル経営の

科学的・工学的アプローチ

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Page 5: Week1 旅館経営

経験と勘

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(向瀧、会津東山温泉) 6

Page 7: Week1 旅館経営

経験と勘

科学と工学

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Page 8: Week1 旅館経営

【科学的とは】

客観性と再現性

理論と学問

【工学的とは】

現場コントロール

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Page 9: Week1 旅館経営

長い修業

計画的な人材育成

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第1週・第2回 生産性とは現場の「稼ぐ力」

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サービス産業のジレンマ

顧客満足 vs 作業効率

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Page 12: Week1 旅館経営

生産性とは

アウトプット

インプット

効率性とは

インプット

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生産性とは

人、施設・設備、組織の能力の評価

効率化とは

人、施設・設備、組織の投入量の削減

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生産性が上がるということは、

人や施設、組織の稼ぐ力が向上

顧客満足と作業効率の二兎追求

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Page 15: Week1 旅館経営

第1週・第3回 生産性とは「働き方」の改革

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Page 16: Week1 旅館経営

生産性が向上すると、

より少ないスタッフ数で同じ客数を

同じスタッフ数でより多くの客数を

より少ないスタッフ数でより多くの客数を

受け入れられるようになる。

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スタッフ数を単に減らす効率化は、

過重労働の強化

人員削減や給与カットへの不安

顧客満足の低下をもたらす

客数を増やす生産性向上は、この時代は困難なだけでなく、追加の設備投資や広告宣伝費等を要する。

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サービス生産性向上するには、

現状のアウトプット(客数)に直結しないロスやムダを削減し、顧客満足を上げる作業を強化していく必要がある。

代表的なロスやムダには、

材料の廃棄ロス

スタッフの手待ち時間

お客様が求めないサービスがある

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(有馬グランドホテル、神戸市) 19

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(一の湯本館、箱根塔之沢温泉) 20

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生産性向上に取り組むということは、

自社のサービスのどこにお客様が魅力を感じていることを理解

そのサービスにロスやムダなく現場のスタッフが専念

顧客満足の向上でアウトプットである客数や売上が増加

することである。

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Page 22: Week1 旅館経営

現場の生産性改革とは、

自社の魅力発見

それに専念できるスタッフの「働き方」の確立

である。

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Page 23: Week1 旅館経営

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第1週・第4回 生産性改革の基本

(整理・整頓(5S)、標準化、3定、機械化、IT化)

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サービス生産性改革の基本

整理・整頓(5S)

標準化(マニュアル化)

3定(定位置・定品・定量)

機械化・IT化

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「整理・整頓(5S) 」とは、

働く環境・条件の維持

異常の検知

のために重要である。

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(向瀧、会津東山温泉)

整理・整頓の前 整理・整頓の後

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Page 27: Week1 旅館経営

(熱川プリンスホテル、伊豆熱川温泉) 27

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「標準化(マニュアル化)」とは、

サービス品質の評価

異常の検知

人材育成

のために重要である。

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(高山グリーンホテル、高山市) 29

Page 30: Week1 旅館経営

(向瀧、会津東山温泉) 30

Page 31: Week1 旅館経営

「3定」とは、何を(定品)、どこに(定位置)、いくつ(定量)を保管することを決めることで、

作業の単純化

在庫の適正化

のために重要である。

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Page 32: Week1 旅館経営

(加賀屋、和倉温泉) 32

Page 33: Week1 旅館経営

「機械化」「IT化」は、作業効率向上とともに

サービス品質の安定

肉体的負担が大きい作業の削減

集中力が続かない単純繰り返し作業の軽減

にとって重要となる。

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(あかん遊久の里 鶴雅、阿寒湖温泉) 34

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(越後湯澤HATAGO井仙、越後湯沢温泉) 35

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(ホテルナトゥールヴァルト富良野、富良野市) 36

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第1週・第5回 お客様に求められたときに

必要なサービスを提供(リードタイム)

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「リードタイム」とは、サービス提供作業の発注・指示から、準備、手待ち時間や運搬時間を含め、全ての作業プロセスが完了するまでの実時間をいう。

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リードタイムを短縮するには、

①スタッフの能力向上

②作業のボトルネック改善

③ ミスやロスの削減

④運搬や保管時間等の短縮

⑤作業の並列化

で実現する。

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在庫を抱えるとリードタイムは短縮するため、在庫リスクを最小にしつつ、リードタイムを最短にしていく作業プロセスの再構築が必要である。

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(湯元舘、おごと温泉) 41

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(スーパーホテル、大阪市) 42

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第1週・第6回 無駄や廃棄を削減し、サービス品質を向上

(小ロット化)

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「小ロット化」とは、段取り時間短縮や小刻み運搬・保管等で、生産原価に基づく最適ロット単位よりも、さらに作業ロットの単位を小さくして作業することをいう。

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(熱川プリンスホテル、伊豆熱川温泉) 45

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【改善前】の 段取り費用

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(定山渓鶴雅リゾートスパ森の謌 、定山渓温泉) 47

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(ホテルナンカイ倉敷、倉敷市)

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(あわらの宿・八木、芦原温泉) 49

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小ロット化で、

手持ちの仕掛品の低減、在庫費用やロスの削減、大量仕入れの回避、需要変動への柔軟な対応、スペースの有効活用、リードタイムの短縮を目指す。

納期の短縮とサービスのバリエーション・アップで、顧客への個別対応でさらなる高付加価値化がよりリアルタイムに実現できるようになる。

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Page 51: Week1 旅館経営

サービス提供

■ ■ ○ ○ ▲ ▲

○ ○ ○ ○ ○ ○ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ■ ■ ■ ■

【大ロット生産】

■ ■

■ ■ ○ ○ ▲ ▲

サービス提供 ■ ■ ○ ○ ▲ ▲

【小ロット生産】 リードタイム短縮

短納期化・仕掛り在庫とロス削減

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Page 52: Week1 旅館経営

第1週・第7回 最小のパワーで最大のパフォーマンス

(マルチ・スキル)

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「マルチ・スキル化(多能工化)」とは、一人のスタッフが、異なる複数の作業を遂行できるスキルを持つことである。

多品種、小ロット生産、細かい作業変動に柔軟に対応しようとすればこれは必要不可欠である。

スタッフの作業訓練だけでなく、整理・整頓(5S)や3定を含めた作業方法の標準化と簡素化が必須である。

スタッフ別にスキルを評価し、それを賃金等の労働条件に反映させ、長期雇用できる仕組みも確立していかなければならない。

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Page 54: Week1 旅館経営

(加賀屋、和倉温泉) 54

Page 55: Week1 旅館経営

55 (網元の宿ろくや、岩井湯元温泉)

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このマルチ・スキル化を進めても、専門のスタッフ以外が投入されることから、個々の作業の効率は下がる。

一方、全ての作業に専門のスタッフを配置しないことから、会社全体の作業効率は改善する。

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第1週・第8回 低稼働時に最小のパワーで

現場を運営(マルチ・プロセス)

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「マルチ・プロセス化」とは、マルチ・スキル化を進め、各プロセスを作業の流れに沿って配置し、一人のスタッフが複数のプロセスを受け持って現場の作業を進めることを言う。

スムーズな流れ作業が実現し、作業プロセス全体を容易に管理でき、サービス内容の変更やミスの発見を速やかにできる。

さらに、リードタイムの短縮化、仕掛り品・在庫の低減、稼働変動対応の柔軟化と少人化の実現等により原価低減が実現する。

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(福一、伊香保温泉) 59

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(一の湯新館、箱根塔之沢温泉) 60

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(向瀧、会津東山温泉) 61

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第1週・第9回 稼働変動を抑え、

生産性を上げる方法(平準化)

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「平準化」とは、季節や日の中の特定の時期に集中する需要や現場の負荷をばらして、それらを均等に配分して作業をできるだけ一定に行うことを言う。

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現場作業を平準化するには、

①繁忙期の需要を崩す

②閑散期の需要を創出

③作業負荷が集中しない作業プロセス化

という方法がある。

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Page 65: Week1 旅館経営

(時音の宿 湯主一條、鎌先温泉)

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(ホテルナトゥールヴァルト富良野、富良野市) 66

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(向瀧、会津東山温泉) 67

Page 68: Week1 旅館経営

(rokuza、鏡ヶ浦温泉) 68

Page 69: Week1 旅館経営

(金波楼本邸里海邸、大洗町) 69

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(網元の宿ろくや、岩井湯元温泉) 70

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第1週・第10回 旅館の生産性革新の基本原則 (リアルタイム・サービス法)

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Page 72: Week1 旅館経営

「リアルタイム・サービス法」とは、全ての作業プロセスの「位置」「時間」「情報」が顧客がいる最終工程に近づくことをいう。

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Page 73: Week1 旅館経営

(千草ホテル、北九州市) 73

Page 74: Week1 旅館経営

(加賀屋、和倉温泉) 74

Page 75: Week1 旅館経営

これで、サービスの提供作業と顧客による消費がよりリアルタイム化することで、多品種少量と短納期に基づく高付加価値で高品質なサービスが実現する。

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生産性改革に取り組むことで、ランダンムで多様に変化するお客様の需要に

機敏

柔軟

に無駄なく対応できるようになる。

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