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Windows AutoPilot 評価ガイド

Windows AutoPilot 評価ガイド Microsoft Corporation

発行日 : 2018 年 4 月


1

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◼ 企画/執筆/監修

執筆：株式会社ソフィアネットワーク

企画/監修/改訂：日本マイクロソフト株式会社

◼ 改訂履歴

バージョン年月日改訂者内容

1.0 2018 年 1 月ソフィアネットワーク初版を作成

2.0 2018 年 4 月ソフィアネットワークハッシュのみによる

デバイス追加方法を追記


2

内容

1 はじめに ....................................................................................... 4

2 Windows AutoPilot の概要 ............................................................. 5

2.1 Windows AutoPilot の特徴と利用シナリオ ....................................... 6

2.2 Windows AutoPilot とモバイルデバイス管理の関係 .............................. 7

2.3 Windows AutoPilot の実装に必要なコンポーネント .............................. 8

2.4 デバイス ID 情報のフォーマット ....................................................... 12

2.5 OOBE 画面のカスタマイズ ............................................................ 14

2.6 作業の流れ ............................................................................ 15

3 評価環境と前提条件 ....................................................................... 19

4 Windows AutoPilot 利用のための準備 ............................................... 20

4.1 Azure Active Directory ディレクトリの作成 ..................................... 21

4.2 Enterprise Mobility + Security の初期構成 ................................. 26

4.3 ビジネス向け Microsoft Store の初期構成 ...................................... 38

5 デバイス ID の収集 ........................................................................ 41

5.1 Windows PowerShell を利用したデバイス ID の収集 ........................ 41


3

5.1.1 ローカルデバイスのデバイス ID 収集 ............................................. 41

5.1.2 リモートデバイスのデバイス ID 収集 .............................................. 46

5.2 OOBE を利用したデバイス ID の収集 ............................................. 54

6 Windows AutoPilot Deployment プログラムへのデバイス登録 .................... 59

6.1 Microsoft Intune へのデバイス登録 .............................................. 59

6.2 ビジネス向け Microsoft Store へのデバイス登録 ................................ 64

7 Windows AutoPilot による展開の設定................................................ 67

7.1 Microsoft Intune を利用した展開の設定 ........................................ 68

7.1.1 デバイスの同期 ...................................................................... 68

7.1.2 プロファイルの作成と割り当て ........................................................ 72

7.2 ビジネス向け Microsoft Store を利用した展開の設定 .......................... 77

8 組織固有の OOBE 画面のカスタマイズ (オプション) .................................... 81

9 Windows AutoPilot による展開の開始................................................ 84

10 よくある質問.................................................................................. 95

11 まとめ ......................................................................................... 97


4

1 はじめに

Windows 10 では、イメージを利用した OS 展開の方法に代わる、新しい展開方法として

Windows AutoPilot と呼ばれるテクノロジーを採用し、クラウドベースで場所を問わず、OS 展開

を実現することができます。本評価ガイドでは、Windows AutoPilot を利用して Windows 10

の展開を行う方法と、その管理方法について解説します。

本書の構成

章段説明

1 はじめにこのドキュメントの概要について説明します。

2 Windows AutoPilot の概要この章では、Windows AutoPilot の概要について解

説します。

3 評価環境と前提条件この章では、本書で構築する評価環境および前提条件

について説明します。

4 Windows AutoPilot 利用のた

めの準備

(Step by Step)

この章では、Windows AutoPilot を利用するために必

要なサービスの契約と、その初期設定を行う方法について

説明します。

5 デバイス ID の収集

(Step by Step)

この章では、Windows AutoPilot の展開に必要なデ

バイス ID を Windows PowerShell から収集する

方法について説明します。

6 ビジネス向け Microsoft Store

へのデバイス登録

(Step by Step)

この章では、収集したデバイス情報をビジネス向け

Microsoft Store に登録する方法について説明しま

す。

7 Windows AutoPilot による展

開の設定

(Step by Step)

この章では、Windows AutoPilot のプロファイルを作

成し、プロファイルに沿って Windows 10 の展開が行

えるように構成する方法について説明します。

8 Windows AutoPilot による展

開の開始

この章では、Windows AutoPilot のプロファイルに沿っ

て、クライアントコンピューターに Windows 10 を展開

する方法について説明します。

9 よくある質問よくある質問とその回答について説明します。

10 まとめ

Windows AutoPilot は Windows 10 Version 1709 または 1703 で利用可能なサービ

スです。どちらのバージョンを利用しても、ほぼ同様の機能をご利用いただけますが、本書では、

Windows 10 Version 1709 を基準にして Windows AutoPilot の評価を行います。


5

2 Windows AutoPilot の概要

これまで多くの組織では、組織の中に (オンプレミスに) すべてのリソースを集中させ、一元的な管理

を行ってきました。しかし、クラウドサービスの登場や「働き方改革」によって推進されるワークプレイス

の変化により、サーバーも、クライアントも、組織の外に所在することが多くなってきました。

これにより、これまでとは異なる組織の IT 基盤の管理方法が求められるようになっており、キッティン

グ作業もその 1 つです。これまで、OS 展開イメージを配信するサーバーを利用してキッティングを行

っていましたが、このような方法では、組織内にサーバーを配置しなければならないことや、クライアント

コンピューターが物理的にオフィスの中になければならない、などの制約が求められます。

加えて、働き方の多様化によって使用する Windows 10 デバイスの多様化や、半期に一度リリ

ースされる機能更新プログラムへの対応などにより、用意しなければならないイメージの数も爆発的に

増え続ける問題があります。

Windows AutoPilot は、以上のような制約や課題を解決するために誕生しました。

Windows AutoPilot はクラウド経由による OS 展開をサポートするサービスで、Windows

10 の初回起動時のセットアップ (OOBE) 時に、デバイスに登録されたハッシュ値等のデバイス情

報と Azure Active Directory (以下、Azure AD) ユーザー ID をベースに OOBE でのセッ

トアップを (一般利用者でも行えるぐらい) 簡単に完了することができます。また、Windows

AutoPilot で OOBE を完了させることによって、デバイスが Microsoft Intune にも自動登録

されるため、Microsoft Intune から配信されるポリシーを受信することによって、組織の

Windows 10 として必要な各種設定が適用されるようになります。

図 2-1 イメージによる展開と Windows AutoPilot による展開の違い


6

2.1 Windows AutoPilot の特徴と利用シナリオ

本節では、Windows AutoPilot の特徴と具体的な利用シナリオについて紹介します。

✓ クラウドの活用

Windows AutoPilot ではクラウド経由で、組織で使用するデバイスの登録を行います。これ

により、デバイスを大量に箱から取り出す、デバイスへの資産管理番号の付与と台帳への記

入、キッティングイメージを展開する、などの一連のキッティング作業をクラウド経由で一元的に

行うことができるようになります。

また、Windows AutoPilot によるデバイス登録の作業は、コンピューターの初回起動時に表

示されるセットアップ画面である Out-Of-Box-Experience (以下、OOBE) から

Windows AutoPilot であらかじめ登録された資格情報を入力するだけで、作業が完了しま

す。そのため、これまでのようにキッティング作業を組織の IT 部門が行うのではなく、デバイスを

利用する従業員が OOBE から Windows AutoPilot でデバイスを登録するような運用も

可能になります。

✓ 組織におけるデバイスの構成

これまでキッティングイメージの作成と展開には、イメージ展開サーバーの存在が不可欠でし

た。一方、Windows AutoPilot では Windows AutoPilot を通じてデバイスを登録する

ことにより、デバイス管理ソリューションである Microsoft Intune に自動的に登録されます。

Microsoft Intune に登録されたデバイスは Microsoft Intune の機能を通じてイメージ

に含まれていたような組織の標準的な構成を展開することによって、イメージではなく、イメージ

内の設定だけを展開できるため、クラウド経由でライトにキッティング作業を完了させることができ

ます。また、イメージに含まれているような設定は、Windows 10 で利用可能なプロビジョニン

グパッケージを通じて展開することも可能です。

✓ 学校での利用

多くの生徒が共用でデバイスを利用するような学校では、授業が終了するたびにデバイスの初

期化と次の授業のための準備を行わなければなりません。この場合、Windows 10 からデバ

イスの初期化を行い、初期化完了後に OOBE 画面から Windows AutoPilot によるデ

バイス展開を開始すれば、学校の管理デバイスとして再び Windows 10 デバイスを利用開

始できるようになります。


7

2.2 Windows AutoPilot とモバイルデバイス管理の関係

本書の冒頭で、Windows AutoPilot はクラウド経由による OS 展開をサポートするサービスで

あることを紹介しました。しかし、Windows Autopilot だけではモバイルデバイスのセットアップに必

要なすべての作業が行えるわけではなく、Azure AD や Microsoft Intune との組み合わせによ

って、セットアップに必要な作業を完結させます。モバイルデバイスの初期セットアップ作業の流れと、

それぞれのコンポーネントにおける役割は以下のとおりです。

図 2.2-1 Windows AutoPilot による展開ステップと各コンポーネントの役割

※Azure AD による MDM への自動登録には Microsoft Intune の他、サードパーティ製 MDM サービスを

選択することもできます。また、MDM への自動登録には Azure AD Premium P1 または P2 の契約が必要で

す。


8

2.3 Windows AutoPilot の実装に必要なコンポーネント

Windows AutoPilot は「Windows AutoPilot」という名前の単一のサービスで構成されるもの

ではなく、マイクロソフトが提供する複数のサービスの組み合わせによって実現します。

✓ ビジネス向け Microsoft Store

Windows AutoPilot は Windows AutoPilot Deployment プログラムと呼ばれるコン

ポーネントを通じて機能を提供します。ビジネス向け Microsoft Store は、元々

Windows 10 コンピューターに展開するストアアプリを組織で一括で行えるようにするための

サービスですが、Windows AutoPilot Deployment プログラムで提供する機能を操作し、

デバイスの管理も同時に行えるようになっています。

ビジネス向け Microsoft Store を利用して組織のデバイスをあらかじめ登録しておくことによ

り、Windows AutoPilot による展開を始められるようになります。

✓ デバイス ID 収集用 Windows PowerShell コマンドレット

ビジネス向け Microsoft Store にデバイスを登録する際、デバイスを識別するためにデバイス

ID 情報を登録します。デバイス ID 情報は Windows Autopilot であらかじめ決められ

た CSV 形式のフォーマットがあり、対象のコンピューターで Windows PowerShell コマン

ドレットを実行するか、OEM ベンダーまたはリセラーから情報提供を受けて、作成します。

デバイス ID 情報については「2.4 デバイス ID 情報のフォーマット」をご覧ください。

✓ Microsoft Intune

Windows AutoPilot を利用したデバイス登録を行う場合、Microsoft Intune から提供

される Windows AutoPilot Deployment プログラムを利用して、ビジネス向け

Microsoft Store でも利用可能なデバイス登録の設定を行うことができます。また、

Microsoft Intune では、ビジネス向け Microsoft Store に登録されたデバイスのうち、ど

のデバイスに対して Windows AutoPilot を利用したデバイス展開を行うか？やデバイス展

開を行うときに OOBE 画面に表示するメニューのカスタマイズなどを「プロファイル」として定義

し、あらかじめ登録されたデバイスに適用することができます。これにより、デバイスは Windows

AutoPilot 実行時に、プロファイルに基づく OOBE 画面のカスタマイズが行われるようになり

ます。

また、Windows AutoPilot Deployment プログラムを通じて展開されたデバイスは後述す

る Azure AD と連携することで Microsoft Intune の管理対象デバイスとして登録される

ため、デバイスに対する各種ポリシー設定を Microsoft Intune 経由で展開することもできる

ようになります。


9


10

✓ Azure Active Directory

Windows AutoPilot 実行時の OOBE 画面では Azure Active Directory (以下、

Azure AD) に登録されたユーザー ID を使ってサインインを行います。OOBE 画面で

Azure AD に登録されたユーザー ID の資格情報を入力することで、Azure AD へのデバ

イス登録と、Azure AD に登録されたデバイスの情報をもとに自動的に Microsoft Intune

へデバイスが登録されます。

Microsoft Intune へのデバイス登録の自動化設定は Azure AD Premium P1 または

P2 によって提供されます。そのため、Windows AutoPilot を利用するためには Azure

AD Premium P1 または P2 のライセンスを事前に用意しておく必要があります。

OOBE (Out-Of-Box-Experience)

Windows AutoPilot Deployment プログラムによって、Windows AutoPilot による登録

対象となったデバイスは、コンピューターの初回起動時に表示されるセットアップ画面である

OOBE から Azure AD の資格情報を入力するだけで、Windows AutoPilot によるデバイ

ス展開を開始できるようになります。OOBE 画面で表示される質問項目は Windows

AutoPilot Deployment プログラムによってカスタマイズされるため、多くの項目を非表示また

は自動化することができます。Windows AutoPilot を利用した OOBE のカスタマイズとデバ

イス展開は Windows 10 Version 1703 以降でサポートされます。

図 2.3-1 OOBE 画面


11

✓ パートナーセンター

Windows AutoPilot に対応するデバイス ID が提供可能なハードウェアベンダーの場

合、Windows AutoPilot で展開するデバイスのデバイス ID を顧客の代わりに登録するこ

とができます。

例えば、ハードウェアベンダーなどがデバイスを購入した組織に対して製品を出荷する際、あら

かじめデバイス ID をパートナーセンターから登録してから出荷することで、デバイスを購入した

組織でデバイス ID を登録する必要がなくなります。

前述のとおり、デバイス ID の登録はビジネス向け Microsoft Store で行うこともできます

が、パートナーセンターからデバイス ID を登録することによって、ハードウェアベンダーがデバイ

ス ID 登録を代行することが可能になります。


12

2.4 デバイス ID 情報のフォーマット

Windows AutoPilot でデバイスを識別するために使われる「デバイス ID 情報」は前の節でも解

説したように、Windows PowerShell スクリプトの実行または OEM ベンダーまたはリセラーから

提供される情報から作成することができます。Windows AutoPilot に登録するデバイス ID 情

報は次のフォーマットから構成されているため、作成するときは次の情報に従う必要があります。

画面 2.4-1 デバイス ID 情報のサンプル (Microsoft Store for Business の場合)

デバイス ID 情報は、1 行目に記述される「属性行」と、2 行目以降に記述される「個々のデバイ

ス情報の行」から構成されており、1 行目には 2 行目以降に記述するデバイス情報の属性をカン

マで区切って記述します。1 行目に記述する属性はあらかじめ決められており、次の項目をカンマで

区切って記述します。

属性名 (Microsoft Store

for Business の場合)

説明

Device Serial Number デバイスのシリアル番号。デバイスの裏面に印字されていること

が多い。

Windows Product ID プロダクト ID 番号。入手方法によってはハイフンで区切って

00000-00000-00000-000000 のように記述されること

もあるが、デバイス ID 情報内ではハイフンを取り除いて記述

する必要がある。ProductKey ID (PKID) と呼ばれること

もある。

Hardware Hash ハードウェア固有のハッシュ値で、NIC を含むハードウェアの構

成情報から製造工程で生成される。

4KB または 128 バイトの固定長で表現され、2018 年以

降に製品出荷されるデバイスは 4KB の形式で表現されるこ

とが多く、このハッシュ値を「4K ハッシュ」と呼ぶことがある。

デバイス ID 情報 CSV ファイルにおける必須値。


13

一方、2 行目以降に記述される個々のデバイス情報の行では、デバイス固有の情報を 1 デバイス

につき、1 行の形式で記述します。記述するに当たり必要な情報の収集は前述のとおり、次の 2

つの方法があります。

✓ Windows PowerShell コマンドレットの実行

Get-WindowsAutoPilotInfo.ps1 という名前の Windows PowerShell スクリプトフ

ァイルがマイクロソフトより提供されており、このファイルを実行することで、実行したコンピューター

の Device Serial Number, Windows Product ID, Hardware Hash の 3 つの情

報を収集することができます。収集したファイルは画面 2.4-1 のように属性行とデバイス情報

の行から構成されているため、そのまま Windows AutoPilot のデバイス登録に利用できま

す。

✓ OEM ベンダーまたはリセラーから提供を受ける

Hardware Hash (ハードウェアハッシュ) はデバイスの製造工程で生成される値であるた

め、OEM ベンダーまたはリセラーから、その情報の提供を受けることができる場合があります。

Hardware Hash を入手したら、Hardware Hash をベースに、自身で Windows

Autopilot にデバイス登録を行うための CSV ファイルを作成します。なお、Hardware

Hash のみが含まれるデバイス ID 情報ファイルの場合、Device Serial Number 列と

Windows Product ID 列は不要になるわけでありません。画面 2.4-2 のように、属性行

の項目自体は必ず残しておき、2 行目以降の Device Serial Number 列と Windows

Product ID 列が空欄になるように記述してください。

画面 2.4-2 Hardware Hash のみが含まれるデバイス ID 情報ファイル


14

2.5 OOBE 画面のカスタマイズ

「2.1 Windows AutoPilot の特徴と利用シナリオ」でも解説したように、デバイスを利用する従業

員が OOBE から Windows AutoPilot でデバイスを登録するような運用も想定されます。その

場合、IT 管理者の手を借りることなく、作業を完了させなければならないため、エンドユーザーが

理解しやすいユーザーインターフェースを用意することが重要です。

そこで、Windows AutoPilot では、Azure AD と連携し、Windows AutoPilot 実行中に組

織のロゴを表示させたり、組織で必要な追加メッセージを表示させたりして、利用者に使いやすいユ

ーザーインターフェースを提供できます。

画面 2.5-1 カスタマイズされた OOBE 画面 (上) と既定の OOBE 画面 (下)

なお、組織のロゴを追加するなどの操作は Azure Active Directory Premium P1 以上のラ

イセンスが必要となります。


15

2.6 作業の流れ

Windows AutoPilot によるデバイス登録には、複数の展開パターンがあります。本節では、それ

ぞれのパターンごとに具体的な展開ステップについて解説します。

■IT 管理者自身でデバイス ID を収集し、デバイス ID とプロファイルを作成する場合

図 2.6-1 IT 管理者によるデバイス ID の収集・登録、プロファイル作成

組織の既存デバイスに対して初期化を行い、新しいデバイスとしてユーザーに利用してもらう場合

や、ハードウェアベンダーからデバイス ID が提供されない場合など、自分でデバイス ID を収集収

集する場合、このシナリオパターンに沿って、次の手順を実行します。

① IT 管理者によるデバイス ID の収集

Windows PowerShell コマンドレットを利用して、個々のデバイスのデバイス ID を収集します。

デバイス ID の収集コマンドレットはデバイスごとに実行しますが、既にご利用のデバイスの場合、リモ

ートからコマンドレットを実行し、収集することも可能です。

なお、購入した直後のデバイスの場合、OOBE 画面からデバイス ID を収集することも可能です。

② IT 管理者によるデバイス ID の登録

ビジネス向け Microsoft Store または Microsoft Intune にアクセスし、収集したデバイス ID

を登録します。これにより、Windows AutoPilot Deployment プログラムにデバイス情報が登

録されたことになります。


16

③ IT 管理者によるプロファイルの登録

Microsoft Intune にアクセスし、OOBE 実行時のデバイス展開の設定や展開時の UI のカス

タマイズなどをまとめた「プロファイル」を作成します。作成したプロファイルは②で作成したデバイス ID

に割り当てることで、Windows AutoPilot の実行対象を定義できます。

なお、プロファイルの作成は Microsoft Intune からだけでなく、ビジネス向け Microsoft Store

から行うことも可能です。

④ デバイスの初期化

Windows 10 のデバイス初期化設定を利用して、デバイスを初期化します。

ここまでの設定が完了したら、IT 管理者はデバイスを利用者に渡して利用開始してもらいます。

なお、購入直後の場合、デバイスは初期化された状態で出荷されているため、このステップは不要で

す。

⑤ 利用者自身で展開

デバイスを受け取った利用者はデバイスの電源を入れ、OOBE を起動します。OOBE 画面で、イ

ンターネットに接続し、Azure AD ユーザーの資格情報を入力することで Windows AutoPilot

を利用した OOBE の自動設定と、Microsoft Intune へのデバイス登録がそれぞれ行われま

す。

以降、Microsoft Intune の設定を通じて、キッティング作業で行うような設定を展開していくこと

ができるようになります。

本書では、このパターンによる展開方法について、後続の章からステップバイステップで解説します。


17

■ハードウェアベンダーよりデバイス ID を収集し、デバイス ID とプロファイルを作成する場

合

図 2.6-2 ベンダーから提供されるデバイス ID を管理者が登録し、プロファイルを作成

Windows AutoPilot Deployment プログラムに対応したハードウェアベンダー (OEM ベンダ

ー/リセラー) の場合、デバイス ID (ハードウェアハッシュなど) をハードウェアベンダーから取得する

ことができます。このシナリオパターンでは、デバイス ID を収集する必要がないため、購入したデバイ

スを直接、利用者に配送し、展開を開始してもらうことができます。

IT 管理者はハードウェアベンダーから提供されるデバイス ID をデバイス ID 情報ファイルの形式

にして Windows AutoPilot Deployment プログラムに直接デバイスを登録します(手順②)。

以降、手順③のプロファイルの登録と④の利用者自身で展開のステップは、前述のシナリオに登場し

た「③ IT 管理者によるプロファイルの登録」、「⑤ 利用者自身で展開」と同じステップになります。


18

■ハードウェアベンダーがパートナーセンターよりデバイス ID とプロファイルを登録する場合

図 2.6-3 ベンダーがデバイス ID の登録とプロファイル作成を代行

ハードウェアベンダーが Windows AutoPilot Deployment プログラムに対応し、かつマネージド

サービスを提供している場合、IT 管理者はデバイス ID の収集、デバイス ID の登録、プロファイ

ルの作成を行う必要はありません。購入したデバイスを直接、利用者に配送し、展開を開始してもら

うだけで、組織の構成に沿って設定された Windows デバイスを利用して仕事を始めることができ

ます。


19

3 評価環境と前提条件

本書では、Windows Server の役割である Hyper-V を利用して、Windows AutoPilot に

よる Windows 10 の展開評価ができるようにすることを目標に、それぞれの手順を解説します。

そのため、事前に Hyper-V の役割が追加された Windows Server をホストコンピューターと

して用意してください。

本書で使用する、Hyper-V 仮想マシンの情報は以下の通りです。

表 2.6-1 評価環境コンピューター情報

コンピューター名説明

任意 Windows AutoPilot の展開対象となるクライアント (仮想マシ

ン) で、Windows 10 Enterprise または Pro の Version

1709 を実行します。

Hyper-V 仮想マシンの Windows 10 コンピューターは、インターネット接続および、ホストコンピ

ューターとの通信が行えるように構成してください。

また、検証に使用する Windows Server および Windows 10 をお持ちでない場合、以下の

サイトより無料試用版を取得し、OS のインストールを行ってから開始してください。

■Windows Server 2016 無料試用版ソフトウェア

https://www.microsoft.com/ja-jp/evalcenter/evaluate-windows-server-2016

■Windows 10 Enterprise 無料試用版ソフトウェア

https://www.microsoft.com/ja-jp/evalcenter/evaluate-windows-10-enterprise

https://www.microsoft.com/ja-jp/evalcenter/evaluate-windows-server-2016

https://www.microsoft.com/ja-jp/evalcenter/evaluate-windows-10-enterprise


20

4 Windows AutoPilot 利用のための準備

本章から Windows AutoPilot を利用する方法についてステップバイステップで解説します。

2.6 節でシナリオ別の作業の流れについて解説しましたが、「IT 管理者自身でデバイス ID を収

集し、デバイス ID とプロファイルを作成する場合」のシナリオと、「ハードウェアベンダーよりデバイス

ID を収集し、デバイス ID とプロファイルを作成する場合」のシナリオについては、IT 管理者による

作業が必要であることを確認しました。これらのシナリオを本章からは以下の表のように細分化し、そ

れぞれシナリオで必要なステップを解説します。

表 4-1 Windows AutoPilot シナリオ分類

2.6 節でのシナリオ 4 章以降の細分化されたシナリオ

IT 管理者自身でデバイス ID を収集し、デバイス

ID とプロファイルを作成する場合

A. 既存デバイスへの展開

B. 新規デバイスを IT 管理者が展開

ハードウェアベンダーよりデバイス ID を収集し、

デバイス ID とプロファイルを作成する場合 C. デバイス ID をベンダーから取得した場合

A.から C.のそれぞれのシナリオにおける具体的な作業ステップは以下のとおりです。

(4,5.1,5.2,6,7,8,9 は章番号)

図 4-1 本章以降で解説するステップとシナリオごとに行う作業一覧

以上を踏まえ、第 4 章では、Windows AutoPilot を利用するために必要なクラウドサービス

(Enterprise Mobility + Security, ビジネス向け Microsoft Store) の無料試用版を取得

するステップについて確認します。


21

4.1 Azure Active Directory ディレクトリの作成

Windows AutoPilot では OOBE 実行時に Azure AD アカウントを使用します。そのため、

本節では Azure AD ディレクトリを新規作成します。Azure AD ディレクトリの作成方法には、い

くつかの方法がありますが、本節では Office 365 無料試用版を取得し、Azure AD ディレクトリ

を作成します。

1) ブラウザーを起動し、「https://products.office.com/ja-jp/business/compare-

more-office-365-for-business-plans」にアクセスします。

2) Office 365 の Web サイトで、画面下部にある [無料で試す] をクリックします。


22

3) Office 365 Enterprise E5 Trial 画面で、必要事項を入力し [次へ] をクリックします。

4) [ユーザー ID の作成] 画面で、ユーザー名と @マーク後のドメイン名に任意の文字を入力

し、チェックマークが表示されることを確認して、パスワードを 2 か所入力します。


23

5) [ユーザー ID の作成] 画面で、[アカウントの作成] をクリックします。

6) [ロボットではないことを証明してください] 画面で、ご自身の携帯電話番号を入力し、[メッセ

ージを自分に送信] をクリックします。


24

7) [ロボットではないことを証明してください] 画面で、ご自身の携帯電話に着信したメッセージに

ある 6 桁の数字を入力して、[次へ] をクリックします。

8) [この情報を保存してください。後で必要になります。] 画面で、[準備が整いました] をクリック

します。


25

9) Office 365 画面が表示されることを確認します。


26

4.2 Enterprise Mobility + Security の初期構成

前の節で作成した Azure AD ディレクトリに対して、Enterprise Mobility + Security (以

降、EMS) の無料試用版を割り当て、Azure AD Premium と Microsoft Intune が利用で

きるようにします。

1) ブラウザー画面で、新しいタブをクリックし https://portal.azure.com/ にアクセスします。

2) [Micorosoft Azure へようこそ] 画面で、[後で行う] をクリックします。

NOTE:

サインイン画面が表示される場合は、Office 365 無料試用版を取得した時に入力したユー

ザー名とパスワードを入力してアクセスしてください。


27

3) Micorosoft Azure 画面で、左ペインの [Azure Acitve Directory] をクリックし、[ライセ

ンス] をクリックします。

4) [ライセンス] 画面で、[すべての製品] をクリックします。


28

5) [すべての製品] 画面で、[試用/購入] をクリックします。

6) [アクティブ化] 画面で、[ENTERPRISE MOBILITY SUITE] の [無料試用版] をクリック

します。


29

7) [Enterprise Mobility Suite 無料試用版のライセンス認証] 画面で、[アクティブ化] をク

リックします。

8) Enterprise Mobility Suite 無料試用版を正常にアクティブ化したことを確認します。


30

9) Microsoft Azure 画面で、左ペインの [Azure Actuve Directory] をクリックし、[ライセ

ンス] をクリックします。

10) [ライセンス] 画面で、[すべての製品] をクリックします。


31

11) [すべての製品] 画面で、[Enterprise Mobility + Security E5] のライセンスが表示され

ることを確認します。

表示されない場合は、F5 キーを押します。


32

12) [Enterprise Mobility + Security E5] にチェックをつけ、[割り当て]をクリックします。

13) [ライセンスの割り当て] 画面で、[ユーザー] をクリックします。


33

14) [ユーザー] 画面で、Office 365 無料試用版取得時に作成したユーザーアカウントにチェッ

クをつけ、[選択] をクリックします。

15) [ライセンスの割り当て] 画面で、[割り当て] をクリックします。


34

16) ライセンスが割り当てられたことを確認します。

17) Micorosoft Azure 画面で、左ペインの [その他のサービス] をクリックし、検索窓に

[Intune] と入力して、検索結果から表示された [Intune] の右端 ☆ マークをクリックしま

す。その上で、[Intune] をクリックします。


35

18) [Microsoft Intune] 画面で、[まだデバイス管理を有効にしていません。ここをクリックして開

始します。] をクリックします。

19) [MDM 機関の選択] 画面で、[Intune MDM 機関] を選択し、[選択] をクリックします。


36

20) Micorosoft Azure 画面で、左ペインの [Azure Acitve Directory] をクリックし、[モビリ

ティ (MDM および MAM)] をクリックして、[Micorosoft Intune Enrollment] が登録さ

れている場合、 [Micorosoft Intune Enrollment] をクリックします。 [Micorosoft

Intune Enrollment] が登録されていない場合は手順 22 へ進んでください。

21) [構成] 画面で、[削除] をクリックします。


37

22) Micorosoft Azure 画面で、[Micorosoft Intune] をクリックします。

23) [構成] 画面で、[MDM ユーザースコープ] から [すべて] をクリックし、[保存] をクリックし

ます。


38

4.3 ビジネス向け Microsoft Store の初期構成

本節では、ビジネス向け Microsoft Store を利用開始するためにサインアップを行います。なお、

サインアップには Office 365 無料試用版を取得したときに作成した Azure AD ユーザーを利

用します。

1) ブラウザー画面で、新しいタブを開き、「https://businessstore.microsoft.com/ja-jp/store」

にアクセスします。

2) ビジネス向け Microsoft Store 画面で、右上の [サインイン] をクリックします。

NOTE:

サインイン画面が表示される場合は、Office 365 無料試用版を取得した時に入力したユー

ザー名とパスワードを入力してアクセスしてください。


39

3) [ビジネス向け Microsoft Store] 画面で、[管理] をクリックします。

4) [ビジネス向け Microsoft Store とお客様のデータ] 画面で、チェックをつけ、[承認] をクリッ

クします。


40

5) [ビジネス向け Microsoft Store] 画面で、[デバイス] をクリックします。

6) [ビジネス向け Microsoft Store] 画面で、[デバイス] の登録画面が表示されることを確認

します。


41

5 デバイス ID の収集

本章では、Windows AutoPilot によるデバイス展開に必要なデバイス ID の収集方法について

確認します。現在使用中の既存コンピューターに対するデバイス ID の収集を行うときは「5.1

Windows PowerShell を利用したデバイス ID の収集」、新規購入したデバイスに対するデバ

イス ID の収集を行うときは「5.2 OOBE を利用したデバイス ID の収集」を参考に、それぞれ手

順を実行してください。

5.1 Windows PowerShell を利用したデバイス ID の収集

本手順では、Windows PowerShell でデバイス ID を収集する方法について解説します。

5.1.1 節ではローカルデバイスのデバイス ID を収集する方法について、5.1.2 節ではデバイス

ID をリモートから収集する方法について、それぞれ解説しているので、収集方法に合わせて選択

し、実行します。

5.1.1 ローカルデバイスのデバイス ID 収集

Windows PowerShell コマンドレットをローカルで実行し、デバイス ID を収集します。

デスクトップ画面で、スタートボタンを右クリックし [Windows PowerShell (管理者)] をクリ

ックします。


42

[ユーザーアカウント制御] 画面で、[はい] をクリックします。

[Windows Powershell] 画面で、「Install-Script Get-WindowsAutoPilotInfo」と

入力し、Enter キーを押します。

[Windows Powershell] 画面で、[PATH 環境変数の変更] 項目が表示される場合、

「Y」を入力し、Enter キーを押します。


43

[Windows Powershell] 画面で、[続行するには NuGet プロバイダーが必要です] 項目

が表示される場合、「Y」を入力し、Enter キーを押します。

[Windows Powershell] 画面で、[信頼されていないリポジトリ] 項目が表示される場合、


[Windows Powershell] 画面で、「Set-ExecutionPolicy RemoteSigned -Force」

と入力し、Enter キーを押します。


44

[Windows Powershell] 画面で、「cd C:\Users\<現在サインイン中のユーザー名

>\Desktop\」と入力し、Enter キーを押します。

[Windows Powershell] 画面で、「Get-WindowsAutoPilotInfo.ps1 -OutputFile

hash.csv」と入力し、Enter キーを押します。


45

デスクトップ画面で、作成された hash.csv ファイルを右クリックし、[編集] をクリックします。

メモ帳画面で、デバイスシリアルナンバー、Windows プロダクト ID、ハードウェアハッシュの

順でデバイス ID が構成されていることを確認します。

NOTE:

2017 年 10 月以降、デバイス ID 情報として、ハードウェアハッシュの値だけで、デバイス登

録を行うことが可能です。もちろん、手順に記載されている通り、デバイスシリアルナンバー、

Windows プロダクト ID、ハードウェアハッシュの 3 つの情報で登録することも引き続き可能

です。


46

5.1.2 リモートデバイスのデバイス ID 収集

Windows PowerShell コマンドレットでリモートデバイスのデバイス ID を収集します。デバイス

ID を収集するデバイスの名前を「Win10a」として設定方法を解説します。

デバイス ID を収集されるデバイスである「Win10a」のデスクトップ画面で、検索窓に「ファイア

ウォール」と入力し、検索結果から [セキュリティが強化された Windows ファイアウォール] を

クリックします。


47

[セキュリティが強化された Windows Defender ファイアウォール] 画面で、左ペインで [受

信の規則] をクリックし、Windows Management Instrumentation で始まる規則をす

べて選択し、右クリックして、[規則の有効化] をクリックします。

NOTE:

リモートデバイスが Active Directory ドメインに参加している場合、本設定はグループポリシ

ーから行うことも可能です。


48

デスクトップ画面で、スタートボタンを右クリックし [Windows PowerShell (管理者)] をクリ

ックします。



49

[Windows Powershell] 画面で、「WinRM quickconfig」と入力し、Enter キーを押し

ます。[変更しますか？] 項目が表示される場合、「Y」を入力し、Enter キーを押します。

デバイス ID を収集するデバイスのデスクトップ画面で、スタートボタンを右クリックし

[Windows PowerShell (管理者)] をクリックします。


50


[Windows Powershell] 画面で、「Install-Script Get-WindowsAutoPilotInfo」と

入力し、Enter キーを押します。

[Windows Powershell] 画面で、[PATH 環境変数の変更] 項目が表示される場合、



51

[Windows Powershell] 画面で、[続行するには NuGet プロバイダーが必要です] 項目

が表示される場合、「Y」を入力し、Enter キーを押します。

[Windows Powershell] 画面で、[信頼されていないリポジトリ] 項目が表示される場合、



52

[Windows Powershell] 画面で、「Set-ExecutionPolicy RemoteSigned -Force」

と入力し、Enter キーを押します。

[Windows Powershell] 画面で、「cd C:\Users\<現在サインイン中のユーザー名

>\Desktop\」と入力し、Enter キーを押します。

[Windows Powershell] 画面で、「Get-WindowsAutoPilotInfo.ps1 -

ComputerName Win10a -OutputFile hash.csv」と入力し、Enter キーを押します。

NOTE:

Win10a 部分にはデバイス ID を収集するデバイスの名前が入ります。収集するデバイスの

名前に合わせて書き換えてください。


53

デスクトップ画面で、作成された hash.csv ファイルを右クリックし、[編集] をクリックします。

メモ帳画面で、デバイスシリアルナンバー、Windows プロダクト ID、ハードウェアハッシュの

順でデバイス ID が構成されていることを確認します。

NOTE:

2017 年 10 月以降、デバイス ID 情報として、ハードウェアハッシュの値だけで、デバイス登

録を行うことが可能です。もちろん、手順に記載されている通り、デバイスシリアルナンバー、

Windows プロダクト ID、ハードウェアハッシュの 3 つの情報で登録することも引き続き可能

です。


54

5.2 OOBE を利用したデバイス ID の収集

本節では、OOBE 画面上でデバイス ID を収集する方法について解説します。作成したデバイス

ID を含む CSV ファイルは別のコンピューターに保存するため、ここではホストコンピューターの

Windows Server に共有フォルダーを作成し、保存しています。

ホストコンピューターで CSV という名前のフォルダーを作成し、右クリックから [共有] - [特定

のユーザー] をクリックします。


55

[ファイルの共有] 画面で、[共有] をクリックします。

[ユーザーのフォルダーは共有されています] 画面で、[終了] をクリックします。


56

Windows 10 コンピューターで、コンピューターを起動します。

OOBE 画面で Shift + F10 キーを押し、コマンドプロンプトを開きます。

NOTE:

以降の手順で、ホストコンピューターとネットワーク通信を行います。そのため、Wi-Fi 接続を行

うコンピューターで同手順を実行する場合は、OOBE 画面で Wi-Fi アクセスポイントを選択し

てから本手順を実行してください。

コマンドプロンプト画面で、「nse use x: \\<ホストコンピューター名>\csv /user:<ホス

トコンピューターのユーザー名>」と入力し、Enter キーを押します。続いて表示されるパスワー

ドの入力画面でホストコンピューターのユーザー名に設定されたパスワードを入力し、Enter キ

ーを押します。


57

コマンドプロンプト画面で、「powershell」と入力し、Enter キーを押します。

コマンドプロンプト画面で、「Set-ExecutionPolicy RemoteSigned」と入力し、Enter キ

ーを押します。

コマンドプロンプト画面で、「Install-Script -Name Get-WindowsAutoPilotInfo」と入

力し、Enter キーを押します。続いて選択画面が表示される場合は、すべて「Y」を入力しま

す。


58

コマンドプロンプト画面で、「cd x:\」と入力し、Enter キーを押します。

コマンドプロンプト画面で、「Get-WindowsAutoPilotInfo.ps1 -

OutputFile .\mydevice.csv」と入力し、Enter キーを押します。

ホストコンピューターに移動し、CSV フォルダー内に mydevice.csv ファイルが作成されてい

ることを確認します。


59

6 Windows AutoPilot Deployment プログラムへのデバイ

ス登録

本章では、前の章で収集したデバイス ID を Windows AutoPilot Deployment プログラムに

登録します。Windows AutoPilot Deployment プログラムにデバイス ID を登録する方法に

は、Microsoft Intune から登録する方法と、ビジネス向け Microsoft Store から登録する方

法があります。6.1 節では Microsoft Intune から行う方法、6.2 節ではビジネス向け

Microsoft Store から行う方法を解説しているため、検証を行いたい方法を選択して実行してくだ

さい。

6.1 Microsoft Intune へのデバイス登録

Windows AutoPilot Deployment プログラムへのデバイス登録方法のうち、本節では

Microsoft Intune からデバイスを登録する方法について解説します。登録する際にデバイス ID

が必要になるため、収集したデバイス ID を含む CSV ファイルを手元に用意してから開始してくだ

さい。

なお、2018 年 4 月現在、Microsoft Intune を利用したデバイス登録はプレビュー機能であ

り、将来仕様が変更される可能性があることにご注意ください。

Microsoft Azure 画面で、左ペインの [Intune] をクリックし、[デバイスの登録] をクリック

します。


60

[デバイスの登録] 画面で、[Windows の登録] をクリックします。

[Windows の登録] 画面で、[デバイス] をクリックします。


61

[Windows AutoPilot デバイス] 画面で、[インポート] をクリックします。

[Windows AutoPilot デバイスの追加] 画面で、参照ボタンをクリックします。


62

[開く] 画面で、前の手順でデスクトップに保存したデバイス ID 情報ファイル (hash.csv) を

選択し、[開く] をクリックします。

[Windows AutoPilot デバイスの追加] 画面で、[インポート] をクリックします。


63

[Windows AutoPilot デバイス] 画面で、デバイス情報が同期されたことを確認します。


64

6.2 ビジネス向け Microsoft Store へのデバイス登録

Windows AutoPilot Deployment プログラムへのデバイス登録方法のうち、本節ではビジネス

向け Microsoft Store からデバイスを登録する方法について解説します。登録する際にデバイス

ID が必要になるため、収集したデバイス ID を含む CSV ファイルを手元に用意してから開始して

ください。

前の手順で開いたビジネス向け Microsoft Store 画面を開き、[デバイス] 画面で、[デバ

イスの追加] をクリックします。

NOTE:

4.3 節でビジネス向け Microsoft Store 画面を開いています。閉じてしまった場合は、

「https://businessstore.microsoft.com/ja-jp/store」にアクセスし、改めてサインインし

てください。


65

[開く] 画面で、前の手順で作成したデバイス ID を含む CSV ファイルを選択し、[開く] をク

リックします。

[AutoPilot 展開グループへのデバイスの追加] 画面で、「パイロット展開」と入力し、[追加]

をクリックします。


66

[デバイス] 画面で、画面上部 [要求を処理しています。完了したかどうかを確認するには、一

覧を更新してください。] の [一覧を更新] をクリックしします。

[デバイス] 画面で、デバイスが追加されていることを確認します。


67

7 Windows AutoPilot による展開の設定

本章では、Windows AutoPilot による展開を開始し、OOBE で Azure AD ユーザーの資格

情報を入力するだけで、セットアップが完了し、同時に Microsoft Intune にデバイス登録される

様子を確認します。

Windows AutoPilot による展開を開始する場合、Microsoft Intune から行う方法と、ビジネ

ス向け Microsoft Store から行う方法があります。どちらから展開設定を行っても Windows

AutoPilot Deployment プログラムを通じて展開は実行されるため、両者はユーザーインターフェ

ースが異なるだけで、展開結果は同じになります。

7.1 節では Microsoft Intune から行う方法、7.2 節ではビジネス向け Microsoft Store か

ら行う方法を解説しているため、検証を行いたい方法を選択して実行してください。


68

7.1 Microsoft Intune を利用した展開の設定

Microsoft Intune を利用した展開では、ビジネス向け Microsoft Store に登録されたデバイ

ス情報を Microsoft Intune で利用できるようにするために同期を行い、その後、展開を開始し

ます。なお、2018 年 4 月現在、Microsoft Intune を利用したデバイス展開の管理はプレビュー

機能であり、将来仕様が変更される可能性があることにご注意ください。

7.1.1 デバイスの同期

本節では、ビジネス向け Microsoft Store から登録したデバイスの情報を Microsoft Intune

から参照できるようにするための設定を行います。第 6 章で Microsoft Intune からデバイス登

録を行った場合には、本節の手順は不要です。

Microsoft Azure 画面で、左ペインの [Intune] をクリックし、[デバイスの登録] をクリック

します。


69

[デバイスの登録] 画面で、[Windows の登録] をクリックします。



70

[Windows AutoPilot デバイス] 画面で、[同期] をクリックします。

[Windows AutoPilot デバイス] 画面で、[最新の情報に更新] をクリックします。


71

[Windows AutoPilot デバイス] 画面で、デバイス情報が登録されたことを確認します。


72

7.1.2 プロファイルの作成と割り当て

[Windows AutoPilot デバイス] 画面で、[Windows AutoPilot デバイス] の左側をクリ

ックし、[デバイスの登録 - Windows の登録] をクリックします。

[Windows の登録] 画面で、[デプロイプロファイル] をクリックします。


73

[Windows AutoPilot Deployment プロファイル] 画面で、[プロファイルの作成] をクリック

します。

[プロファイルの作成] 画面で、[名前] 欄に「パイロット展開プロファイル」と入力し、[結合の

種類] から [Azure AD 参加済み] を選択して、[Out-of-box experience] をクリックし

ます。


74

[Out-of-box experience] 画面で、[プライバシー設定]、[ソフトウェアライセンス条項] は

それぞれ [非表示] をクリックし、[ユーザーアカウントの種類] は [標準] をクリックして、[保

存] をクリックします。

[プロファイルの作成] 画面で、[作成] をクリックします。


75

[Windows AutoPilot Deployment プロファイル] 画面で、[Windows AutoPilot デバ

イス] の左側をクリックし、[デバイスの登録 - Windows の登録] をクリックします。



76

[Windows AutoPilot デバイス] 画面で、特定のデバイスにチェックをつけ、[プロファイルの割

り当て] をクリックします。

[プロファイルの割り当て] 画面で、[AutoPilot プロファイル] から [パイロット展開プロファイル]

を選択し、[割り当て] をクリックします。


77

7.2 ビジネス向け Microsoft Store を利用した展開の設定

ビジネス向け Microsoft Store を利用した展開では、前の手順でビジネス向け Microsoft

Store に登録したデバイス情報を利用して展開を開始します。

前の手順で開いた [ビジネス向け Microsoft Store] 画面で、[AutoPilot 展開] - [新し

いプロフィールを作成する] をクリックします。

NOTE:

4.3 節でビジネス向け Microsoft Store 画面を開いています。閉じてしまった場合は、

「https://businessstore.microsoft.com/ja-jp/store」にアクセスし、改めてサインインし

てください。


78

[新しい AutoPilot 展開プロファイルの作成] 画面で、「MSfB 展開プロファイル」と入力し、す

べての設定項目に対して [オン] を選択して [作成] をクリックします。

[デバイス] 画面で、前の手順で追加したデバイスにチェックをつけます。


79

[デバイス] 画面で、[AutoPilot 展開] - [MSfB 展開プロファイルの運用] をクリックします。

[デバイス] 画面で、[一覧を更新] をクリックします。


80

[デバイス] 画面で、デバイスにプロファイルが割り当てられたことを確認します。


81

8 組織固有の OOBE 画面のカスタマイズ (オプション)

本章では、Windows AutoPilot によるデバイス展開時の OOBE 画面をカスタマイズする方法

について解説します。なお、本章の手順は必須の手順ではありません。操作が不要な場合は、本章

の手順をスキップして第 9 章へ進んでください。

1) Micorosoft Azure 管理ポータル画面で、左ペインの [Azure Acitve Directory] をクリ

ックし、[会社のブランド] をクリックします。

2) [会社のブランド] 画面で、[構成] をクリックします。


82

3) [会社のブランドを構成する] 画面で、[サインインページのテキスト] 欄に、「コントソ株式会

社」と入力し、[正方形のロゴの画像] 欄の [開く] ボタンをクリックします。

4) [開く] 画面で、会社のロゴとなる画像をクリックし、[開く] をクリックします。

NOTE:

本手順ではサンプルファイルを登録していますが、それぞれの企業に合わせたロゴを登録してくだ

さい。


83

5) [会社のブランドを構成する] 画面で、会社のロゴが追加されたことを確認し、[保存] をクリッ

クします。

6) [会社のブランド] 画面で、[状態] 欄が [構成済み] になっていることを確認します。


84

9 Windows AutoPilot による展開の開始

本章では、Windows AutoPilot のポリシーに基づき、実際にクライアントコンピューターに

Windows AutoPilot による Windows 10 の展開を行います。Windows AutoPilot に基

づく Windows 10 の展開にはインターネット接続が必要です。インターネット接続されている状態

であることを確認したうえで本手順を開始してください。

スタートメニューから [設定] をクリックします。


85

[Windows の設定] 画面で、[更新とセキュリティ] をクリックします。

[更新とセキュリティ] 画面で、[回復] をクリックし、[開始する] をクリックします。


86

[オプションを選んでください] 画面で、[すべて削除する] をクリックします。

[ドライブのクリーニングも実行しますか？] 画面で、[ファイルの削除のみ行う] をクリックします。

[この PC を初期状態に戻す準備ができました] 画面で、[リセット] をクリックします。


87

初期化の完了後、起動時の画面で、OOBE によるセットアップが開始します。

[地域から開始しましょう。よろしいですか？] 画面で、[はい] をクリックします。

[これは適切なキーボードレイアウトですか？] 画面で、[はい] をクリックします。


88

[2 つ目のキーボードレイアウトを追加しますか？] 画面で、[スキップ] をクリックします。

NOTE:

デバイスによっては、後続の画面で使用許諾契約に同意を求める画面が表示される場合があ

ります。

NOTE:

デバイスによっては、後続の画面で [設定する方法を指定してください] 画面が表示される場

合があります。その場合、[組織用に設定] を選択し、[次へ] をクリックします。


89

[Microsoft アカウントでサインイン] 画面で、Azure AD に作成したユーザー名 (本書で

は、Office 365 の無料試用版取得時に作成したユーザー名) を入力し、[次へ] をクリックし

ます。

NOTE:

「8 組織固有の OOBE 画面のカスタマイズ」の設定を行った場合、本手順の画面に前の手

順で指定したロゴが [Microsoft アカウントでサインイン] の代わりに表示されます。Hyper-V

仮想マシンから検証する場合、本手順の画面でロゴは表示されないことにご注意ください。(物

理デバイスから OOBE を実行すればロゴは確認できます)


90

[パスワードの入力] 画面で、Office 365 の無料試用版取得時に作成したユーザーのパスワ

ードを入力し、[次へ] をクリックします。

NOTE:

「8 組織固有の OOBE 画面のカスタマイズ」の設定を行った場合、本手順の画面に前の手

順で指定したロゴが [パスワードの入力] 画面に表示されます。Hyper-V 仮想マシンから検

証する場合、本手順の画面でロゴは表示されず、画面下に「コントソ株式会社」と会社名だけ

が表示されることにご注意ください。(物理デバイスから OOBE を実行すればロゴは確認できま

す)

NOTE:

デバイスによっては、後続の画面で [デバイスのプライバシー設定の選択] 画面が表示される場

合があります。その場合、内容を確認し、[同意] をクリックします。


91

[組織により Windows Hello が要求されています] 画面で、[PIN のセットアップ] をクリック

します。

NOTE:

OOBE 画面でのセットアップは手順 11 までで完了しますが、OOBE のセットアップで

Azure AD ユーザーを登録した場合、Azure AD の機能によって、PIN 番号の登録が求め

られることになります。


92

[アカウントの保護にご協力ください] 画面で、[今すぐセットアップ] をクリックします。

[ID を確認する] 画面で、本人確認のための確認手段を選択し、(ここでは電話を選択し、

電話番号を入力しています)、[次へ] をクリックします。


93

[PIN のセットアップ] 画面で、PIN を入力し、[OK] をクリックします。

[すべての設定が完了しました] 画面で、[OK] をクリックします。


94

Windows 10 のセットアップが完了し、利用開始できることを確認します。


95

10 よくある質問

本章では、Window Autopilot の利用または概念を理解するに当たり、よくある質問とその回答

を紹介します。

●Window Autopilot によって、イメージによるキッティング作業は不要になりますか？

Window Autopilot は OOBE によるセットアップを自動化し、Microsoft Intune への接続を

お手伝いするサービスであり、アプリケーションやコンピューター設定などの Window 10 コンピュータ

ーの構成を自動化するサービスではありません。しかし、Microsoft Intune と組み合わせたり、(本

書では詳細な解説を省いていますが) プロビジョニングパッケージと組み合わせたりすることで、

Window 10 コンピューターの初期セットアップを完了させることができるため、イメージによるキッティ

ングで行っていた多くの作業を置き換えることができるでしょう。

●テストなどで既に登録したデバイスを本番環境で登録できません。

既に Window AutoPilot に登録されたデバイスは、既存の登録設定を削除しない限り、再登録

は行えません。また、他のテナントの Window AutoPilot に登録されている場合も同様です。

●ネットワークアダプタを交換した場合、Window AutoPilot は利用できますか？

利用できます。

ただし、ハードウェアハッシュは工場出荷時のものとは異なるものになっている可能性があるため、既

存のハードウェアハッシュが利用できない場合は、ハードウェアハッシュを再取得してください。再取

得には「5.1 Windows PowerShell を利用したデバイス ID の収集」を参考にしてください。

●ハードウェアハッシュだけで Windows AutoPilot にデバイス登録を行うと、どのデバイスが登録

されたかわからなくなる心配があります。

ハードウェアハッシュだけを利用して Windows AutoPilot にデバイス登録した場合、ハードウェア

ハッシュに関連付けられた情報を自動的にビジネス向け Microsoft Store 画面に表示されるた

め、デバイスのメーカー名や型番などを確認できます。

●ビジネス向け Microsoft Store に登録されたデバイスを後からマネージドサービスで管理しても

らうことはできますか？

可能です。

マネージドサービスでは、サービス事業者が既に登録されたデバイス情報を参照できるため、既存の

デバイス情報はマネージドサービスにそのまま移行できます。


96

●ビジネス向け Microsoft Store に一度登録したデバイスは OOBE 完了後、削除するべきで

すか？

登録したデバイスをリースバックや他社の売却などによって、他のテナントで使うことが無い限り、登録

したデバイスを削除する必要はありません。例えば、登録したデバイスを利用している従業員が退職

し、そのデバイスを初期化して他の従業員に使ってもらうときには、Windows AutoPilot にデバイ

スを登録したままにしておくことで、再び Windows AutoPilot によるセットアップの自動化を開始

できます。

●Windows AutoPilot は Windows 8.1 からのアップグレードインストールでも利用できます

か？

アップロードされる Windows 10 が Version 1703 以降であれば利用できます。

新規インストール、アップグレードインストール、OS の初期化、いずれの場合でも、OOBE 画面の

タイミングで Windows AutoPilot が実行し、処理の自動化がスタートします。

●デバイス ID が含まれる CSV ファイルに記述可能なデバイス数の上限はありますか？

1 度に登録できるデバイスの上限は 1000 台です。もし 1000 台以上のデバイスを登録する必

要がある場合は、複数の CSV ファイルに分割して登録してください。


97

11 まとめ

Windows AutoPilot では、あらかじめデバイス ID を登録し、該当するデバイスが OOBE でセ

ットアップを開始するときに Azure ユーザーでサインインするだけでセットアップを完了させることがで

きる機能です。また、Azure AD Premium と組み合わせることにより、Microsoft Intune にも

デバイス登録が自動的に行われるため、Microsoft Intune からポリシーを展開すれば、これまでイ

メージを作成し、イメージ配信サーバーから展開するようなキッティング作業を大幅に簡略化できるこ

とができるようになります。

本書では、キッティング作業を簡略化させるための第一歩として、Windows AutoPilot を利用し

たデバイス展開について概要とその手順を確認しました。

本書が Windows AutoPilot を利用したキッティング作業を行うための検証と環境構築を行う際

の参考になれば幸いです。


98

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を反映したものです。変化する市場状況に対応する必要があるため、このドキュメントは、記載され

た内容の実現に関するマイクロソフトの確約とはみなされないものとします。また、発行以降に発表さ

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